(住友化学社史より)

 このプロジェクトはブラジル東北部アマゾン河流域の豊富な水力資源とボーキサイトを利用して、同国ベレン地区に年産能カ80万tのアルミナ工場(アルノルテ計画)および同32万t(16万t,2系列)のアルミニウム製錬工場(アルブラス計画)の建設、運営を行うという2計画からなり、所要電力は同国政府が建設する水力発電所から供給されることになっていた。

 1973年、ブラジル政府の要請に基づくブラジル計画は、アマゾン河の豊富な水力を利用し、ツクルイ地区に出力225万キロワットの発電所を建設し、ベレン地区にアルミナ年120万トン工場とアルミニウム年60万トンの工場を建設しようとするものであった。三井アルミニウム工業が幹事会社となって、まずアルミこウム資源開発会社から調査団を派遣し、日本・ブラジル間で検討のための委員会を設け、アマゾン河流域トロンベタス地区で、ブラジル政府とアルキャン アルミニウム社が採掘したボーキサイトを原料とするアルミナ工場と製錬工場を日本・ブラジル共同で建設することとなった。

 73年8月にブラジル政府から日本側に対し、この計画への参加協力の要請があった2ヵ月後に、第一次石油危機が発生した。エネルギーコストが上昇し、アルミニウム製錬工場の国内立地が極めて困難になるとの見通しが強まるなか、ブラジルヘの経済協力とアルミニウムの長期的な安定供給源の確保のため、76年9月、この計画への政府支援が閣議了解され、わが国でもナショナルプロジェクトとして位置付けられることになった。

 このプロジェクトは三井アルミニウム工業および日本軽金属が中心となって推進することになり、それぞれ製錬技術とアルミナ製造技術を供与した。

 日本側参加者は、77年1月、日本側投資会社として「日本アマゾンアルミニウム株式会社」を海外経済協カ基金40%、民間各社60%の出資により設立した。当時製錬5社は経営の悪化により出資余力に乏しく、需要家、商社、重工業、金融機関などにも参加を求め、民間側は32社の出資となった。住友アルミニウム製錬の出資比率は5%であった。

 78年9月、ブラジルのリオドセ社の子会社との合弁により、アルミニウム製錬会杜としてアルブラス・アルミニオ・ブラジレイロ杜(ALBRAS−Aluminio Brasileiro S.A.、アルブラス社、日本側出資比率49%)が、またアルミナ製造会社としてアルノルテ・アルミナ・ド・ノルテ・ド・ブラジル社(ALUNORTE−Aluminado Nortedo Brasil S.A.、アルノルテ社、同39.2%)が設立された。

 この計画の総所要資金は約21億ドル、うちアルブラス社約13億ドル、アルノルテ社約8億ドルと見込まれた。日本側の地金引取量は出資比率と同じく生産量の49%(うち住友アルミニウム製錬分はフル生産時1万5000t)、引取価格はアルキャン国際建値ベースとされた。

 アルブラス社の製錬工場は78年9月に着工し、85年7月、第1期年産能力16万t設備の通電を開始、同年10月24日、第1期設備の本格操業開始を機に、サルネイ大統領臨席のもとに同社の開所式を挙行した。86年7月、地金の引取価格はLME相場べ一スに決定し、同年11月、同社地金の第1船が日本に入港した。

 一方、アルノルテ社は世界的なアルミナの需給環境悪化のため、83年から3年間、建設工事を遅らせてきたが、日本アマゾンアルミニウムは86年末に、工場が4割方完成しているアルノルテ計画から撤退した。これに伴い、アノレノルテ社への日本側の出資および融資金は全額同社の議決権のない優先株の形になった。

 

 86年12月、アルブラス社の第1期製錬工場(年産能力16万t)がフル操業に入った。引き続き87年10月、年産能力16万tの第2期設備の建設工事を開始し、90年操業を開始した。91年2月、最終電解炉のスタートにより年産34万t(89年まで32万tと公称)のフル操業体制に入り、世界的なアルミニウムの供給過剰のなか、これを継続した。

 しかし、アマゾン計画も収入はドル建て、借入金の大半は円建てのため、アサハンアルミニウム計画同様、85年のプラザ合意以降の円高による金融費用の大幅な増加、アルミニウム市況の低迷によって、事業の円滑な継続が困難な事態となった。このため関係者の要請に基づき、日本側では87年6月と94年10月の二度にわたり、政府関係機関から所要の援助を行うことが閣議了解された。

 これに伴い、アルブラス社に対し、追加出資、既往金利の引き下げ、返済条件の緩和など、日・伯官民による二度の支援が行われた。追加出資は日伯49:51の比率で行われ、87年6月払込の第一次支援時は日本円換算約128億円(うち日本側約63億円)、94年および95年各12月払込の第二次支援時は同59億円(同29億円)であった。

 なお、援助の一環として、日本アマゾンアルミニウムに対する海外経済協力基金の出資比率を、従来の40%から最終的にアサハン計画と同じ50%に引き上げることになり、第一次支援時以降、同社の増資時に調整が行われた。これにより同社の民間株主の出資負担が軽減され、95年末の当社の出資比率は4.59%(基金同44.92%)となった。

 一方、87年以降建設工事を中断していたアルノルテ計画は、ブラジル側株主のリオドセ社が91年9月、日本側の協力、援助を要請してきたが、93年9月、同国側のみで新株主を加えて工事を再開、95年8月にアルミナ生産(年産能力110万t)を、翌月にアルブラス社へのアルミナ供給を開始した。

 


Alunorte   http://www.alunorte.net/wwwalunorte_ING/index.htm

Alunorte, Alumina do Norte do Brasil S/A, has been devised to produce and sell alumina - aluminium oxide - Al2O3. It is the closing link of the aluminium production chain in the State of Para, along with Albras and Mireracao Rio do Norte.

The Alunorte plant started operating during the second semester of 1995 and reached its standart level of 1.100.000 tpy in 1997, as result of an estimated US$ 875 million total investment budget. Today, due to improvements in its process and implantation of Quality Programs, Alunorte produces 500.000 tpy above the nominal capacity.

Alunorte's plant was designed to produce 1.1 million tons per year of best quality sandy alumina, with the same efficiency of the best plants in the world. It employs the best technology in each of its sectors.

It has an abundant and constant supply of bauxite from MRN, one of the best available anywhere. It is served by a solid infrastructure composed of roads, port, urban site and plenty of electric power.Finally, it can count on high level personnel, both administrative and technical. All this make possible for Alunorte to ensure its clients, since the very moment it starts operating, the constant supply of high alumina.


2003/4/4  PRNewswire

Alunorte increases production capacity

Companhia Vale do Rio Doce (CVRD) informs that ALUNORTE - Alumina do Norte do Brasil (Alunorte), an alumina producer controlled by its wholly owned subsidiary Vale do Rio Doce Aluminio S.A. - ALUVALE, commissioned its third production line, with a capacity of 825,000 tons per year.

With the third line, Alunorte has a production capacity of
2,375,000 tons of alumina per year, positioning it among the five largest alumina refineries in the world. The production increase will be allocated to overseas markets.

The investment in this project was approximately US$300 million. Therefore, capex per ton of additional capacity was US$364, which is very competitive in comparison to the cost of other brownfield projects around the globe.

Alunorte's plant, in Barcarena, state of Para, Brazil, has room for the construction of four additional production lines. In the future, with new brownfield projects, Alunorte will be able to reach a capacity up to 6 million tons per year.

The expansion of Alunorte's capacity is consistent with CVRD's strategy for its aluminum business, which focuses on shareholder value creation through the exploitation of profitable growth opportunities in bauxite and alumina, where its global competitiveness is enhanced by low capex and operational costs.

出資比率

CVRD(45.6%), Norsk Hydro(32.3%), Mineracao Rio do Norte SA(12.6%),
Nippon Amazon Aluminium Co(4.5%), Cia Brasileira de Aluminio(3.6%),
JAIC(
日本アジア投資株式会社 1.4%).


2005年1月24日 昭和電工

日本アマゾンアルミニウム()の株式譲渡完了について
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news05/05-01-24.htm

 去る1月14日に開催された日本アマゾンアルミニウム株式会社(本社:東京都中央区 高嶋伸享社長 以下、NAAC) の取締役会において、昭和電工株式会社(高橋恭平社長 以下、昭和電工)が保有するNAAC株式の三井物産株式会社(槍田松瑩社長 以下、三井物産) への譲渡が承認されたため、両社間で株式譲渡契約を締結し、1月20日に株式の受け渡しを完了いたしましたので、お知らせいたします。

 NAACは、日本・ブラジル間の経済協力案件として、アマゾン川流域のボーキサイトを利用してアルミニウム製錬事業を行っている「アルブラス社」に対し49%を出資する日本側投資会社であり、民間企業32社(現在29社)と海外経済協力基金(現国際協力銀行)が出資して1977年に設立されました。同社に対するこれまでの出資比率は、昭和電工3.21%(3,685.5千株)、三井物産2.75%(3,159千株)となっておりました。

 昭和電工は、現在推進中の連結中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」において、アルミニウム地金事業をはじめとする汎用アルミニウム事業を再構築事業と定め、事業構造改革を進めており、本件はその方針に沿った施策であります。


日本経済新聞 2006/5/5

アルミ原料
4割増産 ブラジル合弁 日本16社など追加出資

 三井物産や日本軽金属など日本企業16社と国際協力銀行はブラジルでのアルミニウム原料生産合弁事業拡大で追加出資する。2008年までに総額8億ドル
(920億円)を投じて生産能力を4割引き上げ、世界最大の年産626万トンにする計画。日本側は約5.3%の出資比率に応じて増産資金を負担する。
 増産するのはボーキサイト鉱石を加工して作る中間原料のアルミナ。世界規模で消費が拡大し、高値が続くアルミニウムの需要が新興国を中心に今後も増大するとみて大型増産に踏み切る。
 資源大手のリオドセなどと組む合弁事業は「アルノルテ計画」と呼ばれる。アマゾン川河口域の生産工場は3月に年産250万トンから同440万トンヘの拡張を完了。続いて626万トン体制への増強を決めた。
 国際協力銀と産業界が設立した日本アマゾンアルミニウムのほか、三井物産と三菱商事がそれぞれ単独で引き受ける。各社は出資比率に応じてアルミナを引き取る権利を持ち、日伯合弁のアルミ精錬事業てあるアルブラスなどに供給する。
 アルノルテ計画は1970年年代に日本政府が支援する国家プロジェクトとして始まった。


日本経済新聞 2007/2/19

アルミ原料生産 ブラジルで能力増強 日系合弁 国際協力銀から400億円

 国際協力銀行(JBIC)はブラジルでのアルミニウム原料の生産拡大に向け、日本企業が出する合弁会社に3億4千万ドル(約406億円)の大型融資を実施する。合弁会社は2009年までに生産能力を約4割増やすのに使う。中国などでの需要増で原料価格が高騰するなか日本はアルミ地金のほぼ全量を輸入に頼っており、融資を通じて安定確保につなげる。
 増産するのはボーキサイト鉱石から作る中間原料のアルミナ。事業主体のアルノルテ社には、日本の関連業界が出資する日本アサハンアルミニウムのほか、三井物産、三菱商事、現地の資源大手リオドセなどが出資。アマゾン川河口のベレン郊外にある工場の生産量は世界最大の年間439万トンで、今回の融資による投資で同626万トンに引き上げる。
 生産するアルミナの一部は、隣接する日伯合弁会社アルブラスに供給している。アルブラスはアルミ地金を年44万6千トン生産しており、49%が日本向け。今回の融資を受け、アルノルテからアルブラスへのアルミナ供給契約も、現在の2015年までから、さらに5年延長された。