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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp


 

複数の慢性疾患に悩まされる高齢者などを対象に、日時が刻印されたパックに複数の医薬品をあらかじめ仕分けするサービスを提供する。

患者のもとには、ロール状になったパッケージが引き出せるようにデザインされた箱と、各薬品の説明書などが2週間ごとに届く。

吸入具やクリーム等も一緒に届けられる。

上の例では、水曜日朝8時に飲む袋には5種類の薬が詰められている。

同社は、医薬品の再購入時期の判断や患者の自己負担金の確定、保険の確認、予定通りの配送確認などといった薬局の日常的な業務の多くを自動化するソフトウエアも展開している。

 

同社については、2018年4月にWalmart が買収のための初期段階の協議を行っていると報じられた。

実現すれば、Walmartの薬局事業拡充につながる可能性がある。

Walmartにとって、高齢者は鍵となるターゲット層で、米国内で薬局約4700店を運営する同社は、ヘルスケア事業の拡充を長年目指している。

今回、Amazonが競り勝ったとみられる。

 

米政府によれば、2016年に消費者が処方薬に支出した額は3286億ドルで、 米国の処方薬市場は巨大である。

PillPackは全米50州全てで通販薬局のライセンスを所持しており、Amazonは急速に事業を拡大できることとなる。

 

日本では、2013年11月国会提出の改正薬事法で、医師の処方箋が必要な医療用医薬品のネット販売を認めず、対面販売でなければならないと明記した。
それまでも省令で禁じているが、市販薬の省令によるネット販売規制が最高裁で違法とされたため、法律で位置づけた。

2014年6月施行の改正薬事法(現 医薬品医療機器法)により、処方箋なしで購入できる市販薬(一般用医薬品)のネット販売が解禁されたが、国は医療用から市販薬に切り替わったばかりで、副作用の評価が定まっていない一部の薬については原則として3年間ネット販売を禁止した。

この規制が憲法違反だとして、ネット通販を手掛ける楽天の子会社が国に販売規制の取り消しを求めた訴訟の判決が2017年7月18日、東京地裁であり、裁判長は規制の合理性を認め楽天子会社の請求を退けた。

2017/7/22 医薬品のネット販売規制、違憲の訴え認めず 

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この会社は3社の従業員と家族向けにあらゆる医療とヘルスケアを提供していくという。

新企業設立の目的は社員の福利厚生の増進であり、利益追求の必要がないため長期的計画に基づいたサービスが提供できることが特長だという。社員のヘルスケアにおいて外部の営利企業によるサービスを利用する必要を一切なくするのが3社の最終的な目的だという。

将来、新しい事業に展開する可能性もある。



2018/7/2  GE、今後の事業構造を発表、GE Healthcareを分離 

GEは6月26日、今後の事業構造を発表した。

 

GEは2017年6月12日、GE Healthcareの社長John Flanneryが8月1日付でGEのCEOになり、2018年1月1日付で会長兼CEOになると発表した。
Jeff Immelt 会長兼CEOは2017年12月31日に会長を退任し、引退する。

2017/6/16 GEのJeff Immelt 会長、退任

Jeff Immelt 氏は2001年9月にJack Welch, Jr. の後を継いで会長兼CEOに就任した。在任16年 で、前任のWelch 路線を大転換させ、本来の中核事業である産業機器を中心とする製造業に回帰する戦略に突き進んだ。

2000年のGEの売上高は金融が50%を占めた。2016年の売り上げ構成は産業機器がほとんどを占める。
また、Industrial Internetを標榜し、IoTや3次元プリンターを駆使した新たな製造業の姿を模索した。

GEは2006年9月、シリコーン事業のGE Advanced Materials をApollo Management, L.P. に38億ドルで売却すると発表した。

    2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却 

2007年5月にはGE PlasticsをSABICに売却した。

    2007/5/22 速報 GE、GE PlasticsをSABICに116億ドルで売却

2015年6月、金融事業の大幅縮小を打ち出し、2017年末ごろまでに2500億ドルの資産を売却する方針を決めた。

2016年1月15日、厨房機器など家電製品部門を中国の海爾集団 ( Qingdao Haier Co., Ltd.) に54億ドルで売却する契約に調印したと発表した。

2016/1/20 GE、厨房機器など家電製品部門をハイアールに売却 

 

 

Flannery CEO は2017年11月、電力、航空、ヘルスケアの3事業を中核と位置づけ、その他の分野で200億ドルの事業売却を進めるリストラ策を発表していた。

だが、その後も過去に手掛けた金融事業で1兆円近い追加損失が発生するなど業績悪化に歯止めがかから.ず、戦略の抜本的な見直しを迫られた。

今回定めた新しい方針は次の通り。

   

売上高
(億ドル)

 
中心
事業
Aviation 273 71 Commercial Engines
126 Commercial Services
40 Military
13 Business & General Aviaton  
Industrial Solution
20 Avionics, Avio, Additive
(航空機の電子機器)
Power 359 92 Gas Power
132 Power Services
54 Grid
24 Steam
27 Nuclear, Power conversion
55 Disposition ( Water, IS, DP)
  分散電源向け発電機器事業売却 (*1)
Renewable 102 77 Onshore Wind
3 Offshore Wind
3 LM Wind Power
 (GEが買収したデンマークの風力発電会社)
9 Hydro
処分
事業
Transportation
(機関車)
40 WABTECと合併 (*2)
HealthCare 190 分離 (*3)
Baker Hughes
(石油・ガス)
220 売却 (*4)
 

GE Capital については、引き続き縮小し、コア事業を支える方向に進める。

 

処分事業:

*1    GEは2018年6月25日、分散電源向け発電機器(Distributed Power )事業を投資会社 Advent International に32億5000万ドルで売却することで合意した。

は分散型電源対応用のJenbacher 及びWaukesha ガスエンジンに加え、オーストリアと米国、カナダの製造拠点を取得する。

*2 GEは2018年5月21日、Transportation(機関車)部門を米鉄道機器メーカーのWABTECと合併することで合意した。(WABTECの売上高は約40億ドル)

GEは29億ドルの現金を受け取るほか、GEと同社株主は合併後の統合会社の50.1%を保有する。WABTEC株主は残りを保有。今回の統合は非課税で、来年初めに完了する見通し。

*3  GEは2018年6月26日、ヘルスケア事業を分離すると発表した。

子会社GE HealthCareの株式の20%を売却、80%をGEの既存株主に割り当てる。

この分社化で誕生する新会社が180億ドルの負債をGE本体から引き継ぐという.

売却や割り当ての条件は今後詰める。一連の手続きが完了するまでには12〜18ヵ月かかる見込み。
 

*4   GEは2〜3年以内にBaker Hughesの持分を売却する。

GE は2016年10月31日、GEの石油・ガス事業と油田サービス会社のBaker Hughes を統合することで合意した。

GE はPartnership の権益の 62.5%を、Baker Hughesの既存株主は権益の37.5% を受け取る。
Baker Hughesの既存株主は更に、GEがPartnership に拠出する74億ドルを使って、1株当たり17.50ドルの特別配当を受け取る。

2016/11/8 GE、Baker Hughes と石油・ガス事業統合

 

GEはこれらの事業売却などで2020年までに250億ドルの有利子負債を圧縮する計画。

Flannery CEOは、これまで以上に、事業分野を絞り込んでいく方針を明確にし、「GEはこれから航空、電力、再生可能エネルギーの企業として進んでいく」とコメントした。



2018/7/2      EU首脳会議、移民問題で不十分な合意、ドイツ内相が辞任示唆
 

欧州連合は6月28〜29日に開いた首脳会議で、徹夜の激しい議論の末に移民・難民問題をめぐって一応の合意に達した。

欧州理事会のDonald Tusk常任議長(EU大統領)が「EU加盟28か国の首脳は、欧州理事会で移民問題を含む結論に同意した」と明らかにした。

発表文 http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2018/06/29/20180628-euco-conclusions-final/

移民問題については、各国の立場の違いを映し、具体策の先送りが目立つ内容である。域外に置く難民申請手続きのための「入国プラットフォーム」 も場所は未定、EU加盟国内に設定する共通の収容施設の場所も未定、認められた難民の受入場所の決め方も先送りした。

共同声明では「再配置や再定住など、これらのセンターの文脈における全ての措置は任意となる」としており、実現に疑問が持たれる。

Tusk常任議長(EU大統領)も、「難民問題については成功というには余りにも早すぎる。合意しようと努力したが、決まったのは最も簡単な部分であり、多くの問題が待っている」と述べた。

しかし、ドイツの主張を容れ、「難民らの加盟国間移動抑制のため、必要なあらゆる法的・行政的手段を行使する」と明記された。

 

Merkel首相は会議後、「難民の移動について秩序と対策が必要なことが確認された」と述べ、キリスト教社会同盟(CSU)の要望に一定の回答が出たとの見方を示した。

現在の第4次Merkel政権は、CDU・CSUと第2党のドイツ社会民主党(SPD)の大連立政権であるが、キリスト教社会同盟(CSU)の党首である Seehofer内相が、寛容な難民政策が「欧州を分断させた」と糾弾し、他のEU諸国で難民登録済みの場合はドイツへの入国を許さず、元登録国に送還する措置の即時導入を要求している。

   2018/6/26 EUの危機:難民問題

首相は全体会議とは別に、ギリシャ、スペインの間で難民送還について合意したと発表した。両国で難民登録した難民がドイツに入国しようとした場合、両国に送還するというもの。

付記

ドイツは8月6日、スペイン経由でドイツに渡ってくるアフリカ系移民について、スペインに送還することでスペインと合意した。

8月11日以降、スペインに最初に入国したことが判明した移民について、ドイツは48時間以内にスペインへ送り返す。これまで両国の間には明確な取り決めがなく、経済が堅調なドイツを目指しアフリカや中東から渡ってくる移民が絶えなかった。

Merkel首相はフランスのほか、チェコ、ハンガリー、ポーランドといった中欧の国々を含む計14か国と同様の合意を結ぶと している。

しかし、移民・難民の受け入れに猛反対しているハンガリーとチェコは、そんな合意は存在しないと強く反発した。
また、移民が大量に流入するイタリアは合意相手に含まれていない。(イタリアが同意することは考えられない。)

Merkel首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と Seehofer 内相のキリスト教社会同盟(CSU)は、7月1日(日曜)にこれらの合意について話し合った。

内相は、首相が決めた案は不十分であると決めつけ、移民を送り返すしかないと述べた。

7月2日に首相と会談し、さらなる譲歩を求める。首相から納得のいく回答を得られなければ、内相と党首を辞任すると示唆した。

辞任の場合、連立離脱、政権崩壊の可能性が高まる。

付記  ドイツ、土壇場で政権崩壊を回避

Merkel 首相は7月2日夜、対立していた Seehofer 内相と会談し、新たな難民対策で合意した。Seehofer 内相は先に表明していた辞意を撤回、連立政権崩壊の危機はひとまず回避された。

会談にはMerkel 首相の国政第1党・キリスト教民主同盟(CDU)と、統一会派を組む Seehofer氏の南部州地域政党・キリスト教社会同盟(CSU)の幹部が参加 した。

Merkel 首相はSeehofer 内相が主張する国境での入国拒否を認めなかったが、ドイツに向かう難民の「玄関口」にあたるオーストリアとの国境に管理施設 (transit centres)を設け、他のEU加盟国で難民申請登録した人々はその国へ送り返すことで合意した。送還は2カ国間協定を結んで行う。

Merkel 首相は会談後の記者会見で「EU内を移動する2次的移民を制御できる」と述べた。

最初に登録した国が送還を受け入れないために多数が残留しているが、これらについては経由地であるオーストリアに送り返すとしている。
しかし、オーストリアとは送還に関する合意はなく、これに反発している。

またCDU・CSUと連立を組む社民党(SPD) は7月2日、「閉鎖的な施設は拒否する」と明言しており、新たな政権不安につながる。

ドイツの民間難民支援団体はEU首脳会議で合意した難民管理施設を「絶望的な収容施設」と指摘、「政府首脳たちには、追われた人々への同情がない」と厳しく批判しており、今回の決定についても議論を呼ぶのは必至である。

 

一方で、Merkel首相が難民送還に動いたことで、これまで人道的な難民保護策を目指してきたMerkel首相の求心力低下も みられる。

 

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6月28日午後3時に始まった首脳会議は、 まずEUの通商政策や安全保障などの分野で合意文書をまとめた。その後の夕食会合で難民・移民問題の協議をする予定だった。

しかし、反移民を掲げるイタリアのポピュリスト政権を率いるGiuseppe Conte首相が、移民の受け入れに関する負担の分担を強く要求し、合意文書のサインに拒否権を発動するという異例の行動に出た。

欧州への難民流入数は年間100万人以上に及んだ2015年などに比べれば大きく減っているが、地中海を船で渡ってくる難民や移民はあとを絶たない。その玄関先になっているイタリアのConte首相は、負担をほかの加盟国が分け持つよう強く主張した。

2018/6/26 EUの危機:難民問題

Conte首相はEU本部ビルに到着した際、「言葉だけはもうたくさん。必要なのは行動だ」と述べ、イタリアが求める難民受け入れの分担に加盟国が応じなければ「合意なしで首脳会議を終わらせる」と妥協しない姿勢をアピールした。

このため、12時間にわたって協議が続けられた。

移民問題についての結論は次の通りだが、各国の立場の違いを映し、具体策の先送りが目立つ内容である。

今後、EUとして足並みをそろえた対応を打ち出して問題を解決できるか、結束が問われる。

地中海中央ルート(イタリア)に関しては、リビアその他からの違法流入を止める努力を強化。
東部ルート(ギリシャ)については、EUとトルコの協定を完全実施し、新たな流入を防ぐ。
西部ルート(スペイン)での最近の流入増に対し、スペインや流出・中継国(モロッコ等)の違法流入防止の努力を資金面その他で支持する。
   
難民申請手続きのための「入国プラットフォーム」を域外に設置する。そこでは国際法に基づき、個々人の事情を審査し、不法移民をより分けて出身国に送り返すことなどを狙っている。
  設置場所は北アフリカになる可能性が最も高いが決まっていない。
   
救助された難民はEU加盟国内に設定する共通の収容施設に移し、送還されるべき不法移民か、保護されるべき対象かを区分する。
認定された場合は、受け入れをEU各国で分担し、認められなければ直ちに祖国へ送還する。
共通の収容施設の設置やどこに移すか、どこに居住させるかは全てボランタリーベースで、ダブリン規定に縛られない。

共通の収容施設はフランスが主張したという。スペインやイタリアなどを想定しているが、設置は加盟国の判断に任せることで一致した。 スペインやギリシャが設置に前向きな意思を示したという。フランスが自国に収容施設は置かない方針を主張したため、イタリアが態度を硬化させ、最終的に施設の設置は強制しないことで折り合った。Conte首相は同国内にこのようなセンターをつくるかはまだ決めていないと語った。

認められた難民の受入についても、ハンガリーなど受け入れ自体を拒否する国もあり、EU内で受け入れをどう分担するかの議論は先送りした。

   
トルコのシリア難民施設に2回目の30億ユーロ(20億ユーロはEU予算から、10億ユーロは各国の拠出から)の支払いをするとともに、EUのアフリカ信託ファンドに5億ユーロを送金する。
   
EUの外部との国境の管理の強化と違法移民の効果的な送還が重要で、欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)を強化する。欧州委員会が欧州の送還政策を改善する案を提案する。
   
難民の加盟国間の移動が問題を生む恐れがあるため、抑制のため、各国はこれに対する必要なあらゆる法的・行政的手段を行使し、互いに協力しあう。
 

Conte首相は合意後、記者団に「イタリアはもはや孤独ではない。われわれは満足している」と語った。

イタリアにとって負担減になることは、具体的には何も決まっていない。Conte首相がこれで何故満足したのか、分からない。

Merkel首相は合意内容を歓迎し、「今日を終えて楽観的になった。やらなければならないことがたくさんあるが、われわれは今こそ、異なる見解さえ克服して、本当に取り組みを進めることができる」と述べた。

 


2018/7/3  AppleとSamsung、スマホ巡る知財紛争、7年経て和解 

スマートフォンの意匠にかかわる知的財産権侵害をめぐって法廷係争を続けてきたApple と韓国 Samsung電子が、6月27日付でカリフォルニア州サンノゼの地裁に 和解したことを通知した。

本年5月にサンノゼの連邦地裁陪審が、予想に反して、Samsungに5億3900万ドルの支払いを命じた。Samsungはこれに不服で、 控訴する可能性があった。

さらに、最近の情報では、Samsungは問題となっている主要事実が現実に存在しないことを証明できる書面を保持しているとして、略式判決か、再審を求めたとされる。また特許権侵害で支払った149百万ドルについても、問題特許は既に無効化されているとして払い戻しを要求しているとされ、これらの審問が7月26日に予定されているとされる。

そのなかで、突如、和解が明らかになった。和解金の金額など、条件の詳細は明らかにされていない。

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2011年4月にAppleが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害したとして提訴した。

裁判は延々と続いた。1次評決で陪審員団が1,050百万ドルの賠償金を算定したが、その後、裁判長による減額があり、2015年5月18日に特許訴訟を専門に扱う米連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) は、SamsungがAppleの複数の特許を侵害したと認定したが、賠償の一部は無効と判断した。これを除くと548百万ドルとなる。

これを受け、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われた。

しかし、Samsung は2015年12月14日、米最高裁判所に上告し、上記の548百万ドルのうち、特許3件に関する149百万ドルを除き、デザイン特許に対応する399百万ドルについて、意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか、またどのような賠償を請求できるのかについて指針を示すことを求めた。

裁判でSamsung側は、意匠権侵害での損害賠償は侵害に起因する利益に限定されるべきだとしたが、裁判所は、「特許法289条は特許意匠がつけられた製品(article of manufacture) から得られる総利益を意匠特許権者に与えることを明確に許可している」として、侵害スマホから得た総利益399百万ドルの支払いを命じた。

対象となるのは次のデザイン特許3件。

iPhone Front (D'677) iPhone Back (D'087) iPhone Home Screen (D'305)
2012/8/28 Apple、Samsungとの特許係争で勝訴
2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く

最高裁は2016年3月21日、Samsung が同社とAppleとの間で争われている知的財産侵害訴訟の判決を見直すよう求めて上訴した件について、Samsungの上訴を認める決定を下した。

2016/3/26 米最高裁、Samsung とApple のデザイン訴訟を審理


最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは、1800年代にスプーンの取っ手、カーペット、鞍、ラグなどに関するものが最後で、その後は扱っていない。

連邦最高裁が上訴を認める確率は1%にも満たない。Samsungに有利に進んでいると見られた。

Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で、2016年10月11日に連邦最高裁でヒアリングが行われた。

2016/10/21 Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で米最高裁のヒアリング

複数の最高裁判事が「SamsungがAppleに支払うデザイン特許に関する損害賠償金は、Samsungが侵害認定を受けたスマートフォンから得た総利益とすべきでない」という見解を明らかにした。

最高裁は2016年12月6日、連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) の判決を8:0で覆し、次の通り述べた。

特許法289条の Article of manufacture は製品全体及び構成部品の両方を意味する。
消費者に販売される最終製品のみを意味するという解釈は狭すぎる。
意匠特許保有者は侵害製品の総利益を常に回収する権利は持たない。
意匠特許侵害製品が複数の部品で構成される場合、損害賠償金が侵害微分に対応する額に限定される場合がある。

Apple側は、審理中に、侵害部分が製品全体ではないことの証明責任はSamsungにあるが、同社はこれを証明しなかったとした。

最高裁は本事件において、Appleの意匠特許を侵害する「article of manufacture」はスマートフォンまたはスマートフォンの構成部品のどちらかという問題については明言せず、連邦巡回区控訴裁判所に対し、「本事件で『article of manufacture』はスマートフォンの全体を意味するか、それとも、構成部品を意味するか」を 審理するよう命じた。

 

差し戻し審で、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁陪審は2018年5月24日、Appleへの損害賠償を5億3900万ドルと認定した。

最高裁が2016年に見直しを求めた賠償額は399百万ドルであった。最高裁が下級審に見直しを求めたことでSamsungが支払う賠償金は減額されると見られたが、今回の陪審評決が認定した賠償額は1億4000万ドル上積みされた。

専門家は、「陪審はアイフォーンのデザインの要素に関連する部分に大きな価値を置き、Appleがこれまでに獲得した金額を上回る賠償額を認定した」と分析した。

Samsungは評決の後の声明で、「今日の認定は、意匠権侵害の範囲に関して最高裁が全会一致で下したSamsungに有利な判断を無視した行動だ。企業や消費者全員にとって創造性や公正な競争を妨げない結果を獲得するためあらゆる選択肢を検討する」とコメントした。Samsungの弁護士は陪審評決は「証拠に裏付けられて」いないとし、控訴する可能性があると説明した。

Samsungは問題となっている主要事実が現実に存在しないことを証明できる書面を保持しているとして、略式判決か、再審を求めたとされる。また特許権侵害で支払った149百万ドルについても、問題特許は既に無効化されているとして払い戻しを要求しているとされ、これらの審問が7月26日に予定されているとされる。

このなかでの和解である。

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これとは別に、Appleが別の5つの特許侵害で、Samsungは自社の2つの特許侵害で、相互を訴えた裁判がある。

これについては、2014年5月2日付で地裁で実質的にApple側の勝訴となったが、2016年2月に米国連邦巡回控訴裁判所は、これを覆し、Samsungに対する119.6百万ドルの支払い命令を取り消している。

2016/3/1 Samsung、Apple との特許闘争に逆転勝訴

 


2018/7/4 韓国ロッテの辛東彬会長、日本のロッテHDの取締役に留任

ロッテHDは6月29日に東京の本社で開いた定時株主総会で、辛東彬(重光昭夫)・韓国ロッテグループ会長の取締役留任が決まった。

辛東彬会長の兄、辛東主(重光宏之)元ロッテHD副会長が、経営権奪還を模索し、辛東彬(重光昭夫)の取締役解任と自らの取締役選任の議案を提出したが、いずれも否決された。

辛東彬会長は今年2月、懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡され、現在収監されている。

ソウル中央地裁は2月13日、朴槿恵前大統領の親友で、大企業から資金拠出を強要したとして職権乱用罪などに問われた崔順実被告らの裁判で、贈賄罪で在宅起訴された韓国ロッテグループの重光昭夫(辛東彬)会長に対して懲役2年6月の実刑判決を言い渡した。

会長はロッテグループの企業内の不正事件で懲役1年8カ月、執行猶予2年 の判決を受けており、今回の有罪で執行猶予が無効となり、懲役は合計4年2か月となる。

2018/2/13 朴前大統領親友に懲役20年、ロッテ重光会長も実刑

判決後、ロッテHDの代表取締役を辞任したが、取締役としてはとどまっている。

今回、東主氏は韓国で実刑判決を受けた東彬氏が取締役にとどまることは経営の原則に見合わないと訴えていた。

東彬氏は経営権防御に向け、株主総会出席のための仮保釈を申請したものの決定が遅れ、今回の株主総会に出席できなかった。

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2015年7月17日、韓国ロッテの会長でロッテHDの取締役副会長の重光昭夫(辛東彬)氏が、ロッテHDの代表取締役副会長に就任した。
重光武雄(辛格浩)会長、重光昭夫副会長、佃孝之社長の代表取締役3人体制となった。

直後の7月28日、ロッテHDは取締役会を開き、創業者の重光武雄会長が代表権を外れ、名誉会長に就く人事を決めた。

創業者の重光武雄(辛格浩)氏の長男 重光宏之(辛東主)氏と次男 重光昭夫(辛東彬)氏の内紛の結果とされる。

ロッテHDは8月17日、臨時株主総会を開き、重光昭夫副会長を中心とした体制で経営を続けると確認した。

2015/8/19 ロッテ、次男中心の体制に 

兄弟による経営権争いが2015年7月に表面化して以降、兄弟がロッテHDの株主総会で対決するのは5回目で、東彬氏は過去4回と同様、今回も勝利した。

兄の東主氏は、ロッテHDの株式の28.1%を保有する光潤社の株の「50%+1株」を保有する。

弟の東彬氏は、ロッテHDの株を4.0%所有(以前の1.38%からアップ)、従業員持株会(27.8%)、役員持株会(6.0%)、関連会社(13.9%)などが支持した。

東主氏はロッテHDの取締役を解任され、その後にグループ会社の取締役を解任されたのは不当だとして日本で損害賠償請求訴訟を起こしたが、本年3月に敗訴した。
東京地裁は、東主氏が経営者としての適性に疑問を抱かせる事業を進めたとして、解任には正当な理由があるとの判断を示した。

財界は、東彬氏が韓国ロッテを事実上支配するロッテHDの取締役にとどまることで韓・日ロッテの協調が維持され、支配構造改編に向けたグループの取り組みが順調に進む可能性が高いとみている。

 


2018/7/4 韓国ロッテの構造改革

辛東彬(重光昭夫)会長は2015年に、不透明な支配構造を改善するため、グループ企業間で株式を持ち合う「循環出資」をなくし、持ち株会社制へ移行する方針を明らかにした。

循環出資を減らすことで支配構造が単純化し、投資と事業部門を分離することで経営効率が上がり、経営が安定するとみられている。


その第一弾として、
2017年10月12日にロッテ製菓など系列4社の投資部門が統合した持ち株会社「ロッテ持ち株株式会社」(Lotte Corporation) が正式に発足した。

同社は2018年2月27日に発足後最初の株主総会を開催し、韓国富士フイルムやロッテ商事など非上場系列6社の編入を承認し、4月1日付で統合した。

韓国のロッテグループのうち、下記の各社は統合に参加していない。今後、時間をかけて統合すると思われる。

 旅行、サービス

Hotel Lotte、Lotte World、Lotte Rental、Rotte Duty Free 等

 重化学

Lotte Chemical、Lotte Advanced Materials(ABS関連)、Lotte Fine Chemical、Lotte Engineering & Construction、Lotte Aluminum 等

 その他

 

以前の循環出資の状況は下図の通り。

韓国ロッテグループは2017年10月12日、ロッテ製菓など系列4社の投資部門が統合した持ち株会社「ロッテ持ち株株式会社」(Lotte Corporation) が同日正式に発足したと発表した。

ロッテ製菓、ロッテショッピング、ロッテ七星飲料、ロッテフードの4社を投資部門と事業部門に分割した上で、ロッテ製菓の投資部門が残り3社の投資部門を吸収する形で形成された。

2017/8/31  韓国ロッテグループ、持ち株会社制へ一歩

 

その後2018年4月1日付で、ロッテ情報通信、韓国富士フイルム、ロッテ商事、ロッテGRS (旧ロッテリア)、物流企業のロッテロジスティクス、広告代理店事業を手掛ける大興企画(Daehong Communications)の6社が統合された。

現在、子会社が23社、子会社の子会社が27社となっている。

 

統合後の状況:

Lotte Confectionary(ロッテ製菓)が他社の投資部門を吸収してLotte Corporation となったため、下図の子会社には含まれていない。


現在の株主構造は下図の通り。

2018/6/22日経によると、創業者の辛格浩(重光武雄)が2.78%、次男の辛東彬(重光昭夫)が10.54%、長男の辛東主(重光宏之)が0.15%となっている。

 


2018/7/4  東海第2原発、 新規制基準に適合の審査書案


原子力規制委員会は7月4日の定例会で、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村、110万キロワット)について、再稼働に向けた安全対策の基本方針を定めた新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。安全審査の事実上の「合格証」で、国民からの意見公募などを経て正式合格する。

規制委は、地震や津波、炉心溶融のような重大事故への対策が新基準に照らして妥当と判断した。

 

東海第2原発は、電力大手9社と電源開発の共同出資による日本原子力発電が1978年に運転を開始。国内で初となる出力100万キロワットを超える大型の沸騰水型原発で、東電と東北電力に送電してきた。

2012/10/20  日本原子力発電の損益状況

東日本大震災で5.4 メートルの津波に襲われた。運転を緊急停止し、外部電源を失い、非常用発電機1台が停止した。安定した冷温停止になるまで3日半かかった。同じ敷地内の東海原発は廃炉作業中。

2011年の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発としては初の合格となる。

安全審査の合格は全国で8原発15基目。東京電力福島第一と同じ沸騰水型炉(BWR)としては、柏崎刈羽6、7号機に続き2カ所目となる。

原発の運転期間は原則40年と定められ、規制委が認めれば1度だけ最長20年間延長できる。このため東海第2は運転40年の前日の11月27日までに、新規制基準適合に加えて運転延長、設備の工事計画の二つの審査をクリアする必要がある。

原電は安全対策工事を2021年3月までに終える予定で、実際の再稼働はそれ以降になる。

想定する最大の地震の揺れ(基準地震動)を1009ガル、最大の津波の高さを約17メートルとして安全対策を強化。高さ20メートル、全長約1.7キロの防潮堤を建設して津波の浸入を防ぐ。
また原子炉格納容器の容積が小さく、事故時に事態が悪化しやすい沸騰水型の特徴を踏まえ、炉心を冷やす予備の冷却装置を追加で備える。

安全対策費に1740億円が必要としたが、原発専業の原電は自前で調達できず、規制委は資金確保を合格の前提条件とする異例の対応をとった。
原電は東京電力と東北電力から支援を受ける方針を示した。

また原電は必要な地元同意について、立地自治体以外の周辺5市にも「実質的な事前了解権」を認める全国初の安全協定を結んでいる。東海第2は首都圏唯一の原発で、30キロ圏内に全国の原発で最多の96万人が暮らしており、地元同意は難航も予想される。

既存の安全協定では事前了解権が東海村と県に限られるため、東海村・日立市・ひたちなか市・那珂市・常陸太田市・水戸市の「原子力所在地域首長懇談会」は、原電に「東海村と同等の権限」を要求した。

 


2018/7/5   Novartis、眼科分野の子会社 Alcon を分離・上場

スイスのNovartisは6月29日、眼科分野の子会社Alconをグループから分離すると発表した。
2019年前半にスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場させる。時価総額は250億ドル以上とみられている。

売上高は約70億ドルで従業員は2万人以上の規模になる。

Alconはコンタクトレンズや眼科手術用の医療器具の世界大手。

Novartisは2007年に医療用栄養食品のMedical Nutrition とベビーフードのGerberをNestleに売却したが、代わりにNestleからAlconを買収した。(2008年に25%、2010年に52%で、合計77%)

Novartisは2014年4月22日、大規模な事業再編を発表した。

GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合し、GSK主体のJVとする。
更にインフルエンザ以外のワクチン事業をGSKに売却する。
これとは別にインフルエンザワクチンの売却を進めており、動物薬事業はEli Lillyに売却する。
(インフルエンザワクチン事業は2014年10月、オーストラリアのワクチン大手CSLに275百万ドルで売却すると発表した。)

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編 

これにより、Novartisは事業を医薬品、Eye care製品、大衆薬事業(Generics) の3つに絞り込んだ。

しかしその後、Alconは業績が伸び悩んでおり、Novartisはこれを自社で再建するか、株式の上場や売却で切り離すかを検討していた。
今回、Novartisは「100%の分離が株主の利益とNovartisの戦略にとって最適だ」と述べた。

なお、Alconの眼科用の医療用医薬品はNovartis本体に残す。

 

Novartisは2018年3月末に上記のGSKとの大衆薬事業JVの持分をGSKに130億ドルで譲渡することで合意した。

Novartis は2018年4月9日、遺伝子治療薬開発の米 AveXis Inc. を87億ドルで買収すると発表した。

2018/4/26   Novartis、遺伝子治療薬開発のAveXis を買収

今回のAlconの分離で、医薬品、Eye care製品、Generics の3分野のうち、後の2分野を切り離すこととなり、医療用医薬品に経営資源を集中させる。

 

Novartisは同日、50億ドルの自社株買いを実施することも発表した。2019年末までに終える。

 

 


2018/7/5  中国、Micron製品の一部販売差し止め命令

台湾の半導体大手、UMC(United Microelectronics Corporation:聯華電子)は7月3日夜、特許侵害などを巡り係争中の米Micron Technology に対し、中国・福州中級人民法院がUMCの主張を認め、MicronのDRAMやNANDフラッシュメモリー関連など26の半導体製品の販売を差し止める仮処分を下したと発表した。 陝西省西安の工場と上海の設計・営業拠点が対象。DRAMは2013年に買収した旧エルピーダメモリの広島工場でも生産している。

台湾の新竹に本社を置くUMCは、中国の半導体市場で事業を拡大している。中国のファウンドリーの運営の他に、さまざまな企業にメモリ技術のライセンスを提供している。
福建省晋華集成電路(
Fujian Jinhua Integrated Circuit Co., Ltd. : JHICC)は、56億5千万米ドルを投資して、福建省晋江市にUMCの技術を移管したメモリ製造工場を建設し ている。

UMCは2018年1月、Micronが中国で販売する製品が自社の特許を侵害したとして、福州中級人民法院に訴訟を起こ した。プレスリリースで、「UMCは、徹底的な調査の結果、中国本土で販売されているMicronの製品が、当社の特許権を侵害していると判断し、公正な判断を仰ぐために特許侵害訴訟を起こした」と述べている。

特許を侵害しているとされる製品の製造、輸入、販売を禁止するほか、全ての在庫を破棄し、2億7000万元(約45億円)の賠償を 行うことなどを求めていた。

Micronの中国向け売り上げは2017年度で全体の5割強を占めている。

この問題はUMCとMicronの間の幅広い係争の一環である。

Micronは2017年12月、UMCがMicronの台湾拠点から人材を引き抜いて 半導体メモリーに関する企業秘密を不正に持ち出させたなどとして、営業秘密防衛法(Defend Trade Secrets Act)および不正収益・腐敗組織法(通称RICO法:Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act)の民事規定に基づき、UMCと JHICCを米カリフォルニア州の裁判所に訴えた。

以前Micronに勤めていた従業員が社外秘のメモリー・チップ設計図を持ち出してUMCに転職し、UMCがそれらの設計図を中国のJHICCに渡 したという。

Micron 傘下の瑞晶電子や華亜科技では、すでに多くの技術者や幹部が中国新興IC企業に転職している。Micronでは先端技術が流出するのを防ぐために、2017年初めの時点で傘下 の台湾企業従業員の中国転職の阻止に動いていた。台湾の検察当局に対し、技術流出に絡んだ特別調査に踏み切るよう要求している。

中国はメモリー製品の最大の輸入国で、世界のDRAMの20%を消費している。買収や提携を通じた自国の半導体産業育成を目指しているが、米国などが安全保障上の懸念を示しており、半導体の国産化は計画通りには進んでいない。

 

今回の販売差し止め仮処分には、NANDフラッシュメモリーやDRAMが対象に含まれている。

NAND型フラッシュ市場では、MicronはIntel とのJVをつくっているが、2019年にJV解消が決まっている。

 

DRAM価格が急上昇する中、中国当局はMicronや韓国の半導体メーカーの調査に乗り出している。

中国の独占禁止当局が米 Micronとサムスン電子、SKハイニックスのメモリー半導体3社による価格談合など独占禁止法違反の疑いで調査に着手した。国家市場監督管理総局傘下の反独占局の調査官らは5月31日、北京、上海、 深圳にある3社のオフィスを突然訪れ、検査を実施した。

2018/6/9 中国、米・韓の半導体3社を独禁法違反の疑いで調査

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米中間では知財関連の摩擦が深刻化している。

トランプ米大統領は3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手Broadcom Limitedによる米Qualcomm Incorporatedの買収を禁じる命令を出した。Broadcomと華為技術の企業としての近さも警戒された」とされる。

2018/3/14    米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令

これに対し中国商務部は翌月、Qualcommによるオランダの NXP Semiconductors 買収の承認を認めなかった。

2018/4/24 中国商務部、QualcommによるNXP買収の承認に慎重 

トランプ大統領は3月22日、米通商代表部(USTR)に中国の知財侵害に制裁関税を課すよう指示する大統領令に署名、USTRは4月3日、通商法301条に基づき、中国の知的財産の侵害に対して発動する制裁関税の原案を公表した。

これに対し、中国商務部は米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目(2017年の輸入額は約500億ドル)に25%の関税をかける方針を発表した。

トランプ大統領は更なる追加関税を検討する方針を表明した。

7月6日に相互の最初の部分の課税が開始される。

時差の関係で中国に先に7月6日が来るが、商務部は「中国は決して先に引き金を引かない。ただ、仮に米国が追加関税措置を取れば、中国は国家と人民の利益を守るために反撃せざるを得ない」と述べた。中国税関総署も「米国からの輸入商品への追加関税は米国の追加関税が効力を発揮してから実施する」との声明を出した。

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表 

2018/4/7 米、対中制裁追加を検討

米商務省は4月16日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE Corporation)がイランや北朝鮮に対し通信機器を違法に輸出していた件で、商務省との約束を守っていなかったため、米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止すると発表した。

両国トップの協議の結果、米商務省は6月7日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しで同社と合意したと発表した。

但し、米上院がこれに異議を唱えている。

ZTEは取締役全員の退任と新会長指名を発表し、制裁解除の条件履行へと大きく前進している。

2018/6/22  米上院、中興通訊(ZTE)に対する制裁の見直しに反対

 


2018/7/6   米製薬会社AbbVie と提携先のBesins Healthcare、ジェネリック薬の妨害で罰金448百万ドル

U.S. District Court for Eastern Pennsylvaniaは6月29日、米製薬会社AbbVie 提携先のBesins Healthcareに対し、独禁法違反で罰金448百万ドルの支払いを命じた。
自社のブランド薬AndroGelとジェネリック薬との競争を回避し、AbbVie
とBesinsの独占による利益を長期にわたって維持しようとしたとしている。

被告の行為でジェネリックの上市が本来の2013年6月から2014年12月に延びたとし、その間の利益分として448百万ドルの罰金とした。


2014年9月に
連邦取引委員会(FTC) は、AbbVie Besins Healthcareベストセラー新薬のテストステロン補充療法ジェル薬AndroGelのジェネリック薬への米国民のアクセスを違法に妨害したとして両社を提訴した。

AndroGelは、テストステロン値の低い男性に対して用いられるテストステロン補充療法ジェル薬として認可された話題の医療用ジェルであり、米国における年間売上高は10億ドル以上である。

FTCによる提訴の主要点は,次の2つの反競争的行為の疑いである。

1)  両社はAndroGelのジェネリック薬のFDAによる承認を遅らせ、ブランド薬である自社の製品に係る独占的な利益を拡大するために、ジェネリック薬メーカーのTeva及び Perrigo Co. に対する根拠のない特許侵害訴訟を提起した。

本件偽装特許侵害訴訟で問題となっているのは、AndroGelのミリスチル酸イソプロピル(IPM)という成分である。
IPMは、皮ふや血流を通じて薬の有効成分であるテストステロンの循環を促進させることから、「浸透促進剤」として知られている。
AndroGelの特許は、IPMを浸透促進剤として使用するという製法に係る製剤特許に過ぎない。
 
Teva及び
Perrigoは、IPMとは別の浸透促進剤を使用したテストステロン補充療法ジェル薬を開発したにもかかわらず、両社に対して、特許侵害訴訟を提起した。
(AbbVie
とBesinsは、AndroGelの特許承認を得る際に、それらの浸透促進剤に対する主張を放棄しており、特許対象外であることは明らか)

当該訴訟が提起されたことにより、FDAの認可権限は、特許侵害訴訟請求の内容のいかんにかかわらず30か月の自動停止となった。

2)  Tevaは、両社に対し当該訴訟は根拠がないと主張した後、反訴を取り下げ、テストステロン補充療法ジェル薬市場に参入しない見返りに、AndroGel とは無関係の製品(2011年の米国における売上が10億ドル以上であったTricorと称するコレステロール薬)を包括的に販売する権利を得るという形で、AbbVieから違法な支払を受けた。

これは、“Pay-for-delay” or “Reverse payment”と言われ、特許権侵害訴訟を和解により解決する際の方策として、先発品メーカーが後発品メーカーに一定の金銭を支払い、後発品メーカーは後発品の上市を一定期間遅らせることに同意するというもの。

FTCは、これはAbbVie Tevaによる不当な取引制限行為であるとした。

FTCは、被告人の行為がFTC法に違反しているとの宣告、被告人に対する不当利得返還命令、被告人による同様の反競争的行為についての将来にわたる禁止についての判決を求めた。

2018/7/7  アブダビ国営石油、Aramcoと組み、インドの石油精製・石油化学事業に出資 
 

Saudi Aramco と Abu Dhabi National Oil Company (Adnoc) は6月25日、インド西海岸での440億ドルの精油所建設計画に共同で投資する契約に調印したと発表した。


計画は、インドの西部 Maharashtra州Ratnagiri に大規模石油精製・石油化学コンプレックスを建設するもの。

インド国営の石油会社3社が計画しているもので、第1期 40 百万トン、第2期 20 百万トンで合計60 百万トン/年(日産120万バレル)の製油所を建設する。石油、ディーゼル、LPG、航空燃料、石化原料を生産する計画で、2022年のスタートを目指している。

当初は、Indian Oil Corp. (IOC) が50%、Bharat Petroleum Corp. (BPCL) とHindustan Petroleum Corp. (HPCL) が各25%を出資することとなっていた。

Saudi Aramcoは2018年4月11日、インド側3社のコンソーシアム “Ratnagiri Refinery and Petrochemicals Ltd.” (RRPCL)との間で参加のMOUを締結したと発表した。

2018/3/2 サウジアラムコのインド進出計画 

今回、Aramcoは自社の持分をAdnocと分け合う。両社のこのような契約は初めて。

サウジでムハンマド皇太子が実権を握って以降、UAEと政治的に近くなっていることが背景にある。

両国の皇太子は2016年初めにサウジの広大な砂漠へ1泊のタカ狩りキャンプに出掛け、それ以降、非常に親密になったとされる。


事業会社への出資比率はAdnocとAramcoが25%ずつで、残りをインド3社が分け合う。

Adnocはこれにより、主要市場に原油を供給するとともに、世界で最大かつ最速に成長する石油・石化市場へのアクセスを強化する。

予備的FSは両社で行うが、スケデュールは明らかにされていない。

 


 

2018/7/7 韓国のLG、具光謨氏が4代目の会長就任 

LGグループの具本茂会長が5月20日に死去した。73歳だった。

具会長は3代目で、LGを20年余りでテクノロジーおよび化学分野の世界的企業に育て上げた。

 

グループの持ち株会社・LGは6月29日、臨時株主総会で具光謨・LG電子常務 (40) を取締役に 選任し、総会後の取締役会で代表取締役会長に選出した。
代表取締役兼最高執行責任者(COO)の河R會・LG副会長とともに、複数代表取締役としてLGの経営を担うことになる。

一部には、具本茂氏の 弟(三男)で、LGディスプレーなど主要グループ企業で経営手腕を発揮した具本俊・LG副会長 が短期的に会長になるのではとの推測もあったが、同氏は同日からLGグループの経営一線から完全に退き、年末の役員人事で退任する。

 

具光謨氏は具本茂会長の弟の具本綾氏の長男で、事故で息子を亡くした具本茂氏が2004年に養子に迎えた。
グループの中核会社・LG電子で常務として、B2B(企業間取引)事業本部の Information Display事業部長を務めていた。


取締役会であいさつした具氏は「これまでLGが培ってきた顧客価値の創造、人間尊重、正道経営という資産を継承し、発展させていきたい。変化が必要な部分は改善し、長期的な観点から成長基盤を構築することに最善を尽くす」と述べた。

年末まで主要系列会社の懸案を把握後、経営の前面に出るとみられる。これを機に、LGグループの事業再編が本格化するとみられている。
 


韓国の主要10企業グループのうち、4代目の総帥が誕生するのは初 めて。2代目が5人で最も多く、サムスングループの経営トップ、李在鎔・サムスン電子副会長らは3代目。

 



2018/7/9 米国でのカルテル事件での個人(日本人)への罰則 

本ブログではこれまで日本及び欧米の独禁法問題を多く取り上げてきた。

   日本   欧米

米国でカルテルで摘発された企業はほとんどが司法取引を行い、罰金支払いで終わる。

しかし、個人については罰金 and/or 禁固刑である。

1990年代後半までは、外国人については罰金のみであった。
しかし、その後、米国人と同じ扱いになり、禁固刑も課せられるようになった。

日本人の場合、2000年代は2名だけが禁固刑となった。

2010年代に入り、自動車部品カルテルが摘発され、多くの日本人が起訴され、多数が禁固刑を受けるようになった。
このブログで取り上げた範囲で、日本人で禁固刑を受けたのは、自動車部品で30名、海上貨物輸送カルテルで3名、電解コンデンサカルテルで2名で、それ以前を加算すると37名に達する。

以下に日本人のケースをまとめた。

 

(米国のカルテル訴訟)

司法省が起訴し、大陪審が起訴か不起訴を決定する(検察官の処分だけで事件が裁判に付されるのを防ぐ目的)。 起訴が認められると裁判になる。

シャーマン法では独禁法違反で有罪となった場合の罰則は次の通り。

罰則  法人 1億ドル以下の罰金
     個人 100万ドル以下の罰金 and/or 10年以下の禁錮刑

(司法取引)

日本企業の場合は、ほとんどが裁判になる前に司法省と司法取引を行う。

これまで数えきれない企業が起訴されたが、日本企業で裁判になったのは、2016年6月15日に起訴された東海興業とマルヤス(及び両社の米国子会社)のみ である。

東海興業は無罪となり、マルヤスは最後に1件だけの有罪を認める司法取引を行った(実質勝訴とされる)。

2018/1/24  米の自動車部品カルテル裁判で東海興業に無罪 及び付記
  

(外国人に対する”No-jail” policy)

個人については、1990年代後半までは外国籍の役職員については収監されることがないという“No-jail” policy があり、罰金だけであった。

映画になり有名となったリジンカルテルでは、1996年に各社が罪を認めた。

ADMは司法取引で70百万ドル(同時に判明したクエン酸事件の30百万ドルを加え、合計100百万ドル) の罰金を払い、2名が罰金と3年の懲役となった。
主人公はカルテルの存在を通告し、免罪となる筈が、横領が分かって取り消しとなり、8年半服役 (会社側の報復で検察の恩赦申請を大統領が拒否)。

カルテルに参加した味の素と協和発酵、及び韓国のSewonは各社と各社の役員各1名が罰金を払った。

2010/1/12 映画 The Informant

(個人の罰金の扱い)

個人の罰金を会社が負担することは出来ない。

リジンカルテル事件の際に、味の素の社員の罰金を会社が支払った疑惑が問題となった。

 

(“No-jail” policyの廃止)

2000年代に入ると“No-jail” policy は破棄され、外国籍の役職員に対しても積極的に禁固刑+罰金刑 を科すようになった。

 

(司法取引による免責の例外)

企業が司法取引を行う場合、罰金の支払いに同意することで、原則としてその企業の従業員や役員なども刑事免責の対象となる。

しかし、司法省は、カルテルの撲滅のためには、それに関わったできるだけ高い地位にいる人物を処罰することが重要であると考えており、カルテルに係ったり、黙認した役員等数名を免責対象から除外する。これをcarve-outと呼ぶ。各司法取引において2名から5名程度のcarve-outが行われることが多いとされている。

通常は担当役員数名だが、例外は防カビ剤のソルビン酸カルテルである。

チッソがカルテルを司法省に申告して判明、2001年にダイセル、上野製薬、日本合成、Hoechstが起訴された。チッソは減免 を受けた。
各社は司法取引で罰金を払ったが、Carve-outにより、ダイセル4名、上野製薬3名、日本合成1名、Hoechst 1名が起訴された。

すべて役員クラスだが、ダイセルの1名だけは当時40歳前の主席部員であった。

チッソが提出した詳細な資料に、本人が中心となってカルテルを運営していたことが判明し、司法省としては免責にすることはできないと判断した。


(起訴された日本人)

上記の2件の裁判では、東海興業の役員1名は無罪判決を得た。マルヤスの場合、4人が起訴されたが、このうち3名は司法省が起訴を取り下げた。(これも実質勝訴とされる所以である)

通常、本人が司法省と司法取引を行い、罰金刑 and/or 禁固刑となる。

日本人の場合、1年程度の禁固刑+罰金2万ドルが通常だが、2年の禁固刑もあり、罰金が8万ドルというのもある。

これまで多数の日本人が起訴されたが、自動車部品カルテルが摘発されるまでは、日本人で刑を受けたのは2人だけで、他は刑を受けていない。


2人のうち、ソルビン酸カルテルでのダイセル担当者については後述の通り、自ら米国に渡り、刑を受けた。

もう一人は
マリンホース国際カルテルのブリヂストン社員で、米国でのカルテル協議中に逮捕された。(出国禁止になるため、免れない)
禁固2年+罰金8万ドルは日本人では最も重い。 (自動車部品カルテルで、禁固2年+罰金2万ドルが2人いる。)

2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決
 

(刑を受けないケース)

自動車カルテルでは起訴されたうち、約半分が刑を受けた。

これは、司法省が起訴する場合、起訴された人が大陪審に出て、正式に起訴された場合に司法取引を行う。

起訴された人が日本に留まれば、大陪審での決定ができず、時効の中断扱いとなる。

このまま日本に留まれば、下記の場合を除き、刑を受けることはない。

米国政府が犯罪人引き渡し条約に基づき、引き渡しを要請し、日本政府が応じた場合
旅行で米国に入国し、入国時に逮捕(旅券番号が米国政府に通知されており、即逮捕される)

他の国に旅行し、その政府と米国政府の犯罪人引き渡し条約に基づき、引き渡される場合。

起訴された人に聞くと、米国弁護士から、海外旅行する気がないなら、放っておけと言われた由。但し、米国はもちろん、中国や欧州に旅行しても危ないと言われた。

10年間で2人しか禁固刑を受けていないのは、摘発された時点で米国におらず、そのまま日本に留まったためである。
その後に急増したのは、自動車部品のように米国駐在でカルテルに参加し、摘発時にも米国に滞在していたケースが多いと思われる。

(海外滞在者の禁固刑の例)

これまで、起訴時に米国以外にいて(そのままなら刑を受けないのに)刑を受けたのは3例のみ(厳密には2例のみ)

@上記のダイセルの主席部員

まだ若いため、今後一切海外に行けないのでは仕事にならないと考え、自ら出頭した。

米国司法省も、これまで起訴した日本人全員が時効中断のままであるのに対し、自ら渡米して禁固刑をうけるという世界初の例を重視し、非常に寛大な措置(3か月の禁固と罰金2万ドル、週末は出所可能とされる)を行った。

米国司法省は、独禁法を有効に施行するという司法省の能力を示すものとして、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表している。
  http://www.usdoj.gov/opa/pr/2004/August/04_at_543.htm

本人は3ヶ月の服役の後、欧州子会社の代表となり、その後も活躍している。

A 炭素ブラシのカルテルと司法妨害で訴えられた英国のMorgan Crucibleの元CEO Ian Norrisが英国から米国に引き渡され、18ヶ月の禁固刑を受けた。
     但し、カルテルの時点ではカルテルは英国の犯罪ではなかったとの主張で、カルテルは落とされ、司法妨害の罪のみとなった。

両国でいずれも処罰の対象となる犯罪のみが引き渡しの対象となる。

Bマリーンホース国際カルテルで起訴されたが、当時米国におらず逮捕を免れていたイタリアのParker ITRのRomano Pisciottiは、2013年6月にドイツで逮捕され、2014年4月3日に米国に送還された。

Romano Pisciottiはナイジェリアからイタリアに戻る途中、ドイツの空港で逮捕された。

その後、Pisciottiはイタリアの裁判所とEUの人権裁判所に訴え、EUの法律が適用されるべきとするとともに、ドイツによる国籍差別の犠牲者であると主張していた。

Romano Pisciottiは4月24日、有罪を認め、禁固2年、罰金5万ドルを受け入れた。
ドイツでの拘束期間の(9ヶ月+ 16日)がこれから差し引かれる。

2014/5/8  マリーンホース国際カルテルでのイタリア人被告の米国への引渡し

この件では、上記の通り、ブリヂストン社員が禁固刑となっている。

 

(日米 犯罪人引渡条約)

日米の場合は1980年の条約で、両国でいずれも処罰の対象となり、両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合は引渡しが可能となっている。

しかし、これまでは日本の独禁法の罰の最高が懲役3年で、執行猶予が付いた。このため、日本政府は独禁法違反の場合は該当せずとしてきた。

2009年改正により、独禁法の最高が懲役5年となったため、執行猶予の対象外となり、条約上の引渡し対象となる。

条約第5条では、「被請求国は、自国民を引渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる」となっており、日本政府の判断で引渡しを行うかどうかを決めることとなる。

 

(自動車部品カルテル)

上述の通り、2011年以前では、日本人で刑を受けたのは2人だけである。

自動車部品カルテルが摘発されて以降、刑を受ける人が急増した。


古河電工は2011年9月29日、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネス係るカルテルに関して以下の内容の司法取引に合意した。

 起訴事実を認め罰金200 百万米ドルを支払う。

 社員3名が有罪を認め、禁固刑に服する。(それぞれが2万ドルの罰金)
     F氏 1年と1日
     N氏 15か月
     U氏 18か月

2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意 

その後、摘発が続出した。

現時点までの状況は下記の通りで、大部分が日本企業である。(司法省発表より 1社、1名少なく、調査中)

  起訴 司法取引 未決

裁判

無罪 起訴取消
法人 48社 45社   2社 1社
   

      

日本企業 41社 38社   2社 1社
外国企業 5社 5社      
同上 日本法人 2社 2社      
罰金総額   29億ドル      
           
個人 65名 31名 30名 1名 3名
 

   

日本人 64名 30名 30名 1名 3名
外国人 1名 1名      

日本企業のうち、日立オートモティブシステムは2回摘発されている。
法人の無罪は
東海興業と子会社、起訴取消はマルヤス子会社。
個人の無罪は東海興業、起訴取消はマルヤス。

最終リスト 2015/9/7 日本ガイシ、自動車用触媒担体のカルテルで米司法省と司法取引 の付記

個人については、刑を受けたものと未決が半々。

2011年以降、刑を受ける個人が急増したが、米国に駐在中に起訴されたと思われる。
日本企業の従業員に対する反トラスト部門の積極的な 責任追及姿勢も響いている。

(その他のカルテル)

海上貨物輸送カルテル

 企業    個人
会社名

罰金
百万$

決定日   個人 禁固刑 罰金 決定日
Compañía Sud Americana de Vapores S.A.(チリ) 8.9 2014/2          
川崎汽船 67.7 2014/9   H. T. 1年6ヶ月 2万ドル 2015/1
T. Y. 14ケ月 2万ドル 2015/2
日本郵船 59.4 2014/12   S. T. 15ケ月 2万ドル 2015/3

2015/3/12   米、海上貨物輸送カルテルで3人目の日本人に禁固刑


電解コンデンサ カルテル

    罰金 10人を起訴
2015/9/2 NEC TOKIN 13.8百万ドル  
2016/4/27 Hitachi Chemical 3.8百万ドル  
2016/8/22 Rubycon Corporation 非公表  
Elna Co., Ltd. T. T. 禁固 1年と1日
Holy Stone Holdings *  
2017/2/8 Matsuo Electric 非公表 S. O. 禁固 1年と1日
2017/7/11 Nichicon 42百万ドル  
2017/10/8 Nippon Chemi-Con 非公表  

*日立化成エレクトロニクスは、2009年10月29日、三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を、三春工場関係の資産とともに台湾の禾伸堂企業股份有限公司(Holy Stone Enterprise Co., Ltd. )が新たに日本に設立する法人に譲渡することを決議

2016/4/30  日立化成、コンデンサ事業でのカルテルで米国司法省と司法取引付記

 

Yates メモ)

2015年9月にSally Quillian Yates連邦副司法長官が司法省の検察官に向けて発表した 「Yates メモ」 が話題を呼んだ。

司法取引で政府への協力により便益を得ようとする会社は、従業員や役員の刑事責任に関連する事実を全て提出しなければならないというもの 。

便益を得ようとする会社は、従業員を 「差し出さなければならない」とも受け取られた。

これについて、その後、次のように説明した。

従業員による不正行為を完全に 示すにあたり「関連する事実の全て」を開示しなければならないということを意味したものではない。
調査によっても従業員の有罪責任 を立証するのに必要な「全ての」事実が判明しないこ ともあることはDOJも認識しており、会社として合理的に示すことができる事実の一切を開示しなければならないという意味である。

 

(カルテル捜査対象者のその後の扱い)

カルテル事件などを捜査する米司法省反トラスト局が2014年に、捜査対象になった従業員を継続雇用しないことを企業に求める新たな方針を示し、問題となった。

企業が司法取引を行った後、司法取引の条件のコンプライアンスプログラムを作成し、きちんと改善したとしながら、有罪の可能性のある役員で、責任を認めず、司法取引からcarved out されている役員を雇用し続けている企業がある。

企業がその人間を、重要な権限を持つポジション、直接・間接に共謀行為を続けられるポジション、企業のコンプライアンス計画を監督するポジション、その人間の犯罪行為について証言する人間を監督するポジションで雇い続ける場合、その会社が新しいコンプライアンスプログラムを本気で実行することに疑問がもたれることとなる。

その後どうなったかは不明だが、優遇するのは問題となる。

2015/4/9 米司法省の カルテル捜査対象者の雇用中止要請   

 


2018/7/10    日本・EU EPA 調印 (の筈が延期)

EUの欧州委員会は7月6日、日本との経済連携協定(EPA)を7月11日に署名することを正式決定した。全28加盟国(離脱予定の英国を含む)が賛成した。

11日にブリュッセルのEU本部で、安倍晋三首相も出席して署名式典を開く。
との予定であったが、首相は7月9日、大雨被害で外遊を取り止めた。

EPAの署名も延期する。安倍首相がユンケル欧州委員長と電話で協議し、7月17日に東京で開催する方向になった。

調印後はそれぞれの議会での批准手続きに入り、2019年3月29日の英国のEU離脱より前の発効を目指す。

付記

安倍首相とEUのトゥスク大統領とユンケル欧州委員長は7月17日、首相官邸で日本とEUの経済連携協定に署名した。日本政府は秋にも予定する臨時国会での承認手続きの完了を目指す。

 

日本とEUの世界における地位は次の通り。

 

日本とEUは2013年3月にEPAの交渉を開始した。

2016年にかなりの部分で合意し、安倍晋三首相は12月9日の参議院のTPP 特別委員会で、「2016年中の大枠合意の実現を目指して精力的に交渉を進める」と述べ、意欲を示した。

しかし、交渉のため来日していたEUの首席交渉官は12月17日、「いくつかの論点で思っていた以上に妥協が難しい状況だ」と述べ、双方の溝が埋まらないまま終了したことを明らかにした。

交渉では日本はEUに、自動車に10%、テレビに14%かかる関税の即時撤廃を要求、EUはチーズや豚肉、ワインなどの関税引き下げを求めていたが、難航した。

EU側は、日本製の自動車を巡っては「関税撤廃の準備はある」としたが、日本がEU産農産品の関税を撤廃することと「バランスが重要だ」と述べた。
EUが日本に輸入自由化を求める豚肉に関しては今回の交渉で「大きな進展があった」と表明しているが、チーズについては「より問題が複雑だ」として決着が難しい段階にあると示唆した。

2016/12/19 日欧 EPA、年内合意困難に

なお、韓国とEUは、それに先立つ6年前の2010年10月6日、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名、2011年7月1日に発効している。

双方は、相手地域で生産した自動車・冷蔵庫・カラーTVなど工業品に対しFTA発効5年以内に全関税を撤廃することで合意した。
EUの関税は、自動車で10%、テレビで14%と高率で、関税撤廃による韓国企業の輸出拡大が予想される。

工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
  自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
  中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に撤廃
韓国は例外として40余りのセンシティブ品目について7年内の関税撤廃。
 (関税率が16%のその他機械類、純毛織物など)

見返りとして、農業品などの関税撤廃についても大部分は合意した。
韓国政府は、期間10年、総額270億ドルの国内農家向け支援策をまとめた。

EU産ワインは、直ちに撤廃
EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。

但し、韓国のコメ市場は開放しない。トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。

2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結


その後、日本とEUは精力的に交渉を続け、2017年7月に大枠で合意した。

問題となっていたカマンベールなどの欧州産ソフト系チーズについては関税割当てとする。初年度2万トンから始めて16年目に3万1千トンまで増やす。枠内の税率は段階的に下げ、16年目に無税とする。

欧州産ワインの関税は即時撤廃。パスタやチョコレートも段階的に無税にする。

日本から欧州への輸出では、EU側が日本の乗用車にかける10%の関税を7年かけて引き下げ、8年目に撤廃する。自動車部品の92.1%(貿易額ベース)は即時撤廃する。

このほか日本酒や日本産ワイン・ウイスキー、牛肉などの関税は即時撤廃。知的財産の保護や電子商取引、農業協力なども明記した。

大枠合意では詰めきれなかった投資家と国家の紛争解決制度などの分野の協議を進め、年内に最終合意する予定とした。

投資紛争の解決制度についての双方の考え方は次の通り。

日本:TPP交渉と同じく、不当な扱いを受けた企業が進出先の政府を訴えることができる「ISDS」での対応を求める。
EUは:ISDSでは大企業による国家のルールへの干渉が防げないと懸念し、政府側が裁判官を選任する常設の「投資裁判所」制度を提案

2017年12月8日、交渉が妥結した。投資紛争の解決制度を除いた関税・ルール各分野で合意し、同日夜に安倍晋三首相とユンケル欧州委員長が電話協議で確認した。

その後、2018年3月に非公式の首席交渉官会合で投資紛争の解決制度について切り離し、まず関税・ルール分野の発効を優先する方向性を確認した。


EPA協定の概要は次の通り。

詳細は、Fact Sheet https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000270758.pdf

  日本産品のEU市場へのアクセス EU産品の日本市場へのアクセス
撤廃率
(品目数)
EU側撤廃率:約99% 日本側撤廃率:約94%   農林水産品:約82%
        工業品等:100%

 

工業製品
100%の関税撤廃を達成
  乗用車(現行税率10%):8年目に撤廃
  自動車部品:貿易額で9割以上が即時撤廃
化学工業製品、繊維・繊維製品等:即時撤廃。
 
皮革・履物(現行税率最高30%):11年目又は16年目に撤廃

 

農林水産品等
牛肉,茶,水産物等の輸出重点品目を含め,ほぼ全ての品目で関税撤廃(ほとんどが即時撤廃)
 
酒類:日本ワインの輸入規制(醸造方法・輸出証明)を撤廃。

農産品や酒類(日本酒等)に関する地理的表示(GI)の保護を確保

 

コメは関税削減・撤廃等の対象から除外。
 
麦・乳製品の国家貿易制度,糖価調整制度,豚肉の差額関税制度は維持。
関税割当てやセーフガード等の有効な措置を確保。
 
ソフト系チーズは関税割当てとし,枠数量は国産の生産拡大と両立可能な範囲に留めた。
 
牛肉は15年の関税削減期間とセーフガードを確保
  

 

日本とEUの貿易関係は次の通り。

 

2018/7/10 トランプ大統領、最高裁判事を指名 

トランプ大統領は7月9日、7月31日付で引退するAnthony Kennedy判事(81歳)の後任として、首都ワシントン連邦巡回区控訴裁判所のBrett Kavanaugh判事(53) を指名した。

2018/6/28  米最高裁 Anthony Kennedy判事 引退へ 

大統領は、25人の候補者リストから4人を選び、その中から指名するとしていた。

他の3人は、Thomas Hardiman、Amy Coney Barrett 、Raymond Kethledge 各判事で、いずれも若く、保守派である。

Brett Kavanaugh 判事は連邦巡回区控訴裁判所の判事を12年間続けたベテラン。

Buah(子)元大統領から高裁判事に指名される前は、同元大統領スタッフの事務方を務めていた。

同氏は高裁判事として環境規制無効を支持したほか、オバマ前政権時に制定されたインターネット規制を自分なら覆しただろうと発言した。
不法入国後に拘束された10代の少女の人工中絶を認める高裁判断の際、反対票を投じた。

大統領は、自分にとって重要なことは、判事の政治的信条ではなく、法律や憲法が求めるときに判事が自分の信条を横に置くことができるかどうかだと述べ、最適の人を選んだと自賛した。

これまではKenndy判事が「スイングボート」として、リベラル派4人と保守派4人の間で判決を左右してきたが、今回の筋金入りの保守派のKavanaugh 判事の指名で保守派5人、リベラル派4人となり、保守派が優勢となる。

  保守派 Kennedy
保守系中道
(swing)
リベラル派
以前 4 ←  1  → 4
2016 Scalia 判事死去 3 ←  1  → 4
2017 Gorsuch 就任* 4 ←  1  → 4
2018 Kennedy 引退、Kavanaugh指名 5 4

*上院本会議が2017年4月7日に禁じ手の「核オプション」を使い、54 対 45 の賛成多数でNeil Gorsuch判事を承認した。

2017/4/8 米上院、異例の手続きで最高裁判事を承認 

Kavanaugh 判事が承認されると、最高裁はこの数十年間で最も保守派寄りに傾く公算が大きく、人工妊娠中絶の権利を認めた「Roe v. Wade」や、死刑制度の合憲性や人種差別、環境法制、同性愛者の権利といったKennedy判事がリベラル派側に付いた問題で過去の判例を覆すことも起こり得る。

「Roe v. Wade」は、妊娠中であった未婚女性と中絶手術を行い逮捕された医師などが原告となり、妊娠中絶手術を禁止したテキサス州法が違憲であるとして、1970年3月に Wade 地方検事を相手取って訴えた訴訟。

最高裁は1973年1月22日、7対2でテキサス州の中絶法を違憲とする判決を下した。
1992年に最高裁は「Roe v. Wade」判決を5対4で維持した。Kennedy判事は他の2人と共同で、憲法が女性の中絶の権利を保障していることを再確認する複数意見を述べた。

* Roe(又はDoe)は法律上の仮名。男子の場合はJohn Roe (Doe)、女性はJane Roe (Doe)、赤ん坊はBaby Roe (Doe)
   殺虫剤の処方の登録はDistributorが取得し、顧客に使用を認めるが、その元の登録(ラベル)をJohn Dow Label という。顧客は自社のラベルを付け、そのまま登録申請する。

 

ただ、最高裁判事の就任には上院(定数100)の承認が必要だが、与党・共和党と野党・民主党の議席は51対49と拮抗している。

共和党上院議員のうち、Susan Collins と Lisa Murkowski は妊娠中絶を認める立場で、去就が注目されている。(2人ともNeil Gorsuchの指名には賛成した。)

本来の60票はもちろんのこと、核オプションでの過半数の確保も難航必至である。

これまで、共和党52、民主党46、無所属(民主党と同一会派) 2 であった。

2017年2月にトランプ大統領が指名した共和党のJeff Sessionsアラバマ州選出上院議員が司法長官に就任、補欠選挙までは州知事指名の共和党員が臨時の議員を務めた。

2017年12月12日に投開票された補欠選挙で、民主党候補のダグ・ジョーンズ氏が共和党のロイ・ムーア氏を破り、これにより、共和党51、民主党47、無所属2 となった。

2017/12/13 米アラバマ州上院補選、民主党候補が当選確実、共和党上院議員51名に 



2018/7/11 出光と昭和シェル、来年4月に統合 
 

出光興産は7月10日、創業家(持株28.48%)のうちの、長男の出光正和氏(同1.16%)と同氏が社長を務める資産管理会社の日章興産(同13.04%)との間で統合等に関する合意書を締結したと発表した。
(出光昭介氏と次男の正道氏は依然反対している模様。)

「物言う株主」として知られる村上世彰氏が、出光の株を1%弱取得し、株主として創業家を説得したとされる。

合意書の内容:

下記の条件で、昭和シェルとの経営統合について、株主総会で賛成する。

・ 取締役候補として2名を推薦
・ 出光興産の商号を維持する。
・ ブランドは継続して使用する。

大株主との上記の合意をもとに、出光興産は同日、昭和シェル石油との間で、2019年4月に株式交換を通じて経営統合する合意書を締結した。

2019年4月1日に経営統合する。

2018年10月 株式交換契約
      (出光興産の株式を昭和シェルの株主に交付し、出光興産が昭和シェルの全株式を取得、交換比率は今後詰める)
2018年12月 両社の臨時株主総会でこれを承認

2019年3月29日 昭和シェル上場廃止

統合後の取締役

昭和シェルが3名、出光興産が5名(大株主推薦の2名を含む)とする。他に社外取締役。

トレードネーム

「出光昭和シェル」とする。一定期間は両社の既存トレードネームを使用する。

説明によると、統合後の社名は登記上は「出光興産」とし、事業上の通称は「出光昭和シェル」を使うという。

 

なお、創業家は出光側に自社株式の取得を求めてきたため、出光は同日、1200万株、550億円を上限とする自己株式の取得を実施すると発表した。
これにより株主還元を充実させる。統合の際に昭和シェルの株主に対して交付する株式としても利用する。

付記 1200万株を買い取ると、創業家の持ち株比率は28.46%から30.28%に上昇する。(59,246,700/196,000,000)

 

石油元売りは2強時代を迎える。(昭和シェルは2017/12末決算、他は2018/3末決算)

ーーー

経緯は下記の通り。

出光興産は2015年7月30日、昭和シェル石油の株式 33.24% をShellから取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。
出光と昭和シェルはこの株式譲渡を前提に経営統合に向けた協議を進めてきたが、これを加速する。

2015/8/3 出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意

出光興産と昭和シェルは2015年11月12日、対等の精神に基づく両社の経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。

2015/11/16  出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結

出光興産は6月28日、定時株主総会を開催したが、出光家の代理人から、現在協議を進めている昭和シェル石油との経営統合について反対の意見表明がなされた。

2016/6/29  出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」

創業家は8月3日、昭和シェル株式を0.1%強を取得したと表明した。
出光興産の昭和シェル株式購入はこれを合わせると 1/3 を超えることとなり、TOBが必要で、出光興産が計画していたShell からの市場外での昭和シェル株式買収ができなくなる。

2016/8/5 出光創業家、合併阻止へ強攻策

公取委は、出光興産による昭和シェル石油の株式取得について、12月19日に排除措置命令を行わない旨の通知を行い、本件審査を終了した。

出光興産は公取委の承認を受け、シェルから昭和シェル株式 31.3% (株数を減らした)を158,978百万円で取得した。

2016/12/20 公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得と JXホールディングスによる東燃ゼネラル石油の株式取得を承認 

2016/12/20   出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

出光興産は2017年7月3日、公募増資で1385億円を調達すると発表した。これにより出光一族の出資は現在の33.92%から26%に低下し、株主総会で合併を拒否できる3分の1を下回る。

創業家は、「創業家の保有する議決権比率の希釈化を目的とすることは明らか」とし、株式発行の差し止めの仮処分を申し立てた。しかし、東京地裁、高裁は「新株発行の主要目的が不当とは認められない」としてこれを却下した。このため、会社側は直ちに総会を開き、合併の承認を求めることができなくなった。

2017/7/3  出光興産、増資発表 

出光創業家は2017年12月20日、株式買い増しを発表した。創業家、出光美術館及び出光文化福祉財団の株式保有割合は、1/3未満ではあるが、合計で28%を超えるとしている。

  当初 増資後 買い増し後
日章興産  16.95% 13.04% 27,119,900 13.04%
出光昭介  1.21% 0.93% 1,928,000 0.93%
出光正和  1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
出光正道 1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
宗像合同会社 4,974,400 2.39%
共同保有届け出 21.18% 16.29% 38,854,300 18.68%
出光文化福祉財団 7.75% 5.96% 12,392,400 5.96%
出光美術館 5.00% 3.85% 8,000,000 3.85%
合計 33.92% 26.09% 59,246,700 28.48%
発行済 160,000,000   208,000,000  

2017/12/21 出光創業家、株式買い増し

その後、出光と昭和シェルは合併を一時棚上げする一方、2017年5月9日に趣意書を締結したブライターエナジーアライアンスに沿って協働事業の強化・推進を続けてきた。

 

現在の昭和シェルの主要株主は次の通り。サウジのAramcoが統合後の新社の株主となる。

出光興産 31.25%
Aramco Overseas Company B.V. 14.96%
The Shell Petroleum Co., Ltd (売却の残り) 1.99%
The Anglo-Saxon Petroleum Co., Ltd 1.80%

 


2018/7/12     EU、酸化チタンメーカー Toronox による同業のサウジのCristal 買収を条件付きで承認

EUは7月4日、酸化チタンメーカー Toronox による同業のサウジのCristal 買収を条件付きで承認した。米国はまだ審査中。

Tronox Limited  は2017年2月21日、Cristal の酸化チタン事業を現金 1,673百万ドルと Tronox のClass A普通株24%で買収する契約を締結したと発表した。

現金部分は事業売却で賄うとし、アルカリ事業やその他の非コア資産の売却プロセスを進めるとした。

同社は2017年9月1日、Alkali Chemicalsを Genesis Energy, L.P. に売却したと発表した。
対価は運転資本106百万ドルを含め、1,325百万ドルとなっている。

合併により、新しいTronoxは8カ国に酸化チタン合計130万トンの11の工場を持つこととなる。(Tronox 465千トン、Cristal 858千トン)

原料鉱石事業の面でも、Tronoxの南ア2カ所、豪州2か所、Cristal のブラジル、サウジ、豪州2か所の合計8カ所で年間生産能力150万トンとなる。
 

 

Tronoxは豪州に登記上の本社を置き、米国を本拠とする。

2006年にKerr-McGee からスピンオフした。(Kerr-McGeeはその後、Anadarkoが買収)
その際に、Kerr-McGeeから環境汚染の復旧費用と訴訟費用などを引き継いだが、これが主因で2009年1月にChapter11を申請した。

20098月、HuntsmanTronox の主要資産の買収契約を締結したが、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   
2009/12/25  Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2011214日、Tronox はChapter 11 から離脱、既存事業を再建した。

Cristal (The National Titanium Dioxide Company Ltd.) はサウジのTasnee(The National Industrialization Company)の子会社。

中東/北アフリカでの唯一のメーカーで、サウジのYanbu Al-Sinaiyah 工場で1991年から生産して いる。
2007年2月に、Lyondellから旧Millennium Inorganic Chemicalsの酸化チタン事業 (能力67万トン)を負債込みで12億ドルで買収。

2007/3/5 Lyondell、酸化チタン事業をサウジ社に売却

EUは、紙のラミネート加工分野で競争を制限する恐れがあるとの判断をしたため、Tronoxはこの用途の世界中の酸化チタン顔料事業を売却することを提案、EUはこれを条件に買収を承認した。

既に、サウジ、豪州、中国、ニュージーランド、トルコ、韓国、コロンビアの当局が買収を承認しているが、米司法省は競争上、問題があるとしている。

2017年の世界の酸化チタンメーカーの能力は次の通り。TronoxはCristal 買収で能力トップとなる。

Chemours (ICI) : 

2011/5/18  DuPont、酸化チタンの大増設計画発表

2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離 The Chemours Company

Venator (Huntsman) :

ICIの酸化チタン事業はポリエステル事業と合わせDuPontへ売却する合意が一旦成立したが、酸化チタン事業については紐余曲折を経た後、1999年6月末にHuntsmanに売却された。

20098月、HuntsmanがChapter 11 を申請したTronox の主要資産の買収契約を締結したが、同年末にTronox はこの契約を破棄した。
   
2009/12/25  Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に

2017年にPigments and Additives をspin-offし、Venator Materials Corporationとした。
当初はTextile Effects部門も合わせて分離するとしていたが、この分離は取りやめた。

Huntsmanの歴史:2017/5/26     Huntsman と Clariantが統合(取り止め)の付記

Cristal (National Titanium Dioxide ) :

サウジのTasneeの子会社、上記

Lomon Billions (龍蟒佰利聯集團股份有限公司):

Henan Billions(河南佰利聯化学)と Sichuan Lomon(四川龍蟒集団)が2016年に合併した。

中国3か所に合計70万トンの工場を持つ。四川省攀枝花市に原料鉱山を持つ。

Tronox:上記

Kronos Worldwide, Inc.:

ノルウェー、ドイツ (2)、ベルギー、カナダ、米 (HuntsmanとのJVのLouisiana Pigment Co.)6工場 を持つ。ノルウェーに鉱山 。

ーーー

なお、東邦チタニウムは、サウジに Cristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)とのJVでスポンジチタンを製造している。

 東邦チタニウムは2014年1月22日、サウジでスポンジチタンを製造販売するJVを設立する基本合意の覚書を締結したと発表した。

JVの相手は、サウジの酸化チタンメーカーのCristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)で、Yanbu 工業団地のCristal の酸化チタン工場の隣に、年産15,600トンのスポンジチタン製造工場を建設する。投資額は約420 百万米ドルで、2016年末の完成を目指す。

 2016年3月3日、新会社設立を発表した。

JV名:Advanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Company Limited
株主:東邦チタニウム 35.0%
             Advanced Metal Industries Cluster Company Limited 65%
    (Cristal とTasnee の折半出資の投資会社)

 2017/6/1、スポンジチタン製造工場が竣工、2018 年初の商業生産開始を目指す。
  工場生産能力  スポンジチタン 15,600 t/年

2014/1/27  東邦チタニウム、サウジでスポンジチタンの製造販売JV 

東邦チタニウムはこの工場で、これまで日本のスポンジチタン製造において使用されていなかったチタンスラグ由来の四塩化チタンを原料とする。

Cristal は豪州にミネラルサンドの生産会社、Bemax Resources Ltd.を子会社として持つ。
Cristal は、Bemaxのイルメナイトを主な原料とするチタンスラグの工場をサウジアラビアに建設しており、ここでは標準的なTiO2純分のチタンスラグを生産する。
(Cristal とTasnee の折半出資のAdvanced Metal Industries Cluster が工場を所有する。)

スポンジチタンはこれを原料とする。

Tronoxは5月9日、このチタンスラグをつくる会社の90%をAdvanced Metal Industries Clusterから取得するオプション契約を締結したと発表した。
Tronoxはこの工場のスタートアップを支援する
Technical Services Agreement を締結している。

 



2018/7/13 大陽日酸、
米国Praxairの欧州事業を買収  

大陽日酸は7月5日、米国のPraxair, Inc.による欧州事業(一部)の分割譲渡に係る入札に参加し、同日付でPraxairと子会社株式の売買契約を締結したと発表した。

本件の実行はPraxairとLinde AGが、各国の競争法当局から合併の承認を得られること、並びに本買収が競争法当局から承認を得られることにより、PraxairとLinde AGの合併が完了することを条件とする。

買収の概要は次の通り。

 
取得対象事業

Praxairの欧州事業のうち、
ドイツ・スペイン・ポルトガル・イタリア・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ベルギーの産業ガス事業、
英国・アイルランド・オランダ・フランスにおける炭酸ガス事業、及び
ヘリウムに関連する事業
 取得のストラクチャー
取得対象事業に関連する会社の株式を買収

主要3社

社名 Praxair Espana, S.L. Praxair Deutschland Holdings Praxair Italia
場所 Madrid, Spain Dusseldorf, Germany Milan, Italy
設立 1954 2004 2014
事業

産業ガス及び関連機器・装置の製造・販売


 取得価額:
取得価額:5,000百万ユーロ(約6,438億円)  
取得価額は、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減、等により調整が入
る。

他に、アドバイザリー費用等:約27億円

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Praxairは2017年6月1日、ドイツのLinde Aktiengesellshaftとアイルランドに新たに持株会社Linde Public Limited Companyを設立して合併することで合意した。

2016/12/24   独 Linde、米 Praxair と対等合併  

Linde と Praxair が統合すれば、圧倒的な業界第1位企業となる。

現在、各国の競争法当局による審査が行われているが、欧州委員会は2018年2月16日、予備調査で次の点が問題となり、詳細調査に入ると発表した。

合併は両社の多くの活動分野で競争を減らす恐れがある。

特に、産業用ガス、医療用ガス(及び関連サービス)、特殊ガス、ヘリウムの供給で問題があると懸念する。

需要家の製造工場内にガスの製造プラントを建設できる能力を持つのは(欧州に)4社しかない。世界でヘリウムの供給源にアクセスできるのも彼らである。

このため、需要家は4社が3社に減ることに恐れを抱いている。

これを受け、Praxairは欧州事業(一部)を売却することを決めたもの。

 

しかし、LindeとPrexair は、他の各国の当局の承認を得るには更なる事業売却が必要と考えている。Lindeは7月5日、両社が2018年後半の統合完了を目指し、各国当局と議論しており、また売却相手候補と交渉を行っていることを明らかにした。


2018/7/14   Teslaが上海にEV工場建設へ

Tesla は7月10日、中国・上海にEVの新工場を建設することで上海市政府と合意した。

巨大電池工場「ギガファクトリー」のほか、モーターなどの主要部品から車両の組み立てまでを担う拠点になるとみられる。年50万台の生産を目指す。同社が米国外に工場を設けるのは初めて。

最大市場である中国での販売を拡大すると同時に、過熱する米中間の貿易摩擦の影響を現地生産により回避する狙いもある。

Tesla はこのたび、中国での販売価格を引き上げた。セダン「モデルS」と多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」について、販売価格をそれぞれ約2割引き上げた。

知的財産権の侵害を理由に米国が7月6日に発動した追加関税の報復措置として、中国が米国製の自動車などに追加関税を課したためとみられる。

Teslaの2017年の中国販売は約1万5千台と世界販売の約15%を占めるが、全量が米国からの輸出である。

トランプ大統領の強硬策は、Harley-Davidsonと同様、生産の米国からの移転という逆の効果を生むこととなる。

当局の認可が下り次第、着工する予定で、2年ほどで生産が始まる見通し。年産約50万台の生産能力に達するのはそれから2、3年先になる見込み。

今回、投資額が公表されなかった。
Teslaは「モデル3」の生産ペース引き上げが難航し、巨額の手元資金を投じており、手元資金が3月末で27億ドルにとどまった。

アナリストは「投資家にとって現在最大の問題はTeslaがどうやってその費用を賄うかだ。Teslaは資本を得る必要があるだろう」と指摘した。

 

中国国内に外国自動車メーカーが100%所有する生産施設が建設されるのは初めてとなる。

Teslaは以前から中国で単独出資での現地生産を模索していたが、外資規制(現在50%が上限)などが障壁となり実現していなかった。
しかし、中国政府が今年に入り自動車分野で出資規制を撤廃、単独出資での中国進出が可能となり、5月に上海に中国法人を設立した。

習近平国家主席は4月10日、博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、自動車への輸入関税を今年引き下げ、自動車合弁の外資出資規制を緩和する方針をあらためて表明した。
米トランプ政権が保護主義に傾倒するなか、中国政府は市場開放をアピールする狙いもあるとみられる。

国家発展改革委員会は4月17日、自動車の外資規制撤廃のロードマップを明らかにした。

2018年中に、EVなどの新エネルギー車
2020年に、トラックやバスなどの商用車
2022年に、乗用車

中国での自動車生産JV数(現在、新エネ車を除き原則2社まで)も2022年に制限を撤廃

 

 


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