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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2018/12/15 サムスン、天津のスマートフォン工場撤収へ 

サムスン電子が中国天津にあるスマートフォン生産法人の閉鎖を決めた。

サムスン電子は12月12日、今月末で中国・天津工場の稼働を中断すると発表した。11日に天津工場の従業員約2000人を対象に稼動中断に関する説明会を開いた。天津工場の従業員の退職補償、再就職支援などについて、協議を継続する予定。

ケース、カメラモジュール、回路基板などを生産する協力会社の生産施設撤収も相次ぐとみられる。

 

サムスン電子は、中国国内で天津工場と広東省の恵州工場をスマートフォンの生産拠点としている。

同社は中国のスマートフォン市場で2014年までは10%台のシェアで首位を守っていた。

しかし、2015年からは、華為(Huawei)、OPPO、VIVO、小米(Xiaomi)など中国メーカーに押され、本年7−9月期にはシェアが0.7%まで低下した。
小辣椒(
Xiaolajiao)、SUGAR、CMCCなどの中小ブランドにも敗れ、全体順位は11位に落ち込んだ。

四半期ベースで2000万台に達していた販売台数は本年7−9月期には天津・恵州工場2カ所を合わせてわずか70万台にまで落ち込んだ。

サムスン電子は恵州工場をそのまま維持すると明らかにしたが、中国と業界ではこれについても閉鎖また事業縮小をする可能性があると予測している。

サムスン電子は現在、韓国の亀尾をはじめ、ベトナム、インド、ブラジル、インドネシア、中国にスマートフォン工場を置いている。

天津工場の閉鎖で、ベトナムやインドでスマートフォンを生産する「脱中国」化が加速する。

 

サムスン電子のスマートフォン生産はすでにベトナム法人が製造の中枢の役割をしている。

バクニンやタイグエンにある生産法人は年間3億台以上のスマートフォンを生産できる能力を備えている。ここでの雇用者数は10万人以上で、今年上半期の売上高は約2兆3700億円にのぼる。

また、7月に完工したインドのノイダ工場も1億2000万台以上の携帯電話製造が可能という。

 

参考 

 


2018/12/17    米国の関税収入 急増

米財務省が12月13日に発表した11月の財政収支によると、関税収入は62億ドルと前年同月比でほぼ2倍に増えた。

米国は3月23日から日本などから輸入する鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をかけ、5月31日からは一時的に免除していたEU、カナダ、メキシコからの輸入品についても関税を課した。

中国については、7月6日から340億ドル分に25%、8月23日から160億ドル分を追加して合計500億ドル分について25%の関税を課した。

9月24日に中国製品へのSection 232 による第三弾の追加関税(2000億ドル分に対して10%)を課したことで急増した。


自由貿易を求める関税に反対する組織 Tariffs Hurt the Heartland によると、関税収入の内訳は下記の通りとなる。
   

10月の対中国の追加関税は、26億ドルとなり、前月比で14億ドル増となっている。これは2000億ドル分の10%が加わったことによる。

これは2019年1月からは25%にアップする予定であったが、(12月1日から)90日間延期となった。この間に(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、結論を得る。

合意できなければ、25%に引き上げられる。月間14億ドルが35億ドルにと21億ドル増加する。10月の関税収入62億ドルが83億ドルまで増えることとなる。
2017年10月ベースに比して、53億ドルの増となる。年間では従来ベースより600億ドル以上の増加となる。

 

この関税はは米国企業が払っているものであり、最終的には米国の需要家に転嫁される。多額の関税増は、2017年末の大型減税の効果を打ち消すものとなる。

多くのエコノミストが、関税は米国企業の負担であり、多くの企業が投資を遅らせ、雇用のペースを緩め、レイオフなどのコストカットを行い、価格に転嫁する。最終的には米国のGDPを下げることとなる、と述べている。

Tariffs Hurt the Heartland は次のように述べている。

数字は嘘をつかない。米国人がこの関税を支払うのであり、しかも以前よりはるかに多い。この関税は、我が国を豊かにするのではなく、真逆である。データは関税が政府が決めたもののうち、まぎれもない失敗であることを示している。起こっているのは、企業と消費者が余分に支払うことであり、報復によって米国の輸出は急減少しており、政府が懸念している貿易赤字は急増する。

10月の輸入は0.6%減ったが、報復により輸出は37%減少した。

米連邦準備理事会(FRB)は関税引き上げによって、物価上昇と景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」に陥るリスクを懸念する。

 

しかし、トランプ大統領は数十億ドルの関税を勝ち取ったと誇らしげに述べた。

We are right now taking in $ billions in Tariffs. MAKE AMERICA RICH AGAIN.”

12月13日の米テレビ番組のインタビューで「中国がモノを米国に送る際に、彼らは25%を支払っている」とも語った。

米メディアは「大統領は中国製品にかけた関税の支払いを、米国民ではなく中国側が負担していると誤解しているのではないか」と疑問視する。

部分的には、関税引き上げ分の一部を中国の業者が輸出価格の値下げの形で負担しているケースもあるとは思われるが、25%分全てを負担するなどはあり得ない。

こんな誤解のもとに、政策が決められているとすれば、恐ろしいことである。

商務省などは当然、この点を理解しており、関税引き上げ対象の中国製品を選ぶ際に、直接の消費財は除外している。但し、消費財でなくとも、関税でコストが上がり、それを使った消費財の価格に最終的に転嫁される。

大統領は、中国製品の2500億ドル相当分の残りについても関税を課すと脅しているが、その場合には消費財そのものの関税が上がり、すぐに転嫁されることになる。

大統領は、関税引き上げで米国での生産増を図るが、輸入品よりも安価に生産することは難しい。逆に中国の報復関税を避けるため、中国での生産を図る企業も出ている。


2018/12/18 中国、米自動車への報復関税を3カ月間停止 


中国政府は12月14日、米国から輸入する自動車に上乗せしていた25%の関税を来年1月から3カ月間、停止すると発表した。米国製自動車の関税はいまの40%から元の15%に戻る。

12月1日の米中首脳会談の合意に基づく措置である。

米国は2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

中国は、非常に多くの農産物、エネルギー、工業製品その他を米国から購入し、貿易のインバランスを減らす。

両国は5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得る。

2018/12/2    米、中国への追加関税を90日猶予

発表にはないが、トランプ大統領は中国が自動車関税を引き下げると述べていた。

中国財務省は「国内市場に合った製品の輸入が拡大し、人民のニーズを満足させられる。追加関税は米国の保護主義に迫られてとった措置だった。あらゆる追加関税を取り消す方向で協議を加速し、バランスのとれたウィンウィンの新たな貿易秩序を築きたい」と、他の分野でも摩擦を解消する意向を示した。

中国の国営企業が12月12日に150万トン以上の米国産大豆を購入したことが分かった。更に追加するとみられる。

但し、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議が、90日以内(2019年2月末まで)に結論を得られるかどうか、疑問であり、振出しに戻る恐れもある。

さらに、今回の華為技術(Huawei Technologies )の孟晩舟副会長 兼 最高財務責任者の問題もあり、楽観視は出来ない。

ーーー

中国財務部は2018年5月22日、輸入自動車及び自動車部品に対する関税を引き下げると発表した。貿易赤字削減へ関税引き下げを求めてきたトランプ米政権に中国側が歩み寄った。

自動車については、税率が25%の(関税番号での)135種と、20%のトラック4種を引き下げ、全て15%にし、自動車部品については、8%、10%、15%、20%、25%の(関税番号での)79種を引き下げ、全て6%とする。

2018/5/24 中国、自動車関税を一律引き下げ 米に歩み寄り
 

しかしその後、米中の制裁関税、報復関税が相次いだ。

トランプ米政権は2018年7月6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動した。

米通商代表部(USTR)は、第一弾の340億ドル分について、米東部時間7月6日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降に米国に到着したり、国内の保管庫から取り出されたりした輸入品から関税を徴収すると通知を出した

中国も対抗して7月6日に同額の輸入品に追加関税をかけた。乗用車、電気自動車なども含まれており、乗用車は40%となった。

米通商代表部(USTR)は、残り160億ドル(25%)の制裁関税を8月23日に発動すると発表した。

これを受け、中国も、残り160億ドルの追加関税の対象製品リストについて相応の調整を行った後、2018年8月23日午後0時1分より25%の追加関税を課すことを決定したと発表した。

2018/7/6  米国、対中制裁関税を発動、中国も対応

トランプ米政権は9月17日、中国からの輸入品2千億ドルを対象に第3弾の制裁関税を9月24日に発動すると発表した。

家具や家電などに10%の関税を上乗せする。中国が踏み込んだ政策変更に応じない場合、2019年以降は25%に引き上げる。

中国は9月24日午後0時1分より 報復関税を課した。5207品目、600億ドルに対し、5%と10%追加関税を課す。

2018/9/20     米国、対中関税第3弾を9月24日発動

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中国の乗用車関税の推移:

  全体 対米国
当初 25% 25%
2018年5月 15%


 
15%
  2018年7月 対米追加関税 25% 40%
  2019年1月〜3月 対米追加関税免除 15%
  2019年4月以降  米中交渉結果次第 40% ?

 


 

2018/12/19    第五世代(5G)移動通信システムの周波数割当の審査基準
 

総務省は12月14日、第五世代(5G)移動通信システムの周波数を携帯電話各社に割り当てる際の審査基準を定めた開設指針を決定した。

総務省は事前に公表していた指針案を修正し、12月14日に有識者会議の電波監理審議会に諮問し、即日、内容が妥当との答申を受けた。

基地局など通信設備で、中国製品の一部を事実上排除するよう求める項目を盛り込んだ。

世界貿易機関(WTO)のルールに配慮し、国名や企業名の名指しを避けたが、Huawei、ZTEの製品が念頭にあり、12月10日に関係省庁が申し合わせた「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」(後述)について留意すべきこととしている。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの国内3キャリアは、2019年度米国防権限法(NDAA2019)  を念頭に、既に 5GでHuaweiとZTEの通信設備を事実上排除する方針を固めたと報じられている。
ソフトバンクは現行の携帯電話の通信規格「4G」の設備について、華為技術(Huawei)など中国製の基地局をなくす方針を固めた。スウエーデンの
Ericsson、フィンランドのNokiaの製品に順次置き換える。

開設指針では、「考え方」を以下の通りとしている。
我が国の情報通信ネットワークの安全・信頼性を確保することが重要であると考えており、民間事業者においても、サイバーセキュリティ向上に向けて積極的に取り組んでいただけることを期待。
これに関連して、政府調達に係る申合せにおいて通信サービスの調達についても対象とされていること等を踏まえ、12月10日の関係省庁申合せについても留意すべきこととしている。
別表第一
開設計画に記載すべき事項 二 開設計画に従って円滑に特定基地局を整備するための能力に関する事項 1 略 2 特定基地局の無線設備の調達に関する計画及びその根拠(「情報通信ネットワーク安全・信頼性基準」並びに「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群(平成30年度版)」及び「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」に留意すること。)

当初の開設指針案に対する意見と、それについての考え方も記載している。

意見:セキュリティリスクの問題で諸外国で使用禁止になっているHUAWEI、ZTEの2社の設備は使用禁止にすべき。【個人】

考え方:

我が国の情報通信ネットワークの安全・信頼性を確保することが重要であると考えており、民間事業者においても、サイバーセキュリティ向上に向けて積極的に取り組んでいただけることを期待。

これに関連して、政府調達に係る申合せにおいて、通信サービスの調達についても対象とされていること等を踏まえ、本開設指針案の別表第1において、(中略)、「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」 (平成30年12月10日関係省庁申合せ)についても留意すべきこととしている。

 

ーーー

政府は12月10日、首相官邸で中央省庁のサイバーセキュリティー担当者が集まる「サイバーセキュリティ対策推進会議」を開き、中央省庁がIT機器や情報システムを調達する際にサイバーセキュリティーの観点から手続きを厳格化する「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」を決定した。

1.目的 複雑化・巧妙化しているサイバー攻撃に対して、政府機関等におけるサイバーセキュリティ対策を一層向上させるためには、従来行われている取組に加え、より一層サプライチェーン・リスクに対応するなど、政府の重要業務に係る情報システム・機器・役務等の調達におけるサイバーセキュリティ上の深刻な悪影響を軽減するための新たな取組が必要である。

そのため、各省庁等において特に防護すべき情報システム・機器・役務等に関する調達の基本的な方針及び手続について、次のとおり関係省庁で申し合わせ、講ずべき必要な措置について明確化を図る。

2.対象とする調達 別紙1に掲げる各省庁等において、別紙2に掲げる情報システム・機器・役務等の調達のうち、別紙3に掲げる重要性の観点から、より一層サプライチェーン・リスクに対応することが必要であると判断されるものについては、情報通信技術(IT)総合戦略室及び内閣サイバーセキュリティセンターと協議のうえ、本申合せに基づき必要な措置を講じる対象とする。
別紙2 情報システム・機器・役務等 (詳細略) ・通信回線装置 ・サーバ装置・端末 ・複合機 ・ソフトウエア  ・周辺機器 ・外部電磁的記録媒体 ・役務
別紙3 重要性の観点 @国家安全保障及び治安関係の業務を行うシステム A機密性の高い情報を取り扱うシステム並びに情報の漏洩及び情報の改ざんによる社会的・経済的混乱を招くおそれのある情報を取り扱うシステム B番号制度関係の業務を行うシステム等、個人情報を極めて大量に取り扱う業務を行うシステム C機能停止等の場合、各省庁における業務遂行に著しい影響を及ぼす基幹業務システム、LAN 等の基盤システム D運営経費が極めて大きいシステム
4.契約方式 本申合せの対象となる調達の契約方式については、総合評価落札方式や企画競争等、価格面のみならず総合的な評価を行う契約方式を採用するものとする。

5.調達手続 各省庁等は、第2項で特定した調達を実施する際は、会計法及び予算決算及び会計令に基づき契約手続を進めるに当たり、調達する情報システム・機器・役務等の提供事業者及びその製品並びに役務について、サイバーセキュリティ確保の観点から、仕様条件の決定、製品及び役務を提供する事業者の選定のために必要な情報を、Request for Information(RFI)及び Request for Proposal(RFP)等により取得することとする。
 
各省庁等は、調達手続のうち、サプライチェーン・リスクの観点から必要な場合において、情報通信技術(IT)総合戦略室及び内閣サイバーセキュリティセンターに対して、講ずべき必要な措置について、原則、助言を求めるものとする。

新ルールは2019年4月1日以降に調達手続きを始めるものから適用する。

 

「申合せ」では特定の企業名や製品名は示していないものの、HuaweiやZTEなどの中国通信機器メーカーの製品にセキュリティー上の懸念があることを踏まえたもの。

中国外務省の報道官は12月10日、日本政府が政府機関の調達先から中国通信機器大手、Huaweiなどの製品を事実上排除する方針を決めたことについて、「中国はいかなる差別的な対応も受けるべきではないと考えている」と述べ、不快感を示した。5G移動通信システムに関し、Huaweiが20カ国以上の企業と契約していることも明らかにした。

大手メディア『環球時報』は12月10日、「HuaweiとZTE排除によって日本は自らの利益を必ず損なう」という社説を発表し、「中日関係を改善させる重要なタイミングで日本は米国の政治圧力に屈した。大きな悪影響がもたらされるかもしれず、日本の安全保障にもよくないことだろう」と強調した。

日本企業が、近い将来、中国内で排除される、報復措置の可能性もありうる。 


2018/12/20 フランスの2019年の財政赤字、GDP比3.2%に  

フランスのフィリップ首相は12月16日、仏メディアのインタビューで、2019年の財政赤字の対GDP比率がEUの定める上限の3%を突破し、約3.2%になるとの見通しを示した。

EUがイタリアに対し、GDP比2.4%の赤字を引き下げるよう、制裁金の可能性まで示して強く求めているなかで、フランスに対してどのような対応をするか注目され た。
欧州委員会は12月19日、イタリアが再提出した修正予算案(赤字幅を縮小)を承認した。制裁を見送り、監視を継続する。


フランスの財政赤字はリーマン・ショックがあった2008年から2016年まで、9年度連続でEU基準(上限3%)を上回っていた。2017年就任のマクロン大統領は公約の一つに財政再建を掲げ、2017〜19年と3年連続でGDP比3%以内を守る見通しだった。2017年は2.6%の赤字であった。

フランス財務省は本年4月10日、経済成長率が従来予想を上回る中、財政赤字削減が計画より早いペースで進むとの見通しを示した。

欧州委員会に提出する長期財政計画の中で、2018年の成長率を従来見通しの1.7%から2017年から横ばいの2.0%と予想し、2018年の財政赤字は 予算案のGDP比2.6%を下回る2.3%と予想した。

 

フランスでは11月から「温暖化防止策としてガソリンなど燃料税を2019年1月1日から引き上げる」とする政府の方針への抗議デモ(「黄色いベスト」運動)が全国的に広がった。

これに対し、フランス政府は12月4日、予定していたガソリンと軽油の増税を6カ月延期すると発表した。 更にその直後の12月5日に、2019年は増税しないと方針を変えた。
この時点では、財政赤字は2.8%にアップするとしていた。

しかし、デモは収まらなかった。

要求の一つは富裕税である。

フランスでは、不動産、金融商品、現金、動産、貴金属などに富裕税が課税されている。

政府はこれを改め、130万ユーロを超える不動産を所有する世帯にのみ課税するよう変更した。現金等への課税が海外への逃避を生むため、 それらへの課税を廃止し、国内への投資に向けさせようというものである。

しかし、変更により、35万世帯からの41億ユーロの税収が15万世帯の8億5千万ユーロに減る。

批判派は、マクロン政権は年金生活者などへの税金を引き上げた一方で、富裕層を優遇していると非難した。

「黄色いベスト」運動は当初、燃料税の引き上げに反対して始まったが、生活費の上昇に対する抗議や、地方の小都市が直面している問題をマクロン大統領が無視しているといった不満にまで膨れ上がった。

マクロン大統領は12月10日、「黄色いベスト」の抗議デモが激化したことを受け、2019年2月に実施する最低賃金の月額100ユーロへの引き上げや 、残業手当に課税しないこと、月額2000ユーロ以下の年金生活者への増税の中止を約束した。予算局はこうした措置の総額が100億ユーロになるとの見方を示した。

歳出を削ったり、法人減税の対象を限ったりすることなどで40億ユーロ程度を確保するが、それでも財政赤字はGDP比3.2%に達するという。

フランスのルメール経済・財務相は12月17日、グーグルなどIT大手への「デジタル課税」を2019年1月から始めると発表した。年間の税収は5億ユーロ(約640億円)を見込んでいる。
IT大手によるネット広告、個人情報の売買などに課税する。課税対象は大手に限定するとみられる。
これが上記の40億ユーロに含まれているのか、追加なのかは不明。

この結果、2008〜2016年に続き、EUのルールである「3%以内」を破ることになる。

ーーー

各年度の財政赤字をGDPの3%未満とする EUの財政安定化・成長協定は1997年に採択された 。

しかし、ドイツとフランスは、2002年以降3年連続で違反を続け、罰金の適用も停止させた。

フランスとドイツの圧力を受け、2005年3月の欧州理事会で見直しが行われ、財政赤字規律の条件を超えても、「小幅かつ一時的」な場合、経済成長がマイナスであれば過剰財政赤字とはみなされないことになった。

その後、2010年にギリシャ危機が起こった。

EUのユーロ圏16カ国は2010年5月7日夜の緊急首脳会議で、巨額の財政赤字を抱えるギリシャ向けの支援策を正式に承認するとともに、包括的な金融危機対策で合意した。
ギリシャ向け協調融資の正式承認、欧州安定化メカニズム(ユーロ防衛基金)の創設等々に加え、EUの財政協定を強化、違反国に効果的な制裁の用意を決めた。

2010/5/10 統一通貨ユーロの危機  

EU加盟国の財政規律を強化する「新財政協定」('Fiscal Compact')が2013年1月1日付で発効した。

各年の一般政府の構造的財政収支赤字(景気循環・一時的要因の影響を除いたもの)がGDP比0.5%を超えない。
但し、公的債務残高の対GDP比が60%を大幅に下回り、長期的な財政の持続可能性リスクが低いと判断される場合、対GDP比で1%までの構造的財政赤字が認められる。

2012/12/26 EUの新財政協定、2013年1月1日発効

EU財務相会議は2013年、フランスが財政赤字の対GDP比率を3%以内とする期限を2015年まで2年延期することで合意した。
フランス政府は、これを3年先延ばしにし、2018年とするよう要請した。

これを受け、EU財務相は2015年の理事会で、財政再建の達成期限の2年延長(2017年まで)を承認した。


フランス及びドイツの財政赤字の推移は下記の通りで、ドイツはレーマン危機の期間を除き、EU基準を守っているのに対し、フランスは2017年と2018年(予想)を除き、違反を続けている。

  2015 2016 2017 2018予 2019予
ドイツ 0.9 0.6 1.3    
フランス -3.8 -3.4 -2.6 -2.3 -3.2

2019年のフランスの財政赤字がEUルール違反となる見通しであることについて、欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は12月13日、一時的であれば容認する姿勢を示した。

しかし、フランスの赤字は上記の通り、一時的なものではない。しかも財政再建の達成期限を2015年まで延長し、更に2017年まで2年延長している。その期限は切れている。

ドイツとフランスが2002年以降、違反を続けたことから、ギリシャ危機が起こったもので、その反省から2013年に新財政協定を結んだ。

イタリアに対しては、非常に厳しい態度をとってイタリア政府と対立しているが、大国のフランスについて容認するなら、EUの秩序は乱れると思われる。

イタリアは2019年の単年度財政赤字目標をGDP比2.4%に引き上げた。(前政権は 0.8%を約束していた。)

イタリアの場合、財政赤字はGDP比で3%未満で基準を満たすが、公的債務は130%超で、債務の持続可能性を確保するため、構造的財政収支の中期目標(MTO)をGDP比率でゼロ%に設定、毎年の構造収支の改善を求めていた。

欧州委員会は10月23日、イタリアに対し、2019年予算案を3週間以内に再提出するよう求めた。

拒めば、欧州委はイタリア財政を監視下に置き、改善努力が乏しければ最大でGDPの0.5%相当の制裁金が必要となる。

しかし、イタリア政府はこれを拒否した。

コンテ首相は12月12日、ユンケル欧州委員長と会談。財政赤字の見通しを実質GDP比で2.4%から2.04%に引き下げると説明した。 年金受給開始年齢の引き下げや、最低所得保障などの大枠は維持するが、実行時期を遅らせたり、規模を縮小する。

2018/10/29    イタリア、来年度予算案で欧州委と対決


2018/12/21   GlaxoSmithKlineとPfizer、大衆薬事業を統合 

製薬世界大手の英 GlaxoSmithKline(GSK)と米 Pfizerは12月19日、一般用医薬品(大衆薬)事業を統合すると発表した。
合弁会社を設立し、GSKが68%、Pfizerが32%出資する。

統合会社は売上高は98億ポンド(約1兆4000億円)で、Johnson & Johnsonを上回り世界最大の大衆薬メーカーになる。市場シェアは7.3%に達し(2位のJ&J は4.1%)、米国と中国を含む主要地域の全てで1位か2位の市場シェアを持つこととなる。

GSKは統合完了から3年以内に新会社の株式を英国で上場させ、医療用医薬品・ワクチン 事業に専念する。

GSKの大衆薬事業は歯磨きのSensodyne(日本名シュミテクト)や抗炎症剤Voltaren、非ピリン抗炎症剤・鎮痛解熱剤Panadol(日本名 カロナール) などが主力製品で、2017年12月期の部門売上高は71億ポンド(約1兆円)だった。

Pfizerの大衆薬は痛み止めAdvil(アドビル)や、サプリメント製品のCentrum やCaltrate などを手掛けている。2017年12月期の部門売上高は34億ドル(約3800億円)だった。

ーーー

Pfizerは2012年から、特許で保護された製品を扱うPfizer Innovative Health と、低成長のジェネリック製品を扱うPfizer Essential Health を分割して別々の企業として上場する案を検討してきた。

しかし、2016年9月 に会社分割を見送ると発表した。

2016/10/4  Pfizer、会社分割を見送り 

2017年10月に売上高全体の1割未満にとどまる消費者向け事業切り離す方針を表明し、これまでに米日用品大手 Procter and Gambleなどが買い手に取り沙汰されていた。価値が200億ドル相当と評価され、英国の日用品メーカー Reckitt Benckiserが交渉したが撤退、GSKも名乗りを上げたが、応札プロセスから撤退した。

Pfizerは、スピンオフ(分離・独立)、売却その他の取引を含む戦略的代替案あるいは部門保持を検討していると述べ、2017年内に決定を下す予定だとしていた。

ーーー

GSKは2014年4月に、Novartisとの間で事業交換を行った。

抗がん剤製品群をNovartis に譲渡する一方、Novartisの大衆薬事業を統合し、GSK主体のJVとした。
更にNovartisのインフルエンザ以外のワクチン事業を買収した。

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編

GSKは2018年3月末に、Novartisとの大衆薬事業JVの持分を130億ドルで 買収し、GSK 100%とした。

今回、Pfizerとの統合で規模をさらに引き上げて収益力を高める。22年までに年間5億ポンド規模のコストを削減できると見込んでいる。

GSKの狙いは医療用医薬品やワクチンの開発力強化にある。
大衆薬はファイザーとの統合で収益力を引き上げる一方、将来的にはこれを切り離し、その売却収入を 医療用医薬品やワクチンのR&D拡充などに注ぎ込む構想。

GSKは12月3日には米がん治療薬ベンチャーのTESARO Inc を総額51億ドルで買収すると発表し、新薬開発に注力する戦略を鮮明にした。

TESARO はがん治療薬であるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ZEJULA™」(一般名 niraparib)を持つ。米国において2017年4月に発売され、米国では卵巣がんの患者に直近で最も処方されているPARP阻害薬の一つ。米国のほか、欧州でも承認されている。

武田薬品とTESAROは2017年7月、「ZEJULA™」(一般名 niraparib)について、独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結した。武田薬品は日本におけるniraparibに関する全てのがんに関して、また、韓国、台湾、ロシア、オーストラリアにおける前立腺がんを除く全てのがんに関して独占的開発・販売権を獲得した。


2018/12/21 米政府機関 一部閉鎖の恐れ 

米国では2019会計年度(18年10月〜19年9月)の一部予算が通っておらず、つなぎ予算が12月21日までとなっている。

2019会計年度(2018年10月〜2019年9月)の米連邦予算の法案が9月28日にトランプ大統領が署名し、成立した。

トランプ大統領がメキシコとの間の壁の建設費用を認めない場合に政府を閉鎖するとの脅しを続ける中、国防省等については正式予算、メキシコとの間の壁の建設を担当する国土安全保障省等については12月7日までの「つなぎ予算」とする異例の形となった。

当初のつなぎ予算期限の12月7日、トランプ米大統領は12月21日までの歳出を可能にする「つなぎ予算」に署名し、成立した。両院が前日に議決していた。

ブッシュ元大統領の死去(11/30)を受けて国境の壁の議論を先送りした。

問題は「国境の壁」建設費用で、トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

今回も決着せず、上院は12月19日、2019年2月8日までの「つなぎ予算」を可決した。国境の壁建設費用は含んでいない。

これに対し、トランプ米大統領は12月20日、与党・共和党幹部に対し、「国境の壁」建設費用が計上されていない予算案に署名しない方針を伝えた。

これを受け、下院は同日、「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を217対185で可決した。与党共和党から8人が反対に廻った。

しかし、これが上院で通るメドは立っていない。可決には60票が必要で、現在は共和党議員は51名で、可決には民主党の賛成票が欠かせない。

21日までに予算が成立しなければ、一部の政府機関が閉鎖するリスクがある。

国境警備を担う国土安全保障省や国務省、商務省などの予算が一時的に失効する。航空管制や入国審査、沿岸警備、司法捜査など国家運営に関わる業務は、職員が一時的に無給で勤務を続ける。国立公園は閉鎖される可能性がある。

 

付記

米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。

国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では午前0時に予算が失効した。

ただ、上院は休会前に、一時帰休となる連邦政府職員への給与を保証する法案を通過させた。可決は全会一致だったが、下院でも可決する必要がある。

上院共和党は、下院が議決した「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を通そうとしたが、民主党は壁の予算は一切認めないとし た。

閉鎖がいつまで続くか不明で、トランプ大統領は“for a very long time” と述べた。

上院は22日午後に審議を再開したが予算成立の見込みが乏しいため、クリスマス後の27日午後に審議を再開することを決めた。下院も与野党が予算案で合意するまで審議しない方針を決めた。

付記 トランプ大統領は12月24日、ツイッターで ぼやいた。

I am all alone (poor me) in the White House waiting for the Democrats to come back and make a deal on desperately needed Border Security.

At some point the Democrats not wanting to make a deal will cost our Country more money than the Border Wall we are all talking about. Crazy!

 


2018/12/22 駐カナダ中国大使のカナダ紙への投稿

駐カナダ中国大使The Globe and Mail 紙に12月13日付で投稿した。
タイトルは、“
On China, has Canada lost its sense of justice?

概要:

Huaweiは、グローバルな事業は現地の法や規制に厳格に従っていることを公的に何度も表明している。しかし、Five Eyes countries (米、英、豪、NZ、加)の諸国は、何の証拠もなく、Huaweiが彼らの国家の安全を脅かす存在であると非難している。そのような推測をもとに、恐怖の種を撒き、国民をミスリードしている。

5カ国の諜報機関(Five Eyes:アメリカ国家安全保障局、英政府通信本部、カナダ通信保安局、豪 参謀本部国防信号局、NZ 政府通信保安局)はUKUSA協定を結び、世界中に張り巡らせたSIGINTの設備や盗聴情報を相互利用・共同利用する為に協定を結んでいる。

もしHuaweiの通信機器がセキュリティー上のリスクになるというのであれば、西側のメーカーの通信機器も、同じ科学と技術を使用しているため、同様である。

しかし米国は、2017年6月28日に中国で施行された「国家情報法」を懸念する。この第7条は「いかなる組織及び個人も、国の情報活動に協力する義務を有する」と明記する。

誰が他国のセキュリティーにとっての最大脅威になっているかを知りたければ、アメリカのPRISM program(国家安全保障局が運営する極秘の通信監視プログラム)を調べてみればよい。中国のHuaweiを非難する人々は自分たちの姿を鏡でよく見るべきなのだ。

多くの人々が古い「冷戦思考」を持ち続けており、中国のことを「異常な国」だと信じ込んでいる、という事実に行き着く。彼らは中国が西洋諸国にあまりにも急速に追いついてしまい、経済だけでなく、科学やテクノロジーの面でもすぐに追い越すことを恐れている。だからこそ彼らは中国企業を取り締り、国家の安全という名の下に中国の発展を妨害するのだ。

カナダはカナダの法律違反ではないのに不当に孟女史を拘束した。カナダ政府は米国への国際的義務と主張するが、中国国民の法的権利を保護する国際義務はどうなのだ。彼女はバンクーバー国際空港で乗り換えをしただけなのに逮捕された。

中国が孟女史の逮捕の報復として拘束したと非難している人々は、まず最初にカナダ側がとった行動についてよく考えてみるべきだ。

中国国民はカナダに対して以前は好意的な印象をもっていたが、今回のカナダ政府の行動は、それを冷やした。

ーーー

中国外務省の華春瑩報道官は12月17日の記者会見で、米国の要請でカナダ当局がHuaweiの孟晩舟副会長を逮捕した事件に関し、米国とカナダの両当局は国際法に違反していると指摘した。
 
報道官は「米国とカナダが引き続き法律と規則の遵守を主張していることに驚愕している」と述べ、「私の見解からすれば、これは他でもない新バージョンの帝国主義である。彼らがどれほどもったいぶった口実を使い、どれほど『合法的』な服で隠していたとしても、これは事実とは一切無関係であり、法律を軽視しており、これは国際社会に嘲笑されている」と指摘した。

ーーー

国際

シンクタンク The International Crisis Groupは12月11日、同団体の上級顧問を務めるカナダの元外交官、Michael Kovrig氏が中国で拘束されたとの情報が入ったことを明らかにした。

カナダ外務省は12月13日、カナダ人実業家 Michael Spavor氏が中国の国家安全保障に脅威を与えた疑いで中国当局に拘束されたことを認めた。

カナダ
外務省報道官は12月19日、3人目のカナダ人の拘束を確認したが、Huawei に対する捜査への報復との見方は示しておらず、事件との関連は不明。

付記 カナダ外務省は12月28日、3人目のカナダ人女性が中国で釈放され、カナダに帰国したと明らかにした。

  中国で英語を教えていたが、不法就労の疑いがあるとして中国当局に拘束された。



2018/12/24   米中貿易協議 難航必至

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は12月1日、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。
米国は、2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得ることで合意した。

中国との協議で合意できなかった場合、制裁関税を2019年3月2日に引き上げる。

トランプ大統領は対中協議の責任者に、政権きっての対中強硬派のLighthizer USTR代表を指名した。

米中が2019年1月に会合を開き、通商を巡る合意を文書化する意向だが、3月1日の期限までに米中が妥協策を見いだせるかが焦点となる。

 

日本経済新聞(2018/12/23)は、「 米中協議 『合意は険しい』 中国産業政策 全面転換迫る」と題して、ホワイトハウスのPeter Navarro通商製造業政策局長とのインタビューを掲載している。

Peter NavarroはUniversity of California, Irvine の経済学・公共政策学の教授だが、トランプの大統領選キャンペーンの政策アドバイザーに就任、2016年12月にトランプ次期大統領の指名を受け、新設のホワイトハウス国家通商会議の委員長に就任した。

2017年4月に、ホワイトハウスは国家通商会議を廃止し、通商製造業政策局(OTMP)を新設したが、Navarro はそのトップになった。

OTMPは貿易や製造業に関する政策について大統領に助言するほか、ホワイトハウスと商務省など通商関連官庁との調整や、米国製品の購入や米国人の雇用を促す政策の支援も担当する。OTMPの設置は、「米国の製造業や国防の基盤が損なわれるなか、米国はもはや不正な貿易は容認しないという重要なメッセージだ」とされる。

Navarro は、『中国がもたらす死(Death by China:Confronting the Dragon - A Global Call to Action』を出版、2012年にこれをもとにしたドキュメンタリー映画を監督・プロデュースした。

中国がWTOに加盟し、米中間で自由貿易が開始されて以降、アメリカ国民やアメリカ経済がいかに被害を受けたかが描かれている。アメリカからは工場と仕事が消え、製造業の拠点もなくなっていく。その一方、中国はますますアメリカ国債を所有する……。アメリカが抱える問題の深刻さを、データやインタビューを通じて生々しく描写。

2018年6月19日にNavarroが率いる OTMPは「How China’s Economic Aggression Threatens the Technologies and Intellectual Property of the United States and the World  (中国の経済的攻撃はいかに米国と世界の技術と知的財産を脅かしているか)」と題する報告書を発表した。

今回、Peter Navarroはインタビューで、この報告書を引用して、次のように述べている。

報告書で明確に指摘しているのは、中国による米企業への技術移転の強要であり、サイバー攻撃であり、長年にわたるスパイ活動への懸念だ 。製造業や先端技術などすべての中国産業を守るため、高率の関税を課し(許認可などの)非関税障壁もある。

どのように中国が我々の技術を追いかけて、日本や米国、欧州の将来を盗もうとしているか。この解決が2019年3月1日までの90日間の交渉の主題だ。

サイバー攻撃や為替操作など中国が関与している50の慣行がある。これらのすべてがWTOルールに違反する不公正政策だ。90日間の交渉が成功と言えるようになるのは、これらのすべての問題に対処しなければいけない。90日での解決は険しい。

 

 

中国の政策や慣行をすべて改めないと駄目ということでは、解決は無理と思われる。

中国も、部分的には政策や慣行を改めようとしてはいる。

全人民常務委員会は12月23日、外資投資を保護する外商投資法案の審議を始めた。

法案の内容
 「技術協力の条件は双方の協議で決め、行政手段で強制してはならない」
 「外国投資家の中国での出資、利潤、資本収益などは法に基づいて人民元や外資で自由に海外送金できる」

ーーー

中国の最高人民法院(最高裁)は、2019年1月から知的財産権を巡る紛争を専門に解決する専門部門「知的財産権法廷」の運営を始める。習指導部は最高裁の専門部門設置で保護強化をアピールする。

知財紛争を巡っては、主要16都市の地裁に知財を専門に扱う部門「知的財産権法廷」があり、北京、上海、広州に知財専門裁判所がある。国際的に影響が大きい複雑な案件が増えていることなどから、最高裁の新設部門は上訴された案件の審理を手掛ける。

ーーー

上記のOTMPの報告書では、中国が知的財産を盗み、米国の経済と国家安全保障を脅かす産業政策を追求しているとして厳しく批判している。

中国の目覚ましい経済成長は「世界的な規範・規則を逸脱する攻撃的な行動や政策、慣行を通じて成し遂げられた部分が大きい」とする。

さらに「中国経済の規模と、市場をゆがめる政策の程度を踏まえると、中国の経済的攻撃は今や、米経済だけでなく世界経済全体を脅かしている」と指摘する。

「企業の部内者や企業秘密および極秘の企業情報への信頼されたアクセスを持つ者による経済スパイを通じた物理的な窃盗が、米国の技術や知的財産を手に入れる重要な手段を中国にもたらした」と非難している。

内容は次の通り。

 中国の狙い

国内市場保護:Protect China’s Home Market From Importsand Competition
世界シェアの拡大:Expand China’s Share of Global Markets
重要天然資源の囲い込み・支配:Secure and Control Core Natural Resources Globally
製造業の支配:Dominate Traditional Manufacturing Industries
キイとなる技術・知財の取得:Acquire Key Technologies and Intellectual Property From Other Countries, Including the United States
先端産業育成:Capture the Emerging High-Technology Industries that will drive Future Economic Growth and Many Advancements in the Defense Industry

 中国の技術・知財取得のやり方  (それぞれについて詳述している。)

1. 窃盗:Physical Theft and Cyber-Enabled Theft of Technologies and IP
  Physical Theft of Technologies and IP Through Economic Espionage
Cyber-Enabled Espionage and Theft
Evasion of U.S. Export Control Laws
Counterfeiting and Piracy
Reverse Engineering
2. 強制・規制:Coercive and Intrusive Regulatory Gambits
  Foreign Ownership Restrictions
Adverse Administrative Approvals and Licensing Requirements
Discriminatory Patent and Other IP Rights Restrictions
Security Reviews Force Technology and IP Transfers
Secure and Controllable Technology Standards
Data Localization Mandates
Burdensome and Intrusive Testing
Discriminatory Catalogues and Lists
Government Procurement Restrictions
Indigenous Technology Standards That Deviate From International Norms
Forced Research and Development
Antimonopoly Law Extortion
Expert Review Panels Force Disclosure of Proprietary Information
Chinese Communist Party Co-opts Corporate Governance
Placement of Chinese Employees with Foreign Joint Ventures
3. 経済的強制:Economic Coercion
  Export Restraints Restrict Access to Raw Materials
Monopsony Purchasing Power
4. 情報収集:Information Harvesting
  Open Source Collection of Science and Technology Information
Chinese Nationals in U.S. as Non-Traditional Information Collectors
Recruitment of Science, Technology, Business, and Finance Talent
5. 国営企業による技術獲得のための投資:State-Sponsored, Technology-Seeking Investment
  Chinese State Actors Involved in Technology-Seeking FDI
Chinese Investment Vehicles Used to Acquire and Transfer U.S. Technologies and IP
   ・Mergers and Acquisitions
  ・Greenfield Investments
  ・Seed and Venture Funding

発表に際し、日経の記事の図表の元(
中国が関与している50の慣行)が示された。

 


2018/12/24 Novatek のArctic LNG 計画に三井物産が参加か 

三井物産がロシアのガス大手 Novatek との間で北極圏のArctic LNG 計画への出資を協議していることが分かった。日本経済新聞が12月22日に報じた。ロイターも同日、三井物産、ロシア政府出資のファンドのRussian Direct Investment Fund (RDIF)及びサウジのSaudi Aramcoが出資交渉をしていると報じた。

Arctic LNGは、Yamal LNG計画のあるヤマル半島の東隣のギダン半島のSalmanov(Utrennye) ガス田等を供給源とするもの。

Novatekにとって、Yamal LNGに次ぐ第二のLNG計画で、投資額を200〜210億ドルとみている。
能力は660万トン×3 系列の1,980万トン/年で、第1系列が2022-2023年、第2系列が2024年、第3系列が2025年の稼働を目指している。

現在は、Novatek が90%、フランスのTotal が10%を出資するが、Novatekはこのうち60%分を維持し、30%を他社に譲渡する考え。場合によっては、30%以上を譲渡することもあり得るが、事業のコントロールのため50%以下はあり得ないとしている。(Yamal LNG は51%)

TotalとNovatekは2009年からTermokarstovoyeガス田(地図のI)を共同で開発、2015年5月に生産を開始した。
この関係もあり、Yamal LNG とArctic LNGに出資している。

購入希望は多く、既に中国のCNPCや日本(三井物産か?)や韓国の企業と交渉したとされる。

本年10月にサウジのエネルギー相がSaudi Aramco の出資の可能性に言及した。

エネルギー相は2017年12月にYamal LNG の第一船積み込み式典に主賓として招かれており、2018年2月にはNovatek とAramcoの間で天然ガス計画に関する国際的協力(LNG供給、LNG市場開発、ガス探査・製造計画、R&D を含む)についての覚書を締結している。

Russian Direct Investment Fund (RDIF)は資金100億ドルのロシア政府出資のファンドで、世界の有力ファンドとともにロシアの有望企業に直接出資をしている。


ーーー

Yamal LNG はYamal半島のSouth (Yuzhno) Tambey ガス田を開発し、液化してLNGにする。

2017年12月5日、LNGの生産を開始した。

液化設備は550万トンx 3系列の合計年間1650万トン。LNG基地を含む投資額は270億ドルとされる。

日揮がフランスのTechnipと共同で、このLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等を受注している。

2013/4/8  日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注

LNGの売却先は、Total、CNPCとスペインのGas Natural Fenosa。

Novatekは2015年9月3日、プーチン大統領と習近平主席の見守るなか、中国のシルクロード基金(絲路基金にYamal LNG 計画の持分 9.9% を譲渡する基本契約書を締結した。

これにより、Yamal LNG計画の出資比率は下記のようになった。

  従来 2015/9  
Novatek 60% 50.1%  
Total 20% 20.0% 2011/3/2 調印 ロシアの天然ガス開発ーBP撤退、Total進出
CNPC 20% 20.0% 2013/9 参加合意、2014/1/14 株式買収完了
絲路基金 - 9.9% 2015/9/14 中国のシルクロード基金がヤマルLNG計画に出資   

同地に多機能海港のSabetta港が建設され、LNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

韓国の大宇造船は2014年7月8日、 大宇造船海洋カナダ、中国、日本の海運会社と、Yamal ProjectのLNGを輸送するための17万立方メートル級ARC7 砕氷LNG船9隻に対する受注契約を締結したと発表した。

最大氷厚2.1mの氷海において単独砕氷航行可能な仕様となっており、ヤマル半島サベッタ港のYamal LNG基地から、通年にわたり世界各地への輸送に従事するが、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航される。

2014/7/15   大宇造船、砕氷LNG運搬船9隻を28億ドルで受注


2018/12/24 トランプ政権の難民申請禁止令、最高裁も差し止め支持 

米最高裁は12月21日、国境を不法に越えた中南米などの人々による難民申請を制限する大統領令について、その効力を停止した司法判断に対するトランプ大統領の差し止め請求を却下した。
当面は不法に入国した人々も、これまで通り難民申請ができることになる。

 

トランプ大統領が、大統領の決定を裁判所が差し止めたのを批判したのに対して、最高裁長官が異例の抗議を行い、それに対して大統領が更に反論するという異例の事態となった。

トランプ大統領は11月9日、「キャラバン」と呼ばれる移民集団を念頭に、難民申請の手続きに関する規則を変更し、メキシコ国境では入国前に検問所だけで受け付け、検問所を通らず国境を越えた不法移民の難民申請は受け付けないとする大統領令に署名した。合法的な難民申請に対する審査も厳格化する見通し。

大統領は、不法入国者が米国内で捕まった後、本国で迫害を受ける恐れがあると訴えて難民申請をした後、行方が分からなくなるケースが増えていると指摘。「外国籍の人がいったん米国に入国すると、退去させるのは難しい。巨大な移民集団を今すぐ取り除くことに失敗すれば、さらなる不法移民集団が我が国に押し寄せる」と強調した。

これに対し、アメリカ自由人権協会(ACLU)は同日、「いかなる所でも難民申請はできる」と反発し、大統領令を無効にするよう裁判所に提訴した。

カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁は11月19日、この大統領令について、移民法に違反するとして一時的に差し止める仮処分命令を出した。仮処分命令は次回審理が予定されている12月19日までのもので、即時、全米で有効とした。延長の可能性もある。

判事は、1965年に改正された移民国籍法では、米国に到着した外国人は誰でも、正規の入国地点からであるか否かにかかわらず難民申請が可能としていると指摘、今回の規則は、移民国籍法および連邦議会が表明した意図と相いれない矛盾があると述べた。

これに対し、サンダース大統領報道官は11月20日、「移民制度を管理する行政府の権限への干渉だ」と非難する声明を出した。その上で、政府方針を堅持するため「必要なあらゆる行動を取る」と争う姿勢を示した。

トランプ大統領は22日、地裁判事を“Obama Judge”と呼び批判した。

「重大な苦情(“a major complaint”)を申し立てる。これはオバマ判事だ。こんなことは再び起こさせない。最高裁で勝つ」と述べた。「我々はいつも第9巡回裁判所では勝つことができないし、これは不名誉だと思う」とも述べた。

2018/11/27 米最高裁長官がトランプ大統領に異例の抗議   "Obama Judge"  

 

サンフランシスコ連邦地裁の11月19日の判決に対し、政府は控訴した。しかし、サンフランシスコの連邦高裁は12月7日、これを退けた。

トランプ政権は12月11日、連邦最高裁判所に緊急上訴した。

連邦地裁は12月19日、当初の同日までの仮処分を延長した。)


米連邦最高裁は12月21日、米国への難民申請の権利を制限するトランプ政権の大統領令を一時差し止めた地裁命令について、支持する判断を下した。

現在、最高裁判事9人は保守派5人、リベラル派4人の構成だが、今回、保守派のロバーツ長官 が差し止め支持に回り、賛成5人、反対4人で差し止め支持となった。

当面は不法に入国した人々も、これまで通り難民申請ができることになる。

現在の最高裁の構成は次の通り。

  性別 年齢 人種背景 指名した大統領 就任日 判断傾向
 Clarence Thomas 男性 70歳 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
 Ruth Bader Ginsburg  女性 85歳 ユダヤ系 Bill Clinton 1993年8月10日 リベラル
 Stephen Breyer 男性 80歳 ユダヤ系 1994年8月3日 リベラル
 John Roberts  長官 男性 63歳 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
 Samuel Alito 男性 68歳 イタリア系 2006年1月31日 保守
 Sonia Sotomayor 女性 64歳 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
 Elena Kagan 女性 58歳 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
 Neil Gorsuch  男性 51歳 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
 Brett Kavanaugh 男性 53歳 白人系 2018年10月6日 保守

2016年に Scalia 判事が死去するまでは、リベラル派が4人、保守派が4人で、保守系中道のKennedy判事が「スイングボート」として、判決を左右してきた。

  保守派 Kennedy
保守系中道
(swing)
リベラル派
以前 4 ←  1  → 4
2016 Scalia 判事死去 3 ←  1  → 4
2017 Gorsuch 就任 4 ←  1  → 4
2018 Kennedy 引退、Kavanaugh指名 5 4

トランプ大統領は10月のKavanaugh判事の就任で保守派を5人とし、最高裁で思い通りの判決を獲得できるとみていたが、Roberts 長官が差し止め支持に回り、思惑が外れた。

 

なお、リベラル派のGinsburg  判事は高齢で、体調が悪く、職務を続けられない事態となる可能性がある。その場合、トランプ大統領が保守派判事を指名するのは必至。

11月7日に最高裁の執務室で転倒して肋骨が3本折れ、首都ワシントン市内の病院に入院した。9日に退院した。

12月21日(上記の判決後)、ニューヨーク市内の病院で左肺からがん性の小結節 2つを取り除く手術を受けたと発表した。術後の経過は良好で、数日間安静に過ごした後に退院する見通し。今後、追加治療を行う計画もない 。

付記 12月25日に退院し、自宅療養。


2018/12/25 BPとアゼルバイジャン国営石油会社、トルコでPTA製造のJV

BPとアゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR:State Oil Company of Azerbaijan Republic) は12月20日、トルコでワールドスケールの石油化学コンプレックスを建設・運営するJVの設立を検討するための覚書 (HoA) を締結したと発表した。

トルコ西部のAliagaに建設するもので、年産34万トンのベンゼン、84万トンのパラキシレン、125万トンのTPAを生産する計画で、2013年のスタートを目指す。

立地は、SOCARのトルコ子会社が51%を所有するPetkim Petrochemicls の敷地内で、原料はPetkim Petrochemicls と同社が建設中の STAR Refinery  から供給を受ける。

既存の石化コンプレックスと新設の製油所、インフラと統合することで、建設費が大幅に節減できると期待している。

BPの最新技術を使用する。

Petkim Petrochemicls Complex )

トルコの石油化学進出は1962年に決められ、1965年にPETKIM Petrokimya Holding が設立された。
1972年から76年にかけて
Yarimca Complex でSM、PS、SBR、LDPE等がスタート、次いで Aliaga Complexでエチレンからのコンプレックスが1985年以降スタートした。
(その後、Yarimcaは老朽化で閉鎖された)

トルコ政府は2007年7月、国営石化会社Petkem民営化のため株式の51%の入札を実施した。

10月に入り、首相を含む Higher Privatization Council は2,040百万ドルで2位で入札したSocar-Turcas-Injaz joint investment group を売却先に決めた。

2007/11/6 トルコの国営石化会社 Petkim 売却で逆転劇

売却先に決まった Socar-Turcas-Injaz joint investment group はアゼルバイジャンの石油会社Socar、カザフスタンのKazmunaigaz 、トルコの石油会社Turcas Petroleum とサウジの Injaz Projects のコンソーシアムであったが、最終的に51%を取得したのはSOCAR & Turcas Consortiumであった。

Groupはこの時点で新しい製油所 STAR Refinery の建設を決め、Petkimの立地の一部を割り当てた。2010年に建設のライセンスを取得した。

2011年にTurcas Petroleumが撤退、Socarが51%株主となった。現在、同社はIstanbul 株式市場に上場され、残り49%は一般株主が所有する。

 

STAR Refinery)

現在、建設中で、原油処理能力は10百万トン。建設費60億ドルで、間もなく完成する。

 

Petkim Petrochemicls Complex の製品と能力は下記の通り。(千トン)

 


2018/12/26   中国、来年1月から一部品目で関税 引き下げ

中国財政部は12月24日、2019年の輸出入の関税調整計画を発表した。

財政部関税局は今回の関税調整計画による輸入関税引き下げについて、習近平国家主席が11月に上海市で開かれた「中国国際輸入博覧会」の開幕式の演説で示した対外開放拡大の方針に沿ったものだと説明した。
習主席は演説の中で、関税引き下げなどを通じて今後15年間で中国のモノの輸入は30兆米ドル以上になるとの見通しを語っていた。

1)  2019年1月1日より、自動車生産ライン向け産業ロボットなど706品目で現行の最恵国税率よりも低い暫定税率が適用される。

税率引き下げ は菜種かすや医薬品原料、石油製品、毛皮、航空機エンジン、ウランなど多岐にわたる。

中国は7月に米国産大豆に25%の追加関税を発動し、輸入が実質的に停止した。(12月に一部再開したが、関税は変わらず。)この結果、家畜の飼料に使われる大豆かすも影響を受け、価格が上がっている。このため、家畜飼料用のヒマワリや菜種を含むミール(かす)の輸入関税を廃止する。代替品の輸入を増やし、農家の負担を軽減するのが狙いとみられる。

一部医薬品の原材料に対する輸入関税も撤廃される。

粉ミルクの関税を12%からゼロにするほか、ウイスキーは10%から5%に、ディーゼル油は6%から1%に引き下げる。国内航空機産業の発展を促すため、航空機エンジンの関税率は1%と、低い水準に維持するとした。 自動車の組み立てラインで使われる溶接ロボットは5%に下げる。

附1  进口商品暂定税率表.pdf  (#がついているものは、7月からも引き下げ)

2019年7月からは電子・IT製品に対する通算4回目の減税も実施する。医療診断装置やスピーカー、プリンターなど幅広く、298品目が対象となる。

附2  部分信息技术产品最惠国税率表.pdf

2) 関税割当

小麦、羊毛等の8品目については、引き続き関税割り当てを続ける。税率は変えない。

附3 关税配额商品税目税率表.pdf
 

3) FTA締結国からの輸入

FTAとAsia-Pacific Trade Agreement 締結国からの輸入関税も引き下げられる。

New Zealand、Peru、Costa Rica、Switzerland、Iceland、South Korea、Australia、Georgia 及びAsia-Pacific Trade Agreement 締結国

香港、マカオ両特別行政区政府と結ぶ経済・貿易関係緊密化協定(CEPA)の枠組みによるゼロ関税品目も拡大する。

附5  进一步降税的进口商品协定税率表(另附).pdf

 

4) 輸出税

輸出関税も94品目を対象に1月1日から撤廃する。品目は化学肥料、燐灰石、鉄鉱砂、スラグ、コールタール、木材パルプなど。

附4  出口商品税率表.pdf

 

 


2018/12/27 BP、モーリタニア・セネガル沖のLNG開発 

BPは12月21日、モーリタニア・セネガル沖の Greater Tortue Ahmeyim LNG開発計画の第一期の最終投資計画(FID) についてパートナーと合意に達したと発表した。

モーリタニアとセネガル両政府、Kosmos Energy、セネガル国営石油会社 Petrosen、モーリタニア国営炭化水素公社 SMHPM とBPが合意した。

 

両国の沖合のMSGBC海底盆地では、2014年以降、中小探鉱会社による探鉱が進み、北セネガル沖で原油が、北セネガル・モーリタニア沖で天然ガスが発見された。メジャーも関心を示し、2016年にBP、2017年にTotalが参入した。

両国の海洋国境線にまたがる海域では、米国のKosmos Energyが探鉱を行ってきたが、2015年にガス層が発見された。

JOGMEC モーリタニア・セネガル沖開発へ メジャーズ参入

 

Greater Tortue Ahmeyim 計画では、ultra-deepwater subsea system でガスを採集、FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備) で重質分を取り除き、国境の海岸近くの浮体式LNG生産施設に移される。

浮体式LNG生産施設の能力は年間約250万トン。LNGは世界中に輸出されるとともに、両国の国内用としても使用される。

今後、手続きを進め、2019年第1四半期には計画を実施、2022年に生産を開始する予定。Phase 1のガスは BP Gas Marketing が独占購入者に選ばれた。

 



2018/12/28 国際石油帝石、豪州プレリュードFLNGプロジェクトの生産開始 

 

国際石油開発帝石は12月26日、豪州の沖合WA-44-L鉱区のPrelude FLNG Project が生産井からのガス生産を開始したと発表した。

西豪州ブルーム市の北北東約475キロメートルの沖合に位置するPrelude ガス田及びConcerto ガス田を開発し、洋上液化施設(FLNG船)にてガスを分離・液化する、同社にとっては初のFLNGプロジェクト。
井戸から生産されたガスは、FLNG船にて液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、コンデンセートに分離・液化処理された後、順次FLNG船から直接タンカーに船積みして出荷される。

 

国際石油開発帝石(Inpex)は2012年3月、Shell が西豪州沖合WA-44-L鉱区にて開発中のPrelude FLNGプロジェクトの17.5%の権益を取得することで合意したと発表した。

権益比率

Shell (Operator) 67.5%
国際石油開発帝石 17.5%
KOGAS (韓国) 10.0%
OPIC (台湾)
CPC子会社
5.0%
生産能力
LNG 360万トン/年
LPG 40万トン/年
コンデンセート 130万トン/年

国際石油帝石 LNG販売先

JERA
(東京電力/中部電力JV)
56万トン
静岡ガス 7万トン
合計(持分17.5%) 63万トン

  2012/3/23 国際石油開発帝石、豪プレリュードFLNGプロジェクトの権益取得 

ーーー

国際石油帝石は、WA-44-L鉱区に隣接するIchthys LNGプロジェクトに62.245%出資し、オペレーターとなっている。

同社は10月31日、オペレーターとして操業を行なっている イクシスIchthysLNGプロジェクトより初めて出荷されたLNGを輸送するLNG船が、同日朝、同社の「直江津LNG基地」に入港したと発表した。

2018/11/3  イクシスLNGプロジェクトからのLNG第一船入港 

同社はまた、両プロジェクトの北東のインドネシアで、大型海底ガス田Abadi LNG を開発している。

同社はインドネシア政府の公開入札により、マセラ鉱区の100%権益を取得し、2000年に掘削した試掘第1号井によりバディガス田を発見した。

2010年12月に第一次として LNG年産250万トンをFLNG方式で開発する開発計画がインドネシア政府より承認された。

2013年6月にINPEXが65%(オペレーター)、Shell 35% の体制となった。

その後、インドネシア政府は2016年3月23日、LNG設備を陸上に建設すべきだとする政府方針を決定した。

このため、2018年3月より、年産950万トン規模を想定する陸上LNGの概念設計作業(Pre-FEED)を実施している。

2016/3/29  国際石油開発帝石、インドネシア政府方針でLNG計画を大幅変更へ

 

国際石油開発帝石では、イクシスLNGプロジェクト、アバディLNGプロジェクトをはじめ、国内外で需要が高まるクリーンエネルギーとしての天然ガス(LNGを含む)事業に多数参画しており、「ビジョン2040」で掲げた事業目標の一つである、アジア・オセアニアを中心とした地域でガス開発・供給の主要プレイヤーになることを目指しているとしている。

 


2018/12/29   ExxonMobil、カナダLNG計画を中止

ExxonMobilはこのたび、カナダの子会社の Imperial Oil Resourcesと共同で進めてきたBritish Columbia州でのWCC LNG計画について正式に環境アセスメントから撤退し、事業の中止を決めた。
慎重に検討した結果としているだけで、理由を明らかにしていない。

2015年の計画発表後、 これまでに手続きを何度も延期し、2017年11月には計画を遅らせると発表し、Prince Rupert 事務所を閉じていた。

Imperialは2017年第4四半期決算で、Exxonとの50/50JVの Horn River シェールガス開発計画中止で289百万ドルの減損処理を行っていた。 中止理由として、投資の相対的な競争力の評価を含む多くの要素の結果としている。これに伴うLNG計画中止と見られる。

WCC LNG 計画は、ExxonMobilと同社が69.6%出資するカナダ第二の石油会社 Imperial Oil Resourcesが進めてきた計画で、カナダのBritish Columbia 州 Prince Rupert 市のTuck Inlet に250億ドルを投じてLNG輸出基地を建設するもの。

天然ガスの既存パイプラインからの接続パイプラインと、液化設備、貯蔵設備、船積み設備を建設するもので、LNGの 能力は年間1500万トンで、最終3000万トンに拡張する計画であった。

 

             完成予想図

10月2日に、三菱商事、Shell、PETRONAS、PetroChina、韓国ガス公社 KOGASが共同で近くのKitimatでのカナダで最初のLNGプロジェクトに関する最終投資決定を行ったと発表した 直後である。

2018/10/5   三菱商事、LNGカナダプロジェクトに最終投資決定

一時はカナダ西海岸に20件ものLNG計画があったが、実現は1件だけとなり、業界にショックを与えている。



2018/12/30 千葉の石炭火力計画中止

中国電力とJFEスチールが共同出資した「千葉パワー」は12月27日、千葉市のJFEスチール東日本製鉄所構内で計画していた石炭火力発電所「蘇我火力発電所」の建設を中止すると発表した。

両社は2016年11月、特別目的会社を設立のうえ共同で石炭火力発電所開発に関する検討に着手することに合意したと発表した。

計画内容は次の通りで、関東地域における中長期的な電力の安定供給確保に貢献するとともに、地域経済の活性化にも寄与するとした。

建設予定地   千葉市 JFEスチール東日本製鉄所構内
発電方式   超々臨界圧(USC)発電方式
出力   約107万kW
主燃料   石炭
運転開始   2024年(予定)

2017年4月3日、中国電力 73%、JFEスチール 27% 出資で千葉パワーが設立された。

発電所は2020年着工、2024年運転開始を目指して2016年から環境影響評価の手続きに着手し、詳細設計を進めていたが、今回、本計画は十分な事業性が見込めないと判断したことから検討を中止することとしたとしている。

今後は建設費が比較的安く、石炭火力に比べてCO2排出量が少ないLNGを燃料とする火力発電所の建設を検討する。

本建設計画については付近住民らでつくる「蘇我石炭火力発電所計画を考える会」が反対運動を展開している。

2017年3月には環境省が、「パリ協定」での 2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比26%削減するという目標を達成できない恐れがあるとして、自主的な計画撤回を求める意見書を提出していた。

ーーー

環境省は2015年に、多くの石炭火力計画に対し、「現段階では是認できない」とする環境影響評価(アセスメント)の意見を経済産業省に提出した。

2015/11/18 環境省、千葉と秋田の石炭火力計画も是認せず

その後、環境省は経産省との合意をもとに、2016年2月に石炭火力の新設を容認した。

2016/2/11 環境省、石炭火力発電所の建設を容認 

環境省は2017年3月10日、「(仮称)蘇我火力発電所建設計画に係る計画段階環境配慮書」に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。事業実施の再検討も選択肢とするよう求めている。
山本環境相は上記の合意を維持するとしつつ、「事業リスクが極めて高いことを自覚してほしい」と述べ、自主的な計画撤回に期待感をにじませた。
 

内容は次の通り。

パリ協定の目標達成のため「石炭火力の稼働を是認できなくなるおそれもある」

本事業者においては、石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて自覚し、2030 年及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2 排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、事業の実施についてあらゆる選択肢を勘案して検討することが重要である。

経産省に対しては、省エネ法に基づくベンチマーク指標の2030 年度目標の確実な遵守及び道筋の検討、共同実施の評価の明確化、自主的枠組みの実効性・透明性の向上及び参加事業者の拡大、省エネ法及び高度化法の指導・助言、勧告・命令を含めた適切な運用、引き続き、CCS 導入に向けた一層の取組を進めること。

「パリ協定」で、日本は2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比26%削減する目標を掲げるが、石炭火力の新増設計画が2017年2月現在で約1940万キロワット分に上り、達成できないおそれがある。

2017/3/16    環境省、千葉の石炭火力発電所計画の再検討求める 

 

 

 


2018/12/31     米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く

米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。 国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では12月22日午前0時1分に予算が失効した。

上院共和党は、下院が議決した「国境の壁」費用として57億ドルを盛り込んだ2019年2月8日までのつなぎ予算を通そうとしたが、民主党は壁の予算は一切認めないとしている。
 

2018/12/21 米政府機関 一部閉鎖の恐れ 


上下両院は12月27日、政府閉鎖を終わらせることなく数分で閉会した。多くの議員がワシントンに戻らず、この日の審議を欠席した。 米議会は12月31日に再開されるが採決の予定はなく、来年1月1日は休会となる。閉鎖解除が年明けにずれ込むのは確実な情勢である。

ホワイトハウスは声明で「民主党は米国民でなく不法移民を守るために、政府閉鎖の継続を選んだ」と糾弾、それに対し民主党の上院議員はツイッターで、「無駄遣いで効果のない50億ドルの壁建設という言語道断の要求のため、トランプ氏は政府を人質に取っている」と応酬し、大統領と民主党が責任を押し付け合う構図となっている。

トランプ大統領は12月24日、ツイッターで ぼやいた。

I am all alone (poor me) in the White House waiting for the Democrats to come back and make a deal on desperately needed Border Security.
At some point the Democrats not wanting to make a deal will cost our Country more money than the Border Wall we are all talking about. Crazy!

12月29日には、「野党は大統領いじめに忙しい」と述べた。

I am in the White House waiting for the Democrats to come on over and make a deal on Border Security.
From what I hear, they are spending so much time on Presidential Harassment that they have little time left for things like stopping crime and our military!

付記

トランプ大統領は1月1日のツイッターで、3日からの新議会で下院議長に就く予定の民主党のNancy Pelosi 院内総務に対し、「壁建設費や政府閉鎖の問題で下院議長の任期を始めたくないだろう! 取引をしようか?」と述べた。

Border Security and the Wall “thing” and Shutdown is not where Nancy Pelosi wanted to start her tenure as Speaker!  Let’s make a deal?


 

現議会は1月2日正午までとなり、11月の中間選挙で選出された新議員が同日宣誓して就任する。

上院は共和党勝利だが、60票には満たない。下院は野党民主党が過半数を獲得。

    共和 民主 欠員 未確定
上院

任期6年
1/3ずつ改選

体制 51 47+2#       100
新体制 53 45+2#       100
 
下院

任期2年
過半数は218

体制 235 193 7   435
新体制 199 235   1 435

上院民主党の # 印は民主党系無所属(Vermont州のBernard Sanders とMaine 州のAngus King 議員)
下院ノースカロライナ州第9選挙区は共和党勝利となっていたが、不正投票の疑いがあり、未確定、再投票の可能性も。 

ーーー

2019会計年度(2018年10月〜2019年9月)の米連邦予算は異例のものとなっている。

トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、民主党はこれに反対しており、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

トランプ大統領は7月29日のツイッターで、「民主党が壁を含むBorder Securityに賛成しなければ、政府を閉鎖する」と述べた。

 
米議会の共和、民主両党は、政府機関閉鎖の回避を目指し、面白い案を考えた。

トランプ大統領も賛成する部分(国防省、労働省、教育省、保健福祉省などの予算)については正式予算を作成する。

壁の建設を担当する国土安全保障省や、国務省や商務省、司法省、科学関連省庁の予算については、11月6日の中間選挙の結果を待つこととし、正式予算ではなく、12月7日までのつなぎ予算とし、現行の予算水準を維持する。

2018/10/2 米国、10月からの政府閉鎖回避

 

1980年以降の政府機関の閉鎖は次の通り。

2013/10/1   米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2018/1/20   米政府機関、閉鎖 
  
2018/1/23 米国、政府機関閉鎖解除へ 
2018/2/10   米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除

付記 2019年1月12日、一部閉鎖は22日目に入り、これまでの最長(21日)を超えた。

ーーー

2018年中間選挙で下院の1議席(North Carolina 州 第9選挙区)が未定となっている。

投票結果は次の通りで、共和党候補が僅差で勝利した。

Mark Harris (共和党) 139,246
Dan McCreay (民主党) 138,341
905

しかし、共和党候補者の側に不正投票があることが明らかになり、調査が始まった。

次の点が報道されている。

  • 第9選挙区のうちの2つの地区で異常に多くの不在者投票の要求があった。多くが実際には投票がなかった。
  • 選挙民の数人が宣誓書で、身元不明の女性が自宅を訪問し、不在者投票表を回収したと述べた。代わりに出しておくからと言って回収した。不在者投票表はサインも封もしていない。
  • 来訪した女性がLisa Brittであったとする選挙民がいる。彼女は共和党候補の選挙事務所で不在者投票を担当するLeslie McCrae Dowless Jr.の養女である。
  • Britt ともう一人の Dowlessの親戚Jessica Dowlessは選挙期間中に事務所でDowless のために働いたと述べている。
  • 彼らに不在者投票表を渡した選挙民は実際に投票していない。

 しかし、次の点は不明である。

  • 投票がなかった不在者投票分が実際にどう処理されたのか?
  • Harris候補の陣営が Dowlessの行動を知っていたのか?
  • 異常な活動は2地区だけなのか、他の地区でも疑いがあるのか?


共和党のMark Harris候補は12月28日、選挙結果を認めるよう緊急要請書を提出したが、North Carolina 州の選挙管理委員会は、その直後、9区の結果を決めることなしに解散した。
12月1日付でHarris側に資料提出命令を出したが、ごく一部しか提出しなかったとしている。何度も提出すると言いながら、提出しなかったとする。

民主党は2019年1月3日にMark Harris候補が議員として宣誓するのに反対するとしている。

あとは、裁判所が選挙結果を認めるかどうかとなる。再選挙の可能性もある。

 


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