ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は  2015 http://blog.knak.jp
 


2015/5/18    2015年3月期決算 

2015年3月期決算がほぼまとまった。

各社の決算状況は http://www.knak.jp/kessan/ 参照

化学会社の場合、全体として、前々年、前年と比べ、好決算である。

但し、巨額の特別損失を計上している会社もある。追って、個別に分析する。

 

営業損益対比  
   
経常損益対比  
   
当期損益対比  

2014/11/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン計画で特別損失計上

 

但し、医薬品会社は必ずしも好調ではない。(グラフの斜線はIFRS方式)

売上高対比
 
営業損益  
  武田薬品はIFRS方式のため、訴訟補填引当を含む
 
経常損益 (IFRS方式会社は税引前損益)
 
当期損益(株主帰属損益)
    第一三共はランバクシーがサン・ファーマに吸収合併されたことによる子会社合併差益2,787億円を計上

 


2015/5/19    主要企業の2015年3月決算 − 三菱ケミカルホールディングス、 住友化学 

1. 三菱ケミカルホールディングス

増収増益となった。

下期から大陽日酸が連結対象となったことも増益に貢献した。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 34,988 1,105 1,031 322 6.0 6.0
2015/3 36,563 1,657 1,631 609 6.0 7.0
前年比 1,574 552 600 286 1.0
2016/3予 40,000 2,270 2,140 650 7.0 7.0

営業損益対比(億円)           
  2014/3 2015/3 前年比 増減内訳   2016/3
予想
売買差 数量差 コスト
削減
その他
ケミカルズ 7 92 85 25 -14 45 29 520
ポリマーズ 23 268 245 389 4 78 -226 350
エレクトロニクス -55 -27 28 -33 18 42   5
デザインドマテリアルズ 475 561 86 2 65 51 -32 660
ヘルスケア 673 770 97 -231 277 68 -17 775
その他 57 65 8   2 6   40
全社 -75 -71 4     4   -80
合計 1,105 1,657 552 152 352 294 -246 2,270

ポリマーズ(ポリオレフィン、MMAなど)が売買価格差などで大幅増益となった。
ケミカルズでは 下期から大陽日酸が連結対象となったことが増益に貢献した。(産業ガス 184億円)
ヘルスケアは薬価改定で大幅値下がりとなったが、ロイヤリティ増などもあり、増益となった。

 

グループ別の営業損益は以下の通りで、  2011年3月期と比較すると、三菱化学(ケミカルズ、ポリマーズ等)と三菱レイヨン(MMA等)の減益が大きい。
三菱レイヨンは前年比では大きな増益となっている。

大陽日酸を下期から連結対象とした。
   2014/5/19   三菱ケミカルホールディングス、大陽日酸株式の公開買い付け 

  2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3
三菱化学 881 231 42 231 194
田辺三菱製薬 766 690 690 591 671
三菱樹脂 166 106 128 201 278
三菱レイヨン 410 303 68 88 289
生命科学Institute - - - - 55
大陽日酸 - - - - 189
調整 42 -24 -26 -6 -19
合計 2,265 1,306 902 1,105 1657


当期の特別損益には以下を含む。(億円) 

段階取得差益  341  大陽日酸子会社化に伴うもの
固定資産売却益 130  
     
減損損失 -312  
     

減損損失 -312億円の主な内容 (前年は-31億円) 

インド テレフタル酸 104億円
田辺三菱 かずさ事業所 44億円
同   鹿島工場 22億円
同   販売権 16億円
同   大阪事務所 12億円
中国 負極材 17億円
水島 正極材 17億円
マレーシア 産業ガス 12億円


田辺三菱製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 4,127 591 619 454 20.0 20.0
2015/3 4,151 671 677 395 20.0 22.0
前年比 24 80 58 -59 - 2.0
2016/3予 3,960 675 670 405 22.0 22.0

薬価改定による値下がり損 -290億円
ロイヤリティ収入 604億円(前年比 +60.7%)

 

ーーー

2.住友化学 

増収増益となったが、医薬品が大幅減益となった。

前年に続き、特別損益に多額の減損損失を計上したが、当期損益は522億円の黒字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 22,438 1,008 1,111 370 6.0 3.0
2015/3 23,767 1,273 1,574 522 6.0 3.0
前年比 1,329 265 463 152 - -
2016/3 22,500 1,450 1,600 800 8.0 6.0

 

営業損益対比(億円)           
  2013/3 2014/3 2015/3 前年比 増減内訳   新区分
価格差 コスト差 数量差等   2015/3 2016/3予
基礎化学 -64 -109 -4 105 100 15 -10 エネルギー・
機能材料
8 40
石油化学 -32 49 212 163 110 -5 58 石油化学 208 170
情報電子化学 117 349 324 -25 -340 55 260 情報電子化学 324 410
健康・農業関連 263 382 569 187 65 5 117 健康・農業関連 561 630
医薬品 309 471 290 -181 -90 60 -151 医薬品 290 320
その他 80 84 157 73   -15 31 その他 -118 -120
全社 -222 -218 -275 -57       全社
合計 450 1,008 1,273 265 -155 115 305   1,273 1,450

石油化学、基礎化学が価格差により大きく採算向上した。基礎化学はほとんどトントンになった。
健康・農薬関連も好調。
情報電子化学は大幅値下がりで若干の減益、医薬品は大幅減益となった。

なお、営業外損益に含まれる持分法投資損益は増加した。
PetroRabighなどがようやく、損益に貢献し始めた。

2013/3 54億円
2014/3 120億円
2015/3 239億円

 

特別損益の推移は以下の通りで、減損損失と事業構造改善費用として、前年に続き、多額の損失を計上した。 

2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3
投資有価証券売却益 98 34  
減損損失 -32 -36 -229 -218 -333
事業構造改善費用 -41 -64 -108 -106 -322
投資有価証券評価損 -47 -15  
持分法投資損失 -260  
その他 -11 -7 4 56 247
合計 -84 -268 -379 -249 -407


減損損失は以下の通り。

(2013/3 229億円)
千葉 エチレン等 63 2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退
大分  レゾルシン 66 事業環境悪化で収益性低下
中国 偏光フィルム 57 環境変化で事業計画見直し(建設途中)
ポーランド 偏光フィルム 32 営業停止を決定
 
(2014/3 218億円 )
新居浜  カプロラクタム

 73

2015年末 1系列停止
米国  研究開発費用  43  
サウジ 工業団地インフラ      37  
遊休厚生施設      24  
千葉 日本オキシラン     18 2013/11/29 日本オキシランのSM、PO、PGを2015年に停止
 
(2015/3  333億円)    
英国 EL材料、デバイス 126  
新居浜 アルミナ 64  
新居浜 医薬品(撤去) 52  
韓国 サファイア基板 48  
韓国 ダッチセンターパネル 16  

大日本住友製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 3,877 421 406 201 9.0 9.0
2015/3 3,714 233 233 154 9.0 9.0
前年比 -163 -189 -173 -46 - -
2016/3予 3,920 270 265 180 9.0 9.0

売上高は、米国や中国など海外販売は好調だったが、薬価改定の影響で国内販売が大幅に落ち込んだ。

抗精神病薬「ラツーダ」の広告宣伝費が膨らみ販管費が増え、営業利益は45%減の232億円。

 


2015/5/20 アイルランドの製薬大手 Endo、米の Par Pharmaceutical を買収 

アイルランドの製薬大手のEndo Internationalは5月18日、米同業のPar Pharmaceutical の買収で合意したと発表した。
Par Pharmaceutical 株を所有する TPG Capital North America から負債を含め80億5千万ドルで買収する。

Parの株主には、Endoの株式 15.5億ドル相当と現金41億ドルが支払われる。Par の負債24億ドルも引き継ぐ。

両社の売上高は合算で約42億ドルとなり、米国のジェネリック市場で5位に浮上する。

ーーー

Endo International plc はアイルランドの製薬会社で、DuPont とMerckのJVであったDuPont Merckから分離した。

DuPontが1969年にEndo Laboratories を買収して血液溶剤Coumadin(R) を上市

1991年にMerck との50/50JVのDuPont Merck Pharmaceutical を設立

1997年に3人の役員がEndo Laboratories のジェネリック製品を買収してEndo Pharmaceuticals Inc. を設立(Management Buyout)

DuPont は翌1998年にDuPont Merck Pharmaceutical のMerck持分を買収し、DuPont Pharmaceuticals と改称、2001年6月、DuPont Pharmaceuticals をBristol-Myers Squibbに売却した。

Endoは1999年にAlgos Pharmaceutical Corporation を買収・統合し、上場した。

2014年2月にカナダのスペシャルティ医薬会社 Paladin Labs を買収・統合し、Endo International plc と改称、主に米国で事業展開するが、本社をアイルランドに置いた。

同社は2014年10月、米国のAuxilium Pharmaceuticals Inc の買収で合意した。
現金と株式の組み合わせで約26億ドルを支払う。(前月に22億ドルでの買収を持ちかけたが、拒否されていた。)


2015年2月にカナダの製薬大手
Valeant Pharmaceuticals International が米同業Salix Pharmaceuticals買収することで合意したが、Endo International plcが3月11日、Salix Pharmaceuticalsに対して1株当たり175ドル、総額112億ドルの現金と株式での買収提案のレターを送った。

しかし、Valeant Pharmaceuticals は3月16日、新しい条件での買収で Salix Pharmaceuticals と合意、Endo International は買収提案を取り下げた。

2015/3/18  Salix Pharmaceuticals の買収合戦

今回、Par Pharmaceutical を買収する。

下記の通り、買収合戦が続いている。

Par Pharmaceutical は1978年に設立されたジェネリック医薬品メーカーで、TPG Capital North America が2012年に約19億ドルで買収し、非公開会社とした。
     (公開会社を買収して非公開化するのを、take-private transactionと呼ぶ。)

次の3つの会社に分かれている。
 
Par Pharmaceutical :high-barrier-to-entry generic drugs
 Par Specialty Pharmaceuticals :niche, innovative brands
 Par Sterile Products :branded and generic aseptic injectable (無菌注射)pharmaceuticals

ーーー

ジェネリック医薬品会社も買収合戦を続けている。

2015/4/16    ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手に買収提案

2015/4/24 イスラエルのTeva Pharmaceuticals、同業のMylanに買収提案

 


2015/5/20    主要企業の2015年3月決算 − 三井化学、東ソー、旭化成 


1.三井化学 

若干の減収だが、営業損益は増益となり、当期損益は3年連続の赤字が続いた後、黒字に転換した。
2015年3月期も黒字を見込む。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 15,660 249 225 -251 3.0 0.0
2015/3 15,501 420 444 173 2.0 3.0
前年比 -160 171 219 424 -1.0 3.0
2015/3 14,100 520 470 250 3.0 3.0

 

 

営業損益対比(億円)           
  2013/3 2014/3 2015/3 前年比 差異内訳   新区分
数量差 交易条件 固定費他 決算期
変更
  2015/3
 
2016/3予
石化 77 253 209 -44 1 -36 11 -20 石化 216 205
基礎化学品 -189 -174 -74 100 -24 63 62 0 基礎化学品 -83 -25
ウレタン -26 -52 -35 17 -17 22 13 -1 ウレタン -35 -15
機能樹脂 84 119 189 70 32 40 7 -9 機能樹脂 187 195
機能化学品 124 150 146 -4 31 1 -30 -6 ヘルスケア 95 120
フィルム・シート -33 9 37 28 8 8 12 0 Food & Package 91 100
その他 -6 -6 8 14 0 0 4 0 その他 -51 -60
全社 12 -50 -60 -10 全社
合計 43 249 420 171 31 98 79 -36   420 520

主に、基礎化学品と機能樹脂事業での交易条件の改善、基礎化学品における固定費削減が貢献し、昨年の増益に続き、更に大幅増益となった。


 

特別損益は、前年の -330億円に対し、-85億円にとどまった。

前年には、ポリウレタン材料事業とフェノール事業の事業再構築費用 257億円を計上している。

   2014/5/16  
 主要企業の2014年3月決算 − 三井化学、東ソー、旭化成 

 

ーーー

2.東ソー

増収増益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 7,723 416 495 296 3.0 3.0
2015/3 8,097 514 602 623 5.0 5.0
前年比 374 98 107 327 2.0 2.0
2016/3予 8,100 670 670 430 5.0 5.0

 

 

営業損益対比(億円)           
  2012/3 2013/3 2014/3 2015/3 前年比 差異内訳   2015/3
予想
数量差 交易条件 固定費他
石油化学 125 105 148 69 -79 6 17 -102 151
クロルアルカリ -100 -16 39 83 44 -21 90 -24 134
機能商品 131 90 192 300 108 53 54 1 329
エンジニアリング 57 44 13 33 21 23 0 -3 33
その他 24 22 24 28 4 4     22
合計 237 245 416 514 98 65 161 -128 670

石油化学は、在庫受払差の悪化等により、減益となった。
クロルアルカリは交易条件の改善等により、機能商品は交易条件と数量差で、それぞれ増益となった。

 

ーーー

3.旭化成

増収増益となった。
「円安と原燃料安で外需向け事業が牽引した」としている。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 18,978 1,433 1,429 1,013 7.0 10.0
2015/3 19,864 1,579 1,665 1,057 9.0 10.0
前年比 886 146 237 44 2.0 -
2016/3 20,000 1,640 1,665 1,060 10.0 10.0


営業損益対比(億円)           
  2013/3 2014/3 2015/3 前年比 差異内訳   2016/3
予想
数量差 売値差 コスト差他
  ケミカルズ 229 389 542 153 4 -20 169 560
繊維 40 86 105 19 16 30 -27 110
  住宅 543 630 592 -38 8 116 -162 580
建材 40 55 41 -14 -9 6 -11 50
エレクトロニクス 28 142 143 1 59 -67 9 165
  医薬・医療 159 303 267 -36 -18 -34 17 255
クリティカルケア -37 -35 41 76 166 -1 -89 80
その他 22 17 9 -8 1   -9 5
全社 -105 -153 -161 -8     -8 -165
合計 920 1,433 1,579 145 227 30 -111 1,640


住宅や医療など国内が中心の事業は停滞したが、ケミカルズ(樹脂、繊維原料、合成ゴム) が好調だった。

 

前年には、 特別損益で事業構造改善費用 225億円を特別損失に計上したが、本年は40億円のみ。

2014/2/27  旭化成と三菱ケミカル、水島地区エチレンセンター集約で合意 

また、前年には特別利益に 受取損害賠償金 535億円 も計上した。

旭化成ファーマが開発したRho-kinase 阻害剤「ファスジル」のライセンス契約に関連して、スイスのActelion社およびその関連会社・役員を被告とする損害賠償請求訴訟で、2014年3月にカリフォルニア州最高裁判所から勝訴確定の決定が下された。

2011/8/24  旭化成、医薬品開発中止に対する損害賠償請求の第一審で勝訴 の付記



2015/5/21  コスモ石油、千葉と四日市で精製能力半減 

コスモ石油は5月14日、千葉における東燃ゼネラル石油との共同事業の検討状況を報告するとともに、新たに、四日市で昭和四日市石油との事業提携を発表した。

千葉では共同事業会社へ精製設備を一元化する際に、コスモの2系列のうちの1系列(100千バレル/日)を廃棄する。

四日市では両社は今後想定される石油需要減少および高度化法二次告示に対応するため、コスモ四日市の常圧蒸留装置1基を停止する。

ーーー

経産省は、2014年6月に産業競争力強化法第50条に基づき、石油精製業に関する市場構造調査を実施し、石油精製業は、@需要に見合った生産体制にする「設備最適化」やA総合エネルギー企業化も視野に入れた資本や地理の壁を越えた「事業再編」の早急な実施が必要であると結論付けた。

この結果を踏まえ、7月末にエネルギー供給構造高度化法の新たな判断基準を告示し、10月末を期限に、対象となる石油会社に対して、「設備最適化の措置」と「事業再編の方針」を含む目標達成計画の提出を求めた。

残油処理装置の装備率(残油処理装置の処理能力÷常圧蒸留装置の処理能力)の2016年度までの改善を求めている。

2014/3/31時点の装備率 改善率
   55%以上    9%以上
   45%以上55%未満    11%以上
   45%未満    13%以上
 
各社の2014/3/31の装備率
JX日鉱日石エネルギー 46.2% 鹿島石油、大阪国際石油精製を含む。
出光興産 51.5%  
コスモ石油 43.4%  
昭和シェル石油 59.4% 東亜石油、昭和四日市石油、西部石油を含む。
東燃ゼネラル石油 35.9% 極東石油を含む。
富士石油 48.3%  
太陽石油 24.6%  

2014/7/4 経済産業省、2年続きで石油精製能力削減を強制

ーーー

コスモ石油、三井石油、東燃ゼネラル石油の3社は2013年9月30日、コスモ石油千葉製油所と極東石油工業千葉製油所の効率化および最適化機会の追求に向けて、両製油所の共同事業に関する検討を開始することで合意したと発表した。

コスモ石油と東燃ゼネラルは2014年12月19日、下記内容の基本契約書を締結した。

 ・2015年1月に両社で共同事業会社「京葉精製共同事業合同会社」を設立する。
 ・両製油所を結ぶパイプライン敷設を正式合意。
 ・パイプライン完成に先行して両製油所の生産計画を一体的・総合的に立案し、生産効率の向上を目指す。
   また、常圧蒸留装置を含めた設備の最適化についても併せて検討する。
 ・パイプライン完成後、共同事業会社へ精製設備を一元化し、パイプラインを活用することで、年間100億円程度の収益改善を見込む。

2013/10/4 コスモ石油と極東石油工業、千葉製油所の共同事業検討

両社は2015年1月に京葉精製共同事業合同会社を設立し、製油所間のパイプライン建設に着手すると共に、両製油所の常圧蒸留装置を含めた設備の最適化および効率化を検討してきた。

その結果、コスモ千葉の第1常圧蒸留装置を廃棄することが最も合理的であるとの結論に至った。

なお、東燃ゼネラルは2015年3月31日、川崎の公称能力を日量1万バレル削減すると発表した。

ーーー

四日市では、コスモ石油と昭和シェル石油は、コスモ石油の四日市製油所(132,000バレル/日)と昭和四日市石油四日市製油所(255,000バレル/日)の事業提携を2017年3月末から開始し、設備の最適化を通じて両社の競争力強化を図ることで合意した。

(1) 両社は、今後想定される石油需要減少および高度化法二次告示に対応するため、四日市地域における原油処理能力の削減を実施する。

(2)上記の両社原油処理能力の削減は、コスモ四日市の常圧蒸留装置1基を停止することにより実施する。
     昭和シェル石油は、自社の高度化法二次告示対応に相当する石油製品・半製品を昭和四日市石油からコスモ石油に供給する。

(3)両製油所の2次装置を有効活用することにより、高付加価値製品の生産による両社の競争力強化および持続的な安定供給の確保を実現する。

(4)製品タンクなどのオフサイト設備についても、広く連携の可能性を検討する。

各社の製油所とトッパー処理能力は下記の通り。(千bbl/d)

 

トッパー処理能力

 
 当初 高度化法 現状
東燃ゼネラル石油

 

川崎 335 268 258 2015/3/31 10 削減
156 156 156  
和歌山 170 132 132  
合計 661 556 546  
極東石油工業 千葉 175 152 152  
東燃グループ合計   836 708 698  
 
コスモ石油 千葉 240 240 220

No.1 100 →今回廃棄

No.2 120

四日市 175 112 132

No.5   63

 →いずれか1基を停止

No.6   69

80 100 100

 

坂出 140 0 0   
コスモ石油合計 635 452 452  
 
昭和四日市石油 四日市 205 255 255

 コスモ石油に石油製品・半製品を供給

西部石油 山口 120 120 120  
東亜石油 京浜

70

70 70  
昭和シェル 扇町 120 0 0  
昭和シェル合計 515 445 445  

ーーー

 
出光興産は2015年3月30日、高度化法二次告示に則り、4月1日から千葉製油所の常圧蒸留装置の処理能力を200千バレル/日とすると発表した。20千バレル/日削減する。
対応完了には、さらに35千バレル/日削減する必要がある。 

  付記 2017年3月末に35千バレル削減

 

社名   当初 高度化法 今回 付記
2017/3/末
出光興産 北海道 140 160 160 150
千葉 220 220 200 190
愛知 160 175 175 160
徳山 120 0    
合計 640 555 535 500

 


2015/5/21   主要企業の2015年3月決算 ー 信越化学 

増収増益となった。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

 配当

中間 期末
2013/3 10,254 1,570 1,702 1,057 50 50
2014/3 11,658 1,738 1,806 1,136 50 50
2015/3 12,555 1,853 1,980 1,286 50 50
前年比 897 115 174 150 - -
2016/3予

未定

 

営業損益推移 (単位:億円)

  13/3 14/3 15/3 増減
塩ビ・化成品 456 602 503 -99
シリコーン 286 318 334 16
機能性化学品 145 128 153 25
半導体シリコン 219 245 356 112
電子・機能材料 409 410 462 52
その他 56 37 48 12
全社 -0 -0 -3 -3
合計 1,570 1,738 1,853 115

半導体シリコン、電子・機能材料が好調。
塩ビではShintechが若干の減益となったが、原料の供給を受けるパイプラインにトラブルが発生したことも影響したと報じられている。

2010年3月期からセグメントが変更となった。

このため2009年までと2010年以降の各セグメント実績は直接対比はできないが、傾向は示している。

塩ビは一旦減少したが、その後回復、 最近は過去を上回っている。
シリコーンの損益は安定。
半導体シリコンは2008年3月期を最高に、2010年3月期に激減、その後も余り増加していない。

Shintechの損益は下記の通りで、同業他社も若干の減益となっている。

Georgia Gulf は2013年1月にPPG Industriesのcommodity chemical divisionと合併し、Axiall Corp.となった。

 



2015/5/22   Noble Energy 、シェール開発の Rosetta Resources を買収
 
米独立系石油会社 Noble Energyは5月11日、 米国のシェール開発のRosetta Resources を21億ドルで買収すると発表した。

21億ドル相当の全額株式交換でRosettaを買収、Rosetta の約18億ドルの負債も引き継ぎ、買収総額は約39億ドルに達する。
Rosettaの株価に28%のプレミアムを乗せた勘定となり、Rosettaの株主はNobleの株の9.6%を所有することとなる。

原油価格の低迷で資金繰りが悪化していたRosetta を実質的に吸収する。
Rosettaは積極的に権益を獲得したことで、2014年の売上高は13億ドルと前年比 1.6倍に拡大したが、投資が先行して手元資金が急減、負債が18億ドルに膨らんでいたところに、長引く原油価格の低迷が追い打ちをかけ資金繰りが悪化していた。

今回の買収で、NobleはRosettaが保有する全米屈指のシェール鉱区で知られるテキサス州のEagle FordとPermianの権益を初めて獲得する。Nobleでは「米国でも最も優良な2つの鉱区での権益は保有資産の質を高めてくれる」 としている。

RosettaはEagle Ford Shaleに50千エーカー、Permianに56千エーカー(Reeves County のDelaware Basin に46千エーカー、Gaines CountyのMidland Basinに10千エーカー)の liquids-rich shale の権益を有している。

2015年の第1四半期には原油換算日量66千バレルを生産しており、2014年末の確認埋蔵量は282百万バレルとなっている。生産量の60%以上が液体である。
Nobleでは今後5〜6年にわたり、年間15%の生産の伸びを見込んでいる。

ーーー

1932年設立のNoble Energyは世界中で石油とガスの開発を行う独立系のエネルギー会社で、主たる開発場所は 米国のMarcellus shale とNiobraraシェール及びメキシコ湾深海と、西アフリカと東地中海その他。

2014年の販売量は原油換算 日量298千バレルで、内訳は次の通り。

内訳 米国 西部 Niobrara shale
米国 Marcellus shale 米 メキシコ湾深海  
 
西アフリカ 東地中海

原油価格の値下がりでシェール業者の倒産も増えている。

本年1月初めにテキサス州でシェール開発を手掛けるWBH Energy がChapter 11を申請した。

3月にはQuicksilver Resources Incが、その後、 BPZ Resources Inc.、Dune Energy Inc.、Endeavour Operating Corp、Cal Dive International Inc. が相次いでChapter 11を申請した。

4月30日には、ERG Resources LLC(旧称 Energy Reserves Group L.L.C.) がChapter 11を申請、資産をオークションにかけることとした。


2015/5/23    中国の裁判所、ニコンのカメラの黒点問題で、3倍賠償を否定

ニコンのデジタル一眼レフカメラ「D600」で写真を撮ると黒い点のようなものが現れる問題をめぐり、上海市民が「ニコンが虚偽の宣伝で消費者の権利を侵害した」としてニコンの中国法人を訴え、商品の返品と返金、および代金の3倍にあたる賠償金の支払いを求めた裁判で、上海市黄浦区人民法院(地裁)はこのほど判決を下し、返品の要求は支持したが、3倍の賠償金については要求を退けた。

ーーー

「中国消費者の日」にあたる2014年3月15日、中国中央テレビ(CCTV)は、毎年恒例の消費者保護番組で、「ニコンのデジタルカメラには欠陥がある」と批判した。
デジタル一眼レフカメラ「D600」で撮影した画像に黒い斑点が写り込むなどの不具合が多発し、部品交換などの保証対応も不十分だとした。

上海市の工商局は3月16日、ニコンに対し「D600」の中国国内での販売停止を命じた。

ニコン中国法人は、正式な謝罪を行うとともに、D600の利用者に無償で点検とクリーニングサービスを提供すると発表した。問題が解決されない場合は、新しい機種と交換する。

 

原告は2013年5月にD600を1万2999元(約25万4千円)で購入したが、撮影した写真のあちこちに黒い点が現れるのに気付いた。

上記の報道を受け、「ニコンの虚偽の宣伝は詐欺にあたる」とし、返品・返金と3倍の賠償金支払いを求めた。

改正消費者権益保護法には代金の「3倍返し」、懲罰性賠償額の明確化の規定があるが、今回の判決では、ニコンが虚偽の宣伝を行って権利を侵害したとする十分な証拠がないとし、3倍の賠償金の要求を却下した。

しかし、カメラには黒点が現れるという瑕疵があり使用に差し支えることは確かであり、保管方法が適切でなかったために問題が生じたと示す証拠もないと判断した。

原告が交換を望まなかったため、裁判所はニコンに返品と返金に応じるよう命じた。

ーーー

中国では「消費者権益保護法」(1994年1月1日施行)が改正され、2014年3月15日から施行された。

主な改正は次の通り。

・リコールなどの義務化
・7日以内の返品が可能に (「三包」(包修:修理、包換:交換、包退:返品)規定の拡大)
・通販のクーリングオフ
・個人情報保護の義務化
・行政による抜取り検査、検査結果の公開の義務化
・ネット取引プラットフォーム提供者の義務
・罰則の強化(代金の「3倍返し」、懲罰性賠償額の明確化など)


参考  2015/3/14  中国、美白歯磨き粉の虚偽広告に最高罰金

 


2015/5/25   米上院、貿易権限法案を可決 

米議会上院は5月22日夜の本会議で、TPP妥結に不可欠となる大統領貿易促進権限(TPA)法案を賛成多数で可決した。
法案は下院に送付され、議会が一時休会明けする6月から下院での攻防が本格化するが、下院では共和党の一部も反対に回るとみられ、難航する見通し。

ーーー

米超党派議員は4月16日、TPA法案で合意し、議会に提出した。

4月22日に上院財政委員会で可決、4月23日に下院歳入委員会で可決した。

上院は5月12日にTPA 法案の審議入りを一旦否決したが、5月14日に再度投票を行い、民主党から13名が賛成し、65対33で本会議での審議入りが決まった。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 52 13   65
反対   31 2 33
棄権 2     2
合計 54 44 2 100

2015/5/14    米上院、TPA法案審議入りを否決   一転可決

同時に、為替操作国に対し制裁を科すことを可能にする修正案、為替操作に対し制裁は科さずに対応を強化するのみの修正案、TPPに追加で参加する国がある場合は議会に承認を求める修正案などが審議された。

5月21日に審議打切りの動議が出され、可決した。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 49 13   62
反対 5 31 2 38
棄権        
合計 54 44 2 100

上院では5分の3以上の議員(60人以上)の賛成がないと可決されず、廃案となる。

5月22日に各法案に対して投票が行われた。

TPA法案は 62 対37で可決した。民主党から14議員が賛成した。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 48 14   62
反対 5 30 2 37
棄権 1     1
合計 54 44 2 100

為替操作国に対し制裁を科すことを可能にする修正案は48対51で否決された。共和党から12議員が賛成している。
オバマ政権は可決されても拒否権を行使する構えを示していた。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 12 34 2 48
反対 41 10   51
棄権 1     1
合計 54 44 2 100

一方、為替操作に対し制裁は科さずに対応を強化するのみの修正案は70対29で可決した。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 47 23   70
反対 6 21 2 29
棄権 1     1
合計 54 44 2 100

TPPに追加で参加する国がある場合は事前に議会の承認を要するという法案は否決された。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 9 36 2 47
反対 44 8   52
棄権 1     1
合計 54 44 2 100


上院ではTPA法案は可決に必要な60票を辛うじて 2票上回り、可決した。

下院は現在、総議席 435のうち、共和党 245、民主党 188、欠員 2 となっており、可決には217票の賛成が必要。

2年ごとに改選となる下院では、輸入増を懸念する自動車や鉄鋼産業を地元に抱える議員は党派に関係なく反対に回るなど地域の事情が複雑に絡むため、共和党からも多数の反対が出るとみられており、難航が予想される。

5月下旬に開く予定であったTPP閣僚会合は、TPA法案の成立のめどが立たず、見送りとなった。


2015/5/26  米、シェルの北極海での石油開発を承認 
 

米内務省は5月11日、Shellに対し、アラスカ西海岸沖のChukchi Sea の6カ所で今夏に石油や天然ガスを掘削を開始することを認めた。

Shellが、内務省の安全・環境執行局の許可や海洋哺乳類保護法に基づく認可を含む連邦政府と州の許可を得ることを条件にしている。同社はこの追加的許可を今後数週間内に得られることを期待している。

付記

米政府は8月17日、Shellの北極海での石油・天然ガス開発を最終承認した。

米内務省は同日、北極海での試掘井の掘削を許可したと述べた。同省は先月、緊急時に対応できる船舶がないとして、油層がある海域の一部に限り掘削を許可していたが、そうした船舶の配備は完了した。

付記

しかしShellは2015年9月28日、チュクチ海で行ってきたBurger J油田の探査活動を停止したことを発表した。「バーガーJ油田の採掘活動の結果、石油とガス田の発見に至ったが、今後も掘削を続けても十分な埋蔵量を持つ油田の発見に至る十分な保証を得ることはできないことが判った」としている。

Shellは何年にもわたり、開発承認を求めていた。

Obama政権は2012年夏にShellに許可を与えている。
しかし、Shellは多くの安全上、操業上の問題に悩まされた。石油リグの一つのKullukは座礁し、沿岸警備隊が安全地帯にまで曳航しなければならなかった。

2013年に内務省は安全対策が出来るまでは掘削を再開してはならないと決めた。
内務省は、Shellは重要な作業を行うコントラクターの管理などの幅広い基本的な作業が出来ていないと結論付けた。

この地域では150億バレルの原油があると見込まれている。

Chukchi 海は石油掘削には最も危険な場所のひとつで、大都市への道路はなく、数百マイル内に深海港がなく、事故が発生した場合にクリーンアップや救援の作業員が到着するのが難しい。最も近い沿岸警備隊の基地は1000マイル以上離れている。気象状況は極めて厳しい。更に、 ホッキョク鯨やセイウチなどの海洋生物の移動ルート、摂食地域である。

利点としては非常に浅い海(140フィート)での開発であることで、メキシコ湾での事故は5000フィートの深海であった。

Shellは同地域での掘削事業に過去8年間で60億ドル を投じており、今年は10億ドルを追加投資する計画。

内務省の海洋エネルギー管理局長は声明で、掘削が同海域へ及ぼす可能性のある影響を十分検討した上で許可を与えたとした。

「Chukchi 海の掘削可能性について慎重な検討を重ねた。同海域は環境、社会、生態上の大変豊富な資源があるためだ 」とし、北極海のエコシステムとアラスカの原住民の文化的伝統の保護に高い基準の設定の必要性を認識しており、石油探索には厳格な安全基準が適用されるとし ている。

同海域は冬、長期間海面が氷結するため、通常は7月から10月までの短い期間しか安全に掘削が出来ない。
Shellによると、試掘によって商業的な掘削が可能と判断された場合でも、実際に油田が操業を開始するには10年以上掛かるという。

しかし、環境団体が起こした北極海での掘削差し止めを求めた訴訟と、シアトル市がShellの掘削船に同市の港への係留を認めていないことが障害となって おり、Shellの計画に遅れが出る可能性がある。

環境保護団体は北極海での掘削が2010年のメキシコ湾の原油流出事故よりもはるかにひどい結果を生むことを恐れて、政府に認可しないよう要求しており、今回の承認を批判し ている。

北極海の資源開発では、ウクライナ危機を受けたロシア経済制裁の余波で、各社の計画中断が目立つ。米 ExxonMobilが石油大手のロシア国営Rosneftとの北極海大陸棚の共同探査を中断。Shellも西シベリアで石油大手Gazprom Neft とのシェールオイルの共同開発を停止した。


ーーー

Shell は世界各地で北極及び亜北極で石油・ガス開発に取り組んでいる。

アラスカのBeaufort海とChukchi 海は、それぞれ 2005年と2008年に開発権を取得した。

カナダのNiglintgakガス田は1973年にShell Canada が発見した。

サハリンではサハリン2プロジェクトに参加している。
Shell  55%→ 27.5%-1株
Gazprom 0%→ 50%+1株
三井物産 25% 12.5%
三菱商事 20% 10%

サハリン2では液化設備第三期(年間能力1000万トン→1500万トン)を計画中。

西シベリアの Salym油田ではGazprom Neft とのシェールオイルの共同開発を 行っていたが、現在は停止している。
 

ノルウェーでは深海のOrmen Langeガス田で開発している。ここではガスを120kmの海底パイプで陸上の処理場に送っている。

2010年にグリーンランドの西岸のBaffin Bayでリース権を取得した。

東岸のKanumasでは2010年にShellとGDF Suez、Statoil、Nuna Oil のコンソーシアムが2ブロックの権益を取得した。
JX日鉱日石開発は2013年12月、Chevron及びShellと共同で2ブロックの権益を取得した。


2015/5/27     主要医薬会社の2015年3月決算 

医薬品会社の多くが特許切れによる後発品の影響、日本の薬価改定の影響を受け、業績は伸びない。

多くの企業がIFRS方式に切り替えている。(上の斜線)

この結果、これまでの日本基準とは下記のような差が出る。(武田薬品による)
特に、これまで営業外損益、特別損益としていたもののうち、金融損益以外はほとんど、営業損益に含まれることとなる。

  日本基準 IFRS
のれん償却 20年以内で償却 償却せず、毎期現存テスト実施
有形固定資産償却 定率法も可能 定額法に統一
特定目的研究開発設備の一括費用処理 資産計上、定額法償却
一時金、マイルストン等 発生時に研究開発費 無形資産計上、上市後定額償却
減損テスト実施
退職給付引当の過不足 5年償却 損益認識せず
発生時に「その他包括利益」
営業外、特別損益 営業損益に含めず 営業外は金融損益のみ
他は営業損益に含める。

ーーー

武田薬品

2014年3月期からIFRS方式に切り替えた。

本年は巨額の訴訟補填引当を行い、上場以来初の赤字に転落した。

単位:億円 (配当:円)

    売上高 営業損益 除く
訴訟補填
経常損益 株主帰属
損益
除く
訴訟補填

 配当

税引前
損益
中間 期末
2013/3  日本式 15,573 1,225   1,132 1,312   90 90
IFRS 15,570 650   1,331 1,486  
2014/3 日本式   1,557         90 90
IFRS 16,917 1,393 1,393 1,589 1,067 1,067
2015/3   17,778 -1,293 1,448 -1,454 -1,458 322 90 90
前年比   861 -2,685 55 -3,043 -2,524 -745
2016/3予   18,200 1,050   1,150 680   90 90

上記の通り、日本式では営業外損益、特別損益として扱うものが、IFRSでは営業損益に含まれることとなる。

今回は特に、アクトスの訴訟補填引当 2,741億円(税引き後では1,779億円)を計上したため、営業損益は大幅な赤字となった。
これを除くと営業損益は1,448億円(前年比 55億円増)、株主帰属損益は322億円(前年比 745億円減) となる。

武田薬品は4月29日、米国における2型糖尿病治療剤「アクトス®」に起因する膀胱癌を主張する製造物責任訴訟で、大多数を解決する和解に向けた合意に至ったと発表した。

和解金は原告の95%が受け入れた場合は23.7億ドル、97%以上が受け入れた場合は24億ドルとなる。

同社は和解に参加しない訴訟の費用等を含め、2015年3月期に27億ドル(3,241億円)を引当計上するとしたが、決算では、製造物責任保険に基づく予想保険金額 500億円を相殺し、差引 2,741億円を計上した。

   2015/4/29  武田薬品、米国での2型糖尿病治療剤「アクトス®」の製造物責任訴訟の和解に向けた合意 

その他の特別損益による前年比営業損益増減には下記のものがある。

・Amgenから導入した癌治療薬モテサニブの試験中止による減損 -109億円

・URL Pharma買収に伴う痛風治療薬コルクリスの条件付取得価格の洗替 +179億円

・遊休不動産売却益 +280億円

ーーー

アステラス製薬

増収・増益となった。

2014年4月に、普通株式1株につき5株の割合で株式分割実施。

    売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
損益

 配当

税引前
損益
中間 期末
2013/3  日本式 10,056 1,539 1,572 829 65 65
IFRS 9,819 1,216 1,271 925
2014/3 日本式 11,645 1,773 1,317 924 65 70
IFRS 11,399 1,168 1,220 909
2015/3   12,473 1,857 1,897 1,359 14(70) 16(80)
前年比   1,074 689 677 450 (5) (10)
2016/3予   13,620 2,380 2,390 1,700 16(80) 16(80)

 

営業損益の増益の理由の一つが減損損失で、前年度が -556億円であったのが、-103億円にとどまっている。

ーーー

第一三共

2015年3月期中にRanbaxy Laboratories がインドのSun Pharmaceutical Industries に吸収合併されたことにより、連結除外となった。
これに伴い、2014年3月期も修正した。(下表で新ベースとして表示)

2015年4月に、交換で取得したサン・ファーマ株式を3,784億円で売却した。

2014/4/10 第一三共、ランバクシーを実質売却 

    売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
損益

 配当

税引前
損益
中間 期末
2013/3  日本式 9,979 1,005 991 666 30 30
IFRS 9,947 987 959 640
2014/3 日本式 11,188 1,159 1,093 657 30 30
IFRS 11,182 1,116 998 609
新ベース 8,991 1,129 1,130 609
2015/3   9,194 744 799 3,221 30 30
前年比   202 -385 -330 2,612
2016/3予   9,200 1,000 950 600 40 30

 

2015/3 の株主帰属損益のうち、継続事業による分が467億円、非継続事業による分が2,754億円。

Ranbaxyの連結除外ベースでの対比で、営業損益は385億円減少した。

売上高増や共同販売促進費の減などはあったが、円安による経費増(237億円)や連結子会社 Plexxikon Inc.の抗悪性腫瘍剤 Zelboraf (収益性の低下が見られる)の営業権の減損(350億円)、日本の人事関連費用(139億円)、米国司法省への和解金(47億円)などで減益となった。

2014年度の非継続事業の損益は下記の通り。(億円)

  税引前 税引後
子会社合併差益 3,602 2,787
合併関連諸費用 -50 -34
Ranbaxy事業損益 -18 -0.5
合計   2,754

ーーー

エーザイ

減収減益となった。株主帰属損益は法人税の関係で増益となっている。

    売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
損益

 配当

税引前
損益
中間 期末
2013/3  日本式 5,737 705 656 483 70 80
2014/3 日本式 6,004 711 649 330 70 80
IFRS 5,995 664 623 383
2015/3   5,485 283 259 433 70 80.
前年比   -510 -381 -364 50
2016/3予   5,565 460 428 270 70 80

営業損益は前年比で381億円の減となったが、主な理由は下記の通り。(億円)

増益    
  グローバルブランドの増 91  
  中国・アジア拡大 52  
  2013年構造改革効果 197   一時費用 133、2014労務費減 64
       
減益    
  先行投資 -294  
  国内減益 -352   薬価 -160、ジェネリックによる減収
  その他 -75  

法人税は前年が238億円に対し、本年は-176億円となっている。

米子会社の払込資本の払い戻しによる譲渡損失等での278億円の減が影響



ーーー

田辺三菱製薬、大日本住友製薬については、下記参照

2015/5/19  主要企業の2015年3月決算 − 三菱ケミカルホールディングス、 住友化学


2015/5/28   インドで高純度テレフタル酸 大増設 

インドのReliance Industries Limited (RIL) は本年4月10日にグジャラート州 Dahej でPTA工場とPET工場の操業を開始した。

PTAプラントの能力は115万トンで、PETプラントの能力は65万トン。原料パラキシレンはRILのJamnagar 製油所から供給する。

同社では同じ工場で同規模のPTAプラントを建設中で、年内にも完成する予定。
同社のこれまでのPTA能力は205万トンで、第二工場が完成する年末には合計能力は435万トンとなる。

同社はこのほかにマレーシアにBPから買収した 61万トンのPTAプラントを持っている。
          2012/10/3 BP、マレーシアのPTA事業をインド Relianceに売却 

インドは世界で第二位のポリエステル生産国で、能力は540万トンとされている。
インドは年間25万トンのPTAを輸入しており、RILでは今回の増設でインドがPTA自給に近付くとしている。

PETプラントは2ライン合計65万トンで、ボトルグレードのPETレジン工場としては最大となり、同社の合計能力は115万トンとなる。
Dahej 工場にはPET原料のPTAとMEGの両方を生産している。

ーーー

JBF Petrochemicals もKarnataka 州 Mangalore Special Economic Zone (SEZ)  でPTA工場を建設中で、年内にも生産を開始する。

能力は125万トンで、1系列ではインド最大となる。
原料のパラキシレンは同じSEZ のOMPL Aromatics Refinery から供給を受ける。

JBF Petrochemicals は繊維会社のJBF Industries が原料への遡及のため設立した子会社。

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インドの現在のPTAの生産能力は400万トン弱だが、355万トンの増設となり、ほぼ倍増となる。

  現状 増強 増強後
Reliance 205万トン 230万トン 435万トン
MCC PTA India
三菱化学 66%
127万トン   127万トン
Indian Oil Corporation (IOC) 55万トン   55万トン
JBF Petrochemicals   125万トン 125万トン
合計 387万トン 355万トン 742万トン

 

三菱化学子会社のMCC PTA Indiaの第1期プラントは、三菱化学の最新鋭の自社技術を採用し、2000年に年産35万トンの規模でスタートし、その後数次に渡る能力増強を重ね、年産47万トンとなっている。

インドの需要の伸びに対応するため、第2期として80万トンの増設を決めた。約370百万ドルの投資で2006年1月にプラント建設に着手し、2008年6月に完工した。

三菱化学は2009年2月、テレフタル酸事業の事業構造改革を発表した。
国内生産から撤退、本社機能を海外に移す。

本社機能 シンガポール 2009年6月
技術に関する本社機能 インド(西ベンガル州ハルディア) 2009年末

松山工場停止後の三菱化学のテレフタル酸供給基地は以下の通り。

場所 会社名 能力  
インドネシア メラク 三菱化学インドネシア(旧バクリー化成)   640千トン 83.2%出資
韓国 麗水 三南石油化学(三養社とのJV)  1,700千トン 40%出資
インド 西ベンガル州ハルディア MCC PTA   470千トン
  
800千トン
66%出資
中国 浙江省寧波市 寧波三菱化学   600 千トン 日本側90%x61%出資
合計  4,210千トン  

2009/2/24  三菱化学、テレフタル酸事業の事業構造改革


 

2015/5/29     リコー、「発電ゴム」の開発に成功 

リコーは5月18日、圧力や振動により高い発電性能を発揮する新しい柔軟材料「発電ゴム」の開発に成功した と発表した。

数十〜数百μmという薄いシートの両面に電極を配置した形状をとる。
リコーは「複合材料を利用している」とするが、発電ゴムの組成は公開していない。


圧力による発電材料(圧電材料)としては、セラミックスや高分子樹脂などがあるが、活動範囲が限られている。

セラミックスの一種であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、 機器設備の圧力・振動センサーなどの電子部品として普及しており、高出力ではあるが、壊れやすい、鉛を含む、重いなどの課題がある。(鉛を含有するが、他に代替可能な材料がないため、EUにおける電子機器類への使用制限令の適用免除対象となっている)

PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子樹脂は、薄くすることによる柔軟性はあ るが、取り出せる電力は微量。
逆圧電効果による作用が弱く、さらに熱により電荷が生じるため、電気電子部材としての使用が難しく、用途はセンサーなどに限られている。

ともに、圧電性能を発現させるために製造過程で直流高電界を与える必要があり、エネルギー負荷の高い製造方法となっている。

帝人と関西大学は2012年9月、ポリL乳酸とポリD乳酸の2 種類のポリ乳酸フィルムを用いることで、簡便な積層プロセスにより製造することができる、透明かつ柔軟性があり、従来にない高い圧電効果を有する圧電材料を開発したと発表した。


リコーが開発した「発電ゴム」は、柔軟性の高いフレキシブルなシート状でありながら、セラミックス圧電材料と同等の高い発電性能を有する。 数百万回の繰り返し負荷試験でも性能劣化がないという耐久性も有している。

柔軟性、高出力に加え、耐久性、加工性、生産性にも優れる「発電ゴム」はセラミックスや高分子樹脂の課題を解決し、それぞれの利点である高出力と柔軟性を両立した 。

発電ゴムは厚さ数百マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの薄いシート。通常とは組成が異なり、押したり曲げたりして変形すると瞬間的に数百ボルトの電圧が生じる。

5cm×10cmの発電ゴムシートを手で軽くたたくと、数百V、数百μAの電力を生み出す。実験では 約200個の発光ダイオード(LED)をつないでたたくと、一斉に点灯した。

軽量ではさみやカッターで切れ、曲面にも貼れる。原料を塗布するだけで作れ、製造コストも安くなる見通し。

発電は一瞬だが出力は大きく、電気信号を無線で飛ばすことも可能とみられる。

体に貼ればそこを動かすたびに、衣類などに付ければ風に揺れるたびに発電する。

医療などで体の動きを検知するセンサーや、構造物の急な変形を知らせる警報装置、侵入者を検知するカーテンなどに応用すれば、電源なしに動作する。
風に揺れると光るドレスや遊具などの用途開発も進める。

リコーでは、微弱な圧力を感知するセンサーとしての用途と、環境からわずかな電力を集める環境発電の2つの応用を考えている。

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圧電効果は、セラミックなどに圧力を加えることで生じるひずみに応じて、電圧が発生する現象をいい、1880年にピエール・キュリーと兄のジャック・キュリーが発見した。

固体結晶内のイオンの位置のずれが圧力を加えることによって大きくなり、結晶の一方の端がプラスの電気を帯び、もう一方の端がマイナスの電気を帯びる「電気分極」という現象が起こり、電圧が発生する。身近なものとして、ライターの発火石がある。

PVDFの場合は、引っ張りや圧縮が内部ひずみを生み、電気エネルギーを生じる。

 

「発電ゴム」の発電機構は、従来の圧電材料とは異なる。圧電効果を示す材料と同じような挙動を示すものの、なぜ電力を生み出すのか、はっきりとは分かっていない 。

現在、東京理科大学(山本貴博准教授)との共同研究により、最先端の計算化学技術を用いた分子レベルでの発電機構の解析を始めており、材料の可能性をさらに拡張して将来の多岐にわたる応用展開を目指す。

 



 

2015/5/29   水島地区エチレン設備運営会社 

旭化成と三菱ケミカルホールディングスは5月28日、水島地区のエチレンを統合し、1基に集約したエチレン製造設備を運営する合弁会社の詳細について合意したと発表した。

 

両社は水島地区に隣接して各年産50万トンのエチレン設備を運営しているが、2009年6月に水島コンビナートでエチレン事業を統合することを検討していることを発表した。

両社は折半出資で西日本エチレン有限責任事業組合を設立し、2011年4月から、水島地区の両社のエチレンセンター事業の一体運営を開始した。

両社は2014年2月25日、水島地区の両社エチレンセンターを1基に集約することで合意した。

(1)集約時期 2016年4月
(2)集約方法 三菱設備に集約し、旭化成設備は廃棄。
(3)対象製品 エチレン、プロピレン、C4、分解ガソリン(C5、ベンゼン、トルエン、キシレン、C9などの混合物)、
粗水素その他の副生ガス(メタン、エタン、プロパン)、ヘビーエンド
(4)集約後の運用形態 両社折半出資の株式会社を設立しエチレン設備を共同運用
(5)集約後の生産能力 57万トン/年(非定期修理年)
圧縮機の主要部品(ローター)の交換を行い、現状の50万トン/年(非定期修理年)から増強する。

2014/2/27  旭化成と三菱ケミカル、水島地区エチレンセンター集約で合意 


新しく設立するエチレン製造設備を運営する合弁会社の概要は下記の通り。
(1)運営開始 2016年4月1日
(2)社名 三菱化学旭化成エチレン株式会社
(英文:Asahi Kasei Mitsubishi Chemical Ethylene Corporation)
(3)資本金 20億円(旭化成ケミカルズと三菱化学が折半出資)
(4)売上高 約1,600億円
(5)事業内容 基礎石化原料の製造と両親会社への販売、原材料の調達

2014年2月の合意の通り、エチレン設備は三菱化学に集約し、現状の年産50万トンを57万トンに増強する。旭化成の50万トンのエチレン設備は廃棄する。

現在、両社のエチレン製造設備を運営する西日本エチレン有限責任事業組合は、新合弁会社の運営開始後、集約に伴い不要となる設備の撤去等を行う。


2015/5/30 IMF、「人民元はもはや過小評価でない」 対日報告も

国際通貨基金(IMF)は5月26日に公表した中国経済に対する年次審査報告書で、中国の人民元はもはや過小評価されていない、と指摘した。

「人民元の過小評価がこれまで大きな不均衡の要因だったが、実効為替レートの過去1年間の大幅上昇により、もはや過小評価されているとは言えない水準になった。」

しかし、人民元の上昇にもかかわらず中国の貿易収支が引き続き高水準の黒字を記録しており、改革の必要性を示していると指摘、過度の貯蓄を減らし、持続可能な対外バランスの達成に向けて改革を実行することが当局の課題 であるとしている。

中国は、より柔軟な人民元相場などの改革を加速させるべきで、2-3年以内に変動相場制を実現させることを目指すべきだとした。

中国政府は人民元をSDR(IMFの特別引出権)に含めることに関心を示したが、IMFとしてはこれを歓迎し、実現に向け中国政府と密接に協力するとしている。
このためには、人民元が貿易規模、取引の自由度などで国際通貨にふさわしい条件を満たす必要がある。

 

IMFの発表を受け、米財務省の高官は同日、人民元相場について「著しく過小評価された状況にとどまっている」と述べた。
中国経済を巡っては「多額の貿易黒字を計上し、経済には数多くの不均衡がある」と強調し、人民元が大幅な過小評価の状態にあるとの認識を改めて示した。

人民元は、ドル以外の大半の通貨に対して、大幅に上昇している。(グラフは週間平均の買レート)

しかし、 米ドルに対しては、あまり上昇していない。

米ドルに対する元高の程度が他の通貨に対するものより少ないのは、ドル高の影響が大きい。
米ドルはユーロや円に対しても上昇している。その米ドルに対し、元は少しは上昇している。

人民元は、米ドルに対しては2014年前半に大きく下落、その後上昇に転じたが、2014年11月頃から再度下落、本年2-3月頃には2%の変動幅の下限一杯まで下落した。



中央銀行が毎日定める中央値も本年3月頃までの1年間はほぼ同水準であった が(政府の方針)、2014年11月頃から毎日の取引価格は下限ぎりぎりまで下落したのは、昨年後半から中国からの資金流出が続いていることが指摘される。米国の利上げをにらんだ投機的な資金の引き揚げや、中国企業による海外進出の増加などが要因。

中国銀行は、3月ごろにはこれまでとは逆にドル売り・元買いの介入を行って、人民元の価値が下がらないように買い支えに動いたとされる。

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IMFは5月22日、日本に関する報告も発表した。

低迷していた日本経済はアベノミクスにより浮上したが、「またとない」制度の転換を果たすという約束を果たすために、改革プログラムの矢を早急に強化する必要がある。

経済見通しは改善しているが、脆弱性が残っている…

インフレ率は徐々に上昇する見込み、中期的には約 1.5%まで徐々に上昇
緩和的な金融政策を継続する…

追加緩和
市場を誘導するために、コミュニケーションを強化
日銀が2%の インフレ目標を安定的に達成するというコミットメントを再確認

経済見通しにかかるリスクは下振れ方向に傾いている。

一層の構造改革が求められる
より効果の大きい改革が、堅調な長期的見通しをもたらし短期的に需要を支えるだろう。

労働市場改革
コーポレート・ガバナンス改革
規制緩和
金融改革

堅調な賃金動向が下支えとなる…

具体的かつ信頼のおける財政健全化…

財政健全化の信頼性を高めるため、財政制度の強化が必要である。
財政再建には、歳出・歳入両面の措置が必要
 

 


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