2002/8/10 日本経済新聞

PTT短繊維を量産 衣料向け開拓 帝人・旭化成
 優れた伸縮性 期待の合繊

 帝人と旭化成の共同出資会社であるソロテックスは、10月をメドに伸縮性に優れたポリトリメチレンテレフタレート(PTT)短繊維の生産を始める。低コストの量産技術を確立、世界で初めて本格生産に乗り出す。短繊維の量産化で、PTTと綿などの混紡が可能になる。衣料用途などで大幅な需要増が期待できる。
 PTT繊維はポリエステル繊維以来40年ぶりともいわれる、衣料向け中心の有望な合成繊維。ナイロンとポリエステルの特性を併せ持ち、伸縮性に優れるほか、肌触りが良いなどの特徴がある。糸状の長繊維は事業化されていたが、短繊維は事業化に見合うコストでの量産が難しく、試験的な生産にとどまっていた。
 ソロテックスは今回、量産技術の開発に成功。当面は出資元の帝人に生産委託し、帝人子会社の松山事業所(松山市)で年産100トン規模で量産開始する。販売はソロテックスが担当する。新たに開発した製造法が、既存のポリエステル短繊維の設備を改良して使えるなどの利点を持つため、松山事業所だけで年産千トン規模にまで生産能力を高めることが可能という。
 2−3年後には、タイ、インドネシアなど帝人グループの海外拠点での委託生産も始める計画だ。5年後に20億円の売上高を目指す。
 PTT短繊維の量産開始で、PTTと天然繊維を混紡して織り編み素材などを作ることも容易になり、衣料用を中心に用途開発も進みそうだ。


2004/07/05 東レ/オペロンテックス

3GT繊維の生産設備増設について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=75648

 東レ(株)とオペロンテックス(株)(本社:東京都中央区、社長:袖山 文孝)は、この度、東レの三島工場(静岡県三島市)において、ソフト性・ストレッチ性・耐久性に優れた3GT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維(複合糸)の生産設備を、年産1,000トン増設することを決定しました。
 この設備は、2005年春からの稼働開始を目指し、既存設備1,500トンと併せた
生産能力は年産2,500トンとなります。これによりテキスタイルと糸売りを合わせ、当初の目標であった売上高100億円規模を早期に達成できる見通しとなりました。

 東レグループの3GT繊維事業は、東レがテキスタイルを"フィッティ"にて、主に婦人衣料・スポーツ衣料・裏地向けに、オペロンテックスが複合糸を「T−400」として、主にデニム、ボトム、シャツ用途向けにそれぞれ展開し、順調に拡大しております。
 今後、なお一層の新商品開発を進め、テキスタイルでは織物のみならずニット衣料、水着、ユニフォーム向けなどにも拡大し、既に展開中の靴下、肌着なども二次製品供給の形で展開を強化していく計画です。また糸売りでは、綿・毛から麻・絹・レーヨンなどの他素材複合やインベル、芯地、タオルなどの資材用途向けを、新たに展開していく予定です。

 
3GT繊維の2004年の生産量は、世界全体で約17,000トンの規模に達していると推定され、その中でも、単独糸、BCFなどに比べて複合糸は最も成長著しく、前年対比約2,000トン増加し、約5,000トン(約30%)の規模となっております。
 複合糸は、ストレッチ機能と耐久性を併せ持つ事で従来のスパンデックスとは異なる新素材として、新たな需要を創出しております。しなやかでソフトな風合い、高次加工の応用範囲が広いことなどの特性も活かした各分野での素材開発、商品開発により、今後も大きな成長が見込まれます。

 東レは、中期経営課題"NT−II"において、攻めの経営に転じるためのプロジェクトとして「先端材料の拡大」および「New Value Creator の推進」を進めています。今回の、先端材料である3GT繊維を増設し、事業規模を拡大していくことと、当社技術を最大限に活かし、新たな市場を創造し、新商流を作り出していく動きは、このプロジェクトに沿ったものです。
 また、
原料供給元であるデュポン社が、近々、原料の1,3−プロパンジオールを石化由来からバイオ法によるトウモロコシ由来に切り替える予定であり、3GT繊維を環境対応素材としても大いに訴求してまいります。