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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2012/8/1 王子製紙の排水に抗議、中国江蘇省でデモ 

江蘇省南通市にある王子製紙の工場から出る排水が、環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、7月28日、住民1万人以上が抗議デモを始めた。

問題の工場は江蘇王子製紙(王子製紙 90%、南通市経済技術開発区総公司 10%)の南通工場で、南通市の経済技術開発区にある。

抗議しているのは、黄海沿いの同市啓東の住民。

南通市政府が
経済技術開発区に王子製紙などを誘致する際、廃水を南通市が建設する約100kmのパイプラインで黄海に排出すると約束していた。完成後、王子製紙 の工場から1日15万トンが排水される予定だった。

これに対し、住民の間でインターネットを通じ、廃水には発がん性物質が含まれ、豊富な漁場となっている海が汚染されて健康被害が出るなどとうわさが広がった。

啓東呂四漁港は全国6大中心漁港の一つで、全国四大漁場の一つに数えられる好漁場といわれ、漁民14万人と関連部門の4.6万人が海で生計を立てている。
全国的にも重要な上海蟹の養殖基地であり、著名な天然ハマグリ養殖基地でもある。
 

住民の一人は、「ここの発がん率は中国で一番高い。沖で取れた魚も売れなくなった。これ以上の汚染はごめんだ」と話している。

啓東の地元政府庁舎前の道路を埋めるほど人が集まった。一部は暴徒化し、車を破壊したり、警官隊を突破して地元政府庁舎内に侵入 し公文書を窓からまき散らしたりした。

「パイプラインの建設計画を永遠に取り消す」――。南通市政府が公告の内容をスピーカーから流した。

パイプラインの正確な位置は不明(毎日新聞の地図を参考にした)

王子製紙は7月30日、以下の発表を行った。

・排海パイプに対する抗議デモについて憂慮している。
・南通市政府より啓東市を経由する排海パイプの現計画を全面的に中止するとの情報を得ている。
 当社プロジェクトへの影響については現在調査中。

排水中に発がん物質が含まれているなどの一部報道があるが、まったくの事実無根。
 中国の国家基準を下回るまで十分に浄化処理を施し、責任を持って水質管理をする所存。

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王子製紙は2003年6月、単独出資で南通市に年産120万トンの上質紙、塗工紙を建設すると発表した。

しかし、その後の中国の投資ガイドラインの変更で合弁方式を義務付けられ、合弁相手との交渉に手間取り、2007年10月にようやく合弁会社の設立認可を取得した。

2007/10/31 王子製紙の中国工場、発表から年半でようやく着工

2010年末に高級紙生産設備第1期40万トンが生産を開始 、2013年稼働を目指し、原料のクラフトパルプ自製設備を建設中。
高級紙の第2期は2015年の稼働を計画している。
最終的には年産120万トンの生産規模を目指すとしている。

パイプラインは2010年末の高級紙生産開始前に完成する予定であったが、遅れたため、現在は廃水を浄化処理した上で長江に放流している 。

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同社の廃水処理計画が報道や発表からは明確でない。

王子製紙は今回、「中国の国家基準を下回るまで十分に浄化処理を施し、責任を持って水質管理をする所存」としている。

工場側で浄化処理するのだろうか。市側が啓東で廃水を浄化処理をする計画だったのだろうか。
啓東での廃水浄化処理の話は聞こえてこない。

きちんとした浄化処理設備があるなら、それを公開して説明すれば、反対は収まるのではないだろうか。

ロイター報道では、 デモに参加した市民はこう述べている。

「政府は廃水が海を汚染することはないとしているが、それが本当なら、なぜ海ではなく、長江に流さないのか。
 それは長江に流せば上海の住民に影響を与え、上海市民が反対するからだ」

対応を誤ると、今後、長江への排出も問題になる恐れもある。

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中国では環境意識の急速な高まりを受け、工場建設などがデモで中止に追い込まれる例が相次いでおり外国企業による投資にも影響が出る可能性がある。

四川省什邡市で7月2日、化学工場建設に反対する住民2万人による抗議デモが発生した。警官隊が催涙弾を放ち、一部の住民が負傷した。

亜鉛精錬大手の四川宏達グループが6月29日、金属モリブデンなどの精錬工場の建設を始めたのが発端。7月1日の夜、建設に反対する住民約1万人が抗議デモを起こし、翌日には2万人に膨れ上がった。

工場が完成すれば、年間 モリブデン4万トン、銅40万トン、硫酸180万トンを精錬する見通しだった。

モリブデンや銅などの精錬は汚染リスクが高く、住民らは「死神が近づいている」と不安を募らせた。

当局が工場建設の中止を発表したため、騒ぎは沈静化した。

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2011年8月には大連市で化学工場の移転を求める大規模デモが起き、地元当局が即日、工場移転を約束した。

2011/8/15 中国・大連で化学工場の撤去求め デモ

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雲南省曲靖市陸良県では化学会社 陸良化工実業公司が2011年4月から6月までの間、重金属であるクロムを含む汚泥を曲靖市内3カ所で、計5000トンを不法投棄したことが明らかになった。

雲南省曲靖市の不法投棄事件を受け、中国の環境保護部は9月1日、曲靖市がクロムのスラグを処分し、汚染された土壌を浄化するまで、曲靖市の全ての新産業計画の審査を中止すると発表した。

2011/9/7    中国政府、環境汚染対策を本格化 


2012/8/2    大日本住友製薬と日東電工、世界初の統合失調症治療用テープ製剤を共同開発

大日本住友製薬と日東電工は7月27日、経皮吸収による統合失調症治療剤として、非定型抗精神病薬「ロナセン®」のテープ製剤の第Ⅱ相試験に着手したと発表した。

大日本住友製薬は2008 年4 月より統合失調症治療ロナセンの経口剤を国内で販売している。
日東電工は経皮吸収型テープ製剤設計の技術を確立しており、両社の医薬品と製剤技術を融合させ、統合失調症治療用の経皮吸収型テープ製剤の共同開発を2010 年より行ってきた。

健康成人を対象に実施した第Ⅰ相試験で良好な経皮吸収性を確認できたので、最適な貼付条件を検討するため患者を対象にした第相試験を開始した。

世界初の統合失調症治療用テープ製剤の実用化に向け取り組む。

テープ製剤化の狙いは以下の通り。
・投薬期間中安定した血中濃度を維持することができる。また食事の影響を受けにくい。
・経口投与が困難もしくは経口投与を希望しない患者に新たな治療の選択肢を提供。
・投薬状況を視覚的に確認できる。

統合失調症は精神疾患の一つで、国内では約80 万人が罹患しているといわれている。
幻覚・妄想などの陽性症状、情動の平板化/思考の貧困/意欲の低下などの陰性症状、および注意力低下/情報処理能力障害などの認知機能障害等、様々な精神症状が現れることが知られている。

ロナセンは、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想など)、陰性症状(情動の平板化、意欲低下など)に対する改善効果を示すことが臨床試験にて示されており、副作用も少ないという。

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日東電工では1970年代後半から、世界に先駆けて経皮吸収型テープ製剤の開発に取り組んだ結果、コントロールドリリースに最適な粘着剤合成をはじめ、安全性・安定性にすぐれた製剤設計の技術を確立した。

経皮吸収型テープ製剤は、貼って治す薬物投与方法として内服薬、注射剤などにない数々の利便性を備えている。

・内服薬のように消化管や肝臓などに負担をかけない。
・注射剤のように針の侵入に伴う痛みがない。
・薬物の投与量をコントロールして一時的な過度の薬物吸収による副作用を軽減できる。
・効果の持続性にすぐれ、投与(貼付)が目で確認できる。

経皮吸収型テープ製剤技術開発のポイントは以下の通り。

日東電工では下記を開発している。

 虚血性心疾患治療用テープ製剤“貼る心臓薬”

狭心症など虚血性心疾患治療に用いる、硝酸イソソルビドを粘着剤中に含む経皮吸収型医薬品
胸部、上腹部などに貼ることで、安定した心臓機能の改善がもたらされる。

 喘息治療用テープ製剤 

気管支喘息など喘息治療に用いるツロブテロールを粘着剤中に含む世界で初めての経皮吸収型・気管支拡張剤
呼吸機能は1日のうち深夜から早朝にかけて低下するが、「必要な時に必要な量を送達する」時間薬物治療の考えに基づく製剤。

 局所麻酔用テープ製剤“貼る麻酔薬”

皮膚を麻酔するテープ製剤

 


2012/8/2  公取委、ビール卸に警告 

公取委は8月1日、酒類卸売の三菱食品、伊藤忠食品、日本酒類販売の3社に警告した。

本件の問題点は既報 
  
2012/7/28   イオン、ビール価格問題で公取委要請を拒否 

合わせてビール類製造業者等及び特定の酒類小売業者(イオン)に対し、「不当廉売となる行為が行われることのないよう、酒類卸売業者から取引条件の変更について申入れがあった場合には、十分な協議を行うことを要請した」。

卸売業者3社は、それぞれ、イオンに対し、ビール類のうち一部の商品をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することにより、当該酒類小売業者が運営する各店舗の周辺地域に所在する他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせている疑いがあるというもの。

ビール類の販売に関するリベートを見直した結果、酒類小売業者向けリベートを削減したこと及び酒類卸売業者が削減されたリベートの相当額を特定の酒類小売業者への納入価格に反映することができていなかったことが、その原因の一つとなっていたものと認めている。

イオンによると(下記)、公取委はイオンの販売で、同社店舗周辺の他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのある事実は認められなかったことを確認しているという。

リベート廃止については国税庁指導となっているが、公取委も「裁量的なリベートの適正化に向けての働きかけをしてきたことは事実であります。」 (2004/12/15 事務総長定例会見)

イオンは7月23日に「見解」を発表し、以下の通り述べている。
 ・原価を下回る価格での納入を要請した事実はない。
 ・公取委から、独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いで調査を受けたが、その事実は認められなかった。
 ・公取委から事実上の値上げ要請があっても、取引条件を変更し、仕入れ価格の値上げに応じる意向はない。

同社は今回、以下の通り発表した。

1.   公取委の調査において、当社店舗周辺の他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのある事実は認められなかったことを公取委に確認した。
2.   イオンの「優越的地位の濫用」については、以下理由で違反行為がなかったことを公取委が判断した。
  従来から、値上げ要望の理由と要望内容の根拠が明確に示されれば、真摯に値上げ交渉に対応するという方針。
  卸売業者に支払われていたリベートの詳細が明らかにされず、
卸売業者の販売価格が供給に要する費用を著しく下回っているものかどうか判断できなかった。
  販売価格の引上げ要求において、ビール類製造業者及び卸売業者は、リベート削減の理由等を十分に説明しなかった
  卸売業者との協議を重ね、物流コストの削減や他の商品の取引を拡大などを行い、一方的に不利益な条件を押し付けたとはいえない。
3.   公取委からの要請の有無に関わらず、今後も、これまで通り卸売業者と協議を続ける。

前回の見解と合わせると、協議は続けるが、理由と根拠の明らかでない値上げには応じないということ。

逆に、公取委の調査で、資料作成や事情聴取に多大な時間及び労力を費やしたこと、事情聴取で1日8~9時間に及ぶ事情聴取があり、社会通念上合理的な程度を超えるとし、公取委に厳重な抗議をしたことを明らかにしている。

公取委警告を受け、三菱食品は「法令順守を徹底し、再発防止に努める」とし、伊藤忠食品は「警告を受けた事について真摯に受け止め、より一層の適正取引を推進し、コンプライアンスの遵守に努めてまいります」と発表した。

自主的な値下げでなく、やむを得ないものであり、(イオンによると)周辺の他の酒類小売業者の事業活動を困難にさせるおそれのある事実は認められなかったのに、どうして反論しなかったのだろうか?

イオンが値上げを呑まない以上、「再発防止」にはビールメーカーに値下げを要請するしかない。

ビール各社はなにも発表していない。

リベート廃止に当たり、「当然これまでのリベート分を考慮しながら、交渉がなされ」なかったのが原因であり、「不当廉売となる行為が行われることのないよう、酒類卸売業者から取引条件の変更について申入れがあった場合には、十分な協議を行うこと」という公取委の要請にどう応えるのだろうか?


2012/8/3 福島県の病院がホウ素中性子捕捉療法装置を導入 

福島県内で総合南東北病院などを運営する脳神経疾患研究所は本年6月、再発・進行がんを治療できる「ホウ素中性子捕捉療法」(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)装置を、国内の病院で初めて導入することを決定した。

郡山市の南東北がん陽子線治療センター西側に建設する。

本事業は、東日本大震災からの福島県の復興と医療機器産業の振興に寄与するものとして福島県に採択され、事業費総額約68億円のうち、県から4年間で約43億円の財政支援を受ける。

BNCTはエネルギーの低い中性子とがん細胞・組織に集積するホウ素化合物の反応を利用して、がん細胞をピンポイントで破壊する最先端の放射線がん治療法で、正常な細胞への影響を極力抑えつつ、外科手術や既存のX線治療では難しい再発がんや進行がんにも有効とされている。

2014年度後半から頭頸部がんを対象に臨床試験を開始、2018年度には厚生労働省の認定する先進医療として治療の開始を目指す。
計画が実現すると、病院で
BNCT治療を行うのは世界で初めてとなる。

中性子発生装置としては、京都大学と住友重機械工業が共同開発し、間もなく京都大で臨床試験を開始する段階にある「サイクロトロン」を導入する。

付記

ステラケミファは9月6日、同社が他社に先駆け量産技術開発に成功したBNCT用ホウ素薬剤と、住友重機械・京大原子炉実験所と共同で技術開発を進めてきたBNCT用加速器を使い、世界初となるホウ素中性子捕捉療法による臨床第1 相試験を開始すると発表した。

再発悪性神経膠腫患者を対象とした試験で、加速器BNCTの安全性および忍容性を検討することを目的とする。

別途、筑波大などの「いばらき中性子医学研究センター」は産学官共同でホウ素中性子捕捉療法の実証的研究をすすめている。

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ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は中性子が1932年にChadwickによって発見された4年後の1936年に、Locherによりその原理が提唱された。

概要は以下の通り。

ホウ素化合物のホウ素化フェニルアラニンをあらかじめ体に点滴する。
ホウ素の中には放射性を持たない同位体が含まれるが、そのうち、ホウ素10Bが重要。

ホウ素化フェニルアラニンは、がん細胞に非常に高い割合で集積する。
(がん細胞は増殖力が強いため、正常細胞よりもホウ素化合物を多く取り込む。)

ホウ素化合物集積の様子は陽電子断層撮影(PET)検査で定量的に確認できる。

がん細胞にホウ素が集まったときに熱中性子線を照射すると、この同位体が中性子を捕らえて核分裂を起こし、アルファ線(ヘリウム原子)リチウム線という粒子線を発生する。

アルファ線と7Li粒子が腫瘍細胞を殺す。

アルファ線も7Li粒子もおよそ10ミクロンしか飛ばないため、近くの正常細胞を傷つけない。

対象は、悪性脳腫瘍、悪性黒色腫、頭頚部腫瘍、肝臓がんなど。


2012/8/4  産業革新機構がクレハのリチウムイオン電池原料子会社に100億円の出資

産業革新機構は7月31日、クレハの子会社でリチウムイオン二次電池(LiB)用の材料を扱うクレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)に総額100 億円を上限とする投資を行うことを決定したと発表した。

これに合わせ、クレハ、伊藤忠、クラレも合計100 億円を投資する。

付記 議決権比率は下記の通りとなった。
    クレハ 50.1%、伊藤忠 20%、クラレ 20%、産業革新機構 9.9%

付記 4社は2015年12月2日、合弁解消、解散で合意した。

車載用LiB市場の本格化が遅れている中、LiB用ハードカーボン負極材需要の伸び悩みが理由。

植物由来原料のLiB用ハードカーボン負極材「バイオカーボトロン」の事業はクラレが推進し、LiB用ハードカーボン負極材「カーボトロンP」とLiB用バインダーの製造・販売はクレハが行う。

KBMJは、既に世界No.1 シェアを有するLiB 用のバインダーの販売に加え、クレハ/クラレと共に植物由来原料を有効活用したハードカーボンを開発し、車載用に適した性能と価格競争力を有するLiB 用ハードカーボン負極材の事業化を加速させる。

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クレハと伊藤忠は2011年4月、クレハの開発したリチウムイオン二次電池(LiB)用のハードカーボン負極材「カーボトロン(R)」の製造・販売 とLiB用バインダーの販売を行うことを目的に、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)を設立し、2011101日 に営業開始した。

資本金 40百万円 で 、クレハ70/伊藤忠商事30% となっている。なお、伊藤忠の本分野での取り組みは後記の通り。

対象の製品は下記の通り。

 負極材「カーボトロン®P」

難黒鉛化性炭素の範疇に入るが、通常の難黒鉛化性炭素と比べ、リチウムイオンを粒子内部へ容易に拡散できるようデザインされている。
一般的な負極活物質である黒鉛は粒子の体積変化が大きく、耐久性の課題が残されているが、「カーボトロン®P」ではリチウムイオンの吸蔵・放出を繰り返しても結晶構造が安定し体積変化が少ないため、高い信頼性が求められる高性能のリチウムイオン電池に適してい る。

 LiB用バインダー「クレハKFポリマー」

高品質のフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)で、1991年に世界で初めて実用化されたリチウムイオン電池のバインダーとして採用されて以降、世界中で使用されている。

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クレハとクラレ子会社のクラレケミカルは、コーヒー穀などを焼成して造る食物由来の負極材を開発した。

クレハとクラレは2011年12月、植物由来原料の新規開発品「バイオカーボトロン」の共同事業化に向けて合意したと発表した。

 ・クラレが2012年にクレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)に資本参加・人材投入する。
 ・KBMJとクラレケミカルの生産合弁会社を新設し、2013年には年産1千トンレベルで量産・供給体制を構築する。

クラレケミカルは岡山県備前市の鶴海工場で各種活性炭を製造するとともに、中国寧夏回族自治区に石炭系活性炭製造の可樂麗化学(寧夏)環境化工有限公司(100%子会社)、フィリッピンのセブ市にヤシ殻系活性炭製造のCenapro ChemicalCenapro 60%、クラレケミカル35%、丸紅5%)を持っている。

付記

クラレは8月21日、クレハと共同でリチウムイオン電池の材料工場を岡山県備前市に建設すると発表した。

クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパンとクラレケミカルが8月中に共同出資会社「バイオハードカーボン」を設立する。
活性炭を作っているクラレケミカルの鶴海工場の中に、ヤシ殻など植物由来の原料を利用し、年産1000トンの負極材工場を新設する。投資額は約30億円。
2015年までに年産2000~3000トンの設備を別に建設する計画。

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今回、産業革新機構(INCJ)は無議決権優先株式を含め、総額100億円を上限とする投資を行う。

伊藤忠、クラレとINCJの投資は合わせて最大約145億円、クレハもこれに合わせ最大約55億円を引き受け、
4社合わせて最大約200
億円の資本投入を行う 。

この調達資金は、主にLiB用ハードカーボン負極材「カーボトロ ン」及び「バイオカーボトロン」の大規模で安定的なグローバル供給体制を構築するための設備投資に充当され る。

引続きクレハがKBMJの議決権の過半数を維持し主導的に業務運営を行 うが、戦略的パートナー各社からKBMJへの取締役派遣を通じ、効率性・透明性の高い経営体制を構築 する。

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産業革新機構(INCJ)は、革新性を有する事業への成長資金の供給を目的とする。

詳細は
 
2011/6/9 東芝・ソニーが携帯向け液晶統合、産業革新機構が出資 

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伊藤忠商事は2011年4月からの新中期経営計画で「二次電池」分野を成長分野と位置づけ、取組みを強化している。

・LiB製造メーカーのEner1への出資

伊藤忠は2009年12月にEner1(エナール・ワン)に20百万ドル(5%弱)の出資を行った。
Ener1の100%子会社である EnerDel社は、OEMレベルの車載用のリチウムイオン電池システムを製造可能な電池メーカーで、米国内で唯一、セルから電池システムまで一貫して開発・製造できる量産設備を持っている。

・米国大手電力会社Duke Energy社と蓄電池二次利用の共同プロジェクト実施

伊藤忠商事は2010年11月、米国の大手電力会社Duke Energy Corporation と、先端エネルギー技術における提携の契約を締結した。第一弾として、電気自動車用電池の2次利用モデルの検証を開始する。

・米国Simbol Mining Corp. への投資によるリチウム資源の確保

伊藤忠商事は2010年7月、リチウム資源の確保を目指し、米資源開発会社のSimbol Mining Corp. に資本参加した。
シンボルは、カリフォルニア州南部に位置する地熱発電所の使用済み地熱かん水に含まれるリチウムを回収、リチウム化合物を製造する事業を推進している。

・北米における戸田工業とのLiB用正極材の合弁事業

伊藤忠と戸田工業は本年3月、リチウムイオン電池の正極材の生産・販売を行う合弁会社を設立し、また、正極材原料を生産するカナダの戸田工業の子会社を合弁会社とすることで基本合意した。
リチウムイオン電池の主要部材である正極材の新工場を米国ミシガン州に建設する。

・中国での杉杉集団及び戸田工業とのLiB用正極材合弁事業

伊藤忠商事と戸田工業は2010年2月、寧波杉杉股有限公司の子会社でリチウムイオン電池の正極材製造分野では中国トップクラスの湖南杉杉新材料有限公司に共同出資することで基本合意した。
両社のSPCが当初25%出資を行い、その後50%の取得を目指す。


2012/8/6   患者のiPS細胞でALSの病態解明・治療薬シーズ発見  

京都大学の研究グループは8月1日、山中伸弥iPS細胞研究所長らの研究グループと協力し、ALS(筋萎縮性側索硬化症:ルー・ゲーリッグ病)の患者から作成したiPS細胞を用いて、ALSのこれまで知られていなかった病態を解明し、ALSに対する新規治療薬シーズを発見したと発表した。

この研究成果は米国科学誌 Science Translational Medicine に発表された。
http://stm.sciencemag.org/content/4/145/145ra104

ALSは運動ニューロン(神経細胞)が変性することで次第に全身が動かなくなり死に至る疾患。

これまではALS患者から運動ニューロンを取り出すことができなかったために、患者の病態をそのまま反映するモデルを作ることが難しく、ALS治療に有効な治療薬開発は進んでいなかった。

今回、TDP-43というタンパク質をコードする遺伝子に変異を持つ家族性ALS患者から作成したiPS細胞を用いて、運動ニューロンを分化誘導した。

このALS運動ニューロンには、ALS病理組織の運動ニューロン内で見られるものと類似のTDP-43の凝集体が観察された。

さらに、ALSに罹患していない運動ニューロンと比較して、突起が短く、ストレスに対して脆弱になっていた。

このタンパク質は、ALSでは自己調節が異常をきたして、運動ニューロン内でTDP-43の発現量が増加し、神経細胞骨格の遺伝子発現や、RNA代謝に関連する分子の遺伝子発現に異常が生じていることが分かった。

そこで、RNA代謝を調節することが知られている化合物をALS運動ニューロンに作用させたところ、アナカルジン酸(anacardic acid)と呼ばれる化合物によって、TDP-43の発現量が低下し、ALS運動ニューロンのストレスに対する脆弱性が改善され、神経突起の長さが回復することを発見した。

TDP-43の異常を制御する本研究の治療薬シーズは、患者の大半を占める孤発性ALSにも効果があることが期待される。

ALS患者の1割程度は、血縁者のなかに発症者がみられ(家族性ALS)、 残る9割にはみられない(孤発性ALS)。

京大では今後は、患者のiPS細胞を用いて、病態の更なる解明を進めるとともに、治療薬シーズ探索基盤を進化させて、多くの治療薬候補を得る必要があるとしている。

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ALS患者には、クイズダービーの人気回答者であった篠沢教授がいる。

山中iPS細胞研究所長は講演でよく、iPSの研究を始めたきっかけを話している。

当初は整形外科医であったが、ALSのような治療不可能な病気に直面して外科医としての限界を感じ、これらの病気の原因を追究するため研究者に転じた。

講演では、ALSで苦しむ篠沢教授の現況を画像で見せている。

所長はまた、iPSの研究の目的として、iPSからの組織再生による直接の治療もあるが、ALSなどの場合は全身の神経細胞のため不可能であり、それらに対してはiPS細胞で病気を再現し、それを使って病気の原因 究明と治療薬の開発をするのが目的であるとしている。

今回、所長のiPS研究のきっかけとなったALSの治療薬の開発に一歩進んだこととなる。

山中所長は、「研究所は10年間の目標の一つとして患者由来のiPS細胞を使った難病の治療薬開発を掲げており、一歩前進した。ALSや他の難病の新しい治療薬開発を実現するために、さらに研究を進めたい」と述べている。

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付記

岐阜薬科大の原英彰教授(薬効解析学)らの研究グループがALSの進行を制御する新たなたんぱく質を特定し、8月13日、英科学誌 Scientific Reports 電子版に発表した。

研究グループは、マウスを用いた実験や患者の血清などの調査から、ALSの要因に膜貫通糖たんぱく質(GPNMB)と呼ばれる遺伝子が大きく関わっていることを発見した。

遺伝性ALSの原因の一つSOD1の変異型遺伝子を組み込んだマウスにGPNMBを過剰に増やした場合、増やしていないマウスに比べて発症時期が遅れ、生存期間が延びた。

また運動神経細胞に変異SOD1を増やすと、細胞中のGPNMBの量が減少し、細胞死が引き起こされる一方、運動神経細胞にGPNMBを加えると、細胞の障害が改善され、ALSの進行を遅らせることを突き止めた。

 


2012/8/6 火星探査車Curiosity、着陸に成功

NASAは8月5日、最新の火星探査車(Rover)のCuriosity を火星に着陸させるのに成功した。

宇宙船 Mars Science Laboratoryは、火星の大気圏に接近するにつれて火星の重力に引かれて加速、時速2万1240キロで大気圏に突入した後は、超音速パラシュートによって減速し、クレーンで1トンのCuriosityを火星のGale Craterに吊り降ろした。

今後、Curiosityは搭載された高性能機器を駆使して2年間、火星での生命の痕跡を探る。

Curiosityはこれまでのローバーの中で最も大きく、カメラのほか、内蔵型分析実験室や掘削リグなど計10種類の観測装置を搭載し、より大きなホイールを使って、広範囲にわたっての調査ができる。
太陽電池ではなく、
プルトニウム238の崩壊熱を利用する原子力電池を使用することで、季節や砂塵の影響を受けずに活動が可能だという。

重量が1トン弱もあるため、従来のエアバッグ方式は使用できず、Sky Crane方式が採用された。

火星大気圏に突入し、パラシュートで減速した後、降下部分(Decent stage)がロケットエンジンを点火してさらに減速。上空約10mの地点で滞空し、クレーンを使ってCuriosityを降ろし、着地を確認した後、再び上昇し、離れた地点に落下 した。

降下には7分かかり、火星から地球までの通信に14分かかるため、リアルタイムでの操作や指示は出来ない。
作業は全て自動化され、Seven Minutes of Terrorと呼ばれる。

 

Curiosityの概要は以下の通り。

  • 長さ 3 meters
  • 幅  2.7 meters
  • 高さ   2.2 meters
  • 重さ 899 kilograms

画像はNASA


2012/8/7  南北スーダン、石油の利益配分で合意

石油を巡り対立するスーダンと南スーダンが8月4日、石油利益配分で合意した。

残る懸案の Abyei 地区の帰属については、南スーダンは年末までに国連とアフリカ連合の管理による住民投票を行いたいとしている。

ーーー

2011年7月9日、南スーダン共和国(Republic of South Sudan)が分離・独立した。
アフリカ大陸では
54番目の国で、国連は7月14日、国連加盟を承認した。

しかし、多くの問題が未解決のまま、スタートした。特に次の2つが大きな問題である。

1)Abyei暫定統治地域

南北の境界付近にあり石油資源が豊富なAbyeiで2011年1月に住民投票が行われる予定だったが、南北が対立し、投票は無期限延期された。

北部政府軍は2011年5月21日、Abyeiに進攻し、南部のスーダン人民解放軍との激しい戦闘の末、同地を掌握した。
国連安全保障理事会は翌22日、北部政府軍の即時撤退を求める声明を出した。

2)南スーダン産出石油の収益の南北利益配分

南部には油田の4分の3が集中するが、精製施設や輸出港へと続くパイプラインは北部にしかない。

2005年の和平合意に基づき、南北は石油収入を暫定的に折半してきたが、南部独立に際し、北部は引き続き「折半」もしくはそれに相当する「パイプライン使用料」を要求し、支払わなければパイプラインを封鎖するとした。

2011/7/23  南スーダン独立と石油問題

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2012年1月に南スーダンは、輸出用にパイプラインで輸送した石油をスーダンが盗んだと非難し、石油の生産を停止した。
スーダン側は、パイプライン使用料として差し押さえたと主張した。

この結果、両国とも元々弱い経済をさらに悪化させることとなった。

2012年3月末にスーダンと南スーダン両国軍は国境地帯で衝突、4月10日には南スーダン軍が国境を越えてスーダン領内に侵攻、油田地帯のHegligを占拠した。他方、スーダン軍は南スーダンの都市への空爆を行った。

国連は5月に双方に対し、直ちに協議を開始し、3か月以内に最終合意に達しない場合、経済制裁を行うと通告していた。

両国はアフリカ連合の主催でエチオピアで交渉を行った。

両国は今回、石油収益の配分とパイプラインの通過料で合意した。

石油のある南スーダンの独立によりスーダン側の石油収入が激減したことに対する補償として、南スーダンは一時払いで30.28億ドルを支払う。

パイプライン使用料については、2本あるパイプラインのうち、輸出用原油パイプラインについてはバレル当たり9.48$とし、製油所を経由して港まで運ぶ軽質原油のパイプラインは同11$と決めた。
スーダン側はこれまで36$を要求し、南スーダンは7.61$を主張していた。

この合意は今後3年半のもので、その後、南スーダンは引下げを交渉するとしている。南スーダンはケニア経由のパイプラインの建設を検討しており、引下げがなければ、スーダンのパイプラインの使用を止めることも考える。

2011/7/23  南スーダン独立と石油問題


その他の問題については、8月末までに交渉を終えたいとしている。
アフリカ連合は9月22日までに全ての交渉を終えるよう求めており、アフリカ連合の首脳のサミットは
Abyei地区の扱いを協議する予定。


2012/8/8  2012年第1四半期決算 

3月決算会社の2012年第1四半期決算が発表されている。

石油化学やエレクトロニクス関連が前年同期比で大幅減益となっている。
この結果、上期予想を下方修正する会社が多い。

今後も国内需要の回復は見込めず、輸出も中国経済の変調で期待できない。
国内エチレン体制の構造改革が必要である。

このなかで信越化学は米国シンテックの業績が好調でシリコンの減益を補い、上期予想も前年比で増益とみている。

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三菱化学

 ケミカルズ、ポリマーズが大幅に悪化した。

     

 億円

  2011/1Q 2012/1Q 増減
エレクトロニクス 1 -4 -5
デザインド 105 38 -67
ヘルスケア 247 209 -38
ケミカルズ 160 -77 -238
ポリマーズ 109 6 -103
その -2 3 5
調整 -22 -19 3
合計 598 156 -442

 上期予想も下方修正した。

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住友化学

 同様に、基礎化学、石油化学が大幅減益となった。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
基礎化学 70 -25 -95
石油化学 58 1 -57
情報電子化学 41 12 -29
健康農業 81 65 -16
医薬品 135 126 -8
その 12 12 -1
調整 -49 -60 -11
合計 348 130 -217

 上期予想   下方修正。

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三井化学

  

  石化、基礎化学品が大幅減益となった。

  なお、4月22日に岩国大竹工場で爆発・火災事故が発生、事故発生当初は同工場内の大部分のプラントが停止。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
石化 60 35 -25
基礎化学品 128 -8 -136
ウレタン -26 -2 24
機能樹脂 20 27 6
機能化学品 27 38 11
フィルム・シート 17 -3 -20
その -7 -18 -11
合計 220 69 -150

 2013/3予想は当初は事故の影響が不明で発表せず、6月14日に初めて発表した。
  上期予想は今回発表で、前年比大幅減。

なお、同社は岩国大竹工場の事故の影響を-60億円(営業損益、特別損益各‐30億円)と発表しているが、
うち、上期については営業損益 -30億円、特別損益 -50億円の合計 -80億円となっている。下期に保険収入など。

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東ソー

 石化が大幅減益、クロルアルカリは市況悪化に加えて2011年11月のVCM事故による生産減、販売減が大きい。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
石油化学 39 7 -32
クロルアルカリ 15 -50 -66
機能商品 45 24 -21
エンジニアリング -2 -1 0
その 7 3 -4
合計 104 -18 -122

  上期予想 営業損益で50億円の減益となり、当期損益予想は20億円の赤字とした。

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旭化成

 ケミカルとエレクトロニクスが大幅減益となったが、住宅が増益となり、一部カバーした。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
ケミカル 644 445 -199
住宅 365 463 99
医療医薬 70 88 18
繊維 42 31 -11
エレクトロニクス 143 64 -78
建材 21 18 -3
その 17 30 13
合計 1,302 1,140 -162

 上期予想 下方修正。

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信越化学

 半導体シリコンの減益を塩ビの増益でカバーした。通期でも前年、前々年を上回る予想。

  2011/1Q 2012/1Q 増減
ビ・化成品 61 99 38
シリコーン 92 75 -17
機能性化学品 35 39 4
半導体シリコン 104 66 -38
電子機能材料 92 104 12
その 17 18 1
調整 -1 3 3
合計 400 403 3

 上期予想 今回初めて予想を発表した。


2012/8/9 スペインのRepsol、Sinopecにエクアドルの石油権益の一部を譲渡  

エクアドル政府はこのたび、スペインのRepsolに対し、同社の子会社 Amodaimi Oil をSinopecに売却することを承認した。

売却金額は明らかにされていない。

Repsolはエクアドルで油田Block 16 と Tivacuno を開発している。

現在の権益は以下の通りで、今回の売却後もRepsolは35%を保有し、Operatorを続ける。

Repsol 35% operator
Repsol 子会社 Amodaimi Oil 20% 2009年にMurphy Oil から買収
台湾中油海外石油投資公司(OPIC) 31%  
Sinochem(中国) 14%  

 

アルゼンチン政府は4月16日、スペインの石油会社Repsol-YPFのアルゼンチン子会社YPFを国有化する方針を明らかにした。

2012/4/19  アルゼンチン大統領、スペイン石油大手傘下を国有化へ、スペインは反発

YPFの国有化を受け、格付け会社はRepsolを投資不適格の1つ上にまで格下げした。

Repsol は財務構造を改善して投資適格の格付けを維持するため、2012から2016年までに45億ユーロの資産を処理する戦略計画を立てており、これまでに18.5億ユーロを売却した。

このうち、7月にチリのLPG会社Repsol Butano Chileを540百万ドルで投資家に売却した。

逆に本年5月には、石油開発と生産を中心に2016年までに190億ユーロを投資すると発表している。

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アルゼンチン政府は5月7日、法令 660を発布、YPFの51%を取得した。

これによる出資比率は以下の通りとなる。

アルゼンチン政府 26.03%  
州政府 24.99%  
合計 51.02%  
Petersen Group 25.46%

Eskenazi 一族の会社(下記)

-6.00%
Repsol Peterson 6.00%

Peterson向けローン(未返済)の担保

非接収 6.43%  
上場  17.09% Buenos Aires とNew Yorkの株式市場

YPFはもともとアルゼンチンの国有石油会社だったが、1999 年の民営化に伴う政府放出株式をRepsolが購入した。

RepsolはYPFの買収後、2008年にアルゼンチンの億万長者Eskenazi 一族に15%を売却、昨年には更に10%を売却した。(子会社Petersen Group が株主に)
 
Eskenazi一族は買収資金を銀行とRepsolからの借入金で賄った。
  YPFはこの買収時の契約に従い、利益の90%を配当(年2回)として支払っていた。

今回の政府による接収で配当を受け取れなくなり、銀行とRepsolからのローンを返済できなくなった。

Repsolからの担保のYPFの6%はRepsolに移る。(下記の通り、ローンは消却している。)
銀行も一時返済期限を延期しているが、このままでは残りも銀行に移ることとなる。

接収の対価ははっきりしないが、Repsolでは56億ユーロを計上している。
アルゼンチン政府には100億ドルを請求している。

接収の会計処理
YPF資産 -47億ユーロ
Petersenへのローンの消却 -14億ユーロ
売却額
(Registration of the value
    as Assets for Sale)
+56億ユーロ
繰延税金効果 +5億ユーロ
差引合計 -38百万ユーロ

2011年度でのRepsol におけるYPFの位置付けは以下の通りで、大きな地位を占めており、影響は大きい。

営業損益  12億ユーロ(全体の25.6%)
純損益    5億ユーロ(全体の21.0%)
投資額   22億ユーロ(全体の33.7%)

 


2012/8/10 中国、レアアースへの新たな参入条件を発表 

中国工業情報化部は8月6日、公告33号「レアアース業界参入条件」を発表し、生産規模・生産技術・エネルギー消費等の面から同業界の規範化を行った。これを受け、全国の20%のレアアース生産能力が淘汰される見通し。

詳細は 稀土行业准入条件.doc

小規模企業の淘汰を促し、供給を引き締めて世界需要が低迷するレアアースの価格引き上げを狙う。

概要は以下の通り。

レアアース鉱山の開発・冶金・精製に関する新規・改築・拡張プロジェクトは、参入条件を満たさなければならない。
これが満たされなかった場合、関連審査部門はプロジェクトの実施を許可しない。

レアアース資源を採掘する場合、採掘許可証と安全生産許可証を取得する必要がある。
資源企業は許可された開発利用プラン・採掘プランを順守し採掘を実施する。
無免許の採掘、未許可の範囲での採掘、環境を損ね資源を浪費する採掘技術の使用は禁じられる。

レアアース業界に生産規模の下限を初めて設けた。

レアアース(酸化物)の生産規模:年産2万トン以上
バストネサイト(炭酸塩鉱物、フッ化鉱物):5千トン以上
希土類元素イオン:500トン以上

混合型レアアース製錬:8千トン以上
バストネサイト製錬:5千トン以上
希土類元素イオン製錬:3千トン以上

技術面の規制は以下の通り。

混合型レアアース、バストネサイト鉱開発に当たり、完全な廃水処理設備、特別な廃棄鉱石置き場と選鉱クズ池が必要。その他。

エネルギー消費に関しては2つの基準の達成が必要

回収率の基準達成が必要。

環境保護基準の達成

中国工業情報化部では、「レアアース企業の参入のハードルを高くすることで、業界内の負の競争を防ぐことができ、かつ同業界全体の生産・経営品質を高めることができる。今回の措置により、全国の約20%の生産能力が淘汰されるだろう」と語った。

中国工業情報化部の2010年末の調査によると、中国には23社の資源企業、99社の冶金企業が存在する。
このうち3分の1の資源企業、2分の1の冶金企業が、今回の基準を満たせない可能性がある。

基準未達の企業について、同条件は「産業構造の改善・アップグレードの要求、国家産業政策の指導に基づき、立ち遅れた生産能力の淘汰、再編、技術改造等の手段を通じ、参入条件の規定を満たさなければならない」と定めた。

同日発表された「レアアース企業参入公告管理暫定方法」も、「同条件の基準を満たさない企業、関連資料に虚偽の記述を行った企業、監督・検査の受け入れを拒んだ企業、深刻な安全生産事故・環境汚染事故の生じた企業、環境関連法に著しく違反した企業、新規定により経営資格を取り消されたレアアース企業は、改善による合格から2年後、参入を再申請できる」と明記した。


2012/8/11 中国青島市に中日韓イノベーション産業パーク 

青島市の青島西海岸経済新区で、「中日イノベーション提携産業パーク」「中韓提携イノベーション産業パーク」が建設されている。

中日イノベーション提携産業パークでは、日本の海洋科学技術、新エネルギー、省エネ・エコ技術、バイオ技術、ハイテク産業を優先的に取り入れ、日本の中小企業および生産型サービス業を重点的に誘致し、新たな情勢下における日本との提携プラットフォームを構築する。

中韓提携イノベーション産業パークは韓国ハイテク産業との提携モデル拠点とする。

第一期は各10平方キロメートルだが、この後、15平方キロメートルの中日韓循環経済モデル拠点、 10平方キロメートルの国際科学教育協力パーク、10平方キロメートルの健康産業パークを計画、更に33平方キロメートルの今後の発展に備える用地を確保する。

これらに隣接して、2011年12月に定礎式を行った中独(中徳)生態パークがある。

同パークは省エネ環境保全分野における中独両国協力による最初のエコパークで、2010年7月に温家宝総理と来訪中のドイツ首相との間でエコパークづくりで認識を共有し、その後青島経済技術開発区での設置が決まった。

世界ハイエンドエコ企業の国際化集積地、世界ハイエンドエコ技術研究開発区と住みよいエコモデル団地と位置づけ、機能上、ハイエンド製造業を軸に、オフィス、ビジネス、金融などのサービス業もある生態配慮型のパーク。

 

青島西海岸経済新区は黄島区と膠南市全域で、国家戦略の「山東半島藍色経済区発展計画」に指定された重点建設新区。

他に煙台、威海、濰坊、日照、東営、浜州の 各市、臨沂市莒南、淄博市高青、徳州市楽陵、慶雲四県市が指定されている。

青島西海岸経済新区には「一核双港、九湾六区」がある。

「一核」:同新区の中心区
「双港」:前湾港と董家口港
「九湾」:前湾、海西湾、唐島湾、霊山湾、古鎮口湾、竜湾、琅琊台湾、月亮湾、棋子湾
「六区」:董家口経済区、保税機能開拓区、国際経済協力区(国際経済合作区)、国際観光・レジャー区、
     古鎮口サービス保障区、生態農業・発展備蓄区

     *  国際観光・レジャー地区(緑色)は、海島地区(点線の範囲)、大珠山エコ地区、小珠山エコ地区の3つ

青島西海岸経済新区管理委員会は、産業パークの発展目標を以下の通り述べている。

5年以内に、中日・中韓イノベーション産業パークをアジア一流の国際経済協力モデルパーク、北東アジアの鮮明な特色を持つ持続発展可能な国際化総合イノベーション団地とし、青島を中日韓地方経済協力モデル都市とするための支柱と する。

10年以内に、世界一流かつ広範なモデル的意義を持つ第 3世代科学技術パークとした上で、青島西海岸国際経済協力区を国際的な団地とし、青島を新たな地域経済協力発展の軌道に乗せる原動力とする。
 

日韓のハイテク産業との提携を、以下の4つの面から重点的に推進する。
(1) 基準の共同制定。大衆消費電子製品業界の基準について、協調・共同認識・普及を推進する。
(2) 知的財産権の保護。
(3) 通関手続きおよび貿易の利便化。
(4) 重点産業の提携。主に新エネルギー車、新エネルギー設備、新エネルギー応用製品、海洋生物、海上設備、電子情報、ソフト、アニメ、文化創作、国際海運、港湾物流、観光、健康サービス、金融、仲介サービス、商取引等

 


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