化学工業日報 2000/5/18

樹脂加工の再編加速 住友化学グループ
 サーモにフィルム移管 カイト化学 加工紙など重点化  得意事業集中で収益力アップ

 住友化学工業グループの
カイト化学工業(東京都中央区、堤碩社長)とサーモ(東京都大田区、松居廉之社長)は、カイト化学のフィルム事業をサーモに営業譲渡することで合意、来年1月末をめどに移管する。カイト化学では野田工場(千葉県)のフィルム工場を閉鎖、自動車、パソコン、携帯電話向けに需要が伸びているテープ加工紙やラミネート樹脂に重点化、一方、サーモではフィルム事業体制を拡大再編成し収益改善を図る。住友化学では樹脂加工会社の再編成を進めており、これを契機に再編が加速しそうだ。
 カイト化学は住友化学57%、住友商事43%の出資の住友系フィルム加工メーカーで、ポリオレフィン系ラミネートを中心に売上高は約130億円。ポリエチレン(PE)フィルムの製造・販売以外に樹脂ラミネート、テープ加工紙・剥離紙を手掛けている。最近ではラミネート、剥離紙などの加工紙が伸びており、とくに加工紙はパソコン、携帯電話向けなどを中心に2ケタの伸びを示している。ただフィルム事業は砥密度ポリエチレン(LDPE)だけで規模も10億円と小さく、原料値上げなどで収益は苦しい状況にあった。
 一方、サーモは住友化学48%、長瀬産業40%の加工メーカーで、売上高は80億円規模。LDPEのほか、高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレン(PP)フィルム製品を製造・販売するインフレーションメーカー。2年前には伊藤忠サンプラスから農業用PEフィルム設備を移管、さらに昨年同社との共同販売会社の東京農業資材も統合しており事業規模の拡大再編成を進め、97年には福島・三春に工場を建設しフィルム事業の拡大に取り組んでいる。
 今回、フィルム事業で他社との提携・譲渡を模索していたカイト化学と、フィルム事業拡大を目指すサーモの意向が一致したもので、サーモでは、カイト化学・野田工場の設備(月産350トン)を来年1月末にサーモ・足利工場(栃木県)に移設。一方、カイト化学ではラミネートと加工紙に集中、2ケタ成長の加工紙は、いわき工場(福島県)で月産2億平方メートル強に約20%の増強を図る。


1997/3/5 住友化学

合成樹脂加工製品事業の新会社設立について

 住友化学は、このほど、合成樹脂の加工製品事業を分離し、製造・販売・開発一貫の100 %出資子会社「
住化プラステック株式会社」を新たに設立し、本年4 月から営業を開始することといたしました。

 新会社に移管される事業は、
プラスチック段ボール(商品名:サンプライ)、農業用特殊ポリオレフィンフィルム(商品名:クリンテート、クリンアルファ)、プラスチック製コンクリート型枠(商品名:カタワーク)、蓄熱式床暖房システム(商品名:スミタ−マル)、手切れ粘着テープ(商品名:カットエース)などです。

 これら合成樹脂の加工製品事業は、合成樹脂そのものとは需要業界もビジネス環境も異なることから、更なるビジネス伸長を図っていくには個々の製品毎に機動的できめ細かい事業活動を展開することが必要であり、この際、分社化により自己責任体制を強化して事業運営を図る方が、より速い業容拡大を期することができると判断したものであります。
 主力製品のプラスチック段ボール(サンプライ)は国内市場シェア50 %強、農業用特殊ポリオレフィンフィルム(クリンテート)は同じくシェア45 %を占めており、これまでも高成長を続けてまいりましたが、新会社への移管を機に、より市場に密着した開発を加速させ、一層の伸長を図る方針です。また、手切れ粘着テープ(カットエース)、プラスチック製コンクリート型枠(カタワーク)、蓄熱式床暖房システム(スミタ−マル)は省資源化、環境への配慮の時流に沿った商品群であり、今後の飛躍が期待されております。
 新会社の初年度売上高は約100 億円を見込んでおりますが、今後とも順調な発展を図り、樹脂加工業界において確固たる地歩を占める会社となることを期しております。

<新会社の概要>

1 .社 名   住化プラステック株式会社
(英文社名:Sumika Plastech Co.,Ltd.)
2 .本 社   東京都中央区新川2 丁目27 番1 号
3 .社 長   角五 正弘(住友化学 取締役)
4 .営業開始   平成9 年4 月1 日(平成9 年1 月設立)
5 .資 本 金   4 億8 千万円(住友化学100 %出資)
6 .従業員数   約70 名
7 .事業所   (営業拠点)東京、大阪、名古屋、福岡
(研 究 所) 大阪府高槻市
8 .事業内容   合成樹脂製の産業資材/農業資材/建設資材等の開発、製造、販売

1994/12/7 住友化学/大倉工業

樹脂性包装材料に関する合弁会社の設立について

 住友化学と大倉工業は、このほど、機能性の高い包装材料の製造販売を目的とする合弁会社「日本エコラップ株式会社」を折半出資により設立することで合意いたしました。
 合成樹脂メーカーと樹脂加工メーカーは、これまで、それぞれ独自に樹脂加工製品の商品開発を行ってまいりましたが、今回の新会社設立は、高機能包装材料の分野において両社が垂直提携することにより、効率的な事業展開を目指すとともに海外製品の流入によるボーダーレス時代に備えるものであります。新会社は、合成樹脂のトップメーカーである住友化学の多様な合成樹脂開発力と、合成樹脂加工メーカーの最大手である大倉工業の樹脂加工製品の開発力を結集することによって、川上・川下で重複する莫大な開発費用の削減と新製品の事業化のスピードアップを図り、併せて、多様化するユーザーニーズに対応した機能性包装材料の開発を推進してまいります。
 新会社は、第一期事業として、1995 年2 月完成を目途に大倉工業仲南工場(香川県仲南町)内に、年産能力約2 千トンのチューブラー延伸フィルム製造設備を設置し、
ストレッチ性を持った収縮フィルム(商品名:エコラップSS )、および、ガスバリア性を持った収縮フィルム(商品名:エコラップEX )の本格販売を開始いたします。また、続く第二期事業として、1995 年秋を目標に特殊バリア包材など、全く新しい機能性商品の販売を予定しています。
 1993年3月の食品衛生法改正以降、スーパーマーケット業界では、従来、各店舗毎に行っていた畜肉加工製品や生肉などの小分け包装を、流通センターや生産地で集中して行う方式への変換(センターバック化)を進めており、それにともない高速自動包装に適した高機能性フィルムの需要が伸びてきました。また、来春にも予定される食品賞味期限表示義務化の動きから、食品貯蔵に効果のあるガスバリア性包装材料の需要も伸びております。こうした動きに対応して、住友化学と大倉工業の両社は、大倉工業がすでにプレセールを行っている「エコラップSS 」および「エコラップEX 」を新会社として本格的に上市、販売することにしたものです。新会社はこれらに引き続き、95 年から96 年にかけてストレッチ性とガスバリア性を合わせ持った「エコラップBSS 」をはじめ、従来上市されていない新しいタイプの商品を逐次事業化していくことを予定しており、3 〜4 年後の売上高は約50 億円になることを期待しています。

【合弁会社の概要】

社 名   日本エコラップ株式会社
本 社   東京都中央区新川2 丁目27 番1 号
社 長   原田紘一(住友化学樹脂開発センター所長)
設 立   1994 年12 月(予定)
資 本 金   設立時 3 億円
出資 比率   住友化学:50 % 大倉工業:50 %
予想売上高   設立3 〜4 年後 約50 億円
従 業 員   約40 名(予定)
事業 内容   機能性包装材料の製造・販売
 工 場 所在地   香川県仲南町(大倉工業仲南工場内)
 第一期工事   エコラップ生産設備(完成時期1995 年2 月)
 第二期工事   その他特殊機能商品生産設備(完成時期1995 年10月)


〈参考資料〉
 「エコラップ」シリーズの概要
  (1 )エコラップSS (試験販売中)

現在、スーパーマーケット商品の食品包装の内、トレイなどのラップ包装には、塩化ビニール系フィルムを使用して(市場規模 約9 万トン/年)、各店舗のバックヤードで小分け包装する方式が一般的だが、食品衛生法の改正と人手不足、店舗面積の有効利用のニーズから、流通センターや生産地でのセンターパック化が進行しつつある。このため、高速自動包装に適し、環境にもやさしいポリオレフィン系シュリンクストレッチフィルムの需要が伸長しており、その社会的ニーズに応えるもの。また、ポリオレフィンの特徴である低温特性を生かした冷凍食品の包装材料としても、新規用途が開かれるものと思われる。

  (2 )エコラップEX (試験販売中)

ガスバリア性を有する収縮フィルムで、ハムやソーセージといった畜肉加工品などのトレイ包装に適合する。窒素、炭酸ガス等のガス充填包装を施すことによって、1 か月程度の食品貯蔵に対応することができる。日本をはじめ海外でも、これから市場が開ける新規機能性フィルムである。

  (3 )エコラップBSS (上市予定)

ストレッチ性とガスバリア性を合わせ持った収縮フィルムで、高速自動包装のニーズに応えると同時に、ガスバリア性により賞味期限を数日延長することができる。生肉、惣菜、弁当などの包装に最適である。


化学工業日報 2002/12/20

アイセロ化学、中国・上海での生産体制を強化へ

 アイセロ化学はこのほど、中国・上海でごみ袋など汎用ポリエチレンフィルムの生産を開始した。国内およびマレーシアで生産しているが、より低コスト化の要望に対応して住友商事プラスチックの出資を得て、インフレーション成形機30台などに約3億5000万円を投資、月産600トン規模の設備を建設した。製品は全量日本に持ち帰り、住友商事プラスチック、アイセロ化学のそれぞれのルートで販売する。また、先行して中国生産を行っていたビニロンフィルムでは現地の2子会社を合併させるとともに、工場の集約化によってコスト競争力の強化を図った。

 


2003/07/01 住友化学工業

住友化学、農業用特殊ポリオレフィンフィルム事業を再編

 住友化学は本日、子会社である住化プラステックが展開していた農業用特殊ポリオレフィンフィルム(農PO)事業を、同じく子会社である三善加工に移管し、同社の農PO事業と統合いたしました。三善加工は農PO製品(商品名クリンテート(R))の発売以来、20年にわたりこの業界でのトップメーカーですが、今回の事業統合によりその地位をさらに強固にすることができます。

 今回事業統合しました農POは、農業用ハウスの被覆資材として施設園芸農家で用いられているものです。従来から本用途の主流となっているのは農業用塩化ビニルフィルム(農ビ)でしたが、農POは被覆資材としての基本性能である透明性や、強度、夜間の保温性において、農ビと同等以上の性能を有するに至っています。また、農ビは必須成分である可塑剤が使用中に農ビの表面に移行し、大気中の埃がこの表面に付着して透明性を次第に低下させる欠点を有していますが、農POは可塑剤を含まないため使用中の汚れが少なく長期間使用できること、および、農POは農ビに比べて軽量であるため作業性に優れることから、農ビに代わる被覆資材として需要が増加しています。さらに、農POは塩素を含有していないため、処理してもダイオキシン類などの有害物排出の懸念が皆無であり、環境問題に対する関心の高まりにあわせ、農ビから農POへのシフトは今後着実に進行していくものと考えられます。

 いままで住友化学グループの農PO事業については、住化プラステック、三善加工両社が製造、販売および研究開発面で密接な協力関係のもと事業を運営してきました。しかし、農PO事業に20社近い企業が参入し、熾烈な競争が続いている状況のなかで、この事業の一層の発展を図るためには、顧客ニーズへの迅速な対応、研究開発力の強化、徹底したコスト削減を実現していくことが不可欠です。住友化学といたしましては今回の事業統合により、両社で重複する組織や業務の合理化を進めるとともに、製造・販売・開発機能を一元化して迅速な意思決定ができる体制を確立することでこれらを実現し、農PO事業をさらに発展させていく所存です。

【ご参考】

三善加工株式会社の概要
(1)設立 1955年7月
(2)本社 東京都江東区
(3)資本金 200百万円
(4)出資比率 住友化学 52.1%、住化プラステック 25.0%、全農管財(株)10.2%、
稲畑産業(株)10.2%、農林中央金庫 2.5%
(5)事業内容 農業用各種ポリオレフィンフィルム/農業用ハウス施設/
その他農業用各種資材/機能性フィルムの製造、販売
(6)社長 北村周治
        
住化プラステック株式会社の概要
(1)設立 1997年1月
(2)本社 東京都中央区
(3)資本金 324百万円
(4)出資比率 住友化学100%
(5)事業内容 合成樹脂製の産業資材/建設資材の開発、製造、販売
(6)社長 土井敏樹

 


平成17年7月5日 住友化学/住友商事プラスチック/メイワパックス

カイト化学工業鰍フ事業再編について
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20050705_1.pdf

 住友化学株式会社(以下、「住友化学」という)および住友商事プラスチック株式会社(以下、「住商プラ」という)は、フィルム加工会社であるカイト化学工業株式会社(以下、「カイト化学」という。資本金4.7億円、出資比率 住友化学57%、住商プラ43%)を運営してまいりましたが、厳しい事業環境のもとで同社事業の存続、発展を期すには、独立性の強い同社のラミネート事業と加工紙事業をそれぞれ個別に強化していくべきと考え、特に事業環境の厳しいラミネート事業については、専業メーカーの知見・技術力と販売力を得て事業の再生を図ることが望ましいと判断するに至りました。一方、関西大手ラミネートメーカーである株式会社メイワパックス(以下、「メイワパックス社」という)は、かねてより関東の生産拠点を確保し、より広域での事業展開を図りたいとの意向を持っておりましたので、ここに、3社の思いが合致し、メイワパックス社の主導の下で、3社が共同でラミネート事業を運営し、その強化・発展を図っていくこととした次第であります。
具体的には、先ず、カイト化学の加工紙事業を分離し、その後、ラミネート事業専業となったカイト化学の経営を移譲します。なお、
新しいカイト化学への住友化学、住商プラの出資比率は10%として、本年10月を目途に新体制のもと事業を開始する予定です。
 カイト化学は、このようにラミネート事業専業会社として、新しい経営体制のもとで再出発いたしますが、これまで同様、ユーザー、関係先各位のご要望に応え、さらには、メイワパックス社の先進的な技術、設備のもとで、より高度なニーズに対応できるよう努力していく所存でありますので、今後ともご支援、ご協力を賜りますようお願いする次第です。
 なお、
分離された加工紙事業の運営については、住友化学と住商プラにて、より望ましい事業運営のあり方について引き続き検討していくこととしております。

《参考資料》
【カイト化学工業の概要】
(1) 社名  カイト化学工業株式会社
(2) 本社  東京都中央区日本橋小伝馬町10番11号
(3) 社長  竹下 明
(4) 資本金  470百万円
(5) 設立  1951年 6月
(6) 事業内容  ラミネート包装資材および加工紙の製造/販売
(7) ラミネート事業売上高  約70億円(2005年3月期)
(8) 従業員  約270名(2005年5月時点)

【メイワパックスの概要】 
http://www.meiwapax.co.jp/
(1) 社名  株式会社メイワパックス
(2) 本社  大阪府柏原市円明町888-1
(3) 社長  増田 恭敏
(4) 資本金  350百万円
(5) 設立  1966年10月(*1962 明和化成工業所として創業)
(6) 事業内容  ラミネート包装資材の製造/販売
(7) 売上高  約155億円(2005年3月期)
(8) 従業員  約490名(2005年5月時点)


日本経済新聞 2006/2/24

ガス遮断性フィルム加工 ユニチカが買収 日本エコラップから 品数を拡充
 
 ユニチカは住友化学と大倉工業の折半会社、日本エコラップから「ガス遮断性フィルム」の加工事業を買収する。菓子や加工食品の包装に使い、酸素を透過しにくい。今後も買収を手掛ける方針で、主力製品の一つ、フィルム事業の売上高を2006年3月期予想の320億円から3年後に400億円に拡大する。
 4月をメドに製品の特許を持つ住友化学とライセンス契約し、日本エコラップから製造・販売権を譲り受ける。人員や設備は引き継がず、ユニチカの既存設備を利用し順次、生産を移す。買収額は明らかにしていない。
 ユニチカはナイロンやポリエステルフィルムの製造から表面加工まで一貫して手掛けている。ガス遮断性の高い製品を加え、手薄だった食肉・水産加工品向け市場拡大が見込める菓子向けに販売を広げる。