ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp



2022/12/1 
東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・三菱商事4社、米国で日本向け合成メタン製造の検討
 
東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事は、
@米国テキサス州・ルイジアナ州で合成メタン(e-methane:非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタン)の製造、
AキャメロンLNG基地およびLNG船・受入基地等を活用した合成メタンの液化・輸送、
B2030年の日本への合成メタン導入開始
に向けた共同での詳細検討実施に合意し、検討に着手した。

日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」実現には、熱需要に対応するガス体エネルギーの脱炭素化が重要で、既存の都市ガスインフラや消費機器が活用でき、スムーズなカーボンニュートラル化への移行と追加的な社会コストの抑制が両立可能な合成メタンの導入が期待されている。
 

発電所等から排出されたCO2は、回収し、メタンの利用を通じて空間に排出される。 メタンの使用に際して新たなCO2排出はない。

 
このため、2030年に13万トン/年の合成メタンを製造し、日本へ輸出することを目指す。
 
原料を安定的に調達するための既存インフラが揃い、早期のサプライチェーン確立を図れるという点で、現時点で米国キャメロンLNG基地近傍を4社共同で取り組む最有望地域として選定した。
 

<サプライチェーンイメージ>

 

キャメロンLNGプロジェクトは、米Sempra Infrastructure、三菱商事と日本郵船の合弁会社のJapan LNG Investment、三井物産、TotalEnergiesが参画しているLNG輸出プロジェクト。

 

当初はフランスガス公社(GDF)と旧Suez の合併によるGDF SUEZが参加していた。GDF SUEZは2015年4月にENGIEに改称したが、ENGIEは2018年7月にこの権益を含むLNGの上流・中流事業をフランスのTotalに売却した。


 

<候補地>

本詳細検討で合成メタン製造の候補地としているテキサス州およびルイジアナ州は、

@現在から将来にわたり豊富な再エネ電力の調達が期待できることに加え、
A三菱商事が事業参画するキャメロンLNG基地があり、天然ガスパイプライン網等の既存LNGサプライチェーンの活用が可能。
Bさらには、既存の二酸化炭素(CO2)や水素のパイプラインが活用できる可能性もある。


日程

今後、本詳細検討の候補地において、再エネ・水・水素・CO2といった原料調達、合成メタン製造プラントの土地確保等に関する現地調査に着手
2023年度末に事業コンセプトを決定
2024年の基本設計(FEED)、2025年の投資意思決定、2029年の合成メタンの生産開始、2030年の日本への輸出開始を目指す。
 

2022/12/2   中国海洋石油工程、SHELL向けの円筒型浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)引き渡し

中国海洋石油総公司(CNOOC)傘下の海洋石油工程がShellからのオーダーで製造した巨大スマート集積化円筒型浮体式石油生産貯蔵積出設備 「Penguins FPSO(Floating Production Storage and Offloading System)」が11月29日、山東省青島市で引き渡された。

この設備の全体の高さは118メートル、総重量は約3万2千トンに達する。 (写真は新華社)

 

このPenguins FPSOは北海のBrent 油田のなかのPenguins oil and gas field の掘削に使用される。

Penguins はShell 50%、ExxonMobil50%であったが、昨年、NEO Energy がExxonMobilの権利を買収した。Shellがオペレーターである。

生産量は45,000 barrels of oil equivalent per day (boe/d) である。


 

この油田は1974年に発見され、2002年に開発を開始、当初は4つの井戸で汲み上げ、近くのBrent Charlie platformに送られていた。
2017年にBrent Charlie platformの閉鎖を決め、Shellは2018年にPenguins をFPSOで再開発することを決めた。新たに8つの井戸が掘削され、FPSOに接続される。

FPSOで処理された原油はタンカーで製油所に送られ、ガスは Far North Liquids and Associated Gas System pipeline経由でスコットランドのSt Fergusのガスターミナルに送られる。

海洋石油工程は2018年に建設を開始、当初は2021年3月に引き渡しの予定であったが、COVID-19の影響で遅れた。

ーーー

2015年に韓国の現代重工業がノルウェーのENI Norge ASからの注文で世界最大となる100万バレル級の円筒形FPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)を製造、ノルウェー北部ハンメルフェストから北西85km離れたGoliat海上油田に送られた。

高さ75メートル、重量5万9000トンである。



2022/12/3    米国中間選挙 下院選も未確定

米中間選挙は11月8日に投開票された。

上院については、既報の通り、ジョージア州で過半数を得た候補者がいないため、12月6日に決選投票を行う。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計 未定
選挙前 50 48 2 100  
非改選 30-1 34 2 65
改選 20 14   34
引退補選 1     1
選挙結果 19+1 14   34 1
合 計 49 48 2 99 1

50

ジョージア州で民主党が勝つと、無所属を含め51票となり、West Virginia州選出のManchin議員の反乱があっても、副大統領の最終票で勝つことが出来る。

 

下院については、現時点で2選挙区が接戦で、未確定である。

  共和党 民主党 欠員 未定 合計
選挙前 212 220 3   435
結果 220 213   2 435
増減 8 -7 -3 2  
過半数 218        

付記 

・カリフォルニア 第13区は共和党候補の勝利が決まった。

・今回当選したバージニア州の民主党  Donald McEachin が11月28日に死去した。当面 欠員で、追って特別選挙を実施する。

・この時点で、共和党221、民主党212、未定1、欠員1

 

日本時間 12月2日  17時 時点

 @ カリフォルニア州· 第13区  開票率 99%
    共和党 John Duarte 66,871票  
    民主党 Adam Gray  66,272票  
    差異     599票  
         
 A コロラド州 第3区 開票率 99%
    共和党 Lauren Boebert 163,842票  
    民主党 Adam Frisch    163,292票  
    差異 550票  

 

カリフォルニア州の場合、郵便投票の比率が非常に高い。この場合、それぞれの投票について、投票の署名が選挙人登録の署名と合致するかどうかをチェックする必要があり、非常に時間がかかる。

11月28日時点でカリフォルニア州全体で244,003株が未確定で、そのうち、184,989 票が郵便投票によるものである。カリフォルニア州では最終確定まで1カ月を認めている。

第13区の場合、差が599票しかなく、残りの票で逆転の可能性もあり、未確定である。

 

コロラド州の場合も大接戦である。しかし、当初、民主党のAdam Frischは敗戦を認め、投票の再計算を求めないと意見表明した。このため、本ブログではその時点で共和党勝利としていた。

しかし、コロラド州選挙管理委員会は11月30日、投票の再計算を命じた。コロラド州では、上位2者の票差が1位の票の0.5%以下の場合、再計算が必要となっている。

現在、差は0.34%しかないため、第3区の全ての票が再計算される。法律により、期限は12月13日となっている。

 

共和党は既に下院の過半数である218議席を超える220議席を得ており、大勢には影響しない。

 

 


2022/12/4   FIFA、スペイン戦での三笘選手のプレーを説明  

日本がスペインに勝ったゲームで、三笘選手が蹴り返した場面でボールがゴールラインを割っているようにも見えるため、各方面で注目を集めていたが、FIFAは12月2日に公式ツイッターでこれを説明している。

https://twitter.com/FIFAcom/status/1598702636450123777?ref_src=twsrc^tfw

「日本の2点目のボールがラインを割っているかどうかをVARVideo Assistant Referee)で判定した。

 ゴールラインのカメラの画像で、ボールが一部でもライン上にあるかどうかをチェックした。」

* ツイッターでは画像はいずれも動画 

「カメラによっては(ラインを割っているという)ミスリーディングなものもあるが、証拠によれば、ボールの全体はライン外に出ていない。(一部はライン内に残っている)」  

   見る方向により、上ではボール全体がでているように見えるが、正面からみると一部はライン内に残っている。ライン外は着色。

ルールでは、ボールの中心がラインの外にあっても、真上or 真横から見てボールが少しでもラインの上にあればインプレ―となる。

下のAPの報道写真 (ほぼ真横から)では、蹴った瞬間にはボールのほんの一部がライン上にある。(上の写真とは左右が逆)

三笘選手コメント 「本当に1ミリでも中に入っていればいいなと思って足を伸ばしました」

ーーー

VARVideo Assistant Referee)では2つの技術が使われている。

上のFIFAの説明は、ソニーグループ傘下のHawk-Eye Innovation Ltd.の“Hawk-Eye”技術によるもので、テニスなど多くのスポーツで使用されている。

最大12台のカメラを使用して、映像を同期させ、さまざまな角度からの映像を確認できる。

Hawk-Eye Innovations Ltd. は2001年7月に英国で設立された。2011年3月にソニーが買収した。

 

VARのもう一つの技術はKINEXONが開発したチップを使ったトラッキングシステムで、公式球の中に、超広帯域無線周波数と慣性測定ユニット(IMU)の両方を利用できる軽量センサーが内蔵されている。

ボールの位置とプレイヤーがボールに触れた情報を1秒間に500回も発信し、観客席の最前列前の外周に張り巡らせたアンテナとの連動で、リアルタイムでプレイヤーのキックポイントを正確に検出できる。ボールがラインを割ったかどうか、割ってない場合はコンマ何ミリの単位でラインにかかっているかを測定できるという。

 



2022/12/5    米上院、同性婚の権利を連邦レベルで保障する法案を可決 近く下院で可決し、成立の見通し

米上院は11月29日、同性婚の権利を連邦レベルで保障する法案(H.R.8404 - Respect for Marriage Act)を賛成多数で可決した。下院も 今週に通過する見通しで、バイデン大統領は同日
発表した声明の中で「アメリカ国民は愛する人と結婚する権利がある」として、下院での可決後に直ちに署名し、成立させる考えを示した。

成立すれば、連邦法で同性婚の権利を保障するのは初めてになる。

 

上院は現在、民主、共和両党が各50議席を占める。性的少数者の権利擁護を重視する民主党系議員のほか 、共和党議員の一部も賛成して超党派で可決した。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 12 47 2 61
反対 36     36
棄権 2 1   3
合計 50 48 2 100

 

付記 下院は12月8日、これを可決した。

  共和党 民主党 欠員 合計
賛成 39 219   258
反対 169     169
棄権 5     5
合計 212 220 3 435

バイデン米大統領は12月13日、この法案に署名し、同法が成立した。

 

 

米連邦裁は同性婚の権利を保障する判断をしている。

米連邦最高裁判所は2015年6月26日、同性婚の権利は男女の結婚と同様、法の下の平等をうたう合衆国憲法によって保障されており、同性婚を禁止する州法は違憲に当たるとの歴史的判断を示した。
オハイオ、ミシガン、ケンタッキー、テネシーの4州の州法が同性婚を禁じていたが、その合憲性についてオハイオの連邦高裁が2014年11月に禁止を支持する判断を下し、最高裁に判断が委ねられた。

保守4人が禁止は合憲とし、リベラル4人が違憲で、保守系中道のAnthony Kennedy 判事が違憲に回った。

Anthony Kennedy 判事は判決文のなかで「結婚を望む同性愛者は、孤独な生活を余儀なくされたり(婚姻という)文明上最古の制度の一つから締め出されるべきでないとの願いを寄せている。すなわち彼らは法の下の平等と尊厳を希求しているのであって、合衆国憲法はこれを保障するものである」と述べた。

2020/6/19 職場でのLGBT 差別は公民権法違反、米最高裁が初判断  に記載

現在の米連邦最高裁は保守派が中心で、6月24日には中絶の権利に関して、1973年の「Roe v. Wade判決」を覆す判断を下している。

2022/5/10   米最高裁の中絶権判例を覆す意見草案 付記

同性婚に関しても、最高裁が以前の判断を覆す可能性が非常に強いとみられている。

 

このため、 法案を提出した与党・民主党としては連邦レベルでの法律の制定を急ぎ、機先を制した。

今回の法案では、すべての州に対し、ほかの州で認められた同性婚のカップルの権利を認めなければならないとしている。

もし連邦最高裁が判断を覆し、一部の州での同性婚禁止を認めたとしても、ほかの州で認められた同性婚のカップルの権利はその州に移っても維持されることにな る。

H.R.8404 - Respect for Marriage Act

§ 7. Marriage


2022/12/6 電力カルテルで膨大な課徴金 

企業向けの特別高圧電力および高圧電力の供給を巡る大手電力のカルテル問題で、公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)で、中国電力、中部電力、九州電力の大手電力3社などに課徴金納付を命じる処分案を通知した。

課徴金総額は約1000億円で、1977年の制度開始以来、過去最高額となる。

付記

公正取引委員会は2023年3月30日、中部電力、中部電力ミライズ、中国電力、九州電力及び九電みらいエナジーに対し、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

⑴ 中部電力管内又は関西電力管内に所在する大口顧客に対して小売供給を行う電気

番号 違反事業者名
 
排除措置命令
 
 課徴金納付命令 課徴金額
 
 中部電力  ―  ○  201億8338万円
 中部電力ミライズ  ○  ○  73億7252万円
 関西電力  ―  ―  ―
   合計額  275億5590万円
 
 
⑵ 中国電力管内又は関西電力管内に所在する相対顧客及び中国電力管内に所在する官公庁等に対して小売供給を行う電気 
番号
 
違反事業者名
 
排除措置命令
 
 課徴金納付命令 課徴金額
 
中国電力  707億1586万円
関西電力
   合計額  707億1586万円

⑶ 九州電力管内又は関西電力管内に所在する官公庁等に対して小売供給を行う電気

番号
 
違反事業者名
 
排除措置命令
 
課徴金納付命令
 
課徴金額
 
 九州電力  ○  27億6223万円
 九電みらいエナジー  ―  ―
 関西電力  ―  ―  ―
  合計額  27億6223万円

中部電力および中部電力ミライズは、公取委との間で、事実認定と法解釈について見解の相違があることから、取消訴訟を提起することを決定した。

関西エリアでの営業を控えていたとの疑いについて「独自の販売戦略で営業活動してきた」と主張。カルテルがあったとされる2018年11月から20年10月にかけて、大口の顧客数や契約電力が約3.2倍になっていると強調した。

公取委は当時のやりとりを記したメモなどをカルテルの証拠としているが、「関電側のメモは関電側の記憶に基づいて記したものに過ぎない」とし、カルテルに合意した事実は無いとしている。

林社長が販売部門トップを務めていた際に関電幹部と面会していた。水谷副社長は「当社の役員級が面談したことは事実だが、営業活動を制限するような合意はなかった」と反論した。

一方、中国電力は、清水会長と瀧本社長の退任と経営体制の刷新を発表した。

ーーーー

付記

中国電力は4月28日、取締役会を開き、事実認定と法の解釈の一部に見解の違いがあるとして、命令の取り消しを求める訴えを起こすことを決めた。
 

瀧本夏彦社長は「独占禁止法の抵触を疑われてもやむをえない面があったと受け止めているが、見解の一部に相違がある。今後、弁護士と協議のうえ、主張を訴状にまとめ、司法の場で考えを説明していきたい」と述べた。

付記 中国電力は9月28日、公正取引委員会に対し処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。

付記

中国電力は2023年10月31日、707億1586万円の課徴金全額を納付期限に国に支払った。一企業が納めた課徴金としては過去最大。

9月末に公取委に対して「命令は承服できない」などとして命令の取り消しを求めて提訴しており、訴訟で「支払った課徴金を取り戻す」と説明している。

また、旧取締役に損害賠償を求める訴訟を中国電力と株主がそれぞれ行っている。

  中国電力は本件で同時に3つの訴訟を行うことになった。

 

付記

九州電力は7月31日開催の取締役会において、各命令に対する取消訴訟を提起することを決議した。

  九州電力は9月29日、公正取引委員会に対し処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。

九州電力などが公取委に対し、課徴金納付命令などの処分取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が2023年12月14日、東京地裁であり、公取委は認否を留保した。

 

過去最高額は2019年の道路舗装8社へのアスファルト合材価格カルテルでの計約398億円。

過去の主な課徴金

2019年 道路舗装材(アスファルト合材)カルテル 8社 398億円
2007年 ごみ焼却炉談合 5社 269億円
2019年 飲料缶カルテル 3社 257億円
2014年 自動車輸出海運カルテル 4社 227億円
2010年 光ファイバーケーブルカルテル 5社 160億円
2006年 橋梁談合 44社 129億円

電力各社は燃料高や円安により経営環境が悪化しており、巨額の課徴金がさらなる収益の圧迫につながる可能性がある。

松野官房長官は、「課徴金は規制料金の原価に含まれない」とし、電気料金値上げの審査に関係がないとしている。

 

各社は12月1日に通知を受けたことを公表した。

  対応 公取委の立入検査
中国電力 独禁法関連損失引当金繰入額として707億円を特別損失に計上(12/5発表) 2021年4月13日および
7月13日
中部電力&
中部電力ミライズ
独禁法関連損失引当金繰入額として275.55億円を特別損失に計上 2021年4月13日
九州電力&
九電みらいエナジー
内容をチェックし、対応を検討 (報道では課徴金27億円) 2021年7月13日

中部電力ミライズは中部電力の販売事業会社
九電みらいエナジーは九州電力の再生可能エネルギー発電と電気を一般の需要家に販売・供給する100%子会社

 

各社はオフィスビルや大規模工場向けの「特別高圧電力」、中小ビルや中規模工場向けの「高圧電力」の販売で、互いに他社の区域での営業を控え顧客獲得を制限していたとされる。

電力小売りは事業者向けから順次自由化が始まり、2016年に家庭向け電力も対象となり全面自由化 し、新電力の参入や大手電力のエリアを超えた営業が認められるようになった。

産業界で電力を広域で一括して調達し、コストを引き下げる動きが出てきた。セブンイレブン・ジャパンは中部地方や西日本のコンビニエンスストア3000店超で地元の大手電力などから、関西電力に切り替える。電力自由化を受けて大手電力が地元以外で攻勢を掛け、新電力を含めた競争が激しくなっている。

関係者によると、一部の大手電力から「過当競争はたまらない」との声が出て、 関西電力の企画部門幹部が2018年秋ごろに3社を訪問し協議を提案した。

中国電力、中部電力、九州電力は2018年秋以降、関電と大規模工場向けの「特別高圧電力」や企業向けの「高圧電力」の供給で互いに相手の管轄区域で営業しないよう、互いの顧客獲得を制限するカルテルにそれぞれ合意 、企業向け電力市場の競争を実質的に制限していたとされる。(下図は読売新聞)

関西電力はカルテルを発議、3社とそれぞれカルテルを結び、カルテルの中心であるが、公取委に最初に違反を申告したため課徴金減免(リーニエンシー)制度で納付を免れると見られる。

独禁法では、談合・カルテルの主導的役割を果たした主導的事業者に対し、課徴金を5割増にするルールがあり、大企業・製造業の場合、一般の10%が15%になる。

関西電力はカルテルを発議、3社すべてとカルテルを結んでおり、本来なら膨大な課徴金になるところであった。

中国電力と中部電力で課徴金に大きな差がある。

中部電力は、中部電力と東京電力のJVのJERAが発電した電力を販売しているため、「卸売業」とみなされ、課徴金は売上高の2%であるのに対し、中国電力は製造業で、売上高の10%が課せられた。

課徴金(不当な取引制限)

  製造業等 小売業  卸売業 
大企業  10%   3%  2%
中小企業 4% 1.2% 1%

主導的事業者は課徴金5割増

九州電力は関電と合意した販売先の範囲が最も狭く(官公庁のみ)、算定基準となる売上が少なかった。

付記 調査開始後に公取委に全面協力し、30%が減免されたとされる。

関西電力の本来の課徴金は、構図が上図の通りなら、単純計算で (275 x 5 + 700 + 27) x 1.5 =3,153億円となる。中部電力分は関電は製造業のため5倍となる。全体を5割増。これが自主申告でゼロになった。

 


2022/12/7 三洋化成工業 、「全樹脂電池」開発の持分法適用会社APBの持株の一部を売却 

三洋化成はバイポーラ積層型のリチウムイオン電池の「全樹脂電池」開発のAPBの株式の44.2%を保有し、APBに対し全樹脂電池のキーマテリアルとなる被覆活物質を供給している。

バイポーラ構造は負極集電体(青)と正極集電体(赤)を積層したシンプルな構造で、安全性に加えて生産コスト面でも大きな優位性を持つ。電気を集電体の長手方向に流すのではなく、面に対して垂直方向に流す。

同社は今回、持株44.2%のうち34.2%を半導体の設計・開発や最先端技術を活用したデジタルインフラ構築事業を行い、最先端プロセスの開発に実績を有しているTRIPLE-1に対し譲渡する契約を締結した。
残りの10%は引き続き保有し、
被覆活物質の供給も続ける。

なお、負極材料のハードカーボンのメーカーのJJFEケミカルが2019年4月にAPBに出資したが、2020年3月にAPBが量産工場設立を主たる目的として約80億円の資金調達を実施した際にJFEケミカルと他6社が引き受け、JFEケミカルは現在、三洋化成に次ぐ第二位の株主となっている。

ーーー

APBは、日産自動車でEVリーフの電池開発を行っていた堀江英明氏が1998年にポリマー電解質を適用したバイポーラ電池を構想2012年に三洋化成樹脂集電体と3次元電極用ゲルポリマーに関する共同開発を始め、2018年10月に低コストの大量生産技術を確立するためのスタートアップ企業 APBを設立した。

2019年2月、三洋化成が出資、子会社とした。

2020年3月に、全樹脂電池の量産検証の開始のため、福井県越前市において用地及び建物を新たに取得した。

2020/3/5 三洋化成子会社、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の量産第一工場を建設  (経緯、事業概要など記載)

三洋化成は当初、全樹脂電池の開発フェーズにおいては、APBの経営を支援しつつ、同社と連携し、全樹脂電池のキーマテリアルとなる被覆活物質を供給、全樹脂電池開発を進めて きた。

開発フェーズの終了後は、三洋化成は全樹脂電池のキーマテリアルである被覆活物質の開発、供給体制の確立に専念している。

他方、APBは武生工場を設立し、人員の拡充を進めるなど経営体制の整備を着実に進め、量産化、製品化フェーズを全面的に担うに至るとともに、将来的な事業成長のための新たなパートナー企業との提携を模索して いた。

今回、先端半導体の開発を手がけるユニコーン企業(評価額が 10 億ドル以上の未上場のスタートアップ企業)であり、海外のテクノロジー関連企業とも提携しているTRIPLE-1 よりAPBを通じて三洋化成に株式取得の申し入れがあったもの。

三洋化成としては、APBの技術開発を加速させ、将来的な事業成長に資することができ、また被覆活物質の開発・供給に注力するという 三洋化成の方針にも合致すると判断し、譲渡を決めた。

同社は、「全樹脂電池」は画期的な事業であるが、リスクを避け、原料供給に徹することにしたと思われる。

ーーー

TRIPLE-1 の事業内容は、半導体設計・開発事業、電気通信事業 、最先端技術を活用したデジタルインフラ構築事業で、工場を持たずに半導体を設計開発するファブレス半導体スタートアップとして2016年に創業した。

ビットコインなどの暗号通貨マイニングやディープラーニング向けの最先端の半導体設計開発を行ってきた。

2018年には世界で初めて、7nmプロセス技術を採用した暗号通貨マイニング向けASICチップ「KAMIKAZE」の製造を開始して注目を集めた。従来のASICチップと比べて50%以上の省電力化と4倍の処理速度を実現し、環境負荷を大幅に低減しつつ高性能化にも成功した。

APBの筆頭株主となり、将来的に全樹脂電池を活用した事業の展開を想定している。



2022/12/8 
TSMC、米国で3ナノ品生産 

台湾のTSMCは12月6日、2024年の操業開始を目指してアメリカ西部アリゾナ州に建設している工場のそばに、新たに別の工場を建設すると発表した。

TSMC today announced that in addition to TSMC Arizona’s first fab, which is scheduled to begin production of N4 process technology in 2024, TSMC has also started the construction of a second fab which is scheduled to begin production of 3nm process technology in 2026. The overall investment for these two fabs will be approximately US$40 billion, representing the largest foreign direct investment in Arizona history and one of the largest foreign direct investments in the history of the United States.

When complete, TSMC Arizona’s two fabs will manufacture over 600,000 wafers per year, with estimated end-product value of more than US$40 billion.

この工場では、現在、世界で量産されている半導体のなかでも最先端の、回路の幅が3ナノメートルの製品を2026年から生産する。TSMCにとっては、海外で先端品をつくる初の拠点となる。

なお、建設中の工場は当初、5ナノを生産する計画であったが、アップルなど米顧客の要請で、4ナノを生産する。

2つの工場の建設で、TSMCのアリゾナ州への投資額は、従来計画比3倍強の400億ドルにのぼることになる。

バイデン政権は、中国に対抗するため、本年8月には527億ドルを投じて半導体の国産化を促進する法律
「The CHIPS and Science Act of 2022」(「CHIPS法」)を成立させている。

2022/7/29 米議会、「CHIPS法」を可決 


なお、TSMCの創業者、張忠謀(Morris Chang)は4月14日に「半導体の生産は米国に戻り得るか」"Can semiconductor manufacturing return to the US?" という米国での生産に否定的なスピーチを行い、波紋を呼んだ。人材難、製造コスト高、補助金の少なさを問題としている。

2022/4/23    TSMCの創業者、米国での半導体生産に否定的見解

今回バイデン大統領などが出席した式典で、張忠謀は、アリゾナ州で採用した600人近くの技術者が台湾に研修を受けに行っていると述べ、米国で半導体を生産するという「25年来の夢がかないつつある」と語った。


TSMCは台湾では台南で3nm、5nmの工場を建設中で、新竹では2nmの新工場を計画している。

中国では前世代型の工場(南京は28nm)を稼働させている。

日本の計画は下記の通りで、最先端のものではない

  当初発表 今回追加、変更
少数持分出資 ソニーセミコンダクタソリューションズ
 約5億米ドル(20%未満)
デンソー  追加
 約3.5億米ドル(10%超)
製品 22nm、28nm半導体 12nm、16nm半導体追加
(高度は演算処理に使用)
月間生産能力 45,000枚(300mmウェーハ換算) 55,000枚(300mmウェーハ換算)
当初設備投資 約70億米ドル 約86億米ドル

2022/2/16 台湾積体電路製造の熊本工場にデンソーが出資 
 

TSMCは現在、台湾内外に17の製造工場を持つ。海外での大規模工場は、稼働中の中国と建設中の米国(2021年から建設開始、2024年の稼働)に続き日本が3カ国目となる。

米国にはテキサス州Austin とカリフォルニア州San Joseに設計センターを持つ。

なお、同社は7月に、ドイツ政府から工場誘致の話があり、検討を開始していると述べた。
工場建設がドイツ国内の主要クライアントにとって重要かつ効果的かどうかを確認している段階で、まだ何かを公表できる段階には至っていないとした。

  台湾 中国 USA 日本
12-inch GIGA FABs
  (300mm)
本部/R&D:Fab 12A/B(新竹Science Park) TSMC Nanjing Company, Fab 16 
(南京)
建設中
アリゾナ州 Phoenix
「5ナノ」→「4ナノ」

 
熊本
Fab 14(台南Science Park)
Fab 15(中部Science Park:台中市) 新工場「3ナノ」
Fab 18(台南Science Park)
8-inch wafer
Fabs
  (200mm)
Fab 3(新竹Science Park)  TSMC China Company, Fab 10 
(上海)
WaferTech L.L.C., Fab 11 
(ワシントン州 Camas) 
 
Fab 5(新竹Science Park) 
Fab 6(台南Science Park) 
Fab 8(新竹Science Park) 
6-inch Fabs
  (150mm)
Fab 2(新竹Science Park)      
Backend Fabs Advanced Backend Fab 1(新竹Science Park)      
Advanced Backend Fab 2(台南Science Park)
Advanced Backend Fab 3(桃園市)
Advanced Backend Fab 5(中部Science Park:台中市)
 Backend Fab:半導体製造における2番目の工程で、それぞれのデバイス(トランジスタ、キャパシタ、抵抗など)がメタル層によって配線される。

 


2022/12/9 フィンランドとスウェーデンのNATO加盟 難航 

フィンランドとスウェーデンは2022年5月18日、NATO加盟を正式に申請した。

NATOの加盟各国は2022年7月5日、スウェーデンとフィンランドの正式加盟を承認する議定書に署名した。NATOは32カ国体制となる。

2021/12/22 ロシアの安全保障条約草案に付記

実際の加盟には、EU加盟の30カ国全部の批准が必要である。

10月までに既存の全30カ国中、28カ国が国内の批准手続きを終え、10月12〜13日の国防相理事会に両国は招待国として参加した。

しかし、トルコとハンガリーのみが批准をしていない。

 

付記

トルコのエルドアン大統領は2023年3月17日、フィンランドのニーニスト大統領と会談し、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認める意向を示した。4月中旬までに、国会で正式に承認される見通し。

一方、スウェーデンとは交渉を続ける意向を示した。

 

ハンガリー議会は2023年3月27日にフィンランドの加盟批准を巡る採決を実施し、承認した。

スウェーデンのNATO加盟批准については「後日決定する」としている。

付記

トルコ議会が2023年3月30日にフィンランドの加盟を承認し、全30の加盟国の批准手続きが完了し、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟が確定した。4月4日に正式加盟 した。

ーーー

ハンガリーのオルバン首相は、内政や外交ではリベラリズムに難色を示し、EUやウクライナのゼレンスキー大統領に批判的な姿勢を打ち出していた。

しかし、首相は11月24日、スロバキアで開かれた中欧の地域経済枠組みV4の会合後の記者会見で、ハンガリー政府はすでにフィンランドとスウェーデンのNATO加盟支持を決定しており、議会は来年の初回会合でこの件を議題として取り上げると表明、「政府の支持決定を受け、議会も支持すると予想される」と述べた。ハンガリー議会の会期は通常2月中旬に始まる。

ーーー

トルコのエルドアン大統領は、トルコ政府と対立する国内のクルド分離主義組織「クルド労働者党(PKK)」を両国が支援しているとして難色を示していた。

両国の加盟を決めるNATO首脳会合中の2022年6月28日、スウェーデン首相、フィンランド大統領とトルコのエルドアン大統領はNATO事務総長とともに会談し、3国はスウェーデン、フィンランドのNATO加盟に関連して、覚書に合意した。

ストルテンベルグ事務総長は、今回の覚書はトルコの懸念に対応するもので、武器輸出やテロリズムへの対処に関する内容が盛り込まれたと説明した。スウェーデンとフィンランドがトルコの国家安全保障の脅威への対処を支援することを約束したほか、PKKの活動に対して厳しい処置をとり、トルコとの間で引き渡し協定を締結するとした。

覚書によると、北欧2国はクルド人武装組織の「クルド労働者党(PKK)」と「人民防衛隊(YPG)」、トルコが2016年のクーデター未遂事件の首謀者とみる在米イスラム指導者ギュレン師の関連組織を支援しないことなどを約束した。身柄引き渡しの対象者は特定されていない。

これに先だつ6月27日には、スウェーデン首相がNATO事務総長と会談後の記者会見で、PKKに関しテロ組織とみなしているとはっきりと述べた。また、トルコ側が求める引き渡しに関しては、欧州犯罪人引き渡し条約に従い、スウェーデンの法制度の下で迅速かつ慎重に扱うとした。

これらを踏まえ、トルコも両国のNATO加盟を支援することに合意した。

ーーー

クルド人は、中東のクルディスタンに住むイラン系山岳民族で、トルコ・イラク北部・イラン北西部・シリア北東部等、中東の各国に広くまたがる形で分布する。人口は3,500万〜4,800万人といわれている。

 

 

トルコの独立戦争後、トルコ国内においてトルコ政府とクルド人の武力を伴う紛争が続いている。

トルコは、クルド人の民族自決が分離独立運動に結び付きかねないとの懸念から常にその動きに神経質であり、過剰にクルド人を弾圧する傾向がある。


スウェーデンは人道主義を尊重し人権を擁護するとの立場から、これまでも難民や政治的亡命者を多数受け入れてきているが、クルド人についてはトルコ国内政治における左右両派の対立先鋭化や1980年代の軍事クーデターを契機とする弾圧によって生まれた政治難民と認めて自国に受け入れて来た。

トルコのエルドアン大統領は、2022年5月16日の会見でスウェーデンをテロ組織の「揺籃の中心地」であると呼び、スウェーデンに(クルド労働者党 PKKと結びつきがある)クルド系国会議員がいることや、クルド系の活動家らがスウェーデンの国会に招致されたことなどを強い口調で非難した。

ーーー

エルドアン大統領は6月30日、フィンランドとスウェーデンが約束を守らなければ、国内の批准手続きを行わないと述べた。

北欧2国はテロリストに関する法改正を早期に終える必要がある。

トルコがテロリストと見なす73人の引き渡しをスウェーデンが約束した。
   (覚書では引き渡しについて具体的な約束はなく、北欧2国がトルコの要請に対処するとだけ記されている。)

覚書の項目が履行されるか注視し、それに応じて行動する。

両国はまず文書に記された義務を果たすべきだ。さもなければ批准文書を議会に送付するなど問題外だ。

 

スウェーデンの議会は10月17日、9月の総選挙で第3党となった中道右派・穏健党のクリステション党首を、新たな首相に選んだ。

前政権は連立政権維持のためクルド系議員の協力を得ていたが、新政権は前政権と比べてもトルコ寄りの姿勢を鮮明にしている。

クリステション新首相は、スウェーデンのNATO加盟を支持するようトルコのエルドアン大統領を説得すべく、新しい中道右派政権はクルド人グループに距離を置くと述べた。

ビルストロム外相は、スウェーデンはシリアのクルド人民兵組織YPG(クルド人民防衛隊)およびその政治組織PYD(クルド民主統一党)に対する見方を変えるだろうと述べた。

多くの西側諸国はシリアの北東部でISIS(イスラム国)を打倒する上で助力を得たYPGを支持して来た。トルコはPKK(クルド労働者党)との密接な関係の故にYPGを直接的な脅威と見做している。

ビルストロム外相は11月5日、「これらの組織とPKKの間にはあまりに密接な関係があり‐‐‐‐われわれとトルコとの関係にとっては好ましくない」と述べた。

 

しかし、トルコ側は覚書の完全履行を求めている。 覚書には「(両国は)懸案のトルコによるテロ容疑者の国外追放あるいは本国送還の要請に迅速かつ完全に対応する」と書かれている。

トルコが引き渡しを求める「テロリスト」はクルド系の活動家など数十人に及ぶとされる。

トルコ側から見ればテロリストであるが、スウェーデン側からは政治的迫害を理由に受け入れた難民で、多くは既にスウェーデン国民となっている。人権国家のスウェーデンとしては、犯罪の証拠がない政治亡命者を引き渡す ことは出来ない。

これまで引き渡し対象となったのは詐欺罪が確定していた人物など数人に限られる。

12月2日、反政府武装組織クルド労働者党(PKK)メンバー1人の身柄が、逃亡先のスウェーデンからトルコ政府に引き渡された。引き渡されたメンバーは、トルコで禁錮6年10月の判決を受け、2015年にスウェーデンへ逃亡したが、亡命申請は認められなかった。

NATO加盟と人権擁護との板挟みとなっており、このままでは解決しそうにない。
 

付記 スウェーデンの最高裁は12月19日、トルコのエルドアン大統領が名指しで身柄移送を求めるトルコ人記者の送還は人道上の理由から「認められない」と判断した。

 

最終的には、米国がトルコを説得するのではないかと見られている。

 

なお、フィンランドについては、トルコは、同国の協力には満足しているが批准はスウェーデン、フィンランド両国分を同時に行う予定だとしている。

 


2022/12/9     西バルカン6カ国、EU加盟へ加速

EUと西バルカン諸国(Western Balkans)は12月6日、アルバニアの首都ティラナで首脳会議を開催した。EU首脳は会議後、「西バルカン諸国のEU加盟という観点に対する完全かつ明確なコミットメントと加盟手続きの加速要請」を再確認した。

6カ国はアルバニア、モンテネグロ、北マケドニア(以上3カ国はNATO加盟)と、セルビア、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ。

宣言ではロシアのウクライナ侵攻について「欧州と世界の平和と安全を危険にさらしている」と非難。EUと西バルカン諸国の「戦略的パートナーシップの重要性」に言及した。

EU側は汚職対策などEU加盟に向けた内政改革の加速も6カ国に促した。

2022年3月現在、アルバニア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコの5カ国が加盟候補国で、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボの2カ国が潜在的加盟候補国となっている。

アルバニアと北マケドニア、モンテネグロ、セルビアは正式な加盟候補国となって数年がたっているが、手続きは滞っている。トルコも1999年に加盟候補国となったものの、人権侵害への懸念があることから、加盟交渉は中断したままである。

欧州連合(EU)は2022年6月23日開いた首脳会議で、ウクライナとモルドバに加盟候補国の地位を付与することを承認した。全27加盟国が同意し、認定に必要な全会一致で決まった。

2022/6/27 EU、ウクライナとモルドバを加盟候補国に認定

付記 EU首脳らは2022年12月15日、ボスニア・ヘルツェゴビナを「加盟候補国」として正式に認めることで合意した。

2018年1月に安倍総理(当時)が南東欧諸国を訪問した際に、EU加盟を目指す西バルカン諸国に対する経済社会改革の支援と西バルカン地域内の協力促進を目的とした、日本が主導する取り組み「西バルカン協力イニシアティブ」が発表された。

EU加盟を目指す当該諸国の経済社会改革を支援。
地域における各国間の協力及びユーゴスラビア紛争後の諸民族間の和解・協力の促進。

 

EU加盟候補、潜在的加盟候補国 

 

NATOとEUの加盟状況は下記の通り。

フィンランドとスウェーデンは2022年5月18日、NATO加盟を正式に申請し、NATOの加盟各国は2022年7月5日、スウェーデンとフィンランドの正式加盟を承認する議定書に署名した。すべての加盟国が国内での批准手続きを終えればNATOは32カ国体制となる。

NATO EU
原加盟国 米国 対象外
カナダ
イタリア 1952
オランダ
フランス
ベルギー
ルクセンブルク
英国 加盟→離脱 1973
2020/1/31
デンマーク 1973 
ポルトガル 1986
アイスランド

非加盟

ノルウェー
1952/2

ギリシャ

1981
トルコ 非加盟
1955/5 ドイツ(西ドイツ) 1952
ソ連崩壊 1991/12/26
1982/5 スペイン 1986
1999/3  チェコ 2004/5
 ポーランド
 ハンガリー
2004/3  エストニア 2004/5
 ラトビア
 リトアニア 
 スロバキア
 スロベニア
 ブルガリア 2007/1
 ルーマニア
2009/4 アルバニア 非加盟
 クロアチア 2013/7
2017/6 モンテネグロ 非加盟
2019 マケドニア
非加盟 アイルランド 1973
オーストリア 1995
2022年加盟へ フィンランド *
スウエーデン*
非加盟 キプロス 2004/5
マルタ
非加盟 スイス 非加盟
ボスニア・ヘルツェゴビナ
セルビア
コソボ
ベラルーシ
モルドバ
ウクライナ
30→32 フィンランド、スウェーデン

28→27

 



2022/12/10   ウルグアイがTPP加入申請

南米のウルグアイ政府は11月30日、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入を申請する文書を、協定のとりまとめ役を務めるニュージーランド政府に提出したと発表した。

付記

ニュージーランド外務貿易省は2023年7月7日、ウクライナから5月5日に環太平洋経済連携協定(TPP)への正式な加盟申請を受け取ったことを明らかにした。

 

付記

2023/7/16 TPP閣僚会議、英国加盟を正式決定 
 

2023/12/6 英国のTPP加盟を認める議定書が参院本会議で採決され、賛成多数で承認された。発効に必要な国内手続きが完了した。

来年10月半ばまでの発効を目指すが、それまでに全参加国の手続きが完了しない場合は、6カ国以上が国内手続きを終えた60日後に発効する。

 

一方、ウルグアイとともに関税同盟 Mercosur を構成する南米のブラジル、アルゼンチン、パラグアイの3か国は、域外との貿易交渉は加盟国が共同で行う規定が存在することから、ウルグアイの加入申請は「単独行動だ」と反発、今後、ウルグアイへの対応を検討するとし、制裁も辞さない構えを見せている。


Mercosur について:

  • 加盟国:アルゼンチン,ブラジル,パラグアイ,ウルグアイ,及びボリビアベネズエラ全6か国

           ボリビアは2012年12月加盟議定書に署名し,各国議会の批准待ちで、現在議決権はない。

           ベネズエラについては、2016年12月にアルゼンチン,ブラジル,ウルグアイ,パラグアイが加盟資格停止を通知。
     

  • 準加盟国:チリ,コロンビア,エクアドル,ガイアナ,ペルー,スリナム(全6か国)

             Mercosur の準加盟国であるペルーとチリはTPPに加盟しており、同じく準加盟国のエクアドルは加盟を申請している。

 Mercosur加盟国の最大の特徴は、対外共通関税を加盟国全てが採用する一方、域内における品目別原産地規則をクリアすることを条件に、域内の輸入関税が免除されている点にある。

 

EUとMercosur(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ4か国) は2019年6月28日、自由貿易協定(FTA)について基本合意に達した。足掛け約20年の交渉がようやく実を結んだ。

なお、Mercosur加盟4か国は欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国(アイスランド、スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン)との間でもFTA交渉を行っており、ほぼ合意に達しているとされる。

2019/7/4 EUと南米南部共同市場(Mercosur)、FTAで 基本合意 

EUとMercosurのFTA交渉はその後、難航した。

フランスのマクロン大統領やオランダのマルク・ルッテ首相などが、アマゾン熱帯地域の森林保護に消極的だとして、ブラジルを批判した。

Mercosur側でも、保護主義的な政策を推進する左派政権率いるアルゼンチンと、交渉を前に進めたいブラジルが相いれないなど、足並みがそろっていなかった。

ただ、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受け、EUは、Mercosurなどと戦略的な提携を強化するべく、停滞しているFTA交渉を前に進めたい意向を示している。

ーーー

TPPをめぐっては、加入を目指す動きが活発化している。
 

  TPP加盟申請  
英国 2021/2/1 2020/1/30   EU正式離脱
中国 2021/9/16 2021/9/18   中国、英国に続き、TPPへの加入を正式申請
台湾 2021/9/22  
エクアドル 2021/12/17  
コスタリカ 2022/8/10  
ウルグアイ 2022/11/30 Mercosur メンバーが異議
ウクライナ 2023/5/5  
韓国   2021/12/13 手続き開始

 


2022/12/12   エンビジョンAESC、サウスカロライナ州にリチウム電池工場建設

エンビジョンAESCグループは12月7日、米サウスカロライナ州フローレンス郡に電気自動車(EV)に使うリチウムイオン電池の工場を建設すると発表した。

投資額は8億1000万ドルで、生産能力は年間30ギガワット時。EV換算で数十万台規模になる。2026年に稼働し、独BMWなどに供給する。

 

同社は10月19日に、BMWグループとEV用リチウムイオンバッテリーを複数年にわたり供給する契約を締結したと発表した。

供給される最新のリチウムイオンバッテリーは、米国のBMWスパータンバーグ工場で生産される次世代EVへの搭載が予定されており、従来のバッテリーよりエネルギー密度を20%高くし、充電速度を30%向上し、航続距離が30%拡大している。

この契約に基づき、同社は新工場の建設を計画していると発表していた。

現在稼動中のテネシー州の工場、建設中のケンタッキー州の工場と合わせると、エンビジョンAESCの米国での生産能力は年間で70GWhとなる。

 

エンビジョンAESCエナジーデバイス(Envision AESC Energy Devices Ltd.)は、中国の再生可能エネルギー関連企業のEnvision Group(遠景能源集団)が80%、日産自動車が20%を出資する。

日産が売却したオートモーティブエナジーサプライ(AESC)を前身とする新会社エンビジョンAESCジャパン、日産がエンビジョングループに譲渡した米英のバッテリー会社や、NECが同グループに売却した電池の電極を製造するNECエナジーデバイスも加わる。

2017/8/15 日産自動車とNEC、バッテリー事業を譲渡

 

エンビジョンAESCグループは2022年4月14日、米ケンタッキー州Bowling GreenのKentucky TransparkでEV向けリチウムイオン電池の新工場を建設すると明らかにした。
投資額は20億ドルで、生産能力は立ち上げ時で年30ギガワット時を想定、年内にも着工し、2025年の稼働を目指す。 オプションとして +10ギガワット時。

同社では、「現在稼動中のテネシー州の工場、建設中のケンタッキー州の工場と合わせると、エンビジョンAESCの米国での生産能力は年間で70GWhとなる。さらなる競争力向上を行うとともに安定的なサプライチェーンを確立し、同国でのEVの普及促進に貢献して いく」としている。


同社の能力(現状及び計画)は下記の通り。

日本 神奈川

2.6GWh/yr

茨城 6→18GWh/yr
英国 Sunderland 1.9GWh/yr
9→25→35GWh/yr
米国 Smyrna/TN 3.0GWh/yr
Kentucky 30GWh/yr 
+ option 10GWh/yr
今回発表 30GWh/yr
中国 無錫 20GWh/yr
フランス Douai 9→24GWh/yr

2022/4/15 エンビジョンAESC、米国に2番目の電池工場建設 

 

米国は8月、インフレ抑制法を可決し、EV購入時の税控除を盛り込んだが、リチウム・ニッケル・コバルトなど中国産の核心鉱物とバッテリーを使用した電気自動車を対象から除外し、北米で組立・生産した電気自動車に限定するなどの条件を付けている。

エンビジョンAESC製をEVに搭載した場合、税控除の対象にならない可能性がある。BMWは税控除の対象にならないリスクを考慮しても、北米での車載電池の確保を優先した可能性が高いとされる。


2022/12/13 WTO、米国の鉄鋼・アルミ関税はWTOルール違反

世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は12月9日、トランプ前大統領が課した鉄鋼・アルミニウムの輸入に対する関税はWTOのルールに違反しているとし、米国に対しWTOのルールに適応させるよう勧告した。

https://www.wto.org/english/news_e/news22_e/544_552_556_564r_e.htm

ーーー

トランプ大統領は2018年3月8日、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。 

それぞれ25%、10%の関税を課す。
15日後に発効する。
全ての国に適用するが、カナダとメキシコは当面猶予する。

2018/3/9   トランプ大統領、鉄鋼・アルミの輸入制限発動を命令

米政府は2018年5月31日、カナダ、メキシコ、EUに対し鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税を適用すると発表した。適用は午前0時からで、税率は鉄鋼が25%、アルミニウムが10%。

2018/6/2 米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミ関税発動 

2018/6/23     米国の鉄鋼・アルミ関税問題のその後 

米国は2019年5月17日、カナダ、メキシコとの間で、安全保障を理由とした鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税措置を停止することで合意した。

2019/5/20   米、カナダ・メキシコへの鉄鋼・アルミ関税を撤廃

ーーー

米国の鉄鋼・アルミ関税を巡っては、複数のWTO加盟国が提訴しており、今回は中国、ノルウェー、スイス、トルコの訴訟について判断された。

WTOの結論:

In conclusion, the Panel does not find, based on the evidence and arguments submitted in this dispute, that the measures at issue were "taken in time of war or other emergency in international relations" within the meaning of Article XXI(b)(iii) of the GATT 1994. Therefore, the Panel finds that the inconsistencies of the measures at issue with Articles I:1 and II:1 of the GATT 1994 are not justified under Article XXI(b)(iii) of the GATT 1994.

本件は1962 年通商拡大法 (修正を含む) の第232 条に基づいて、米国が鉄鋼およびアルミニウム製品に課す追加の関税および関連措置に関するもの。

米国は、問題となっている措置に関連して、1994 年GATT 第21 条(b)を「自国の本質的な安全保障上の利益を保護するために必要と考えるあらゆる行動」として援用した。
米国はさらに、その措置は第21条(b)(iii)の下で「戦争時または国際関係におけるその他の緊急時にとられた」と主張した。

この論争で提出された証拠と議論を検討した結果、パネルは、問題の措置がGATT第21条(b)(iii))の意味する「戦争時または国際関係におけるその他の緊急時にとられた」ものではないと判断した。したがって、パネルは、問題となっている措置と 1994 年の GATT の特定の規定との不一致は、1994 年の GATT の第 21 条(b)(iii)の下では正当化されないと判断した。

これを受け、米国側はパネルの「不備のある」解釈と結論を強く拒否すると表明した。中国の過剰生産能力が米国の鉄鋼・アルミセクターと国家安全保障の脅威になっている中で米国は黙って見守るつもりはないと指摘し、「紛争の結果として米通商拡大法232条に基づく関税を撤廃する意向はない」とし、今回のパネルの判断はWTO改革の必要性を強調したとした。

米国はパネルの判断を不服として控訴することが可能だが、米国は紛争処理機関の最終審に当たる上級委員会の新たな委員の選任を拒否し上級委は機能不全に陥っているため、控訴された場合には法的効力が失われることになる。

中国は米国がパネルの判断を尊重し「可能な限り早期に不当な行為を正す」ことを望むとしている。

ーーー

世界貿易機関(WTO)の上級委員会が2019年12月10日、新規案件の審理を開始できない事態に陥った。

WTO紛争解決制度は、いわゆる二審制をとっており、第二審として最終的な裁定を行う上級委員会(Appellate Body)は、7名の委員で構成され、3名で一事案の審理を担当する。

委員の任期が到来する中、上級委員の任命の在り方など、WTOにおける紛争解決制度や上級委員会の在り方に不満を持ち、これらについて議論するまでは選考プロセスの開始に賛成できないとする米国と、これに反発するその他の国の間での意見の不一致が生じ、後任が選べず、空席が続いていた。

米国は、中国政府による産業補助金や知的財産権の侵害といった問題で、WYOが疑わしきは罰せずという原則に基づき中国に有利な判断を下したことを問題視している。
従前より、加盟国が紛争解決手続をコントロールすべきとする見解を主張している。
紛争解決機関の承認もなく上級委員が自ら、委員の任期延長を決定していること批判している。

2019年12月10日に、残る3名のうち2名の任期が切れて1名だけになり、委員3名で一つの紛争案件を担当する規定により、新規案件の審理が事実上不可能な状況となった。
案件を審理する小委員会(パネル)は存続するが、パネルの判断に不満がある場合に上級委員会が開けず、機能不全となる。

米国は12月9日、上級委員の選任を改めて拒否した。上級委がWTO規則を超越したり度外視した判断を下していると批判した上で、委員の新たな選任を支持しないと表明した。

2020/1/27 WTO紛争処理の暫定組織設置へ 


 2022/12/14 米中間選挙の結果 確定、上院は民主党、下院は共和党が勝利

米中間選挙は11月8日に投開票された。

上院については、既報の通り、ジョージア州で過半数を得た候補者がいないため、12月6日に決選投票を行った。

その結果、現役の民主党のRaphael Warnckが僅差で勝った。

Raphael Warnock 民主党 50.5%
Herschel Walker 共和党 49.5%

民主党系は無所属を含め51票となり、仮にWest Virginia州選出のManchin議員の反乱があっても、副大統領の最終票で勝つことが出来る。

と、思ったところ、
アリゾナ州選出のKyrsten Sinema上院議員(非改選、グループ@)が12月9日、民主党を離党し無所属に切り替えたと発表した。「ワシントンの壊れた党派システムからの独立を宣言し、アリゾナで増える政党政治を拒否する人々に加わった」と述べた。ホワイトハウスは
同議員とも良好な関係を継続できるとの認識を示した。
 

現在無所属の"Bernie" Sanders議員とAngus King議員は民主党会派に属している。

Sinema議員は民主党会派に残るかどうかは明言しなかったが、民主党が割り当てる委員会の席は維持したい考えを示した。

ケースバイケースと思われるが、50対50で副大統領(上院議長)の票で決まるという現在と同じ状況になる可能性がある。
再度、Manchin議員の反乱があれば議案が通らないことも起こり得る。

  共和党 民主党 民主系
無所属
無所属 合計
選挙前 50 48 2   100
非改選 30-1 34-1 2 1 65
改選 20 14     34
引退補選 1       1
選挙結果 20 15     35
合 計 49 48 2 1 100

50

Manchin議員は West Virginia州選出で、以前は石炭産業で栄えた地域で民主党の地盤であったが、現在は共和党 支持が強い「Red State」となっ ており、議員の生き残りには保守層を取り込むしかない。石油・ガス、石炭などエネルギー業界からの献金が上院議員のなかで最高を誇る。

バイデン大統領肝いりの「10年で3.5兆ドルの予算案」は、Manchin議員の主張で1.75兆ドルの「Build Back Better Act」に修正したが、Manchin議員は最終的にこれにも反対し、潰した。

2022/1/4 米国民主党の混乱 

最終的には、Joe Manchin 上院議員がChuck Schumer上院院内総務と合意し、バイデン大統領が公約に掲げていた大企業と富裕層への増税案がInflation Reduction Act of 2022として成立した。

2022/7/30 米民主党のインフレ対策法案:Inflation Reduction Act of 2022

 

下院については、12月3日時点で 2選挙区が接戦で未確定であったが、その後、

@カリフォルニア第13区は共和党候補の勝利が決まった。

Aコロラド州第3区は僅差のため、州法により、再計算となった。その結果、12月12日に共和党候補 の勝利が確定した。

なお、今回当選したバージニア州の民主党 Donald McEachin が11月28日に死去した。当面 欠員で、追って特別選挙を実施する。

この結果、共和党は過半数を4票上回る僅差の勝利となった。

  共和党 民主党 欠員 合計
選挙前 212 220 3 435
結果 222 213   435
死亡   1 1  
再計 222 212 1 435
増減 10 -8 -2  
過半数 218      

 

両院で共和党が圧倒するという当初予想を覆す結果となったが、下院が僅差ではあるが野党支配となった。

バイデン大統領は11月9日の記者会見で、「私は共和党議員と協力する用意があるし、国民が共和党議員に対して私と協力することを期待しているのは明らかだ」と述べている。

 

中間選挙結果   上院のクラス@は2024年改選、クラスAは2026年改選で、クラスBが今回の改選。
    上院   下院
改選前 改選後 改選前 議席増減 改選後
共和 民主 共和 民主 共和 民主 共和 民主
New England Maine 

A

  @ A   @ 0 2   0 - 2 -
New Hampshire   AB     AB   0 2   0 - 2 -
Vermont   B @   B @ 0 1   0 - 1 -
Massachusetts   @A     @A   0 9   0 - 9 -
Connecticut   @B     @B   0 5   0 - 5 -
Rhode Island   @A     @A   0 2   0 - 2 -
Mid-Atlantic New Jersey   @A     @A   2 10   3 +1 9 -1
New York   @B     @B   8 19 -1 11 +3 15 -4
Pennsylvania B @   @B   9 9 -1 8 -1 9 -
Delaware   @A     @A   0 1   0 - 1 -
Maryland   @B     @B   1 7   1 - 7 -
The South Arkansas AB     AB     4 0   4 - 0 -

Alabama

AB     AB     6 1   6 - 1 -
West Virginia A @   A @   3 0 -1 2 -1 0 -
Florida  @B     @B     16 +11-2 +1 20 +4 8 -1
South Carolina AB     AB     6 1   6 - 1 -
Georgia   AB     AB    8 6   9 +1 5 -1
Texas  @A     @A     23 13 +2 25 +2 13 -
Tennessee @A     @A     7 2   8 +1 1 -1
Kentucky AB     AB     5 1   5 - 1 -
North Carolina AB     AB     8 5 +1 7 -1 7 +2
Virginia   @A     @A   4 7   5 +1 6 -1
Mississippi @A     @A     3 1   3 - 1 -
Louisiana AB     AB     5 1   5 - 1 -
Great Plains Oklahoma AB     AB     5 0   5 - 0 -
Kansas AB     AB     3 1   3 - 1 -
South Dakota AB     AB     1 0   1 - 0 -
North Dakota @B     @B     1 0   1 - 0 -
Nebraska @A     @A     3 0   3 - 0 -
The Midwest Iowa AB     AB     3 1   4 +1 0 -1
Indiana @B     @B     +7-1 2   7 +1 2 -
Illinois   AB     AB   5 13 -1 3 -2 14 +1
Ohio B @   B @   12 4 -1 10 -2 5 +1
Wisconsin B @   B @   5 3   6 +1 2 -1
Michigan   @A     @A   7 7 -1 6 -1 7 -
Missouri @B     @B     6 2   6 - 2 -
Minnesota   @A     @A   4 4   4 - 4 -
Rocky Mountains Idaho AB     AB     2 0   2 - 0 -
Colorado   AB     AB   3 4 +1 3 - 5 +1
Montana A @   A @   1 0 +1 2 +1 0 -
Wyoming @A     @A     1 0   1 - 0 -
The Southwest Arizona   @B     B

@

4 5   6 +2 3 -2
New Mexico   @A     @A   1 2   0 -1 3 +1
Nevada   @B     @B    1 3   1 - 3 -
Uta @B     @B     4 0   4 - 0 -
Pacific Oregon   AB     AB   1 4 +1 2 +1 4  
Washington   @B     @B   3 7   2 -1 8 +1
California   @B     @B   11 42 -1 12 +1 40 -2
  Alaska AB     AB     1 0   0 -1 1 +1
  Hawaii    @B     @B   0 2   0 - 2 -
合計  50

50

49

50

1 212 220 ±0 222 +10 213 -7

上院の「他」は無所属。2名は民主系のため、合計で民主に加算。

下院は選挙前 欠員3名(共和1名、民主2名)

選挙後、バージニア州の民主党下院議員が死去したため、現在は民主党は212名

 

下院議員の州別結果は下図の通り。Wyoming やAlaska は定員がたった1名だが、カリフォルニアは52名にもなる。
 New England、西海岸、五大湖は民主党、他の地方は共和党が強い。 

 



 

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