MOF 移転価格税制の概要
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/177.pdf
〇 | 企業が海外の関連企業との取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に移転することが可能となる。 |
〇 | 移転価格税制とは、このような海外の関連企業との間の取引を通じる所得の海外移転を防止するため、その移転価格を通常の取引価格(これを「独立企業間価格」と呼んでいる。)に引き直して課税する制度。 |
〇 | 独立企業間価格の算定方法は次の方法とされており、OECD移転価格ガイドライン(注)において国際的に認められた方法と一致している。 |
@ 伝統的な取引基準法 ・独立価格比準法(CUP法) ・再販売価格基準法(RP法) ・原価基準法(CP法) A その他の方法 ・利益分割法(PS法) ・取引単位営業利益法(TNMM法 平成16年度税制改正により導入) |
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(上記算定方法のうち、まず@についてその適用の可否について検討吟味することとされており、それらが適用できない場合においてのみAの方法」の適用を検討することになっている。 | |
(注)
OECD移転価格ガイドラインは、適切に各国の課税権を配分し、 二重課税を回避することを目的として作成されたものである。 具体的には、移転価格の算定方法及び移転価格課税問題の解決方法を示し、税務当局間又は税務当局と 多国籍企業との間の紛争を最小化し、企業活動の円滑化に資することを意図している。 |
独立価格比準法(CUP法)
同種製品の独立企業間の取引価格を検討
(比較可能性の高い比較対象取引の選定が困難)
再販売価格基準法(RP法)
米国の比較可能な同業の財務データに基づいて販売会社がどの程度の売上利益率を計上しているかを検討
(取扱製品の類似性が厳格に要求され、比較可能な同業の財務データの取得は困難)
原価基準法(CP法)
日本の比較可能な同業の財務データに基づいて製造原価に対してどの程度利益の上乗せをしているか(売上総利益)を検討
(比較可能な同業の財務データの取得は困難)
利益分割法(PS法)
連結ベースでの営業利益がどのような割合で日本本社ならびに米国販売子会社で分けられるかを検討
取引単位営業利益法(TNMM法)
再販売価格基準法が売上総利益を見るため製品の類似性が要求されるが、こちらは営業利益率を検討
(類似した機能で、類似した業界であれば、同種製品を取り扱っていなくとも営業利益率はほぼ一定という経済仮説)
移転価格税制は80年代初頭よりまず米国においてその運用が強化され、我が国においても1986年に基本的法規が制定された。
移転価格税制による更正所得金額
具体例 (単位:百万円) 「移転価格」追徴で異議 一部認定 京セラに43億円還付へ
年月 | 会社名 | 更正所得額 | 更正税額 | 対象取引 | 管轄国税局 |
2006年6月 |
武田薬品工業 |
122,300 |
57,000 |
医薬品 |
大阪国税局 |
2005年6月 |
TDK |
21,300 |
12,000 |
電子部品等 |
東京国税局 |
2005年6月 |
ソニー |
21,400 |
4,500 |
ロイヤリティ |
東京国税局 |
2005年5月 |
日本金銭機械 |
3,400 |
1,600 |
紙幣識別機 |
大阪国税局 |
2005年3月 |
京セラ |
24,300 |
電子部品等 |
大阪国税局 |
|
2004年6月 |
本田技研 |
25,400 |
13,000 |
ロイヤリティ等 |
東京国税局 |
2003年8月 |
太陽誘電 |
N/A |
1,700 |
ロイヤリティ |
東京国税局 |
2002年11月 |
ローランド |
1,000 |
330 |
電子ピアノ |
大阪国税局 |
2000年4月 |
コカコーラジャパン |
45,000 |
17,000 |
ロイヤリティ |
東京国税局 |
1999年10月 |
ファイザー製薬 |
4,500 |
2,700 |
金利 |
東京国税局 |
1999年2月 |
チバ?ガイギー |
8,000 |
3,300 |
医薬品 |
大阪国税局 |
1998年11月 |
ネスレ日本 |
1,500 |
700 |
ロイヤリティ |
大阪国税局 |
1998年7月 |
曙ブレーキ |
500 |
300 |
N/A |
東京国税局 |
1998年7月 |
バクスター |
15,000 |
6,000 |
医療機器 |
東京国税局 |
1998年7月 |
山之内製薬 |
54,100 |
24,200 |
ロイヤリティ |
東京国税局 |
1998年7月 |
村田製作所 |
13,700 |
5,500 |
電気機器 |
大阪国税局 |
1997年9月 |
ジャーデンワインズ |
16,000 |
7,000 |
ワイン |
東京国税局 |
1995年6月 |
日本ロシュ |
14,000 |
6,000 |
化学薬品 |
東京国税局 |
1995年12月 |
シマノ |
2,000 |
800 |
ロイヤリティ |
大阪国税局 |
1994年11月 |
P&G |
2,000 |
800 |
家庭用品 |
大阪国税局 |
1994年10月 |
ヘキストジャパン |
7,000 |
3,000 |
医薬品 |
東京国税局 |
1994年9月 |
日本グッドイヤー |
1,400 |
600 |
タイヤ |
東京国税局 |
1994年4月 |
AIU保険 |
N/A |
2,000 |
再保険料 |
東京国税局 |
1994年4月 |
チバ?ガイギー |
12,000 |
5,700 |
医薬品 |
大阪国税局 |
1994年3月 |
コカコーラジャパン |
38,000 |
15,000 |
ロイヤリティ |
東京国税局 |
1993年3月 |
日本ロシュ |
9,500 |
3,800 |
化学薬品 |
東京国税局 |
参考 KPMG資料 http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/tax/200511_1/01.html