日本経済新聞 2005/2/20

ネット駆使 安く飛ぶ海外 航空券、手軽に予約
  習熟度でサイト選ぶ

 春休みからゴールデンウイークにかけて、海外へ出かける人も多いはず。インターネット上には様々な国際線航空券の販売サイトが登場し、自分で手軽に予約できるようになった。お目当てのチケットを安く確実に購入する方法を紹介しよう。

割安にも2種類
 国際線の割安な航空券には、旅行会社が団体旅行用に仕入れた券をばら売りする「格安航空券」と、航空会社の「正規割引運賃」を適用したものの2種類がある。料金は格安券の方が安いことが多いが、「繁忙期などには逆転することもある」(旅行関係の著作の多い緒方信一郎さん)。
 下の表に主な目的地別の料金の目安を示した。格安券と正規割引運賃のどちらが安いか、表を参考に確認したうえで購入しよう。なお正規割引運賃は座席指定をできるなどサービスは手厚いが、予約後3日以内の支払いが必要など購入条件は厳しい。
 初めてネットを通じて購入する人なら、JTBやエイチ・アイ・エス(HIS)など、格安券や正規割引運賃券をひと通りそろえている大手のサイトが利用しやすい。
 手順はこうだ。まず行き先や出発日などを基に検索。料金の安い順に並べたり、出発日ごとの料金を表示したりするサービスがあるので活用しよう。目当ての航空券を見つけたら、電話で残席を確認して予約。わからないことがあったら、専門の電話販売センターがあるので、電話で問い合わせしながら操作できる。
 JTBやHlSでは、予約した後で、銀行への振り込みや店舗を訪れて支払うのが基本。「目的便が取れない場合の代替便の案内など、複雑なケースにも専門のノウハウを持つ営業マンが対応している」(HIS)
 一方、ネット予約に慣れた人には、楽天トラベルやイーツアーのように、すべての手続きをサイト上で済ませられるサービスが便利だろう。24時間リアルタイムで残席を確認できる上、クレジットカードで支払い可能。忙しい人でも、夜中などに手続きできるのが魅力だ。

主な販売サイト

  会社名(アドレス)              特徴
総合型 エイチ・アイ・エス
http://www.his-j.com/
ツアー、現地ホテル、交通機関、レンタカー、海外のイベントチケットなどの情報も掲示
楽天トラペル
http://travel.rakuten.co.jp/
24時間予約や決済ができる。航空券購入でポイント(購入額の1%)がたまり、楽天グループの店舗での買い物に利用可能
特化・専門型 コスモエアーシステム
http://www.castour.com/
成田発の格安航空券に特化。キャンセル待ちなどのサービスを提供せず、薄利多売で料金を低めに設定
アルキカタ・ドット・コム
http://www.arukikata.com/
福岡、札幌など地方発着便や、出発1〜2週間前の航空券を安く販売する「遅割り」に強み
タビニ
http://www.tabini.com/
紙のチケットがいらない「eチケット」を、航空会社22社の正規割引運賃で取り扱う
イーツアー
http://www.etour.co.jp/
海外に滞在する日本人向けに現地発着の航空券を販売。在日外国人向けサイトも
直販型 日本航空
http://www.jal.co.jp/
自社の正規割引運賃について、ネット予約に限定してさらに割引。割引額はハワイ(往復)で2000円など
ノースウェスト航空
http://www.nwa.co.jp/
自社の正規割引運賃からさらに数千円を割引。取り扱いはすべてeチケツト

専門型もチェック
 ネットで購入すると、出発1週間から2週間前にチケット引換券が送られてくる。「航空会社未定」だった場合は、この時点で利用会社が確定。航空券は当日、空港で受け取る。最近、急速に普及している紙の券のいらない「eチケツト」でも、引換券などを郵送してもらえる。
 正規割引運賃で搭乗する場合は、その航空会社のサイトを訪ねてみる手がある。正規割引運賃はどの旅行会社サイトで購入しても同じ料金だが、自社サイトから購入するとさらに料金が安くなるケースが多いからだ。日本航空の場合は、予約時期にかかわらず行き先別に一定額を割り引いており、ハワイ方面ならば2千円安くなる。
 慣れてきたら、専門サイトをのぞいてみよう。コスモエアーシステムはキャンセル待ちなど通常の会社が提供するサービスをやめ、徹底して料金を低めに抑えているのが特色。「利用にはある程度航空券の知識が必要」(鎌田治男社長)だが、大手サイトより安く入手できることが多い。地方発着便を扱うサイトや海外に滞在する人向けのサイトもある。
 注意が必要なのがホームページや店頭に表示された料金には、空港使用料や保険料などの諸経費が含まれていない点。諸経費の合計は、例えばハワイ行きの場合で1万円程度と意外にかさむもの。航空各社によって額が違うので、店頭で確認するようにしよう。

割安料金のメドは・・・

行き先

<閑散期>
3月21日前後出発

<繁忙期>
4月29日前後出発

格安航空券 正規割引運賃 格安航空券 正規割引運賃

ニューヨ一ク

 42,000− 87,000円

 82,000−225,000円

 97,000−126,000円

 137,000−235,000円

ロサンゼルス

41,000− 85,000円

77,000−205,000円

95,000−125,000円

132,000−215,000円

ロンドン

67,000−116,000円

120,000−247,000円

120,000−222,000円

180,000−310,000円

ホノルル

59,000− 79,000円

83,000−108,000円

111,000−145,000円

92,000−148,000円

ソウル

23,000− 50,000円

46,000− 68,000円

48,000− 76,000円

未定

(注)成田発のエコノミークラス往復運賃。格安航空券は主要旅行社の実勢料金。
   正規割引運賃は日本航空の主な運賃。別途、空港使用料、保険料などがかかる

繁忙期避け早めに購入

 「安く抑えたければ、繁忙期を避け、早めに予約するのが基本」。HIS関東営業本部の藤本篤史さんはこう強調する。例えば成田ーロサンゼルス便。主要社が扱うゴールデンウイークの格安航空券の料金は、出国ピークである4月29日の出発便(エコノミークラス、往復、以下同じ)で9万円台からだが、27日出発なら5万円程度まで安くなる。
 出発日が決まっているなら、早めの予約が大切。日本航空の4−9月の正規割引運賃では通常、成田ーホノルル便が9−19万2千円程度。しかし、出発日より56日以前に予約・購入すれば5万円台から手に入る。格安航空券の場合も45日前などに予約すれば割安になるケースが多い。
 突然、休暇が取れた場合に便利なチケットもある。航空会社は出発1−2週間前になっても売れ残っている分を枚数限定で安く販売会社に卸すことがある。アルキカタ・ドット・コムは、こうしたチケットを「遅割り(おそわり)」という名称で扱っている。座席が埋まりにくい閑散期を中心に、通常より1万−2万円程度安くなる場合がある。会員登録しておけば、メールで格安情報が送られてくる。