メタンハイドレート

 

メタンハイドレートの問題点

情報

1)人民網日本語版 2013年3月19日

メタンハイドレートは溺れる者のつかむ藁ではない

世界のメタンハイドレートのエネルギー総量は、すでに知られた石油、石炭、天然ガスなど化石燃料の総量の2倍に達すると科学者は推測する。世界の海底のメタンハイドレートは人類の使用量の1000年分に相当するとの推測もある。巨大な潜在的エネルギーであることは確かだ。

だがメタンハイドレートの採掘は巨大な危険性も伴う。中国石油大学の陳光進教授は以前、海洋中のメタンハイドレートを軽々に採掘すれば、地質と生態に惨事をもたらす可能性があると指摘した。先史時代の何回かの生物大絶滅は極端な温暖化と関係があると推測される。こうした気候変動は突発的原因によって海底のメタンハイドレートが大きな範囲で分解され、大量のメタンが大気中に放出されたためと考えられる。メタンは二酸化炭素の20倍という強力な温室効果ガスで、海底のメタンハイドレート中のメタンの総量は大気中のメタンの3000倍に達する。

技術的関門を突破しなければ、メタンハイドレートの採掘が極めて危険な行為であることは明らかだ。すでにある専門家は、今回日本が行った採取実験方法「減圧法」自体が地質災害を引き起す危険性があると警告している。

減圧法はメタンハイドレートを埋蔵する海底に深い穴を数多く掘り、二酸化炭素を注入して減圧し、メタンハイドレートを分解する方法だ。この方法の危険性は、慎重に操作しなければ連鎖反応を引き起し、辺り一帯のメタンハイドレートを一気に分解させてしまうことにある。こうした場合、海底の地質に変化を引き起し、地震さらには津波を招くことになる。重要なのは、こうした災難は日本に被害を及ぼすだけでなく、極端な気候変動による被害は全世界に及ぶということだ。

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2) Frank Schatzing の海洋サイエンスフィクション “The Swarm”(邦訳「深海のYrr」)には、北海のMethane hydrate 採掘現場で海底が大崩壊し、発生した津波で欧州の沿岸区域が壊滅する話が含まれている。

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3) メタンハイドレートが多く存在するのは南海トラフの北側で、政府の地震調査委員会はトラフ沿いのどこかでM8〜9の地震が起きる確率は、50年以内に90%程度以上、10年以内なら20%程度などで「切迫性が高い」としている。

 

 

 

懸念:

地震で装置が壊れ、「分解」が暴走し、地震で地割れが出来て、分解したメタンが大量に吹き出す。メタン噴出の結果、ハイドレート層上部の地盤が沈没し、これにより大津波が発生する。

 

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)の見解 (2013/6/4)

MH21 では現在、「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」のもと、海底面下の砂層に存在する砂質層孔隙充填型のメタンハイドレートを対象とする開発に向けた研究を実施しております。現在実施中の第1回海洋産出試験では、在来型の石油・天然ガス開発と同様に、井戸を掘削し、海底に設置した機器により減圧することでメタンハイドレートを分解し、ガスを生産いたしますが、あくまでも研究のための試験であり、商業生産のための恒久的な施設を建設するまでには至っておりません。

MH21が現在試験海域としています東部南海トラフは、政府の地震調査委員会によれば地震が起きる確率の非常に高い地域といえます。

地震が起きれば、試験機器等の損傷が起こりうることも想定されます。

一方で、現在、メタンハイドレートからのガス生産では、減圧法を主体とした生産手法が有効であると考えられております。
減圧法では、人為的に海底面下のメタンハイドレートが存在する地層を減圧し、メタンハイドレートをガスと水に分解しガスを生産します。
つまり、人為的に圧力を下げることで、メタンハイドレートが安定的に存在する「低温・高圧」状態から、「低温・低圧」の環境に変化させることで分解を促し、ガスを生産していると言えます。

仮に試験機器が損傷する、もしくは地層に亀裂が生じるなどの理由で、海底との導通が生じた場合、海水の流入により、人為的な減圧による「低温・低圧」から、メタンハイドレートが安定的に存在する「低温・高圧」に戻り、分解は停止し、ガスは発生しなくなります。
従いまして、地震発生による分解の暴走ということは発生いたしません。



また、分解による海底面の地盤沈下についてですが、現在研究開発の対象としているメタンハイドレートは地下の空洞に存在しているのではなく、地層の砂粒と砂粒の隙間に存在しています。在来型石油・天然ガス開発と同様に、地盤沈下の可能性はありますが、その沈下量は小さく、地滑りや津波を生じるほどの沈下は発生しないと想定され、メタンハイドレート開発により大津波が発生する事はないと考えております。