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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は  http://blog.knak.jp


2013/10/1 米司法省、自動車部品カルテルで更に9社、2名と司法取引 

米司法省は9月26日、日本の9社(フランス企業の日本子会社を含む)と日本企業の役員2名(うち1名は米国人)が米国での自動車部品の価格カルテルで有罪を認めたと発表した。

9社の罰金額は744百万ドル、役員2名は禁固刑と罰金刑。

http://www.justice.gov/opa/pr/2013/September/13-at-1074.html

これによりこれまで有罪を認めた企業は20社(うち日本企業が17社+外国企業の日本子会社1社)となり、罰金総額は16億ドルを超える。
起訴された個人は21名(うち日本人20名)で、刑が決まったのは17名(日本人16名)となる。

今回有罪を認めた企業と罰金は下記の通り。

このうち、ミツバは調査開始を知って証拠を破棄しようとしたとする司法妨害の罪も認めた。(別に最高50万ドルの罰金が課せられる。)

  百万  
日立オートモティブシステムズ 195 starter motors ほか、自動車部品
ジェイテクト 103.27 bearings、electric powered steering assemblies
ミツバ 135 windshield washer systems ほか
三菱電機 190 starter motors, alternators、ignition coils
三菱重工 14.5 compressors、condensers
日本精工(NSK) 68.2 bearings
ティラド(T.RAD) 13.75 radiators
ヴァレオジャパン
(仏Valeoの子会社)
13.6 air conditioning systems
山下ゴム 11 anti-vibration rubber products
合計(9社) 744.32  
これまでのもの
古河電工 200 2011/9 wire harnesses
矢崎総業 470 2012/1 wire harnesses
デンソー 78 2012/1 electronic control units (ECUs)
heater control panels (HCPs)
ジーエスエレテック 2.75 2012/4 antilock brake systems
フジクラ 20 2012/4 wire harnesses
Autoliv Inc
(Stockholm)
14.5 2012/6 seatbelts, airbags, steering wheels
TRW Deutschland
(米社独子会社)
5.1 2012/7 seatbelts, airbags, steering wheels
日本精機 1 2012/8 自動車用計器
東海理化 17.7 2012/10 heater control panel
ダイヤモンド電機 19 2013/7 ignition coil
パナソニック 45.8 2013/7 switch 等
合計(11社) 873.85    
累計(20社) 1,618.17    
以下、追加
タカタ 71.3    
東洋ゴム 120.0    
スタンレー電気 1.44    
小糸製作所 56.6    
愛三工業 6.86    
ブリヂストン 425.0    
ショーワ 19.9    
日本特殊陶業
(NGK Spark Plug )
52.1   spark plugs, standard oxygen sensors,
air fuel ratio sensors
豊田合成 26    
日立金属 1.25   自動車用ブレーキホース
アイシン精機 35.8   可変バルブタイミング機構
累計(31社)      

  2013/7/20    米司法省、自動車部品カルテル摘発を進める

個人は下記の通りで、17名+起訴段階4名=21名となった。
今回に限り、会社名が発表されていない。これは、これまでに罪を認めた企業以外の可能性がある。

実際に、東洋ゴムは社員が司法省と合意したことを発表、同社自身が調査を受けていることを明らかにした。

  氏名  発表
or 合意書 
禁固 罰金
発表なし→東洋ゴム
(トヨタ向けanti-vibration rubber)
T.K. 今回 1年+1日 各人
2万ドル
TK Holdings (Takata)の米人
(各社向けseatbelt)
G.W. 14か月
これまでのもの
古河電工 J. F. 2011/10/24 1年+1日 各人
2万ドル
H. N. 2011/10/13 15か月
T. U. 2011/11/10 18か月
矢崎総業 T. H. 2012/1/30 2年
R. K. 2012/3/26 2年
S. O. 2012/3/26 15か月
H. T. 2012/3/26 15か月
T. S. 2012/8/16 14か月
K. K. 2012/9/26 14か月
デンソー N. I. 2012/3/26 1年+1日
M. H. 2012/4/26 14か月
Y. S. 2013/5/21  16か月
H. W. 15か月
S. H. 2014/6/30 1年+1日
K.F. 2014/2/20 1年1日
山下ゴム H. Y. 2012/11/16  1年+1日
Autoliv(日本人社員) T.M. 2013/7/16 1年+1日
ジーエスエレテック S.O. 2014/7/31 13ヶ月 2万ドル
フジクラ R.F. 起訴段階
T.N.
パナソニック   S.K.
以下追加    
タカタ Y.U. 2013/11/21 19 ヶ月 各人 2万ドル
S.I. 16ヶ月
Y.F.   14ヶ月
G.N. 起訴段階    
東洋ゴム? M. H. 起訴段階    
K. N.

ダイヤモンド電機

S.I. 2014/1/31 16ヶ月 各人 5千ドル
T.I. 13ヶ月
ブリヂストン Y.T. 起訴段階    
Y.R.
I.Y.
Y.S. 2014/4/16 18ヶ月 2万ドル
東海理化 H.H. 起訴段階    
三菱電機 A.U. 2014/9/18
 起訴

* は捜査妨害も

   
M.K.    *
H.S.  *
日立オートモティブシステムズ T.T.  
K.F.
K.T
T.I.
ショーワ A.W. 2014/10/15
   起訴 
   
NSK H.H. 2014/11/13
   起訴 
   
Jtekt M.I.    
累計 46名(うち禁固26名、起訴段階20名)

2013年10月9日、シートベルトメーカーのタカタが有罪を認め、 $71.3 百万ドルの罰金支払いに同意。

司法省は11月21日、タカタの3人が有罪を認めたと発表した。

Y.U.  19 ヶ月+$20,000
S.I.    16ヶ月+$20,000
Y.F.   14ヶ月+$20,000.

 http://www.justice.gov/atr/public/press_releases/2013/301807.htm

司法省は11月21日、防振ゴムのカルテルで某社(東洋ゴム?)の2名を起訴したと発表した。
  
 M. H. & K. N.
  
   http://www.justice.gov/opa/pr/2013/November/13-at-1244.html

司法省は11月26日、東洋ゴムが罰金120百万ドルの支払いに同意したと発表した。
自動車用防振ゴムとドライブシャフト部品及び等速ジョイントブーツの価格カルテルで有罪を認めた。

  http://www.justice.gov/opa/pr/2013/November/13-at-1261.html 

付記 東洋ゴムは2015年9月11日、自動車メーカーに約42億円の和解金を払うと発表した。
   司法省発表では同社の供給先は、トヨタ、日産、富士重工となっている。

司法省は11月27日、スタンレー電気が自動車用lamp ballastの価格カルテルで有罪を認め、罰金144万ドルの支払いに同意したと発表した。

  http://www.justice.gov/opa/pr/2013/November/13-at-1263.html

これで23社と26名(20名が決定、6名が起訴段階)となった。企業の罰金は18億ドルを超える。

司法省は2014年1月16日、小糸製作所が自動車用ランプ及び自動車HID ランプ用バラストの価格カルテルで有罪を認め、罰金5660万ドルの支払いに同意したと発表した。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/January/14-at-049.html

これで24社と26名(20名が決定、6名が起訴段階)となった。

司法省は2014年1月31日、ダイヤモンド電機 の二人が有罪を認めたと発表した。

S.I.  16ヶ月+ $5,000
T.I.        13ヶ月+ $5,000

 http://www.justice.gov/opa/pr/2014/January/14-at-106.html

司法省は2014年2月3日、トヨタ自動車系部品メーカーの愛三工業がエンジンに吸入する空気の量を調整する部品「電子スロットルボディーの価格カルテルで有罪を認め、罰金686万ドルの支払いに同意したと発表した。

http://www.fbi.gov/sanfrancisco/press-releases/2014/aisan-industry-co.-ltd.-agrees-to-plead-guilty-to-price-fixing-on-automobile-parts-installed-in-u.s.-cars

これで25社と28名となった。

司法省は2014年2月13日、ブリヂストンが自動車の防振ゴム部品の価格カルテルで有罪を認め、罰金425百万ドルの支払いに同意したと発表した。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/February/14-at-157.html 

同社はマリーンホース事件で有罪となったが、本件について開示しなかったため、高額の罰金となった。

これで26社と28名となった。

ブリヂストンは以下の通り発表した。
マリンホースに関する2007 年5 月のカルテル捜査及び(ラテンアメリカその他での)外国公務員に対する不適切な支払の可能性についての自主公表を受けて、種々の施策により再発防止策を実行してまいりました。
今回のカルテル行為は、これらのガバナンス・コンプライアンス体制の強化・改革をきっかけに2008 年に終了したもの。
しかしながら、2008 年時点で本件を見つけ出すことができなかった。

米司法省は2014年2月20日、米国での自動車用heater control panelsの価格カルテルに絡んで証拠隠滅を図ったとして、デンソーの元幹部K.F.が有罪を認めたと発表した。元幹部は1年と1日の禁錮刑にも同意した。

http://www.justice.gov/atr/public/press_releases/2014/303822.pdf

これで26社と29名となった。

司法省は2014年4月23日、ショーワが自動車の パワーステアリング部品の価格カルテルで有罪を認め、罰金1990万ドルの支払いに同意したと発表した。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/April/14-at-420.html

これで27社となった。

2014年4月15日、ブリヂストンの3人を起訴

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/April/14-at-386.html

これで27社と32名となった。

2014年4月16日、ブリヂストンの1人が18ヶ月の禁固刑、2万ドルの罰金で同意した。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/April/14-at-394.html

これで27社と33名となった。

2014年5月22日、東海理化の1名が起訴された。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/May/14-at-555.html

これで27社と34名となった。

2014年6月5日、タカタの1名が起訴された。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/June/14-at-602.html

これで27社と35名となった。

2014年6月30日、デンソーの1名が1年+1日の禁固刑、2万ドルの罰金に同意した。

http://www.justice.gov/atr/public/press_releases/2014/306795.pdf

これで27社と36名となった。

2014年7月31日、起訴されていたG.S.Electechの1名が13ヶ月の禁固刑、2万ドルの罰金に同意した。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/July/14-at-806.html

これで27社と36名が起訴され、26名が禁固刑を受けた。

2014年8月19日、日本特殊陶業(NGK Spark Plug )はspark plugs, standard oxygen sensors, air fuel ratio sensorsのカルテルでの有罪を認め、52.1百万ドルの罰金に同意した。

これで有罪を認めたのは28社となり、26名が禁固刑を受けた。

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/August/14-at-876.html

2014年9月18日、米司法省は三菱電機の元幹部社員2人、現役幹部社員1人と日立オートモティブシステムズの現役幹部社員4人の合計7人を起訴したと発表した。両社は既に罰金を払っている。

刑事責任を問われたのは43人になる。

2014年9月29日、豊田合成はautomotive hoses, airbags and steering wheelsでのカルテルを認め、26百万ドルの罰金支払いに同意した。

これで29社となった。罰金合計は約24億ドル。

2014年10月15日、ショーワの元役員が起訴された。

2014年10月31日、日立金属は自動車用ブレーキホースでのカルテルを認め、125万ドルの罰金支払いに同意した。

http://www.fbi.gov/cleveland/press-releases/2014/hitachi-metals-ltd.-agrees-to-plead-guilty-to-fixing-prices-and-rigging-bids-on-automobile-parts-installed-in-u.s.-cars

これで30社となった。

2014年11月13日、NSKとJtekt の役員各1名が起訴された。

  これで刑事責任を問われたのは46人となる。

2014年11月13日、アイシン精機は可変バルブタイミング機構でのカルテルを認め、35.8百万ドルの罰金支払いに同意した。

http://www.fbi.gov/indianapolis/press-releases/2014/aisin-seiki-co.-ltd.-agrees-to-plead-guilty-to-customer-allocation-on-automobile-parts-installed-in-u.s.-cars

  これで31社となった。

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韓国公取委は2013年12月、3社に総額1146億6800万ウォン(約112億円)の罰金を課した。

デンソー  630億6000万ウォン(約62億円)
Continental Automotive Electronics  459億9200万ウォン(約45億円)
Bosch     56億2800万ウォン(約6億円)

デンソーとContinentalはメーター(速度、エンジン回転数、燃料など)、デンソーとBoschはワイパー納入で談合した。

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日本精工は2014年1月31日、カナダでの自動車用軸受の取引の一部に関して、同国競争法に違反する行為を行ったとして、ケベック州の裁判所から450 万カナダドル(約4 億1 千万円)の罰金の支払いを命じられたと発表した。

カナダの独禁当局は2014年2月20日、カナダ・オンタリオ州の高等裁判所が自動車部品の入札談合に関与したとしてパナソニックに470万加ドルの罰金を科したと発表した。

デンソーは2014年8月20日、一部自動車部品(ボデーECU)の取引に関してカナダ競争法に違反したとして、同国オンタリオ州の裁判所において245万カナダドル(約2億円)の罰金支払いを命じられたと発表した。

ショーワは2016年4月1日、カナダでの電動パワーステアリング製品に係わるカナダ競争法違反で、オンタリオ州の裁判所で13百万カナダドル(約11億円)の罰金支払を命じられたと発表した。

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Mexicoの連邦経済競争委員会(COFECE)は2016年8月1日、三菱重工とデンソーがGM向けのエアコンコンプレッサーで価格カルテルを結んだとして、それぞれ 36,017千ペソ(約 195百万円)の罰金を課したと発表した。
 

FBIでは、今回の起訴は、ルールを守る必要がないと考えている企業にメッセージを送るもので、米国で法を破れば、FBIは徹底調査し、米国の商業システムへの脅威を終わらせると述べている。

今回の自動車部品カルテル摘発は、日本の企業に対し、米国で価格カルテルが摘発されると大変なことになるとのメッセージを送るものとなった。

日本では公取委のカルテル処分では個人は対象とならない。
公取委が重大と考える事件の場合には刑事訴訟を行い、個人も対象となるが、有罪の場合でもほとんどの場合は執行猶予付きとなり、重犯でなければ実刑はない。

米国の場合は個人も対象となるが、当初は罰金だけであった。

映画 The Informant で有名になったリジンカルテルでは、ADMの副会長等は禁固刑となったが、味の素、協和発酵は各1人が罰金刑であった。

しかしその後、米国はカルテルに対する罰則を強化、企業に対する罰金額が増大するとともに、個人も1年以上の禁固刑が普通になった。

日本の場合は、独禁法違反事件が日米犯罪人引渡条約の対象に該当しないため、日本にいる限り、起訴されても裁判が開かれず、米国での時効の中断状態となっている。
(他の国では犯罪人引渡条約の対象になる国が多く、米国以外に旅行して米国に引き渡される恐れがある。)

このため、多くの日本人が起訴されているが、日本人が米国の独禁法違反で禁固刑となるのは、これまで2名のみであった。

ダイセル社員のH. H.氏(防カビ剤のソルビン酸価格カルテル)
 海外に行けないのでは仕事にならないため、自ら渡米し、刑に服したもの。(同氏の上司は時効中断のままとなっている。)
 司法省はこれを評価し、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表するとともに、禁固3か月の寛大な処分とした。

   2006/2/16
独禁法改正

ブリヂストンのM. H.氏(マリンホース国際カルテル)
 米国で秘密の会合に出席していて、現場で逮捕された。
   2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決

多くの日本の企業は、「犯罪を起こしてはいないが、裁判が長期化するのを避けるため、罰金を払った」、と言い逃れている。

今回、日本人が20名起訴され、16名が禁固刑を受けており、今までの状況が一気に変わった。

このうちのほとんどは既に日本に帰国している筈で、従来どおりなら、米国で裁判が開かれない。

それが一挙に16名もが刑に服するのは、企業との和解交渉で、責任者が罪を認めて刑に服することを条件にしたのではないかと思われる。
企業がこれに応じない場合、和解ではなく裁判になり、有罪となれば
、独禁法の規定で賠償額が3倍になる恐れがある。

今後は、米国で独禁法違反となれば、責任者が禁固刑というのが一般的になると思われる。
責任者は会社のために犠牲になることを強いられることとなる。

企業側も「裁判が長期化するのを避けるため、罰金を払った」との言い逃れは出来なくなり、場合によっては株主から訴えられることともなる。


2013/10/1   米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

米与野党は9月30日夜になっても暫定予算案で合意できず、10月1日、政府は1996年以来、17年ぶりとなる政府機関の一部閉鎖を開始した。最大100万人の連邦政府職員が無給休暇となるほか、国立公園の営業や医学研究プロジェクトが停止される。

10月1日からの新年度入りを迎え、予算案の成立の見込みがないため、米国の下院と上院は暫定予算案を審議した。
下院は野党の共和党が、上院は与党の民主党が多数を占めるネジレ議会である。

与党民主党は医療保険改革(Obama Care)は内政の最重要課題とみなすのに対し、野党共和党はObama Care の廃止を求め、予算を人質にする戦術をとった。

  下院(共和党多数) 上院(民主党多数)
9/20 暫定予算案 賛成 230、反対 189で議決
 ・期間 10月~12月15日
 ・Obama Care予算打ち切り
 
9/27   暫定予算案  賛成 54、反対 44で議決
 ・期間 10月~11月15日
 ・Obama Care 予算復活
9/29 暫定予算案   賛成 231、反対 192で議決
 ・期間 10月~12月15日
    ・Obama Care  1年延期
 ・医療機器税撤廃
 
9/30   下院暫定予算案を 54対 46で否決
修正予算案を下院へ。
医療保険改革法導入延期を盛り込んだ暫定予算案を可決  
  医療保険改革法の延期に関する条項を削除し下院に差戻し

9月20日の下院での暫定予算案議決について、Obama大統領は「医療保険制度改革の予算打ち切りは2500万人もの米国人が健康保険に入ることを妨げ、公的保険に入っている何千万人もの高齢者から基本的な医療サービスをカットするものだ」 と批判、上院のリード民主党院内総務は「Obama Careの資金凍結もしくは実施延期を盛り込んだ法案は承認しない」とした。

下院は当初のObama Care予算打ち切りから、29日にはObama Care  1年延期と医療機器税撤廃に変更したが、民主党のリード院内総務は「上院案を可決するか、政府機関を閉鎖するか、共和党はどちらか決断すべきだ」 と述べた。
上院は下院の暫定予算案を否決した。

民主党のリード上院院内総務は9月30日夜、下院共和党が提案した暫定予算案での合意に向けた超党派の協議委員会設置を拒否し(「これまで民主党が委員会設置を求めてきたが、共和党が拒否してきた」)、下院に対し、上院が可決した暫定予算案を通過させるよう要請した。

時間切れまであとわずか数時間となるなか、下院は再び、医療保険改革法の導入延期を盛り込んだ暫定予算案を可決。上院では即刻、下院案から医療保険改革法の延期に関する条項を削除して下院に差し戻した。

なお、時間切れ間際に、両院は政府の閉鎖中も現役軍人とそれを支援する人間には給料を支払うとの法案を議決、大統領が署名した。

ーーー

米国ではオバマ政権が発足してから4年半、本予算が一度も通らず、それまでの支出のペースを維持する短期の暫定予算をつないでいる。

2013会計年度(2012年10月~2013年9月)の予算も承認されておらず、暫定予算で運営してきたが、本年3月27日の暫定予算期限切れ直前の3月21日に9月末までの暫定予算を通した。

昨年末の「財政の崖」協議で富裕層増税を受け入れた共和党は、次は民主党が譲る番だとして、一段の歳出削減やObama Careを初めとする社会保障制度改革を要求している。

背景については 2013/3/25 米議会が暫定予算可決 

ーーー

10月1日午前0時に新会計年度が始まり、同時に連邦政府機関の一部閉鎖が発効した。

軍や治安、健康、福祉部門などを除く政府機関の業務が停止する。

最大100万人の政府職員が同日中にレイオフを命じられる。
国防総省は文民職員の約半数に当たる約40万人をレイオフするほか、NASAやEPAは職員の9割以上が対象となる。

全米各地の国立公園や動物園、「自由の女神」などが閉鎖されるほか、退役軍人向けの相談業務や税の監査、米国立衛生研究所の新規患者受け入れなどが休止する。

一方、国境警備や海外の軍事活動、空港での航空管制業務や社会保障給付は通常通り継続する。

予算案が成立しない限り、政府機関の閉鎖は継続する。与野党が意見の相違点を解決するまで数週間に及ぶ可能性がある。
前回の政府機関閉鎖はクリントン政権時代の1995~1996年の21日間だった。

ーーー

米国議会はこれに加え、連邦債務上限引き上げの期限を10月中旬に控えている。連邦債務の上限が引き上げられなければ、米国はデフォルトに陥り、世界経済全体にも影響が広がる恐れがある。

2013/8/29 米国債、再びデフォルト懸念

付記

医療保険改革(Obama Care)については 2010/3/23 米医療保険法案が成立へ


2013/10/2 東レ、米国炭素繊維メーカーを買収 

東レは9月27日、米国のラージトウ炭素繊維メーカーZoltek Companies, Inc.を総額約584百万$(1株あたり 16.75$)で買収することに合意したと発表した。

東レはこれまで、高機能・高品質レギュラートウ炭素繊維に経営資源を集中、ボーイング787向けをはじめとする航空機や天然ガス圧力容器などの先端分野で強みを発揮してきた。

他方、ラージトウ炭素繊維の品揃えがなく、風力発電関連用途や自動車構造体用途等のより汎用性の高い産業分野の成長を如何に取り込むかが課題となっていた。

今回のZoltek買収により、レギュラートウ炭素繊維とは全く異なる分野での事業展開が可能となり、新たな成長の機会を得ることになる。

ラージトウ フィラメント数が40K(40,000本)以上   風力発電機翼、樹脂コンパウンド強化剤等に使用
レギュラートウ フィラメント数が24K(24,000本)まで   航空機等、高性能・高品位分野で使用

Zoltekはハンガリーからの移民のZsolt Rumyが設立した会社で、1988年に買収によりラージトウ炭素繊維事業に参入し、1996年にハンガリーのアクリル繊維会社のMagyar Viscosaを買収、2007年にはメキシコのアクリル繊維工場を買収して、ラージトウ炭素繊維の需要開拓を進めてきた。

現在の生産能力は年産10,500トンで、世界シェアは10.5%。

買収により、東レの能力は21,100トンから31,600トンに、シェアは21.2%から31.7%に増え、世界第二位の帝人(東邦テナックス)の13,900トン、13.9%を大きく上回ることとなる。

付記  2014年2月28日に全ての手続きを完了。

ーーー

今回の東レの買収は、ラージトウへの進出という同社の目的に適うものではあるが、実はZoltekの敵対的買収に対するホワイトナイトとしての買収であり、競争相手があることから買収価格は高めになっている。(本年3月初めの株価は9ドル前後で、昨年11月頃には7ドル以下であった)

2013年3月4日、Quinpario Partners LLCのグループがZoltekの10.13%を保有していることを発表、現在の取締役会を解任して、Quinpario Partners の Jeffry N. Quinn ほかに替えることを求める株主総会開催を要請した。

Jeffry N. Quinnは元 Solutiaの会長・社長・CEOで、8年間で倒産会社をグローバルな特殊化学品メーカーに変貌させ、2012年1月にSolutiaを負債込み47億ドルでEastman Chemical に売却した。

2012/2/3  Eastman Chemical、Solutia を買収  

Jeffry N. QuinnはSolutiaの元の役員達とともに、2012年に特殊化学品、機能材料部門に特化した投資会社Quinpario Partnersを設立した。

これに対し、Zoltekは同日、要求はいくつかの重要な点で問題があるとしてこれを拒否した。

Quinpario は昨年11月頃に、密かに10ドル台半ばの価格で全株式を購入することなどのシナリオをRumy社長に提案していた。
これに対する返事は法律顧問からの拒否の返事だけで、Zoltekの取締役会は提案を正式に検討せず、
Quinparioとの話し合いも拒否した。

Quinn はQuinnparioは高値で売り抜くヘッジファンドではなく、彼のチームはZoltekの株主価値を最大限にする戦略的計画を持っていると主張した。また、市価の2倍で購入するという既存株主にとって極めて有利な案を議論もしないのは株主への義務の違反であるとした。

これに対し
Zoltekは、正式提案はなかったとし、Zoltekのボードメンバーは多くの株を所有しており、メンバーの利害は株主の利害と結びついていると反論している。(実際にはRumy社長がそのほとんどを所有しており、社長の利害は「株主利害と結びつく」とはいえない。)


Zoltek は4月2日、株主価値を最大限にするための戦略案を検討すると発表、J.P. Morgan Securities をアドバイザーとして選んだ。

東レへの売却がその結論である。

ーーー

日経によると、主要企業の炭素繊維生産能力(2012時点の三菱レイヨン推定)は以下の通り。

  企業 能力トン シェア%
  東レ+Zoltek 31,600 31.7
1 東レ 21,100 21.2
2 帝人(東邦テナックス) 13,900 13.9
3 Zoltek* 10,500 10.5
4 三菱レイヨン 10,100 10.1
5 SGL Group(独)* 9,000 9.0
6 台湾プラスチック 8,750 8.8
7 Hexcel 7,200 7.2
  その他 19,200 19.3
  合計 99,750 100.0

 *は廉価品中心のメーカー

日本勢の製造拠点は以下の通り。

  帝人
(東邦テナックス)
東レ 三菱レイヨン
日本 6,400トン 8,300トン 5,400トン
2,700トン
米国 2,400トン 5,200トン 2,000トン
ドイツ 5,100トン  

 

フランス   5,400トン  
韓国   2,200トン  
合計 13,900トン 21,100トン 10,100トン

三菱レイヨンはドイツのSGL と提携しており、英国スコットランドSGL Technic Ltd. に年間750トンの製造委託を行っている。

 

今回、東レはZoltek買収によりラージトウに進出するが、他の2社の状況は下記の通り。

 東邦テナックス

2004年8月、東邦テナックス100%の販売会社Toho Carbon Fibers, Inc.が、Acordis 100%のFortafil Fibers, Inc.を資産買収し、設備、資産および人員をToho Carbonに統合した。2005年4月に同社はToho Tenax America, Inc.に改称した。

同社の能力はLarge Tow 3,500トンであったが、買収後改造し、Regular Tow 700トン、Large Tow 1,300トンとした。(その後増強し、合計2,400トンとしたが、内訳は不明)

 三菱レイヨン

2011年に大竹事業所で産業用途を主体とした新タイプの高性能ラージトウ 年産2,700トンを完成した。

大型成形品に適した加工性を持ち、かつ高強度、高弾性の特性を実現したもので、これまでのPAN系炭素繊維の概念を変える新しい炭素繊維。高性能ラージトウを本格生産する世界最初の工場であるばかりでなく、ラージトウの工場あたり生産能力としても世界最大規模としている。

なお、三菱レイヨンは2010年4月、SGL Automotive Carbon Fibersに炭素繊維のプレカーサーを供給するため、SGL Technologiesとの間で合弁会社MRC-SGLプレカーサー」を設立した。SGLは米国でラージトウ繊維を生産する。

MRC-SGLプレカーサー 大竹 プレカーサー
SGL Automotive Carbon Fibers  米ワシントン州 焼成→ラージトウ炭素繊維
  同上(中間材工場) 独 バイエルン州 →各種織物
BMW部品工場   成形加工→炭素繊維複合材料
BMW   次世代環境対応車“Megacity Vehicle”

参考 炭素繊維関連記事

2006/9/9 炭素繊維  
2011/12/15 自動車向け炭素繊維複合材料の開発が進展    上記「MRC-SGLプレカーサー」記載
2013/4/6 帝人、炭素繊維関連で減損処理  

 


2013/10/3 東レ、韓国 ウンジンケミカル買収へ 

東レは9月27日、韓国の連結子会社 東レ尖端素材が応札していた熊津ケミカル(Woongjin Chemical)の株式約56.2%の入札方式による売却について、優先交渉権が確定したと発表した。

付記
東レは11月6日、熊津ホールディングスほかとの間で熊津ケミカルの株式56.2%を4,300億ウォンで取得する契約を締結した。

熊津ケミカルは2014年4月にToray Chemical Korea Inc.と改称した。

韓国で法定管理(会社更生法)の適用を申請した熊津ホールディングスが熊津ケミカルの買収優先交渉対象者に東レ尖端素材を選定し、ソウル中央地裁に承認を申請した。
入札には4社が参加し、東レが最も高い入札価格 4300
億ウォン(392億円)を提示した。

入札したのは他に、韓国のLG Chem、GS EnergyとUNIDの3社。

UNIDは1980年に東洋化学とDiamond ShamrockのJVの韓国カリ化学として設立された。1987年にDSが撤退、1995年にUNIDに改称。
水酸化カリ、炭酸カリなどの化学品と中密度繊維板(ボード)を扱う。

裁判所の承認と調査、本契約などの手続きを経て子会社化するが、中国当局による独占禁止法審査などもあり、若干時間がかかるとみている。

買収するのは、熊津グループ所有の46.3%と同グループの尹錫金会長の息子二人所有の9.9%の合計の56.2%。

熊津ケミカルは ポリエステルフィラメント、ポリエステルファイバー、チップ、繊維、水処理フィルター、A-PET シート(無延伸フィルム)、アラミド繊維等の製造・販売を行っている。

水処理フィルターでは逆浸透膜とマイクロフィルターを扱っている。(1994年に韓国で初めて 逆浸透膜を開発した。)

熊津ケミカルは1972年にSamsung Groupにより Cheil Synthetic Fiber として設立され、1997年にセハン(Saehan Industries)に改称した。
2008年に熊津グループが買収し、社名を現在の熊津ケミカルに改称した。

東レは1999年10月にセハンとのJVで東レセハンを設立した。(東レ60%、Saehan 40%)

東レセハンはセハンから亀尾第1工場のポリエステル長繊維年産5万トン、同フィルム9万トン、また亀尾第2工場のポリプロピレン/ポリエステル長繊維不織布2万4,000トンの全事業を買収し、その後、年産1万トンの最新鋭ポリプロピレン長繊維不織布設備を建設した。

東レは2008年に東レセハンを100%子会社とし、2010年5月に創立10周年を機に、「東レ尖端素材」(Toray Advanced Materials Korea Inc.)に社名変更した。

今回、当初東レと熊津ケミカルのJVであった同社が、一方の親会社であった熊津ケミカルを買収することとなる。
 

東レは水処理膜大手の同社を傘下に収めることで、現在の世界シェア25%程度を30%強に高め、世界首位(30%強)のDow Chemical に迫る。

東レは海水淡水化や排水処理など大型設備向けの高性能品に強く、熊津ケミカルは家庭用浄水器向けが主力で 、顧客に重複が少なく、相乗効果が見込まれる。

東レ尖端素材は9月30日、「熊津ケミカルとの相互補完的な事業構造を通じ、事業間で戦略的シナジー(相乗効果)を創出する企業として今後、持続的な投資と高付加価値製品の開発、事業間シナジー・力量統合を基盤とした新事業を推進していく」と発表した。
東レのグローバルネットワークを活用し、海外市場拡大とR&D分野での協力を通じグローバル総合化学素材企業としての同時成長を追求すると強調、 併せて、安定的な雇用とこれまでの協力関係を土台に熊津ケミカルの安定的な経営を図っていくと説明した。

 

東レは米国のラージトウ炭素繊維メーカーZoltek の買収と合わせ、今後の成長をけん引する炭素繊維と水処理膜という2大成長分野で拡充を図る。 

ーーー

熊津ホールディングスは2013年2月から、教育出版部門を除く熊津食品、熊津ケミカルなどの系列会社を売却して債務を返済することを骨子とする再生計画を、裁判所の認可を得て進めている。

同計画に基づき、年内に熊津ケミカルを売却し、売却代金で債務を返済しなければならないため、入札価格、財務能力などを優先的に考慮し、交渉対象者を選定した。

ーーー

熊津グループの創業者の尹錫金会長は韓国ブリタニカのセールスマンを経て、英会話教材の図書出版 熊津出版を設立 、学習教材と児童向け図書の訪問販売で急成長した。

その後、朝鮮人参の加工食品(熊津食品)、化粧品(後に売却)事業を開始、訪問販売を行ったが、訪問販売の製品多様化のため1989年に熊津コーウェイを設立して家庭用浄水器事業を開始した。その後、浄水器のリースに加え、フィルタ交換や水質検査などのサービスを充実させ、事業が急拡大した。

しかし、その後の更なる拡大が同社の足をすくった。

まず太陽光発電事業に進出、米国のSun Powerとの合弁で熊津エナジーを設立し、Sun Powerからインゴット製造とモジュール組み立ての技術を導入して生産を開始、更に熊津ポリシリコンを設立し、川上進出を果たした。

さらに合成繊維・化学材料メーカーのセハン(熊津ケミカルに改称)を買収、重合工程の技術者を有効に活用した。

その後の太陽光発電の世界的不況で、熊津エナジーと熊津ポリシリコンの業績悪化が熊津グループの大きな重荷となった。

さらに同社は2007年に売りに出ていた極東建設を買収した。(市場価値よりもはるかに高い値段で買収したとされる。)

しかし2011年以降、不動産不況が本格化してアパート分譲事業は極度の不振に陥り、極東建設と同社に債務保証をおこなっていた熊津ホールディングスは資金繰りが困難となった。

2012年9月26日、熊津ホールディングスと極東建設は会社更生のための法廷管理を申請した。

JETRO アジア経済研究所 大財閥を夢みた企業家の挫折-- 熊津グループの経営破綻

ソウル中央地方法院破産3部は2013年2月、ウリ銀行など金融会社8社で構成された債権者協議会が提出した熊津ホールディングスの回復計画案を認可した。

一時14社に達した熊津グループの系列会社は、熊津シンクビッグ(旧称 熊津出版)とブックセンだけを残して全て整理され、事実上熊津グループは解体される。
熊津ケミカルと熊津食品を年内に売却するほか、熊津エナジーを2015年にまで売却して債務を返済する。
法廷管理人は、“熊津ケミカルと熊津食品は市場の関心が高い資産”として、“最大限高い価格で売って債務を早期に返済する”と話した。

熊津コーウェイ(家庭用浄水器事業)と熊津パスウォンは売却が完了している。

債権団は、熊津ケミカルの価値を経営権プレミアムを含んで2066億ウォン(189億円)、熊津食品は495億ウォンと算定した。

東レは最も高い約400億円を提示したとされ、債権団の評価額と比べると高過ぎると思われるが、LGなど他社との競合で、この価格になったと思われる。過去の経緯や東レの水処理事業の今後を考え、他社に 獲られるわけにはいかなかったのかも分からない。

同時に債権団は、熊津ホールディングスに対して大株主15対1、一般株主9対1の割合で減資を実施することを決めた。
これに伴い、現在熊津ホールディングス株73.92%を保有している尹錫金会長の保有率は5%水準に落ちる。

尹会長の2人の息子は、保有する熊津ケミカル株と熊津食品株を 売却して、約500億ウォンの私財を放出、代わりに熊津ホールディングス株を25%まで確保して、最大株主の地位を維持する。


2013/10/4 コスモ石油と極東石油工業、千葉製油所の共同事業検討

コスモ石油、三井石油、東燃ゼネラル石油の3社は9月30日、コスモ石油千葉製油所と極東石油工業千葉製油所の効率化および最適化機会の追求に向けて、両製油所の共同事業に関する検討を開始することで合意し たと発表した。

京葉臨海コンビナート地区で隣接する両製油所が共同事業を行うことで、効率が向上し、国際競争力を持った国内トップクラスの製油所へと成長、発展する可能性があるとの認識で一致した。

今後、以下の点を検討する。

・両製油所間を結ぶパイプライン建設を含めた当該製油所操業全般の連携による効率化機会の追求

・両製油所の原油の選択および生産計画の最適化

・共同事業体設立の可能性

付記

コスモ石油と東燃ゼネラルは2014年12月19日、下記内容の基本契約書を締結した。

 ・2015年1月に両社で共同事業会社「京葉精製共同事業合同会社」を設立する。
 ・両製油所を結ぶパイプライン敷設を正式合意。
 ・パイプライン完成に先行して両製油所の生産計画を一体的・総合的に立案し、生産効率の向上を目指す。
   また、常圧蒸留装置を含めた設備の最適化についても併せて検討する。
 ・パイプライン完成後、共同事業会社へ精製設備を一元化し、パイプラインを活用することで、年間100億円程度の収益改善を見込む。

極東石油工業は東燃ゼネラル石油子会社のEMGマーケティング(旧称エクソンモービル)と三井石油の50:50の合弁会社。
東燃ゼネラルによる三井石油買収が噂されており、これが実現すると極東石油工業は東燃ゼネラル子会社となる。

2013/9/23     東燃ゼネラル、三井石油を買収へ 

コスモ石油は1986年4月に大協石油、丸善石油、(旧)コスモ石油が合併し発足した。
  旧コスモ石油は1984年4月に大協石油が四日市製油所を、丸善石油が千葉製油所、堺製油所
を分社化し、統合。

1989年にアジア石油(坂出製油所所有)と合併した。
2007年にアブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社(IPIC)が約900億円を投じコスモ石油に20%出資、筆頭株主になった。

ーーー

各社の製油所とトッパー処理能力は下記の通り。(千bbl/d)

  トッパー
処理能力
高度化法
対策後
備考
東燃ゼネラル石油

 

川崎 335 268

1基破棄
分解能力+345

156 156  
和歌山 170 132

1基破棄

合計 661 556  
極東石油工業 千葉 175 175  
東燃グループ合計 836 731  
 
コスモ石油 千葉 240 240  
四日市 175 175  
80 80  
坂出 140 0

2013/7閉鎖

合計 635 495  

2013/4/27 再び「エネルギー供給構造高度化法」について


2013/10/5   中国、上海に自由貿易試験区を設立

中国政府は9月29日、経済の中心都市上海に貿易や金融などの規制を大幅に緩和する自由貿易試験区 (Shanghai Pilot Free Trade Zone) を設立した。
高虎城商務相は「自由貿易試験区の設立はグローバル経済の発展の流れに順応し、積極的に対外開放を進める重大な出来事だ」と挨拶した。

中国国務院常務会議は7月3日、「中国(上海)自由貿易試験区全体プラン」について審議し可決、国務院は8月17日に中国(上海)自由貿易試験区の設立を許可した。

国務院は、サービス分野を対外開放するとともに、人民元に交換性を持たせて金利を自由化するなど、大胆な金融改革を行う実験台とする方針を表明していた。

自由貿易試験区に指定されたのは上海郊外の4つの地域およそ29平方キロメートル。

上海市外高橋保税区 1990年、中国で最初に保税区の認可を受けた保税区。 10 km2
外高橋保税物流パーク 2004年7月15日に正式に運営開始したを始めた保税区物流パーク 1.03 km2
上海浦東空港(机场
      総合保税区
2010年9月28日に運用開始
航空機のリース基地、メンテナンス基地として発展
IT製品や航空機材を中心とした貨物の配送、中継基地としての地位を確立
3.59 km2
洋山保税港区 大洋山島と小洋山島に属する島々の間の海を埋め立てて作られた。
上海市との間を長さ32.5kmの東海大橋で結ぶ。
東海大橋の本土側の浦東新区では、埋立地に新都市・臨港新城が建設された。
14.16 km2
合計   28.78 km2
 
洋山保税港区
 

洋山保税港区は国務院の批准を経て設立された最初の保税港区で、使用開始は20051210日。

浙江省嵊泗小洋山港口区域、上海市南匯区陸上区域、双方をつなぐ東海大橋により構成されている。

保税港区南匯陸地部分は臨港新城主城区と重装備製造産業区に隣接している。

 

試験区内では、通関業務が簡素化されるほか、国外との資本の取引など金融分野での規制が緩和される。
また外資系企業に対しては、ゲーム機の販売を認めたり、医療機関の設置を許可するなど、サービス分野でも開放が進められる。

国境を越えた証券投資については従来、投資枠に制限を設ける適格外国機関投資家および適格国内機関投資家制度を通じたものに制限されてきたが、試験区内の投資家へは外国勢、中国勢ともに直接投資を認める。試験区内の外銀は国内市場での起債が可能になる。

試験区で国際原油価格先物の取引プラットフォームを開設し、外国勢の参入を促す。

保険規制当局は、外国の健康保険会社が試験区内で営業できるよう支援するとともに、人民元建ての国境を越えた再保険の開発も後押しする。

中国銀行業監督管理委員会は、試験区内の銀行の国境を越えたファイナンスに関連して預貸比率その他の規制基準を修正する。
加えて、外国銀行が試験区内で代表事務所を本格的な支店に格上げする場合の規制緩和も検討する。外銀による元建て決済認可資格の申請を迅速化する。

 

国務院は9月27日、「中国(上海)自由貿易試験区全体プラン」を発表したが、注目点として以下の4点が挙げられる。
人民網日本語版 2013年9月29日

(1)「ネガティブリスト管理」投資・貿易がより便利に

ネガティブリストとは投資分野で例外的に開放されていない分野のリストを指し、このリストに記載されていない項目は法律で禁止されていない限り規制されないことになり、事前の審査・認可も不要となる。

政府の権力を制限して、市場や企業により大きな役割を発揮させようとしているといえる。

(2) 「境内関外モデル」貨物の流通がスムーズに

上海自由貿易試験区の建設は保税区を基礎としているが、保税区では税法上は国内扱いであるのに対し、試験区では本格的な「境内関外モデル(国境内にあるが関税は外国扱い)」を目指す。

保税区の場合、貨物が保税区に入る場合は事前申請が必要で、しかも関税は『徴収を一時留保』されるだけで、免除されるわけではない。
これに対し、自由貿易試験区は『一線(国境線)を徹底的に開放し、二線(試験区以外のエリアとの境界線)を効率よく管理』との要求に基づき、まず貨物を搬入してから申告することを許可する。
国際的慣例に合致する貨物はスムーズに入ることができ、関税障壁・非関税障壁は存在しない。

(3) 「サービス業の開放」外部競争者の参入で国民に利益

中国のサービス業の発展はこれまで、開放度の不足や国による一定の保護などにより、日に日に増加する国民のニーズを満たせていなかった。

競争者が多元化することで、国民には利益がもたらされる。
政策による保護の撤廃と競争意識の改善に伴い、サービス業の企業も本気を出さないわけにはいられなくなり、自由貿易試験区の良い効果を十分に引き出すことができる。

(4) 「金融革新」全国に先駆け金利の市場化を推進

資金など核心的要素の価格は依然としてコントロールを受けているが、試験区がこの方面で全国に先駆けて試行を行った意義は大きい。

試験区は金融の革新を奨励しており、金融機構の業務モデルチェンジを後押しすることになる。

 

上海市政府は9月30日、外資系企業に対する禁止・制限措置リスト(ネガティブリスト)を発表した。
   http://www.shftz.gov.cn/WebViewPublic/item_page.aspx?newsid=635158957941988294&coltype=8#

1069項目ある外資規制策をもとに決めたが、190項目あり、規制緩和ペースは思ったより緩いとの声もある。


2013/10/7    日本出資の中部ジャワ石炭火力発電所計画 難航

インドネシアのジャワ島中部で日本が官民一体で進める石炭火力発電所計画が難航している。

事業資金の融資契約を10月6日までに締結することが認可の条件であるが、前提となる用地確保が出来ず、権利喪失が懸念されていたが、このたび、ユドヨノ大統領が融資契約期限の再延長を認める大統領令に署名し、最悪の事態は免れた。

当初は2012年10月6日が期限であったが、1年限りで延長が認められていた。

しかし、国軍や警察と連携した強権的な手法に対する住民の不信感は根強く、用地買収が完了するメドは立っていない。

事業会社は8割の買収を終えたとしているが、反対派を支援する環境保護団体は、売却された土地は予定地全体の3割に過ぎないとしており、反対派は徹底抗戦の構えを見せている。

付記

 Bhimasena Power Indonesiaは2016年3月、用地の取得が完了したと発表した。

ジョコ大統領が2015年8月に建設着工を宣言したが、一部の土地の収用が遅れていた。

ーーー

計画は中部ジャワ州に合計出力200万kWの石炭火力発電所を建設し、インドネシア国有電力会社(PLN)と25年間の長期売電契約(PPA)を締結するアジア最大規模のIPP事業。

2011年4月に行われた国際入札で、電源開発(Jパワー)と伊藤忠が現地のAdaro Energy Tbk.と組んで優先交渉権を獲得、10月に同JVが国営電力PLNと契約を結んだ。

日本政府が進めるパッケージ型インフラ輸出で、高効率石炭火力発電設備としては初の案件となる。

概要は以下の通り。

立地 :中部ジャワ州バタン県
 

発電所 :中部ジャワ発電所(CJPP)
発電方式 :超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)石炭火力発電
         
亜臨界圧石炭火力発電所と比べ、
          使用燃料を約1割削減
       容量100万kW当たり二酸化炭素排出量を年間約50万トン削減
出力 :200万kW(100万kW×2)
        ジャワ島の電力需要の約1割
燃料 :インドネシア産低品位炭(亜瀝青炭)
スキーム :BOT(Build-Operate-Transfer)方式
事業会社 :PT. Bhimasena Power Indonesia
  建設・保有・運営・保守を担当
出資
電源開発(Jパワー) 34%
  PT Adaro Energy Tbk. 34%
  伊藤忠商事  32%
電力販売先 :PLN(インドネシア国有電力会社)
    インドネシア財務省が国営インフラ保証会社を通じて、PLNの契約履行を保証
契約期間 :25年間
工程
   (2011/10)
:2012/10 着工
    2016/10  1号機運転開始(工期48か月)
    2017/4    2号機運転開始(工期54か月)
事業費 :約40億ドル
資金調達  :三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、国際協力銀行 (JBIC)などで構成する銀行団が
  30億ドル程度を協調融資

Bhimasena Power Indonesiaでは計画の意義を次の通りとしている。
 ①電力の安定供給
 ②大型インフラ案件のモデルケース
 ③環境配慮型のプロジェクト

本計画の認可条件として、事業資金の融資契約を1年以内(2012年10月6日まで)に締結することとなっており、そのためにはそれまでに用地の買収を完了しておく必要があった。用地買収、住民対応等ほとんどを事業者側が負担する形になっている。

建設用地の買収は難航した。農地は年3回、コメの収穫が可能という肥沃な土壌で、田んぼを手放さないという農民と、予定地近くの漁場汚染を懸念する近隣の村の漁師、環境保護団体が猛反対した。

期限の2012年10月になっても、同計画に関する環境アセスメントや土地取得が終わっておらず、地元住民の反対運動も続いていた。
このため、インドネシア政府は資金調達契約の締結期限を1年間延長した。再延長はなしと決められた。

2012年9月に建設予定地のポノワレン村で、視察に訪れた住友商事社員とインドネシア人運転手が発電所建設反対派住民に約5時間民家に連れ込まれ、警察が威嚇射撃や催涙弾を用いて救出するという事件が起こった。

事件以降、ポノワレン村には軍と警察が常駐している。

以下、新聞報道から。

 2013/6/25 産経  住民パワー 押し付け開発「No」

◆黄色い拒否の旗
◆軍常駐
でぴりぴり

ビマセナ側は「今年は3月までに座談会を約50回開き、理解を得ている。教育・医療支援など企業の社会的責任を果たす活動にも力を入れている」と説明するが、同村幹部は「説明会は1回きり。支援の具体策の説明もない」と食い違う。

 2013/6/28 毎日 火発計画、住民反対で頓挫 日本のインフラ輸出、成長戦略に冷や水

建設予定地は田畑で地権者は数百人。地元企業と警官、国軍兵士がチームを組んで、環境破壊などを懸念する建設反対派の農民に対し「強制的に土地を取り上げ更地にする」などと売却を強要するケースが頻発したため農民側が反発。

日本企業の関係者は、強権的な手法で買収を進めていたことを認め、「現状では10月着工は難しい」との見方を示した。

 2013/7/6  毎日  火発に1000人抗議デモ 計画書承認に反発

州都スマランの環境管理局前で5日、同州バタン県で日本が官民一体で進める中部ジャワの石炭火力発電所建設に反対する地元住民約1000人が抗議デモを行った。

要求は(1) 計画の即時取り消し (2) 環境影響評価発行差し止め (3) 国軍や事業会社社員による用地売却強要の中止−−の3点。

 2013/7/31 毎日 発電所予定地で住民と警官衝突

現場を目撃した住民によると、衝突はバタン県カラングヌン村で発生した。事業会社が掘削作業を行っていた現場に住民約500人が集まり、作業の中止を要求。警官など約150人ともみ合いとなった。

毎日新聞(8月4日)によると、インドネシアの独立調査機関「国家人権委員会」が政府などに対し、用地買収交渉からの地元警察と国軍の撤退を求める勧告書を提出したことが分かった。

計画について「正式承認前にもかかわらず、事業会社、政府、警察、国軍が脅迫や強権的手段で用地買収を進めている」と指摘し、「建設の影響で失業する(農民ら)数千人の住民のための綿密な計画が準備されていない」と批判した。

その上で
(1)計画の公式承認まで用地買収交渉中止
(2)建設で農地や漁場を失う失業者向けの雇用・福祉対策の明確化
(3)人権侵害の監視強化
(4)売却強要につながる警官、国軍兵士の交渉からの撤退−−などを求めた。

このままでは日本企業が出資する事業会社は建設の権利を喪失し、莫大な損失が出る恐れがあったため、日本政府はインドネシア政府に対し、協力を要請した。

インドネシアを訪問中の西村康稔副内閣相は7月15日、ハッタ・ラジャサ調整相(経済担当)と会談し、「中部ジャワ発電所計画」への協力を要請した。

9月のロシアのサンクトペテルブルクでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議の際、安倍首相が直接ユドヨノ大統領に協力を要請した。

これを受けて、今回の再延長の承認となった。


このままでは、反日感情が高まる恐れがある。


2013/10/8    DIC、絵画売却で特別利益計上 

DICは10月4日、運営するDIC川村記念美術館で1990年5月の開館以来、展示してきたBarnett Newman作の絵画「アンナの光」を売却すると発表した。海外の企業(社名は非公示)から同作品購入の意向が示された。

譲渡益は手数料控除後で103億円で、特別利益として計上する。税引後の当期利益で64億円の増となる。

同社では、経営ビジョン「Color & Comfort by Chemistry(化学で彩りと快適を提案する)」の実現に向けた経営を推進するにあたって、財務体質の強化を図りつつ、今後の持続的成長のための合理化や成長分野への投資を行っていくことが重要課題であると認識しており、同作品の譲渡により得られる資金を活用し、積極的かつ迅速にこのような取組みを進めていく。

DIC川村記念美術館については、これまでの運営方針に変更はないとしている。

ーーー

Barnett Newman(米、1905~1970)は現代抽象表現主義の代表的作家。

アンナの光("Anna's Light")はニューマンが63才の時に手がけた作品で、制作の3年前に亡くなった母の名にちなんで名付けられた。

ニューマンが制作した絵画の中で最大のサイズ(276.0 x 611.0cm)を誇る。桁外れに大きな画面は赤い絵具で被われており、最初はローラーで、次いで刷毛で、幾層かに塗り重ねられている。

DIC川村記念美術館は、DIC創業者・川村喜十郎をはじめとする川村家3代の収集品を公開するため、1990年に川村記念美術館として開館、2011年にDIC川村記念美術館に改称した。 千葉県佐倉市郊外のDICの総合研究所に隣接する。

17世紀のレンブラント、19世紀のルノワールらフランス印象派を経てシャガール、ピカソに至る西洋近代絵画、ニューマン、ステラなどの現代美術に加え、尾形光琳、長谷川等伯らの日本美術まで幅広いコレクションを展示している。

収蔵品にはレンブラントの「広つば帽を被った男」、モネの「睡蓮」、ルノワールの「水浴する女」や長谷川等伯の「烏鷺図」(重要文化財)などがある。(主なコレクション

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2007年5月にSotheby'sのオークションで、米抽象画家マーク・ロスコ(Mark Rothko)の絵画が現代アートにおけるオークションとしては史上最高額(当時)の7,280万ドルで落札された。

DIC川村記念美術館にはMark Rothkoの〈シーグラム壁画〉と呼ばれるシリーズのうちの7点がある。

 

DIC川村記念美術館が所有する絵画の含み益の合計はどれ位あるのだろうか。


2013/10/9    帝人、韓国SK Chemical とPPS樹脂JV設立、東レも韓国でPPS樹脂生産 

帝人は、韓国のSK Chemical とのJVのINITZ Co. Ltd が10月1日にSKの蔚山工場内でポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の量産工場の建設を開始したと発表した。
SKの開発した塩素やナトリウム分を含まない革新的な新技術で年産1.2万トンのPPSを製造するもの。

ポリカーボネート樹脂・コンパウンドをグローバルに展開し、自動車やエレクトロニクス領域を重点分野とした樹脂のラインアップを図る帝人と、高いコンパウンド技術・経験を必要とするSKが、PPS樹脂で提携し、成長著しいアジア市場に焦点を当てたグローバル展開を図る。

本年2月に、帝人化成(2013/4/1 帝人が吸収)とSK Chemical がPPS樹脂に関する事業提携契約を締結し、PPS樹脂とそのコンパウンドの製造・販売を手掛ける合弁会社を設立することを合意した。これにより帝人はPPS樹脂事業に参入する。

新会社の概要は以下の通り。

社名   INITZ Co.,Ltd
所在地   韓国・蔚山市 (SK Chemical の蔚山工場内)
資本金   50億ウォン(出資比率:SKケミカル 66%、帝人 34%)
設立時期   2013年9月1日
事業内容   PPS樹脂(ブランド名 Ecotran)およびそのコンパウンドの開発・生産・販売
生産能力   年産1.2万トン(将来 2万トンへ)
稼働   2015年

2020年度までに約3,000億ウォン(約270億円)の売上達成、20%のシェア獲得、そして、世界トップクラスのPPS樹脂およびコンパウンドのメーカーへと成長していくことを目指 す。

社名のINITZ はラテン語のInitium(始まり)とZenith(頂点)を合わせた造語で、「他社に無い最新技術でPPSで世界のトップ企業になるため躍進する」というコミットメントを表す。

SKでは世界のPPSの市場をコンパウンドベースで 94千トンとみている。
他のスーパーエンプラの需要が年率4%程度の伸びに止まるのに対し、PPSは 7~8%で伸びるとみている。

PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、強度などに優れる樹脂材料で、主に自動車やエレクトロニクス市場において広く使用されており、電気自動車やハイブリッドカーのさらなる普及、新興国におけるエレクトロニクス市場の拡大などに伴い、さらなる需要拡大が見込まれている。

従来のPPS樹脂には、樹脂中に含まれる塩素やナトリウムが腐食や接触不良、環境への悪影響を招く懸念があり、副産物の処理が大変であった。

PPSは、その化学組成の約30 重量%が硫黄、約70重量% がベンゼンで構成される。
従来のPPS製造プロセスは、硫化ナトリウムとパラジクロルベンゼンを溶媒(N-メチルピロリドンなど)中で反応させる。

この方法では重合中に溶媒に不溶な塩化ナトリウムが副生するため、連続製造が困難で、水洗工程が必要であり、溶媒回収や廃水処理工程の負荷が大きいといった問題がある。

更に、製品PPS中に微量な塩素や塩化ナトリウムが残留、金型の腐食を招いたり、金属部品の接触不良などの機能低下の原因となることや、燃焼した場合に環境に悪影響を及ぼす恐れがあることが課題となっていた。

SKが8年かけて開発した新製法では、2よう化ベンゼンと硫黄コンパウンドを原料とし、溶媒を使わないもので、製品に塩素が残留せず、また溶媒回収、副産物処理の設備が不要となる。

世界初の溶媒を使わない製法で、100以上の特許を取得している。

 

SKではこれらの点が需要家に高く評価されると見ている。

 

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東レは10月7日、韓国の100%子会社の東レ尖端素材(Toray Advanced Materials Korea)でPPSを新設すると発表した。東レとして初の海外でのPPS樹脂生産拠点となる。

能力:年産8,600トン(東海工場と合わせ 27,600トンに)
稼動:2016年4月
原料:硫化水素ナトリウム、パラジクロロベンゼンも自製
コンパウンド:年産3,300トン(2015年10月先行)

PPS樹脂は、韓国内消費分以外は中国を中心とした東レグループの各コンパウンド拠点へ供給し、グローバルな事業拡大を一層進める。

 

なお同社では、PPS樹脂の需要拡大に対応するため、次期増設の計画検討にも着手している。

 

同社の生産体制は以下の通り。(年産トン)

   PPS樹脂 コンパウンド
既存 今回決定 既存 今回決定
東海工場 19,000      
名古屋事業場     8,300  
東レ尖端素材(韓国)   8,600   3,300
Toray Plastics (深圳)     10,000  
Toray Plastics(蘇州)     2,000  
小計 19,000 8,600 20,300 3,300
合計 27,600 23,600

 

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日本のPPSの現在の状況は以下の通り。
 
は今回発表の計画
  立地 現状  
DIC EP 鹿島工場 19,000トン  
千葉工場
東レ 東海工場 19,000トン  
韓国 8,600トン  
クレハ 錦工場 10,000トン コンパウンドはポリプラスチックが担当
Wilmington, N.C 15,000トン Fortron Industries LLC
(JV of Ticona and Kureha )
東ソー 四日市工場    2,700トン
 (cpd    4,600トン) 
当初 東ソー・サスティール
  (東ソー70%、保土ヶ谷化学30%)
1992/6 東ソー100%、1996吸収合併
出光ライオンコンポジット
(出光興産 50%、ライオン50%)
千葉工場 10,000トン 2013/10/1 出光興産から移管 
INITZ(帝人/SK Chemical) 韓国 12,000トン  

2011/10/14 DIC、PPS事業を増強


2013/10/10    Ineos、Grangemouthの石化コンプレックス 閉鎖か?

IneosのスコットランドのGrangemouthの石化コンプレックス が存続の危機に立っている。

Ineosによると、Grangemouthの石化事業は毎月10百万ポンド(約15億円)以上の損失を出しており、年金の赤字は200百万ポンド(約310億円)に達する。
更に、
North Sea pipeline供給を受けている北海の石化原料が減少している。

このままでは原料が枯渇し、遅くとも2017年末までには閉鎖するしかないとし、Survival Plan を作成、労働組合と政府(英国及びスコットランド)に協力を求めた。

Survival Planは以下の通りで、これは生き残りのための最終案であり、他には案はない("There is no plan B")としている。

1) 300百万ポンド(468億円)を投資して、事業継続に必須の米国からの輸入エタンのガスターミナルを建設する。

Ineosは2012年9月、欧州のエチレン原料用にエタンを輸入するため、独立系石油・ガス業者のRange Resourcesとの間で、2015年からエタンを購入する契約を締結した。

同社のエチレンプラントは下記の通り。
 1.  Grangemouth, UK
 2.  Köln, Germany
 3.  Lavéra, France (INEOS & TOTALの50:50 JVの Naphtachimie)
 4.  Rafnes, Norway

まず、ノルウェーのRafnes 工場(北海のガスが枯渇しつつある)で使用する。

2012/10/2   Ineos、米のシェールガスからのエタンを欧州のエチレン原料用に輸入

2) その条件として、労働組合に対し、製油所も含めた人員整理と賃金・年金の改正を要求

同社によると、Grangemouth での基本給は年間 £40,000 ~£43,000、手当やボーナスを入れると £55,000となり、スコットランド平均 の £26,000の2倍以上としている。これに年金が65%上乗せされ、1人当たり労務コストは£90,000 にもなる。

3) 同時にIneosはスコットランド政府と英国政府に対し、事業をサポートするため、合計150百万ポンドの補助金と借入保証を 要求

 

これに対し、組合は脅し戦術だとして強く反発、ストではなく順法闘争を行い、残業を拒否することを決めた。

これより前、製油所も含めた組合の委員長の政治活動に関して、Ineosが調査を開始したことから、組合が反発、投票の結果、賛成多数でストライキを決めていた。

現時点でも、ストライキを放棄したわけではないとしている。

一方、IneosはIneos Chemicals Grangemouthの9月決算で資産396百万ポンド(617億円)を評価減し、ゼロ評価としたことを明らかにした。

「過去4年間の赤字で石化事業は実質的に価値が無くなった。コストカットと新しい原料ソースが無ければ、遅くとも2017年に潰れる。資産の評価減以外のオプションはない」としている。

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Ineosは2005年末にBPから石油化学子会社Innoveneを買収した。

INEOS Refining:Grangemouth と Lavera の製油所
INEOS Olefins:Grangemouth, Lavera、
Koln のC2, C3, C4 及び芳香族
INEOS Polyolefins:欧州、アジアのポリオレフィン事業
その他

Grangemouthの石化事業はInnoveneから買収した事業である。

エチレンクラッカーはエタンとナフサの両方を原料とする「G4」と、エタンを原料とする「KG」の2系列があり、合計能力は年産100万トンとなっている。

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隣接する製油所とフランスのLaveraの製油所も Innoveneから買収した事業である。

この2つの製油所については、2011年7月にCNPC(中国石油天然気集団 )子会社のPetroChinaとのJVとした。

両社は2つのJVを設立、PetroChinaは1,015百万ドルを出資した。
    両製油所の製品の販売会社   PetroIneos Trading Limited   PetroChina 50.1%
    両製油所の運営会社   PetroIneos Refining Limited   PetroChina 49.9%

2011/1/12 PetroChina INEOS欧州で石油精製JV設立へ

精製能力は日量20万バレル。


2013/10/11 オリックス、韓国STX Energyの持株の一部をLGとGSのコンソーシアムに売却 へ 

オリックスは2012年12月にSTX GroupからSTX Energy の持株を一部取得し、本年7月には残りの持株も全て買い取り、持株比率を96.3%とした。

但し、今回の買い取りは一時的に追加取得するものであり、オリックスが株式の過半数を継続保有して経営していくものではなく、近々、新たな韓国の事業パートナーに経営を移譲する予定 であるとしていた。

今回、オリックスの保有するSTX Energy株式のうち、約60%について入札が行われ、最終入札では、LG Chem とGS Energy のコンソーシアムが一番札となった。 近く売却が行われる予定。

入札にはLG Chem とGS Energy のコンソーシアムと、POSCO、Samtan (エネルギー関連企業)が参加した。
予備入札に参加したSK E&Sは取り止めた。

GSグループは2005年1月にLGグループの分離で誕生したもので、LG Chem はLG International を通じて歴青炭の輸入を行っており、GS Energy は発電事業を行っている。

なお、LG ChemとGS Energyはそれぞれ、熊津ケミカル の入札に参加、東レに敗れている。

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STX Energyは、韓国でコジェネ事業、卸電力(IPP)事業、油類事業などを手掛けるエネルギー事業会社。

主力事業であるコジェネ事業では、現在、韓国国内2ヵ所の産業団地内で大型コジェネ発電所を運営
IPP事業では、韓国電力公社(KEPCO)の子会社の韓国東西発電との共同出資で、韓国初の民間企業による石炭焚き IPP事業として、韓国江原道にて高効率で環境負荷の少ない1,190MWの超々臨界圧石炭火力発電所の開発を進めている。

同社はSTX Groupの子会社であった。

STX Groupは釜山近くに本拠を置く産業グループで、造船業を主としている。
1976年に双龍重工業として創業したが、アジア通貨危機で双龍グループが解体され、STX Groupに改称した。

造船・海運業を中核とするSTX Groupは、造船・海運不況の影響を受けて経営環境が悪化していた。

オリックスは2012年12月、STX Energy に資本参加すると発表した。
STX Group および少数株主が保有する普通株式を譲り受け、さらにSTX Energyが新たに発行する優先株式を引き受けることで、最大49.9%の持分を取得するとした。

韓国では、産業用を中心に電力需要が政府予想を上回って拡大しており、慢性的な電力不足に陥っていることから、高効率な超々臨界圧石炭火力発電を活用したIPP事業の需要が高まると期待されており、オリックスは、STX Energyの共同経営を通じて、韓国の電力市場での事業拡大を図り、電力の安定供給に寄与することを目指すとした。

具体的には、STX Group から43.1%を 3600億ウォン(約332億円)で買収 、合わせて450億ウォン(約42億円)規模の交換社債などを獲得した。

STX側によると、資金難解消のため売却するが、オリックスは純粋な「財務的投資家」を自認しており、経営権はSTXが維持される条件であった。

〔以下、韓国の新聞報道から。オリックスの説明はなく、同社の真意がどうであったかは不明〕

STX Groupは、資金繰りが悪化し2013年5月に債権銀行団の管理下に入ったが、流動性危機が深化した2013年4月23日 に、オリックスは交換社債を株式に変えて6.95%の持ち分を増やし、一気に持ち分比率 50.1%の最大株主になった。事前にSTX Groupとの協議はなく、通知さえなかったという。

続いて契約時に挿入された「STX Energyの資産価値が下落する場合、その下落分だけ新株を発行してオリックスが無償で全量確保することができる」という規定により、持株率を最大88%まで増やし、STX Energyの経営権を確保しようとしたとされる。

STX Energyは子会社 STX Solar(87%出資)や海外資源開発鉱区を保有しているが、STX Groupの構造調整作業のなかで、STX Solarの持分評価額が低くなったり、海外鉱区を(安く)売却した。

STX Groupでは、STX Energyの保有株式と経営権を私募ファンドのHahn & Companyに売却する案を推進しており、これにより、4000億ウォンの資金調達が可能になると見ていたが、これが出来なくなることから、STX関係者は 反発、「オリックスは危機に乗じて安値でSTX Energyを飲み込もうとしている」と述べた。

オリックスの動きに対しSTX Group側は、契約には、オリックスが交換社債を株式に切り替えて持ち分を増やした場合、STX Groupの会長がコールオプション(株式買収請求権)を行使してその分を取り戻せるという決まりがあり、これを行使しようとした。
また、Hahn & Companyとの間でSTX Groupの持分の43.2%を譲渡する覚書を締結した。
更に、経営権防御のため、民事・刑事上の対応も検討したとされる。

STX Energyの他の株主は、STX Group とオリックスの最初の譲渡契約のオリックスに無償で新株を与える条項は株主平等の原則に反し、既存株主の権利を侵害する契約であるとし、無効の訴えを起こした。

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この後、Hahn & Companyが株式取得を見送ると通知したとされ、STXグループの主要債権行である韓国産業銀行が動き、両社の間で和解が成立した模様で、オリックスは7月29日、以下の発表を行った。( )は新聞報道

オリックスは同日、STX Groupから同社が保有するSTX Energyの全株を(約2700億ウォンで)取得した。
これにより、オリックスの持株比率は96.3%となる。

これは一時的に同社株式を追加取得することで合意したもので、オリックスが株式の過半数を継続保有して経営していくものではなく、近々、新たな韓国の事業パートナーに経営を移譲する予定。

 STX Groupは、売却代金を会社債の償還、運営資金などに使う。  


2013/10/12 福島原発の汚染水処理対策の事業者が決定 

資源エネルギー庁はこのたび、福島原発の汚染水対策事業の事業者が決定したと発表した。

9 月11 日から10 月1 日(当初は9月24日)までの期間で募集していたもので、補助金の上限は下記の通り。

凍土方式遮水壁大規模整備実証事業       13,594,352千円
高性能多核種除去設備整備実証事業         6,973,726千円

応募は前者に1件、後者に14件あったが、審査の結果、下記の通り決まった。

凍土方式遮水壁大規模実証事業   鹿島建設と東京電力(共同提案)
高性能多核種除去設備整備実証事業 東芝、日立GEニュークリア・エナジー、東京電力(共同提案)

凍土方式遮水壁は元々、鹿島が提案していたもの。

高性能多核種除去設備については、既に設置され稼働を始めたALPS(日量250トンx 3基)を製造した東芝と、日立が組んだもの。

報道によると、配管や電気系統など浄化以外の工程は共通で、放射性物質を除去する工程だけを東芝方式と日立方式に分岐させて、それぞれ1日当たり250トンずつを浄化する仕組み。どちらかで効率が落ちたり、不具合が出たりしても、相互に補完できる利点がある とされる。

2013/9/7 福島原発 汚染水対策

別途、経産省は9月20日、国内外から汚染水対策に関する技術提案を募集した。

9月10日に開催された第1回廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議において、汚染水問題への具体的な対応を図るため、国内外の叡智を結集するためのチームを立ち上げ、広く対応策を募集し、寄せられた対応策について「汚染水処理対策委員会」を中心に精査していくことを決定した。

汚染水問題への対応として、以下の6分野について技術提案を募集する。
 1. 汚染水貯留
 2. 汚染水処理
 3. 港湾内の海水の浄化
 4. 建屋内の汚染水管理
 5. 地下水流入抑制の敷地管理
 6. 地下水等の挙動把握

募集期間は、9月20日~10月23日となっている。


2013/10/14 Solvay、シェールガス・オイル開発用化学品事業のChemlogicsを買収 

Solvayは10月7日、シェールガス・オイル開発用化学品を供給する米国のChemlogicsを現金13億45百万ドルで買収する契約を締結したと発表した。

Chemlogicsは特に非在来型の石油・ガス掘削用の薬剤とサービスを供給する会社で、米国の400以上の掘削業者に対し、それぞれの現場に最適のソルージョンを開発し、薬剤とともに提供している。(“Lab-to-Well” offer)
特に、水処理で優れている。

Solvayの界面活性剤事業Solvay Novecareでもこの分野の薬剤を扱っており、Chemlogicsの事業を加えることにより、シェールオイル・ガスの開発で急速に発展しつつある石油ガス事業での坑井刺激(Stimulation)、セメント封止、生産、水処理などの薬剤分野で幅広い製品をもつリーダーとなる。

ChemlogicsとNovecareのシナジーで、石油・ガス開発者が低コストかつ安全に石油・ガスを掘削でき、かつ、水の消費量を減らすことができるよう、包括的に製品を供給できるとしている。

水平掘削では、垂直掘削と比較し、坑井刺激(Stimulation)の必要性が著しく増大する。

Chemlogicsは2002年設立の非公開会社で、売上高は5億ドル、従業員は277人。
米国内に3か所の製造工場を持ち、需要家の採掘現場近くに8か所のフォーミュレーションセンター、6か所の研究開発施設を持つ。

Solvay NovecareはSolvayが2011年に買収したRhodia Groupの事業で、界面活性剤を中心とした下記の事業を行っている。

・Beauty, Hair & Skin Care
・Home & Fabric Care, Industrial & Institutional Cleaning
・Agrochemicals
・Paints & Coatings
・Industrial Applications & Metal Treatment
・Phosphorus Specialties
Oilfield & Gas production, and Water treatment

ChemlogicsとNovecareの石油・ガス開発関連の製品は下記の通り。
Chemlogicsは現在、米国内のみで事業を行っている。
他方、Novecareはグローバルに活動しており、今後、Chemlogicsの製品を海外でも販売する。


2013/10/15    「水俣条約」採択 

水銀の使用を国際的に規制する「水銀に関する水俣条約」が10月10日、熊本市で開催中の外交会議で採択された。
参加 141カ国・地域のうち、議長国の日本や最大の排出国の中国を含む87カ国・地域が条約に署名した。

2013年1月にスイスのジュネーブで「水銀条約政府間交渉委員会第5回会合」が開催され、水銀の使用や貿易、排出を国際的に規制する条約の条文案に合意するとともに、日本の提案を受け、条約の名称を「水銀に関する水俣条約」(Minamata Convention on Mercury)とすることを決めた。

今回、条約の採択・署名のための外交会議が開催されたもの。

条約の発効は50カ国の批准が必要で、国連環境計画は2016年をめざしている。

安倍首相はビデオメッセージで、水銀を含む環境汚染対策のため、ODAなどを通じ、来年から3年間で20億ドルの支援実施を約束した。大気汚染や水質汚濁、廃棄物処理で日本の技術を生かす。

このほか石原伸晃環境相は、条約の早期発効を目指し、途上国で水銀の法規制や人材育成を進めるために100万ドルを拠出し、工業分野で水銀を使わない製造技術などの支援も行うと表明した。

水銀条約の内容については、2013/2/12 水銀規制条約で合意、「水俣条約」と命名

水俣条約の採択を受け、WHOは2020年までに各国の医療機関で水銀を使った体温計や血圧計などの使用をやめるとする指針をまとめた。各国の政府や国際機関に水銀を使う製品の製造や輸出入をやめるよう働きかけ、世界で「水銀を使わない医療」の確立を目指す。

日本では、水銀を使わない血圧計や体温計が普及しており、照明器具も蛍光灯から発光ダイオードへの転換が進んでいる。
但し、学校保健安全法施行規則は「(職員の健康診断で)血圧は、水銀血圧計を用い、聴診法で測定するもの」と定めている。

一方、金属製錬の過程で副産物として発生した水銀や、蛍光管、乾電池のリサイクルで出る水銀を、インドやシンガポール、香港などに輸出しており、輸出量は2012年は84トンとなっている。水銀の使用量が少ない国への輸出は他国に再輸出されているとみられている。(EUや米国は2008年に水銀の輸出禁止を決めている。)

条約が採択されれば、輸出できなくなった水銀を国内で安全に保管する技術の開発が急務となり、保管費用を誰が負担するかも問題となる。

EUでは水銀と硫黄を反応させ、固形化して地下の岩塩層に埋設するが、日本では難しい。

水俣には広大な公園「エコパーク水俣」があるが、その公園の地下には、高濃度の水銀が埋まる。チッソが垂れ流した25ppm以上の水銀を含む汚泥を湾の底から除去、特に汚染がひどい湾奥部に集めて埋め立てた。

報道によると、水銀が海に染み出さないよう、巨大な鋼鉄製の円柱50個をならべ、海との間を仕切っているが、円柱の耐用年数は50年で、既に20年以上たち、腐食や老朽化、地震での崩壊などが懸念されている。

ーーー

安倍首相のビデオメッセージでの「日本は水銀による被害を克服した」との発言が波紋を呼んでいる。

「加害者である国が克服と断言してはならない」、「水俣病はまったく終わっていない」との声が出ている。

水俣病未認定患者の遺族が熊本県に認定を求めた2件の訴訟の上告審判決が4月16日、最高裁第3小法廷で言い渡され、いずれも患者側の勝訴となった。

環境庁の「手足のしびれや視野狭さく、運動障害など複数の症状の組み合わせ」を条件とするという「昭和52年判断条件」に基づく高裁判決を破棄した。

政府はこれまで、「52年判断条件」に基づいて水俣病収拾策を行い、収拾を図ろうとしてきたが、前提が崩されたことになる。

2013/4/17  水俣訴訟、最高裁判決 

救済されていない患者はまだまだ多く、とても「克服した」とは言えない。

なお、「水銀条約」に関する外交会議の行事として10月9日に水俣市で行われた水俣病犠牲者追悼式に、当初、石原伸晃環境相が欠席することが分かり、問題となった。長崎県・五島沖での風力発電実証機の完成式典に出席するためとされた。

批判を受け、最終的に環境相は追悼式に出席したが、省内からも「水俣病の教訓を世界に伝え、悲劇を繰り返さないことを誓う大切な追悼式だ。国内の行事を優先させ、ホスト国の大臣が来ないのは外交の重要性から考えてもおかしい」との批判が出ている。

 

付記

2016/2/2 環境省発表

先の国会での承認を経て、本日の閣議で「水銀に関する水俣条約」の締結を決定しました。近日中に国際連合事務総長宛に受諾書が寄託される予定です。

 


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