エネルギー基本計画

政府は7月3日、2030年度までの中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定し、閣議決定した。

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2018年7月3日

 
エネルギー基本計画は、エネルギー政策の基本的な方向性を示すためにエネルギー政策基本法に基づき政府が策定するものです。
エネルギーを巡る国内外の情勢変化を踏まえ、2030年、更に2050年を見据えた新たなエネルギー政策の方向性を示すものとして、本日、閣議決定されました。

1.背景

エネルギー基本計画は、2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、政府が策定するものであり、「安全性」、「安定供給」、「経済効率性の向上」、「環境への適合」というエネルギー政策の基本方針に則り、エネルギー政策の基本的な方向性を示すものです。
昨年8月より、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会等において検討が開始され、5月16日に素案を提示、その後、パブリックコメント等を踏まえて、本日、閣議決定されたものとなります。

2.概要

今回のエネルギー基本計画では、常に踏まえるべき点として「東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むこと」等を原点として検討を進め、2030年、2050年に向けた方針をお示ししています。
2030年に向けた方針としては、エネルギーミックスの進捗を確認すれば道半ばの状況であり、今回の基本計画では、エネルギーミックスの確実な実現へ向けた取組の更なる強化を行うこととしています。
2050年に向けては、パリ協定発効に見られる脱炭素化への世界的なモメンタムを踏まえ、エネルギー転換・脱炭素化に向けた挑戦を掲げ、あらゆる選択肢の可能性を追求していくこととしています。

http://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180703001/20180703001-1.pdf

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再生可能エネルギーの「主力電源化」を打ち出す一方、原発も中長期的に活用していく姿勢をにじませた。

(原発は)安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。

石炭火力発電は、高効率化・次世代化を進めつつ輸出も積極的に推進するとした。ただ世界的には石炭火力に逆風が吹いており、「石炭を選ばざるを得ない国に限り、要請があった場合は経済協力開発機構(OECD)ルールも踏まえ世界最新鋭の設備の導入を支援する」と慎重姿勢もみせた。

原発の使用済み燃料から取り出すプルトニウムについては「保有量の削減に取り組む」と明記 した。日本が国内外にプルトニウム約47トンを保有することに、核不拡散の観点から米国など海外には懸念の声もあることに配慮した。

安全確保を大前提に、プルサーマルの推進、六ヶ所再処理工場の竣工、MOX燃料加工工場の建設、むつ中間貯蔵施設の竣工等を進める。また、平和的利用を大前提に、核不拡散へ貢献し、国際的な理解を得ながら取組を着実に進めるため、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、プルトニウム保有量の削減に取り組む

これを実効性あるものとするため、プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、プルサーマルの一層の推進や、2016年に新たに導入した再処理等拠出金法の枠組みに基づく国の関与等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行う。併せて、使用済MOX燃料の処理・処分の方策について、使用済MOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き研究開発に取り組みつつ、検討を進める。また、「高速炉開発の方針」(2016年12月原子力関係閣僚会議決定)に基づき策定されるロードマップの下、米国や仏国等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組む。