2004/7/27 積水化学

−管路更生事業を海外展開−
・米国ロサンゼルス市で下水道管路更生のテスト施工開始
・韓国で下水道管路の更生事業を本格展開
http://www.chem-t.com/fax/images/0727sekisui.pdf

 積水化学工業株式会社(社長:大久保尚武、本社:大阪市)の環境・ライフラインカンパニーではこの度、「管路更生事業(上水・下水、農業用水等の管路の補強再生)」において、下記のとおり海外での
展開を開始しました。

1.ロサンゼルス市においてテスト施工を開始
 このほど米国・カリフォルニア州ロサンゼルス市と、「SPR工法」により同市における下水道管更生工事の「テスト施工契約」を締結しました。これを機に、当社では日本国内以上に管路の老朽化が深刻とされる欧米各国に対しても「管路更生事業」を展開していきます。

〔ロサンゼルス市テスト施工内容〕
@工事名称: ロサンゼルス市内ハイペリオン下水処理場内バイパス管路更生工事
A対象: 矩形下水道管(内径:高さ1,422mm×幅3,759mm 延長距離:78.1m)
B施工方法: 自由断面SPR工法
C施工時期: 事前施工8月開始、SPR施工9月開始

2.韓国で管路更生事業を本格展開
 韓国においても、ソウル市などの都市部においては、下水道管路の老朽化が問題となっています。当社では、韓国の「リフレッシュ技術株式会社」に対し、「SPR工法」の施工実施権と更生材料の製造ノウハウ技術を供与し、同社を通じて韓国での「管路更生事業」の展開をはかることとしました。
 2004年3月までにソウル市を中心に約700m(計6工区)のテスト施工を実施済みであり、2005年初めには韓国政府から技術審査認証を取得する計画で、その後、本格的に韓国での事業展開を進めていきます。

〔リフレッシュ技術株式会社の概要〕
@会社名: リフレッシュ技術株式会社
       <英文名称>Refresh Technology Co.,Ltd.
A代表者: 代表理事李弘元
B所在地: 大韓民国ソウル特別市江東区城内洞549−4
C業務内容: 土木建設工事(調査会社、設計会社及び土木建設・補修工事など約10社を
         傘下に置く弘龍建設グループの中核会社)

3.今後の事業計画
 2005年度の売上高目標は100億円としています。海外での本格展開や管路診断ビジネスの展開、農業用水、上水道、工業用水、民間の工場排水等、新規分野における事業創出をはかっていきます。

≪ご参考≫
1.下水道の実情(日本国内)
1)進む下水道管の老朽化
 日本の下水道普及率は全国平均で65.2%、整備下水道は34.5万Kmと欧米諸国と肩を並べる高い水準となっています。一方で、既設後50年以上を経過し、改築・更生を至急実施する必要がある下水道は全国で約7,000Km(東京〜シドニーの距離)におよびますが、その更生の実績は2003年で320Kmとなっています。こうしたこともあり、道路埋没・浸水など全国で4,760件(1997年度)の下水道老朽化が原因による事故が発生しています。
 下水道普及率90%を超えるイギリス、スウェーデン、オランダ、ドイツ、カナダ、また70%を超えるアメリカにおいても下水道の改築・更生は急務となっています。

2)下水道改築工事の問題点
 下水道改築工事の問題点としては、@莫大な工事費A工事による道路などの交通渋滞B工事中の周辺環境への影響C工事作業者の安全確保などがあげられますが、これらは日本だけでなく世界各国共通のものです。周辺環境に配慮し、効率的で安全な作業方法が必要とされています。

2.当社の更生工法と実績について
 当社は、工事の際、道路を開削しない「更生管工法」のうち、
 1.「製管工法」によって中・大口径管を更生する『SPR工法』
 2.「形成工法」によって小口径管更生を行う『オメガライナー工法』
の2つの工法を採用しています。国内においては、両工法を合わせて約320Km(平成2003年度までの累計)の施工実績があります。また、当社独自の老朽管路の診断・調査、製品製造、施工・メンテナンスまでの一貫体制を敷いています。

■『SPR工法』
 主に250〜5,000mmの中・大口径管路の更生に展開。

1. 既設管内を製管機が自走し更生管を製管しながら進む「自走式」(既設管口径900〜5,000mm適用。下、イメージ図)、
2. マンホール内に設置した製管機でプロファイルを嵌合させ、既設管に挿入する「元押し式」(既設管口径250〜900mm適用)、
3. 更生管を製管と同時に高粘度のモルタルを注入する「SPR工法のハート式」(既設管口径800〜3,000mm適用)
  の3方式があります。
その特長としては「道路掘削が必要ない」という更生工法の基本的なものに加え、
 ・ 工場で生産し、現場では組み立てるだけのため、硬化不良による垂れ下がり等が発生せず、
品質が安定している
 ・ 有機溶剤使用による火災発生や近隣への臭気発生の危険性が小さい
 ・ 耐用年数50年と長い
 ・ 水を流しながら工事ができる
 ・ 短工期である
 ・ 円形、馬蹄形、矩形など多様な断面に対応できる
 ・ 長距離、曲線製管などにも対応が可能等があげられます。
 

■『オメガライナー工法』
 主に150〜400mmの小口径管路の更生に展開。工場で管理された状態で製造されたオメガライナー(その名の通り、オメガ状に折りたたんだ形状記憶塩ビ管)を、蒸気加熱のみで円形に復元。
 現場では管の断面形状を円形に戻すだけで、化学反応(硬化反応)の必要もなく、安全確実、スピーディに施工が完了します。

1.既設管への引き込み
 マンホールよりオメガライナーを引き込みます。ドラム巻き長さは50m以上で、1 スパンを無接続で引き込み可能としています。

2.蒸気過熱で円形復元
 ボイラーユニット車からオメガライナーの内部に蒸気を送り込みます。蒸気によって加熱されたオメガライナーは形状記憶により管内部で円形に復元します。

3.圧縮空気により既設管と密着
 円形復元後、低圧の圧縮空気(0.5〜1.5kgf/cu)を送り込むことで、既設管内面に密着します。低圧をかけたまま空気で冷却することにより、完全に密着して、耐久性,耐食性に優れた塩ビ管による更生管路が完成します。