VLP Therapeutics Japanは10月12日、大分大学でCOVID-19に対するレプリコン(次世代mRNA)ワクチンの第1相臨床試験(治験)を開始したと発表した。
同医学部附属病院臨床薬理センターにおいて初回投与が行われた。

20歳以上65歳以下の健康成人男女45名を対象とし、2回筋肉内接種した時の安全性と免疫原性(有効性)を検討する。

用量が異なる3つの接種群に分け、各接種群で被験者15名ずつが0.5mLを2回、4週間隔で接種する。

同社では、日本医療研究開発機構(AMED)及び厚生労働省の支援のもと、国内6機関(医薬基盤・健康・栄養研究所、大分大学、大阪市立大学、国立国際医療研究センター、国立病院機構名古屋医療センター、北海道大学)と協力し、国産コロナワクチンの研究開発・臨床試験を進めている。

ワクチンは、富士フイルムが製造している。

 

VLP Therapeutics Japanは赤畑渉博士が米国で設立したVLP Therapeutics, LLCの日本子会社。

VLP TherapeuticsのCOVID-19ワクチンは、Pfizer と同じく、mRNAを脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle)に内包するものだが、mRNAは体内で分解しやすいため一定量の投与が必要である。

これに対し、VLP Therapeuticsのワクチンは自己増殖mRNA(レプリコン)を有効成分とし、脂質ナノ粒子に内包する。
体内で自己増殖する機能を加えることで、微量でも効果が出る。

体内に投与されたmRNAが自己増殖して大量の抗原をつくりだす。VLPの試算では、1人当たり投与量はPfizer製ワクチンなどの1/10から1/100で済む。
127グラムで日本の全人口分を賄えるという。(10/12 FNNプライムオンライン)

なお、自己増殖するが、10日前後で遺伝情報はなくなるため、安全性に問題はないという。

また、ウイルスの細胞への侵入を効果的に防ぐ設計がなされている。

赤畑氏は「少量でも十分な抗体ができる上、RNAが体内に残らない安全なワクチンだ」とし、「新たなテクノロジーを使った日本発のワクチンで、今後新たな感染症が広がった際にも素早く対応可能な国産の基盤技術になる」と強調している。

レプリコンワクチンの開発は政府も資金支援している。

2020年10月1日に富士フィルムとの間で新型コロナウイルス感染症ワクチンの製剤の製造委託契約を締結した。

富士フィルムは2020年3月に脂質ナノ粒子製造装置の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるカナダのPrecision NanoSystems Inc.と戦略的パートナーシップ契約を締結している。

富士フイルムは保有する脂質ナノ粒子製剤の製造設備・インフラを活用して、VLP TherapeuticsのCOVID-19ワクチンの製剤のプロセス開発から治験薬製造まで受託していく。
数カ月で1億回分の生産が可能になると見られ、将来は海外への供給も目指す。

当面、最大年5000万回分の生産を目標とする。

2021/5/3 日本人開発の新タイプの新型コロナワクチン