日刊工業新聞 2002/9/5

クボタとシーアイ化成、塩ビ樹脂を共同購入−コスト圧縮し収益改善

 塩化ビニール樹脂パイプ(塩ビ管)事業の販売を除く全分野で提携しているクボタとシーアイ化成は、塩ビ管の主原料となる塩ビ樹脂の共同購入に向けた議論を10月1日から開始することを明らかにした。共同購入の実施時期や数量などは未定だが、早期に結論を出す。原料仕入れを共同購入することでコストを圧縮するのが狙い。水道管などに使う塩ビ管は、公共事業や新規住宅着工件数の減少に伴う内需低迷で収益的に厳しい。両社は、同事業の安定収益事業への脱皮を目指す。

 クボタとシーアイ化成は02年4月に塩ビ管事業で、販売を除く生産や物流の分野などで提携。これまでは、今後の施策の実行に向け調整を進めてきたが、ここにきて具体的な方策がまとまり始めている。

 両社は9月から水道管やリブパイプ、汎用管などの試験的な相互供給を開始することを決めたほか、03年4月以降は年1万―2万トンの相互供給を行う計画。


2002/5/1 化学工業日報

塩ビ管メーカー、大型アライアンスが始動
 積水化学/三菱樹脂、クボタ/シーアイ化成、本年度から具体策実施

 塩ビ管メーカーの大型アライアンスが始動した。大手4社のうち積水化学工業と三菱樹脂、クボタとシーアイ化成がそれぞれアライアンスを組み、いずれも3月27日に公正取引委員会の了承を得て、具体的に動き始めたもの。クボタとシーアイ化成は4月18日に販売を除く包括的業務提携契約を締結し、積水化学と三菱樹脂は4月30日に共同出資による生産統括会社を設立した。両グループともに、今年度から効率化・合理化に向けた施策を順次実施する一方、より抜本的な対策の検討を進め来年度からの具現化を目指す。1999年末から動き始めた業界再編は、2グループの大型アライアンス始動により新たな局面を迎えることになる。

 塩ビ管業界は、1997年に積水化学工業がヴァンテック(旧小松化成)を買収した以外は無風状態が続いた。しかし、長引く平成不況の影響で状況は一変した。需要の低迷、市況の軟化、需給ギャップの表面化など大きな課題が浮上した。また、原料の塩ビ樹脂(PVC)業界が一歩先んじて再編、設備処理を実行し、実質的なプライスパワーの強化に結びつけたことも塩ビ管業界を動かす要因ともなった。
 このため、99年末から翌年にかけて大手メーカーを中心に各社10%ほどの設備の休廃止および転用を実施した。さらに、積水化学とクボタが北海道地区を軸とした相互OEM生産を発表したのに続き、積水化学と旭有機材工業の相互OEM生産、クボタとダイカポリマーの包括提携と規模は小さいながらも再編が進行した。そうした状況下で、昨年夏に経済産業省が事務局となりメーカー11社の社長をメンバーとする「塩化ビニル管産業の課題と将来展望に関する研究会」がスタート。このころから、大手4社での水面下での交渉も開始され、2グループのアライアンスが成立した。積水化学は4工場6拠点で年産能力17万トン、三菱樹脂も4工場6拠点で同16万トンを有し、積水化学としてはアライアンスにヴァンテックを含めない方針。両社で全国に8工場12拠点をもつだけに、最適生産体制の確立が大きな課題となる。
 とくに主力工場が立地する関東、関西地区が焦点になろう。また物流拠点も両社で21カ所(積水化学10カ所、三菱樹脂11カ所あるだけに、その統廃合も進められることになる。
 一方、クボタは3工場で年産能力17万トン、シーアイ化成は2工場で同7万トンを有する。両社では、生産拠点が少なく、立地バランスもよく、互いに強みを持つマーケットが異なる点などをアライアンスを組んだ理由としている。
 両グループでは、今年度から具体策の実施に着手するが、抜本的な対応策の具現化は来年度になる。いずれにしても、従来のような等価・等量の考え方でなく、ベストの体制構築を目指しており、塩ビ管業界にとっても変革の第一歩といえよう。


(2002/4/25 発表)

三菱樹脂と積水化学が塩ビ管・継手事業で生産統括会社を設立

 三菱樹脂株式会社(本社:東京都千代田区 社長:菅澤武彦)と積水化学工業株式会社(本社:大阪市北区 社長:大久保尚武)は昨年12月に塩ビ管事業における業務提携に合意しましたが、この度、公正取引委員会の了承を得て、予定していました共同出資の生産統括会社設立を決定しましたのでお知らせします。

1. 新会社の概要

(1)会社名   株式会社エムアンドエスパイプシステムズ
(2)事業内容     プラスチック管・継手製品等の生産及び在庫管理・配送に関するコンサルティング業務
プラスチック管・継手製品等の製品及び合成樹脂の売買  
前各項に付帯関連する一切の業務  
(3)資本金   2,000万円
(4)出資比率   積水化学工業51% 三菱樹脂49%
(5)所在地   東京都港区西新橋1−22−5 新橋TSビル4F
(6)役員           代表取締役社長 吉村 優 (三菱樹脂)                      
代表取締役専務 清田 芳博 (積水化学)  
取締役(非常勤) 田頭 秀雄 (積水化学)
    飯箸 弘 (三菱樹脂)
監査役 中場 元司 (三菱樹脂)
        田辺 博 (積水化学)
(7)社員数   4名(常勤役員含む)
(8)設立時期   2002年4月30日
(9)新会社の
   機能
  最終的には両社の販売計画や営業拠点からのオーダーを受けて、生産工程計画の立案・生産管理・出荷業務管理などの業務を統括する。

2. 2002年度の活動方針

1) 新会社での業務の立上げ
   新会社が両社の生産・物流管理を行うための「生産管理・出荷情報システム」の構築を開始する(下期完了予定)。
   
2)  次の諸施策についてはすでに各々ワーキンググループにて検討を開始しており、順次新会社に移管していく。
(1) 物流拠点の統廃合
  下期実施に向け北海道、東北、中国、九州の各地区での物流拠点統廃合を検討中。
(2) 生産拠点や設備の統廃合
  需要予測に基づく生産拠点・設備統廃合のシミュレーションを行ない、1年後を目途に順次実施。
(3) 最適生産拠点による生産体制の構築
  北海道地区(上期)、九州・中国地区(下期)
(4) 生産品目の集中生産化や仕様の統一
  リブパイプ・超大口径管など輸送費比率の高い特殊品から集中生産化を順次実施。
  受け口などの仕様統一を実施(上期)。
(5) 共同購買
  主原料については共同購買の導入についての検討を進めている。
  ゴム輪や鋳鉄などの共通部品、梱包材等の副資材については既に検討を開始し順次実施の予定。
   
3. 塩ビ管・継手以外のパイプ関連製品での業務提携も検討中。

【ご参考】

三菱樹脂と積水化学の業務提携の内容(2001年12月6日発表)

(1)狙い
   両社の強みや特長を活かした形で生産拠点や設備の統廃合による最適配置を前提としたコストミニマムを追求し、生産・物流・在庫に係わるコストを20%以上削減する。
(2)生産拠点の統廃合等
  @生産拠点や設備の統廃合  
  A生産品目の集中生産化  
  B仕様の統一  
  C生産品種の削減  
  D生産在庫管理システムの構築  
  E物流拠点の統廃合や共同配送の実施  
(3)生産統括会社の設立:2002年4月  
(4)共同購買について  
   原材料の集中購買によるコストミニマムを追求するために、共同購買の導入について早急に検討する。  

化学工業日報 2002/4/26

積水化学・三菱樹脂、塩ビ管生産統括会社 30日設立、始動  拠点統廃合など実施

 積水化学工業と三菱樹脂は25日、塩ビ管事業でのアライアンス(業務提携)の一環として計画していた共同出資の生産統括会社を30日に設立すると発表した。新会社「エムアンドエスパイプシステムズ」は積水化学51%、三菱樹脂49%の出資で、両社の販売計画や営業拠点からのオーダーにより生産工程計画の立案・生産管理・出荷業務管理などを統括する。 また、新会社での業務立ち上げを中心に、物流拠点の統廃合、生産拠点や設備の統廃合、最適生産拠点による生産体制の構築など今年度の具体策も明らかにした。
 新会社「エムアンドエスパイプシステムズ(吉村優社長)」は、資本金が2千万円で、本社を東京都港区西新橋1−22−5の新橋
TSビル4階に置き、社員は常勤役員を含め4名でスタートする。 当面は今年度下期の完了を目指し、両社の生産・物流管理を行うための「生産管理・出荷情報システム」の構築を開始する。
 一方、すでに各々ワーキンググループで検討か開始している諸施策を順次新会社に移管していく。
 物流拠点の統廃合については、今年度下期実施に向け北海道、東北、中国、九州の各地区での具体策の検討を開始する。また、需要予測に基づく生産拠点・設備統廃合のシミュレーションを行い、1年後を目途に順次実施していく方針。さらに最適生産拠点や生産体制の構築を、北海道地区は上期に、九州・中国地区は下期に実行する。
 一方、リグパイプ・超大口径管など輸送費比率の高い特殊品から集中生産化を順次実施するとともに、受け口などの仕様統一を上期にも行う。主原料については共同購買の導入についてすでに検討を進めており、ゴム輪や鋳鉄などの共通部品、梱包材などの副資材についてはすでに検討を開始し順次実施の予定。
 さらに、両社では塩ビ管・継手以外のパイプ関連製品での業務提携も検討している。


(2002/04/18 クボタ、シーアイ化成)

塩ビ管事業に関する包括提携契約の締結について

 株式会社クボタ(本社:大阪市、社長:土橋芳邦)とシーアイ化成株式会社(本社:東京都、社長:藤原正義)は、塩化ビニル管事業について包括的業務提携契約を締結致しましたので、下記お知らせします。

【契約締結日】
  平成14年4月18日
   
【提携の狙い】
   両社は、塩化ビニル管事業について生産、研究開発、購買、物流、技術サービスの各分野に及ぶ提携により事業の合理化・効率化を進め、両社のコスト競争力強化と事業採算改善を目指すものです。
   
【提携の背景と経緯】
   塩化ビニル管は、住宅の給排水、上水道、下水道、農業用水等の幅広い分野に使用されておりますが、需要の主体となる新設住宅着工の低迷や公共投資の縮減により需要が低迷し、両社の収益は悪化しております。
 需要の減少が中期的に続くと予測せざるを得ない市場環境と昨今のデフレ市況を勘案すると、このままでは収益が更に悪化するのは必至であり、抜本的な合理化対策を講じ収益力の改善を図る必要があります。
 かかる事業環境の下、昨年、経済産業省が事務局となり塩ビ管製造企業11社の社長をメンバーとする「塩化ビニル管産業の課題と将来展望に関する研究会」で発表された報告書の中でも、大胆なアライアンスによる業界再編の必要性が指摘されたところです。
 両社は、単独による経営合理化には限界があるとの共通認識に立ち、昨年8月より提携の可能性について検討を進めてきました。
 その結果、
  [1]  生産拠点がクボタ3拠点、シーアイ化成2拠点と比較的少ない上、立地バランスも良く生産面・物流面の合理化効果が期待できる。
  [2]  クボタは水道・農業分野、シーアイ化成は下水道・土木分野とそれぞれに強い市場を持ち、事業の相互補完による事業強化が期待できる。
  等の提携効果について合意を得、この度契約締結に至ったものです。
   
【対象事業】
   塩化ビニル管とその配管に用いられる継手・付属品等の管材事業全般を提携の対象とします。
     
【提携内容と実施時期】
  1.本年度については6月より順次以下の提携を開始します。
 
(1)両社の5生産拠点間でそれぞれ年間2万トンの生産受委託を実施する。
  東日本向け製品を主にシーアイ化成で、西日本向け製品を主にクボタで生産する。  
     
(2)以下の製品をクボタ、シーアイ化成それぞれに生産集約の予定。  
  [1]水道用塩ビ管の生産をクボタに集約。
[2]リブ付塩ビ管の東日本向け生産をシーアイ化成栃木工場に集約する。
[3]耐衝撃性塩ビ管の生産をクボタに集約。
[4]下水道用継手の一部品種をシーアイ化成に集約。
 
     
(3)生産設備削減を以下の通り実施する。  
  [1]シーアイ化成の生産設備を一部削減。
[2]クボタ小田原工場のリブ付塩ビ管生産設備を廃棄。
 
(4)塩ビ主原料・副原料を共同購買する。
(5)主な製品の仕様を統一する。
(6)買い入れ部品、外注製品類を共同購買する。   
(7)製品品揃え開発の共同化。
(8)技術サービス業務の一部を共通化する。        
     
  2.15年度以降に以下の提携を開始すべく検討を継続します。
  (1)生産拠点・生産品種の抜本的見直し。
(2)物流の共同化。
(3)新製品・新技術の共同開発。
     
【提携効果】
  本提携により15年度には両社合計で年間20億円以上の合理化効果を目標とします。

《ご参考資料》

【塩ビ管とは】
   正式名は硬質塩化ビニル管。塩化ビニル樹脂を主原料とし、押出成形機によって製造される代表的な樹脂管材。
 サイズや材質などにより設備向け、下水道用、水道用、農業用水用、ケーブル保護管用など幅広い分野に使用される。需要は住宅建設や公共事業の動向に影響を受ける。
   [1]設備向け:戸建住宅・集合住宅などの排水に使用される。
 [2]下水道用:公共下水道、集落排水等に使用される。
 [3]水道用:住宅内の給水管、上水道・簡易水道等の配水管として使用される。
 [4]農業用:水田や畑地の灌漑や排水に使用される。
 [5]ケーブル保護管:通信・信号ケーブル保護管用と屋内配線用保護管として使用される。

(2002/4/9 日本経済新聞)

クボタ・シーアイ化成 公取委、塩ビ管提携認可 国内シェア4割に

 クボタは8日、シーアイ化成と計画している
塩化ビニール管事業の提携について公正取引委員会から認可を得たことを明らかにした。両社は提携の最終合意を急ぎ、国内シェア4割弱となる企業連合が具体的に動き出す。
 両社の生産拠点は合計6カ所。地域別の生産の受委託やゴム・鉛など副原料の共同購入などを検討中で、近く契約を結ぶ方針。製品の研究開発でも協力し、コスト削減を狙う。販売は個別に続け、事業の完全統合には踏み込まない。
 塩ビ管は給排水設備などに使う。業界最大手のクボタと同4位のシーアイ化成は昨年11月、事業提携することで基本合意。今年3月末までに契約する計画だったが、合計シェアが国内トップ水準になるため公取委が調査していた。


2002/3/4 三菱樹脂発表 

美祢工場、郡山工場における管材生産部門の分社化について

 三菱樹脂株式会社は、本年4月1日をもって、美祢工場(山口県美祢市所在)および郡山工場(福島県郡山市所在)における管材生産部門の分社化を行うこととしました。
 これは本年1月4日に実施した長浜工場(滋賀県長浜市所在)および平塚工場(神奈川県平塚市所在)における管材生産部門の分社化に続くものであり、これにより管材事業に係る生産分社体制の整備が完了します。

 三菱樹脂では、平成12年3月に、21世紀に勝ち残れる企業体質の構築を目標に、「収益」と「クイックレスポンス」を重視した「事業構造の改革」と「意識改革」を内容とする「連結中期経営計画」を策定し、高度化する市場からの機能、品質要求に応える「高機能商品を提供する企業」を目指すこととしました。
 この中で、三菱樹脂は、事業分野別に運営方針を明確化し、各事業分野において事業構造の改革を現在取り進めていますが、「建設資材分野」における管材事業につきましては、昨今、公共事業、住宅着工の減少などに伴い競争が激化しており、更には中長期的需要も減少する見通しの中で、事業環境は大変厳しい状況が続いております。
 こうした状況の下、管材事業部では事業の抜本的な構造改革と事業体質の改善に取り組んでおりますが、その一環として、本年1月4日に平塚工場における管材生産部門の分社化として「ヒシパイプ湘南株式会社」を設立するとともに、長浜工場における管材生産部門を関連会社の「菱琵テクノ株式会社」に移管しました。
 これに続き、今般、4月1日をもって、美祢工場および郡山工場における管材生産部門の分社化として、新たに「ヒシパイプ山口株式会社」および「ヒシパイプ郡山株式会社」を設立し、両社に生産を委託します。
 管材生産部門の分社化および移管は、事業の選択と集中による経営体質の強化を図ることを目的に、コスト管理の徹底を一層進めるため、事業採算の責任明確化、製造原価の低減等を目指すものであり、これにより関連会社の「羽生プラスチック株式会社」および「東洋化学産業株式会社」を含めた管材生産分社体制の整備が完了します。
 また、積水化学工業株式会社との間で進めております生産面での業務提携等をはじめ、急激に進行する時代の変化に対応できる体制が整備されたこととなります。
なお、「ヒシパイプ山口株式会社」および「ヒシパイプ郡山株式会社」の概要ならびに4月1日以降の管材生産体制は次のとおりです。

1.ヒシパイプ山口株式会社
(1) 設立予定日   平成14年4月1日
(2) 本店所在地   山口県美祢市
(3) 資 本 金   5,000万円
(4) 社   長   樋口 一男
(5) 従 業 員   14名(予定)
(6) 年間売上高   17億円(予定)
(7) 事業内容   塩ビ管および関連部材の製造、加工
     
2.ヒシパイプ郡山株式会社
(1) 設立予定日   平成14年4月1日
(2) 本店所在地   福島県郡山市
(3) 資 本 金   5,000万円
(4) 社   長    斉藤 稔
(5) 従 業 員   14名(予定)
(6) 年間売上高    14億円(予定)
(7) 事業内容   塩ビ管および関連部材の製造、加工

3.4月1日以降の管材生産体制

[生産会社名] [主な生産品目]
ヒシパイプ郡山(株) (福島県郡山市) 塩ビ管
羽生プラスチック(株)(埼玉県羽生市)  塩ビ管
ヒシパイプ湘南(株) (神奈川県平塚市)  塩ビ管、オレフィン管・継手、加工継手
東洋化学産業(株)  (山梨県甲府市)  塩ビ継手、複合継手、加工継手
菱琵テクノ(株)    (滋賀県東浅井郡)  塩ビ管、複合管・継手
ヒシパイプ山口(株) (山口県美祢市) 塩ビ管

 


(化学工業日報 2001/3/30

樹脂管事業で包括提携 クボタ/ダイカポリマー  相互OEM、物流共有化 PE管で共同開発も  

 クボタと三井化学系のダイカポリマーは29日、塩ビ管およびポリエチレン(PE)管などの樹脂管事業で包括的業務提携契約を締結したと発表した。生産・販売から物流、製品開発、原材料調達、環境・リサイクルにまで踏み込んだ包括的な業務提携で、管材業界でも初めてのケースとなる。両社がそれぞれの独自性を維持しながら、塩ビ管事業の再構築戦略を効果的に推進するとともにPE管事業の早期拡大を図るのが狙い。来月から継手・付属品・部品類についての生産の受委託や物流拠点の共有化を開始し、今秋をめどに樹脂管の相互OEMを実施する。相互OEMの数量は年間で数千トン規模とみられる。両社では今後、テーマごとに分科会を設置し、各種提携を具体化する方針。  
 塩ビレジン業界での再編の進捗に対応した塩ビ管業界再編の必要性が高まるなかで、クボタは塩ビ管業界で双壁である積水化学工業との相互OEM生産の提携を実施しているが、さらに競争力強化を図るための方策を模索していた。また今後成長性が期待されるPE管については、ダイカポリマーの高い生産技術力とクボタの販売力、管路評価技術を組み合わせることで、同事業の早期拡大が見込める。  
 こうした業界再編をにらんだ競争力強化およびPE管事業の早期拡大を狙いとして、クボタでは84年(昭和59年)から技術面を中心とした交流を続けていたダイカポリマーとの提携実現へ向けた検討を昨年8月から進め、28日に包括提携の契約を結んだもの。  
 今回の提携では、生産・販売に関しては塩ビ管・PE管の相互OEMなどを進め、生産・販売の効率化を図る。具体的にはダイカポリマー・福井工場から九州地区に供給している塩ビ管を九州クボタ化成が供給する。一方、クボタが他地域で供給あるいは外注生産している分をダイカポリマー・福井工場に委託する考え。また継手・付属品、部品類について生産の受委託を進め、コストダウンを推進する。さらに技術陣の相互交流を実施し、互いの技術レベルの向上を図る。  
 物流については、物流拠点の共有化を進め物流コストの削減を目指すとともに、将来的には製品の共同配送なども検討する。  また製品開発では両社の保有技術を生かし、PE系新製品の共同開発を進める。こうした共同開発によって、開発のスピードアップと開発コスト、投資コストの削減を図る。さらに開発陣の相互交流によるレベルアップも目指す。  
 また付属品・部品類や各種生産設備類,その他主要材料の共同調達によるコストダウンも狙う一方、環境・リサイクル問題に対応したリサイクル製品の共同開発も推進する


(化学工業日報 2001/3/16

積水化学/旭有機材 塩ビ管を相互OEM  関東地区で月100トン 
 一部設備廃棄で生産性向上  

 積水化学工業と旭有機材工業の両社は、塩化ビニル管の相互生産委託で業務提携した。関東地区向けの水道管用硬質塩ビ管と一般用硬質塩ビ管に関して実施するもの。相互生産委託量は月間100トン規模で、3月出荷分から業務を開始した。積水化学は、群馬工場からの配送分を旭有機材・栃木工場から供給していく一方、旭有機材・北方工場からの配送分を積水化学グループのヴァンテック・千葉工場から供給する。両社では、合計年間1500万円程度の物流コストの削減効果を見込むとともに、両生産拠点の稼働率アップによる生産性向上などを狙う。さらに今回のOEM提携を機に、他地域・他管種への拡大を検討していく。  
 塩ビ管業界は、住宅着工件数や公共投資の低迷などによる需要減に原料高が加わり、厳しい事業環境が続いている。これを受けて両社は昨年末、物流コストの削減などを目的とした業務提携で合意、技術面や価格面で詳細な詰めの作業を進め、このほど正式調印した。  
 これにともない積水化学は、ウァンテック・千葉工場の生産設備3系列を6月までに廃棄する。今春をめどとした9系列(生産能力の約10%)の廃棄に続くもの。今回の提携で、旭有機材が宮崎県北方町から配送していた水道管用硬質塩ビ管の月産100トン分を供給、稼働率アップを狙う。  
 一方、旭有機材は前期中に北方工場の3系列(同10%)を廃棄しており、さらに今上期中に1系列(同4%)を廃棄する。積水化学が関東地区に供給していた一般硬質塩ビ管を旭有機材・栃木工場から供給する。  
 厳しい事業環境を受け、各社ごとに構造改革の一環として生産設備廃棄を進めていたが、需給ギャップは埋め切れていなかった。昨年、業界で初めて、積水化学がクボタと北海道地区・中日本地区で相互生産委託(OEM量2千トン規模)を実施したのを皮切りに、一部メ−カー間での相互委託の機運が高まっていた。また旭有機材は、タイから一部原料の輸入に乗り出すなど柔軟な調達戦略へと転換を図りつつあった。今後、他地域や他管種で、多様なアライアンスを促すことにもなるとみられる。


(化学工業日報 1999/12/10

塩ビ管生産を相互委託 クボタ/積水化学  来春から年2000トン  

 クボタと積水化学工業は、来春から塩ビ管を相互に生産委託することで合意した。積水化学は北海道積水工業(北海道岩見沢市)から、クボタが道内で販売する住宅設備などに使用される汎用塩ビ管を供給する一方、クボクは小田原工場(神奈川県小田原市)から積水化学が必要とする製品を積水化学・滋賀栗東工場(滋賀県栗東町)および群馬工場(群馬県境町)に供給する。相互生産委託量はそれぞれ年間2千トン程度で来年4月出荷分から実施する計画で、物流費削減や工場の稼働率アップによる生産性向上を狙いとして業務提携するもの。塩ビ管メーカーでは、大手を中心に過剰生産能力の削減方針を打ち出し事業の収益構造へ向けた取り組みを進めているが、今回新たに拮抗した生産能力を持つ塩ビ管最大手のクボタと積水化学が提携したことは、業界にさらに大きな一石を投じることになる。  
 今回の業務提携により、積水化学は北海道積水工業の稼働率が向上すること、および先に業界に先駆けて打ち出した設備廃棄によって余裕の少なくなった本州の2工場の生産能力を補完できるメリットがある。他方クボタにとっても、従来小田原工場から配送していた北海道向けの製品を道内で調達することにより、物流コストの削減と同時に小田原工場の稼働率維持が可能となる。  
 塩ビ管業界では長く無風状態が続きアライアンスの動きもみられず、数年前に積水化学が小松化成を買収したことや一部メーカー間での相互委託にとどまっていた。しかし、ここ数年での住宅着工件数の低迷による需要減や市況下落、原料高に直面、かつてない厳しい状況を強いられている。こうしたなか、積水化学は独自の経営判断により、過剰気味の生産能力を削減する方針をいち早く打ち出した。保有する押出機90台のうち10%に相当する9台を廃棄するもの。続いて、クボタでは生産能力の10%に相当する1万6千トン分について転用・休止する計画を明らかにした。  
 さらに、三菱樹脂も11%に当たる12500トンの廃棄・転用を、シーアイ化成も8千トンの転用を明らかにし、大手4社が揃って自社努力による過剰設備の削減に乗り出すことになった。  
 今回のクボタと積水化学の提携は、こうした両社の設備対応を補完する意味合いも大きい。さらに、拮抗する能力を持つ最大手2社が提携に踏み切ったことは、今後、業界内での多様なアライアンスを促すことにもなるとみられている。


(日刊ケミカルニュース 1997/8/12

☆積水化学、小松化成の経営権取得、塩ビ管シェア26%

 塩ビ管業界では、原料高・製品安の厳しい経営環境に対応し、再編・集約化への動きが出始めている。小松製作所(コマツ)と積水化学工業の両社は8日、コマツの子会社である小松化成の全株式 12百万株を積水化学に譲渡することを発表、塩ビ管事業を集約することになった。
 積水化学はクボタと並ぶ塩ビ管の大手メーカーで、滋賀の栗東工場を主カに群馬工場、さらに関係会社の北海道積水工業、東都積水工業、岡山積水工業、四国積水工業、九州積水工業で塩ビ管の生産を行っている。
 一方、小松化成は千葉工場で塩ビ管、継手を中心に合成樹脂製品を生産しているが、今回の小松化成の全株にならびに経営権が積水化学へ移管されることに伴い、積水化学の塩ビ管市場シェア率は小松化成分 5%を加え、26%へ拡大すると推定されている。積水化学では生産・販売・物流拠点が拡充されることになり、営業活動の強化が図れるとしている。また原料面についても、小松化成分を積水化学が一括購入することで、大幅な効率化が期待されている。川上の塩ビレジン業界では再編の動きが強まっているが、塩ビ管業界でも今回の動きが再編への引き金につながるのかどうか注目される。


(化学工業日報 1999/10/1)               発表

三菱化学MKV・住友ベークライト 塩ビコンパウンド合弁 アプコ きょう発足   
  老朽設備 8000トン廃棄 年産能力 7.9万トンに  

 三菱化学MKVと住友ベークライトの塩ビコンパウンド合弁会社「アプコ」がきょう1日発足し、来年からの統合生産業務開始へ向けた取り組みをスタートする。生産統合による効率化を目指し、住友ベークライトの尼崎工場の一部設備を三菱化学MKVの湘南に移設するとともに、両社で老朽化した設備を中心に年間能力8千トンの設備廃棄を実施する。これによって、新会社の生産能力は従来の8万7千トンから7万9千トンになる。こうした生産面の合理化、効率化を進め、来年初めにも統合生産業務を開始し、早ければ来年央にも販売、研究開発の統合も実施していく計画。  

 新会社「アプコ」は本社を東京都港区芝4−1−23の三田NNビル内に置き、資本金は3億円で三菱化学MKV70%、住友ベークライト30%の出資比率、社長には森田泰生三菱化学MKV取締役・成型材事業部長が就任、住友ベークライトの丹羽敏郎可ソ性材料営業本部長が常務に就く。  
 両社では、国内需要の低迷などの影響を受け、塩ビコンパウンド事業を取り巻く環境が厳しさを増すなかで、将来にわたり事業の維持および発展を図るためには、集約によって、より一層強固な事業基盤を構築し、競争力を強化することが必要不可欠との認識で、合弁会社設立にいたったもの。  
 三菱化学MKVは名古屋に年産4万トン、湘南に同2万2千トンの合計6万1千トンの能力を有し、住友べ−クライドは尼崎に同2万5千トンの設備を持ち、両社合計で8万7千トンの能力となる。  
 しかし、住友ベークライトは関西を生産拠点としているものの、東日本のユーザーも多いことから、今回の新会社設立を機に尼崎の設備の一部を湘南に移設する。さらに老朽化した設備を中心に年産8千トン分を廃棄し合理化、効率化を図る。今後、こうした工場再配置を進め、来年の年明け、遅くとも春までに統合生産業務を開始する。さらに両社の支店などの統廃合にも取り組み、早ければ来年央にも製販一体化を実現する。


(1999/05/31 住友ベークライト・三菱化学MKV 発表)

塩化ビニル樹脂コンパウンド事業での合弁会社設立について

 住友ベークライト株式会社と三菱化学MKV株式会社とは、両社の塩化ビニル樹脂コンパウンド事業を再編・統合するため、このたび、下記の通り、両社間で合弁会社を設立することについて基本的に合意しました。
 今後、公正取引委員会の事前相談を経て問題がなければ、本年10月を目処に新会社を設立できるよう、詳細検討を進めていく予定であります。
 塩化ビニル樹脂コンパウンド事業を取り巻く環境は、国内需要の低迷等の影響により、年々その厳しさを増しています。このような状況下、将来にわたり事業の維持及び発展を図るためには、集約によって、より一層強固な事業基盤を構築し、競争力を強化することが必要不可欠であるとの認識で、両社が一致したものであります。

  事業範囲      塩化ビニル樹脂コンパウンドの製造、販売、研究開発。
ただし、当初は塩化ビニル樹脂コンパウンドの製造から開始し、その後販売、研究開発を移管して製販一体とする予定。
  設立時期   平成11年10月予定
  売上高   約160億円程度
  社長   三菱化学MKV社から派遣
  従業員数   未定(両親会社から出向)
  出資比率   住友ベークライト社:30%、三菱化学MKV社:70%

両社の塩化ビニル樹脂コンパウンド生産能力(平成11年3月末現在、外注を除く)

  住友ベークライト 三菱化学MKV
尼  崎   25,000 T/年       −  T/年
名 古 屋     −   40,000
湘  南     −   22,000
計    25,000   62,000
合 計       87,000 T/年

なお、会社名、本社所在地、資本金については、未定。


両親会社の概要

 住友ベークライト株式会社
  1.本 社   東京都品川区東品川二丁目5番8号
  2.社 長   守谷 恒夫(もりや つねお)
  3.資本金   264億円(平成11年3月31日現在)
  4.売上高   1,171億円(平成11年3月期)
  5.主要製品   半導体関連製品、回路製品・電子部品材料、工業資材、並びに医療・建材・包装関連製品
  6.主要株主   住友化学(株)20.9%、住友信託銀行(株)8.8%、(株)住友銀行4.6%
                
 三菱化学MKV株式会社
  1.本 社   東京都港区芝四丁目1番23号
  2.社 長   小林  純(こばやし じゅん)
  3.資本金   50億円(平成11年3月31日現在)
  4.売上高   314億円(平成11年3月期)
  5.主要製品   農業用塩化ビニルフィルム等施設園芸用被覆材、塩化ビニル樹脂コンパウンド、
並びに産業資材用塩化ビニルフィルム及びポリオレフィンフィルム
  6.主要株主   三菱化学(株)100%

 


(2002/2/14 アプコ発表) 

中国における合成樹脂コンパウンド新会社設立について

 アプコ株式会社(本社:東京都港区、社長:森田泰生)は、中国に電線・自動車・建材用等の部品成型材として使用される合成樹脂コンパウンドの製造及び販売を行う新会社を設立し、平成15年1月から営業開始することを決定致しました。

 近年、IT、事務機、家電等に使用される特殊電線のメーカーが相次いで中国での生産を開始しており、更に有力な自動車メーカーも中国での生産を発表するなど、我が国の合成樹脂コンパウンドのユーザーが中国に生産拠点を移す動きが本格化しております。

 アプコ株式会社は、三菱化学エムケーブイ株式会社と住友ベークライト株式会社の合弁会社として平成11年10月に設立され、平成12年7月に塩化ビニル樹脂コンパウンドの販売業務を開始後、平成13年4月より機能性樹脂コンパウンドの販売業務及び東南アジア事業の統合を行い、名実ともに合成樹脂コンパウンドの総合メーカーとしての事業基盤を確立しております。

 今般中国に設立する新会社は、中国に生産拠点を移した合成樹脂コンパウンドのユーザーの期待に応え、高品質の製品を現地供給することを目的としております。アプコ株式会社は、日本国内、東南アジア事業に加え中国にも生産拠点を確立しアジア全域でお客様の期待に応え、強力に合成樹脂コンパウンド事業を展開してまいります。

[新会社の概要]

1.社名   愛普科精細化工(蘇州)有限公司
2.所在地   中華人民共和国江蘇省蘇州新区(上海から西80km)
3.総経理   広畑 茂樹
4.資本金   25百万元(アプコ100%)
5.従業員   約50名
6.事業内容   合成樹脂コンパウンドの製造及び販売
7.設立日   平成14年3月(予定)
8.生産能力   5,000T/年
9.売上高   約10億円(2007年度見込み)

−ご参考−

1.アプコ株式会社の概要

本社   東京都港区
社長   森田 泰生
資本金   3億5千万円  三菱化学エムケーブイ株式会社  65%
         住友ベークライト株式会社  35%
従業員   75名
事業内容   合成樹脂コンパウンドの製造・販売
売上高   150億円

2.アプコ株式会社の東南アジア所在子会社 

 (1)SUNPRENE (THAILAND) COMPANY LTD.

所在地   タイ国バンコク近郊
社長   由比 範一
資本金   173百万バーツ(アプコ69%)
従業員   140名
事業内容   塩化ビニル樹脂コンパウンド及び加工品の製造・販売
売上高   12億円

 (2)ADVANCED PLASTICS COMPOUNDS SINGAPORE PTE LTD.

所在地   シンガポール
社長   森田 泰生
資本金   120万S$(アプコ100%)
従業員   3名
事業内容   合成樹脂コンパウンドの製造・販売
売上高   12億円

 


化学工業日報 1999/9/13

プラスチック加工業界  生き残りへ事業基盤を抜本改革
  原料樹脂の値上げなど メーカーの業績圧迫  

 プラスチック加工業界は戦後最悪とも言われる不況を経験し、厳しい経営環境に直面している。これまでも市場での厳しい競合を生き抜くために、各社各様に事業基盤の強化に取り組んできたが、現在は従来以上の抜本的な体質強化が求められている。すでに、ここ数年来プラスチック加工業界でも多様なアライアンスが表面化しており、原料樹脂メーカーのグループ枠を越えた提携も出始めている。今後は、将来の生き残りをかけた戦略的アライアンスが一層活発化するとみられている。  
 プラスチック加工製品の需要は、97年後半からの景況の急激な冷え込みの影響を受けたまま、今年に入っても製品によって破行性はあるが回復の足取りは鈍い。こうした需要の低迷は市場での競争激化を招き、製品価格の軟化につながっている。販売数量の減少および価格の軟化というダブルパンチに直面し、加工製品メーカーの業績は一層深刻度を増している。  
 さらに、最近の原料樹脂や各種副資材の値上げ攻勢は企業としての存立基盤を揺るがし兼ねない要素を含んでいる。そのため省力化や省エネなどの合理化、コストダウンはもとよりリストラ、アライアンスなど従来以上の対応が不可欠ともなっている。  

資本・業務提携相次ぐ 
 塩ビ中心に活発な動き  すでに川上のレジン業界では生き残りをかけた多様なアライアンスが着々と実行に移されているが、プラスチック加工業界でも塩ビ加工を中心に活発な動きが表面化した。とくに昨秋以来、塩ビコンパウンドは大手メーカーによるアライアンスが相次ぎ、5月末に発表された三菱化学MKVと住友ベークライトの合弁設立によって大手による再編劇は一段落したかたちとなった。  昨秋には東ソーグループのプラス・テクが三井化学系のビニクロンと販売面で業務提携したのに続き、
鐘淵化学が従来から資本関係にあった昭和化成と業務提携し関係強化を図り、さらに昨年末には、理研ビニル工業が東亜合成から生産を受託するなど各社の動きが活発化した。  
 また今年に入り5月には
プラス・テクがビニクロンから全事業を譲り受けることで合意したのに続いて、三菱化学MKVは住友ベークライトと10月をめどに合弁会社を設立することを発表した。これによって、塩ビコンパウンド業界の大手メーカーによる再編劇は一段落したことになる。今後はそれぞれのアライアンスをベースとして、より強固な事業体質の構築を目指した対応策が実行されるが、状況によっては再編第二幕があり得ないとはいえない。  
 一方、硬質塩ビ板でも今年4月から三菱樹脂と筒中プラスチック工業が生産の受委託を実施している。それぞれが得意とする市場分野で生産を相互委託するもので、受委託の規模はさほどではないものの、系列の枠を超えた新たな提携でもあるだけに、厳しい収益状況に直面している同業他社の今後の動きが注目されている。 
 また、
筒中プラスチック工業では、独自に大阪工場の塩ビ板などの押出部門を関東工場に、プレス部門を子会社の協同プラスチックにそれぞれ移管・統合するとともに、カレンダー部門については親会社の住友べークライト・尼崎工場の包装フィルム部門と統合し、今秋にも新たに生産会社を設立する計画。  

事業一本化で競争力 三菱などグループ内で再編  
 一方、塩ビ加工業界以外でも、ここ数年来、再編・統合やアライアンスが着々と進行してきている。とくに、レジンメーカーによるグループ内のプラスチック加工分野の再編が一つの大きな流れとなっている。  
 三菱化学は、97年にポリエチレン(PE)フィルムメーカーのダイヤプラスチックとプラス工業の製造・販売を一体化するとともに、和田化学が子会社である和田油化農材の保有株式の過半数を丸井加工に譲渡し、農業用ポリエチレンフィルム事業の一体化を図った。  
 一方、三井化学グループでも、旧三井東圧化学が97年に同社の樹脂製品事業部と子会社の三井東圧プラテックおよび三東物産が行っている樹脂製品に関する事業を統合し、三井東圧プラテックを存続会社とする新会社を設立した。さらに、三井東圧プラテックは農業用ポリエチレンフィルムメー力一の三石アグリと合併し、今年4月から三井化学プラテックとしてスタートした。  
 住友化学工業も97年に、樹脂加工製品事業を分離し100%出資の新会社・住化プラステックを設立し、プラ段ボールや農業用特殊ポリオレフィンフィルムなどの樹脂加工製品の製造・販売を移管した。  

TOB、樹脂の独自手当てなど新たな動きも  
 他方、こうしたレジンメー力一のグループに属さず2万社を越える企業群のほとんどを占めるプラスチック加工メーカーでも活発な動きが浮上している。  
 昨年10月には三甲が上場企業の天昇電気工業と薬務提携・資本提携を発表した。天昇電気の筆頭株主であった旭化成工業が株式公開買い付け(TOB)に応じたもの。また、ポリオレフィンフィルム最大手の大倉工業は、今年4月にSABIC(サウジアラビア基礎産業公社)との間で原料樹脂の安定供給で合意した。  
 これらのケースは、将来へ向けた生き残り策を模索するなかで新たな活路として浮上したもので、レジンおよび加工業界に大きな一石を投じている。


(石油化学新聞日刊通信 1999/1/11) 

ニュースの焦点
 塩ビシートの生産体制を再構築する筒中プラ
   販売体制と研究体制の再編も不可欠

 筒中プラスチック工業は、
大阪工場にある塩化ビニル製シートの生産体制を再構築する。需要減少と価格低迷により採算の悪化しつつある同シート事業のコスト競争力の向上を図ることが狙いだ。これにより、2001年3月期までに17億円の経常利益確保を目指す。同社は押出成形設備、カレンダー成形設備、積層プレス成形設備の3種類を持つが、これらの設備をすべて再配置する。押出機をエンプラ系押出シートを生産する関東工場に積層プレス機を子会社で積層シートメーカーの協同プラスチックにそれぞれ移設する。また、カレンダー機については関係会社で同様のシートを製造する住友べ一クライドと合弁で設立する新会社に移し生産を委託する。
 これらの設備再配置は、筒中プラ本体だけでなくグループ経営を重視して行われる。生産設備の適切な配置により、本体の収益力を大幅に引き上げるだけでなく、グループ全体の塩ビシート事業の強化に寄与することを狙っているわけだ。こうした点は2000年中に連結決算制度が導入されることから見て、時代の流れにマッチした改革であるといえよう。また、生産ロスを大幅に低減でき、コスト競争力が改善されるという面でも高く評価できる。
 ただ、生産体制を再構築するだけでは十分ではない。販売体制の改革も同時に進めるべきだ。塩ビ加工製品に対する需要が落ち込んでいる今、どのようにして需要を喚起するかが最大の課題である。具体的な方策を早急に策定して取り組むことが求められる。需要を喚起するのは、国内だけでなく海外に目を向ける必要がある。筒中プラはインドネシアの現地法人で塩ビシートを手がけるが、その生産規模はまだ小さいしグレード数も少ない。海外の需要を創設できるかどうかは、多くの塩ビ加工製品を持つ筒中プラグループ全体の生き残りには不可欠と言える。また、ユーザー二一ズに合致した機能型のシートの開発も欠かせない。グループ各社と協同で研究所を設けるなどして対応することが望まれる、先陣を切って塩ビシートの生産体制を再構築する同社の今後が注目される。


理研ビニル    2001/10/1 リケンテクノス株式会社と改称
                      
http://www.rikentechnos.co.jp

(化学工業日報 2001/8/17) 

理研ビニル、相次ぎ海外コンパウンド事業拡大へ

 理研ビニル工業が海外での樹脂コンパウンド事業を拡大している。今年初めにインドネシア拠点の倍増設設備が稼働したのに続き、今秋から年末にかけてはタイで1系列増強が完了するのに加え、先月下旬には中国への進出(2002年10月稼働予定)も発表した。さらに、同社では米国生産拠点の塩ビコンパウンド製造設備増強の検討に入った。すでに、その第1段階として能力増強に対応した製品倉庫の建設を決めており、今後、米国市場の需要動向を見極めたうえで、来年後半にも新設備1系列(年産能力約8000トン)を導入したい考え。需要家が生産の海外シフトを強めるとともに国内需要の低迷が続くなかで、同社では独自のコンパウンド技術を軸に今後も積極的な海外展開を進めていく方針。


2001/8/1 発表)

コンパウンド事業中国進出         本格稼動

 当社は、国内の景気が後退し、特に塩ビ製品の市場が縮小する中、国内シェア拡大に努めているが、海外市場へのグローバルな展開が益々重要になっていると考えている。 このような中、予てから懸案となっていた中国市場への進出を市場の将来性及び日系進出企業への対応によるコンパウンド事業の拡大を目的とし、伊藤忠商事株式会社との合弁で上海理研塑料有限公司を設立することを決定した。

 進出の背景は、電線・家電・情報機器などを中心として、日本からのみならず、欧米諸国からも生産シフトが相当進んできており、客先から中国現地供給の要請、問合せも数多く寄せられていたこと、更に、国内及び海外拠点(タイ、インドネシア)から中国への輸出が年々増加し、昨年度では月300d強にも達していること、そして、中国市の塩ビ市場は日本市場規模に膨らんでおり、今後も更なる伸びが期待されていることなどがあげられる。

 上海理研塑料有限公司は資本金550万米ドル、リケンテクノス(株)70%、伊藤忠商事株式会社30%の出資比率で、自動車用電線、器内配線用電線などの塩ビ製品を中心に、難燃性電線材料、電子材料部品、玩具などにエラストマー、オレフィン系を含めた高機能プラスチックコンパウンドの生産、販売を行う。
 総面積4万平方bの工場に、総投資額は15億円を見込んでおり、工事は2期に分け行う。第1期は9億5千万円をかけ、コンパウンド生産ライン1系列(生産能力9,600d)を中心に2002年10月創業開始を目指す。第2期は2005年に5億5千万円を投入し、コンパウンド生産ライン1系列を増設し、生産能力を19,200dに増強する。
 売上高は、2003年度8億円、2007年度20億円を目標とする。

 尚、日系総合コンパウンドメーカーの中国進出は初めてとなる。

【新会社の概要】
  社名   「上海リケンテクノス株式会社」
   中文表記    上海理研塑料有限公司
   英文表記    SHANGHAI RIKEN TECHNOS Corp.
  資本金   5,500千米j
  株主構成   リケンテクノス株式会社 70%
伊藤忠商事株式会社   30%
  役員   リケンテクノス 5名 伊藤忠商事 2名 計 7名
  派遣者   リケンテクノス 2名 伊藤忠商事 1名 計 3名
  従業員数   約60名 (2007年約100名)
  所在地   上海市(辛庄(シンソウ)工業区)
  土地   40,000u
  操業開始予定   2002年10月
  総投資予定額   約15億円
      第1期 950百万円
  設備: コンパウンド生産ライン 1系列 (500百万円)
  生産能力: 9,600d
      第2期 550百万円
  設備: コンパウンド生産ライン 1系列 (350百万円)
  生産能力: 19,200d
  販売の見通し   売上規模
  2003年度 8億円 (  5,000d)
  2007年度 20億円 (14,000d

化学工業日報 2003/4/1

リケンテクノス、軟質塩ビコンパウンド、上海拠点が本稼働 年内めど単月黒字へ

 リケンテクノスがかねて中国・上海で建設を進めていた樹脂コンパウンド拠点「上海理研塑料有限公司」(日本語名・上海リケンテクノス)が本格操業を開始した。昨年末からの試運転を経て3月から電線用およぴ自動車内装材向け軟質塩化ビニルコンパウンドを供給、すでに出荷量は予算に近いレベルに達しており、今年内に500ドル以上、単月黒字化を目指す。
 上海リケンテクノスは上海市閲行区に2001年8月に設立した。同社にとって米国、タイ、インドネシアに続く4番目の海外生産拠点となる。資本金は550万米ドルで、出資比率はリケンテクノス70%、伊藤忠商事30%。約4.2万平方メートルの敷地に第一期として工場建屋および月産能力800トンの生産ラインを導入した。
 従業員は日本人スタッフ3名を含め42人でスタート。年内には62人に増員する予定。生産するのは電線用および自動車内装材などに用いられる軟質用塩ビコンパウンド。昨年12月から試験運転を繰り返し、今年1月中旬にはサンプル出荷を開始。3月から商業生産を開始した。すでに50社を超えるユーザーから引き合いあり、予算に近いレベルで稼働している。
 導入した生産ラインは非塩ビ、エラストマーにも対応できる。まずは塩ビコンパウンドの供給で足場を固め、順次、高機能グレードの生産も始める考え。さらに第二期として3年後をめどに同じ規模の新ラインを導入する計画。
 中国では電線メーカーや自動車部品メーカーの進出にともなって、材料となるコンパウンドの需要も増大していることから計画を1年程度前倒しで実施する方針で、2004年初頭にもFSに着手する。


(2000/8/3 発表) 

関連会社 『 P.T. Riken Asahi Plastics Indonesia 』 増設

 当社関連会社『 P.T. Riken Asahi Plastics Indonesia 』 は2000年12月稼動予定で製造ラインの増設を行う。

 『 P.T. Riken Asahi Plastics Indonesia 』は理研ビニル工業(株)、旭硝子(株)、丸紅(株)及び現地インドネシアのロダマス社の4社による合弁会社で、電線用を主とした塩ビコンパウンドの製造販売を行っており、現行1系列・7,000t/年の能力がある。又、1998年秋にISO9002を認証取得しており、益々高度化するニーズに対応した品質・サービスの供給による差別化を推し進めている。

 インドネシア国内情勢については、不安要因が数多くあるものの、昨年10月の大統領選挙以降落ち着きを取り戻し始めている。経済面においても、徐々にではあるが国際的な信頼を得つつあり、内需面でも回復基調に向かっている。この様な状況下、昨年度より現地日系企業を中心に高品質製品の供給ニーズが急速に高まり、堅調な受注状況によるフル操業が続いている。 今後の主要ユーザーの増設計画、地場の中高圧電線材料向けの需要回復基調、2002年AFTA実施後のASEAN域内でのマーケット拡大を視野に入れての決定である。

 当社は、かねてより塩ビコンパウンド事業の海外進出を積極的に展開し、これまでに米国・タイ・インドネシアで進めており、各拠点とも当社の製造技術及び品質が評価され順調に拡大している。


【増設内容】
 設備    電線用を主とした塩ビコンパウンド製造設備1系列
 生産能力 7,000t/年
 投資額   3億円
 稼動    2000年12月


(日刊ケミカルニュース 1996/11/28)

☆理研ビニル、米国コンパウンド新設備来月から稼働

 理研ビニル工業は塩ビコンパウンド事業の米国拠点「リムテック」の1系列・年産6千tの増設工事がこのほど完了したため、来月から商業運転を開始する。「リムテック』は理研グループと三菱商事グループが共同出資により米国企業を買取したもので、2系列・同4万5千tの塩ビコンパウンド設備を有するが、今回の増設により3系列・同5万1千t体制となる。これまでは既存会社の買取ということもあり、電線、シートなどの米国メーカーヘの供給が主流を占めていた。しかし今回の増設分については、当初の目標であった日系の自動車部品メーカーヘの対応をしていく方針。ただ将来的には、日系に限らず米国の大手自動車メーカーへも供給していく方針で、今後の市場拡大に向けた取り組みも本格化させることにしている。


(日刊ケミカルニュース 1996/12/4)

☆理研ビニル、タイなどで塩ビコンパウンド増設へ

 塩ビコンパウンド事業でグローバルな展開を練り広げている理研ビニル工業は、タイ、インドネシアのそれぞれの現地生産拠点において設備増強を図る方針だ。タイにおいては「リケンタイランド」(出資比率は理研グルーブ40%、タイプラスチック化学35%、三井物産グループ15%)が医療器具用4系列、軟質・電線用1系列、計6系列・年産2万4千tの塩ビコンパウンド設備を有するが医療器具用以外で1系列・同3千tを増設する方向で検討を進めており、来年1月にも結論を出す方針。具体的にどの用途に当てられるかは今のところ未定だが、「将来を見据えた上で適切な投資を行う」(竹内敢締役)としている。「リケンタイランド」はローカル企業を通じて周辺諸国に輸出される"間接輸出"が多いのが特徴で"直接輸出"を含めて約90%が日系向けとなっている。
 一方、インドネシアでは「リケン・アサヒ・プラスチックス・インドネシア」(理研ビニル40%、旭硝子35%、丸紅15%、ロダマス10%)がローカル企業を対象に電線・軟質用1系列・同7千2百tの設備を有するが、1系列増設して倍増の同1万4千4百t体制としたい意向だ。当初は年内にも増設する計画を立てていたものの、同国内における景気の停滞感から計画は先送りになっている。しかし、すでに敷地を確保していること、さらに来年後半には景気も回復に向かうとみられることから来年中にはめどをつけたいとしている。
 なお、米国では「リムテック」(理研グループ51%、三菱商事グループ49%)がすでに1系列・同6千tの増設を完了、計3系列・5万1千t体制としており、増設分については今月から商業運転を開始する予定となっている。


プラスチック押出成形 

   特許庁ホームページ 技術分野別特許マップ  化学 6  
             
http://www.jpo.go.jp/ryutu/map/kagaku06/4/4-1.htm  

押出成形の歴史
   ・・・ 日本の戦後のプラスチック工業は塩ビ工業から始まったが、当初はプラスチック材料として日本窒素肥料(現チッソ)が戦時中に生産した塩ビポリマーしかなかった。1948年になって米国から塩ビフィルムのスクラップが輸入され、主としてゴム加工業者によってレインコート、ベルト、ハンドバックの生地や電線被覆などに加工されたが、1949年から1950年にかけて、三井化学、三菱化成工業、(現三菱化学)、鐘淵化学工業などで塩ビポリマーの本格的生産が始まった。     
 1949年
、長浜ゴム工業(現三菱樹脂)は、ゴム用押出機を用いて軟質塩ビベルトの生産を開始したが、1951年にはウインザー(イギリス)の二軸押出機(RC65)を導入して品質と生産性を上げた。また手芸用のエンパイヤチューブも生産した。    
 1951年には
積水化学工業がウインザー(イギリス)の押出機を用いて塩ビパイプの生産を開始し、続いて1952年には長浜ゴム工業、横浜ゴム(現シーアイ化成)、東亜樹脂工業(現アロン化成)などでも塩ビパイプの生産が始まった。     
 1955年、
積水化学工業押出法(Tダイ法)による硬質塩ビ板の生産を、1959年には滝川化学(現タキロン)と長浜樹脂(現三菱樹脂)が押出法による硬質塩ビ波板の生産を開始した。   

   


2002/6/6 住友商事

住友商事、中国で高品質塩ビフィルム生産に参入
  〜中国初の高品質フィルム製造に着手〜  

【概 要】
 住友商事株式会社(社長:岡 素之)は、子会社の住友商事プラスチック株式会社(社長:田中克彦、本社:東京都中央区)と中国住友商事会社(社長:山根英機、本社:北京市)を通して、中国広東省で高品質塩ビフィルムの生産に参入する。中国大手のプラスチックフィルムメーカーである佛山塑料集団株式有限公司(以下、佛山塑料)との間で、塩ビ(PVC)製フィルムの製造販売を行う新会社「三水長豊塑膠有限公司」に出資することを決めた。新会社の概要は以下の通り。

○新会社の概要
  会社名   三水長豊塑膠(さんすいちょうほうそこう)有限公司
  事業内容   塩ビ製フィルムの製造及び販売
  所在地   広東省三水市
  設立時期   2001年6月(住友商事グループの出資:2002年5月)
  操業開始   2002年7月(予定)
  資本金   4,150万人民元(約5百万US$)
  株主構成   住友商事プラスチック 12.5%             
      中国住友商事 12.5%
      佛山塑料 75.0%
   
 新会社は以下3種類のフィルムを製造し、3年後に約30億円の売上を目指す。
(1) 透明軟質フィルム
   用途は玩具、文具、ファッションバッグ・靴、食品の装飾用包装、広告用素材等。
 中国における一般的なフィルムよりも透明度が高く、中国の生活レベル向上に伴い、代替が進んでいる。 
(2) 半硬質フィルム
   粘着テープ素材、広告や装飾用途。近年、建材分野において、森林資源保護の観点から木材製品に代わり木目模様を施した半硬質フィルムへの需要が中国国内でも増加している。また他のフィルムと貼り合わせることにより、家電製品の外装用フィルムとしての使用が見込まれる。
(3) 硬質フィルム
   主に電子部品等、工業製品の包装資材、食品包装、化粧品等の箱物包装用。

 中国では国民の生活レベルの向上に伴い、塩ビ樹脂の需要が急増しており、今後も年率7〜10%程度の伸びが予想されている。新会社は包装用、建材用フィルムのほか、これまで中国では生産できず、輸入品が使用されていた高品質塩ビフィルムの製造に乗り出す。これは主に冷蔵庫や洗濯機などの家電製品の外装に使用されるものや透明度の高い包装用フィルムで、従来は全量を輸入に頼っていた。中国では家電製品の生産やスーパー、デパートなどでの小売の増加に伴い品質の高いフィルムへのニーズが飛躍的に増えており、住友商事は中国初の高品質塩ビフィルム製造に進出し、これらの需要の取り込みを狙う。

【住友商事の塩ビ関連ビジネス】
   住友商事は塩ビ樹脂及び塩ビ樹脂加工製品の取引のみならず、中間原料や最終製品の製造事業に積極的に関与することで、川上から川下に至るビニルチェーンビジネスを戦略的に推進してきた。1992年に米国でCANTEXを買収して塩ビパイプ製造事業に参入したほか、90年代半ば以降、インドネシアで塩ビ中間原料及び塩ビ樹脂の製造事業に参画するなど、コアビジネスとしての基盤を整備してきた。
 本投資も含めた住友商事グループの塩ビ関連事業の売上高は700億円程度に達する。
   
【パートナー企業の概要】
   今回の事業でパートナーとなる佛山塑料の概要は以下の通り。住友商事と同社は既に江蘇省無錫市での合弁事業を通じて関係があり、中国における最重要パートナーの1社。
       
  会社名    佛山塑料(ふつざんそりょう)集団株式有限公司
  事業内容   各種合成樹脂製品の製造販売 
  所在地   広東省仏山市
  設立時期   1988年6月
  事業概要      各種プラスチックフィルム製品(2軸延伸ポリプロピレンフィルム、塩化ビニルフィルム、2軸延伸PETフィルム、合成皮革等)の製造販売。
傘下に18社の子会社を持つ(外資とのJV含む) 
  売上規模   16.7億人民元(2001年度) 
  資本金   3億7345万600人民元(2001年末)
  代表者   馮 兆征(フェン ツァオチェン) 

  


日刊工業新聞 2002/6/7

旭有機材、積水化学と提携、塩ビ管2大グループに   生産・物流で来月

 旭有機材工業は塩化ビニール管事業で積水化学工業と提携交渉を進めていることを6日明らかにした。7月の合意を目指す。水道管などに使う塩ビ管は、住宅着工戸数の減少や公共事業の落ち込みから業界各社の収益が低迷、業績改善に向けた業界再編の動きが加速している。大手4社はすでに積水化学工業が三菱樹脂と、クボタがシーアイ化成とそれぞれ生産・物流で提携しており、残る下位メーカーの再編動向に注目が集まっている。業界5位の旭有機材工業が積水化学陣営に合流することを機に、塩ビ管業界は大手2グループヘの集約化が進みそうだ。
 旭有機材工業は提携先として、関東地方を軸に塩ビ管の相互OEM(相手先ブランド)供給を行うなど密接な関係にある積水化学工業グループを選択した。提携の最終合意に向け調整を進めており、公正取引委員会の認可が得られ次第、販売を除く生産・物流分野で提携するとみられる。
 旭有機材工業の塩ビ管の国内シェァ(生産量)は5%強。すでに生産・物流で提携した「積水化学工業-三菱樹脂」グループと合わせた3社合計のシェアは45%となり、「クボターシーアイ化成」連合の40%を上回り、首位となる見込み。 旭有機材工業の塩ビ管事業は02年3月期の営業損益で7億円の赤字。03年3月期は合理化効果で若干の改善を見込むものの、原料となる塩ビ樹脂の業界が1kgあたり20円の値上げを表明するなど経営環境は厳しさを増しており、単独での収益改善は困難と判断した。 塩化ビニール・継手協会によると、01年度の塩ビ管生産量は11社合計で約45万3000トン。経産省では、2011年度には01年度比15%減の39万トンに縮小するという。


2002/06/25 栗本鉄工所、日本鋳鉄管

ダクタイル鉄管事業に関する業務提携の締結について

 株式会社栗本鐵工所と日本鋳鉄管株式会社は、ダクタイル鉄管事業を主とした業務提携契約を締結いたしました。

1.契約締結日  平成14年6月25日
   
2.提携の目的
   両社は、ダクタイル鉄管事業等において、生産、物流、購買、技術分野における業務提携により、それぞれの会社のコスト競争力を強化するとともに事業採算の改善を目指します。
   
3.提携の背景
   ダクタイル鉄管の主要市場である水道事業や下水道事業などで公共投資が減少し、需要が低迷しており、両社の収益が悪化しています。
 需要の減少が続くことが予想される市場環境とともに、市場のグローバル化の波が高まり、競争が激しさを増してくるのは必至と思われ、大幅なコストダウンによる収益力の改善を早急に実施する必要があります。
 両社はそれぞれあらゆる構造改革と体質改善に取り組んでまいりましたが、1社単独でのコストダウン策には限界があり、事業継続のためにはそれぞれの得意分野を活かした部分での業務提携が不可欠との認識に達し、提携の可能性について今年1月から具体的検討を進めてまいり、この度、契約締結に至ったものです。
   
4.提携の内容
(1)生産面の提携
  ダクタイル鉄管について、両社の生産拠点間(関東、関西)で、年間約15,000〜20,000トンを目標にそれぞれ生産受委託を実施します。
  一部生産品目について、集中生産化を実施します。
   
(2)物流面の提携
   ダクタイル鉄管について日本鋳鉄管の主に西日本向けの製品は栗本鐵工所で、栗本鐵工所の主に東日本向けの製品は日本鋳鉄管でそれぞれ生産受委託を実施するとともに、物流面でも同様の受委託を実施します。
   九州地区など出先置き場の共同利用、共同配送を実施します。
     
(3)購買面の提携
   原材料や副原料、附属品類、その他関連資材の共同購買を実施します。
   外部調達品の共同購買の一層の推進を図るために、共同購買体制の整備や効果的方法の開発を行います。
     
(4)技術面の提携
   生産技術、防食技術など新技術の共同研究や共同開発を実施します。

 本年7月より順次実施してまいります。
 なお、引き続き更なる効率化を追求していく提携施策を検討してまいります。

 


2002/7/22

積水化学と三菱樹脂が中国でポリエチレンEF継手の生産合弁会社を設立
  − ポリエチレン管事業の競争力強化を目指す −

 積水化学工業株式会社(本社:大阪市北区社長:大久保尚武)と三菱樹脂株式会社(本社:東京都千代田区社長:菅澤武彦)は、ポリエチレンEF(エレクトロフュージョン)継手の競争力強化を目指して、中国江蘇省に共同出資の生産合弁会社を設立しましたのでお知らせいたします。

1. 会社設立の背景
   ポリエチレン管は近年、その優れた耐震性や施工性からガス・水道・下水といったライフラインの新管材として急速に普及が進んでいます。すでに、ガス分野では主要管材として安定的な需要がある他、水道・下水分野でも採用件数が増大しており、今後も一層の普及が見込まれております。
 このような状況から、積水化学と三菱樹脂は共に、ポリエチレン管事業の拡大をねらい、国内の競合管材のみならず国際的競争力を視野にいれた事業体質を構築するという方向性で一致し、プロジェクトチームを編成して事業提携について検討を重ねてまいりました。
 その結果、付加価値があり、加工度の高い配管材料、ポリエチレンEF継手についてコスト競争力強化を図るため、中国で生産することを決定しました。
   
2.会社設立の狙い
(1)  中国での生産によるコストダウン、両社の提携による生産規模の拡大などにより日本市場におけるポリエチレンEF継手のコスト競争力の強化を図る。
(2)  現在、両社間で進めている塩ビ管・継手事業の業務提携の一環であり、今後提携をさらに強力に推進する。
     
3.新会社の概要
(1)会社名   無錫積菱塑料有限公司(Wuxi SSS-Diamond Plastics Co., Ltd. )
(2)事業内容   日本市場向けポリエチレンEF継手の生産
    ガス用(サイズ:25〜200mm、110種類)
    配水用(サイズ:50〜200mm、 40種類)
    下水用(サイズ:75〜200mm、 20種類)
(3)資本金   400万米ドル(約5億円)
(4)出資比率   積水化学51% 三菱樹脂49%
(5)所在地   中国江蘇省無錫市(国家高新技術産業開発区)
(6)面積   敷地面積 3万u、建屋面積 1万u
(7)生産能力   1,000トン/年
(8)役員董事会   5名(積水化学3名、三菱樹脂2名)
   
董事長   田頭秀雄(積水化学 環境・ライフラインカンパニー 
給排水システム事業部長)
副董事長   飯箸 弘 (三菱樹脂 管材事業部長)
董事総経理    木村 清 (積水化学より新会社に出向)
董事副総経理   中野 篤 (三菱樹脂より新会社に出向)
董事   小林 伸男(Sekisui(Hong Kong)Ltd.取締役社長)
(9)社員数   約100名
(10)スケジュール   2002年6月28日 会社設立
    2003年3月     工場完成
    2003年5月     生産開始
    なお、本格稼動は2004年度からで、生産規模は売上高にして
10億円を見込んでいます。
   
4.ポリエチレンEF(エレクトロフュージョン)継手について
   ポリエチレンEF継手とは、継手の内部にあらかじめ、加熱用電熱線(ワイヤー)を埋め込んだものであり、所定の電気エネルギーが供給されるコントローラーを用い、その電熱線を発熱させる事によって、継手の内面とポリエチレン管の外面を同時に溶融し、一体化させることにより接合させる継手である。
 EF継手はヨーロッパにおいて開発された継手である。1970年代後半からヨーロッパ各国で、圧力が配されるガス及び水道の配管システムに実用化された。欧米では、接着接合が難しいポリエチレン製の配管システムにおいて、この接合方法が主流を占めている。
 日本国内においても、1989年にガス用ポリエチレン管・継手のJIS規格に制定されてから、現在に至るまで、ガス、水道及び下水分野で使用されるポリエチレン製の管の接合において、多くの使用実績があり、接合品質の信頼性が高く評価されている継手である。

2002/07/23 旭有機材工業

塩ビ管事業の構造改善についてのおしらせ

 当社は収益力の向上のために事業の見直しを含め種々の検討を行なっておりますが、その一環として塩ビ管事業の構造改善を下記のとおり行なうことを決定しましたのでお知らせ致します。

1.背景と狙い
   塩ビ管の市場は住宅着工件数・公共投資の低迷により減少すると予測される厳しい状況にあります。
 このため、当社は塩ビ管事業の収益構造改善に努めてきました。
 その一環として、この度、
北方工場(宮崎県北方町)での、硬質塩ビ管(一般用、水道用)の生産を中止し、一部設備廃棄を行い、新たにPPパイプの生産を行うことを決定しました。
 これに伴い、現在、北方工場から供給している硬質塩ビ管については、積水化学工業グループからの供給で対応することとし、一層の物流費用の削減と生産の効率化をねらいます。
   
2.内容
(1)  北海道・東北・関東・中部・関西・中四国・九州地区に北方工場から配送している一般用硬質塩ビ管、水道用硬質塩ビ管は各地区の積水化学工業グループより供給を受けます。
(2)  関東・東北地区において、栃木工場(栃木県大田原市)より一般用硬質塩ビ管を積水化学工業に供給します。
(3)  北方工場は耐衝撃性硬質塩ビ管、耐熱塩ビ管、超純塩ビ管、カラーパイプ等の生産を行い、一般用硬質塩ビ管と水道用硬質塩ビ管の生産は中止します。
 これに伴い、
当社生産能力の36%に相当する北方工場の生産設備を廃棄します。
 また、2003年3月より北方工場においてPPパイプの生産を開始します。
   
3.今回の構造改善によるメリットと今後について
(1)  構造改善によるトータルメリットは年間約5億円を見込んでいます。
 また、これに伴う特別損失は3.2億円を見込んでいますが、これらは既に発表している平成15年3月期の業績予想に織込み済みです。
(2)  今後、積水化学工業と他の管材製品ついて提携を検討していきます。
   
4.当社の塩ビ管生産拠点
  北方工場(生産能力23,000トン/年)
栃木工場(生産能力10,000トン/年)

日刊工業新聞 2002/7/24

旭有機材工業、塩ビ管事業で積水化との提携拡大

 旭有機材工業は23日、塩化ビニール樹脂パイプ(塩ビ管)事業の生産で積水化学工業との提携範囲を拡大すると正式発表した。まず、旭有機材工業は、同社の年産3万3000トンの塩ビ管の生産能力のうち約36%にあたる
1万2000トン分を北浜工場(宮崎県北浜町)で削減する。旭有機材工業は、北方工場から北海道、東北、関東、関西、九州地区などに配送している一般用硬質塩ビ管、水道用硬質塩ビ管の委託供給を積水化学工業グループから月1000トン受ける。旭有機材工業は栃木工場(栃木県大田原市)から積水化学向けに現状比4倍の月400トンの塩ビ管の受託生産を行う。

 旭有機材工業は、北浜工場での一部設備能力削減と積水化学との塩ビ管の生産受委託など物流費の低減を予想、通年で5億円の合理化効果を見込んでいる。


2002/7/10 三菱樹脂

樹脂プレート事業の生産部門の分社化について

 三菱樹脂株式会社は、本年8月1日をもって、樹脂プレート事業の生産部門を分社化し、新たに「
ヒシプレート株式会社」を設立することと致しました。

 現在、樹脂プレートの市場は、工業用をはじめ看板ディスプレイなどに使用される一般用プレート、各種機器の筐体などに使用される成形用プレートの各分野とも需要が停滞しております。特に昨今のハイテク関連需要の大幅な減少により、半導体や液晶の製造装置に使用される工業用プレートの需要は激減しており、加えて中長期の需要見通しも不透明な状況を呈しているため、今後の事業環境は大変厳しいものと思われます。

 係る状況下、樹脂プレート製品を製造・販売している板工業材事業部は、当社が2002年3月に策定した「連結中期経営計画」の各事業分野別の運営方針に従い、市場及び顧客ニーズの動向を見定めた事業戦略を策定し、事業構造の改革と重点指向による各種活動を展開致しております。その一環として、今般、樹脂プレート事業の生産部門を分社化し、新たに「ヒシプレート株式会社」を設立し、同社に生産を委託するとともに、市場環境変化に応じたコンパクトで且つ機動力のある生産体制を構築し、生産部門の損益を明確化することにより、コスト管理の徹底と製造原価の低減を目指した新たな体制で経営を行ってまいります。尚、製品の販売については従来通り当社が行います。

■ 新会社の概要
  社 名   ヒシプレート株式会社
  設 立   2002年8月1日
  本店所在地   滋賀県東浅井郡浅井町大字大路1700
  資本金   1億円
  社 長   山岸鷹雄(現 三菱樹脂 板工業材事業部主幹)
  年間売上高   30億円
  生産拠点   浅井製造所、平塚製造所
  事業内容   1) プラスチック製プレート及び関連部材の製造、加工、再生ならびに販売。
2) 前項1)に付随する一切の業務。