田辺三菱製薬は、連結子会社であるニューロダーム社が、グローバル開発を実施しているレボドパ/カルビドパ持続皮下注製剤「ND0612」について、開発計画を変更したことに伴い、その開発品に係る無形資産の一部を第2四半期決算において減損処理することになりました。
ND0612のグローバル開発においては、第3相臨床試験の治験施設の開設および患者組み入れにおいて重要な立ち上げ期間に、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大が重なるなどしたため、2018年11月に発表した中期経営計画16-20の見直し時点の計画から約1年半の開発計画の延長を決定しました。このため、欧米での申請は2023年度になる見通しです。
本開発計画の変更および競合品の開発状況等から収益性が低下する見込みとなり、直近の市場調査結果を踏まえて事業計画を見直した結果、ニューロダーム社による開発品に係る無形資産(仕掛研究開発費)の一部について、減損損失(非経常項目)845億円を、2020年度第2四半期決算において計上しました。
医薬品とデバイスを組み合わせたND0612は、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的な医薬品になると考えております。田辺三菱製薬グループは、パーキンソン病と闘う患者さんに新たな治療の選択肢を提供するよう引き続き努めてまいります。
パーキンソン病について
パーキンソン病の患者数は世界におよそ500万人と言われています。パーキンソン病は、中脳にある黒質のドパミン神経細胞が変性し、神経伝達物質のひとつであるドパミンが減少することで引き起こされると考えられています。レボドパはパーキンソン病における治療の“ゴールデン・スタンダード”であり、レボドパ分解阻害薬(通常、カルビドパ)と併用して、多くのパーキンソン患者さんに投与されています。一方で、経口剤では、レボドパの血中濃度が変動し、薬が効きすぎて生じる不随意運動(ジスキネジア)や薬の効き目が切れるウェアリングオフなどの運動合併症状の一因となります。パーキンソン病が進行した患者さんでは、経口のレボドパ治療では症状をコントロールできなくなるため、深部脳刺激療法や十二指腸内レボドパ/カルビドパゲル投与など、体への負担の大きい治療のみが限られた選択肢としてなっています。
ND0612について
ND0612はレボドパの血中濃度を一定に保つことができる世界で初めてレボドパおよびカルビドパの液剤化に成功した持続皮下注製剤です。経口剤として投与されるレボドパおよびカルビドパは、その血中濃度が安定しませんが、ND0612は液剤化することでこの薬物動態プロファイルを改善し、安定したレボドパ血中濃度を維持し、それによってパーキンソン病における不随意運動(ジスキネジア)などの症状を改善できることが期待されます。