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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2013/4/1 三菱化学、高吸水性樹脂事業から撤退 

三菱化学は3月29日、高吸水性樹脂(SAP)を製造・販売するサンダイヤポリマーの持株全てを譲渡し、合弁事業を解消すると発表した。
持株40%のうち、30%を豊田通商に、10%を三洋化成に譲渡する。

この結果、三洋化成 60%、三菱化学 40%であったサンダイヤポリマーは、三洋化成70%、豊田通商30%のJVとなる。

豊田通商は三洋化成が世界で初めてSAPの商業生産を始めて以来、その販売に携わってきた。

三洋化成と豊田通商はSAPを戦略的開発品と位置づけており、今後いっそうの事業拡大のためには、両社が事業を遂行していくことが最適であると判断し、合弁を解消することとした。

豊田通商が保有する販売・物流網を活用することにより競争力を高め、成長するSAP市場での積極的投資を通じグローバル展開を加速し、これまで以上に市場ニーズ、顧客ニーズに応えるべく尽力する。

大垣工場は三菱化学連結子会社の日本合成化学内にあるが、引き続きサンダイヤポリマーのプラントとして稼働を継続する。


三菱化学は、四日市のアクリル酸、同エステル、グループ会社のエマルションなど川下製品までの一貫体制で競争力を強化する。
JVの解消後も、サンダイヤポリマーに原料アクリル酸の供給を継続する。

サンダイヤポリマーは実質的に三洋化成の事業になっており、三菱化学にとってはアクリル酸さえ買ってくれるのであれば、三洋化成に任せる方がよいとの判断であろう。

ーーー

サンダイヤポリマーは2001年3月22日に三洋化成工業 60%、三菱化学 40%出資で設立され、20014月に営業を開始した。

三洋化成は名古屋に年産85トンのプラントを有しており、三菱化学は日本合成化学工業との合弁のダイヤポリアクリレート(三菱化学 51%/日本合成化学 49%)大垣工場に年産10千トンのプラントを有していた。

合弁会社設立とともに、ダイヤポリアクリレートのSAP製造プラントは合弁会社に移管された。

2003年6月にサンダイヤポリマーが100%出資し、中国現地法人「三大雅精細化学品(南通)有限公司」が設立された。

その後、各プラントは以下の通り増設され、現在の合計能力は270千トンとなっている。

    設立時     手直し
名古屋   85  → → → 105 115
大垣   10  → → → 20  
中国    2065 135  
合計   95   260 270

 

参考

2011/8/4 日本の各社、高吸水性樹脂を増強

2006/4/24  アクリル酸業界


2013/4/2 東京ガス、米国でシェールガス開発事業に参加 

東京ガスは3月29日、Quicksilver Resources Inc.との間で、米国テキサス州バーネット堆積盆におけるシェールガス開発事業の権益に関する売買契約を締結したと発表した。

東京ガスは東京ガスアメリカの子会社としてTG Barnett Resources LPを設立し、Quicksilver がバーネット堆積盆でシェールガスを開発・生産している事業の権益25%を485百万米ドルで取得する。

同社持分のガス生産量は、LNG換算で約35〜50万トン/年と見込んでおり、米国内市場に販売する

同鉱区はバーネット堆積盆の複数鉱区で、約13万エーカー。確認埋蔵量は天然ガス1.2兆立方フィート。

付記

東京ガスは2015年4月、ガス・原油価格下落の影響等を踏まえた事業価値の再評価をおこなった結果、本投資で約240億円の減損損失が発生する見込みと発表した。

付記

2015年3月期に230億円、2016年3月期に128億円、合計 358億円の減損損失を計上
 

東京ガスが米国でシェールガス事業を権益を取得するのは初めて。

同業では大阪ガスが2012年6月22日、米国テキサス州のPearsall Shale ガス・オイル開発プロジェクトに参画することを決め、Cabot Oil & Gas Corporationとの間で、権益35%を250百万米ドルで取得すること等を定めた権益売買契約を締結している。

所在地:米国テキサス州南部(イーグルフォード地区)
参加者:Cabot 65%:オペレーター 、大阪ガス 35%
開発対象:ピアソール層
主な産出資源:天然ガス、軽質原油、NGL

東京ガスは、カナダでは中部電力、大阪ガスと石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とともに、三菱商事が20109月から参画しているカナダのCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参加している。

2011/5/14 中部電力、東京ガス、大阪ガスとJOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加 

日本の各社のシェールガス開発への参加状況は別紙のとおり。


2013/4/3 Sasol、ルイジアナでエチレンとLDPEプラント建設 、シェールガス利用計画拡大 

南アのSasolは3月28日、ルイジアナ州 Lake Charlesに新しいLDPEプラントを建設することを明らかにした。

ExxonMobilのチューブラー法を使用するもので、能力は年産42万トン、2016年下期の完成を目指す。
同社は2005年に南アのSasolburgでExxonMobilの同技術でLDPEプラントを建設している。

Sasolは2011年11月に、Lake CharlesにGas-to-liquids (GTL)プラントとワールドクラスのエチレンクラッカーと誘導品を建設するFSを開始すると発表した。
シェールガスを利用するもので、エチレン能力は100万〜140万トン。

同社は2012年12月に計画がFront-end engineering and design (FEED) 段階に入ったと発表した。

・Gas-to-liquids (GTL)
  2段階で日量48千バレルの設備を2基建設する。1基は2018年、1基は2019年稼働を予定。

・エチレン年産150万トンのクラッカーと誘導品
  2017年稼働予定

付記

東洋エンジニアリングは2013年5月16日、Sasol NorthAmericaから年産45万トンのLLDPEの基本設計を受注したと発表した。
Univation TechnololgyのUnipol法を採用する。

同社では米国シェールガス市場進出への足掛かりとしたいとしている。

付記

Sasolは2015年3月、エタンクラッカーと誘導品プラントの起工式を行った。
 

ーーー

三菱ケミカルホールディングスは3月5日の中期経営計画説明会で、米国のシェール革命について触れているが、エチレン及び誘導品の建設計画が目白押しである。この中にSasol計画も含まれている。

各社の計画は以下の通り。

ExxonMobil:テキサス州Baytown に年産150万トンのエチレン工場を建設することを決め、認可手続きに入っている。

Dow:2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表

  2012/3/12  Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定

エチレンについては、メテキサス州Freeport に同社としては世界最大の年産150万トンのプラント建設を決定し、政府の認可を申請した。投資額は17億ドルで、2014年に建設を開始し、2017年1月に操業開始の予定。

Chevron Phillips:2011/12/29  Chevron Phillips Chemical、シェールガス利用で大規模石化計画

Shell:2011/6/14 Shell、アパラチア地方でエチレンクラッカー建設へ 

Oxychem:2012/2/11  OxyChem、シェールガス利用でエチレン新設

Lyondell:2011/12/20   LyondellBasellの成長戦略

Formosa Plastics:

2012年12月に17億ドルを投じて能力増強とシェールガスへの原料転換を行うと発表した。
増設後の能力はエチレンが240万トン、プロピレンが100万トンになる。

Braskem:

BraskemのCEOは2011年4月、シェールガスを利用して米国でエチレンとポリエチレンの製造を行いたいと述べた。

なお、Braskemは米国で3つのPP工場を買収したが、原料プロピレンを供給するEnterprise Productsはテキサスでシェールガスからのプロパンの脱水素(PDH)で75万トンのプロピレン工場を建設する。

Indorama:

タイのIndoramaは2012年3月、シェールガスを原料にエチレンとEGプラントの建設を検討していることを発表した。

同社は2012年4月にOld World IndustriesからEO/EGプラント(元CelaneseのものでEO能力435千トン)を795百万ドルで買収している。

これに対する三菱ケミカルの戦略は以下の通り。

1)技術面で差異化できる製品を北米で展開

・日本合成化学(Noltex)Houston工場のEVOH樹脂の増設
   15千トン増設し、合計能力38千トンへ
・エチレン法によるMMA
/PMMA計画
   ダウの新エチレン(150万トン)プラントに隣接して、MMAモノマー25万トンを建設する計画
   三菱レイヨンが買収したLuciteのエチレンを原料とするアルファ法を採用。

2)C4製造新技術の商業化、日本国内再編でアロマ原料を安定確保
   シェールガスからのエチレン、プロピレン製造ではC4、アロマは併産しないため、これらが不足になる。

3)米国のガス価格上昇の可能性も考え、中東の在来型資源利用も継続


2013/4/4 イスラエルで新ガス田からの天然ガス輸送開始 

イスラエル沖のTamarガス田からの天然ガスパイプラインがYam Tatisガス田で既存のパイプラインに接続され、3月30日にAshdod天然ガス基地への天然ガス輸送が始まった。
同ガス田の推定埋蔵量は約2700億立方メートルで、今後、電気料金の値下げなど同国経済への好影響が期待されている。

Tamarガス田は北部ハイファの西方約90キロの地中海に位置し、2009年に発見され、掘削作業やパイプラインの敷設などが行われていた。

2010年に発見された隣接のLeviathanガス田の推定埋蔵量はTamarガス田を大きく上回ることも予想され、イスラエルが今後「エネルギー輸出国」に変わる可能性もある。

これらの外側にはキプロスの鉱区がある。

同地区でのガス田探査は当初 British Gasが行ったが、ギブアップした。

2007年に米国のNoble Energyが36%出資し、イスラエルの Delek Drilling (31%)、Isramco (29%)、Dor Alon (4%)の3社が加わるコンソーシアムが引き継ぎ、2年間の努力の末に2009年にガス田を発見した。 

Leviathanガス田(開発中):
   Noble Energy 39.66%、Avner Oil & Gas 22.67%、Delek Drilling 22.67%、Ratio Oil Exploration 15%

キプロス Block 12(試掘中):
   Noble Energy 100%(DelekとAvner が15%ずつ取得するオプション)

Leviathanガス田についてはキプロス(Cyprus) のBlock 12の分と合わせて海底パイプラインでキプロスに送り、キプロスで液化してLNGにして海外に輸出する構想がある。

ーーー

イスラエルでは2005年から、エジプトのシナイ半島のEl-ArishからイスラエルのAshkelonに通じる海底パイプラインで天然ガスを受け入れていた。

しかし、2011年にEl-Arishのパイプライン基地で爆発があり、ガス供給が停止され、エジプトの 新政権は2012年4月22日、イスラエル向けの天然ガス輸出契約を打ち切ったと発表した。

2011/2/8 エジプトーイスラエル・天然ガスパイプラインが停止

2011年には既存のYam Tatis ガス田が枯渇しており、それ以降、イスラエルの利用できる天然ガスはほとんどなくなり、Israel Electric Corporationは燃料を高価なディーゼルに戻さざるを得なくなっていた。

ーーー

キプロス側の開発については問題がある。

既報の通り、キプロス島は1974年以来、南北に分断されており、島の北部約37%をトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国(トルコのみが承認)が占めている。
南側のギリシャ系住民が住むのがキプロス共和国で、EUに加盟している。

天然ガスの発見で、トルコはトルコ系住民の住む北キプロス・トルコ共和国も権利を持つとし、南北で大陸棚での探査について協定を結ぶことを要求したが、キプロスはこれを無視した。

2011年9月、Noble EnergyはBlock 12で探査を開始したが、 トルコの妨害に備え、イスラエルが戦艦と飛行機を用いてこの石油・ガス開発調査を支援しているという。

キプロス政府は2012年11月に新たにBlock 2, 3 ,9, 11の4鉱区 、12月にBlock 10の探鉱権を付与した。
その後、
Block 9については当初の3社との交渉を打ち切り、Eni/KOGASに権利を付与した。

現在の状況は以下の通り。

Block 13 Noble Energy 100%(DelekとAvner が15%ずつ取得するオプション)
   
Block 2&3 イタリア炭化水素公社(Eni)/韓国ガス公社(KOGAS)
Block 9 仏Total E&P Activities/露NOVATEK/露Global Resources → Eni/KOGAS
Block 11  仏Total
   
Block 10 仏Total

 トルコ政府はこれに参加する企業はトルコのエネルギー事業から締め出すと警告している。

 

キプロスによると、同国の天然ガス埋蔵量は最大約1兆7000億立方メートルで、同国にとり貴重な財産である。


2013/4/4   肺がん薬イレッサ訴訟、遺族側が全面敗訴へ 最高裁決定

肺がん治療薬「イレッサ」の副作用をめぐり、死亡した患者2人の遺族が、販売元のアストラゼネカと国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(寺田逸郎裁判長)は4月2日、国への請求について原告の上告を受理しない決定をした。

国の賠償責任を否定した2011年11月の二審・東京高裁判決が確定した。

アストラゼネカへの請求については同日、原告の上告を受理し、判決期日を今月12日に指定した。
ただ、二審の結論を見直す際に必要な弁論を開かないため、アストラゼネカの賠償責任も否定した同判決が維持され、遺族側の全面敗訴が確定する見通し。
最高裁は、医薬品の添付文書と製造物責任法(PL法)の関係について初の判断を示すとみられる。

付記
最高裁第三小法廷は4月12日、原告の上告を棄却した。遺族側の全面敗訴が確定した。

なお、大阪高裁で訴えを退けられた患者側が最高裁に上告しているが、異なる結果が出ることは考え難い。

ーーー

イレッサで深刻な副作用を受けた患者と副作用によって死亡した患者の遺族計15人が、国とアストラゼネカに損害賠償を求めた訴訟で、東京、大阪両地裁は、原告側の和解勧告の上申書に基づき、事前に協議して、2011年1月7日に和解勧告した。

しかし、政府は1月28日、東京、大阪両地裁の和解勧告に応じないことを決めた。アストラゼネカも勧告受け入れを拒否した。

2011/1/31 政府、イレッサ訴訟で和解勧告拒否

このため、両地裁で判決が言い渡されることとなった。

地裁判決と、その後の高裁判決の概要は以下の通り。

東京 東京地裁 判決 国とア社に1760万円の支払いを命じる
ア社 イレッサは特定の患者に高い効能、効果があり、製造上の欠陥はない
当初の添付文書の記載では医師らへの情報提供が不十分で、指示・警告上の欠陥
(PL法上で規定する「通常の安全性を欠いた状態」)
添付文書に致死的となる可能性を記載していれば、間質性肺炎で死亡することはなかった
国は承認前の時点で副作用による間質性肺炎で死に至る可能性があると認識
安全性確保のための必要な記載がない場合、国は記載するよう行政指導する責務がある。
間質性肺炎の危険性を目立つように記載するよう指導しなかった国の対応は違法
東京高裁 判決 地裁判決取り消し、遺族側主張を全面的に退ける
ア社 イレッサには有用性があり、製造における設計上の欠陥はない
イレッサの初版添付文書に警告欄がなく、副作用が致死的になり得るとの記載がなくても、指示・警告上の欠陥ではない

専門医が処方する薬剤
専門医であれば間質性肺炎による死亡の可能性を認識
国内の治験で死亡例はなく、海外の死亡例も因果関係があるとまでは言えない

欠陥があるとの前提事実がない以上、規制権限の不行使が違法かどうか論じるまでもない
大阪 大阪地裁 判決 ア社原告9人に計6050万円の支払いを命じる
ア社 警告欄に記載するなどして注意喚起を図るべきだった。
緊急安全性情報配布(2002/10)前は製造物責任法上の欠陥があり、賠償責任あり。
添付文書に関する行政指導は必ずしも十分ではないが、当時の知見のもとでは一定の合理性がある。
国家賠償法上の違法はない。
大阪高裁 判決 大阪地裁判決を取り消し、原告側の全面敗訴
ア社 担当医は肺がん治療を手掛ける医師であり、添付文書の重大な副作用欄を読めば、間質性肺炎の危険性を認識できた
副作用欄の4番目だからといって、担当医が致死的でないと理解するとは考えにくい
治験や海外症例などを含め、副作用の間質性肺炎による死亡は11例あったが、因果関係が明確と言えるのは1例で、「一般的な副作用を超える副作用を予測することは困難だった」
イレッサ自体に問題がない以上、責任はない

 


2013/4/5  米国のシェールガス開発会社が破産法申請 

米国のシェールガス開発会社GMX Resourcesは4月1日、Chapter 11の申請を行ったと発表した。

同社は東テキサスのHaynesville/Bossier gas shaleやCotton Valley Sand Formationでシェールガスの開発を行ってきた。
2010年後半に事業を他の地域にも拡大する意思決定を行い、North Dakota、Montana州のBakkenとThree Forksのオイルシェールを買収した。

同社は昨年1年にわたり、生産増や効率改善、コストダウンに取り組んできたが、天然ガスの価格下落により、資金繰りが行き詰った。

現在の資産は281.1 百万ドルで、これに対する負債総額は485.5 百万ドルとなっている。

同社は債権者から50百万ドルのつなぎ融資(Debtor-in-possession:DIP)を受けて事業を継続しつつ、資産売却を進める。

2017年に期限がくる担保付債権保有者との間で操業中及び開発中のすべての資産を引き渡す契約を準備しており、裁判所の許可を得て、契約を締結し、その後入札でこれら資産を売却する予定。

ーーー

米国では天然ガスと原油は用途が異なるため、別々に需給により価格が決まる。

従来は天然ガス価格は原油価格にほぼスライドしており、原油100ドル/バレルの場合、天然ガス価格は100万BTU当たり10ドル前後であった。

しかし、シェールガスの開発が進み、天然ガス価格は暴落した。

米国ではNatural Gas Act of 1938 により、天然ガス輸出入にはエネルギー省の許可が必要とされており、FTA非締結国への輸出許可はこれまで1件だけである。

天然ガス輸出の是非を巡っては、輸出推進派とDowなどの輸出反対派が争っている。

2013/1/30 米国の天然ガス輸出論争、激化 

2013/2/5 米国の天然ガス輸出規制はGATT違反?

最近の天然ガスの価格状況は以下の通りで、2012年前半には2ドル程度にまで落ち込んだが、最近は3.5ドル程度となっている。

   三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査レポート(2013/1/23)

この価格水準ではメーカーの経営は非常に苦しく、多くの生産者はシェールオイルに移行しているが、シェールガス中心の生産者にはChapter 11の申請に追い込まれるケースも出始めているとされる。

ーーー

LNGの輸出を巡っては、近いうちに米国政府の決定が行われると見られており、FTA非締結国である日本向けの輸出も認められる可能性が強い。

この場合、供給側は赤字に悩み、需要側は購入を熱望している状況から、価格が上昇するのは確実である。

(Dowなどが輸出に反対するのは国内価格の上昇を恐れてのものである)

100万BTU当たり6ドルになるとの説があるが、それでも、LNGへの加工費3ドル、輸送費3ドル(メキシコ湾岸)を加えても12ドル程度であり、現在の原油価格 スライドの約16ドルと比べ、かなり安くなる。

但し、現在のLNG輸入価格は単なる原油スライドではなく、震災後の買いあさりで割高になっているもので、長期的にみれば米国からのLNGはそれ程有利でないかも分からない。

東京ガスは2013年4月1日、米国政府の承認を前提に、住友商事を通じ米国のDominion Cove Point LNGを年140万トン輸入すると発表した。
関西電力も同日、年80万トンを輸入すると発表した。

住友商事はDominion Cove Point LNGが建設中の年間460万トンの天然ガス液化プラントに年230万トン分の液化加工契約を締結した。
米エネルギー省による自由貿易協定(FTA)未締結国向けのLNG輸出許可発行等を経て、2017年後半からのLNG輸出を目指す。


2013/4/6    帝人、炭素繊維関連で減損処理

帝人は3月29日、2013年3月期の連結業績見通しを下方修正し、最終損益が300億円の赤字になると発表した。

炭素繊維や米在宅医療子会社の買収などで生じた「のれん」の価値を引き下げる減損処理を実施し、290億円の特別損失を計上する。

特別損失の内訳は以下の通り。

(1)高能繊維複合材事業(素繊維に係るのんの減損失 170億 円
(2)ヘスケア業に係のれんの減損 50億円
(3)そ他高機繊維・合材料業に係資産の減損失等 70億円
  合       計 290億円

(1)は2007年に炭素繊維の東邦テナックスを100%子会社化した際の「のれん代」
長期化する景気低迷、またスポーツ・レジャー用途を中心とした競合激化の状況を踏まえ、将来キャッシュフロー予測に基づく回収可能性を慎重に検討。

(2)は米国で在宅医療事業を営むBraden  Partners L.P. を2008年に114百万ドルで買収した際ののれん等の未償却残高の一部 。
米国での医療制度改革で保険価格が大幅に引き下げられたこと等の環境変化で買収時に想定した収益性が見込めなくなった。
 
(3)は炭素繊維分野に係る工場の固定資産の一部の減損損失や、2001年の洪水で被災したタイの子会社の工場の固定資産の一部等の減損損失。

ーーー

同社は2013年3月期の損益予想をたびたび引き下げてきた。

  売上高 営業利益 経常利益 純利益
2012/5/9 840,000 43,000 43,000 22,000
2012/11/2 770,000 25,000 20,000 3,000
2013/2/4 740,000 14,000 10,000 0
2013/3/29 740,000 12,000 8,000 -30,000

営業損益で見ると、2012年3月期決算発表時には430億円を予想したが、中間決算では250億円に減り、第3四半期決算では更に140億円に、今回は120億円となり、当初予想から320億円も減っている。

セグメント別では以下の通りで、今回の内訳は不明だが、2月4日発表分(当初予想比290億円悪化)で見ると、高機能繊維・複合材料セグメントが当初比で155億円 減となっている。

高機能繊維・複合材料事業は2事業本部で、
 高機能繊維事業本部はアラミド繊維製品、ポリエステル繊維製品
 炭素繊維・複合材料事業本部 は炭素繊維製品

  2012/3
実績

2013/3 予想

2012/
5/9
2012/
11/2
2013/
2/4
2013/
3/29
高機能繊維・複合材料 66 110 5 -45  
電子材料・化成品 49 80 25 -5  
ヘルスケア 264 280 280 250  
製品 66 70 60 50  
その他 37 45 40 40  
全社 -130 -155 -160 -150  
合計 * 353 430 250 140 120
* 2012年3月期実績は決算期統一の影響を除外したもの。

帝人は高機能繊維・複合材料事業をヘルスケアと並ぶ重点戦略事業としている。

その事業が短期間の間に急激に損益が悪化し、炭素繊維ののれん代を「将来キャッシュフロー予測に基づく回収可能性を慎重に検討した結果」減損処理し、更に工場の固定資産の一部減損処理せざるを得ないのはショックである。

但し、帝人では以下の通り、本事業を重点戦略事業とし、注力していくとしている。

今後も高成長が期待される航空機向けや、シェールガス革命によって需要が急拡大している圧力容器向け等の成長用途において、大幅な事業拡大を図る。

量産型自動車向けを中心に2016年頃の事業化に向けて、開発を加速する。

今後の成長地域である北米で、より高い競争力を備えた生産ラインを新設すべく、2014年度初めまでに意思決定を行う。
あわせて、米国でのコンポジット製品の成形工場の設置についても検討する。

ーーー

帝人では、炭素繊維について、軽くて(鉄の1/4)、強い(鉄の10倍)という特長から環境・エネルギー問題のソリューションとして年率15%以上の需要成長を見込んでいる。同社説明会資料 炭素繊維・複合材料事業の概況(2012/9/29)

炭素繊維では日本の3社が大きなシェアを占めている。
各社の能力は以下の通りで、帝人によると、同社の2011年の世界シェアは約20%としている。

  帝人 東レ 三菱レイヨン
日本 6,400トン 8,300トン 5,400トン
2,700トン
米国 2,400トン 5,200トン 2,000トン
ドイツ 5,100トン  

製造委託 
        750トン

フランス   5,400トン  
韓国   2,200トン  
合計 13,900トン 21,100トン 10,850トン

三菱レイヨンは2011年に大竹事業所で産業用途を主体とした新タイプの高性能ラージトウを完成した。
東レは2015年3月には27,100トンになる。

日本の炭素繊維の状況については 2006/9/9 炭素繊維

 

最近は航空機用に加え、自動車用の開発が急である。

2011/12/15 自動車向け炭素繊維複合材料の開発が進展

炭素繊維の需要の今後の拡大を見込み、新規参入も増えている。

2011/6/17 SABIC、カーボンファイバーの技術導入;DowJV設立の覚書

当初、炭素繊維には多くの企業が進出したが、欧米の企業はほとんど撤退した。

そのなかで東レを初めとする日本の3社は事業を継続、釣竿やゴルフクラブなどスポーツ分野で市場を開拓しながら、開発を続け、航空機用に本格的に採用され、自動車用途でも目処が立ち始めた状況である。

自動車用途などは自動車メーカーとの長期にわたる共同開発が必要で、航空機用も含め、新規進出メーカーの製品が簡単に採用されることは考えられない。

このため新規メーカーはスポーツ・レジャー分野に向かうしかなく、これら分野での競争激化を生んだものとみられる。

自動車向けの本格採用にも時間がかかるとみられ、暫くは苦しい状況が続くものと思われる。


2013/4/8  日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注 

日揮は4月3日、フランスの
Technipと共同で、JSC Yamal LNGがロシアのYamal-Nenets自治区
Sabettaで進めるLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等に係る発注内示を受けたと発表した。

Yamal LNGはYamal半島のSouth Tambeyガス田に年産1,650万トンのLNGプラントを新設する計画で、第1期550万トンを2016年末に操業、同能力の第2期、第3期をそれぞれ2017年末、2018年末に稼働させる。

同ガス田の天然ガス埋蔵量は昨年末時点で9,070億立法メートルとなっている。

Yamal LNGはロシアの天然ガス第2位のNovatekが80%、Totalが20%出資する。

Totalは2011年10月、Novatekとの間で20%出資の契約に調印した。

今後、他社の出資も検討している。Novatekは最低51%の出資比率は維持する意向。

ロシアのノバク・エネルギー相は3月16日、Novatekが日本企業と資本参加を含む協議を進めていることを明らかにした。
ロシア通信によるとエネルギー相は、ノバテクが東京ガス、東京電力、丸紅、三井物産、三菱商事の各社と作業グループをつくり、協議に入ったと述べた。

付記 最終的にNovatek 60%、Total 20%、中国CNPC 20%となった。
             CNPCとの交渉は2013年9月にまとまり、2014年1月に取引が完了した。

総事業費は明らかにしていないが、1兆円を超える可能性があると見られている。

日揮とTechnip は先ずLNGプラントに係る有償見積り、詳細設計および一部長納期機器の調達役務を遂行し、次のフェーズとして、LNGプラント建設に必要な全ての契約を締結する予定。

日揮にとって初のロシアでのプラント建設プロジェクトの受注となる。

ーーー

現在のロシアの法律では、Gazpromのみが天然ガス、LNGを輸出する権利を持っている。このためNovatekはGazpromを通してしかLNGを輸出できない。

プーチン大統領は「ロシアが世界のLNG供給で3.6%しか占めていない」とGazpromに対する不満を示しており、2月13日、LNG輸出の段階的な自由化を検討するよう政府に指示した。

Yamal LNG は3月中旬に、ロシア政府が本計画を進めることを認めたと述べた。

ーーー

現在、同地に多機能海港のSabetta港の建設が進められている。

ここはLNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

北極海航路が航行可能となる7月から11月は東側へ船を進め、ベーリング海峡経由で日本等に輸送、12月から6月は西欧に船を進める。

ロシア海運最大手ソフコムフロートは2010年8月、Murmanskを出港し北極海を初めて横断航行している大型タンカーBaltika が北極海航路の難関部分の通過に成功し、ロシア東端のチュコト(チュクチ)自治管区Pevekに達したと発表、「大型船舶の運航の可能性が実証された」と表明した。

2010/9/1  北極海横断航路で初輸送 

2012年11月7日にGazpromがStatoilの生産したLNGをノルウェーのHammerfestでLNG船オビ・リバー号に積み込み、ベーリング海峡を通り、12月5日に北九州市戸畑区の港に到着した。原子力砕氷船を同行させた。

欧州とアジアを結ぶ新ルートの将来性をアピールする狙い。 


2013/4/8  帝人、キョーリン製薬ホールディングスの株式取得 

帝人は4月5日、キョーリン製薬ホールディングスの10.17%を4月2日付でキョーリンの大株主から取得したと発表した。取得価額は1株2439円で約185億円。(4月2日終値は2155円)
同時に大株主との間で、合計22%の持株について、共同で議決権を保有する契約を締結した。

帝人グループはヘルスケアを高機能繊維・複合材料事業とならぶ重点戦略事業としているが、株式取得を契機として、両社が研究開発、生産、販売・物流の各分野において共に効率向上を図れるよう、キョーリンとの間に戦略的提携関係が構築できることを期待している。

帝人は2003年1月に当時の杏林製薬との間で医療医薬品事業の統合を発表したが、わずか3カ月後に破談を発表しており、今回の取得は帝人にとって、この計画を再度実現するための第一歩と思われる。

同社では「キョーリンとの提携はスタートラインについたばかりで、これから話し合うところです」としている。

キョーリン側は「株式取得について事前に相談はなかった」とし、提携協議については「その可能性について協議する用意はある」という。


付記

帝人は、キョーリン製薬ホールディングスの株式 8.99%を、2014年6月5日付にてキョーリンの大株主より取得し、合計持株を19.12%とした。
当該大株主とキョーリン発行済み株式の当社持分を含む22.12%について共同で議決権を保有する契約を締結しており、本件取得は、その共同議決権の範囲内での株式譲渡。

引き続き、両社で研究開発、生産、販売、物流等の各分野における効率化など図れるよう、戦略的提携関係構築に向けて検討していくとしている。

ーーー

帝人では「株式の取得先は非公開」としているが、実際は杏林製薬創業家の荻原一族である。

キョーリン製薬ホールディングスの有価証券報告書では大株主は下記の通り。 (2012/3/31)

株式会社アプリコット 6.67% 林の初期の社名もアプリコット)
ケーエム合同会社 4.82% 沢井製薬子会社(下記)
荻原 淑子 3.90%  
株式会社鶴亀 3.86%  
株式会社マイカム 3.66%  
日本マスタートラスト信託 3.36% 信託口
日本トラスティ・サービス信託 3.17% 信託口
荻原 弘子 3.00%  
荻原 年 2.97%  
株式会社バンリーナ 2.60%  
株式会社アーチァンズ 2.60%  

青字は荻原一族と関係会社。
荻原弘子氏は杏林の元会長、荻原年氏も元会長で弘子氏の叔父

2010年に沢井製薬による経営統合提案の際に、一族は持株を一定期間売却しない覚書を締結し、届け出ているが、当事者は以下の通り。
   
荻原年、荻原弘子、アプリコット、荻原淑子、荻原正子、荻原桃子、荻原優子、マイカム、荻原明、
   荻原豊、荻原万里子、荻原和子、(追加) 鶴亀、アーチャンズ、バンリーナ

今回帝人が共同で議決権を保有する契約を締結した相手は、荻原弘子、荻原正子、荻原優子、荻原桃子の各氏とアプリコットの5株主。アプリコットの代表者は荻原弘子氏。 (他に鶴亀も弘子氏が代表者)

別途、荻原年、和子両氏とマイカム、アーチャンズ、バンリーナの5株主は合計13.32%を共同所有しており、他にも株主がいる。

一族が出資していた登山用品の「好日山荘」を経営するコージツの投資ファンドによるTOBでは、一族が2つに分かれて対立したとされており、今回も別行動を取っている模様。
上記の覚書は2013年3月31日付で終了したとの報告書が出ている。

ーーー

帝人と杏林製薬は2003年1月、同年10月1日に帝人の医薬医療事業グループを会社分割によって杏林に事業統合し、帝人が杏林株式の50%超を保有し、今後帝人グループの中核をなす連結子会社として発展させていくことについて基本合意に達したと発表した。統合新会社は、上場会社として独立した経営を維持する。

しかし、両社は3か月後の2003年4月に、医薬医療事業の統合を断念すると発表した。

杏林の主力製品の合成抗菌剤「ガチフロ錠」について厚生労働省が副作用の危険性を指摘したことで、杏林の株価が大幅に下落し、統合比率など条件を巡って両社の見解が食い違った。

創業家一族から「もうからない」と統合反対の声が上がり、白紙に戻ったのが真相だといわれている。

ーーー

沢井製薬は2010年12月2日、キョーリン製薬ホールディングスに対し経営統合の提案を行った。
両社を傘下に持つ持株会社方式を念頭に置いている。

沢井製薬はキョーリンの株式の約4.8%を取得し、資本提携を通じた戦略的経営統合について打診したが、キョーリンからは前向きな回答は得られず、正式提案を行った。

沢井製薬によるTOBの噂も流れ、株価は急騰したが、2010年9月に創業家一族は上記の覚書を締結している。

キョーリンはこの提案を12月7日に拒否した。賛同しない理由も含め、一切明らかにしなかった。

キョーリンの拒否は業界筋によると、「キョーリンの株式を4.8%も集めての経営統合提案に激怒した」ことに加え、「新薬メーカーとしてのプライドが後発医薬品メーカーとの統合を許さなかったから」で、創業家一族の意向によるものであろうとされた。

この結果、沢井製薬は2011年3月、交渉打ち切りを発表した。

上表記載の通り、沢井製薬はその後もキョーリンの株式4.82%を保有していたが、2012年10月に60億円で市場で全て売却した。

 


2013/4/9  新日鐵住金の モザンビーク原料炭開発プロジェクトが採掘権を取得 

新日鐵住金は4月4日、同社と日鐵商事が合計で33.3%の権益を保有するRevuboe 炭鉱開発プロジェクト が3日にモザンビーク共和国政府より採掘権を取得したと発表した。

モザンビーク共和国Tete州に位置する未開発の原料炭炭鉱で、これまでの探査活動の結果、高品質かつ大規模な露天掘り可能な原料炭の賦存を確認して いる。
ブラジルのValeが操業中のMoatize鉱区、豪州Rio Tinto 社とインドTATAの合 弁会社が操業中のBenga鉱区、豪州Rio Tintoが探査中のZambeze鉱区等有望な原 料炭鉱区に隣接している。

採掘権を与えられたのはMinas de Revuboe Limitada で現在の出資状況は以下の通り。

豪州資源会社Talbot Group   58.9%    
日鉄商事   10.0%   当初、南ア法人に出資、2004/7 に独占探査権を取得
新日鐵住金   23.3%   2010/12 日鉄商事から取得し、参加
韓国POSCO   7.8%   2010/5 参加

Talbotは2012年7月に、持株を英資源大手 Anglo Americanに540百万豪ドル売却することに同意した。
しかし、Anglo Americanは2013年3月28日、条件が合わなかったとして契約を取り消した。

このため、Talbotは新たな売却先を探すこととなる。

鉱区面積は 3,860 ヘクタールで、 推定資源量は 約14 億トン、原料炭の品質は、豪州優良強粘結炭並みの品質である。

年間500万トンの原料炭を採掘する計画で、2016年出炭開始を予定している。

同地の問題点は石炭の輸送をどうするかという点である。

先行するValeはBeiraまで鉄道輸送しているが、運搬能力は少なく、Beira港は整備されていない。

Rio Tintoはザンベジ川をバージで下り、河口で大型船に積み替える計画を立てたが、政府がこれを認めなかった。また、川を浚渫する必要もあるとされる。

このため、天然の良港のNacala港のターミナルと鉄道を建設中だが、完成は2015年になる。

Tete-Nacala Railway Line建設にはValeが協力しており、Valeは45億ドルを投資すると報道されている。

Rio TintoはBenga鉱区 とZambeze鉱区を所有・運営していた豪州のRiversdale Miningを買収しRio Tinto Coal Mozambiqueとしたが、 石炭の輸送が十分に出来ず、本年1月17日、同社で30億米ドルの評価損を計上すると発表した。
両鉱山の埋蔵量が当初の想定よりも少なかったとも報道されている。

2013/1/24 Rio Tinto、140億ドルの評価損計上、CEO辞任 

新日鐵住金では本計画の出炭開始 を2016年としているが、鉄道とターミナルの完成が前提となる。

生産が軌道に乗れば、新日鉄住金が使用する原料炭のうち、自前の炭鉱からの調達比率は現在の20%から5ポイント高まるとみられる。


2013/4/10  三井化学、歯科材料事業を543億円で買収 

三井化学は4月4日、ドイツのHeraeus Holdingsから 歯の修復材などを製造・販売する歯科材料事業 Heraeus Dental を買収すると発表した。
買収額は、有利子負債を含め4億5000万ユーロ(約543億円)。

Heraeus は19世紀半ばに白金の産業用途向けに酸水炎で2kgの白金溶解に成功、以来、高温技術を駆使した貴金属の素材、工業用センサー、歯科、医療用製品、石英ガラス、そして特殊光源を世界中で製造販売している。

Heraeus Dental は歯科材料ではトップの供給者の1社であり、多種類の材料を供給しており、次の利点を持つ。

@ 長い歴史を通じて獲得した歯科材料事業に関する豊富な知見と業界でのプレゼンス、
A 歯科材料市場におけるHeraeus Dentalの確固たるブランド力、
B 世界20ヶ国以上に拠点を有するグローバル販売ネットワークとグローバル経営ノウハウ

しかし、最近は新しい材料や治療方法が導入されており、同社の伝統的な貴金属材料の使用は劇的に減少している。

他方、三井化学は、同社が70%、歯科材料・歯科模型・歯科教育関係商品・ネイル関係商品を扱う(株)ニッシンが30%出資するサンメディカルで歯科材料に進出している。

1981年に当時の三井石油化学とニッシンが歯科材料などの製品を製造・販売することを目的に設立、以来、接着材料「スーパーボンド」 を主製品として接着歯学の進歩に寄与してきた。

1996年にISO9001の認証を取得し、医療機器の品質管理マネジメントシステムISO13485の認証を取得し、世界標準での製品設計、生産、品質管理を行っている。

石油化学の不振のなか、三井化学は景気変動の影響を受けにくいヘルスケア材料事業の拡大を目指しており、そのなかで歯科材料は需要が安定しているほか、世界的な高齢化で成長が期待できると判断し ているが、グローバル展開が課題となっていた。

これに加え、歯科材料市場においては、貴金属から樹脂等の他の素材へのシフトが起こっており、ポリマー技術等の化学領域に強みを持つ同社がHeraeus Dentalを譲り受けることにより、今後の成長を一層加速させることができると判断した。

今回の買収対象は株式取得対象が17社、資産取得対象が9社、計26社に及び、取得対象は下記各国にある。

欧州:ドイツ、オランダ、フランス、英国、イタリア、オーストリア、ハンガリー、スウェーデン、スイス
米大陸:米国、メキシコ、ブラジル
アジア:日本、中国(北京、上海)、韓国(51%出資JV)
オセアニア:豪州

日本にはHeraeus Holdingsの子会社ヘレウスがあるが、歯科関連はヘレウス・クルツァージャパンが、予防・保存・修復・補綴分野の歯科治療器材を包括的に提供しており、これが今回の買収対象に含まれている。

三井化学は100%出資の持株会社を設立し、同社が取得の上、統括・管理するとしている。

Heraeus発表では、今後も本社はドイツのHanauに置き、現在の経営陣はそのまま残り、現在の戦略も継続するとしている。

付記

三井化学は2016年3月期決算で、買収時に発生したノレンの減損損失 195億円を計上した。
北米地域での低迷や、急速なデジタル技工市場のトレンド変化のため、買収時の利益計画から遅れがあったため。

 

ーーー

Heraeus Dentalの2012年12月期の売上高は3億5360万ユーロで、営業利益は1,620万ユーロ(20億円)となっている。

これから見ると、買収額 4億5000万ユーロ(約543億円)は高過ぎる感もあるが、世界中のこれだけの国で、確立している有力ブランド力と販売ネットワークを一挙に確保出来ると考えると高くはないかも知れない。

Heraeus Dental のシェアは減少しており、早急に市場のニーズに合った製品を供給できるかどうかがキイである。

付記

三井化学は2013年6月、歯科材料事業の更なる拡大のため、CAD/CAMシステム並びに3Dプリンターを用いた入れ歯(デンチャー)の開発・製造・販売を行っている米国DENTCA社の発行済株式50.01%を取得した。(創業者 Dr.Kim33% 他)

豊富なデンチャー関連材料を有するHeraeusの歯科材料事業との大きなシナジーの発現を図る。


2013/4/11 カネカ、医療機器事業買収

カネカは4月5日、医療機器の消化器領域の内視鏡処置具への事業展開・研究開発を加速させるために、同領域でユニークな技術および製品を持つリバーグループと株式譲渡契約を本年3月に締結したと発表した。

買収するのはリバーセイコー(2013年2月にリバー精工から社名変更)と子会社のリバーメディカル、メディカルリヴで、今後リバーセイコーが他の2社を吸収合併したのち、7月1日をめどにカネカが同社の80%の株式を取得する。

リバーグループは医療機器メーカーに未滅菌医療機器などのODM供給を10年以上行っており、内視鏡処置具を中心に特許も多く保有している研究開発型のメーカーである。

1981年に西村製作所が設立され、内視鏡処置具の製造に携わった。1988年にリバー精工となった。

主要製品は生検鉗子(組織採取用)と止血鉗子で、TVの
『ガイアの夜明け』、『がっちりマンデー』、『夢の扉』で取り上げられた。(鉗子は手術用はさみ)

2011/7/26 TV東京 『ガイヤの夜明け』

長野県岡谷市、精密機械工場が集まるこの町に、全国の医師たちが詰めかける会社がある。リバー精工は、大手医療機器メーカーとは違ったアプローチでユニークな製品を作り出す会社。社長の西村幸(みゆき)(60歳)氏。元々、モノづくりの世界に身を置いていたわけではない。
実は、法務省の官僚。地元・長野に戻った西村氏の目にとまったのが、家内制手工業で作られる医療器具の部品だった。人の為に頑張れるのはこの仕事だと思い、半年間弟子入りし技術の取得に没頭した。
その後リバー精工を立ち上げ、数々の医療機器を開発していくこととなる。製品の特徴は、全国の大学病院の医師と、共同開発をしていくということ。
通常、医療機器メーカーが開発から生産し、その器具を医師たちは使いこなそうと努力する。しかしリバー精工の場合は逆。あらかじめ医師たちから要望を聞き、共同で開発をする。例えば、医師の要望から、ナイフ型だったカテーテルの処置具を、自在に回転するハサミ型のものにした。これまでに比べ確実にガン細胞だけを除去することができ、手術時間を大幅に短縮させることに成功した。
そんな折、西村は5年前に大腸や胃など5つのガンがあることが判明した。それ以来、自らもガン患者の身として、患者にとっても負担の少ない器具を作ることを目指している。
リバー精工の医療機器は、最近では海外からも注目され始めている。世界中からその処置具を試してみたいというオファーが来ているのだ。そんな時起きた震災。日本製品の風評被害が世界で巻き起こり、興味を示していた中国側の輸入代理店からは、安全性を証明するよう求められた。日本の最先端医療を世界に広めていくために、西村氏はある作戦を考えていた。

2012/8/12  TBS がっちりマンデー

諏訪地区のスゴイ人が選ぶスゴイ人四人目は、長野県岡谷市にあるリバー精工の西村幸会長。西村さんは世界で一つの刃付きの生検鉗子という医療器具を作っている。生検鉗子の合わせ目を刃に出来るのは西村さんにしか出来ない技でこれまでに91種の特許を取得している。

2012/09/30 TBS 『夢の扉』

山形県酒田市の日本海総合病院に内視鏡によるがん治療を行う本間医師がいる。この日手術を行う患者は内視鏡治療を選択した。内視鏡のカメラの先にあるハサミで腫瘍を切り取りわずか30分で手術は終了した。この内視鏡用ハサミにより本間医師の治療件数が10倍になったという。
長野県岡谷市にあるリバー精工でその内視鏡用ハサミは産まれた。この会社では砕石バスケットやスネアーなどの医療器具を作っている。
会長の西村氏は一技術者として作業場に立つ。頭に立つ人は自分で物を作れなくてはいけないという信念があると語った。西村氏は刃渡り2ミリの刃の角度をペンチで調整する。そんな西村氏はがんの手術を経験し、負担が少ない医療器具を作りたい思い内視鏡用ハサミを開発。それまでは高い技術を要するメスが使用されていたがハサミは臓器を傷つけるリスクが少なく医師と患者にやさしい医療器具となっている。
内視鏡用ハサミの開発は6年前に始まった。本間医師は西村氏に内視鏡用のハサミが作れないかと提案した。西村は過去の経験を飛び越えるのが開発だと想い、それを引き受けた。1ミリ以下の部品が多く機械では作れないためすべてが手作業となった。開発から1年後西村氏はがんを患った。

ーーー

カネカの医療機器事業は、血液病因物質を選択的に除去して浄化された血液を再び体内に戻す血液浄化システムと、血管内治療用カテーテルを中心としたインターベンション事業を中心に展開して いる。

血液浄化システム:血液から血漿を分難し、病因物質だけを選択的に除去して、浄化された血液を再び体内に戻すシステム。
 (1)サルフラックス®(膜型血漿分離器)
 (2)リポソーバー®(LDL吸着器) 1988年 高分子学会賞
 (3)セレソーブ®(SLE治療用吸着器)
 (4)リクセル®(透析アミロイド症治療用血液浄化器)

血管内治療用カテーテル:心臓、脳、四肢などの病変部血管に細いチューブを挿入して血管内で疾患を治療するカテーテル。
PTCAバルーンカテーテルなど治療法毎に多数の製品を開発している。

カネカでは、当事業の更なる拡大を目指し、消化器領域に本格的に参入することとしたもの。
また、カネカの得意とする高分子加工技術とリバーセイコーの金属加工技術を組み合わせることで、新製品開発を促進する。

消化器領域だけでなく、リバーセイコーの技術を活用して循環器領域や他臓器(脳や腎臓など)でも再生・細胞医療への適応や、腎臓アブレーションなどへ展開し、3年後には100億円の売上増を目指す。

付記

カネカは4月12日、再生・細胞医療で使用される間葉系幹細胞を骨髄液から安全かつ効率よく分離するセレフィックBM(間葉系幹細胞分離デバイス)の欧州での医療機器承認を得たと発表した。
間葉系幹細胞は安全性や有効性が確認されつつある細胞で、iPS 細胞と同じく、再生・細胞医療で使用されることが大きく期待されている。

セレフィックBM による分離方法は、従来の遠心分離により細胞を分離する方法とは大きく異なり、特殊な不織布フィルターを使用することにより遠心分離をすることなく閉鎖系で骨髄液を処理することができる。
血液浄化システムの研究開発で培った独自の技術やノウハウを活かした。


2013/4/12 三菱ガス化学と三菱商事、トリニダード・トバゴでメタノール/DMEの製造事業F/S に合意 

三菱ガス化学と三菱商事は4月9日、トリニダード・トバゴ共和国において、同国政府及び同国の
Neal & Massy Holdingsとともに、メタノール年産能力100 万トン、ジメチルエーテル(DME)年産能力10 万トンの製造事業を検討することに合意したと発表した。

4月8日に現地でNational Gas Company of Trinidad and Tobago (NGC) とNational Energy Corporation of Trinidad and Tobago (NEC)も加わり、Project Development Agreement を締結した。第一段階実施のため、Caribbean Gas Chemical が設立された。


投資額は850百万ドル程度と見積もられており、 本年度中に最終投資判断の上、2014年第2四半期に
La BreaUnion Industrial Estateで建設を開始し、2016年度中の生産開始を目指す。

メタノールを世界中で販売すると共に、同国政府と協力し、同国 と周辺カリブ諸国において、DMEのディーゼル燃料代替促進に向けたプロモーションを行う。

付記

2015年9月3日、3社は最終投資決定を発表した。

会社名 Carribbean Gas Chemical
立地 La Brea, Union Estate Industrial Estate
能力 メタノール 100万トン
ジメチルエーテル 2万トン
総投資額 990百万米ドル
出資 三菱ガス化学 26.25%
三菱商事    26.25%
三菱重工    17.50%
NGC              20.00%
Massy            10.00%
運転開始 2019/3

 

Neal & Massy は卸売、不動産、自動車販売・メンテナンス代理店、産業用ガス製造供給、ホテル経営等、幅広い事業をカリブ全域で展開 している。

ーーー

Trinidad Tobagoには同国の天然ガスを利用する合計7つのメタノールプラントがPoint Lisasにあり、能力合計は660万トンに達する。

     国営 Trinidad and Tobago Methanol Company

1999年に子会社を統合した。
下記のメタノール5工場のほか、アンモニア/尿素プラントを持つ。

子会社
統合
Trinidad and Tobago Methanol Company (TTMC) 1984年 TTMC I 46万トン
1996   TTMC II 55万トン
Caribbean Methanol Company Limited (CMC) 1993 50万トン
Methanol IV Company Limited (MIV) 1998 55万トン
M5000
(5000T/D+既存プラント排ガスで400T/D)
2005 184万トン
合計   400万トン

   Methanex 及び Atlas Methanol

工場 能力  備考
Methanex   85万トン  
Atlas Methanol  170万トン  BP 36.9%/Methanex 63.1%

  ーーー

SABICとSinopecは2012年2月、Trinidad and Tobago に共同で53億ドルを投じてメタノールコンプレックスを建設する件で同国政府との交渉を開始した。

同地の天然ガスを原料とするもので、立地はPoint Lisas。具体的な計画は明らかにしていないが、地元紙はMethanol-to-olefins (MTO) と Methanol-to-petrochemicals (MTP) が含まれていると報じた。

しかし、SABICは本年3月3日、この計画を取り止めると発表した。同国政府との間で原料の天然ガスの価格と供給条件で合意に達せず、交渉を中止することで合意した。

これについては以下の問題が噂された。

・野党議員も、Sinopecが参加することを知らなかった。
・米大使は政府に書簡を送り、米国企業などの競合相手を抑えてSABICを選ぶことに懸念を表した。

・SABICはNYMEXでの天然ガス価格が当時 100万BTU当たり2.48ドルであるのに対し、1ドル以下を要求していると伝えられた。
・SABIC/Sinopec側は政府が十分な量の天然ガスを供給できるのか疑問を持ったとされる。

この入札には、三菱ガス化学とNeal and Massyが米国のIntegrated Chemicalsと提携して参加していたほか、サウジのSaudi International Petrochemical (三井物産等のJapan-Arabia MethanolとSipchemのJV)も参加していた。

SABICとSinopecが選ばれた際には、日本大使館も懸念を表する書簡を送ったとされる。

2013/3/9  SABIC/Sinopec のTrinidad and Tobagoメタノール計画 取り止め

今回の三菱ガス化学と三菱商事の同国政府との合意は、SABIC/Sinopec 撤退に伴う代替案と思われるが、Methanol-to-olefins (MTO)などは含まれていない

メタノールをそのまま海外に輸出するのではなく、これを原料にMethanol-to-olefins (MTO) 、Methanol-to-petrochemicals (MTP) により付加価値の高いプラスチック産業の基礎をつくるという同国政府の戦略は先送りされる。

2008年9月、LyondellBasell National Gas CompanyNational Energy Corporation、Lurgi AGの各社にTrinidad and Tobago 政府も参加して、Methanol、Methanol-to-Propylene、PP(490千トン)プロジェクトのProject Development Agreement に調印したと発表したが、その後の進展は報道されていない。

2007/12/25 Basell など、Trinidad and Tobago PP 事業

三菱ガス化学と三菱商事は一切触れていないが、Neal & Massy 側の発表では、第二期計画として、Methanol-to-olefins (MTO)でエタンからエチレン、MEGを、またプロパンからアクリロニトリルを生産し、更にメタノールと合成ガスから追加のMEGと酢酸を生産するとしている。

ーーー

三菱ガス化学のメタノール事業は以下の通り。(単位:千トン)
同社によると、世界需要は年6千万あり、今後も年率4-5%の成長が見込まれている。

場所 能力  出資比率
中国重慶

 ー

 MGC 51%/重慶化医49%
 2009/10/13  三菱ガス化学、重慶のメタノール計画撤回
ベネズエラ @ 750
A 850
 2006/12/27 三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設
 2010年A生産開始
ブルネイ  850  2007/4/23 三菱ガス化学、ブルネイのメタノール事業決定
 2010年生産開始
サウジ  3,300
1,700
 2006/3/31 サウジ・メタノール計画
  2008年 No.5 1,700千トン生産開始
合計  7,450  

三菱ガス化学は日本の各社が操業停止する中、生産を継続したが、19957月に新潟 264千トンを操業停止し、設備は中国内蒙古の伊克昭盟化工集団総公司に売却した。
 

 


2013/4/13 オバマ大統領、予算教書を議会に提出 

オバマ米大統領は4月10日、3兆7700億ドル規模の2014会計年度(2013年10月─2014年9月)の予算教書を議会に提出した。

富裕層に対する増税や社会保障費の抑制などを通して、財政赤字を10年かけて1兆8000億ドル削減する。
これまでの2兆5000億ドルの赤字削減に加えると、削減規模は4兆3000億ドルになる。

大統領は、赤字削減のため民主、共和両党の妥協が必要であるとし、両党に聖域(Sacred cow)はあってはならないと述べた。
今回の提案には大統領としては通常なら提案しない年金の物価調整方式の変更も折り込んでいる。

ただ、当局者によると、大統領は共和党が増税に合意した場合にのみ、これを含む一連の歳出削減を受け入れるとしている。

10年間での1兆8000億ドルの赤字削減案の概要は以下の通り。

富裕層への増税 5800億ドル  
メディケアコスト削減 4000億ドル 医療提供者への支払い削減
高所得の受給者の自己負担額増
制度改革 2000億ドル 農家補助削減、連邦退職金改革など
経費削減 2000億ドル 防衛費とそれ以外を同額
年金改正 2300億ドル COLA (cost-of-living adjustment:物価調整)で連鎖CPI採用
借入金金利減 2100億ドル  

上記のうち、特に注目されるのは次の2項目。

1)富裕層への増税

大統領はこれまで、年収25万ドル超の世帯への増税を目指していたが、今回は盛り込まなかった。
しかし、年収100万ドル超の富裕層に最低30%の税率を課すBuffet ruleを打ち出した。

Warren Buffetは2011年8月、自分の税率が「秘書の税率よりも低い」として米国の税制は不公平となっているとの見解を表明した。これを受け、オバマ大統領は、高所得層向け増税提案を「Buffet rule」と呼んだ。

また、慈善事業への寄付金控除や、地方債の利子への減税など一部の控除に制限を設ける方針もあらためて提案した。

投資ファンドの幹部が受け取るキャリード・インタレスト(成功報酬)への税控除の廃止やたばこ税の引き上げ、税金のかからない個人退職勘定に対する上限設定も提案した。

法人税では企業の海外利益に対する課税強化やエネルギー税控除の縮小、社用ジェット機に対する税額控除廃止を提案。

一方で、小規模な新興企業への税控除の倍増、R&D費用に対する控除の延長、法人税率の最高税率の引き下げ(35%から28%)も提案。

2)年金改正

Social Security 給付額はCOLA (cost-of-living adjustment)のシステムでCPI(消費者物価指数)の増減に合わせ調整されている。

これを通常のCPIから「連鎖CPI:Chained CPI」に変更する。

通常のCPIではウェイトと価格指数の基準が基準年で固定されているのに対し、連鎖式ではそれらが毎年更新される。

牛肉価格が豚肉よりも急ピッチで上昇した場合、消費者は牛肉の購入を控え、豚肉の消費を拡大するといった行動を取り、物価の上昇の影響を軽減する 。このような物価変動に対する消費行動の変化を考慮するもの。

日本でも「消費構造の変化に迅速に対応することができる」として2007年から参考指数として公表している。

米政府が「連鎖CPI」のデータ発表を開始した2002年以降、CPIに比べ、連鎖CPIの上昇ペースは約0.3−0.4%ポイント低くなっている。

COLAを通常のCPIではなく、連鎖CPIに変更することにより、給付金は減額される。

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民主党と共和党の主張は全く異なっており、この問題は簡単には解決しない。

2013年2月に、米国の国債発行の法定上限を暫定的に引き上げる法案が成立しているが、5月半ばにはこれの期限が切れる。

参考 2013/3/25 米議会が暫定予算可決 


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