日本経済新聞 2002/7/31        

武田、農薬から撤退一。医薬品事業集中 住友化学に売却

 武田薬品工業と住友化学工業は30日、武田の農薬事業を住化に売却することで合意した。11月に両社が共同出資会社を設立して武田の農薬事業を移管、住化が5年後をめどに新会社の全株式を取得する。製薬国内最大手の武田は農薬事業から撤退し
医療用医薬品に経営資源を集中。農薬国内トップの住化は規模拡大で国際競争力を強化する。
 新会杜の出資比率は住化が60%、武田が40%。移管する武田の農薬事業は2002年3月期の売上高が370億円程度で、害虫防除剤、雑草防除剤などが主力製品。最終的な事業譲渡額は今後詰めるが、300億−500億円規模に達するとみられる。
 武田は新薬の開発競争激化で2003年3月期の研究開発費が1300億円に膨らむ見込み。本業での投資負担が重くなるため非医薬品事業の整理を急いでいる。2000年に動物薬、2001年にビタミンとウレタン、今年4月には食品事業と事業再編を進め、医薬品以外で残る事業は農薬と生活環境だけだった。
 住化は研究開発力、販売力を高めるために規模拡大が必要と判断した。

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日本経済新聞 2002/8/1

武田の農薬事業買収を発表 住友化学、国際競争に備え 三井化学合わせ世界7位

 住友化学工業と武田薬品工業は31日、住化が武田の農薬事業を買収することで基本合意したと正式発表した。買収で住化は、来年経営統合する予定の三井化学に加え武田の農薬事業を傘下に収める。国内市場では首位の
スイス・シンジェンタと並ぶ15%程度のシェアを確保し、世界でも7位になる見通しだ。(注 住化は原体出荷中心、シンジェンタジャパンは製剤品販売)
 両社は11月に共同出資で住化武田農薬を設立し、武田の事業を移管。5年後をメドに住化本体と統合する方針。新会社の資本金は百億円で住化が60%、武田が40%出資する。買収の総費用は明らかにしていない。
 初年度の売上高見通しは360億円。280人の従業員は武田から出向するが、5年後に希望者全員が住化に転籍する。
 同日、都内で住友化学工業の米倉弘昌社長と、武田薬品工業の武田国男社長が記者会見した。米倉社長は「武田の開発力と販売力を武器に国内基盤を固め、世界の農薬大手との競争に備える」と買収の狙いを説明した。
 武田社長は住化への事業譲渡について「国際競争を考えると今の農薬事業の規模で生き残るのは難しい。研究開発力と国際展開力を重視して譲渡先を選んだ結果、住化がベストだった」と述べた。