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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2012/12/17    紙おむつと日本国債

米国のヘッジファンドが日本の大人用紙おむつに関心を示している。

Financial Timesが11月29日付で伝え、人民網日本語版が「日本経済 紙おむつのターニングポイントが到来か」でこれを引用している。

Financial Times:
何故ヘッジファンドマネジャーが日本の大人用紙おむつに関心を持つのか? 
それは多くのヘッジファンドが次の稼ぎどころと見る日本の国債バブル破裂の手掛かりになるからだ。

日本では本年に大人用おむつの販売が乳幼児用を初めて上回る。
空売りを狙う業者は、これを数か月後に起こると予想する危機の原因の一つと見ている。

Hayman Capital Managementの創始者のKyle Bassが需要家へのレターで、これを取り上げ、日本国債は暴落するので売りだとしている。

大人用紙おむつが乳幼児用を上回るということは
、介護を必要とする高齢者数が新生児数を上回るということで、日本の社会保障のコストは今後どんどん増えていき、歳入不足のなかで国債を増やしてきた報いを受けることになるとする。

別のヘッジファンドマネジャーは、衆院選が変化のきっかけになると見ている。

安倍晋三が首相になるのは確実だが、彼は物価上昇率2%を目指して日銀に無制限の金融緩和を求めている。
そうなれば、国債利回りは2%に上がり、国債の大幅値下がりで空売り業者は莫大な利益を得るとしている。

Kyle Bassも同じことを述べている。
「2011年度の日本の税収はざっと41兆円。これに対して国債の利払いが11兆円 。日本国債の金利が今の水準より1%上がるだけで、その利払いは20兆円以上で、税収の半分を金利に取られてしまうことを意味する。日本の財政が持続できなくなり、実質的に破綻することもあり得る。」

* この問題については、日銀白川総裁の講演「物価安定のもとでの持続的成長に向けて」が分かり易い。

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人民網は、日本と中国を比較して、以下の通り結論付けている。

20数年間に渡る低成長と高齢化により、日本が高度成長期に蓄えた優勢がほぼ消耗し尽くされており、米国式の「財政の崖」が間近に迫っている。

中国は安価な人件費による優勢が失われているが、これは実際には低所得層の所得増、中国の内需成長を促すことになる。内需主導型の経済成長方式は、産業構造のアップグレードを促し「中等収入の罠」を乗り越えるだろう。その際に、中国に対して空売りを仕掛ける身の程知らずはいなくなるに違いない。

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紙おむつなど衛生用品を扱うメーカーでつくる日本衛生材料工業連合会は、大人用紙おむつが数年後に乳幼児用を上回るとの予測を明らかにした。

少子高齢化により、2011年の生産数量は大人用が288千トンとなり、296千トンの乳幼児用に肉薄した。
乳幼児用が停滞しているのに対し、大人用は安定的に伸長。今後も高齢化が進むことから、日衛連では2015年までに大人用は生産数量で現在比15%増となるとみる。

政策研究大学大学院の松谷明彦・名誉教授によると、日本の今後の少子高齢化と人口減少の割合は他の諸国よりもはるかに大きい。

これは過去の2つの政策(当時は止むを得なかった)による人口構造の歪みによるもので、対策はない。

第一は戦前(1920~40年前半)の「産めよ増やせよ」政策で、出生数が急増している。
この年代は現在70歳~90歳で、今後人口急減の原因となる。

第二は1948年の優生保護法である。
1947~49年に復員や外地からの引き揚げ等で第一次ベビーブームが起こった。
食料不足のなか、餓死を避けるため優生保護法がつくられた。
産児制限により、年間270万人の出生数が160万人にまで減少した。

この結果、次の世代、その次の世代の出生数が激減することとなった。


        http://www.mhlw.go.jp/english/database/db-hw/dl/81-1a2en.pdf
    * 特殊出生率は一人の女性が一生に産む子供の平均数
 

松谷名誉教授は、現行の年金制度などは継続不可能で、少子高齢化・人口減を前提にした別の社会保障政策を検討すべきだとする。

例えば、100年債を出して、国有地に100年住宅を建設、住宅コストを大幅に下げるなど。


2012/12/18   BHP Billiton、PetroChinaに豪州LNG事業権益を売却

BHP Billitonは12月12日、PetroChinaに豪州のBrowse LNG事業の権益を売却する契約を締結したと発表した。
同社の保有する権益(East Browse JVの8.33%、West Browse JVの20%)全てを16.3億米ドルで売却する。

なお、Browse LNG事業の他の参加者はPetroChinaに対抗して買収する権利を有しており、一定期間内に買収を提案することが出来る。

BHP Billiton は非戦略的資産を売却するものとしている。

中国の国有エネルギー各社は将来のエネルギー供給源確保のため、海外の石油およびガス資産を積極的に取得している。

2005 CNOOC 米 Unocal 〔米議会の反発で断念〕 (185億ドル)
CNOOC カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69% 1.5億加ドル
Sinopec Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% を
Synenco Energy から買収
2009年に50%にアップ
 
2008 CNOOC ノルウェー海底石油開発 Awilco Offshore  約25億ドル
2009 Sinopec スイス Addax Petroleum 約75.6億米ドル
PetroChina カナダのAthabasca Oil Sandsの事業に参加 19億加ドル
2010 CNPC Australia Arrow Energy Ltd.
(Shell との50/50JV=CS CSG (Australia) Pty Ltd.)
35億豪ドル
Sinopec Repsol Brazilに40%出資 71億ドル
Sinopec カナダのオイルサンド事業会社 Syncrude Canadaの9.03% 46.5億米ドル
CNOOC テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加   Niobrara shaleを追加  
2011 Sinopec ポルトガルのGalp Energiaのブラジル子会社の30% 約52億ドル
PetroChina カナダの天然ガス権益取得 →交渉中止  
CNOOC カナダのオイルサンド企業OPTI Canadaを買収 21億米ドル
2012 PetroChina カナダのオイルサンド権益を100%にアップ  
Sinopec 米のシェールガスの権益取得 22億ドル
PetroChina カナダと米国での非在来型ガス開発での提携強化   
CNOOC Nexen Inc.
 カナダ産業相は12月7日、買収認可を発表した。
151億ドル
Sinopec Talisman UKの49% 15億ドル
Sinopec Repsolからエクアドルの石油権益の一部 明らかにせず

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Browse LNG事業は豪西オーストラリア州沖合のBrowseコンデンセート田で生産する天然ガス・コンデンセートをKimberley地区に輸送し、精製・液化・出荷を行う大規模な開発計画で、Woodsideの子会社がオペレーターを務めている。
LNGの生産は年間1,200万トンの予定。

三井物産と三菱商事は2012年4月、両社が折半出資する豪Japan Australia LNG (MIMI) Pty Ltdを通じて、Woodsideの子会社Woodside Browse と権益売買契約を締結した。
Woodside Browseの持つ権益46%のうち、14.7%を20億ドルで買収する。

2012/5/8  三井物産と三菱商事、豪ブラウズLNGプロジェクトに参画

本事業は当初、Woodside、Chevron、Shell、BHP Billiton、BPの5社の事業であった。

2012年4月、Woodsideが一部を三井物産・三菱商事に20億ドルで売却した。

Chevronは2012年8月、同社の持分全てを、Shellの持つ豪州北西部のWheatstoneのClio-Acmeガス田の1
/3の権益と交換した。Shellはこのほかに現金450百万ドルを支払う。
.
ChevronはClio-Acmeガス田の権益を100%保有することとなり、
同社主導のWheatstone計画の開発を促進する。

今回、BHP Billitonが全ての権益をPetroChinaに売却する。

Browse LNG事業の現在の権益関係は以下の通り。

  East JV West JV 合計持分
Woodside 34% 17% 31.3%
三井物産・三菱商事 16% 8% 14.7%
Chevron  (16.67%) (20%) (17.2%)
Shell 25% 35% 26.6%
BHP Billiton  (8.33%) (20%) (10.2%)
PetroChina 8.33% 20% 10.2%
BP 16.67% 20% 17.2%
合計 100% 100% 100%

2012/12/19 EUとシンガポール、FTA締結で合意 

EUとシンガポールは12月16日、自由貿易協定 (FTA) 締結で合意したと発表した。
EUにとってはアジアでは2011年7月発効の韓国に次ぐ2番目のFTAとなる。

EUはシンガポールからの全ての輸入品を5年間でゼロにする。協定発効時に関税品目の80%の品目の関税を撤廃する。
シンガポール通産省(Ministry of Trade and Industry) は、特にシンガポールのエレクトロニクス、医薬、化学品、加工食品の輸出業者は関税撤廃で恩恵を受けるとしている。

シンガポールはEUからの輸入品全てについて直ちに関税撤廃する。
EU当局者によると、FTA締結によって、シンガポールがEUの基準を受け入れることから、自動車の重複検査など非関税障壁が取り除かれることになる。

これに加え、シンガポールの銀行・金融サービスセクターや政府調達市場が一段と開放される。

EUにとってシンガポールは世界で13番目の貿易相手で、ASEAN各国では最大の取引相手で、2009年から2011年で財とサービスの取引は40%増加している。 (EUの貿易黒字の大部分は自動車輸出)

EU加盟各国は2009年12月に、欧州委員会にASEANの個別国とFTA締結に向けた交渉を開始する許可を与えた。

それまでは、FTA交渉を地域ベースで進める方針をとっていたが、十分な進展が見られなかったことから、個々の加盟国と個別に交渉を開始する方針に切り替え た。

第一歩として2010年3月に最も重要な貿易パートナーであるシンガポールとの交渉を開始した。

シンガポールのほかに、現在、マレーシアとベトナムと交渉を行っている。
EUは現在も、EU-ASEAN FTA (region-to-region agreement) を長期目標としている。

ーーー

シンガポールはこれまでに18のFTAを締結している。

1993/1  ASEAN
2001/1  New Zealand
2002/11  Japan
2003/1  (EFTA) Swiss、Liechtenstein、Norway、Iceland
2003/7  Australia
2004/1  USA
2005/7  China 〔ASEANとして〕 (サービスは2007/7)
2005/8  Jordan
2005/8  India
2008/3  S. Korea
2006/5  (TPSEP) Brunei、Chile、New Zealand
2006/7  Panama
2007/6  Korea〔ASEANとして〕(財のみ)
2009/1  China
2009/1  Japan〔ASEANとして〕
2009/8  Peru
2010/1  India〔ASEANとして〕
2010/1  Australia-New Zealand 〔ASEANとして〕

TPSEP(環太平洋戦略的経済連携協定)はSingaporeとNew Zealandの自由貿易協定にチリとブルネイを加えたもので、一定期間に例外品目なしで関税100%自由化を目指すなど、「質の高いFTA」と言われる。
その後、TPP (Trans Pacific Partnership)と改称され、現在拡大交渉が行われている。


2012/12/20  EU、単一特許制度を導入へ 

EUの欧州議会は12月11日、単一特許制度を承認した。特許取得の費用軽減や手続き簡略化が狙い。

30年以上にわたる議論の末の合意で、2014年に導入するが、 イタリアとスペインは参加を見合わせ、両国を除く25カ国での発足となる。

発明者は欧州特許庁(European Patent Organisation)に申請し、認められると参加25か国で有効となる。
英語、ドイツ語、フランス語のいずれかで申請する。多国語の申請の場合、3か国語のいずれかの翻訳を付ける。

イタリアとスペインは、両国語が採用されなかったことに抗議し、参加を見合わせた。施行までに参加する可能性はある。

単一特許制度は2014年1月1日に発効する。

統一特許裁判所は妥協の産物として、本部をパリに、支所をロンドンとミュンヘンに置くこととなった。

EUの責任者は、「イノベーションのためのR&Dと投資を促進し、EUの成長を高める助けとなる」、「知的財産は国境で止まってはいけない。この決定はEU経済、とりわけEUの中小企業にとってgood news である」としている。
中国人から、「中国は単一特許なしには単一市場にはならなかっただろう」と言われたと付言している。

現在、EUでは、国別特許と欧州特許庁で取得する各国共通の欧州特許がある。

但し、欧州特許は 欧州特許庁で審査して特許査定が出れば、各国言語に翻訳して各国で手続きする必要があり、欧州全域で権利化するには欧州特許庁の費用とは別に多額の費用がかかっていた。
また、成立した特許権の効力は各国の国内法令で定めるため、国によって異なり、また、成立した特許権の有効性については各国毎に争われる。(このため欧州特許庁が付与する特許は、「国内特許の束」と言われる。)

新しい単一特許制度では、欧州特許を25カ国で登録する手続きを一本化するほか、特許専門の裁判所を設け、EU各国の訴訟を集約する。

EUでは、典型的な例で、これまでの費用 36,000ユーロ(46,800ドル)が4,725ユーロ(6,140ドル)になるとし、米国と日本との競争力が高まるとしている。(AP通信によると、米国は2,300ドル、中国は800ドル)

 

単一特許制度についてのQ&A
   http://www.europarl.europa.eu/news/en/pressroom/content/20121205BKG57397/html/The-new-EU-unitary-patent-QA


2012/12/21    三井物産、カナダの再生可能エネルギー(風力・太陽光)発電事業に出資

三井物産は12月17日、フランスの電気・ガス事業者のGDF SUEZの子会社GDF Suez Canadaがカナダで開発・運営する再生可能エネルギー発電事業に出資参画することで合意したと発表した。

三井物産は投資子会社MIT Renewables Inc.を設立、本事業の30%持分を取得した。

GDF SUEZはカナダのインフラファンドのFiera Axium Infrastructure が代表するコンソーシアムにも持分30%を売却しており、今後、GDF SUEZ、三井物産、Fiera Axiumの3社共同で運営する。

GDF Suez Canada

  40%

三井物産   30%
Fiera Axium  30%

GDF SUEZ では持分60%の売却額を20億カナダドル超としている。

本事業は、カナダにて風力発電と太陽光発電を行うIPP(独立系発電)事業で、各州の州営の電力会社との長期売電契約に基づき電力を販売する 。
現在開発・建設中のものを加えると、発電容量は730MWになる。

本事業の事業規模は20億カナダドル超となる。

資産名 所在州   運転
開始
発電
容量
持分 備考
Norway プリンス エドワード島 風力 2007 9MW 100% 商業運転中


 合計363MW
SOP オンタリオ州 2008 40MW 100%
West Cape プリンス エドワード島 2009 99MW 100%
Caribou ニューブランズウィック州 2009 99MW 100%
Harrow オンタリオ州 2010 40MW 100%
PAR オンタリオ州 2011 49MW 100%
Plateau オンタリオ州 2012 27MW 100%
ELSC オンタリオ州 2013(予) 99MW 100% 建設中
Erieau (#)  オンタリオ州 2013(予) 99MW 100%
Cape Scott(#) ブリティッシュコロンビア州 2013(予) 99MW 100%
Cape Scott拡張(#) ブリティッシュコロンビア州 2014(予) 50MW 100% 開発中
Brockville(#) ブリティッシュコロンビア州 太陽光 2013(予) 10MW 60%
(*)
建設中
Beckwith(#) ブリティッシュコロンビア州 2014(予) 10MW 2013年2Q建設開始
合計 730MW    

* 太陽光発電の2計画は、商業運転開始時に少数株主保有持分(40%)を買取予定

# 国際協力銀行及び市中銀行3行とプロジェクトファイナンスに係る融資契約を締結
   GDF SUEZ 発表ではこれら各行にManufacturers Life Insurance を加え、合計 11億カナダドルのproject financeとしている。

三井物産の保有する発電容量は開発・建設中案件を含め 5,764MWとな る。
このうち再生可能エネルギーによる発電事業は 384MWで、全体の約7%を占める。

ーーー

GDF SUEZはフランスに基盤を置く電気事業者・ガス事業者で、電力・ガスの供給で世界2位の売上高を誇る。

2008年7月にフランスガス公社Gaz de France(GDF)と水道・電力・ガス事業SUEZ S.A.が合併して設立された。
SUEZの水道事業は分離され SUEZ ENVIRONNEMENTとなった。(GDF SUEZは約35%保有)

同社は北米(米国、カナダ、メキシコ)ではGDF SUEZ Energy North America を設立、発電、コジェネ、天然ガスとLNGの流通・販売、エネルギー小売り等の事業を行っている。

能力は発電 13,000MW以上、蒸気 毎時600万ポンド、冷水 毎時38千トン。
このうち、再生可能エネルギー(風力、バイオマス、水力等)は668MW。


GDF Suez Canadaは
GDF SUEZ Energy North Americaの子会社。


2012/12/22 豪州イクシスLNGプロジェクトのファイナンス契約締結 

豪州Ichthys (イクシス)LNGプロジェクトのオペレーターの国際石油開発帝石(INPEX)は12月18日、国内外の輸出信用機関8行および市中銀行24行 (邦銀は7行)等との間で、総額200億米ドルを限度とするプロジェクト・ファイナンスに係る融資関連契約に調印した。
国際金融市場において過去に組成されたプロジェクト・ファイナンスの中でも最大規模となる。

本プロジェクトの総投資額は340億米ドル。
国際石開帝石では、これでほぼ資金調達のメドはたったとしている。

Ichthys LNGプロジェクトは、日本企業がオペレーターとして主導する初の大型LNGプロジェクト。
産出される天然ガスを、Darwinに建設する陸上プラントで液化し、年間840万トンのLNGと年間約160万トンのLPGとして生産・出荷する。
また、洋上貯油・出荷施設(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading)等から日量約10万バレル(ピーク時)のコンデンセートを生産・出荷する。

LNGについては既に2017年から15年間の長期LNG売買契約を締結しており、7割相当が日本に仕向けられる。

付記

2017年2月17日、建設が完了、命名式が行われた。
沖合生産・処理施設(CPF:Central Processing Facility)が Ichthys Explorer、沖合生産・貯油出荷施設(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading)がIchthys Venturer と命名された。

権益比率は以下の通り。
各社は開発鉱区および探鉱鉱区の権益ならびに下流事業会社イクシスLNG社(液化・販売等を行う事業会社)の株式を取得する。

INPEX 66.070 %
Total 30.000  
東京ガス 1.575  
大阪ガス 1.200  
東邦ガス 0.420  
中部電力 0.735  

詳細は 2012/1/16 国際石油開発帝石、豪州イクシスLNGプロジェクト 最終投資決定

プロジェクト・ファイナンスはレンダーおよびプロジェクト参加会社からの融資により構成される。

プロジェクト・ファイナンスはプロジェクトの将来キャッシュフローを返済原資とする資金調達手段の一つで、今回の場合、借入契約上の借入人は下流事業会社であるイクシスLNG社となる。

プロジェクト・ファイナンスの内訳:

輸出信用機関 直接融資  国際協力銀行(JBIC)
韓国輸出入銀行、豪州輸出金融保険公団(EFIC))
50億米ドル
8億米ドル
国内外の市中銀行   輸出信用機関 保証・保険付融資
輸出信用機関 保証・保険無し融資
54億米ドル
48億米ドル
レンダーによる融資合計 160億米ドル
プロジェクト参加会社による融資 40億米ドル
プロジェクト・ファイナンス合計 200億米ドル

日本の市中銀行では、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、新生銀行の7行から融資を受ける。

市中銀行の54億米ドル分の融資については、日本貿易保険(27.5億米ドル)、韓国輸出入銀行、韓国貿易保険公社、蘭Atradius、独Euler Hermes、仏Coface貿易保険会社による保険・保証が付保されている。

ロジェクト参加会社は権益比率に応じてプロジェクトの完工までの債務保証をレンダーに差し入れる。
このうち、INPEX保証負担の一部として、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が20億米ドルを上限に連帯保証する。


2012/12/23   中国の「今年の漢字」と「流行語」

中国の雑誌「新周刊」が「今年の漢字」と「2012流行語10選」を発表した。

今年の漢字には「微」が選ばれた。

日本の「今年の漢字」は金環日触や金メダルの「金」
シンガポール
華字紙・聯合早報は、政府高官、ビジネス関係者、教育関係者などに相次いで性的なスキャンダルが発覚したということで、色情を表す「色」

「微」を選んだ理由は以下の通り。
 ・中国版ツイッター「博」(ミニブログ)のユーザー数が3億6千万人となり、世論を形成
 ・インスタントメッセージQQのスマートフォン用アプリ「信」のユーザーが2億人超え
 ・ミニブログ「公益」で義捐金送付
 ・北京の豪雨被害の際のボランティアの「言」(簡単な言葉)
  
我们不要钱,我们是来救人的お金は要らない。助けに来た
 ・
背が低く容姿も劣り、しかも収入の低い負け組男性力薄」のことを表す言葉「吊絲」が流行

2012流行語10選」は以下の通り。

1. 「莫言」 ノーベル文学賞獲得
2. 「十八大」 中国共産党第18回全国代表大会
3 「釣魚島」 尖閣諸島問題
4 你幸福吗 「幸せですか?」中国国営中央テレビが実施した街頭インタビューで話題に
5 「香港」 Made in Hong Kong :中国本土の妊婦による永住権狙いの「越境出産
6 「北京暴雨」 7月の豪雨
7 「舌尖上的中国」 舌で味わう中国)食をテーマとしたドキュメンタリー番組
8 「中国好声音」 人気オーディション番組:世界15か国以上で広がる「The Voice」の中国版
 
4人の音楽人が各々で挑戦者を“弟子”にとり、4組に分かれて歌唱バトル
9. 「2012」 マヤの人類滅亡説(2012/12/23)
10 江南style」 韓国の歌手PSYの6番目アルバム『6甲』のタイトル曲
PSYは中国のミニブログ大手「新浪微博」の「今年最も話題になった有名人」で1位に選ばれた。

 


2012/12/24 BP、南シナ海の天然ガス権益を売却 

BPは12月19日、海南島沖の崖城(Yacheng) ガス田の34.3%の権益をKuwait Foreign Petroleum Exploration Company に308百万ドルで売却することで合意したと発表した。

これで2010年以降の資産売却は378億ドルとなる。(過去の資産売却


中国は1980年代に初めて石油・ガス田を外資に開放したが、後にBPに統合されたARCOが1982年に南シナ海の鉱区を取得、1983年にYachengガス田を発見した。1996年に生産を開始している。

中国の最大級の海底ガス田(深さ90m)で、世界第二の長さの780kmの海底パイプラインで香港の青山發電廠(Castle Peak Company)に、また60kmの海底パイプラインで海南島のFuel & Chemical Corporation (CNOOC子会社)に天然ガスを供給している。

現在の権益は、 BP 34.3%、CNOOC 51%、Kuwait Foreign Petroleum Exploration 14.7%で、売却により、CNOOC 51%、Kuwait Foreign Petroleum Exploration 49%となる。

なお、操業は2004年1月にBPからCNOOCに移管された。

ーーー

BPは南シナ海の2つの鉱区で現在探査を行っている。

1) 42/05鉱区(油田)

2005年と2006年に, CNOOCはDevonとの間で、42/05、64/18、53/30の3鉱区について生産物分与契約を結んだ。
Devonは3鉱区の権利100%を取得した。
CNOOCは生産開始時に51%参加するオプションを有する。

Devonは又、15/34鉱区(Panyu Project) の24.5%の権益を持つ。
同社が1998年に発見した。

その後、Devon は2010年9月にこの3鉱区について、Chevron、BPと契約を締結し、CNOOCがこれを承認した。 

探査段階において
42/05鉱区では、Chevronに59.18%、BPに40.82%を売却、
64/18、53/30の2鉱区では、Chevronに100%を売却、
Chevronは3鉱区でオペレーターとなる。

なお、CNOOCは生産開始時点で最大51%の参加を行う権利を有する。

2) 43/11鉱区(天然ガス)

BPは2012年2月、商務部から、CNOOCとAnadarko Petroleumとともに43/11鉱区で天然ガスの探査を行うことの承認を得た。



探査段階では、BPは40.82%、Anadarkoは50%、CNOOCは9.18%の権益を持つ。
生産開始後は、CNOOCが55.5%となり、BPは20%、Anadarkoは24.5%となる。


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