Chemnet Tokyo 2004/5/9

住友化学発表、サウジにエチレン130万トン、プロピレン90万トン
世界最大の石油・化学「統合コンプレックス」建設で合意

(略)

 記者会見した同社・宮脇一郎常務は「将来構想として、原料立地の石油化学コンビナートが必要と考えていたところ、1年ほどに前アラムコ側からノックがあった。原料エタンの入手価格は、現在国内で購入しているナフサ価格に比べると10分の1という安さになり国際競争力は十分にある。今後はサウジにとって一番利益になる事業展開を考えていくことが大切だ。当面は汎用品を中心に、アジア市場向けにマーケットを拡げていきたい。シンガポールの石化事業とは切り離して考えていくつもりだ」と語った。

 また、カントリーリスクについての質問には「いまや世界中どの国にもリスクはある。サウジだけが特殊とは思わない。基本的には政府の保険と、情報分析などによって注意しながら対応していくしかないが、操業までにはまだ時間もある」と、答えた。

 


日本経済新聞 2004/5/10

サウジ合弁 住友化学、5000億円投資 合意発表 世界最大プラントに

 住友化学工業は9日、サウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコとの間で、同国に石油精製・石油化学プラントを建設することで基本合意したと正式に発表した。総投資額は約43億ドル(約5千億円)を見込み、折半で負担する。ガソリンや灯油、ナフサ(粗製ガソリン)などの石油精製製品と、汎用樹脂などの石油化学製品を一貫生産する統合施設としては世界最大となる。
 両社は同日、サウジ紅海沿岸のラービグに折半出資の合弁会社を設立するなど、基本的な枠組みを定めた覚書を締結した。来年中に事業化調査を終え、2008年後半の稼働を目指す。 石油精製から石化製品まで合弁新社が1社で手がけることで、原料や副産物の最適配分により最も収益率の高い生産体制を構築できる。新合弁の年商は4千億−5千億円に上る見通しという。
 新合弁はアラムコがラービグに所有する日量40万バレルの原油処理能力を持つ製油施設を吸収。新たに天然ガスの一種であるエタンガスを精製し、石化基礎原料のエチレン(年産約130万トン)やその誘導品であるポリエチレン(年75万−90万トン)などを生産する設備を設ける。
 石油精製過程で生じる重油から、ガソリンや石化基礎原料のプロピレン(年90万トン)を精製する「流動接触分解装置(FCC)」も新設。原油とエタンガスはペルシヤ湾沿岸などにあるアラムコの油田やガス田からパイプラインで供給する。
 住化は世界最大の産油国のサウジアラビアで石油精製事業に加わり、安価な原料を安定的に確保することで石化事業を大幅に強化する。アラムコは住化の技術力やシンガポールなどでの石化事業の実績を評価し、約1年前に同社に今回の合弁事業を持ちかけたといい、石油精製品より高付加価値な川下の石化製品に本格参入する狙いがある。
 サウジヘの大型投資に伴うカントリーリスクについては、日本貿易保険を利用することなどで対応。1千億円の投資につき年4億円の保険料で950億円までカバーできる」(同社宮脇一郎常務)という。
 住化はシンガポールで英蘭系メジヤー、ロイヤル・ダッチ・シェルとも石化事業を手がけているが、サウジでの合弁生産が実現すれば、増設計画は見送る方針も示した。

 


Chemnet Tokyo 2004/5/10

住友化学とアラムコの合弁計画、業界に驚きと反響

 住友化学が9日発表した、サウジ・アラムコとの合弁事業化計画は、わが国石化業界に反響を呼んでいる。43億ドル(約5,000億円)という投資規模もさることながら、ラービグ製油所の大型トッパー(日量処理能力40万バレル)をまる飲みにして、世界最大級のエチレン、プロピレン設備を建設するというスケールの大きさに、感嘆の声があがっているのだ。
 
 世界最大の産油国に、石油精製と直結した統合コンビナートを築く意義は確かに大きいし、原料問題に悩みをかかえるわが国石化企業にとっては、まさに「究極のグローバル戦略」といえるかもしれない。
 
 しかし業界内では、いくつかの疑問点も聞かれている。例えば、これまで三菱化学(サウディ石油化学)、三菱ガス化学(サウジ・メタノール)などがパートナーを組んできた、SABIC(サウジ基礎産業公社)との関係である。一方は石油公社と組み、もう一方はSABICと組んで、同じ製品を製造・販売しあうことになるが、国内の流通や販売はうまくいくのかという懸念だ。
 
 ラービグ製油所の生産効率についても、専門家の中には「あのプラントは1985年にサウジ政府がギリシャとのJVで建設したが、当時はあまり生産効率が良くないという話だった。技術的に解決していればいいが、どうなったのか気になる」と指摘する人もいる。
 
 経産省内部は「すごい計画だ。何年ぶりだろう」と、化学業界が元気を取り戻したことの表れといわんばかり。眞鍋隆化学課長も「サウジの安い原料に、住友化学の技術力が加わって現地に石油化学の足場が築かれる。グローバル化に向けた積極的な取組みとして評価したい」とコメントしている。

 


化学工業日報 2004/5/10

住化、サウジに大型石化拠点、アラムコと折半出資
 08年エチレン120万トン、随伴ガス原料に、PE・PPなど統合展開

(略)
 住友化学はシェルと共同で進めているシンガポールでの石化コンプレックスについて、これまで次期増強の事業化調査を進めてきた。シェルの製油所の再構築計画に連動して石化コンプレックスの増設を2007−08年をめどに完成させる計画だったが、アラムコとの共同投資が決まったことで実現の可能性はほとんどなくなったとみられている。
 一方、アラムコは日量1200万バーレルという世界最大の原油生産能力を持つが、国内の精製能力は合弁を含めて日量180万バーレル(世界では同340万バーレル)。ラービグ製油所は同40万バーレルと最大処理能力を持つが、二次装置は接触改質と水素化設備だけで、近代化・アップグレードが大きな懸案事項だった。
 一方、国内での石化原料として需要が増加しているエタンを確保するために、ガス分留設備によるMGS(マスター・ガス・システム)の整備が進んできた。ベリやハラドゥでの設備増強が進展しているが、今後のエタン需要の増加に対応して今後、ハラドゥなどでの分留能力の強化が進む見通し。
 今回の住友化学との大型共同投資は、こうした随伴ガスの有効利用、高付加価値化の一環とみられているが、アラムコにとっては精製・ガスと石化を統合してグローバルに戦略展開を図る大きな転換点となる見通しだ。

解説  世界に挑む新戦略決断

 住化が石油化学で世界に旋風を巻き起こす一大戦略を打ち出した。1958年に石油化学分野へ進出して以来、84年にはシンガポール、そして今回、2008年にサウジアラビアヘ本格進出することを決めた。総投資額約40億ドル(約440億円)、アラムコとの折半出資で、2200億円を超える大型投資となる。住友化学は今年、創立90周年であるが、その大きな節目の年に産油国での大型石化センター建設という一大プロジェクトを決定、まさに21世紀前半の社運を賭けたプロジェクトとなるであろう。

基盤強化を最優先
 90周年を飾るビッグイベントとしては三井化学との合併計画が成就するはずであったが、その計画の白紙撤回により住友化学は独自路線を選択せざるを得ない状況にあった。中期経営計画では電子材料、医・農薬などを中心とした高機能化学へのシフトを鮮明に打ち出しているが、売上高の5割以上を占め、キャッシュフローの源泉であり、基盤事業である基礎・石化部門の競争力強化が最優先課題でもあった。
 このため千葉工場の再編強化、シンガポール石化の三期増設計画に積極的に取り組んできたものの、中東産油国、さらには中国、アジア諸国などの増設計画による攻勢を前に石油化学事業で生き残る道は厳しいものが想定されていた。その状況を一変させる起死回生の決断がサウジでのアラムコとの石化プロジェクトといえよう。

川下展開力に評価
 日量1200万バーレルの原油生産能力を持つサウジ・アラムコ社は売り上げ規模9兆円の世界最大のメジャーである。低廉な随伴天然ガスを原料にエチレン120万トンに加え、FCCプロピレン90万トンをべースに各種誘導品を建設する計画だ。
 アラムコにとっては初めての石油化学分野への進出である。同プロジェクトは最終的には兄弟会社でもあるSABIC、米ダウ・ケミカル、住友化学の3社に絞られたが、シンガポールでのポリオレフィンの販売実績、川下展開できる住友化学の技術力と実績が高く評価されたものとみられる。とりわけサウジの失業問題は深刻で雇用を促進する川下事業展開が国家的な課題ともなっており、コンパウンドなど川下事業を手掛ける住友化学への期待が強かったといえる。また、サウジ側としては2000年にアラビア石油の利権協定が終了して以来、日サ関係が冷めつつある中で新たに日本との友好関係を構築することが重要と判断したものとみられる。

3拠点で最適生産
 住友化学ーアラムコプロジェクトは日本およびアジア、中国の石化地図をも大きく塗り替える可能性を持っている。最大のポイントは国内価格並みの低廉なエタンガスとプロピレンを確保できることで、ポリオレフィンではアジア地域で圧倒的なコスト競争力を持つことである。住友化学の技術および販売力と組み合わせたポリエチレン、ポリプロピレンがアジア市場に流れ、市場を席捲する可能性が大きい。
 住友化学の石化戦略も大きく転換するであろう。国内、シンガポール、サウジと単純に合計するとエチレンで年260万超トン能力となる。しかも原料はエタンソースを確保、多様化が一挙に進展する。これをべースに国内の千葉工場は縮小均衡で開発型のマザー工場に位置付け、シンガポールは競争力ある高付加価値型へとシフトを強め、汎用品はサウジが担当する形でグローバル戦略を構築、世界のメジャー石化企業に対抗できる勢力を確保することになる。

国内再編にも影響
 一方、現在、中国、ASEAN地域で進行している石油化学の新増設計画は原料の大半が輸入原料をべースにしており、随伴天然ガスをべースにしたサウジ計画にはコスト的に太刀打ちできないとみられ、アジアおよび中国市場への影響は大きい。また、日本国内では三井化学ー出光興産グループが提携するなど各地域ごとに石油精製と石化センターとのインテクレーションが進み、再編の目玉となっているが、今回のプロジェクトが実現すると国内の再編図式も変わってこよう。より大きな枠組みによる再編が進む可能性もある。今後のFSではポリオレフィン以外にも各種誘導品計画が煮詰められることになるが、同ブロジェクトに日本企業が新たに参画する可能性もある。その意味ではアジアおよび国内再編の主導的立場も住友化学に移るものとみられる。

リスクを乗り越え
 問題はカントリーリスクであろう。中東情勢はイラクをはじめテログループとの対立構造が定着し、紛争地域である。サウジアラビアでもリヤドでテロが起きた。中長期的にサウジの安定が保証されるのか、日本はイランという過去の苦い経験がある。そうしたカントリーリスクをどう乗り越えるかがポイントでもある。「中国に比べてリスクは大きいとはいえない」と住友化学幹部はいう。住友の選択は日本の素材産業にとって大きな賭けでもある。


Chemnet Tokyo 2004/5/11

米倉・住化社長「ラービグ計画」に強い意欲と自信 
「安価原料の調達、戦略的意義大きい」

 サウジ・アラムコ社と「ラービグ計画」で覚書調印した、住友化学の米倉弘昌社長は10日帰国したが、11日マスコミ各社との懇談会を開催し、計画の概要について説明した。この中で、「安価原料の確保は当社にとって最大の課題だった。世界最大の産油国で、石油精製と一体の石化事業が展開できる戦略上の意義は大きい」と強調、今後の展望に強い自信を示した。発言要旨は次の通り。
 
(1)ラービグには、すでに日量40万バレルという世界最大のトッパー設備があり、製品構成もシンプルで、新たに石化事業をやっていくうえでは非常に都合がいい。トッパーから約40%の得率で得られる重油を原料にFCC・プロピレン90万トンと、エタンクラッカーから130万トンのエチレンを生産し、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの誘導品工場を建設する。05年着工し、08年完成を予定している。

(2)総投資額は43億ドル(5,000万円)の見込みで、両社の出資と合弁会社の借入れで賄う。技術は住友化学が提供する。製品販売は、石油製品はサウジ・アラムコ、石化製品は住友化学が行う。投資額など資金負担は、前回発表した当社3ヵ年の中期経営計画に予算を織り込み済みなので、とくに問題はない。誘導品計画など具体的なスタデイはこれからだが、ほかにも参加したい企業があれば、もちろん一緒にやっていくつもりだ。

(3)当社にとって、中長期的に競争力を確保していくうえで、安い原料をどう手当てしていくかは最大の課題だった。その意味でも「ラービグ計画」がもつ戦略的的意義は大きい。シンガポールに拠点をもつ強みを生かし、バランスのとれた理想的な展開を図っていきたい。3拠点の役割については、サウジでは主として汎用品を低コストで生産し、中国を含むアジア市場で販売していく。シンガポールはプレミアム製品を中心に生産体制を強化していく。日本は高機能分野に特化した拠点として、さらに充実を図る。それぞれの役割を明確にして展開していきたい、

(4)カントリー・リスクの問題は重要だが、当社はこれまでに外務省はもちろん、多くの学者やアナリスト、調査機関などに依頼して、安全性だけでなく、生活習慣や文化の異なる中近東でしっかりしたマネージメントができるだろうかとアドバイスを受けてきた。その結果十分やっていけると判断した。とくにサウジ・アラムコは、従業員の資質、技術力に優れており、社風なども住友化学と似たところがある。お互いよきパートナーとしてしっかりやっていきたい。


日本経済新聞 2004/5/11

住友化学サウジ合弁 原料調達 強カな足場 
 アジアの石化需要増にらむ 潜む地政学的リスク

 住友化学がサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコと合弁でサウジに大規模な石油化学プラントを建設することで合意した。日本企業の中東地域への投資としては1978−79年のイラン革命で未完に終わったイランジャパン石油開発(IJPC)以来の大型事業となる。
 「住友化学の決断の速さには驚かされた」。今回の合意の内幕をサウジ側関係者の一人はこう指摘する。43億ドル(約5千億円)という投資総額、中東という投資地域、石化コンビナートという複雑で巨大な設備ーー。普通の日本企業なら数年かけても決断できない会社が大多数だろう。
 住化が短期間に大胆な決断ができた要因はふたつある。第一に同社の基盤であるアジアの石化製品需要が中国、インドの経済成長などによって今後も確実に増加すること。第二に石化製品の競争力が今後一段と原料に依存することだ。
 アジアの需要を満たすには住化がシンガポールに持つシェルとの合弁事業の増設の手もある。だが、原料であるナフサは中国需要の伸びもあって価格が急騰。中国にシェル、エクソンモービルなどの大型石化プラントが続々完成する今後は価格が強含みに推移するどころか、調達そのものが難しくなる不安もある。
 原料供給源の産油国に、国営石油会社と共同で石化プラントを建設する以上の供給安定策はない。住化が決断を急いだのは、この優位性を他社に奪われることを恐れたためと見られる。 「三井化学と経営統合していたらできなかった」との見方もある。三井化学の前身の三井石油化学、三井東圧はともにIJPCの事後処理に苦労しており、中東への投資には二の足を踏んだ可能性が高いからだ。
 サウジ王制は現状では安定しているが、IJPCも着手した時点では時のパーレビ王朝は繁栄の絶頂にあった。イラク、パレスチナ情勢が混とんとする中、サウジ国内の治安は次第に悪化、体制の安定性も低下しているのは否めない。
 合弁事業の舞台ラービグのある紅海岸は、シーア派住民の多いペルシャ湾岸に比べ、治安はよいとされてきた。だが、今月初め紅海岸のヤンブーで武装グループの乱射事件が起き、英米人など5人が死亡している。
 サウジなど湾岸地域では従来、米国が各国の体制を安定させてきたが、イラク戦争後の反米感情の高まりで、その機能は弱まっている。深読みすれば、サウジ側には今回、米英籍ではない企業を誘致したい政治的理由があった可能性もある。
 今回のプロジェクトは規模、コスト競争力で欧米に見劣りする日本の石化メーカーが世界に飛躍するチャンス。だが、そこには地政学的リスクも潜んでいることを見逃すべきではない。


日本経済新聞 2004/5/16

サウジヘの大型投資、成算は?
 住友化学工業社長 米倉弘昌氏

割安原料でコスト競争力

 住友化学工業がサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコと合弁で、同国に大規模な石油化学プラントを建設する。地政学的リスクが高まるサウジで大型投資に踏み切る狙いを米倉弘昌社長に聞いた。

ー 総投資額は約5千億円。負担が大きいのでは。
 「資本金を折半するうえ、投資の半分を新合弁が銀行から借り入れるため、当社の負担額は全体の4分の1に過ぎない。今回の合意に伴い、シンガポールでロイヤル・ダッチ・シェルと計画していた石化合弁の増強工事(投資予定額約千億円)は延期する方針だ。浮いた資金をサウジに回すので、従来の中期経営計画の範囲内で十分賄える」

ー 採算見通しは。
 「かなり高い。新合弁がアラムコから調達する原料や譲り受ける設備の価格はすでに交渉で確定している。原油相場を1バレル二十数ドルで試算しても、投資利益率はシェルとのシンガポール合弁の2倍近くになる。現地で割安な原料を調達できるため、生産する石化製品のコスト競争力も極めて高い。新合弁は初年度から黒字を見込み、7−8年で借入金も完済する」

ー イラク情勢の悪化でサウジでもテロの危険性が高まっている。
 「カントリーリスクヘの対応が最大の課題と考えている。欧米系のリスク管理コンサルタントなどから助言を受けており、リスクは管理できると判断している。コンサルタントは、サウジでの失業者増や反米感情の高まりから政情不安の可能性はあるが、仮に何か起きても石油の安定確保という観点から必ず国際的な救済措置が講じられると分析している。テロ組織などに狙われないようにするには、当社の利益と合弁相手、国家、社会の利益を一致させることが大事だ」

ー アラムコが合弁相手に日本企業を選んだ背景に、英米籍以外の企業を誘致したいという政治的理由があったとの見方もある。
 「我々が選ばれたのは人材、技術、アジアでの販売力を評価されたからだ。現にアラムコは最後まで米企業(ダウ・ケミカル)を含む3社と交渉していた。アラムコは当初、我々の提示条件が厳しすぎると見て当社を最下位候補と位置づけていたが、最終的には当社が最も好ましいと判断し、互いに歩み寄った」

ー 原油価格が1バレル40ドル台に急騰、収益の圧迫要因になっている。
 「いまの価格は投機要因による異常な水準で長続きしないとみている。ただ、今後10年を見れば、中国需要拡大などで石油需給はひっ迫するだろう。ナフサ(粗製ガソリン)など石化原料が高騰すると日本の石化メーカーには厳しい。海外では石化製品価格がナフサ価格に連動して自動的に決まるが、日本ではナフサ連動製品が限られており価格転嫁が進みにくいためだ。日本での石化事業は高付加価値品に特化、サウジでは主に汎用品を大量生産することで規模の利益を追う」


日本の石化業界再編促す可能性
 住友化学は昨春、三井化学との経営統合が破談になり、中核の石化事業の競争力をどう強化するかが最優先の課題になっていた。14日に発表した2004年3月期決算も、4年に一度のプラントの定期修理や原料高で石化事業の収益が伸び悩んだ。こうした状況を一変させる手段が、石化原料のエチレンや汎用樹脂のポリエチレンなどをサウジで生産して世界に輸出する今回の事業と言える。住化が産油国の国営企業と直接組み、圧倒的に低いコストで石化製品を生産すれば、価格競争にさらされる日本の石化業界で再編機運が高まる可能性もある。

 


Arab News 2004/5/10

Saudi Aramco Chief Says Oil Facilities Are Well-Protected
http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=44671&d=10&m=5&y=2004

A huge security operation is in place to ensure normal operations at oil facilities and protect personnel, the head of Saudi Aramco said yesterday, dismissing the recent attack on a petrochemical facility as an isolated incident.

Our facilities are protected by technology, by physical barriers, by cameras. We have over 5,000 security guards,Abdullah Jumah told reporters after signing a petrochemical development deal with Japanese firm Sumitomo Chemical. Over and above that, we have government security,the AFP news agency quoted him as saying.

A shooting rampage in a petrochemical complex in Yanbu earlier this month claimed the lives of five Western engineers working with ABB Lummus and a National Guard officer. The attack came 10 days after a car bomb at a security forces building in Riyadh killed six people and wounded 145 others.

In terms of the security of our people and our facilities, we have not been reactive. We have always been active... We have a huge security organization in the Kingdom,Jumah said.

Saudi Aramco said in the aftermath of the Yanbu attack it had not been affected by the incident and that operations were continuing as normal at all its facilities.

These are individualincidents, Jumah said of the Yanbu attack. It is unfortunate that they happen, but they do happen. We cannot take one incident and say that this situation (applies) all over the Kingdom,he said.

Saudi Aramco employs some 54,000 people, including around 2,300 US and Canadian citizens, and about 1,100 Europeans.

The deal with Sumitomo sets the stage for the development of a $4.3-billion refining and petrochemical complex on the Red Sea.

Kick-off of the project, targeted for start-up in late 2008,
sends a powerful message that this country is secure and stable,said Jumah.

The agreement shows the investment climate in Saudi Arabia remains
very strong,Jumah told reporters after signing it with his Sumitomo Chemical counterpart, Hiromasa Yonekura, at Aramco headquarters in Dhahran.

The complex in Rabigh
will be the largest such facility ever built at a single stroke, and continues Saudi Aramco's tradition of developing... and operating massive industrial megaprojects,Jumah said.

Yonekura, whose company is Japan's second-largest chemical manufacturer, said security was
of utmost importance,but his concerns related to the Middle East as a whole rather than the Yanbu attack.

We are concerned about what's going on in the Middle East... I think the Yanbu incident is a kind of isolated event... Of course, we have to rely on the government to (maintain the) pressure to keep terrorist movements under control,he said. Saudi Arabia is Japan's major supplier of crude oil.

The memorandum of understanding signed yesterday features as the next step a joint feasibility study into the project to produce a total of 2.2 million tons of olefins, along with large volumes of gasoline and other refined products, Saudi Aramco said.

The bedrock of this agreement is the development of our Rabigh refinery into a world-class integrated refining and petrochemical complex,Jumah said.

The cost for the direct project investment is currently estimated to be $4.3 billion. However, this estimate is subject to change based on the results of the joint feasibility study,Saudi Aramco said in a statement.

Building on the existing site and infrastructure of the Rabigh refinery, initial plans envisage setting up a high-olefins-yield fluid catalytic cracker complex integrated with a world-scale, ethane-based cracker, producing approximately 1.3 million tons per year of ethylene, 900,000 tons per year of propylene, and 80,000 bpd of gasoline as well as other refined products.


Saudi Aramco 2004/5/13

Update: Signing Kicks Off Rabigh's Future
http://www.saudiaramco.com/

The top executives of Saudi Aramco and Japan's Sumitomo Chemical Co. Ltd. have signed a landmark memorandum of understanding here that will kick off an intensive joint feasibility study (JFS) of the planned development of an integrated refining and petrochemical complex at Rabigh, on the Red Sea.

The new plant, projected to open in 2008, would be "the largest such facility built at a single stroke," Saudi Aramco president and CEO Abdallah S. Jum'ah said in a speech after the signing ceremony on May 9, held at the Saudi Aramco Exhibit and attended by Sumitomo Chemical president and CEO Hiromasa Yonekura and other senior executives of the two companies.

"We're pleased to be working with our new partners, who enjoy a leadership position in the petrochemical industry and a well-deserved reputation for their research and development activities, their application of advanced technology and their innovative approach to the petrochemical business," Jum'ah said. "We believe we can learn much from our partnership with Sumitomo, even as Saudi Aramco makes its own unique contributions to this joint-venture enterprise.

"The agreement signed today will have lasting benefits for the Kingdom for many decades to come, and is indicative of the efforts exerted by the Kingdom's leadership to secure a better future for our children and for our grandchildren," Jum'ah said.

In his signing remarks and responses at a news conference later, Jum'ah emphasized the "tremendously positive working relationships" that Saudi Aramco has enjoyed with various Japanese companies and the continuing strong commercial ties between the two countries.

Yonekura, in his speech immediately after the signing, said, "It is a unique project, and, when completed, it will be the most cost-competitive facility in the world."

It will be Saudi Aramco's first major investment in a dedicated petrochemical facility in the Kingdom.

Sumitomo is Japan's second-largest chemical manufacturer, with sales of approximately $11 billion in fiscal year 2002.

Yonekura pointed out that a guiding principal of Sumitomo is to enhance the welfare of its people and country while pursuing corporate business goals - a strategic goal of Saudi Aramco, as well. "Because of this," he said, "I feel a strong bond uniting our two companies, as if we were somehow predestined to collaborate with Saudi Aramco on this project.

"A few weeks ago, I had the privilege of visiting Saudi Aramco's magnificent refinery at Rabigh and other facilities of the company," he said. "My colleagues and I were deeply impressed by the excellent quality of the grand-scale work done by Saudi Aramco. ... We place the deepest trust in the high level of competence of Saudi Aramco, both as an organization and as individuals."

The existing Saudi Aramco-owned Rabigh oil refinery is a 400,000-barrel-per-day "topping" facility built in 1989 to extract high-value "white" products, such as naphtha, from crude oil and refine out other products. The government's 50 percent share of the refinery was turned over to Saudi Aramco in 1993 as part of the royal decree integrating the Kingdom's oil industry.
Saudi Aramco acquired the remaining 50 percent on June 1, 1995.

Expected to be produced annually at the planned Rabigh facility will be 2.2 million tons of olefins (synthetic fiber material derived from alkenes, which are unsaturated hydrocarbons such as ethylene), large volumes of gasoline and other refined products. Direct project investment is projected at $4.3 billion, but that could change with results of the feasibility study.

Third-party, private-sector investment opportunities are expected to be created by the project for utilities and other related infrastructure.

"Today's agreement is the first step in this exciting, ambitious project - a development program that will mark a new chapter in the story of Rabigh, a beautiful and historic community on the Red Sea," Jum'ah said.

"Our agreement also underscores the Kingdom's favorable investment climate, and the competitive advantages Saudi Arabia enjoys in the petrochemical sector," Jum'ah said.

"The combination of abundant raw materials, wise economic policies, a strong fiscal framework, economies of scale and growing demand all serve to make the Kingdom a choice destination for foreign and domestic direct investment. ... Today's agreement with Sumitomo, an acknowledged leader in the petrochemical sector, adds an important new dimension to our joint venture portfolio, and is yet another signal that Saudi Arabia is open for business to the serious, far-sighted investor."

Located an hour and a half north of Jiddah, Rabigh boasts a fine natural harbor guarded by a submerged barrier reef. Crude oil and product tankers have docked at Rabigh since 1990. The refinery's crude feedstock is shipped by tanker from Yanbu' to the north, which receives oil from the Eastern Province via the East-West Pipeline.

The Rabigh project presents an opportunity for the world's largest producer of hydrocarbons to partner with an outstanding, world-class petrochemical producer to achieve economies of scale unsurpassed by any previous project.

For the Kingdom, it presents an opportunity for increased industrialization and a platform for broad downstream conversion-industry development. The project also is a concrete manifestation of the government's goal to attract foreign investment to expand the economy and provide more employment for Saudis while creating opportunities for domestic private-sector investment in related industries.

When it is complete, the Rabigh petrochemical facilities will join major petrochemical complexes at industrial cities in Yanbu', north of Rabigh on the Red Sea, and Jubail, on the Arabian Gulf in the Eastern Province. It envisions making Rabigh an increasingly prominent and important center of economic development and diversification in the Kingdom.

Although Sumitomo has been operating a major refining facility in Singapore since 1984, this is its first attempt to establish a foothold in an oil- and gas-producing country. Saudi Arabia will provide an assured feedstock supply for the project.

Following the memorandum signing May 9, the next step in the project is the joint feasibility study, which, among other goals, will determine the capital and operating costs of the project.

Plans for the project call for Saudi Aramco and Sumitomo to form a joint-venture company with equal ownership.

Saudi Aramco will supply the new venture with 400,000 barrels per day of crude oil, 95 million standard cubic feet per day of ethane and 10,000 to 15,000 barrels per day of liquid butane. Sumitomo will provide its extensive and proprietary petrochemical technology and marketing base.

Initial plans call for the development of a high-olefins-yield fluid catalytic cracker complex integrated with a world-scale, ethane-based cracker, producing 1.3 million tons per year of ethylene, 900,000 tons per year of propylene, and 80,000 barrels per day of gasoline as well as other refined products. Petrochemical units are to convert all olefin production to downstream products.

The companies will retain a Project Management Services Contractor and other necessary advisers to proceed quickly with the execution of the project.

Responding to a question from a media representative at the post-signing press conference about whether Saudi Aramco facilities are secure, Jum'ah emphasized that security is always paramount at all company facilities. In addition to the comprehensive security provided by government authorities, there is a large, well-trained security force of 5,000 members and a multi-tiered security apparatus with technology, including cameras, specially trained dogs and many other capabilities to thwart unauthorized or unexpected intrusions.


2004/5/28 日経産業新聞                  発表

「住友化学のサウジ事業、石化プラント設計、英フォスター受注。」

 英大手エンジニアリング会社、フォスター・ウィラー(FW)は住友化学工業とサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが同国に建設する石油精製・石油化学プラントの基本設計業務を受注した。一年かけて開発、運営にかかるコストを積算する。契約額は明らかにしていない。
 新プラントは紅海沿岸のラービグに建設する。ガソリンなどの石油精製品と、汎用樹脂などの石油化学製品を一貫生産する世界最大の統合施設となる。サウジアラムコは「石化部門での豊富な経験と当社の発注業務での実績からFWを選んだ」とコメントしている。
 基本設計が終了した後で具体的な設計や調達、建設などが発注される。五千億円の巨額プロジェクトだけに、日揮や東洋エンジニアリングなども受注を目指し、営業を強化している。


2004/5/26 Foster Wheeler

Foster Wheeler Awarded FEED Contract to Develop World-Scale Integrated Refinery/Petrochemical Complex by Saudi Aramco/Sumitomo
http://www.corporate-ir.net/ireye/ir_site.zhtml?ticker=fwlrf.ob&script=416&layout=-6&item_id=575922

Foster Wheeler Ltd. announced today that its subsidiary Foster Wheeler Energy Limited has been awarded a Program Management Services contract by Saudi Aramco and its partner, Sumitomo Chemical Co., Ltd. of Japan, for the planned development of a large, integrated refining and petrochemical complex at the Red Sea town of Rabigh, Saudi Arabia.

Under the scope of the contract, Foster Wheeler will undertake the 12-month Front-End Engineering Design (FEED), develop capital and operating cost estimates and prepare bid packages. The terms of the contract were not disclosed.

Once implemented, the proposed multi-billion dollar Rabigh Project would be one of the largest integrated complexes ever to be built at one time. A total of 2.2 million tons of olefins, along with large volumes of gasoline and other refined products, would be produced. Saudi Aramco's existing topping refinery and infrastructure at Rabigh will serve as the base platform for the development of the proposed complex.

Steve Davies, managing director, Global Sales Marketing and Strategic Planning, Foster Wheeler, said: "This is a significant win for Foster Wheeler and reflects our competitive market position, the quality of our team, our superior engineering capabilities and our proven capacity and ability to manage complex, world-scale projects."

Isam A. Al-Bayat, vice president, New Business Development, Saudi Arabian Oil Company, said: "We selected Foster Wheeler after a rigorous review process of competitive bids because of their in-depth petrochemical experience and the quality of their past work for Saudi Aramco, particularly in producing high quality FEEDs, on time, as they did for our Haradh and Qatif projects."

O. Ishitobi, managing executive officer, Sumitomo Chemical Co., Ltd., said: "We are pleased to be working with Foster Wheeler on this landmark project. They were the best qualified engineering organization and have an impressive track record which gives us confidence that they will deliver the results we require."

Notes to Editors:
Foster Wheeler Ltd. is a global company offering, through its subsidiaries, a broad range of design, engineering, construction, manufacturing, project development and management, research and plant operation services. Foster Wheeler serves the refining, upstream oil and gas, LNG and gas-to-liquids, petrochemicals, chemicals, power, pharmaceuticals, biotechnology and healthcare industries. The corporation is based in Hamilton, Bermuda, and its operational headquarters are in Clinton, New Jersey, USA. For more information about Foster Wheeler, visit our Web site at
 http://www.fwc.com. 2.

 


日本経済新聞 2004/6/1

産油国テロ 対応割れる 住友化学 撤退せず

 サウジアラビア東部のアルホバルで起こったテロ組織による
外国人襲撃事件を受けて31日、日本企業の間で社員や帯同家族を一時避難させるなどの緊急対応策を打つ動きが出てきた。ただ、中東ビジネスの中心地であるサウジだけに、社員の安全確保と情報収集手段を強化しながら慎重に事業の継続を目指す企業が大半を占める。原油価格の高騰を背景に広がり始めた中東でのビジネスに水をさす懸念も出始めた。

 住友化学工業はサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコと合弁で2008年後半に同国紅海沿岸のラービグに大型石化プラントを建設する計画。宮脇一郎常務は同日、「事業化調査のスケジュールや内容に影響することはなく、当初通りの検討を進める」と改めて語った。
 「アラムコは関連施設の警備に約5千人の社員を動員しているほか、衛星監視システムで24時間監視している」(住化幹部)という。欧米の複数のリスクコンサルタントも活用し「地政学的リスクは十分管理できる範囲府にある」(米倉弘昌社長)としている。


日本経済新聞 2004/12/3

サウジの石化複合プラント 日揮が基本設計受注 アラムコと住化から

 日揮はサウジアラビアで住友化学工業と同国国営石油会社サウジアラムコが計画している世界最大の石油精製・石油化学複合プラントの基本設計業務を受注した。契約額は3億円程度とみられるが、日揮は資材調達・建設業務も一括受注する可能性が高まった。その場合受注総額は1千億円以上になる見通し。
 新プラントは2005年着工、08年稼働に向けサウジ紅海沿岸のラービグに建設。日揮はまず石油精製過程から生じる重油から、エタンクラッカーやプロピレンを精製する「流動接触分解装置(FCC)」と呼ぶ中核設備の基本設計を受注した。日揮は来年9月までに基本設計を終えたうえで、これに続くFCCの調達・建設業務の受注も見込む。
 新プラントの総投資額は43億ドル(約4500億円)で、エチレンを年130万トン、プロピレンを同90万トン生産する計画。このうち日揮が手掛けるFCCは中核設備となる。中東での大規模事業は入札が一般的だが、世界的なエチレンやプロピレンの不足を背景に完成を急ぎたい住友化学とアラムコ両社との取引実績が評価されて随意契約となった。
 日揮は住友化学から日本国内外で、アラムコからも製油所やガス処理プラントを受注した実績がある。住友化学にとっては初の産油国立地で、サウジで実績がある日揮と交渉していた。


Jchem-News 2004年12月2日

☆ラービグ計画のEG技術、シェル/三菱化学勢がライセンス供与へ

 住友化学とサウジアラムコがサウジアラビアでの共同石化投資計画の生産品目に盛り込んだエチレングリコール(EG、ポリエステル原料)の製造技術を、英蘭ロイヤルダッチシェルグループがライセンス供与することになった。シェルは三菱化学と共同開発した高収率プロセス「オメガ法」を投入する。同技術が中東で採用されるのはこれが初めて。


日本経済新聞 2005/3/23

日揮、1000億円プラント受注
 天然ガソリン回収で最大 サウジ国営石油から

 日揮はサウジアラビア国営石油会社のサウジアラムコから、石油化学製品の原料となる天然ガソリン(NGL)の回収プラントを受注した。住友化学工業が同国内で計画中の石化プラントに原料を供給するための世界最大のNGL回収設備で、受注額は千億円強の見通し。天然ガスの付加価値を高めて世界に供給する同国政府の戦略に沿った形で、関連設備の追加受注が見込まれる。

 新プラントの完成は2008年初め。首都リヤドの南東270キロにあるハウイヤ地区に建設する。日量31万バレルのNGLを回収する。日揮がプラントの設計、機材調達、建設工事を手掛ける。4月にも正式契約を結ぶ。
 新プラントは同国内で調達した精製ガスの80%を占めるメタンを分離して、エタンが主成分のNGLを回収。さらに他社が建設するプラントでエタン、コンデンセート(超軽質油)、液化石油ガス(LPG)に分離する。このうちエタンは、アラムコが同国西部のラービグで計画している石油精製・石化複合プラントでのエチレン材料として利用される見込み。
 サウジ政府は天然ガス関連事業を経済の「成長エンジン」と位置付け、ガス田開発や産出したガスを使った化学プラントの整備を進めている。NGL回収プラントも、ガス資源の付加価値を高めてから輸出する戦略設備の一つ。日揮はアラムコに大型ガス回収設備を複数納入した実績を持つことから、今回の受注につながった。アラムコと住化が08年の完成を目指している石化プラントでも日揮は重要な工程の基本設計業務を担当している。
 日揮は今月初めにも米エンジニアリング大手のKBRと共同で、インドネシアの液化天然ガス(LNG)生産設備を約2千億円で受注した。英BPなどが出資する事業会社、ベラウ社のプロジェクト向け。エネルギー、素材需要の世界的な高まりを受け、大型のプラント受注が相次いでいる。


日本経済新聞 2005/5/13

サウジ合弁の石化プラント 建設費10億ドル増 鋼材高で 住友化学、追加投資へ

 住友化学とサウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコの合弁による石油精製・石油化学プラントの総投資額が当初予想より10億ドル(約1050億円)以上増える見通しとなった。鋼材など資材価格高騰やプラントメーカーの受注価格上昇などが主な要因。住化は建設コストの上昇分を手元資金や追加融資で賄う考えで、「撤退はない」としている。
 サウジでの合弁計画は昨年5月、住化とアラムコが折半出資することで基本合意した。新会社は紅海沿岸のラービグで既存の大型石油精製プラントを取得すると同時に、2008年をメドに天然ガスの一種であるエタンガスを精製して、石化基礎材料のエチレン(年産約130万トン)やブロピレン(同90万トン)などを生産する計画。
 当初想定していた投資額は43億ドル(約4500億円)だった。しかし、プラント建設に欠かせない鋼材の価格が04年初めの水準に比べ約5割値上がりし、数億ドルのコスト増要因になる。中国や中東地域で石化プラントの発注が相次ぎ、大手プラントメーカーが安値受注を控えていることもコスト押し上げ要因となっている。
 住化によると、安価な原燃料を使って石油製品と合成樹脂を製造・販売するため、採算は確保できるという。


2005年5月13日 石油化学新報

住友化学/アラムコのサウジ・ラービグ計画、投資額が大幅に増加
一プラント資機材価格高騰で70億ドル近<に〜資本増額も検討か一

 住友化学とサウジアラビア国営石油(サウジアラムコ)がサウジアラビアで推し進める石油精製・石化統合コンプレックスプロジェクト、通称「ラービグ計画」が投資コストの大幅増に直面している。資機材価格の高騰でプラントの建設コストが予想以上に膨らみ、当初見込みの43億ドルから70億ドル近くに拡大しそうな雲行きだ。住化は資金の過半をプロジェクトファイナンスで調達したい考えだが、大幅なコストアップを前に予算の見直しは必至。払込資本の増額や第3のパートナー招へいなどの可能性も指摘されている。

■プロジェクトファイナンスで調達も借入比率が70%に上昇
 プロジェクトは紅海沿岸のラービグに、年産130万トンのエチレン、90万トンのプロピレン設備を中核とする世界最大級の石油精製・石化統合コンプレックスを建設するもの。アラムコが供給する天然ガスを原料に各種石化製品を生産し、中国や東南アジアに輸出する。プラント全体の完工は2008年半ばを予定している。
 住化は昨年5月にアラムコとの合弁事業を発表。投下資本の内訳では、両社折半で出資する払込資本(エクイティー)に比べてプロファイで賄う債入金(デット)を厚めにしたい考えを表明している。一般的にデット比率は最大でも6割に収まるのが望ましいとされ、この範囲内が想定されていた。
 しかし、プロジェクトコストが70億ドル近くに増大し、増加分を丸ごとプロファイで賄おうとすると、デット比率が7割近くに跳ね上がることになる。レンダー〈融資銀行団〉から見ればスポンサーのサポートが薄い中で事業リスクを回避しなくてはならない極めてハイ・レバレッジなファイナンスとなる。

■市況リスク伴う石化案件/出資の積み増しがポイントに
 製品の市況変動リスクを伴う石化案件のブロファイでは、スポンサーがどれだけ事業に踏み込んでリスクを負うかが最大のポイントとされる。
 英蘭ロイヤルダッチ・シェルなどによる中国・広東省のオレフィンプロジェクトでは、ブラント建設、原料ナフサの手当て、設備操業、事業性などのリスクに対してスポンサーが強力なギャランティー(保証)を提示。これにより約27億ドルのプロファイが供与された。このときのデット比率は60%だった。
 ラービグ計画のコスト増大は鋼材価格やレイバーコストの高騰が大きな要因とされるが、仮に住化/アラムコがエクイティーの比率を引き上げないとすれば、出資者自身がデット部分に対して一定のリコースに応じたり、プラントのコストオーバーをエンジニアリングコントラクターが、事業リスクをレンダーがかぶることになりかねない。
 超大型のプロファイに対応できる銀行は世界でも限られ、サウジ案件ともなればせいぜい10行以下。イスラミック・ファイナンスや中東地場銀行の資金供給能力は5億ドル程度で、レンダー1行当たりの融資ポーションが肥大化する懸念が生じる。
 一部では「総投資額に対して最低でも4割の出資が必要。それ以下ではプロジェクトファイナンスの対象とするのはリスキー」(業界筋)との見方もある。
 住化は今プロジェクトでの最大のメリットとして0.75ドル/oBTUという驚異的に安価な原料エタンガス価格(固定制)とサウジの豊富なガス埋蔵量を挙げ、競争力を強調。ナフサを使用するケースと比べて現時点で10分の1以下の原料コストで済む計算となる。アラムコは投資レンジを最大70億ドル台まで織り込んでいるとされている。

 競争力ヘの自信を物語っているか、レンダーを納得させるための要素も求められ、リスクをいかに分散しコントロールするかがファイナンスの成否と大きくかかわってきそう。一方、日系総合石化メーカーでトップクラスの財務体質にある住化にとって、「1,000億円規模の追加投資は十分対応できる範囲」(別の業界筋)とも。中東地区で一大プロジェクトに臨む同社がどのような判断下すかが注目される。両社は今年半ばにも最終投資決定を下しプラント建設に踏み切りたい意向だ。

■一問一答〜幹部役員に聞く
 先日、住友化学の幹部役員に状況を尋ねた。ブロジェクトに前向きな方針は変わってない。

一 大幅なコストアップを迫られそうだが。
 「ひとつだけ断言できるのは、当社とアラムコのプロジェクトだけに限った話ではないという点だ」

一 資金調達計画に影響するのでは。
 「ただし、十分にコントロ一ル可能な範囲だと考えている」

一 エクイティーを予定よりも積み増すことになるのか。
 「現時点ではノーコメントとさせてほしい」

一 第三者の出資者が登場する可能性は。
 「それはないと思う」

一 競争力への影響は。
 「大きな問題があるとは思っていない。原油価格が上がれば(エタンガスを使用するラーピグ計画の)事業価値が相対的に高まる、というスキームを忘れないでいただきたい」


2005/5/16 化学工業日報

住友化学、ラービグ計画で7月にも契約調印

 住友化学の米倉弘昌社長は決算会見の席上、サウジアラムコと最終的な事業化調査(FS)を進めているラービグ石化・精製計画の進捗状況について説明し、7月末にも合弁契約に調印したいとの意向を示した。また建設費の高騰などにより当初見通しの43億ドルに対し、上昇する可能性の高い投資額の見通しについては、6月あるいは7月までにプラスマイナス10%の範囲まで投資額の見通しを落とし込むとしたうえで、「仮に投資額が上がったとしても、原油価格が当初想定した1バーレル22ドルを上回っているため、ラービグ計画の投資収益性はむしろ向上している」と計画実行に対して強い意志を表明した。

 資金調達については、「プロジェクトファイナンスをいろいろ検討しており、払込資本(エクイティ−)に対するプロジェクトファイナンスでまかなう借入金(デット)の比率は6対4か、7対3になるかを含めて合弁契約の調印までにはかなりの部分が決定している」との認識を示した。また他事業への投資の影響についても「シンガポール第3期計画の資金をサウジに充当する方針であり、サウジ計画により他のプロジェクトの投資額を減少させることはない」と述べた。


日本経済新聞 2005/8/1

住友化学 サウジ石化 投資膨張、2倍の9000億円     
既報     発表
  素材高、開発に重し 三菱商事の事業も5割増

 住友化学がサウジアラビアで進めている世界最大級の石油化学事業の総投資額が、資材価格の高騰などで
当初計画の2倍の約80億ドル(約9千億円)に膨れ上がる見通しとなった。三菱商事が出資するサウジの石化事業も同様に当初の5割増の負担になるもよう。ロシア・サハリン沖のガス・石油開発「サハリン2」の総事業費の倍増も鋼材価格の上昇が一因とされており、素材高が日本企業の資源開発の収益に響き始めている。
 住化とサウジの国営石油会社サウジアラムコが合弁で建設する石油精製・石油化学プラントの総投資額は当初約43億ドルを見込んでいた。鋼材など資材価格の値上がりを背景に、受注残を抱えたエンジニアリング会社の提示額が想定を上回った。計画になかった発電設備や造水プラントを新設することも建設費を押し上げる。
 住化とアラムコは昨年5月、サウジに折半出資の合弁会社を設立することで合意した。紅海沿岸のラービグで既存の大型石油精製プラントを取得する一方、天然ガスの一種であるエタンガスを精製して石化基礎材料のエチレン(年産約130万トン)や汎用樹脂のポリエチレン(同75万−90万トン)などを2008年から一貫生産する。
 三菱商事、国際協力銀行などが出資する日本とサウジの国家プロジェクト、
イースタン・ペトロケミカル(SHARQ)も08年1−3月期に稼働する石化プラントの総投資額が当初の23億ドルから10億ドル程度増大しそうだ。鋼材価格が04年初めに比べ一時は約5割上昇し、コスト増につながった。エチレン生産量を当初より10万トン多い年産130万トンとしたことも事業費増加の一因。
 石化製品は通常、原油から作るナフサ(粗製ガソリン)を原料とするが、中東ではナフサの5分の1以下と安いエタンガスを使って石化製品を量産できるのが強み。原油高の現状ではエタンガスのコスト競争力が高まるため、住化、三菱商事とも事業化を続行する。両社は主に金融機関からのプロジェクトファイナンスで資金調達し、一部は手元資金で賄う。中東では伊藤忠商事もイランで石化事業に乗り出す。
 石化製品は中国市場をけん引役に10年ころまでは成長が続くとの見方が多い。住化などは早期の事業開始で利益確保を狙うが、巨額の追加投資負担が続けば、日本企業の資源開発の収益を圧迫する要因になる。住友化学 三菱商事
 08年稼働にこだわり サウジ石化投資額増大 アジアで投資鈍化も

 サウジアラビアで進める石油化学の二大プロジェクトで、住友化学と三菱商事は総投資額の膨張にもかかわらず計画通り08年中の稼働にこだわる。背景には、現在の中国経済の高度成長に乗り遅れたくないとの思惑がある。
 2010年にかけて、アジア全域では欧米企業などの大型石化投資の計画が進んでいる。住友化学や三菱商事には、いち早くサウジで操業すれば、急拡大する中国市場での優位性を確保できるとの読みがある。
 原油の高値が中期的に続くとの見通しも強気を支える。「原油とエタンの価格差を生かした石化ビジネスの収益は魅力的」(住友化学)。三菱グループなどの共同出資会社、サウディ石油化学も、2015年まではエタンを固定価格で買えるとしており、原油価格が上昇するほど収益性は高まる。
 素材高に加え、ここ2年間に大型工事の受注が続いた結果、プラント建設を請け負うエンジニアリング会社の余力も乏しくなっている。これらの理由で今後、競合する欧米企業が計画見直しに踏み切り、投資が鈍化するようであれば、日本企業のサウジ石化事業にとっては追い風にもなる。ただ、「08年の北京五輪後には中国経済の成長が一服する公算が高い」(大手石油化学メーカー)との見方は多い。中国市場の需要減退が大きければ「先行逃げ切り」を図る両社のシナリオにも狂いを生じかねない。


2005年8月1日 住友化学                      Aramco発表

サウジアラビア ラービグ計画の実施に向けた合弁契約の締結について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20050801_1.pdf

 住友化学とサウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ)は、サウジアラビアのラービグにおける石油精製と石油化学との統合コンプレックス事業計画(ラービグ計画)について、共同で事業化調査を進めてまいりましたが、このほど両社は本計画の高い事業性を確認し、合弁契約を締結、合弁会社の設立に着手いたしました。
 合弁会社名は
ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(ペトロ・ラービグ社)で、当社とサウジ・アラムコ社の折半出資会社として設立いたします。今後は、設備建設のためのエンジニアリング、資材調達、建設工事等の契約および、銀行団との融資契約を年内に締結し、来年はじめに着工、完成は当初計画どおり2008年後半を予定しています。計画にかかる総投資額は85億ドルとなる見込みですが、その過半はプロジェクトファイナンスで調達する予定であり、民間金融機関だけでなく国際協力銀行およびサウジアラビアの政府系金融機関からの融資を受けたいと考えています。なお、当社の資金負担額は1,500億円程度となる見通しです。
 また、プロジェクトの遂行にあたっては日本貿易保険の海外投資保険等の活用も検討してまいります。
 ラービグ計画は、サウジ・アラムコ社が現在、サウジアラビア紅海沿岸のラービグにおいて所有する日量40万バレルの原油処理能力を持つ製油所に、石油精製2次処理設備を新設しガソリンを新たに生産するとともに、エタンクラッカーと流動接触分解装置(FCC)、さらにポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンを中心とするエチレンやプロピレンの誘導品の生産プラントを新設するものです。原油価格などが高騰する中で、競争力のある原料をサウジ・アラムコ社から安定的に供給を受けるとともに、エチレン130万トン、プロピレン90万トンの生産能力を有する世界最大級の石油化学製品生産設備を建設することでスケールメリットを最大限に発揮し、これまでに比べ飛躍的に収益力の高い石油化学事業を展開いたします。
 総投資額は、事業化調査を開始した昨年5月に公表いたしました43億ドルと比較して増加していますが、これは昨今の資材価格や建設費用の高騰とともに、今回、新たに計画の範囲に
電力や工業用水の大型付帯設備等を加えたことによるものです。一方、昨今の原油価格の高騰や、それに伴う石油製品、石油化学製品の市況の大幅な上昇は今後も継続するものと予想される中で、本計画においては主要原料であるエタンガスは予め決められた価格で入手できることから販売のマージンは拡大し、投資額の増加にも関わらず収益性は調査開始時に比べても一段と増しています。
 当社は、ポリオレフィンを中心とする石油化学事業を重点事業のひとつに位置づけ、その収益性を中長期に向上させるために、安価原料の安定的な確保を最重要課題として本計画の推進に取り組んでまいりました。今後は、計画通り建設を完成させ、日本、シンガポール、アメリカそしてサウジアラビアのグローバルな拠点の最適な組み合わせを実現することにより、事業の拡大と収益力の向上を図り、当社が21世紀において目指す姿である「真のグローバルケミカルカンパニー」 へ向けて大きく前進してまいります。


2005/8/1 Chemnet Tokyo

 同社の宮脇一郎専務は1日、東京で記者会見し、要旨次のように語った。

(1) 基本合意が成立した(04年5月)当時、1バレル35ドルだった原油価格は、最近は60ドルまで上昇している。世界の経済情勢も大きく変わり、中国や中東、インドなど各地でリファイナリーや石油化学プラントの建設が行われている。コントラクターは工事能力を上回る受注をかかえ、建設資材なども高騰している。
   
(2) 当初は外部購入する予定だった電気、蒸気などのユーティリティを自前で確保することにした。このため、新たに10億ドルをかけてプラントを建設する。
   
(3) 当初予算から見ると、建設コストは1.6倍に増え、これにユーティリティ部門の10億ドルが加わったことになるが、事業採算面からいえば、原油・ナフサ価格が上昇したことで、安価なエタンをベースとした今回のプロジェクトは一層競争力がついたということもできる。
   
(4) サウジ・アラムコのもつ日量40万バレルという製油所の規模は、日本の年間石油輸入量の約10%に当たり、エネルギーの安定確保をめざす日本にとっては決して小さくはない。半分はジャパン・オイルということになる。経産省や外務省からもサポートをいただいているので、今後ともしっかりやっていきたい。 

2005/8/1 Saudi Aramco

Company, Sumitomo Sign Rabigh Accord
http://www.saudiaramco.com/

Saudi Aramco and Sumitomo Chemical Co., Ltd. Monday signed an agreement to become joint venture partners in the development of a large, integrated refining and petrochemical complex in the Red Sea town of Rabigh, on Saudi Arabia's west coast.

The joint venture agreement follows successful completion of a joint feasibility study, during which both companies performed front end engineering design and verified the viability of the project. The joint feasibility study began on May 9, 2004, when Saudi Aramco and Sumitomo Chemical signed a memorandum of understanding to launch the effort.

Abdallah S. Jum'ah, seated right, president and CEO of Saudi Aramco and
Hiromasa Yonekura, president of Sumitomo Chemical,
sign the historic joint venture to develop a large, integrated refining
and petrochemical complex in Rabigh, Saudi Arabia.

The project has moved to an early phase of execution with the recent award of multiple engineering, procurement and construction (EPC) contracts. When completed in late 2008, the Rabigh Project will be one of the largest integrated refining and petrochemical projects ever to be built at one time.

A total of 2.4 million tons of petrochemical solids and liquids, along with large volumes of gasoline and other refined products, will be produced. Also, this project has created third-party investment opportunities in Saudi Arabia's private sector for utilities and other related infrastructure.

For Saudi Aramco and Sumitomo Chemical, the project represents an opportunity for the world's largest producer of hydrocarbons to partner with a leading world-class petrochemical producer.

It presents an opportunity for increased industrialization in Saudi Arabia and a platform for broad downstream conversion industry development in the Kingdom. The project represents a concrete example of the Kingdom's strategy of attracting foreign investment to expand its economy and provide increased job opportunities for Saudi nationals. It is also consistent with the objective of creating opportunities for private local investment in service and other related industries.

Through this joint venture, Sumitomo Chemical, a major producer of polyolefins, will secure a reliable and stable supply of feedstock to strengthen its medium- and long-term competitiveness. This project constitutes an important step forward in enhancing the global competitiveness of the company's petrochemical operations.

Although Sumitomo Chemical has been operating a large-scale complex in a petroleum-refining center, Singapore, since 1984, the Rabigh project is the company's first step to establish a foothold in an oil and gas-producing country, thereby assuring stable feedstock supply for its operations. The project will, therefore, open a new stage in Sumitomo Chemical's worldwide business strategy.

Background
Saudi Aramco currently owns and operates a topping refinery at Rabigh with a nominal crude distillation capacity of 400,000 barrels per day. The existing site and infrastructure will serve as the base platform for the development of the Rabigh Project.

Saudi Aramco studied various upgrade alternatives for the refinery since the company became its owner in June, 1995. These studies led to the conclusion that the best alternative to capture the synergies of the existing large crude capacity, together with significant investment in site and infrastructure, would be to expand the site into a large, fully-integrated refinery and petrochemical complex.

Agreement of the Parties
Saudi Aramco and Sumitomo Chemical have agreed to form a Saudi Arabian limited liability joint venture company with equal ownership.

Saudi Aramco and Sumitomo Chemical successfully negotiated the joint venture to implement the Rabigh Project in parallel with the joint feasibility study, which confirmed the project's technical, marketing and economic viability, as well as its capital and operating costs, among other factors.

The new company will be called the Rabigh Refining and Petrochemical Company, or for short Petro-Rabigh.

The Project
In addition to contributing its world-class capabilities in hydrocarbon production and refining, and its decades-long experience of collaboration with the Kingdom's petrochemicals industry, Saudi Aramco will supply the Rabigh Project with crude oil, ethane and butane and will market the refined products produced by the project. Sumitomo will provide its extensive and proprietary petrochemical technology and marketing base to the venture.

The initial plans for the project include, as the centerpiece of the expanded site, a high olefins yield fluid catalytic cracker complex integrated with a world-scale, ethane-based cracker, producing approximately 1.3 million tons per year of ethylene, 900,000 tons per year of propylene, and 60,000 barrels per day of gasoline as well as other refined products. Downstream petrochemical units are to be included to convert all of the olefin production to downstream products.

The following olefin derivative units are included in the project configuration:

* Sumitomo's proprietary Easy Processing Polyethylene (EPPE) unit.
* An LLDPE unit.
* An HDPE unit.
* Two polypropylene units, producing a full range of polypropylene polymers - homopolymer, block copolymer, random and terpolymer.
* A propylene oxide unit utilizing Sumitomo's proprietary technology.
* A Mono-Ethylene Glycol (MEG) unit.
* A Butene-1 unit.

The joint feasibility study has confirmed the project's attractiveness supported by its economies of scale, synergies between refining and petrochemicals, available infrastructure as well as the positive outlook of petrochemical products.

The companies have awarded several EPC contracts for the major process plants and the utilities facilities, as well as retaining a project management services contractor and other necessary advisors to proceed with the execution of the project on an expedited basis. Construction will commence during the first quarter of 2006.


日本経済新聞 2005/8/3              丸紅発表

丸紅・日揮 伊藤忠 サウジで発電・淡水化 1200億円投資 住化合弁に供給

 丸紅、日揮、伊藤忠商事の企業連合はサウジアラビアで発電・造水事業に乗り出す。総額11億ドル(約1200億円)を投じて発電所などを建設。電力と水の全量を、住友化学とサウジ国営石油会社の合弁が2008年に操業を予定している世界最犬級の石油化学プラントに販売する。来週にも住化などと契約し、エネルギーの安定供給で全面協力する。
 丸紅など3社はサウジの独立系発電事業者、
ACWAパワーと組んで事業会社を設立。住化とサウジアラムコが建設する石油精製・石化コンビナートの敷地内に海水淡水化装置や蒸気タービンなどを含む設備を造る。住化・アラムコのプラントに38万キロワットの電力、毎時7405トンの水など供給する。年間売上高は平均約1億8千万ドルの見込みで、独立系の発電・造水事業ではサウジ最大規模。建設は三菱重工業が請け負い、06年1月に着工し、08年6月に完成させる。
 総事業費の2割を丸紅などが出資し、
8割を住化・アラムコの合弁会社から借り入れる。出資比率は丸紅30%、日揮25%、伊藤忠20.1%。設備は完成から25年後に住化・アラムコに無償提供する。
 丸紅などが電力を供給する石化プラントは、日量40万バレルの石油精製能力と年産130万トンのエチレン製造設備など世界最大級の規模となる。エネルギーを低コストで安定確保するには、専用設備を持つ方が有利として丸紅連合への発注を決めた。住仏・アラムコのプラントヘの総投資額は、資材高騰などで、約85億ドル(約9400億円)と従来計画の2倍に膨らんだ。同発電・造水事業では英国電力関連会社インターナショナルパワーや住友商事も名乗りを上げていたが、丸紅連合が競り勝った。


2005/8/9 丸紅

サウジアラビアで大規模発電造水等の事業権を獲得 住友化学・サウジアラムコ社より受注

 丸紅株式会社は、日揮株式会社・伊藤忠商事株式会社・ACWAパワー社(サウジアラビア)と共同で、サウジアラビア王国の紅海沿岸に位置するラービグ地区において住友化学株式会社とサウジアラムコ社(サウジアラビア国営石油会社)が共同で推進する世界最大級の石油精製と石油化学の統合コンプレックスに、電力・水・蒸気を25年に亘って供給する事業権を獲得し、8月7日、サウジアラビアにおいて関連契約書に調印しました。 

 事業、契約の詳細は以下の通りです。

1.契約相手先 :
  住友化学株式会社及びサウジアラムコ社ならびに両社が今後共同で設立する特別目的事業会社(ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カン パニー)

2.設備所在地 :
  サウジアラビア王国ラービグ地区 (Rabigh, Saudi Arabia)
  (紅海沿岸、ジェッダJeddahの北約140km)

3.契約内容 :
  380MWの電力、7,405トン/時の水、1,655トン/時の蒸気を供給可能な設備を建設し、完工後25年間所有・運営し、
  25年後に設備を無償譲渡する。所謂BOOT(Build, Own, Operate & Transfer)方式。

4.建設請負契約相手先: 
  三菱重工業株式会社

5.建設請負契約納期: 
  2008年6月

6.資金調達 :
  出資 2割
  融資 8割

7.事業主体 : 
  丸紅   30%
  日揮  25%
  伊藤忠商事   20.1%
  ACWAパワー他 24.9%

 発電・造水設備の新規建設は、三菱重工業株式会社がフルターンキーにて一括請負します。同日設備建設契約にも調印しました。

 丸紅連合は、住友化学・サウジアラムコ社により4月末に実施された国際競争入札に参加しました。その後技術評価・商業評価を経て、6月に丸紅連合が優先交渉先に選定され、このほど事業権獲得に至りました。入札にて提示した価格に競争力があったことに加え、丸紅の豊富なIPP事業者としての実績、日揮の豊富なプラント納入実績を通じて築き上げた住友化学・サウジアラムコ社との信頼関係、が今般の事業権獲得の大きな要素になりました。そして伊藤忠商事の造水設備納入実績や、ACWAパワー社とのサウジアラビア造水関連事業の経験、三菱重工の住友化学へのプラント納入実績・サウジアラビアでの発電・造水設備納入実績も評価されました。

 丸紅と日揮は、2005年01月にアブダビにて30億ドルの世界最大級の発電・造水事業の事業権を獲得しており、中近東地域における大型発電造水事業の連続受注になります。 

 今後この地域では同種の新規案件が多数計画されており、丸紅としては引き続き積極的に優良案件の受注に努める方針です。

 なお、本邦出資分について日本貿易保険に投資保険などの引受を依頼しています。

【ACWA Power社会社概要】
 所在地 : サウジアラビア
 設立 : 2004年
 事業内容: 発電事業 サウジアラビアAl Muhaidibグループ(総資産17億ドル)他が中心となりサウジアラビアにて設立した
        独立系電力事業者


日本経済新聞 2005/8/5

住友化学・米倉社長 サウジ事業強気の見方 独自戦略  中国の成長 条件

 住友化学の米倉弘昌社長は4日、東京都内で記者会見し、サウジアラビアで進めている世界最大級の石油化学事業について、「中国などアジアの経済成長が供給増を吸収していく」と強気の見方を示した。
 同社は中国の国内総生産(GDP)の伸びを年率8%と推定すると、中国石化市場は同10%で成長すると試算。2009年には中国の石化製品輸入超過はエチレン換算で1300万トンと04年の900万トンから着実に増えるとみる。サウジプロジェクトは中国、インド市場への石化輸出をにらんだものだ。
 住化と他の大手4社の戦略は明確な違いがある。他社は海外を含めて大規模なエチレンプラントを新設する計画を持たない。中国や中東地域で大型の石化プラントが相次いで立ち上がるため、ポリエチレンなど汎用樹脂では競争力が低下していくと見ている。
 代わりに自動車材料や電子材料といった付加価値の高い素材の開発など新規事業の拡大を急ぐ。三井化学は中国で合繊原料などの工場新設を計画しているが「国際競争力のある製品に絞って進出する」(藤吉建二社長)と慎重だ。
 「石化事業全体の競争力を高めるため、安い原料の安定調達を目指す」(米倉氏)という住化独自の戦略は中国需要の成長持続が条件となる。


2005年08月04日 Chemnet Tokyo

米倉・住化社長「サウジ・ラービグの競争力に強い自信」
「中東原油を確保、わが国エネルギー政策にも貢献」  

 サウジ・アラムコと共同で「ラービグ計画」を推進するため合弁契約に調印して帰国した、住友化学の米倉弘昌社長は4日、記者団と懇談し同プロジェクトの概要を説明した。この中でとくに現地の安価なエタンを原料とするため、ナフサ・ベースの石油化学事業に対してコスト競争力に優れていること、日本の全消費量の約10%に相当する日量40万バレルの原油と年間120万トンのエタンの供給を受ける権利が確保できることにより、わが国のエネルギー資源確保に貢献できることなどの点を強調した。
 
 同計画は、原油処理能力日産40万バレルの既存トッパー設備を中心に、石油化学コンビナートを建設するもので、エチレン年産130万トンのクラッカーとプロピレン同90万トンのFCC装置をはじめ、
EPPE 25万トン、LLDPE 35万トン、HDPE 30万トン、EG 60万トン、PP35万トン(x 2)、 PO 20万トンなど、石油精製と石油化学を統合した世界最大級のコンプレックス建設を目指している。
 
 米倉社長は、建設コストが当初予定した総額43億ドルから、85億ドルに膨張したことについて「この1年で世界経済は様変わりし、今やコントラクターが不足する時代だ。このためエンジニアリング・フィーや建設資材などが高騰しがやむをえない」としたあと、「資金は両親会社で折半するが、自己資金で 35〜40%を調達する。当社の負担は1500億円程度と想定している。当社は現在1500億円近いキャッシュフローをもっているので、不安はまったくない。借入れについても、政府系金融機関や銀行筋は、プロジェクトの経済性、信頼性を高く評価してくれている。リスクという点でみれば、保険でもカバーできている」と語った。
 
 プロジェクトの優位性については、原料コストの違いを第一にあげ「中東のエタン価格は百万BTU当たり0.75〜1.5ドル。
トンに換算して37〜74 ドルだが、ナフサの470ドルに比べれば、6分の1から10分の1という安さだ。原油やナフサ価格は常に変動すがエタン価格は安定している。原油価格が上がればそれだけ有利になる」と自信を見せた。
 
 また「住友化学の石油化学部門は日本、シンガポール、アメリカの各生産拠点とサウジが相互に補完しあい最適生産体制を構築することによって飛躍的に強まるだろう。当社が今後さらにグローバル展開していく上で、ラービグを大きな足がかりにしていきたい」と語った。


日本経済新聞 2006/3/3      住友化学発表

住友化学 サウジ合弁、6600億円調達 銀行団と合意 事業規模1兆1000億円


 住友化学とサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコが計画する
合弁事業に、三井住友銀行など大手邦銀3行を中心に世界の19行が58億ドル(6670億円)を融資することが決まった。3日未明、調印する。事業規模は1兆1千億円超に膨らむが、採算に合うと決断した。国際協力銀行も参加、原油などエネルギーの安定確保を目指した"日の丸事業"が月内にも動き出す。
 日本が中東産油国で手がける事業としては過去最大級。紅海沿岸にある既存製油所の改良でガソリン(年280万トン)などの石油製品を生産。石化の基礎材料となるエチレン(130万トン)や汎用樹脂のポリエチレンなどを2008年から一貫生産する。
 焦点だった資金調達について、住化とアラムコの合弁会社ラービグ・リファイニング・アンド・ぺトロケミカル社(ぺトロ・ラービグ)と銀行団がロンドンで2日午後(日本時間3日未明)、融資契約を締結する。
 三井住友、みずほコーポレート、三菱東京UFJ、住友信託の邦銀4行や米シティバンク、英HSBC、サウジのリヤド銀など13行が23億4千万ドル(2700億円)を分担。国際協力銀が25億ドル(2900億円)、サウジ政府系の公共投資基金が10億ドル(1200億円)を融資する。
 邦銀の融資に加え、官民を挙げての事業にする狙いから、国際協力銀の参加を求めた。銀行団はアラムコから原料の天然ガスの供給を安価で受け、石油・石化製品を生産すれば、採算がとれると判断した。

民主導で関係強化 政情不安、投資リスクも

 住友化学のサウジアラビアの合弁事業が資金調達にメドをつけ、着工への関門を通過した。世界的な資源争奪戦を見据えた民間主導の大型投資は、最大の産油国との関係強化につながりそうだ。ただ、中東の政情不安などから投資リスクはなお残る。
 今回の合弁は事業費が膨張し、採算が確保できるかが最大のハードルとなった。融資は合弁生産する石化製品や石油製品の販売収入を返済原資とするプロジェクトファイナンス方式だが、コスト増による収益構造悪化は枠組みを崩壌させかねない。
 そこで金融機関が評価したのが、サウジアラムコが石化原料として安価な原料ガスを安定供給する点だ。
 原油からつくるナフサ(粗製ガソリン)を原料とするよりコストが格段に安く、原油高下で高い競争力を維持できると判断。各行は「原油価格急落も含め何十通りもの状況を想定したが、キャッシュフローは十分確保できる」(融資関係者)とみる。
 とはいえ、民間行だけで「サウジ・リスク」をカバーすることは難しい。政府はサウジとの協力の象徴だったアラビア石油のカフジ油田事業の権益更新に2000年に失敗。それ以来、決め手を欠いていた関係強化に向け、国際協力銀行も合弁を支援する。一方、サウジ側も原油やガスの付加価値を高め、雇用創出につながるプロジェクトとして政府系金融機関が参加する。
 サウジでは2月下旬にアラムコの石油施設を狙ったテロが発生、対岸のイランの核開発疑惑も緊張の度を高めている。かつて、日本政府が支援した
イラン・ジャパン石油化学(IJPC)は戦乱や革命で事業撤退に追い込まれた。中東での大型事業でリスクは避けられない状況だ。
 にもかかわらず、住友化学がサウジ進出に踏み切るのは、日本の石化産業への危機感から。国内メーカーは中国特需で好業績を上げてきたが、「特需が一巡すれば、再び石化事業が頭打ちになる」(米倉弘昌社長)。英BPなど資源メジャーも中国で石化事業を展開。アジアで供給過剰が表面化すれば、原料を輸入に頼る日本勢は競争力を失いかねない。日本勢の資源国進出が加速する可能性もある。


2006年3月3日 住友化学

ペトロ・ラービグ社のプロジェクト・ファイナンス契約調印について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20060303_1.pdf

 住友化学とサウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ社)は、昨年9月に折半出資の合弁会社ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(ペトロ・ラービグ社)を設立し、サウジアラビアのラービグにおける石油精製と石油化学との統合コンプレックス事業計画(ラービグ計画)を推進しておりますが、このほど銀行団との間で、総事業費98億米ドルの約6割にあたる58億米ドルのプロジェクト・ファイナンス契約を締結いたしました。
 本プロジェクト・ファイナンスは、国際協力銀行(JBIC)とサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)など日本とサウジアラビアの政府系金融機関を中心に両国ならびに欧米、湾岸諸国の商業銀行にイスラム系投資家を加えた17行をメンバーとする幹事団から、ペトロ・ラービグ社が融資を受けるものです。JBICからは25億米ドル、PIFからは10億米ドルの融資を受けます。また、本プロジェクト・ファイナンス組成にあたっては、三井住友銀行をファイナンシャル・アドバイザーに起用いたしました。
 ラービグ計画は、サウジアラビア紅海沿岸の都市ラービグにサウジ・アラムコ社が所有する既存製油所の高度化とエタンクラッカー、流動接触分解装置(FCC)や石油化学製品生産設備などの新設により、世界最大級の石油精製と石油化学の統合コンプレックスを建設するもので、競争力のある原料をサウジ・アラムコ社から安定的に供給を受けるとともに、スケールメリットを最大限に発揮し、これまでに比べ飛躍的に収益力の高い石油精製・石油化学事業を展開しようとするものです。同時に本計画が、ラービグやこれに隣接して建設される予定である新経済都市の産業の中核として、サウジアラビアの雇用の拡大、経済の多様化に貢献し、同国の持続的な発展に資するとともに、日本とサウジアラビア両国の関係のさらなる緊密化の一助となることを期待しています。
 これまで設備建設のためのエンジニアリング、資材調達、建設工事等の契約ならびに銀行団との融資契約を順次進めてまいりましたが、これらが完了するはこびとなりましたことから、近く起工式を行い、本格的な工事に着手します。設備の完工は当初計画どおり、2008年第3四半期を予定しています。

幹事銀行団リスト

銀行名 国名
三井住友銀行
住友信託銀行
みずほコーポレート銀行
三菱東京UFJ銀行
Citibank N.A.
Gulf International Bank B.S.C (*)
Riyad Bank サウジ
Calyon
WestLB AG
BNP Paribas
HSBC
APICORP (*)
The Saudi British Bank サウジ
Saudi Hollandi Bank サウジ
Banque Saudi Fransi サウジ
Islamic Development Bank (*)
Bank Albilad サウジ

(*)湾岸諸国あるいはイスラム系諸国による共同出資


2006/3/6 日揮

サウジアラビアで石油精製・石油化学統合コンプレックスを受注
−基本計画に引き続いてラービグ計画の大規模建設工事を一括受注−

 日揮株式会社は、住友化学株式会社とサウジアラムコ社(サウジアラビア国営石油会社)が共同で設立したサウジアラビア法人から、サウジアラビア王国ラービグ地区における流動接触分解装置および世界最大級のエタンクラッカーの建設プロジェクトを受注しましたので、お知らせいたします。詳細は以下の通りです。

1.顧 客 名: ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー
        (Rabigh Refining and Petrochemical Company)
2.建 設 地: サウジアラビア王国ラービグ地区(Rabigh, Saudi Arabia)
        紅海沿岸、Jiddah の北約140km)
3.契約内容:
  ・流動接触分解装置(High Olefin FCC):プロピレン90 万トン/年
  ・エタンクラッカー :130 万トン/年
  これら設備に係る設計、機材調達および建設役務
4.契約形式: ランプサム(一括請負)契約
5.完成時期: 2008 年後半
6.プロジェクトの概要:
 本プロジェクトは住友化学とサウジアラムコ社がサウジアラビアで計画している世界最大級の石油精製と石油化学の統合生産プロジェクトで、ラービグ計画と呼ばれています。当社は2004 年11 月に本コンプレックスの中核設備となる流動接触分解装置、およびエタンクラッカーの基本設計役務(Front-End Engineering and Design:FEED)を受注し、このたびFEED に引き続いてこれら設備の建設工事(EPC)受注が決定しました。当社は住友化学株式会社、ならびにサウジアラムコ社向けに石油精製・石油化学・ガス処理プラントなど数多くのプラントを建設した実績を有しており、両社に対する当社の実績、およびこれら分野の豊富な経験に基づくFEED が高い評価を受け、今回のEPC 一括受注に至ったものと考えております。
 また、コンプレックス隣接地に電力・水・蒸気を供給する付随設備が追加され、当社は2005 年8 月に丸紅株式会社、伊藤忠商事株式会社などと共同で本設備の事業権を獲得しております。
 当社にとって顧客およびプラント建設国のニーズに合致した大型プロジェクトに全面参画できることは大変光栄なことであり、価値あることでもあります。
 中東地域では、今後も多くの石油精製、ガス処理、石油化学、発電・造水プラントが計画されています。当社は顧客の幅広いニーズに応えるエンジニアリング企業として、今後も積極的な営業活動を展開していく所存です。


Platts 2006/3/8

Work on Saudi Rabigh refinery, petchem project to start by April

Saudi Aramco and its joint venture partner Sumitomo Chemical plan to start work on their 50:50 joint venture refinery and petrochemical complex at Rabigh, Saudi Arabia by April, Saudi oil minister Ali Naimi said Wednesday.

Last week, the two companies signed financing deals to secure $5.8-billion to fund part of the work on the project, which has a total price tag of around $9.8-billion. The project entails building a new petrochemical complex that would center around a steam cracker with an ethylene capacity of 1.3-million mt/year, among the largest in the world. The complex would be ntegrated with Aramco's existing 400,000 b/d refinery at Rabigh, which is to be upgraded.

The cost of the project has almost doubled since initial plans were drawn up. Naimi told reporters that 70% of this increase was due to inflation. The Rabigh complex is one of several projects being undertaken by Aramco as it aims to increase its refining capacity in Saudi Arabia and overseas by 50% in the coming years. The company also plans to build two new joint venture refineries at Jubail and Yanbu, each with a capacity of 400,000 b/d. Naimi said France's Total was now the preferred partner for the Jubail project after having submitted the best technical bid. ConocoPhillips is the preferred partner for Yanbu, the minister said.

In the upstream sector, Naimi said Saudi Arabia's most recent oil field expansion, the Haradh project, was on track to reach plateau output of 300,000 b/d on April 1. The Haradh project would increase Saudi Arabia's crude oil production capacity, already the world's highest, to 11.3-mil b/d.


日本経済新聞 2006/3/20

日本貿易保険 過去最大の保険 22億ドル 住化のサウジ合弁に

 独立行政法人の日本貿易保険は住友化学がサウジアラビアで計画している石油精製・石油化学の合弁事業の貿易保険を引き受けると決めた。引受額は22億ドル(約2500億円)で貿易保険制度が始まった1950年以降で最大。政変やテロなどの不測の事態が起きた場合、住化は出資金や融資額、債務保証の約半分のリスクがカバーされる。20日に発表する。

 保険期間は最大10年。住化はサウジ国営石油会社サウジアラムコと折半出資で合弁会社を設立、月内にサウジ西岸に複合設備を本格着工する。ガソリンのほか、石化の基礎原料であるエチレンなどを2008年から一貫生産する。総事業費は98億ドル(約1兆1000億円)で、日本が中東産油国で手掛ける事業としては過去最大級。住化は合弁会社へ出資・融資するほか、世界19行が協調融資する58億ドルの一部を債務保証する。

 日本貿易保険は日本企業の輸出代金の回収リスクだけでなく、海外投融資にも保険制度を運用している。04年度の引受保険残高は約11兆5千億円。


日本経済新聞 2007/6/9

「住化との石化合弁拡大」 サウジアラムコ、2010年にも

 サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのカーリッド・アルファレ上級副社長は都内で日本経済新聞記者と会い、同国で住友化学と進めている石油化学合弁について、「2010年にも生産拡大に踏み切りたい」と能力増強に前向きな姿勢を示した。建設中の第1期工事は08年の完成予定。原油価格の高止まりや石化製品の堅調な需要を背景に、総事業費1兆円超の巨大事業は拡大に向けて動き出した。
 アラムコと住化は紅海岸ラービグで昨春、石油精製、右化プラントを着工した。総事業費は98億ドル(約1兆1800億円)で、サウジ産の安価な原油・天然ガスを原料にガソリンや灯油などの石油製品や石化基礎材料のエチレン、汎用樹脂のポリエチレンなどを一貫生産する。
 建設工事は順調に進んでおり、アルファレ副社長は「計画通りに来年の第3四半期(7−9月)には操業開始できる」と自信をみせた。能力増強に関しては「04年に合弁計画に調印した時点で、3段階に分けて拡張を進める方針は合意済み」であることを明らかにした。第2期拡張は「住化と話し合っており、来年には計画を策定する」とし、需給見通しや投資額を精査したうえで、第2期の操業開始から2年後の2010年には早くも生産量を引き上げる考えを示した。
 住化も第2期計画について「アラムコと話を進めている」と認めている。住化は第1期計画の完遂を当面の最大の経営課題と位置づけ、第2期拡張の時期や規模は今のところ明言を避けている。しかし中国などの経済発展で世界の汎用樹脂需要は拡大が見込まれ、安価な天然ガス原料で競争力の高いラービグ計画の拡張に前向きとみられる。


2007/9/18 日本経済新聞夕刊

住化合弁、年内に株式公開 サウジで石油精製や化学品製造
 湾岸最大の30億ドル調達か

 住友化学とサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコが折半出資でサウジ西部ラービグに設立した石油精製・化学品製造会社、ペトロラービグは年内の新規株式公開(IFO)に向け準備を始めた。同社の関係者が明かした。調達金額は少なくとも30億ドル前後とみられ、ペルシャ湾岸では過去最大規模のIPOになる見通しだ。
 ペトロラービグの総事業費は資材価格の高騰などを受げ、当初見込んだ43億ドルが2.3倍の98億ドルに膨れた。同社はすでに国際協力銀行、サウジ公共投資基金など20前後の金融機関から計58億ドルを調達したが、不足分を補うために株式を公開する。住化は2008年の操業開始前のIPOに慎重だったが、アラムコの積極姿勢を受け入れた格好だ。
 ペトロラ一ビグはすでに、サウジ資本市場庁にIPOの許可を申請したもようだ。アラムコは06年、ぺトロラービグ株の25%を公開する構想を打ち出したが、今回、どの程度の株式を公開するかは改めて住化と協議して決める。
 湾岸協力会議(GCC)加盟の6カ国で、これまでのIPOの最高額は03年の国営通信サウジテレコムの民営化でサウジ政府が調達した27億2千万ドルだった。
 ベトロラーピグが軸のラービグ計画は発表時点で世界最大規模の石油精製・化学事業とされた。同計画ではアラムコがサウジ産の原油や天然ガスを比較的安い価格で供給。これを原料に石化製品の基礎原料であるエチレン(年産130万トン)、プロピレン(同90万トン)だけでなく、さらに川下のポリエチレンなど石化製品(同240万トン)まで一貫生産する。


2007年11月6日 住友化学

「ペトロ・ラービグ社」のサウジアラビア株式市場における上場について

 住友化学は、サウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ社)と折半出資の合弁会社「ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(ペトロ・ラービグ社)」を2005年9月に設立し、サウジアラビア紅海沿岸のラービグにおいて石油精製と石油化学の統合コンプレックス事業計画(ラービグ計画)を推進しておりますが、このたび、「ペトロ・ラービグ社」が、2008年1月上旬を目途に、サウジアラビア株式市場で新規株式公開(IPO)を行い上場することとなりましたので、お知らせいたします。
 サウジアラビア政府は、国内株式市場育成のため、従来から優良企業の新規上場を推し進めています。「ペトロ・ラービグ社」についても、サウジアラビア政府から、早期のIPO実施の強い働きかけがあったため、これを検討し、上場に向けた準備を進めた結果、このたび、サウジアラビア当局から認可を得たものです。IPOにより、「ペトロ・ラービグ社」は、上場企業として、サウジアラビア株式市場の拡充を通じ、同国経済の発展にも寄与してまいります。
 本IPOの概要は、下記のとおりです。現在、「ペトロ・ラービグ社」への住友化学の出資比率は50%ですが、IPO実施後の出資比率は、住友化学およびサウジ・アラムコ社がそれぞれ37.5%を保有し、引き続き両社の協力体制のもとで、本計画を推進していく考えです。

1.募集株式 : 219百万株(IPO実施後の発行済み株式総数の25%。新株発行方式)
2.売出価格 : 未定
3.払込金額 : 未定
4.募集対象者: サウジアラビア国内投資家
5.申込期間 : 2008年1月5日〜1月12日

 なお、売出価格については、サウジアラビア当局から通知があり次第、公表する予定です。また、本件が住友化学の平成20年3月期連結業績に与える影響につきましても、売出価格決定後に算定の上、お知らせする予定です。

(参考)
「ペトロ・ラービグ社」の概要
1.社 名 : ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー
2.設 立 : 2005年9月
3.資本金 : (現 在) 6,570百万サウジ・リヤル(約2,000億円)
        (IPO後) 8,760 百万サウジ・リアル(約2,700億円)
4.出資比率 : (現 在)住友化学50.0%、サウジ・アラムコ社50.0%
          (IPO後)住友化学37.5%、サウジ・アラムコ社37.5%、一般投資家25%
5.本社所在地: サウジアラビア王国 ラービグ
6.CEO : Saad F Al-Dosari


2007年12月25日 住友化学

「ペトロ・ラービグ社」の新規株式公開(IPO)の売出価格等の決定について

 住友化学は、サウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジ・アラムコ社)と折半出資の合弁会社「ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(ペトロ・ラービグ社)」を2005年9月に設立し、サウジアラビア紅海沿岸のラービグにおいて石油精製と石油化学の統合コンプレックス事業計画(ラービグ計画)を推進しています。「ペトロ・ラービグ社」のサウジアラビア株式市場での新規株式公開(IPO)に関しましては、2007年11月6日付プレスリリース(当社ホームページ参照)で公表したところですが、このたび売出価格および払込予定金額について決定致しましたので、お知らせいたします。
 売出価格および払込予定金額を含めた本IPOの概要は、下記のとおりです。現在、「ペトロ・ラービグ社」への住友化学の出資比率は50%ですが、IPO実施後の出資比率は、住友化学およびサウジ・アラムコ社がそれぞれ37.5%を保有し、引き続き両社の協力体制のもとで、本計画を推進していく考えです。

1.募集株式 : 219百万株(IPO実施後の発行済み株式総数の25%。新株発行方式)
2.売出価格 : 1株当たり21サウジ・リヤル(約5.6米ドル)(額面価格の2.1倍に相当)
3.払込予定金額 : 4,599百万サウジ・リヤル(約12億米ドル=約1,400億円)
4.募集対象者: サウジアラビア国内投資家
5.申込期間 : 2008年1月5日〜1月12日


(参考)
「ペトロ・ラービグ社」の概要
1.社 名 : ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー
2.設 立 : 2005年9月
3.資本金 : (現 在) 6,570百万サウジ・リヤル(約2,000億円)
        (IPO後) 8,760 百万サウジ・リヤル(約2,700億円)
4.出資比率 : (現 在)住友化学50.0%、サウジ・アラムコ社50.0%
          (IPO後)住友化学37.5%、サウジ・アラムコ社37.5%、一般投資家25%
5.本社所在地: サウジアラビア王国 ラービグ
6.CEO : Saad F Al-Dosari


Platts 2009/7/22PetroRabigh sees net loss balloon to $63 million on start-up woesSaudi Arabia's Rabigh Refining & Petrochemical lost Riyal 236 million ($62.94 million) in the second quarter, double the SAR 115 million net loss in the year-ago quarter, the company has reported.

Operating losses for the Q2 were SAR 240 million, sharply down from operating losses of SAR 125.7 million in the same quarter last year.

The increase in losses were partly due to "unforeseen difficulties," the company said in a statement.

The PetroRabigh complex at Rabigh, which started operations in April, centers around a 1.3 million mt/year ethane-based steam cracker, but many of the downstream plants have been facing delays in the past months.

PetroRabigh's residual fluid catalytic cracker at the same complex has experienced multiple teething problems since April, hindering the company's polypropylene and propylene oxide production in the process.

The PetroRabigh complex includes downstream 600,000 mt/year linear low density polyethylene capacity, a 300,000 mt/year high density PE plant, as well as a 600,000 mt/year mono-ethylene glycol plant.

Though PetroRabigh's 600,000 mt/year MEG plant had only been able to operate at higher rates from July even though it was brought on stream in April.

PetroRabigh's RFCC can produce 900,000 mt/year of propylene, all of which will be used to make polypropylene and propylene oxide. PetroRabigh's PP and PO capacities are 700,000 mt/year and 400,000 mt/year respectively.

Most of PetroRabigh's polyethylene and polypropylene operations have yet to achieve stable operations since its startup in May-June.

The company's 250,000 mt/year and 350,000 mt/year LLDPE plants and its 700,000 mt/year PP plant was recently shut in the middle of July after starting up two weeks prior. PetroRabigh's PP plant had successfully completed trial runs in mid-April, but due to perennial feedstock issues, had been unable to commence commercial production as earlier planned.

The only polyolefin unit at PetroRabigh with stable commercial operations was its HDPE plant, which had been running at an average 70%-80% capacity since its startup in the middle of May.

For the first six months of the year PetroRabigh had net losses of SAR 265 million versus SAR 198 million for the same period of year 2008, and operational losses of SAR 279 million versus SAR 236 million for the same period of year 2008.

PetroRabigh is a joint venture between Saudi Aramco (37.5%) and Sumitomo Chemical (37.5%). The remainder is listed on the Saudi stock exchange.