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2018/9/1 住友金属鉱山と住友商事、アラスカの金鉱山権益を売却 

住友金属鉱山と住友商事は8月30日、豪州大手の産金会社Northern Star Resources Limitedに、アラスカのPogo金鉱山の権益を全て譲渡すると発表した。

Pogo金鉱山は、アラスカ州で2006年から操業し、2009年からは住友金属鉱山がオペレータを務めてきた。

Pogo金鉱山概要:

1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ

2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%
       Teck Resources 40%→ 0
       SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%
         2009年4月以降、出資比率変更

3)埋蔵金量:109t(2008年末鉱量計算結果)
4)年間生産金量:11〜12t/年
5)開発投資額:約378百万ドル(出資比率で負担)

採掘後、選鉱→青化浸出→電解採取を経てドーレ(金品位約94%、銀品位約6%)として回収している。

住友金属鉱山はPogo金鉱山で採掘できる金の量が残り少ないと見積もっており、操業効率の改善も難しいことから早期の撤退を決めた。

2017年の産出量は8.4トンで、2017年末の採掘可能な量を24トンと見ている。

豪州で多くの坑内掘り金鉱山を操業するNorthern Star に、住友商事の保有する権益15%と併せて100%の権益を譲渡し、Pogo金鉱山のすべての資産と債務を引継ぐ。

Pogo金鉱山の譲渡に係る対価は総額260百万米ドル(100%)で、必要な許認可の取得を前提として2018年10月の譲渡完了を予定している。

住友金属鉱山は日本で菱刈鉱山(鹿児島県伊佐市)を操業しており、海外では2021年から生産開始予定のカナダ南東部のCote金開発プロジェクトに27.75%出資している。

2017/6/8  住友金属鉱山、カナダの金開発の権益取得 

長期的に金の年間生産量30トンを目指しており、Pogo金鉱山の譲渡で一時的に年産量は6トン程度にまで落ちるが、引き続き金事業に注力していく。

ーーー

Pogo金鉱山は住友金属鉱山の海外での初の主導的な開発プロジェクトで、1991年に探鉱を開始、1997年にTech Resources と提携し、探鉱及び企業化調査を進めた。

Teck Resources はカナダの資源大手で、石炭・銅・鉛・亜鉛・モリブデン・金を扱っており、亜鉛では世界最大級、原料炭の海上輸送シェアは世界2位。

同社は1913年に金鉱山生産のため設立されたTeck-Hughes Gold Mines と、銀・亜鉛・鉛鉱山開発を主体とした1906年設立のComincoが2001年に合併してできた。(当初名はTeck Cominco)

2008年には石炭事業のJVパートナーである
Fording Canadian Coal Trustを98億ドルで買収して石炭資産を拡大した。

Teck のFording Canadian Coal 買収後、コモディティの価格は暴落し、カナダ経済も不況に陥った。

Teck は2009年初めには借入金の一部の支払猶予を受けたが、借入金返済のため、資産売却、コストカットを行っている。

この一環として金資産のJV権益の売却を進めており、カナダの金鉱山の権益を2008年にJV相手のBarrick Goldに売却、2009年4月にはアラスカのPogo鉱山の権益をJVパートナーの住友金属鉱山2億4500万米ドルで売却した。

中国投資有限責任公司(CIC) は2009年7月3日、100%子会社の Fullbloom Investment Corporation を通じて、資金難のTeck Resources Limited の株17.2%を現金15億米ドルで購入することで合意したと発表した。CICは2017年9月に持株17.2%のうちの4割を売却した。

2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資

 


 

2018/9/3 米国とカナダのNAFTA再交渉、再協議へ 

米国とカナダが進めていた北米自由貿易協定(NAFTA)改定を巡る協議は、期限の8月31日中の合意には至らず、物別れに終わった。9月5日に協議を再開する。

これを受けて、トランプ米大統領は、カナダとの合意のないまま、メキシコとのNAFTA改定案を11月下旬までに署名する意向であることを議会に正式通知した。但し、「カナダが望むならカナダとの協定にも署名する」としている。

トランプ政権は12月1日のメキシコの政権交代までに新協定の署名を終えたいとしている。

米国内法は議会が十分な審議を行えるよう、署名から90日前の通知を求めている。→ 8月31日が期限
なお、新協定文書を1カ月後に議会に送付することとなっている。→ 9月末

カナダを含めた3カ国が新協定に合意し、新協定文書を9月末に議会に提出できるかどうかが焦点となる。
米国は、間に合わなければ、米国とメキシコだけの新協定を結ぶとして、カナダに妥協を迫っている。

しかし、カナダは2019年に総選挙を控えており、政治的な妥協の余地は乏しい。特に酪農製品市場の開放は難しい。

米議会はカナダを含めた3カ国の協定を望んでおり、カナダを除外した新協定を認めない可能性は大きい。

トランプ大統領はツイッターで、 「議会が認めなければ、NAFTAをやめるだけだ。NAFTA調印以前の方がよかった。新協定を結ぶか、NAFTA以前に戻るかだ」と牽制した。

There is no political necessity to keep Canada in the new NAFTA deal.
If we don’t make a fair deal for the U.S. after decades of abuse, Canada will be out.

Congress should not interfere w/ these negotiations or I will simply terminate NAFTA entirely & we will be far better off...

....Remember, NAFTA was one of the WORST Trade Deals ever made. The U.S. lost thousands of businesses and millions of jobs.
We were far better off before NAFTA - should never have been signed. Even the Vat Tax was not accounted for. We make new deal or go back to pre-NAFTA!

(付加価値税を導入しておれば輸入品に課税できるが、導入していないため輸入品に有利という主張。これが国境税導入の主張につながる。)
 

次の点が問題になっているとされる。

カナダ側の主張:

・NAFTA 19条の維持

NAFTA19条では、輸出者が最終的なアンチ・ダンピング(AD)と相殺関税裁定を審査するよう二国間パネルに求めることを可能にする規定が ある。

米国は、米国の国家主権を侵害するとして、2国間審査プロセスを変更するか、あるいはそれを取り除きたいとする。今回、メキシコは除外することに同意した。

カナダは米政府の行動から自国産業を保護するためには、紛争解決制度が不可欠と考えており、除外には反対している。

「文化例外」規定の維持 (TPPでも最後まで問題となり、一定期間猶予する内容のサイドレターで解決した)

文化例外とは、自国文化を保護・育成するため、書籍や映像、音楽などの文化産業を自由貿易の原則から除外するというもの 。

フランス語圏で、カナダからの独立機運が強いケベック州は文化的な独自性の維持への関心が強く、カナダの歴代政権も同州への考慮などから、過去の通商協定で文化例外の規定を盛り込むよう求めてきた。ハリウッド映画に代表される米国の巨大な文化産業からカナダやケベック州の文化を守るため、例外規定は決定的に重要だと考えられてきた 。

カナダが求める例外規定、カナダは自国産業への補助や外国からの投資規制ができる。

米国側の主張:

・カナダの酪農製品市場の更なる開放

トランプ大統領はカナダの農業政策により、米国産の乳製品はカナダ市場へのアクセスを不当に制限されているとして、繰り返し批判、カナダの卸売制度の変更を求めている。
カナダのトルドー首相は自国の制度を守ると主張している。 USTRは、「農産物でカナダからの譲歩は何もない」とけん制した。

今回の交渉で、カナダの交渉責任者であるフリーランド外相は、カナダは断固として国益を守るとの考えを示し、「単なる合意ではなく、良い合意を求めている。われわれはまだそこまで達していない」と述べた。

8月31日に物別れとなったが、8月30日のトランプ大統領のBloomberg Newsとのインタビューでの「オフレコ」の発言を 8月31日にカナダのToronto Star がすっぱ抜いた。

「一切譲歩できないが、それを言ってしまうと、彼らはディールができないことがわかって失礼だから言えないんだ」

“Here’s the problem. If I say no — the answer’s no. If I say no, then you’re going to put that and it’s going to be so insulting they’re not going to be able to make a deal ... I can’t kill these people,”

「カナダとは、完全にこちらの望み通りとなる。」

“Any deal with Canada would be totally on our terms.”

「カナダへ必死だ。こちらは、なにか問題が出るたびに、(GMがカナダ工場で生産している)Chevrolet Impalaの写真を見せるのだ。」(輸入車に関税を掛けると脅しているのだという意味)

"Off the record, Canada's working their ass off. And every time we have a problem with a point, I just put up a picture of a Chevrolet Impala”

トランプ大統領はツイートでこの発言を認めた。

Wow, I made OFF THE RECORD COMMENTS to Bloomberg concerning Canada, and this powerful understanding was BLATANTLY VIOLATED.
Oh well, just more dishonest reporting. I am used to it. At least Canada knows where I stand!

Still can’t believe that Bloomberg violated a firm OFF THE RECORD statement. Will they put out an apology?

その後のスピーチでは、オフレコ破りに不満を示しながら、カナダ側がトランプの考えを知ることになるため、いいことだと述べた。

 “These are very dishonourable people. But I said, in the end it’s OK, because at least Canada knows how I feel. So it’s fine. It’s fine. It’s true.”

Bloomberg はオフレコの約束は守っているとしている。Starは、この情報をあるソースから得たが、Star はBloombergと大統領とのオフレコの約束に拘束されないとしている。

Trudeau首相はこの発言について聞かれ、「我々はカナダにとって良いものならサインするというだけだ。カナダとカナダ人にとってよくないなら、無い方がましだ。はっきりしている」と述べた。

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メキシコとの合意でも、自動車関税を使って脅している。

詳細は発表されていないが、米国とメキシコは争点だった自動車の原産地規則について、現地調達率を現行の62.5%から75%に引き上げることで合意した。

両国はまた部品の40─45%を、時間当たり賃金が最低16ドルの工場で生産することで合意。これにより、メキシコの低賃金地域への工場流出を防ぐ。
米国製の鉄鋼、アルミニウム、ガラス、プラスチックの利用を増やすことも義務付けたとされる。

上記の基準を満たさない場合は、(現行では)普通車では2.5%の関税が課せられる。(最恵国に対するこの2.5%の関税を引き上げる可能性、基準を満たさない車には別の税率を適用する可能性についても触れられている。)

更に付帯合意ではメキシコからの年間自動車輸入が240万台、部品については年間輸入額が900億ドル1080億ドルを超えた場合、米国は検討中の「安全保障を理由とした」関税(25%?)を適用することができる。

2017年のメキシコから米国への自動車輸出は約180万台だったが、早い時期に現状ペースでは2021年にはこれに達する見込み。

メキシコ側が「現地調達率」、「労務費規定」、「数量制限」を呑んだのは、米国が検討中の「安全保障を理由とした」関税の適用除外を受けるためとされる。

米国は今後、日本を含めた各国に、自動車関税の適用除外を条件にいろいろな要求をしてくるものと思われる。

“Every time we have a problem with a point, I just put up a picture of a Toyota XX” ということになる。

6月にWhite House で行われた日米首脳会談で、トランプ大統領は“I remember Pearl Harbor”と述べ、米国の対日赤字を非難、二国間貿易協定の交渉を求めている。

なお、米国は、協定が5年ごとに再交渉され、合意に至らなければ自動的に廃止になる「サンセット条項」を導入する要求を撤回した。

16年の期限が設けられ、見直しを経てさらに16年の延長が可能になる。

上記の通り、メキシコは紛争解決手法を定めた19条を除外することに合意した。

米国とメキシコ間で取引される農産物は関税をゼロに据え置く。農業技術の発展を支援するためバイオテクノロジーの導入に取り組む。

メキシコ人の賃金を引き上げる取り組みとして、ILOの労働基準を順守することをメキシコに義務付ける条項も盛り込んだ。

付記 

NAFTA再交渉を巡り、米国とメキシコの両政府が通貨政策の透明性を約束する「為替条項」の導入で合意したことが分かった。輸出促進のための競争的な通貨安誘導を控えることを見直し後の新協定に盛り込む見通し。

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日系企業の3カ国での2017 年の生産台数(万台 )は次の通り。
 
  USA Canada Mexico
トヨタ 126 57 11
日産 93 - 83
ホンダ 121 43 21
マツダ - - 19

 


2018/9/4 ルネサス、IoT中核技術の米半導体メーカー買収へ 

半導体大手のルネサスエレクトロニクス (Renesas Electronics) は米国の半導体メーカー Integrated Device Technology (IDT) を買収する方針を固め最終交渉に入った。
IDTの株式時価総額は約49億ドルだが、買収額は60億ドル規模とみられる。

日経新聞が8月31日に報じ、ルネサスが検討していることを認めた。

付記 ルネサスエレクトロニクスは9月11日、買収を発表した。買収額は約67億ドル。

Integrated Device Technology (IDT) は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の中核技術である通信用半導体の設計・開発に強みがある。
データセンターや通信インフラ用の半導体を設計・開発する。音や位置などの情報をデジタル化し、高速処理する技術に強みがある。

IDTは2015年12月にドイツの半導体メーカーであるZMDI(Zentrum Mikroelektronik Dresden)の3億700万米ドルの買収を完了させた。

ZDMIはもともと自動車向け半導体やセンサ関連に強みを有している半導体ベンダーで、IDTのコアコンピタンスであるタイミング半導体やパワー半導体、RF半導体などと組み合わせることで、ソリューションとしてのシナジーが期待できるようになるほか、ZDMIが抱えている自動車関連を中心とした顧客は、旧来の顧客と重なるところが少なく、成長性の面でも有利である。

IDTの既存の「Communications Infrastructure」、「Data Center」、「Consumer」に、「Automotive and Industrial」が加わった。

Automotive and Industrial 部門では、両社の技術を統合し、全ての問題を取り扱う。

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ルネサスエレクトロニクス によれば、同社は企業買収に当たり、@自社の製品や市場との親和性・補完性、A候補企業の市場競争力や財務健全性、B買収後の統合の確度など、様々な視点から候補企業を厳選したうえ、同社と候補企業が一体となって創出する将来の事業及び株主価値を最大化することを企図している。

具体的には、買収検討の候補企業の有する製品群が、同社の注力する事業分野で市場競争力があり、且つ同社の主力とするMCI(Micro Controller Unit:マイクロプロセッサベースの制御IC)やSoC(System on a chip:システムをワンチップに集積)と相互補完でき、将来にわたってシナジー効果を生み出せる可能性があること、そして、買収後直ちにグループの財務体質のさらなる強化に寄与することとしている。
 

2017年2月に買収が完了したIntersil Corporationについて触れ、一連のインテグレーション作業、すなわち、マネジメント及び組織の一体化、コーポレート及び製品ブランドの整理・統一、世界各国にある営業をはじめとする拠点の統合などをすでに完了させているとしている。

ルネサスは2016年9月に、電源用半導体を中心としたアナログ、ミックスドシグナル半導体を手掛けるIntersilを32億1900万ドルで買収することで合意し、2017年2月に買収が完了した。

2018年1月1日付で、Intersil がルネサスの米販売子会社を統合し、社名を「Renesas Electronics America」に変更した。製品ブランドについても、軍事宇宙航空向け製品など一部を除き、ルネサスブランドに統一した。

 

ルネサスエレクトロニクスは2010年4月に、日立製作所と三菱電機のJVのルネサステクノロジと、NECのNECエレクトロニクスが合併して誕生した。

しかし、過剰な設備や人員を抱え、最終赤字が続いた。

2012年12月に懸案となっていた財務基盤の抜本的強化について、産業革新機構・トヨタ自動車・日産自動車など9社を割当先とする総額1500億円の第三者割当増資を行うことを発表した。2013年9月30日に払込手続きが完了し、産業革新機構が 約69%で筆頭株主となった。

その後、大規模な人員削減や不採算事業の撤退を進めた。

2013年10月、確実に収益をあげる企業体質を目指し、「ルネサスを変革する」として、各種構造改革から成る「変革プラン」を発表、2014年3月期に2010年のルネサス エレクトロニクス発足来、初めて最終黒字化した。

現在の主要株主は次の通りで、NECは 持株を売却した。産業革新機構は株の売却で約4000億円の利益をあげている。

  2014/3/31 2018/6/30
産業革新機構 69.15% 33.38%
三菱電機 6.26% 4.53%
日立製作所 7.66% 3.71%
NEC 0.75%
デンソー 0.49% 4.99%
トヨタ自動車 2.49% 2.99%
日産自動車 1.49%


 


2018/9/5   建設石綿訴訟の控訴審、原告全面勝訴 

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫などを発症したとして、京都府内の元建設労働者と遺族計27人が、国と建材メーカー14社に計約9億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が8月31日、大阪高裁であった。

裁判長は、1審京都地裁判決(2016年1月)に続いて国とメーカーの責任を認め、計約2億9千万の支払いを命じた。

1審では認められなかった「一人親方」と呼ばれる個人事業主に対する国の責任も認めた。
労働安全衛生法には「労働現場で生じる健康障害について労働者以外の保護を念頭に置いた規定がある」と指摘。この規定は「一人親方についても安全を図る趣旨」であるとし、一人親方も同法で保護されるべき対象で救済対象だと判断した。

一人親方」への国の責任を認めたのは2018年3月の東京高裁判決(「建設現場で労働者とともに作業に従事した一人親方らは法律上、保護される」とした)に続き、2件目。

他の判決では、一人親方は労働関連法令の「労働者」に含まれないとして責任を認めていない。
但し本件の1審(京都地裁)では、
労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を否定したものの、一人親方を保護する法律を定めなかった立法府の責任を問うことで解決されるべき問題とした。

全国で起こされている「建設アスベスト訴訟」で高裁判決は3件目。

    国の責任 メーカーの責任 一人親方への責任
東京高裁 2017/10 X  労働関係法令が保護対象とする「労働者」でない。
東京高裁 2018/3 X 因果関係不明 〇 建設現場で労働者とともに作業に従事
大阪高裁 2018/8 〇 労働者以外の保護を念頭に置いた規定

国とメーカー双方に賠償を命じるとともに、一人親方に対する国の責任も認めるという原告側全面勝訴の判決は初めて。今後の同種訴訟に影響を与えそうだ。

 
 
これまでの建設石綿訴訟の判決は次の通り。(〇は有罪、Xは無罪、一人親方の〇は補償対象、Xは補償対象外)
  判決 一人
親方
メーカー  
横浜地裁(1陣)
  
2012/5 X X X

原告の請求を全て棄却

「1972年時点で、石綿粉じん曝露により肺がん及び中皮腫を発症するとの医学的知見が確立した」
2006年に至るまでアスベスト建材の使用を全面禁止しなかったこと等について、「著しく合理性を欠く」と言うことまではできない。

   東京高裁 2017/10 X 国とメーカー4社の責任を認めて計約3億7200万円  

1972年ごろまでには石綿が健康被害を及ぼすとの医学的知見が確立していた。
国が1975年に建設作業での石綿吹き付けを原則禁じるなどの対策を講じてから5年たった1980年までに、事業者に対して屋内建設現場で作業する労働者に防じんマスクを着用させる罰則付きの義務化を図らなかった点などを違法と判断。 (1981年1月以降は違法)
義務化が実現した1995年4月までに現場で作業していた本人や遺族計44人への賠償を認めた。

(メーカー)
1975年時点で石綿の危険性などを建材に警告表示する義務があった。
石綿製品のシェアなどから、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、エム・エム・ケイ、神島化学工業に賠償責任があるとし、本人や遺族計39人への賠償を認めた。

(一人親方)
労働関係法令が保護対象とする「労働者」には当たらず、国は賠償責任を負わない。

東京地裁
  
2012/12 X X 国に対する請求を一部認容
170人に総額10億6394万円の賠償命令

国は石綿の吹き付け作業では1974年、切断などでは1981年に規制の義務を負っていたが怠り、違法だ。

遅くとも1981年以降
・事業者に防じんマスクの着用を罰則つきで義務づける
・建材に「肺がんなどを生じさせる」と警告表示する
などの対策をとれば、多くの被害を防止できたと結論づけた。

 

この時期以降に屋内で建築作業に従事した労働者に限り、国の賠償責任がある。
 
屋外作業では危険性を容易に認識できたと言えず、零細事業主や個人事業主についても国は責任を負わない。

(メーカー)石綿を含有した建材の製造販売企業に共同不法行為は成立しない。

2012/12/10 建設労働者アスベスト訴訟、国に初の賠償命令

  東京高裁 2018/3 X 一人親方」(被災者ベースで150人ほど)を含む327人に計約22億8140万円を支払うよう国に命じる判決

遅くとも1975年10月(改正特定化学物質障害予防規則施行日)には防じんマスクの着用などを義務付けるべきだった」と指摘した。
1審で明確に示されなかった終期を2004年9月30日(改正労働安全衛生法施行令施行日前日)とした。

「建設現場で労働者とともに作業に従事した一人親方らは法律上、保護される」

メーカーへの請求は、「健康被害との因果関係が立証されていない」などとして、棄却した。

屋外作業に関わっていた原告も救済の対象にならなかった。

2018/3/21 建設石綿訴訟の控訴裁判決、一人親方も救済  

福岡地裁
  
2014/11 X X 国に対する請求を一部認容
36人に総額1億3700万円の賠償命令

建設現場での防じんマスク着用は「被害防止対策としては唯一有効な手段」

国は遅くとも1975年までには石綿被害の危険性を認識できた。
同年から罰則付きでマスク着用を義務づけるべきだった。
危険性を知らせる警告表示について、建材や建設現場などで義務づけるべきだった。

1995年まで国がこうした規制を怠ったのは「違法」

(メーカー)
加害企業の特定が出来ない。
「建材メーカーは製造販売の時期や製品がそれぞれ異なり、加害行為の一体性を一律に認めることはできない」
「42社以外に損害を与える企業がなかったと証明されていない」

(一人親方)
個人事業主で労働基準法が適用される労働者に当たらない。

大阪地裁 2016/1 X X 国の責任を一部認める。
原告14人に計9746万円

国は遅くとも1975年には、石綿吹き付けなどに従事した作業員が石綿関連疾患を患う危険性を認識できた。
国は1975年時点で、事業者に対して労働者に防じんマスクを使用させるべき義務を明示的に定めるべきだった。

(メーカー)被害者が実際に扱った石綿建材を具体的に特定するものではない。

(一人親方)労働関係法令の保護対象ではない

2016/1/27 建設アスベスト訴訟で国が3度目の敗訴

京都地裁 2016/1 X









国に対しては原告15人に総額1億418万円、建材企業9社に対しては原告23人に総額1億1245万円の支払いを命じる

国については、
・吹付作業者に対する規制については1972年10月1日以降、
・建設屋内での石綿切断等作業については1974年1月1日以降、
・屋外での石綿切断等作業については2002年1月1日以降、
国が、アスベスト建材について防じんマスクの着用や集じん機つき電動工具の使用、さらには警告表示を義務づけることの規制を怠ったことの違法性を認めた。

(メーカー)
主要なアスベスト建材企業であるエーアンドエーマテリアルやニチアス、ノザワなど9社について、被害者23名との関係で共同不法行為責任(民法719条2項)を肯定し、同種訴訟で初めて企業の賠償責任を認めた。
国の賠償の対象とされてこなかった「一人親方」ら個人事業主も含まれる。

(一人親方)
労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を否定したものの、「(一人親方を)保護する法律を定めなかった立法府の責任を問うことで解決されるべき問題 」

2016/2/2 アスベスト訴訟でメーカーに初の賠償命令

  大阪高裁 2018/8 国に対し、国の対策は十分ではなく、防塵マスクの着用や警告表示を義務付けなかったことは違法」などとして、原告全員に計約1億8千万円を支払うよう命じた。

(一人親方)
労働安全衛生法には「労働現場で生じる健康障害について労働者以外の保護を念頭に置いた規定がある」と指摘。規定は「一人親方についても安全を図る趣旨」であるとし、一人親方も同法で保護されるべき対象で救済対象だと判断した。

(メーカー)
「建材に含まれる石綿の量や危険性などを具体的に表示すべきで、警告表示義務違反があった」と認定。
20〜25%程度のシェアを持つ10社に計約1億1千万円の支払いを命じた。

札幌地裁 2017/2 X X 国に計1億7600万円の賠償を命じた。

国は1979年には建設現場での石綿の危険性を認識していたと指摘した。
1979年以前に就労していた元労働者には賠償を認めず

(メーカー)
発症原因の企業を特定できないとして退けたが、国と建材メーカーによる損害補償制度の創設の必要性を指摘した。

(一人親方)
「一人親方」として働いた期間の国の責任も認めなかった。

横浜地裁(2陣) 2017/10 X

 

国とメーカー2社 (ニチアスとノザワ) に対し、計約3億円を原告39人に支払うよう命じた。国とメーカーの賠償対象が8人。
国のみが29人。メーカーのみが2人。

国は遅くとも1976年までには防じんマスクなどの使用や作業現場への警告表示を義務付けるべきだった。

(メーカー)
同時期までにアスベストの危険性を警告する義務があったのに怠ったと認定
発症原因だとほぼ特定できた建材メーカー2社に賠償を命じた。

「一人親方」
労働関連法令の「労働者」に含まれない。

 

 


 

2018/9/6    世界初、太陽の可視光を吸収して水を分解する窒化タンタル光触媒

NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem:Japan Technological Research Association of Artificial Photosynthetic Chemical Process )は9月4日、東京大学、信州大学とともに、世界で初めて、可視光領域で水を分解する窒化タンタル光触媒の開発に成功したと発表した。
可視光領域の波長600nm近辺は太陽光で最も強度が高い領域のため、効率的なエネルギー活用が期待できる。

窒化タンタルは、次世代の光触媒材料として2000年頃から有望視されていたが、実際に光触媒を製造して水分解を確認できたのはこれが世界で初めての事例となる。

 

NEDOとARPChemは、太陽光のエネルギーで水から生成した水素と、工場などから排出されるCO2を合成して、プラスチック原料などの化学品を製造する人工光合成の研究開発を進めている。

今回の成果は最初の光触媒の開発である。光触媒開発については、2021年度末に最終目標の太陽エネルギー変換効率10%を達成すべく、研究開発を進めている。

NEDOとARPChemは本年8月28日に、太陽電池材料として知られるCu(In,Ga)Se2(略称CIGS)ベースとした光触媒で、非単結晶光触媒の中で世界最高の水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成したと発表した。また、従来の酸素生成光触媒(BiVO4)を組み合わせた2段型セルによる水の全分解反応を調査し、太陽光エネルギー変換効率は3.7%を記録した。
非単結晶なので、大型化(メートル級)に適した材料系になる。

今回、NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は、東京大学、信州大学とともに、世界で初めて、可視光を吸収して水を分解する単結晶窒化タンタル(Ta3N5)微粒子光触媒の開発に成功した。

複合酸化物(タンタル酸カリウム、KTaO3)微粒子を従来の1/10以下の短時間で窒化することで、複合酸化物微粒子上に単結晶の窒化タンタル微粒子を直接形成し、さらに水素生成反応を促進する助触媒を担持させた。これにより、窒化物微粒子が高品位化して光励起された電子と正孔を水分解反応に有効利用することが可能となり、今回の窒化物微粒子光触媒の開発につなげられた。

従来の光触媒は、吸収波長が主として紫外光領域(〜400nm)に限られるものが多かったが、この光触媒は水中に分散することで、400nmから600nmまでの波長範囲の可視光、および疑似太陽光を吸収して水を分解することができる。また、これを基板に固定化すれば、光触媒パネル反応器に組み込んで利用できる。

600nm近辺は太陽光で最も強度が高い波長域のため、効率的なエネルギー活用が期待できる。

今回開発した光触媒は、従来検討されてきた方法に比べて1/10以下の短時間での製造が可能で、安価なプロセスの実現が期待できる。

今後、窒化タンタル光触媒の合成手法の改良や、酸窒化物(酸化物イオンと窒化物イオンが共存する化合物)や酸硫化物(酸化物イオンと硫化物イオンが共存する化合物)などの異なる材料への展開を通じて水分解用微粒子光触媒の機能改良を進め、太陽光を使って製造する水素と、工場などから排出されるCO2を利用して化学品を製造するプロセスの実現に向けた研究開発の加速につなげる。


なお、NEDOとARPChemは2018年1月19日、東京大学、TOTO、三菱ケミカルとともに、人工光合成システムの社会実装に向けて大面積化・低コスト化を実現する新しい光触媒パネル反応器の開発に成功したと発表している。

開発した反応器は、基板上に光触媒を塗布し形成したシートを用いて、わずか水深1mmで水を安定的に分解可能で、既存の反応器に比べて反応器内の水の量を大幅に低減でき、軽量で安価な材料で製造が可能となる。さらに、1m2サイズの大型の光触媒パネル反応器を試作し、自然太陽光下でも水を水素と酸素に分解できることが確認でき、光触媒パネル反応器を実用化に近づける設計の基本原理を示した画期的な成果であるとしている。

 

ーーー

人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は、CO2と水を原料に太陽エネルギーでプラスチック原料等基幹化学品を製造する革新的触媒の開発やプロセス基盤の確立等に関する技術開発を目的に2012年10月に設立された。

組合員は下記の6企業、1団体。

国際石油開発帝石、住友化学、富士フィルム、三井化学、三菱化学、TOTO、ファインセラミックスセンター

研究開発体制は下図の通り。

スケデュール

2016年度にオレフィン合成プロセス(小型パイロット規模)を確立し、2021年度に光触媒のエネルギー変換効率10%を達成。その後、スケールアップを進め、原料変換を図る。



2018/9/7    中国、アフリカとの関係を更に強化 

中国とアフリカ諸国が関係強化について話し合う中国アフリカ協力フォーラム(The Forum on China-Africa Cooperation:FOCAC)が9月3日〜4日、北京で開かれた。2000年から3年ごとに中国とアフリカで交互に開催されている。

4日には、『より緊密な中国アフリカ運命共同体の構築に関する北京宣言』を発表し、2019年から2021までの『中国アフリカ協力フォーラム―北京行動計画』を採択した。

今回はアフリカで唯一、中国と国交のないKingdom of eSwatini(旧称 スワジランド、本年国名を改めた)を除く53カ国が代表を派遣し、うち30近い国が首脳級を送り込んだ。

習近平は開会挨拶で「いま新しい世界が開けた。中国アフリカの団結を誰も破壊できない!中国アフリカは運命共同体だ!」と述べた。

習主席はアフリカへの支援として無償援助150億ドルを含む総額600億ドルの拠出を表明した。これまでの借款を2018末までに償還できない一部の国に対し、債務を免除する方針も示した。

さらに習首席は安全保障面にも支援を広げていく考えを表明した。「銃声なきアフリカ」の実現を目指すとし、アフリカ諸国が安保上の課題を自主的に解決するために「治安維持能力の向上を支援する」と語った。

中国のアフリカ進出には、資源の確保や中国製品の輸出先の拡大を目的とする「新植民地主義」との批判がつきまとう。このため、援助額はこれまで通りに据え置いた上で、気候変動 対策を強調するなど、援助の質の向上を強調。さらには現地の雇用を生む工業製品などの輸入を増やす考えを示した。

アフリカ側も中国の巨大経済圏構想「一帯一路」がアフリカ地域の一体化を加速すると評価した。

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中国とモーリシャスは9月2日、両国間の自由貿易協定(FTA)の交渉を終了し、「中国・モーリシャス自由貿易協定の交渉終了に関する了解覚書」に調印した。

今後、最終的な調印に向けて準備を進める。これは中国とアフリカ諸国の間で締結される初のFTAになる。

2017年12月に交渉をスタートし、4回の交渉と交渉の合間に行われた数々の折衝を経て、すべての内容について包括的合意に達した。

「全面的、高水準、互恵」の目標を達成し、貨物貿易、サービス貿易、投資、経済協力などさまざまな分野をカバーするものとなったとしている。

人民網は、「両国の二国間経済貿易関係の深化に有力な制度的保障を与えるだけでなく、中国とアフリカの全面的な戦略的パートナーシップに新しい形式と新しい内容を盛り込み、中国とアフリカ諸国がより緊密な利益共同体と運命共同体を構築することを推進し、『一帯一路』構想とアフリカ経済一体化プロセスとの連携を促進することになる」と している。


2018/9/8 Novartis、米後発薬の一部を売却

スイス製薬大手のNovartisは9月6日、後発医薬品子会社Sandozの米国事業の一部(皮膚科領域と錠剤などの経口投与剤)を9億ドルでインドの後発薬大手、Aurobindo Pharma USA Inc.に売却すると発表した。
他に一定の条件を満たした場合、1億ドルを受け取る (potential earn-outs)。

米国で長期的に利益ある成長を達成するため、価格競争の激しい分野を切り離し、後発薬でも複雑なもの、付加価値の高いもの、バイオシミラーなどに集中する。

売却するのは約300種類の製品と開発中のもので、皮膚科開発センター及び North Carolina州Wilson、New York州 Hicksville 及びMelvilleの製造工場を含む。売却製品の2018年上半期の売上高は6億ドル。

Aurobindo Pharmaは、1986年に設立され、1988年に半合成ペニシリンの製造から生産活動を開始した。 1995年にはムンバイ証券取引所に上場。

インド国内、米国、ブラジルに、中間体、原薬、製剤併せ14の製造拠点を構え、グローバルな生産、マーケティングを展開している。各種抗生物質、抗ウイルス、中枢神経系、循環器系、消化器系等の分野の200品目以上の原薬、それらを用いた300品目以上の固形、注射製剤を持ち、売上高は10億米ドル以上。

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Novartisは1997年にSandoz とCiba Geigyが統合して設立された。

Sandozの化学品は1995年にClariantとして、Ciba Geigyの化学品は1997年にCiba Specialtyとして、それぞれ独立している。
種子事業は2000年にAstraZenecaの農薬部門から独立したSyngentaに売却した。

このほか、2007年に医療用栄養食品のMedical Nutrition とベビーフードのGerberをNestleに売却している。
逆に、NestleからEye care 製品(医薬品、手術製品、コンタクトレンズ、OTC製品)のAlconを買収した。(2008年に25%、2010年に52%で、合計77%)

 

同社の部門別業績は下記の通り。(百万米ドル)

  2013年

2017年

 
  Sales Operating
Income
Sales Operating
Income
Core
Operating
Income
 



Innovative Medicines 32,214 9,376 33,025 7,782 10,330  
Alcon (Eye care) 10,496 1,232 6,024 -190 857

2019年分離

Sandoz (Generics)
 うち今回売却分
9,159 1,028 10,060
(1,200)
1,368 2,080  

Vaccines and Diagnostics 1,987 -165 - - -  
Consumer Health 4,064 178 - - -  
Others - -739   -331 -417  
Total 57,920 10,910 49,109 8,629 12,850  

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編 及び同社決算発表

なお、Novartisは2018年6月29日、眼科分野の子会社Alconをグループから分離すると発表した。
2019年前半にスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場させる。時価総額は250億ドル以上とみられている。

2018/7/5   Novartis、眼科分野の子会社 Alcon を分離・上場



2018/9/10 ExxonMobil、中国で新しい石化コンプレックス、LNG受入基地も 

ExxonMobilは9月5日、広東省政府との間で、恵州大亜湾石油化学工業団地に石油化学コンプレックスを建設する協議を進める基本協力契約に調印したと発表した。中国での化学品に対する需要の伸びに対応する。

恵州大亜湾石油化学工業団地には中海シェル石油化学(CNOOC and Shell Petrochemicals Company Limited)の石化コンビナートがある。

2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2
 

計画では、年産120万トンのエチレン(原料は多様化)、2基の機能性ポリエチレン系列、2基の機能性ポリプロピレン系列を含む。2023年の操業開始を目指す。

基本契約では、ExxonMobilがLNGの供給を含めて参加する意向の恵州LNG受入基地の建設に省政府が協力することも確認している。(本件については詳細を明らかにしていない。)

エチレンと誘導品で最先端の製造技術を使用し、中国の石油化学政策(自給自足の多様化した原料ソース、燃料と価格品のバランス是正、最先端の競争力ある技術)の達成に向け支援するものとなるとしている。

ExxonMobilは既に、福建省泉州に福建煉油(SINOPECと福建省政府の50/50JV)とSaudi Aramco との2つのJVを持つ。

@Fujian Refining & Petrochemical Company Limited 

福建煉油の製油所(4百万トン/年)を12百万トン/年に拡張し、石油化学コンプレックスを新設

出資:ExxonMobil China Petroleum and Petrochemical Company Limited 25%
   
Saudi Aramco Sino Company Limited  25% 
    
福建煉油Fujian Petrochemical Company)50%

製品: エチレン 80万トン→ 110万トン
  PE 80万トン→96万トン
  PP 40万トン→55万トン
  芳香族 100万トン
  パラキシレン 70万トン

ASinopec SenMei (Fujian) Petroleum Company Limited.  ガソリン販売

 出資:Sinopec  55%
     ExxonMobil China Petroleum and Petrochemical Company Limited 22.5%
     Saudi Aramco Sino Company Limited 22.5%

2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2
 

ExxonMobilでは、アジアでの需要の伸びに対応するため、他の石化計画も検討している。

同社では、アジア太平洋地区と北米での石油化学能力が40%程度伸びるとみている。13の新しい設備が加わるとみており、そのなかには同社のメキシコ湾岸拡張計画の一部である2系列のエタンクラッカーが含まれる。今回の計画はこの一環である。

同社は最近、テキサス州のBaytownで年産150万トンのエタンクラッカーの操業を開始した。

2014/6/20  ExxonMobil もエチレンとポリエチレン工場の建設開始 

同社とSABICは新しいJVを設立し、テキサス州で年産180万トンのエタンクラッカーを建設する。エチレングリコール、2基のPEプラントも建設する。

2016/7/28 SABIC とExxon Mobil、米国 Gulf Coast で石油化学JV構想 付記

 



2018/9/11   Trump 大統領、米企業に「米国に生産を移管せよ」

Trump 政権が近く実施する予定の年2千億ドル相当の中国製品に対する第3弾の追加関税の対象品目に多くのApple製品が含まれていることが、 同社が9月5日に米通商代表部(USTR)に宛てた文書で明らかになった。

主力製品で同社の売り上げ2290億ドルの2/3を占める iPhoneや、売上高192億ドルのiPad、売上高258億ドルのMac computerは対象外だが、Appleの腕時計型端末Apple Watch や無線イヤホンAirPod headphone、人工知能(AI)を備えたHomePod smart speaker、キイボードやマウスのない低価格パソコンMacMini、 タブレット端末の入力用ペン Apple Pencil、更には充電器やアダプター、iPhone や iPadの革製のカバーなどが含まれる。

なお、Trump大統領は9月7日、1〜3弾の2500億ドルの残りの2670億ドルにも追加課税する用意があると述べた。

その場合には当然、今回免除となる iPhoneや、iPad、Mac computerも対象となる。

AppleはUSTRへの文書で「追加関税により、結果として米国の経済成長や競争力が押し下げられ、米消費者向けの販売価格の上昇につながる」との懸念を示し、 「関税は米消費者への課税となり、顧客の日常生活に欠かすことができなくなっているApple製品のコスト増をもたらす」と説明、「こうした政策を再考し、米国の経済と消費者を従来にも増して力強く健全な状態とさせる、より効果的な他の解決策を見いだす」ことを求めた。

これに対し、Trump大統領はツイッターで、「関税をゼロにする簡単な方法がある。中国ではなく米国で生産せよ」と述べた。

Apple prices may increase because of the massive Tariffs we may be imposing on China - but there is an easy solution where there would be ZERO tax, and indeed a tax incentive.
Make your products in the United States instead of China.
Start building new plants now. Exciting! #MAGA

#MAGA は Make America Great Again! のこと

 

Ford Motorは8月31日、2019年から予定していた中国のJV製の小型車 Focus Active SUVの米国への輸入を取りやめることを明らかにした。「関税のマイナス影響を避けるため、米国での販売中止を決定した」としている。

Trump政権は中国の知的財産侵害に対する制裁措置の第1弾として、7月に自動車を含む340億ドル相当の輸入品に25%の追加関税をかけた。

同社は Focus sedanをMichigan工場で生産していたが、同工場でRangerの改良モデルとBronco SUVに切り替えるため5月に生産を停止した。

中国からの輸入を計画していたFocus Activeは、販売計画が5万台以下のため、この工場での生産は考えられないとしている。

2017/6/30   Ford、小型車を中国で生産

GMもBuickブランドの多目的スポーツ車(SUV)を中国で生産して米国で販売する が、同社は関税分のコストを自社で負担しつつ、USTRに関税の適用除外を求めている。

これに対し、Trump大統領はツイッターで、「これは初めに過ぎない。米国でつくれば関税はなしだ」とした。続けて、「自動車の中国での関税は25%、米国は2%だ。これはフェアか? こんなのは終わりだ」としている。

 
“Ford has abruptly killed a plan to sell a Chinese-made small vehicle in the U.S. because of the prospect of higher U.S. Tariffs.” CNBC.
This is just the beginning.
This car can now be BUILT IN THE U.S.A. and Ford will pay no tariffs!

If the U.S. sells a car into China, there is a tax of 25%. If China sells a car into the U.S., there is a tax of 2%. (正しくは2.5%)
Does anybody think that is FAIR?
The days of the U.S. being ripped-off by other nations is OVER!

 


Trump は米国の自動車関税は2.5%と誇るが、実際にはビッグスリーの主力収益源である4輪駆動などスポーツ用多目的車(SUV)は25%である。

米国では自家用自動車は『乗用車(passenger cars)』か『ライトトラック(light trucks)』に分類される。
『乗用車』はセダン、ステーションワゴン、クーペ。『ライトトラック』にはピックアップトラック、SUV、バン、ミニバンが含まれる。

自動車全体では、ライトトラックの方が乗用車より売上高は大きい。
 

 

なお、Trump大統領の次の標的は日本とされている。日本の対米貿易黒字を問題にし、特に自動車と農業を問題視している。

自動車の輸入関税だけをとると、米国の税率は2.5%であるのに対し、日本は0%であり、前記のツイッターでの主張は当て嵌まらない。

但し、現実に輸入がほとんどないのは非関税障壁であるとの主張がある。(排気量により税額が大きく異なる自動車税はその一つ)

 

 


2018/9/12 住友商事、Freeport LNG とLNG長期購入契約締結 

Freeport LNG は9月6日、住友商事の米国子会社との間で年間220万トン、20年間のLNG供給契約を締結したと発表した。

契約は、テキサス州Freeport の近くのQuintana Islandで建設中の第4系列LNGプラント(年産500万トン)が商業生産を開始する2023年にスタートする予定。

Quintana Islandでは1〜3系列(それぞれ年産500万トン)が建設中で、第1系列は2019年上半期に生産を開始する。

Freeport LNGでは、第4系列の運営には最低350万トンの契約が必要だが、これが重要な一歩になるとしている。

ーーー

Freeport LNG の建設中の3系列は、能力1500万トンで、日量2.2 Bcf の天然ガスを液化する。

同社は1〜3系列について、2011年に米エネルギー省からFTA締結国向け輸出の承認を受け、2013年5月に日本などFTA非締結国への輸出の承認を初めて受けた。

第4系列については2018年3月にFTA非締結国向け輸出の承認を受けた。

これまでに下記の輸出契約を締結している。

Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
 

 大阪ガス

  220万トン
   中部電力   220万トン
   BP Energy   440万トン
    東芝    220万トン
  SK E&S LNG  

220万トン

  Trafigura  

50万トン

     再計   1370万トン

2013/5/20  米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可

このうち、東芝の220万トンについては、これを武器に日本の電力会社などに火力発電設備を売り込もうとしたとされる。しかし、現時点でも販売先は全く決まっておらず、固定費保証契約のため、同社では過去に最大1兆円の損失の恐れがあるとした。

8月に入り、東芝がこれを売却する方針を固めた。入札手続きを始めており、海外のエネルギー関連企業など10社近くが関心を示しているという。


ーーー

住友商事と東京ガスは2014年2月、Dominion 社が米国メリーランド州で実施する Cove Point LNGプロジェクト(液化能力 年500万トン)における天然ガス液化加工委託およびLNG販売を目的に、共同事業会社 ST Cove Point LLCを設立した。



住友商事の100%子会社であるPacific Summit Energyを通じて米国産天然ガスを調達し、Dominion Cove Point LNG が液化加工した年間約230万トン分のLNGを輸出するプロジェクト。
2018年4月に商業運転を開始した。

このうち、東京ガスは年140万トンのLNGを輸入(英のCentricaとスワップ)、住友商事は残り90万トンのうち、80万トンを関西電力に販売する。

2016/11/22 東京ガス、英のCentrica とLNGをスワップ  


 


2018/9/13   Altaba Inc.、日本のヤフー株全株を売却

米Altaba Inc.(旧 Yahoo! Inc.)は9月10日、保有する日本のヤフー株を1株あたり354円ですべて売却すると発表した。ヤフーの10日終値371円を約5%下回る。
株式の譲渡日は9月14日になる予定としている。

Altaba はヤフー株の26.82%の13億6353万株を保有しており、ソフトバンクグループに次ぐ第2位の株主。

2018年3月31日付でヤフーの35.6%を保有していた。
ソフトバンクグループは36.4%、ソフトバンク子会社のSBBM (旧称ソフトバンク・ブロードメディア)が6.6% 保有。

Altabaは2018年2月にヤフー株の売却方針を明らかにした。

大量のAltaba持株が市場に出ると株価が暴落する。報道を受け、株価は低迷した。

このため、ソフトバンクとヤフーは次の処置を行った。

@ ソフトバンクは7月10日、ヤフー株式のTOBを実施すると発表した。Altabaが保有する約35%のうち、6億1388万株(10.78%相当)を約2210億円で買い付ける。 買い付け価格は1株360円。

Aヤフーが6億1111万株(10.7%)の自社株買いを実施し、ソフトバンクグループの保有株を取得する。買い付け価格は同じ360円。

  ソフトバンクグループの持ち株はAltaba持株の買収で10.78%増え、ヤフーの自社株買い(ヤフーへの売却)で10.73%減り、42.97%となる。

Altabaの持ち株はソフトバンクへの売却で10.78%減り、ヤフーの自社株買いで母数が減ることで2.89%増え、26.82%となる。

 

持株比率の推移は次の通り。

  2018/3/31 2018/6/15 2018/7/10   2018/8/8   2018/8/31
      共同保有
解除
Altaba持株
買収
  自社株
買い
 
ソフトバンク 36.38 36.37 36.37 +17.33 53.70 -10.73 42.97
SBBM 6.56 6.56 6.56 -6.56 0   0
(小計) (42.94) (42.93) (42.93) (+10.78) (53.70) (-10.73) (42.97)
Altaba 35.57 34.77 34.71 -10.78 23.93 +2.89 26.82
合計 78.51 77.69 (77.64) (0) (77.63) (-7.84) (69.79)

ソフトバンクグループとAltabaはこれまで、先買権を付与する合意があり、ヤフー株の共同保有者となっていた。
この合意が解消されたため、2018/7/10以降は共同保有者ではなくなった。


今回、Altabaは当初約7億5000万株を売却して約25億ドルを調達する計画だったが、保有する13億6千万株の全株売却に規模を拡大した。売却額は総額で約43億4千万ドル(約4830億円)となる。
売却で得た資金は自社株買いなどに利用する。

ーーー

1994年、スタンフォード大学の楊致遠(Jerry Yang)とDavid Filo によってWeb Directory が始められた。

1995年3月1日、カリフォルニア州に Yahoo! Inc. を共同設立し、事業を開始した。

直後の1995年11月にソフトバンクと同社が買収したZiff-Davis Publishing Co.が200万ドルを出資し、株式の約5%を取得した。(NASDAQでの株式公開は1996年4月である。)

その後1996年1月に、ソフトバンクとYahoo は日本でインターネットビジネスの本格的展開を図るため、ヤフー株式会社を設立した。

資本金は2億円で、ソフトバンクが60%、Yahooが40%であった。

 

米国のYahooは2008年ころから経営が悪化、従業員削減を繰返して行い、CEOも相次いで交代した。企業買収もしくは売却の危機にさらされ続けた。

Microsoft が買収を試み、2005年、2006年、および2007年に合併交渉を行った。だがYahoo側が難色を示し実現しなかった。

2008年2月1日にMicrosoftは現金と株式の446億ドルでの一方的な買収を申し入れ、それは後に敵対的買収をめぐる攻防になったが、最終的にMicrosoftは撤退した。
Microsoftによる買収に賛成する株主(Carl Icahnなど)が会社側の決定を不満とし、争いになった。

2017年に、ポータルサイトなど中核のネット事業を通信大手で、AOLの運営を行う Verizon Communicationsに約48億ドルで売却し、社名をAltaba に変更した。

事業を売却した結果、日本のヤフーや中国の電子商取引大手Alibaba(阿里巴巴集団)などの株を保有する投資会社になっている。



2018/9/14  千代田化工、米国のExxonMobil / SABIC JV のエチレンプラント建設を受注

千代田化工建設は9月11日、米国 Kiewit Energy Group と共同で、米国メキシコ湾岸で計画されている大型エチレンコンプレックス建設計画のうち、心臓部となるエチレン生産プラントを一括受注したと発表した。

受注したのは、ExxonMobilとSABICの新しいJVがテキサス州San Patricio County建設するエチレンコンプレックスで、年産180万トンのエタンクラッカー、エチレングリコール、2基のPEプラントを建設する。

この計画のうち、千代田化工とKiwitは、エチレン生産プラントの設計・調達・建設工事(EPC)及び、プラントモジュールの組立 ・運搬役務を受注した。2022年第1四半期までに完了予定。

2016年7月25日に石油化学JV構想が発表され、2017年4月19日に立地を発表、2018年5月1日にJVが設立された。Gulf Coast Growth Venturesと呼ばれている。

現在、環境許認可の取得中。環境への配慮を強調している。

2016/7/28 SABIC とExxon Mobil、米国 Gulf Coast で石油化学JV構想

 

 

千代田化工は、これまで大型石油化学プラントのEPC業務を世界中で遂行してきた実績及び米国におけるEPC業務の経験を生かして、同じく豊富な実績に加えて米国で高い評価を有するKiewit と蜜に連携しながら、本案件を成功裏に完工するべく、鋭意取り組 むとしている。

ーーー

パートナーのKiewit Energy Group は現在では従業員所有企業として米国、カナダおよび諸外国で事業展開をしている。

交通、水処理、大型建設工事、発電、石油・ガス・化学工業、ビル建設および鉱業等における建設および設計業務を得意とする。

2017年の売上高は87億ドル。

日本企業も多くのプロジェクトを同社と共同で行っている。

2013年4月 IHI:Dominion 社のCove Point LNG 計画(年産525万トン)のEPC契約

2017年7月 日揮:米国西海岸のJordan Cove LNGプラント建設プロジェクト
 

最新分は http://blog.knak.jp