2015
日本は競争力6位維持 世界経済フォーラム

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2015/10/1 世界経済フォーラムの国際競争力ランキング(2015) 

スイスの研究機関で「ダボス会議」を主催する「世界経済フォーラム(World Economic Forum)は9月3日、2015年版の国際競争力ランキングを発表した。
http://reports.weforum.org/global-competitiveness-report-2015-2016/ 

前年の実績については 2014/9/4 国際競争力ランキング 
             2014/9/5    世界経済フォーラムの2014年版国際競争力ランキング 詳細

日本の総合順位は前年と同じ6位だった。日本の6位は、現在の基準になってからでは2010年と並んで最高となる。

上位10カ国の各要素の順位は下記の通り。

  スイス シンガポール 日本 香港 フィン
ランド
スウェー
デン

1位国

'15 '14 '13
総合順位 本年 1 2 3 4 5 6 6 9 7 8 9 10 スイス
(前年) 1 2 3 5 8       7 4 10 9 スイス
 
(基礎的条件) 2 1 30 8 7 24 25 28 3 11 13 25 シンガポール
制度 7 2 28 20 10 13 11 17 8 1 11 14 フィンランド
インフラ 6 2 11 7 3 5 6 9 1 25 20 9 香港
マクロ経済環境 6 12 96 20 26 121 127 127 16 36 17 108 ノルウェー
保健衛生、初等教育 11 2 46 13 6 4 6 10 29 1 20 18 フィンランド
 
(効率性促進要因) 4 2 1 10 9 8 7 10 3 13 12 5 米国
高等教育、職業訓練 4 1 6 17 3 21 21 21 13 2 12 18 シンガポール
商品市場効率 9 1 16 23 10 11 12 16 2 21 17 12 シンガポール
労働市場効率 1 2 4 28 17 21 22 23 3 26 20 5 スイス
金融市場成熟度 10 2 5 18 31 19 16 23 3 6 14 16 ニュージーランド
技術発展 2 5 17 12 10 19 20 19 8 13 4 3 ルクセンブルグ
市場規模 39 35 2 5 23 4 4 4 32 59 41 9 中国
 
(革新性・洗練性) 1 11 4 3 6 2 2 3 23 5 7 9 スイス
ビジネス先進度 1 18 4 3 5 2 1 1 16 14 7 6 スイス
Innovation 1 9 4 6 8 5 4 5 27 2 7 12 スイス

 

日本の評価は次のとおり。

詳細は下記の通り。

マクロ経済環境は、政府予算の赤字(132位)、政府債務(140位)など、相変わらず低順位だが、唯一インフレ率が消費税アップのため1位となり、若干順位を上げた。

Institutions 13位 Public institutions 14位 Property rights 6位
Ethics and corruption 15位
Undue influence 6位
Public-sector performance 18位
Security 33位
Private institutions 10位 Corporate ethics 9位
Accountability 11位
Infrastructure 5位 Transport 5位  
 
 
Electricity and telephony 10位
Macroeconomic environment  121位 Government budget balance % GDP 132位    
Gross national savings % GDP 56位
Inflation annual % change 1位
Government debt % GDP 140位
Health and primary education 4位 Health 2位 うち(Infant mortality) 4位
 (Life expectancy years) 2位
Primary education 4位 Quality 7位
Enrollment rate 2位
Higher education and training 21位 Quantity of education 41位    
Quality of education 31位
On-the-job training 12位
Goods market efficiency  11位 Competition
 
26位 Domestic competition 21位
Foreign competition 64位
Quality of demand conditions 1位 Degree of customer orientation 1位
Buyer sophistication 2位
Labor market efficiency  21位 Flexibility 15位
Efficient use of talent 40位 うち(Country capacity to attract talent) 78位
(Female participation) 83位
Financial market development 19位 Financial market development 17位    
Trustworthiness and confidence 33位    
Technological readiness 19位 Technological adoption 13位    
ICT use 24位    
Market size 4位 Domestic market size 4位    
Foreign market size 6位    
Business sophistication  2位 Local supplier quantity 1位    
Local supplier quality 1位    
State of cluster development 10位    
Nature of competitive advantage 1位    
Value chain breadth 1位    
Control of international distribution 2位    
Production process sophistication 2位    
Extent of marketing 20位    
Willingness to delegate authority 20位    
Innovation  5位 Capacity for innovation 14位    
Quality of scientific research institutions 7位    
Company spending on R&D 2位    
University-industry collaboration in R&D 16位    
Government procurement of advanced technology products 14位    
Availability of scientists and engineers 3位    
PCT patent applications 1位    

 


2015/10/2  日本特殊陶業、米国自動車部品カルテルで需要家に損害賠償  

日本特殊陶業(NGK Spark Plug) は9月28日、需要家への損害賠償支払いで150億円の特別損失の計上を発表した。

同社は2014年8月19日、米国司法省との間で、自動車用スパークプラグおよび酸素センサの一部取引に関して、米国反トラスト法(独占禁止法)違反があったとして罰金52.1百万ドルを支払う等を内容とする司法取引に合意し た。

これに関して、2015年5月21日には同社の社員2名が司法省により起訴されている。

この違反行為に関連して、同社は自動車用スパークプラグおよび酸素センサを購入した複数の顧客との間で損害賠償に関する協議を行ってきたが、交渉の長期化が当社の事業に与える影響等を総合的に勘案した結果、本件を早期に解決することが 同社の総合的利益に適うと判断し、この度、和解金として一部の顧客に対し計約1億25百万USドル(約150億円)を支払うことを決定した。

契約に秘密保持条項があるとして、相手先や相手先別金額は明らかにしていない。

司法省の発表によると、同社の販売先は、DaimlerChrysler、ホンダ、トヨタなどとしている。

ーーー

同様の事案で、東洋ゴムが自動車用防振ゴムを購入したメーカーから、価格調整により損害を被ったとして損害賠償を求められ、和解金4,209百万円の支払で合意 している。

米司法省は2013年11月26日、東洋ゴムが自動車用防振ゴムとドライブシャフト部品及び等速ジョイントブーツの価格カルテルで有罪を認め、罰金120百万ドルの支払いに同意したと発表した。本件では幹部の1名が1年と1日の禁固と2万ドルの罰金となり、他の2名が起訴されている。

2015/9/23 カヤバ工業、米国自動車部品カルテルで罰金、東洋ゴムは需要家と和解

今後、カルテルが摘発され、政府に罰金を払った場合に、需要家からも訴えられ、和解金を払うこととなる可能性が増える可能性がある。
東洋ゴムの場合は、支払相手が日本の自動車メーカーであることは、ほぼ間違いない。


2015/10/3 韓国公取委、日本のコンデンサーメーカーの価格カルテル調査  

韓国の公正取引委員会は、日本のコンデンサーメーカー8社が最大4兆ウォン(約4100億円)台の価格カルテルを結んでいた疑いで調査に入った。
これらのカルテルにより、サムスン電子やLG電子など韓国の電子メーカーは数百億ウォンの損害を受けたと公取委は把握している。

カルテルを結んでいたとされる期間は2002〜2013年で、定期的にアルミニウム電解コンデンサー、タンタル電解コンデンサーなどの価格を自社に有利な方向で調整していたという。

最近ある日本企業が公取委に対しカルテルの事実を認め、関連資料を提出した。

調査対象はパナソニック、ニチコン、日本ケミコン、日立化成、NECトーキンなどの8社。

公取委は早い時期内に調査を完了し、課徴金の賦課額や是正命令などの制裁程度を決める予定。公取委のカルテル課徴金は期間内に発生した関連売り上げの最大10%となっている。

韓国紙によると、課徴金が課された場合、韓国の需要家が損害賠償訴訟を行う可能性がある。

韓国公取委は2011年10月に、台湾の液晶表示装置(LCD)パネルとブラウン管メーカー5社にカルテルで課徴金を課したが、これを受け、LG電子は2014年2月に各社を相手に100億ウォン台規模の価格カルテル損害賠償訴訟を行い、進行中。

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日本の公正取引委員会は2014年6月24日、「アルミ電解コンデンサー」や「タンタルコンデンサー」などの販売を巡り価格カルテルを結んでいた疑いが強まったなどとして、メーカー10社程度に立ち入り調査を行った。

対象となったのは、日本ケミコン、パナソニック、日立化成、NECトーキン、ニチコン、ルビコン、エルナー、松尾電機など。

アルミ電解コンデンサーでは日本ケミコンが世界シェア12%、ルビコンが9%。
タンタル電解でニチコンが13%。

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米当局も現在、キャパシタ(電解コンデンサー)業界のカルテルの調査を行っている。

司法省は9月2日、NEC TOKIN が罪を認め、1380万ドルの罰金を支払うと発表した。
合わせて、同社は今後の調査への協力を約束しており、今後、広がる可能性がある。

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中国の国家発展改革委員会(NDRC) は2014年、他国の競争当局に先がけてコンデンサーの価格カルテルの調査を開始している。

 


2015/10/5 出光興産、千葉のポリカーボネートを停止、生産を台湾へ集約   

出光興産は9月30日、ポリカーボネート樹脂「タフロン」の生産について下記の発表を行った。

本年12月をもって千葉工場のポリカーボネート製造装置の運転を停止する。
生産は、技術ライセンス先であるFormosa Chemicals & Fibre Corporation (FCFC) へ集約する。

出光興産の千葉の能力は公称47千トンであったが、同社によると、2013年以降、千葉工場からFCFCへの生産集約を段階的に進めており、今回、特殊グレードも集約することで、全グレードの生産をFCFCで行うことになる。
FCFCの現在の能力は年産20万トンとなっている。

出光興産のポリカーボネートは下記の通り(以前の出光石油化学の資料)。

出光独自技術により製造(1960年にポリカーボネートを自社技術により工業化)
世界でも出光のみ、原油からの一貫生産を実施
日本より全世界(ヨーロッパ、アメリカ、アジア)へ販売
環境問題を考慮し、ノンハロゲン難燃グレードの開発に力を入れている。

出光石油化学は1999年12月16日、台湾最大手の石油化学グループ Formosa Plastics Groupの中核企業であるFormosa Chemicals & Fibre Corporation とのCD用PC樹脂に関する合弁事業合意を発表した。

合意内容 

(1)製造設備  出光技術で下記の工場を建設

  能力:15万t/年(5万t/年×3系列)
       2001年末5万t完工後、出来る限り早期に15万t 完工

  製造品目:ポリカーボネート樹脂CDグレード
         一部OA、自動車分野向けPCアロイのベース原料(PC/ABS,PC/PS)

  建設地:台湾省 雲林縣 麦寮工業区

  原料ビスフェノールA:Formosa Plastics Group のNan Ya Plasctics が供給

(2)合弁事業の形態
    出光とFCFCとの折半出資による合弁会社
        → 台化出光石油化学 (Formosa Idemitsu Petrochemical )

この時点の発表からはJVが生産するような印象を受けるが、その後の発表によると、生産はFCFCが行っている模様で、「弊社とFCFCの折半合弁会社である台化出光石油化学を通じて、台湾・中国を始め世界のCD、DVD等の光ディスク・マーケットに供給しており、品質面で高い評価を得ております」となっている。

現在の社名は「台出光石油化学」(以前は「台」)で、折半出資の販売会社となっている。

第1期 5万トン(基礎設計は10万トンへの増設可能)は2002年に完成した。

両社は2000年12月、第2期 5万トンを当初より1年前倒しして実施することで合意し、2003年6月から10万トン体制になった。

2005年4月に第3期 75千トンの建設で合意したが、2006年11月に更に、既存2系列100千トンをボトルネック解消で125千トンとすることを決めた。

これにより、FCFCの現在の合計能力は200千トンとなっている。

Formosaグループの麦寮コンプレックスに立地し、安定的な原料供給と、20万tの生産能力によりアジアトップクラスの競争力を誇っており、出光では「今回の生産集約により、タフロンの競争力をさらに高め、日本はじめ世界各国へのより一層の安定供給に努めてまいります」としている。

ーーー

なお、出光石油化学はブラジルのポリカーボネートメーカーのPC do Brazil (能力2万トン)に33%出資していた。

しかし、2002年に出光石油化学の業績が悪化し、出光興産が増資100億円を引き受けるとともに、海外の不採算事業からの撤退を促した。
この結果、
PC do Brazil の持株を地元企業に売却し、撤退した。


2015/10/5   日立製作所、米国連邦海外腐敗行為防止法違反で 米 SECに1,900万ドルの民事制裁金支払い  

米証券取引委員会(SEC)は9月28日、日立製作所が連邦海外腐敗行為防止法に違反し、発電設備の受注にからんで南アフリカの与党アフリカ民族会議(ANC)側に不適切な支出を行ったとし、日立製作所が民事制裁金1,900万ドルを支払うと発表した。

日立はSECの主張を肯定も否定もせず和解に応じた。

日立は南アフリカの国営電力会社 Eskom Holdings SOC Ltd. から発電所建設の2つの契約を獲得した。

日立は2007年11月、Eskom社が建設する石炭火力発電プラント用ボイラー設備6基を受注した。契約金額は、総額約3,200億円。
リンポポ州レパラーレ市西方に新規建設されるMedupi発電所の1号機から6号機用。

引き続き、2008年3月に、ムプマランガ州ウィトバンク市南方に新規に建設されるBravo発電所の1号機から6号機用のボイラー設備を約2,500億円で受注した。

受注に際し、日立は2005年に南アに子会社を設立し、与党のアフリカ民族会議(African National Congress:ANC)のダミー企業であるChancellor House Holdings (Pty) Ltd. にその子会社株の25%を約19万ドルで売却した。
発電所建設の契約の獲得後、配当として約500万ドルを支払った。別途、追加で100万ドルを成功報酬として支払ったが、正式の契約書なしで帳簿にはコンサルタントフィーと記載している。

報道によると、日立は2014年2月に現地法人の株を約440万ドルで買い戻したという。
これが事実なら、Chancellor は売却差益を含めて 1,021万ドルを受け取ったこととなる。

SECは日立が米国で企業活動をしているため、この事件についても管轄権があるとしている。

SECが米国地裁に提出した資料によると、

・日立は入札時点で、Chancellor がANCのダミー企業であることを認識していた。
・それにもかかわらず、Chancellorとの関係を続け、発電所建設契約を獲得できるよう、政治的影響を行使するよう依頼した。
・影響力行使の代償としてChancellorに成功報酬を支払った。

SECでは、上記の行為は連邦証券法の帳簿・記録・内部会計監査条項、特にSecurities Exchange Act of 1934の Sections 13(b)(2)(A) and 13(b)(2)(B) に違反するとしている。

「日立の内部統制の甘さは、同社子会社が南ア政府から契約を勝ち取るため政界とつながりがあるANCのフロント企業に数百万ドルを支払うことを可能にした」と指摘。「日立はその後、これら支払いを帳簿上で違法に偽る形で、コンサルティング費用やその他の合法的な支払いとして計上していた」と述べた。


日本の当局は動くのだろうか?

 


2015/10/6 東レ、欧州の炭素繊維事業拡大   

東レは9月30日、イタリアの炭素繊維プリプレグメーカーDelta Tech S.p.Aの発行済み株式の55%を取得し、Delta Techとその100%子会社のDelta Preg S.p.A を子会社化すると発表した。

Deltaグループは、自動車用途向けを中心に高品質プリプレグを開発・供給するとともに、多品種少量生産への対応やきめ細かい技術サービスで市場から高い評価を得て おり、東レはこれまでも炭素繊維 トレカ®の供給を通じて協力関係を築いてきた。

東レは2014年12月にイタリアのSaati S.p.A.から炭素繊維織物・プリプレグ事業を買収することに合意、2015年1月に工場を引継ぎ、Composite Materials (Italy) s.r.l を設立しているが、これと合わせて、欧州における炭素繊維中間基材事業の基盤が大きく強化されることになる。

これにより東レは欧州で、
プリカーサ(焼成前原糸)から一貫で炭素繊維を製造・販売するフランス子会社Toray Carbon Fibers Europe S.A、
CFRP(炭素繊維複合材料)部品を製造・販売するドイツ子会社Euro Advanced Carbon Fiber Composites GmbHとACE Advanced Composite Engineering GmbH、
を合わせた自社の一貫サプライチェーンの各段階でソリューションを提供する体制が拡充される。

東レの世界での生産体制:

  プリカーサ
(原料糸)
炭素繊維 中間基材
(プリプレグ・織物)
コンポジット
(成形品)
日本

愛媛工場

    石川工場 滋賀・名古屋
    サカイ・コンポジット
    創和テキスタイル 東レ・カーボンマジック
(旧 童夢カーボンマジック)
タイ       カーボンマジック(タイランド)
韓国   Toray Advanced Materials Korea    
米国 Toray Carbon Fibers America Toray Composit
America
 
  Zoltek Corporation
(ラージトウ)
   
メキシコ   Zoltek Corporation    
ハンガリー      
フランス Toray Carbon Fibers Europe   Toray Carbon Fibers Europe
イタリア     Delta Tech S.p.A
Delta Preg S.p.A
 
    Composite Materials (Italy) S.r.l.  
ドイツ       ACE Advanced Composites Engineering GmbH
      Euro Advanced Carbon Fiber Composites GmbH


東レグループ
PAN系炭素繊維生産能力は下記の通り。
 
  2012年 2015年4月

日本

7,300トン

 9,300 トン

フランス

5,200トン

5,200 トン

アメリカ

5,400トン

7,900 トン

韓国

4,700トン

グループ計

17,900トン

27,100トン

韓国は当初、2200トンでスタートし、その後増設した。


2015/10/6 DuPont のCEO Ellen Kullman、急に退任   

DuPont は10月5日、CEO で会長の Ellen Kullman (59) が10月16日に退任すると発表した。

昨年来、物言う株主(Activist)のNelson Peltz が率いる米Trian Fund Management が会社の分割を要求してきたが、5月13日の株主総会で非常に僅差であったが勝利し、取締役12名全員の留任が承認されたばかり。

2015/5/15   DuPont、株主総会で物言う株主に勝利
 

取締役会が正式な後任を探す間、取締役会メンバーのEdward Breenが暫定的に会長兼社長となる。

付記

DuPont 取締役会は11月9日、暫定会長のEdward D. Breen を同日付で正式に会長兼CEOに選任した。

DuPont は同時に、年間の1株当たり営業利益が当初予定の3.10ドルから2.75ドルに下がる予想であることを明らかにした。

理由としては、新興国通貨、特にブラジルのReal に対する米ドル高や、特にブラジルなどでの農産物市場の低迷を挙げている。

デュポンの業績が急激に暗転したのは、ブラジルの業績悪化が理由とされる。

中国が当初予想されたほどブラジルから穀物を買い付けなかったことにより、中国からの需要を当て込んでいたブラジルの農家が需要減で打撃を受け、これに加えて、Brazil Realの急落で、業績が悪化したと報じられている。

同社はコスト削減計画を1年前倒しし、足元のペースに基づき16年末までに13億ドル、17年末までに約16億ドルのコストを節減する見通しとした。具体的な節減策は説明しなかった。

CEOの急な退任は、業績悪化の責任を取ったものと見られている。

DuPontの第5位株主で、DuPontの分割を要求し続けているTrian Fund Management の共同創業者Ed Gardenは10月5日のインタビューで、同社株を買い増したことを明らかにした。
同ファンドは Kullman CEOが利益目標を達成できていないと繰り返し批判している。

報道によると、Trian Fund Managementは10月5日、GE株の約1%を約25億ドルで取得した。

GEは今年4月、同社の主力事業のひとつの金融部門 GE Capitalの大半を売却し、航空機エンジンや発電機、医療分野などの主力の産業分野に集中すると発表したが、この方針に反対している。

Ellen J. Kullman は2008年10月1日付けでDuPontの社長に就任、2009年1月1日付でCEOに、2009年12月31日付けで会長に就任した。

Kullman 社長は1988年にGeneral Electric からDuPont に移った。
2002年2月から2006年6月まではDuPont Safety & Protection部門を担当、2006年6月以降、副社長として同社の5事業のうちの4事業(Coatings & Color Technologies、Electronic & Communication Technologies、Performance Materials、Safety & Protection businesses)の責任者であった。
この2年間は広くHolliday CEOの後継者と見られており、CEOを引き継ぐ教育を受けてきた。

Kullman社長は、4つのコア分野(農業、safety and protection、開発途上国市場、コスト低減)に注力し、DuPont の収益力を伸ばしたいと述べた。

2008/9/25 DuPont、社長・CEOにEllen J. Kullman を選任

2011年5月にデンマークの食品用酵素や素材のメーカーのDaniscoを買収している。

2011/5/27  DuPont、Daniscoの買収成功 

DuPontは本年7月、成長分野に集中するため、酸化チタンを中心に、フッ素化学品、フッ素樹脂などを扱う Performance Chemicals部門を分離し、新会社The Chemours CompanyとしてNYSEに上場した。
DuPont 株主に、DuPont株式 5株当たり新会社株式 1株を配当として支払った。

2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離   

これに対し、Trian Fund Management はPerformance Chemicals部門に加え、DuPontを2社に分割することを求めている。

 GrowthCo      (Agriculture, Nutrition and Health, Industrial Biosciences)
 CyclicalCo/CashCo    (Performance Materials, Safety and Protection, Electronics and Communications)

2015/10/7 大日本住友製薬など、米国で脳梗塞新型治療薬の臨床試験   

大日本住友製薬と創薬ベンチャーのサンバイオは近く、サンバイオが慢性脳梗塞治療剤として創製した細胞医薬品「SB623」の米国での臨床試験を開始する。

サンバイオが患者18人を対象に行った臨床試験フェーズ2aでは、脳梗塞の発症後 3年近く経過した患者でも運動機能の回復が見られた。
両社は
フェーズ2bで、米国で治験に参加する患者を150人に増やし、詳細な効果や副作用を確認する。2018年から製品化前の最終治験を実施し、現地当局からの販売承認を目指す。

SB623は、健常人の骨髄由来の間葉系幹細胞を用いた、これまでにない全く新しい細胞医薬品である。

健常人から採取した骨髄液を加工・培養して作製された他家由来の細胞医薬品で、中枢神経細胞の再生を促すことによって、有効な治療法が存在しない慢性期脳梗塞への効果が期待され る。
また、他家由来細胞を利用して同一の製品を大量に作製できることから、自家由来細胞を用いる治療で必要となる医療機関等における個別の細胞調製などの処置が不要であり、多くの患者に均一な医薬品を提供することが可能とな る。
これまでの非臨床試験および臨床試験の結果では、慢性期脳梗塞に対して良好な効果を示すとともに、細胞医薬品で課題となっている副作用は認められていない。

大日本住友製薬は2014年9月26日に、「SB623」について、米国・カナダをテリトリーとした、共同開発および独占販売権のライセンス契約を締結した 。

大日本住友製薬はサンバイオに対して、契約一時金として6百万ドルを支払い、開発段階に応じた開発マイルストンとして合計80百万ドル(契約一時金を含む)を支払 う。
販売後は、サンバイオは大日本住友製薬に製品を供給し、大日本住友製薬は販売額に応じた2桁台の料率のロイヤリティを支払うとともに、年間販売額の目標達成に応じた販売マイルストンとして合計125百万ドルを支払う可能性があ る。
本剤の共同開発費用は両社で折半して負担する。

大日本住友製薬は、研究開発領域の一つとして、治療薬のない疾患分野および再生・細胞医薬分野に注力して いるが、脳梗塞による後遺症には治療薬がなく、アンメット・メディカル・ニーズの非常に高い疾患領域である。

なお、2010年2月に、帝人が「SB623」の日本における開発・販売に関する独占的なライセンス契約を締結し 、これを契機として、帝人グループ再生医療市場への本格的な参入を図っている。

ーーー

サンバイオは2001年2月に創業者2名によりカリフォルニア州で米国法人SanBio, Inc.として設立された。

事業として再生医療を選び、対象技術を選ぶなかで、岡野栄之慶應義塾大学教授 と出会った。

岡野教授は世界で初めて人の脳神経の元になる幹細胞を発見した医学者で、中枢神経系の細胞損傷の再生医療の研究で最先端を行っていた。
それまで再生は不可能だとされていた脳細胞を再生する夢のような技術で、脳梗塞の治療薬というかつてない製品開発につながる可能性がある。

岡野教授はふたりに賛同し、教授の研究をもとにした医薬品を製品化することにSanBioの方向が定まった。
(岡野教授は現在、サンバイオの創業科学者:Founding Scientist となっている)

しかし、岡野教授の技術では、将来、量産化の段階でアメリカの医学倫理規範に抵触するリスクが大きかったため、岡野教授のアドバイスで、東北大学の出澤真理教授の技術に変更した。

出澤教授の技術は同じ可能性のある細胞を成人の骨髄から得ることができるため、倫理面の問題もなく、材料の入手にも困らない。
さらに、「細胞のガン化リスク」もない
というメリットがあった。

これが、「SB623」に発展した。

2010年5月にSB623の脳梗塞用途でFDAからInvestigational New Drug Exemption (IND)の承認を取得、2011年1月に臨床試験フェーズ1/2を開始した。
2013年5月にはSB623の外傷性脳損傷用途のINDの承認も取得している。

2013年2月に日本法人サンバイオを設立、2014年1月に日米親子逆転の企業再編を実施、日本法人が米国法人の親会社となった。


2015/10/8 イスラエルのTeva Pharmaceutical、メキシコ製薬大手のRIMSAを買収    

後発医薬品世界最大手のイスラエルのTeva Pharmaceutical は10月1日、メキシコ製薬大手のRIMSA (Representaciones e Investigaciones Médicas, S.A. de C.V. ) を23億ドル(借入金と現金を除外したベース)で買収すると発表した。 買収にはラテンアメリカと欧州の医薬品の資産やパテントを含む。

買収により、中南米で第2位、新興国で第5位の医薬品市場であるメキシコで のトップメーカーとなり、RIMSAが持つ販路を生かし自社製品の拡販も狙う。

Tevaは現在も医薬品の開発・製造・販売基地として Teva México を持っている。

RIMSA の2014年の売上高は227百万ドルで、2011年から年平均10.6%の成長を続けている。成長の高い多剤混合薬を含むスペシャルティ製品を取り揃えている。

RIMSAはメキシコで45年以上活躍を続けているが、“combination drugs” の供給を目玉としている。
2種類以上の原薬を含む
多剤混合薬で、患者のコスト負担を下げる狙いがある。

買収は2016年の第1四半期に完了する予定。

ーーー

Tevaは7月には米医薬大手Allergan plc から後発薬事業を405億ドルで買収することで最終合意した。

Teva は4月21日に後発薬大手のMylanに対し買収提案を行ったが拒否され、Allergan買収でMylanを諦めた。

2015/7/29   後発薬最大手のTeva、 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収

Allerganの後発薬事業の 合併により、Tevaの売り上げ規模は2014年の203億ドルから2016年に約260億ドルに上る見通しで、後発薬市場で他社を引き離し、首位を固める。
グラフには今回のRIMSAの買収は含んでいない。


2015/10/9 Volkswagenの資本構成   

米環境保護局(EPA)は9月18日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス規制逃れのために一部ディーゼルエンジン車に違法ソフトウエアを搭載していたと告発した。

世界各国が調査を開始しており、多額の罰金が科されるほか、損害賠償訴訟も相次ぐと思われる。

本件の技術的な背景については、安井至氏の「市民のための環境学ガイド」(2015/10/3) が「VWの排気ガススキャンダル」として詳しく取り上げている。

ここでは、VWの歴史と資本構成を取り上げる。

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VWとスズキは2009年に資本提携し、VWはスズキ株の約20%を約2200億円で取得、スズキはVWの1.5%を取得した。

しかし両社の思惑が異なり、スズキはVWに対し、円満な協議を通じて提携及び資本関係を解消することを求めたが、VWが応じないため、スズキは、2011年11月にVWとの包括契約を解除する旨を通知し、国際商業会議所国際仲裁裁判所に対して仲裁を申し立てた。

2015年8月29日、下記の仲裁判断が出た。

包括契約が2011年11月18日付の解除通知により2012年5月18日に有効に解除された

VW保有のスズキ株式をスズキに引き渡す。

VWが主張するスズキの契約違反の一部を認め、損害の有無及び額について引き続き仲裁において審議する。

これに基づき、スズキはVWから2015年9月17日に119,787千株を4,602億円強で取得した。

スズキは26日、保有する全てのVW株をVWの親会社のPorsche SEに売却する契約を結んだ。売却益として特別利益約367億円を計上する。

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VWの出資関係は下記の通りで、VWの100%子会社のPorscheの創立者一族の持株会社 Porsche SEがVWの大株主となっている。

ヒトラーが1934年のベルリンモーターショウで提唱した国民車(フォルクスワーゲン)計画に従い、Ferdinand Porscheが設計し、1938年に発表されたのがVolkswagen Type 1で、生産のために1937年5月28日VW準備会社が創立され、1938年9月16日Volkswagenwerk GmbHと 改称した。

第二次大戦後、VW社の株主が誰かが問題となったが、1959年11月に、ニーダーザクセン州と連邦政府との協議で次のように定められた。

@ VW有限会社は株式会社へ組織変更
A 連邦とニーダーザクセン州がそれぞれ20%ずつ保有し、残りの60%は株式の発行によって民営化する。

1960年に民営化の場合のことを規定するVW法が制定された。

VWの買収を防ぐための法律で、ニーダーザクセン州に買収の拒否権が与えられているというもので、同州が認めない限り、誰もVWを買収できない。

@ 1人の株主が20%超を保有する場合、議決権は20%に制限される。
A 株主総会の重要決議は、資本金の80%を超える多数を必要とする。

連邦政府は1988年にすべての持ち株を売却した。ニーダーザクセン州は現在に至るまで保有している。

EU 委員会は2005年 に、VW法の20%の上限付き議決権は資本取引の制限となり、EC条約56条1項が定める資本移動の自由と43条2項による開業の自由に違反するとし、ドイツ連邦政府に対し、上述の規定の削除を求めた。

2007年10月23日、ヨーロッパ裁判所(大法廷)は、VW 法の前述の規定がEC条約に違反する旨の判決を下した 。

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VWを設計したFerdinand Porscheのデザイン事務所は、息子のFerry Porscheとその姉のLouise Piech により自動車メーカー Porsche となった。

現在の持株会社 Porsche SE は、Ferry Porsche の一族 と姉のLouise Piech の一族が所有している。
(公表では50/50だが、独紙によると、一族内の金銭的な事情によって、Porsche家が過半数53%を占めているという。)

2005年9月、Porsche SEはVWに20%資本参加するつもりであると発表した。
2007年3月、Porsche SEは、VWの持株比率を30.2%へ引き上げた。

2009年1月の時点では、持株比率は50.76%となり、VWの子会社化が完了した。

しかし、この後、Porsche SE の資金繰りが行き詰った。金融機関からの借入金でVW株を購入していたが、VW株の株価が下落したためである。

このため、以下の対応が行われた。

@ VWがPorsche SE から自動車メーカー Porsche AG と自動車販売会社 Porsche Holding を買収し、逆に子会社とする。

A カタールのQatar Holding にVWの株式17%を売却する。
  合わせて、Porsche SEの普通株を10%売却したが、これについては、その後買い戻した。

これにより、Porsche SE は負債を返済した。
Porsche SE の100%子会社のPorsche AGはVWに買収されたが、Porsche SEはVWの権益の50%以上を維持し、現在に至っている。


2015/10/10 SABICのHome of Innovation initiative、パナソニックが参加  

SABICは2014年11月、協力企業・政府・教育機関等をパートナーとし、SABIC製品及び石化下流部門の製品を利用する協働センター及びモデルハウス施設を開設するHome of Innovationプロジェクトを立ちあげた。

SABICでは施設をRiyadh市のKing Saud University に隣接するTechno Valley につくり、2017年には目に見える成果を出したいとした。

 

現在、世界の約40の企業と戦略的関係をつくり、技術をサウジと中東地域に導入しようとしている。

対象となるのは、サウジと中東地区で事業を展開しようという企業で、有名ブランドを持ち、戦略的にSABICと提携する希望を持ち、イノベーティブで商業的に利用可能なシステムや製品を持つ企業。

参加企業は、自分で Leadership、Performance、Program の3つのグループを選び、参加する。

現時点の参加企業は下記の通りで、最近パナソニックが加わった。

Leadershipグループ

Harwal Group of Sharjah (UAE)、New Products Industries Corp. (NEPRO) of Saudi Arabia,
Philips Saudi Lighting of Riyadh、Schneider Electric of France.


Performanceグループ

日本企業では川北電気工業 (KDK)が選ばれている。


Programグループ

 
 

日本企業ではPanasonicが加わった。

同社は、LEDライト、省エネのECO NAVI 冷蔵庫と空気清浄機、LCD TVスクリーン、省エネセンサー付き調理機器などを候補としている。


2015/10/11  イランとの投資協定、締結合意へ  

岸田文雄外相は、10月12日にイランでザリフ外相と会談し、投資協定締結で合意する見通しで、同国との経済協力を加速させる。

付記 投資協定締結で合意した。

イランが7月14日に米英独仏中露の6カ国と、核問題解決のための「包括的共同行動計画」で最終合意に達したのを受け、日本は、制裁解除を見込んで、9月からイランと締結交渉を開始した。
約1カ月の短期の交渉で合意するのは異例の速さで、政府は来年の通常国会に協定の承認案を提出し、来年半ばの発効を目指す。

ドイツ、フランス、中国、韓国など52カ国が既にイランと協定を結んでいる。

米国では、米議会が5月に、最終合意の内容を検証して承認するかどうかを判断する決議を可決している。上下両院が不承認決議案を可決した際は、政府が国内法に基づき制裁を継続するよう義務づけていた。

米議会上院は9月10日、イラン核合意の不承認決議案の審議を進めるための動議を否決した。
オバマ政権はただちに対イラン制裁の解除への具体的な作業に着手する。

岸田外相のイラン訪問に、経済界21社の役員が同行する。

イランは豊富な資源と約7800万人の市場に加え、インフラ需要が魅力。
伊藤忠商事、三菱商事、三井物産など大手商社8社は、イランで資源開発や高速鉄道、航空機、インフラ関連ビジネスの開拓を目指す。
日揮などエンジニアリング3社も石化や肥料プラントの商機を探る。
自動車分野では日産自動車、いすゞ自動車、三菱自動車、マツダの4社が同行。
エネルギーでは過去に南Azadegan油田開発に参加していた国際石油開発帝石のほか、JX日鉱日石エネルギー、昭和シェル石油の3社が資源開発や製油所改修への参画を目指す。

ーーー

イランはもともと親日国で、日本のAzadegan油田開発復帰に前向きとされる。

1999年に発見されたAzadegan油田はイラン最大級の油田であり、確認埋蔵量は約260億バレルとされる。

 

 

 

 

 

 

 

2000年のハタミ大統領訪日時に両国間で交渉開始に合意し、2001年7月、平沼赳夫経済産業相がテヘランでハタミ大統領と会談し、開発の早期契約に向けて努力することで合意した。

2004年2月、国際石油開発は イラン国営石油(NIOC)との間でAzadegan油田の評価・開発に係わる契約に調印した。

・国際石油開発 とイラン国営石油子会社NICOが、それぞれ75%と25%の参加権益で、Azadegan油田の評価・開発作業を推進する。
 
・開発第一段階は契約調印後4年4ヶ月後から日量15万バレルの生産を予定し、その後開発第二段階として、契約調印後8年後から日量26万バレルの生産を計画。
 
 
・契約調印後3年4ヶ月間で日量5万バレルのレベルで生産開始を予定。  

契約後もイランの核開発疑惑を強く批判する米国がイランへの石油投資に反対の姿勢を崩さず、日本側に契約延期を要請していたが、国際石油は2005年末に「着手が遅れると権益を失いかねない」と判断し、本格生産に向けた開発を2006年中に始める方針を固めた。

Azadegan油田はイラン・イラク国境に近く、イラン・イラク戦争で100万発といわれる地雷が敷設され、そのままになっているため、地雷の除去を始めた。

その後、イランの核問題は解決のきざしが見えず、開発に着手出来ない状況が続いた。

国際石油開発はイラン側が約束した油田の地雷除去を終えていないことが遅れの主因と主張したが、イラン側は地雷除去は96%終わっており、作業に問題はないと反論し、2006年9月末までに開発を始めない場合、同社に与えた開発権を取り消し、イラン政府が引き取るとし、早期着工を促した。

2006年10月、国際石油開発とイラン政府は、日本側の開発権の保有割合(出資比率)を大幅に引き下げることで大筋合意した。
  国際石油開発 75%
/NICO 25% 国際石油開発 10%/NICO 90%

2006/10/9 Azadegan油田の開発権引き下げでイランと合意

その後、NIOCの方針で北Azadegan油田と南Azadegan油田に分けられた。

2009年1月、中国のCNPCは北Azadegan油田開発の契約を締結した。石油埋蔵量は60億バレルとされる。

2009年8月にはCNPCはNIOCとの間でメインの南Azadegan油田の開発に関する覚書を締結した。油田の70%の権益を取得し、開発費用の90%を負担する。

北Azadegan  CNPC
南Azadegan  国際石油開発 10%
/NICO 20%/CNPC 70%

2009/8/5  CNPC、イランのAzadegan油田の権益取得へ

国際石油開発帝石は2010年10月15日、Azadegan油田開発プロジェクトから撤退することについて、イラン国営石油会社との間で合意したと発表した。 権益10%を無償で返還する。

南Azadegan  国際石油開発 0%/NICO 30%/CNPC 70%

2010/10/1 日本、イラン・Azadegan油田から撤退へ

なお、Sinopec とイラン石油省は2007年12月9日、 Azadeganに隣接するYadavaran油田開発の契約に調印した。
Sinopecが今後30年間にわたり毎年2億5千万トンの液化天然ガスを購入するほか、Yadavaran油田の開発権を得るというもので、同油田の開発が成功した場合、中国側は25年間にわたって、毎日15万バレルの原油の供給を受けることでも合意している。

ーーー

中国は2010年末以降、米国を初めとする諸大国からの制裁を避けるため、イランにおけるエネルギー事業の関連作業を凍結していた。

イラン石油省は2014年4月29日、Azadeganの油田開発でCNPCとの契約打ち切りを発表した。
事業の遅れが理由で、CNPCは2012年に開発を始めたが、計画にある油井185カ所のうち7カ所しか採掘できていない。

報道では、イランは、近い将来の制裁全廃を見越し、油田開発契約の見直しを進めており、今回の決定はその一環で、日本や欧州による開発を望んでいるという。


しかし、ロイターは2015年8月3日、中国の匿名消息筋からの情報として、10月頃よりCNPC とSinopecがそれぞれ 北Azadegan油田、Yadavaran油田の採掘を再開するとし、以下の通り報じた。

CNPC は10月初めに北Azadegan油田でフェース1 のキックオフを行う。
生産開始の最終段階にあるとしており、能力は明らかにしていないが、イラン情報ではフェース1 は日量75千バレルとされる。

 Sinopec GroupはYadavaran 油田のフェース1で日量85千バレルの生産を開始する。

これが事実なら、2014年にイランが契約を打ち切ったのは南Azadegan油田だけであった可能性がある。

 



2015/10/12     BP、
メキシコ湾原油流出事故の民事訴訟で米政府等と和解  

米司法省と湾岸5州は10月5日、2010年4月20日のメキシコ湾原油流出事故に関するBPへの民事訴訟 ー Clean Water Act に基づく訴訟、Oil Pollution Actに基づく自然資源への被害に対する訴訟、湾岸5州や地方自治体の経済被害に対する訴訟などが解決したと発表した。

今回の解決は総額208億ドルに達し、司法省の歴史で1企業に対する最大の和解額となる。

事故では11名が死亡、3ヶ月にわたり300万バレル以上の原油が流出した。原油は数百マイルも流れ、油膜は43千平方マイルの地域に広がり、水生動植物に被害を与えた。
油は少なくとも400平方マイルの海底に沈み、テキサスからフロリダまで1300マイル以上の海岸に流れ着いた。
湾岸の重要産業である漁業や観光に被害を与え、数千の鳥類や水生動物を殺した。

米司法省は2010年12月15日、BPと三井石油開発子会社MOEXなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こした。
 湾岸5州 – Alabama、Florida、Louisiana、Mississippi、Texas – も訴訟を起こした。

2010/12/17 米司法省、BP原油流出事件で提訴

BPは2015年7月2日、米連邦政府や湾岸5州と総額で最大187億ドルを18年間にわたって支払うことで和解した。
今後、本件を裁いていた
New Orleans
District Court のCarl Barbier 判事の承認を得る必要がある。

2015/7/4 英BP、メキシコ湾原油流出事故で米政府等と和解

これについて、金利等の加算など一部修正し、10月5日に裁判所で確定したもの。

内容は下記の通りで、支払は分割で行われる。

内容

金額

 
Clean Water Act (CWA)による罰金+金利   55億ドル    80%は RESTORE Actに基づき湾岸の復興に使用
天然資源被害(NRD) 81億ドル   うち10億ドルは既に支払約束済みのもの
7億ドル   未知の被害に対するもの
経済的被害、その他被害 6億ドル    
湾岸5州への支払 49億ドル    
地方自治体への支払 10億ドル    
合計 208億ドル    

BPは下記の通り、刑事訴訟でも政府に40億ドルを払っており、政府(地方を含む)への支払は248億ドルとなる。

事故に関しては、これ以外に政府に対して下記の支払が既に決定している。

相手先 内容 金額
BP 刑事訴訟(11名死亡に関する11の違法行為とClean Water Act、渡り鳥条約、議会妨害に関する違法行為の合計14の罪状)
 

40億ドル

2012/11/17  BP、Deepwater Horizon事故に関する米政府の全ての刑事訴訟で和解
三井石油開発 Clean Water Act に基づく罰金 70百万ドル
環境保全のための土地買収 20百万ドル
2012/2/20  メキシコ湾原油流出事故で三井石油開発が米政府と和解

別途、三井石油開発は事故損失負担でBPに10億6500万ドルを支払っている。
2011/5/20  BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解 

Transocean 刑事訴訟(問題あるのに調査せず) 4億ドル
Clean Water Act 10億ドル
2013/1/8 Transocean 、Deepwater Horizon 事故で罰金14億ドル支払い 

Clean Water Act 関係では、Anadarkoがまだ決着していない。同社はBPと共に最高裁に訴えたが、2015年6月に拒絶されている。
同社に対しては、判事は「Ownerとしての責任のみ」としており、政府は2014年12月に10億ドルを求めている。
 

 


2015/10/12 BP、最新のPTA技術を寧夏宝塔化繊にライセンス  

BPは9月14日、寧夏宝塔石化集団傘下の寧夏宝塔化繊(Ningxia Baota Chemical Fibre)にBPの最新のPTA技術をライセンスする契約を締結した。

寧夏宝塔化繊は寧夏回族自治区の寧夏寧東能源化工Energy and Chemical Zoneに120万トンの工場を建設し、2018年に稼動させる。

この技術は従来のものに比べ資本や運営コストが大幅に抑えられ、エネルギー効率が高く、水使用量も少ないという優れた特徴を有する。

BPはこの技術で、2015年7月に広東省珠海のBP Zhuhai (BP 85%、Zhuhai Port Co.:旧称富華集 15%)の第3工場125万トンをスタートさせている。
1、第2系列合計で150万トンの能力であったが、第2系列のデボトルネッキングで20万トン以上の増強を行い、合計能力を170万トンにしている)

2012年7月にはインドの JBF Petrochemicals にこの技術をライセンスし、JBFはSpecial Economic Zone in Mangaloreに125万トンのプラントを建設、2014年末に生産開始した。

更に2015年8月末に、OmanのOman International Petrochemical Industries  (OMPET) にライセンスした。
OMPETは、Oman Oil 60%、LG International 20%、Takamul Investment Company 20% のJVで、OmanのSoharに110万トンの工場を建設する。
他に、PET 工場(500千トン)も建設する。

 今回のライセンスは3番目のものとなる。

 


2015/10/13   TPP の発効条件   

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の閣僚会合が10月5日午前閉幕し、交渉参加12カ国は貿易・投資ルールについて大筋合意した。

今後、参加12か国は協定案の内容が法的に矛盾していないか、詳細にチェックして最終案を取りまとめる作業を行う。

TPPが発効するためには、各国政府が協定に署名し、その後、各国の議会で批准される必要がある。

付記

日米など環太平洋連携協定(TPP)参加12カ国は2016年2月4日、ニュージーランドの最大都市オークランドで協定文に署名した。

参加12カ国は10月5日の閣僚会合で、協定を発効する条件として、
すべての参加国が署名後2年以内に議会での批准手続きを終えるか、
2年以内に参加国すべてが手続きを終了できなかった場合、TPP全体のGDPの85%以上を占める、少なくとも6か国が批准手続きを終えることと決めた。

2013年の参加12カ国の名目GDPと、12カ国合計での比率は下記の通り。

発効には合計85%以上が必要なため、1国で15%以上の日本と米国の批准は必須となる。
残り10カ国のうち、4カ国合計6.9%以上の批准で発効することとなる。

仮に、 残り10カ国の上位3国(カナダ、豪州、メキシコ)のうちの2国が批准しなくても、他が批准すれば発効する。
カナダは10月19日に総選挙を控える。

世界
順位
  GDP
  (10億US
ドル)
12カ国での比率 発効条件
1位         米国           16,768.05 60.4% 必須
   78.1%
3 日本  4,919.56 17.7%
11 カナダ 1,838.96 6.6% 残り4カ国以上
合計 6.9%以上   
12 オーストラリア  1,501.88 5.4%
15 メキシコ 1,262.25 4.6%
35 マレーシア 313.16 1.1%
36 シンガポール 302.25 1.1%
38 チリ 276.59 1.0%
53 ペルー 202.39 0.7%
55 ニュージーランド 184.75 0.7%
58 ベトナム 170.57 0.6%
112 ブルネイ 16.11 0.1%
合計  12カ国 27,756.52 100.0% 85.0%以上

  

最大の問題国はアメリカである。

政府が協定に署名する3か月前までに議会に協定内容を通知することが法律で定められているため、オバマ大統領が署名するのは少なくとも2016年の1月以降となり、議会での審議 は2月以降となる。

来年早々には大統領選挙が始まるため、政治的に利用される恐れが多分にある。

民主党からの候補者指名を目指すHillary Clinton前国務長官は10月7日、「現時点では支持できない」とする声明を発表した。

「TPPが私が求める高い水準に達しているとは思わない」と指摘、為替操作への対応が不十分で、医薬品メーカーの利益を患者や消費者の利益よりも優勢させているとし、「何年も生活のやりくりに苦しんできた勤勉な米国民に害をなすリスクが大きい」としている。

共和党の候補者指名争いのトップを走る不動産王Donald Trumpは「現政権の能力のなさは理解を超えている。TPPはひどい協定だ」とツイッターで酷評した。
"Mike" Huckabee元アーカンソー州知事は「外国と交渉すると、オバマ政権は寿司のように巻かれてしまう。TPPは米国の労働者の腹を殴るようなものだ」と非難した。

民主党指名争いで2位につける"Bernie" Sanders上院議員は「消費者を傷つけ、米国人の雇用を犠牲にする破滅的なTPPを進める決定に失望した」とコメントを発表した。


米議会は2015年6月にTPPの合意のカギを握る「貿易促進権限(TPA)」法案を可決、オバマ大統領は6月29日、TPA法案に署名、成立した。
これにより、議会は、大統領と外国政府との通商合意の個別内容の修正を求めずに、一括承認するか不承認とかのどちらかである。

しかし、今回のTPA法案には、法案を通すために多くの条件をつけており、議会は要件を満たさない場合は上院の60%の賛成で貿易促進権限を取り消す権限も持つ。
条件の一つに
「通貨操作対策」があり、日本などの反対で折り込まなかったが、Clintonはこれを問題にしている。

2015/4/18 米超党派の議員、TPA法案を議会に提出

米国は医薬品業界の主張を容れ、「新薬データの保護期間」を長くすることを主張したが、Clintonは逆に短縮を主張している。 共和党は12年を8年に短縮したことに不満を持っている。

ほとんどの分野で立場により賛否が異なるため、場合によっては法案が通らない可能性もあり得る。
米国は Al Gore 副大統領が中心になりまとめた京都議定書を批准しなかった。

 


2015/10/14   ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev、2位のSAB Millerを買収へ   

ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev (AB InBev)と同2位の英のSAB Millerの取締役会は10月13日、AB InBevによるSAB Miller買収に原則的に合意した。

1株当たり44ポンド、総額では674億ポンド (1,036億米ドル)の買収で、買収打診が表面化する前日(9月14日)の株価に50%のプレミアムとなる。

約41%のSAB Miller株式については、最大3億2600万株のAB InBevの特殊株と交換するオプションが含まれる。

特殊株はAB InBev株とは異なる種類の形式(制限株)を取り、非上場で取引所での取引が認められず、5年間のロックアップ(譲渡禁止)期間があり、その後は普通株に1株対1株で転換できる、配当や議決権に関してはAB InBev普通株と同等というもの。

特殊株の選択肢を選んだSAB Miller株主は、保有する1株当たり特殊株 0.483969株と1株当たり3.7788ポンドの現金を受け取る。
10月12日の株価で計算すると、1株当たり39.03ポンドに相当し、33%のプレミアムとなる。

AB InBevでは、税金を考慮して特殊株の選択肢を選ぶのは第1位株主(26.99%)のAltria Groupと第2位株主のBevCo Ltd (13.99%)のみとみている。

両社の合併については、各国の独禁法当局が問題視するのは必至だが、AB InBev は対策に "best efforts" を約束、承認を得られない場合には30億米ドルのReverse Break-Up Fee(買主からの解約金)を支払うことも約束した。

調査会社Euromonitor によると、世界シェア(2014)はAB InBevが20.8%、SAB Millerが9.7%で合計すると30.5%となる。
以下、3位はHeineken(9.1%)、4位 Carlsberg(6.1%)、5位 華潤雪花(6.0%)、6位 青島ビール(4.7%) と続く。日本のキリンは2.3%、アサヒは1.2%に過ぎない。
下記の通り、華潤雪花には
SAB Miller が、青島ビールにはアサヒとAB InBevが出資する。

付記

AB InBev は11月11日、英のSAB Miller を697億8000万英ポンド(約13兆円)で買収することに正式合意したと発表した。

これに伴い、SAB Millerは保有するMillerCoorsの持株 58%を合弁相手の米 Molson Coors Brewing に120億ドルで売却する。
Molson Coorsは米国のビール市場でシェアを25%に伸ばし、ABインベブの45%に次ぐ2位に躍進する。

売却は、AB InBevがSAB Miller の買収で米当局から承認を得る上で不可欠である。

ーーー

AB InBev は10月7日、SAB Millerに正式に買収を提案した。

1株当たり42.15ポンドでの買収で、 約41%のSAB Miller株式については、最大3億2600万株のAB InBevの特殊株と交換するオプションが含まれる。

AB InBevはこれまで、水面下で1株当たり38.00ポンドを提案して拒否され、40.00ポンドでも拒否されていた。今回の提案は買収打診が表面化する前 日(9月14日)の株価に44%のプレミアムを加えたものとなる。

AB InBevとSAB Miller の補完的な地理的事業展開領域とブランド・ポートフォリオを考慮すると、合併グループは事実上すべての主要なビール市場で事業展開することになる。
これにはアフリカ、アジア、中南米など大きな成長が見込まれる主要な振興地域が含まれる。

合併企業となるこのグループは、640億米ドルの収入とEBITAで240億ドルを生み出すとしている。

SAB Millerの最大株主で26.99%を保有するAltria Group(旧称 Philip Morris、2003年1月に改称)は、合併は株主にとって利益になるとし、この提案に賛成の意向を表明し、SAB Miller の取締役会に早急に、また建設的にAB InBev と話し合い、合意するよう求めた。

しかし、SAB Millerは同日、これを拒否した。Altria Group指名の取締役を除き、全員が提案を拒否したという。

AB InBevによる同社の企業価値の評価は不十分であるとしている。「非常に著しく過小評価している」とした。

10月12日、AB InBevは新しい提案を行い、1株当たり43.50ポンドに引き上げた。(48%のプレミアム)
特殊株の選択肢を選んだSAB Miller株主は、保有する1株当たり特殊株 0.483969株と1株当たり3.56ポンドの現金を受け取る。(33%のプレミアム)

この翌日、更に若干の価格引き上げで合意した。

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SABMiller の母体は1895年に本社ロンドン、工場ヨハネスブルグとして作られたSouth African Breweriesである。
2002年にアメリカ第2のビール会社Miller を買収してSABMiller となった。

2004年にベルギーのInterbrew とブラジルのAmBev が合併してできたInBev が、2008年6月にBudweiser で知られる世界3位のAnheuser Busch に買収を提案した。

InBev は2008年11月、520億ドルでの買収 を完了し、社名をAnheuser-Busch InBev と改称した。
2012年には、50%保有のメキシコのGrupo Modelo の残り50%を201億ドルで取得し、完全子会社化した。
 


仮に両社が合併すると、米国や中国の独禁当局から事業売却を迫られるのは必至である。

報道では、米国ではAB InBevだけでもシェアは半分近いため、また中国では両社のネットシェアが高いため、事業売却を求められる可能性が強い。

SAB Miller が米国で58%を出資するMillerCoors の売却は確実とされる。

中国ではSAB Miller が中国No.1の華潤雪花ビールに49%を出資する。
(下記の通り、AB InBevは中国商務部から
、華潤雪花ビールと北京燕京ビールの株式保有を求めてはならないとの条件を付けられている。)
AB InBevは、下記の青島ビール(
7.01%)や珠江ビールのほか、中国4位のハルビンビール(Harbin Brewery)を、SAB Miller との買収合戦の末に買収している。

中国の独禁法は2008年8月1日に施行されたが、同年10月に InBevによるAnheuser Busch 買収の申告を受け、商務部は11月18日、これを以下の条件付きで許可した。

 (1)青島ビールに対するAnheuserの株式保有率27%を増加してはならない。
 (2)
InBev の主要株主もしくは主要株主の株主に変化が発生した場合には、ただちに商務部に通告すること。
 (3)珠江ビールに対する
InBevの株式保有率28.56%を増加してはならない。
 (4)華潤雪花ビールと北京燕京ビールの株式保有を求めてはならない。
     華潤雪花は華潤創業と米Miller の合弁会社で中国販売量ナンバーワンビール(シェア15%)
 (5)上述の条件に反する業務を求める場合、商務部が認可するまで実施してはならない。

AB InBev は2009年1月、所有する青島ビールの株式27%のうち、19.99%をアサヒビールに売却することで合意、4月30日に実施された。

2008/12/1 中国の独禁法、初の海外での合併ケース

InBev は韓国第二のビール会社 OBビールを所有していたが、Anheuser Busch 買収に伴う負債返済のため、この売却を計画した。

InBev 2009年7月にKohlberg Kravis Roberts (KKR)に18億ドルで売却したが、2014年1月に再買収した。

2014/1/25 Anheuser-Busch InBev、韓国のOBビールを再買収 
 

AB IBevによるメキシコのGrupo Modelo (コロナビールで有名)の100%子会社化に際しては、米司法省の反対を受け、コロナなどの米国における無期限販売権をワイン大手のConstellation Brandsに付与した。



2015/10/15 米国、2016会計年度予算も暫定予算でスタート 

米国の予算はオバマ政権になってから、難航している。

2015会計年度(2014/10〜2015/9) は2014年12月に可決したが、このうち移民制度改革を巡る与野党対立で国土安全保障省関連分は2015年3月にようやく通った。

2015/3/6 米、国土安保省の予算可決   

2016会計年度(2015/10〜2016/9)についても同様である。

上下両院は9月30日、下院のJohn Boehner議長(共和党)が議長退任、下院議員辞職を発表することでようやく 12月11日までの暫定予算法案を可決した。

しかし、民主党と野党・共和党(上下両院で多数)との対立は激しく、本格的な予算や連邦債務を巡る法定上限の引き上げなどの議論の行方は予断を許さない。

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2016会計年度予算案については、民主党と共和党の対立で成立の目途が立たず、このままでは10月1日に政府機関を閉鎖せざるを得ないため、これに回避のため民主、共和両党の有力上院議員により、10月1日から12月11日まで、約10週間の暫定予算を組む方向で話が進んだ。

ここで問題が生じた。

米国の医療関連の非営利組織「全米家族計画連盟(Planned Parenthood Federation of America PPFA)」が臓器売買に関わっているとされる疑惑が浮上した。PPFAには年間5億ドルを超える連邦助成金が支給されている。

PPFAは全米700拠点で乳がん検診や妊娠検査、妊娠中絶措置などの医療行為を行っているが、本年7月にPPFA幹部が関連医療機関で中絶された胎児の臓器の価格交渉をしているとされる隠し撮り動画が保守系のCenter for Medical Progressという団体によりインターネット上で公表された。

PPFAは内容を虚偽だとしており、既に裁判所からはビデオの公開が禁止されている。
オバマ政権をはじめとする民主党も同じで、
ニセの企業を騙った俳優を潜入させ、一種の「おとり捜査」的な手法を使って疑惑をデッチ上げたとみている。

中絶自体に否定的な保守層からは、疑惑の徹底究明を求める声が噴出、共和党はPPFA への補助金を打ち切るべきだと主張した。

ホワイトハウスは、「主要な医療機関に対する連邦助成金の打ち切りを含む案は、全米の女性、男性、家族による医療へのアクセスを制限することになり、低所得者に不利益が集中する恐れがある」とし、暫定予算案にPPFAに対する連邦助成金の支給停止が盛り込まれる場合は、大統領は予算案に拒否権を行使するとした。

上院は9月24日、12月11日まで現行の政府支出を継続する暫定予算案の審議入りを採決した。共和党はPPFAに対する連邦助成金の支給停止を盛り込もうとしたが、かなわなかった。

下院のJohn Boehner議長(共和党)は9月25日の記者会見で、10月末に議長を退任し、下院議員も辞職すると表明した。
辞職と引き換えに、PPFA への補助金打ち切りを含まない暫定予算の可決を図ったもの。議長は政権寄りなどとの批判を浴びていた。

上下両院は9月30日、12月11日までの暫定予算法案を可決、オバマ大統領が署名して成立した。

  上院   下院
共和党 民主党 無所属 合計 共和党 民主党 合計
賛成 32 44 2 78 91 186 277
反対 20     20 151   151
棄権 2     2 4 2 6
合計 54 44 2 100 246 188 434

オバマ大統領は10月2日、政府機関閉鎖を回避するための暫定予算案に「次は署名しない」と明言、議会に対し、現在の暫定予算案が12月11日に期限切れを迎えるまでに本格予算案を可決するよう要請した。

John Boehner議長の後任は、共和党下院 No.2のKevin McCarthy院内総務と見られていた。

しかし、院内総務は10月8日、下院議長の後任を選ぶ選挙への出馬を突然取りやめた。

共和保守派の反発で、過半数を得るメドが立たなくなったためとみられる。院内総務にはとどまる意向。

下院共和党は混乱状態に陥っている。

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連邦債務を巡る法定上限の引き上げについては、2014年2月に債務上限の適用を2015年3月15日まで凍結することが決まった。

2014/2/14  米債務上限上げ法案可決 デフォルト回避確定

しかし、その後も引き上げで合意が出来ず、米財務省は3月16日以降、18兆ドルの法定上限を超過する借り入れはできなくなり、政府が持つ基金の金を活用するなどの特別な措置でやりくりしている。

オバマ大統領は10月2日、11月5日が事実上の期限となっている債務上限問題について、解決する責任は議会にあるとして、野党共和党とは「交渉しない」と改めて表明。議会が上限を引き上げなければ、米国債のデフォルトが発生し「金融システムは危機に陥る」と警告した。 


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