2018年1月31日

富士フイルムホールディングスによるゼロックスコーポレーション株式の50.1%取得
および 富士ゼロックスとゼロックスコーポレーションの経営統合

世界最大規模のドキュメントソリューションカンパニー 新「富士ゼロックス」として事業成長を加速

富士フイルムホールディングスは、本日、ゼロックスコーポレーションとの間で、富士フイルムホールディングスがゼロックス株式の過半となる50.1%を取得すること、および富士フイルムホールディングス子会社である富士ゼロックスとゼロックスが経営統合することに合意しました。本取引は友好的なものであり、富士フイルムホールディングスは1月31日、ゼロックスは米国時間1月30日の各取締役会において全会一致で承認されました。

【富士ゼロックスとゼロックスの協業の歴史】

富士ゼロックスは1962年創立の、富士フイルムホールディングスが75%、ゼロックスが25%を出資する、ドキュメントソリューションカンパニーです。富士フイルムホールディングスとゼロックスは、56年間に亘るジョイントベンチャーを通じたパートナーシップの下、技術を含めた多角的な相互協力を深め、堅い信頼関係を築いてきました。富士ゼロックスはクロスボーダーのジョイントベンチャーとしては稀有な成功例としても知られています。今回の経営統合は、それぞれが企業価値を高めるためにさまざまな選択肢を検討する中で辿り着いた最良の結論であり、数多くの統合シナジーが期待できます。富士ゼロックスは日本およびアジア・パシフィック、ゼロックスは欧米を中心に事業を展開しています。両社は、ゼログラフィー技術でオフィスに変革を起こし、さまざまな製品・サービスを通じて顧客のコミュニケーション活動や価値創造を支援し、経営や業務課題を解決するソリューションを提供してきました。

2018/1/23付 日本経済新聞 夕刊

富士フイルムHDとの合弁解消要求 ゼロックス大株主
 

米国の大手投資家のカール・アイカーン氏が米事務機大手ゼロックスに対し、別の大株主と共同で富士フイルムホールディングスとの合弁(富士ゼロックス)解消も含めた見直しを要求していることが22日、明らかになった。ジェフ・ヤコブソン最高経営責任者(CEO)の解任を含め、ゼロックスの抜本的な経営改善も求めている。

米国の著名投資家で米ゼロックスの大株主であるカール・アイカーン氏の動きが富士フイルムホールディングス(HD)を揺さぶっている。アイカーン氏がゼロックスに対し、富士フイルムHDとの合弁事業の見直しを要求しているためだ。合弁を始めてから半世紀以上がたち、両社は切っても切れない関係にある。同氏の真意も不透明で、落としどころがどうなるかまだ見えない。

アイカーン  富士ゼロックスの会計スキャンダルを踏まえ、合弁終了または、有利な条件での再交渉

富士ゼロックス  富士75% ゼロックス25%  当初は50/50、2001年にゼロックスの経営不振で変更

  ゼロックス 欧米
  富士  日本、中国などアジア・太平洋

 

【統合後の会社概要と期待するシナジー】

今回、富士ゼロックスがゼロックスの完全子会社となることで両社は経営統合し、その後、ゼロックスは、社名を「富士ゼロックス(英語名:Fuji Xerox」に変更します。富士フイルムホールディングスは、新富士ゼロックス株式の50.1%を保有し、同社はNYSEの上場を維持します。また、富士ゼロックスおよびゼロックスのブランドについては引き続き両方を使用する予定です。

新富士ゼロックスは売上で世界最大規模のドキュメントソリューションカンパニーとなり、ワールドワイドで一貫した経営戦略に基づくオペレーションを展開することで、事業成長のさらなる加速と顧客への新たな価値提供を実現します。新富士ゼロックスは、規模のみならず、価値の高いブランド、それを支える最先端技術と優秀な人材、グローバルなマーケティング力と優良な顧客基盤などの経営リソースを有することとなります。

これらに加え富士フイルムホールディングスの幅広い技術、新規事業創出の経験・ノウハウなどを活用することで、業界トップのオフィスドキュメント事業のみならず、インクジェットを中心とした商業印刷やさまざまなインダストリアルプリンティング、業務プロセス・生産性を向上するソリューション・サービス分野で幅広くビジネスを展開するリーディングカンパニーとして、企業変革を加速させていきます。

今回の統合によるコスト改善効果は、2022年度までに約1,700百万米ドル/年を見込んでおり、その内、約1,200百万米ドルを2020年度までに実現します。コスト改善の一環として、富士ゼロックスは収益・生産性改善のため抜本的な構造改革を実施し、強靭な企業体質への変革を果たします。

【新富士ゼロックスの戦略の方向性】

*1 写真現像技術を応用して微細なパターンを作成する技術。例えば半導体の製造工程などで用いられている。

【新富士ゼロックスのガバナンス】

【富士フイルムホールディングスの今後の成長戦略】

富士フイルムホールディングスはこれまで、ヘルスケア、高機能材料、ドキュメントなどの各事業分野において、強力な事業基盤を築くとともに、写真やデジタルカメラなどの既存事業においても市場環境の急激な変化に迅速・的確に対応することで事業構造転換を果たし、成長を続けてきました。新富士ゼロックスは、ドキュメント事業世界ナンバーワン企業として、富士フイルムホールディングスが持つイメージングから産業分野にわたる幅広いマーキング技術の融合と、事業変革の経営ノウハウや経験を活用することで、オフィス分野における生産性向上に繋がる新たな価値創造を加速させ、その収益力の強化を図っていきます。富士フイルムホールディングスは、ヘルスケアや高機能材料などの成長事業分野への投資についても継続し、富士フイルムグループ全体での成長をさらに加速していきます。本取引成立後、富士フイルムホールディングスの連結売上は3兆円を超える規模となります。

【取引の概要】

富士フイルムホールディングスがその保有する富士ゼロックス株式の75%について富士ゼロックスにより自己株式として取得された対価を活用して、富士フイルムホールディングスはゼロックスの新株50.1%を取得します。この取引における富士フイルムホールディングスおよび富士ゼロックスの現金の外部流出はありません。富士フイルムホールディングスの連結子会社となる新富士ゼロックスは、米国NYSE上場(ティッカー:XRX)を維持し、現ゼロックス本社(米国コネチカット州)および現富士ゼロックス本社(東京都港区)の両方を本社として活用する予定です。なお、本案件完了のためには、ゼロックスの株主総会における承認や法規制により要求される手続の完了を含む一定の条件を満たす必要があります。

 

1. 富士ゼロックスの概要
会社名 富士ゼロックス株式会社
設立 1962年2月20日
所在地 東京都港区
代表者 栗原 博 代表取締役社長
売上 10,896億円(2017年3月期)
営業利益 767億円(2017年3月期)
従業員数 47,350名(2017年3月末)
主な拠点 日本、中国(香港、台湾を含む)、韓国、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ
2. ゼロックスコーポレーションの概要
会社名 Xerox Corporation
設立 1906年4月18日
所在地 米国 コネチカット州
代表者 Jeff Jacobson, Chief Executive Officer
売上 10,771百万米ドル(2016年12月期)
営業利益 568百万米ドル(2016年12月期)
従業員数 37,600名(2016年12月末)
主な拠点 アメリカ、カナダ、ブラジル、フランス、イタリア、スペイン、イギリス、ドイツ、エジプト、ナイジェリアほか
3. 富士フイルムホールディングスの業績への影響
本案件が成立した場合、新富士ゼロックスの連結子会社化後の当社連結業績に、中長期的にわたってプラスに寄与すると見込んでいます。統合に関して、2017年度の連結業績に与える影響はありません。
4. 将来見通しに関する注意事項
本プレスリリースは、富士フイルムホールディングスおよび新富士ゼロックスの見通し、目標、計画、戦略などの将来に関する記述が含まれております。これらの将来に関する記述は、富士フイルムホールディングス、富士ゼロックスおよびゼロックスが現在入手している情報に基づく判断および仮定に基づいており、判断や仮定に内在する不確定性および今後の事業運営や内外の状況変化などによる変動可能性に照らし、将来における富士フイルムホールディングスおよび新富士ゼロックスの実際の業績または展開と大きく異なる可能性があります。これらの将来に関する記述は、「考えます」、「期待します」、「見込みます」、「計画します」、「意図します」、「するつもりです」、「予測します」、「将来」、そのほか、これらと同様の表現、または特に「戦略」、「目標」、「計画」、「意図」などに関する説明という形で示されています。多くの要因によって、本文書に述べられている「将来に関する記述」と大きく異なる実際の結果が、将来発生する可能性があります。かかる要因としては、(i)両社が本案件の条件に関し一部あるいは完全に合意できないこと、(ii)本案件に必要な株主総会の承認が得られないこと、(iii)本案件の完了に必要とされる規制上の条件または他の条件が充足されないリスク、(iv)本案件の当事者に関連する法制度、会計基準などまたはそのほかの経営環境の変化がおよぼす影響、(v)事業戦略を実行する上での課題、(vi)金融の不安定性および他の一般的経済状況または業界状況の変化がおよぼす影響、および(vii)本案件の完了に関するそのほかのリスクが含まれますが、これらに限定されるものではありません。