2004年7月22日 東レ

公開買付けによる蝶理株式会社普通株式の取得について
http://www.toray.co.jp/news/fiber/nr040722.html

 東レ株式会社(以下東レまたは当社)は、現在、蝶理株式会社(以下蝶理)の発行する普通株式41,560千株(蝶理発行済普通株式総数の22.87%)を保有しておりますが、今般最大51,956千株(同28.59%)までの追加取得を公開買付けにより実施することといたしました。
 したがって、本追加取得後の当社保有株式数は
最大で93,516千株(同51.46%)となります。当社は、これにより蝶理を連結子会社として位置付け、当社および蝶理が共通に保有する繊維事業や化学品事業ならびに海外事業において連携を深めて相乗的な強化・拡充を図り、グループとしての企業価値を高めて参ります。

 なお、本公開買付けは、蝶理の筆頭株主であり、51,956千株(
同28.59%)を保有する旭化成株式会社(以下旭化成)との合意のもとに進められるものであり、当社は、旭化成からは同社が保有する全ての蝶理普通株式(51,956千株)について本公開買付けに応募する旨の同意を、また、蝶理からは本公開買付けに対する賛同を、それぞれ頂いております。

 蝶理は、繊維及び化学品事業に高い専門性を有する伝統のある商社ですが、経済環境が著しく変化する中で長期間に亘り低迷から脱しきれず、過去の諸要因による財務基盤の脆弱化が顕在化したことから、昨年3月、筆頭株主である旭化成、第2位の株主である当社ならびに主力銀行3行による金融支援スキーム等を織り込んだ「新生経営計画」を策定致しました。爾来、当社の出身者を最高経営責任者とした経営のもとでこの「新生経営計画」の実行が推進され、現在までに、この計画に沿った順調な成果をあげてきております。

 蝶理はこの再建において、競争力のある繊維事業と化学品事業、とりわけ繊維事業の調達・加工・販売のグローバルな展開を中核に据えて事業構造改革と体質強化を進めており、繊維事業を基盤事業のひとつとする当社にとって、蝶理を当社のグループ会社とすることの戦略的意義や期待効果は大きいものがあります。

 一方、事業構造の変革により繊維事業のウェイトが低下している旭化成にとっては、蝶理への共同経営参画の意義が急速に薄れており、両社の共同経営の枠組みは必ずしも適切なものではなくなっております。こうした中で、今般、旭化成の保有する全普通株式を当社が取得することで両社が合意し、当社が公開買付けによってこれを行うことに致しました。また、この普通株式の公開買付け完了後において、旭化成が保有している蝶理の優先株式を当社が全株取得することについても、旭化成と合意しております。

 近年の国内繊維業界は、アジアとりわけ中国との熾烈な競争を背景に、輸入の著しい増加、国内生産拠点の海外移転、国内商流の変化など、大幅な構造変化が進行しておりますが、当社と蝶理は、それぞれ繊維事業の更なる国際競争力強化を目指して改革を進めております。

 当社は、蝶理が保有している繊維事業や化学品事業における国内外のマーケティング機能や調達・販売網、人材等を高く評価しており、今後、繊維事業関連製品はもちろんのこと、他事業関連製品群についても、蝶理がもつ国内外、特に中国における強力な拠点・営業チャネルさらに中国事業に精通した人材等を最大限に活用し、顧客への製品提供能力、アフターケアサービス、新規顧客の獲得機会の向上など、連携強化を推進しながら、両社の経営資源を相乗的かつ有効に活用し、ともに企業価値を増加させていくことができると考えております。

 これは、当社が現在推進している新中期経営課題“プロジェクト NT-II”におけるNVC (New Value Creator)の基本戦略や、本年6月に発足致しました「東レ合繊クラスター(繊維事業の川中分野を中心に強固で有機的な連携を目指す新たなパートナーシップ)」戦略とも合致するものであります。

 同時に蝶理にとっても、当社の連結子会社として信用力が補強されることを通じて再建の枠組みがより強固となり、今後の経営基盤の強化と事業拡大に繋がるものと確信しております。

 なお、当社の当期の業績予想については、8月10日に、第1四半期財務・業績概況の発表と併せて本公開買付けの影響を含め修正発表する予定です。

 また、「公開買付けの開始に関するお知らせ」は、添付資料をご参照願います。


(添付資料)
公開買付けの開始に関するお知らせ

 東レ株式会社(以下東レまたは当社)は、平成16年7月22日開催の取締役会において、当社の関連会社である蝶理株式会社(コード番号:8014、以下蝶理または対象会社という)の普通株式を公開買付けによって取得することを決議致しましたので、下記の通りお知らせ致します。

1. 公開買付けの目的
 当社は、現在蝶理発行済普通株式総数の22.87%(41,560千株)を保有しておりますが、持分比率を51%相当にまで引き上げ、蝶理を連結子会社とすることを決定致しました。これに伴い公開買付けを実施するものであります。なお、当社は旭化成株式会社からは、その保有する応募可能な全普通株式(51,956千株)について本公開買付けに応募する旨の同意、また、蝶理からは、本公開買付けに対する賛同を頂いております。

2. 公開買付けの概要
(1) 対象会社の概要
@ 商号 蝶理株式会社
A 主な事業内容 繊維製品・化学品の仕入れ・販売
B 設立 昭和23年9月
C 本社所在地 大阪市中央区瓦町二丁目4番7号
D 代表者 代表取締役社長 田中 健一
E 資本の額 6,500百万円
F 大株主構成及び持株比率 (平成16年3月末現在)

株主名 所有株式数 持株比率
旭化成株式会社  51,956千株  28.59%
東レ株式会社  41,560  22.87
株式会社みずほグローバル   8,977   4.94
株式会社UFJ銀行   7,713   4.24

G 当社との関係

(資本関係)   平成16年7月22日現在、当社は蝶理の普通株式41,560株(持株比率22.87%)
を所有する第2位株主です。
(人的関係)   平成16年7月22日現在、当社財務部長が蝶理の社外監査役を兼任しています。
(取引関係)   平成16年3月期における当社から蝶理への売上高は約16,042百万円。
当社の蝶理からの仕入高は約3,659百万円です。

(2) 買付けを行う株券等の種類  普通株式
(3) 公開買付期間
   平成16年7月23日(金)から平成16年8月12日(木)までの21日間
(4) 買付価格
   対象会社の財務状況および大量の買付けであることを総合的に勘案して算定
(5) 買付価格の算定の基礎
   対象会社の財務状況および大量の買付けであることを総合的に勘案して算定
(6) 買付予定株式総数 51,956,000株
  買付予定株式数 51,956,000株
  超過予定株式数 0株

(注)  応募株式の総数が買付予定株式数に満たない場合は、応募株式の全部の買付けを行いません。また、応募株式の総数が、買付予定株式数を超えた場合は、その超える部分の全部又は一部の買付け等は行わないものとし、証券取引法第27条の13第5項に規定する按分比例の方式により、株券の買付け等に係る受渡し、その他の決済を行います。

(7) 公開買付けによる所有株式数の異動
  買付前所有株式数 41,560,603株 (所有比率 22.87%)
  買付後所有株式数 93,516,603株 (所有比率 51.46%)

(注)1 買付後所有株式数は、買付予定株式数51,956,000株を買付けた場合の株式数です。
(注)2 所有比率は蝶理の発行済株式総数181,717,760株(平成16年3月31日現在)を基準に算出しています。

(8) 公開買付開始公告日
   平成16年7月23日(金)
(9) 公開買付代理人
   日興シティグループ証券株式会社 東京都港区赤坂五丁目2番20号
  復代理人
   日興コーディアル証券株式会社 東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

(10) 買付けに要する資金
   約1,818百万円

3. 対象会社の本公開買付けに対する合意
   本公開買付けにつきましては、蝶理の取締役会にて賛同を得ております。
4. 今後の見通し
 本公開買付けにより、蝶理は当社の連結子会社となる見込みです。
 当社といたしましては、繊維事業等に係る経営全般での両社の連携を緊密にし、協力体制の強化を図って参る所存であります。


日本経済新聞 2005/2/8

企業の系譜 東レ 「技術の核」繊維にこだわり

 1月下旬、東レ北陸支店(福井市)の会議室で、10人余りの人々が活発な議論を繰り広げていた。「新製品開発の成果の配分はどうするのか」「知的財産の保有者はだれになる」ーー。繊維加工業者ら67社が参加する「東レ合繊クラスター」の初の理事会は「極力早く成果を出そう」と確認し、散会した。

「産地の絆」再び
 クラスターは繊維加工業が系列を超えて集まり、原糸から一貫した連携体制を築く試み。炭素繊維や植物由来の原料を使った新製品の開発、輸出拡大などがテーマだ。かつて合繊大手は糸を生地にして供給するため、織布や染色などの業者を競って系列化。クラスターは1959年に組織化した産地との絆の再構築を狙う。
 中国などからの安価な輸入品が増え、国内合繊生産量は97年(156万2千トン)をピークに2004年は98万9千トンまで減少。その間、国内大手もリストラに追い込まれた。東レの師匠にあたる英ICI、米デュポンも衣料用繊維から相次ぎ撤退。しかし東レは世界の流れに反して、ポリエステル、ナイロン、アクリルの三大合繊の国内生産を維持する。


先端材料に応用
 繊維へのこだわりの裏には「有機合成など合繊で培った中核技術が他の事業を生み出した」(榊原定征社長)との信念がある。東レの先端材料は、新市場創造の歴史でもあった。ポリエステルフィルムの生産開始は半世紀近くも前の59年。今では最新の液晶表示装置にも使われるなど用途開発を進め、世界シェアは首位。世界6拠点で年31万トンを生産する。
 三十数年前にいち早く量産化した炭素繊維も世界トップの36%(生産能カベース、04年末)のシェアを握る。昨年、米ボーイングの次期主力旅客機の構造材用に1500機分、3300億円の受注に成功。70年代から地道に進めた航空機向けの売り込みが実を結び、世界シェア4割も視野に入ってきた。

コスト減も徹底
 合繊技術を足場にいち早く種をまき、じっくり育てる"超・繊維”。その母体の強さをライバルは「付加価値の高い生地を世界で供給できること」(津村準二東洋紡社長)と指摘する。東レは原糸から加工まで一貫して手掛ける仕組みを世界で展開。有カブランドなど世界中の工場に自在に納入でき、変化にも強い生産網を確立した。国内でのクラスターづくりは、市場と向き合い、新たな用途を開拓する試みの一環だ。
 ただその道のりは平たんではなく、02年3月期に国内合繊市場の縮小などから初の営業赤字(単独)に転落した。最高経営責任者(CEO)に復帰した前田勝之助会長(当時)が、コスト削減や高付加価値品へのシフトなどの再建計画を策定。目標を予定より1年早く達成した今、榊原社長は「『繊維の東レ』を維持しつつ『先端材料の東レ』になる」と宣言する。
 20世紀に合繊の世界をリードしたデュポンが手本とならなくなった今、「東レモデル」は独自の進化を迫られる。安定収益源として合繊を磨き、先端材料に重点投資ーー。合繊技術という"ふ化器”をフルに生かした内外での新技術・新用途の開拓力が今後、独自モデルの成否を決める。

東レの歩み

1926年 「東洋レーヨン」設立
  51年 米デュポンからナイロンの特許実施権を取得
  58年 英ICIからの技術供与でポリエステル糸の生産開始
  59年 ポリエステルフィルムを販売
加工業者を組織化し、「東レ合繊織物会」を設立
  64年 ABS樹脂の生産開始
  70年 社名を「東レ」に変更
人工皮革「エクセーヌ」発売
  71年 炭素繊維の販売開始
  75年 石油ショックで経常赤字に
  88年 ポリエステル短繊維の国内生産拠点を統合
  93年 液晶用カラーフィルター参入
  94年 中国に初の合繊加工拠点
2002年 単体で初の営業赤字に転落
  04年 再建計画を一年前倒しで達成



2005年5月10日 東レ

中国・華南地区における樹脂事業の再編について
http://www.toray.co.jp/news/pla/nr050510.html

 東レ(株)はこのたび、樹脂事業において、中国・華南地区における樹脂の販売、生産機能を統合・再編し、樹脂製品の販売新会社「東麗塑料(香港)有限公司」(TPHK社)と、樹脂コンパウンドの生産新会社「東麗塑料(深)有限公司」(TPSZ社)をそれぞれ設立、本年4月1日より営業を開始しました。

 今回の統合・再編では、樹脂コンパウンド製品の販売子会社である麗碧複合塑料(香港)有限公司(LCH)を存続会社として、同社に東麗(華南)有限公司(TSCH)と 東麗(香港)有限公司(THK)およびトーレ・プラスチックス・マレーシア社(TPM)香港事務所を統合し、樹脂製品拡販を目的とした新会社『TPHK』を設立しました。同時に深センの樹脂コンパウンド生産子会社である麗碧複合塑料(深)有限公司(LCS)を販売新会社の生産子会社として『TPSZ』に改称することで、生販一体のオペレーションが可能な体制に再編しました。

 新会社の設立により、中国・華南地区における樹脂の生産・販売・技術サービスの各機能を一元化し、より効率的、かつ機動的な事業運営を図ります。新会社は今後、ローカルスタッフによる販売、技術サービス体制を強化し、ローカルユーザー向け事業を拡充する一方、生産体制の見直しを加速し、従来の着色コンパウンドに加えて、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、およびPPS(ポリフェニレンサルファイド)など高機能樹脂のコンパウンド比率を拡大します。これらの取り組みにより、総合エンプラコンパウンド事業への事業構造転換を図り、幅広い顧客ニーズに迅速に対応できる体制を構築します。

 東レはTPHK、TPSZの両新会社を、中国・華南地域におけるグループ樹脂事業の中核拠点として新たに位置づけ、成長著しい華南マーケットにおける樹脂事業の拡大を図ります。販売新会社のTPHKは、統合・再編によるシナジー効果を活かし、既存商圏をさらに発展拡大していくとともに、新規市場開拓を推進することで、2010年の売上高を現在の1.6倍にあたる400億円に拡大する計画です。

 東レは樹脂事業において、本年3月にマレーシアに総合技術開発拠点を開設したのをはじめ、中国とタイにおけるコンパウンド設備の増強、そして2006年のマレーシアにおけるPBT樹脂の重合生産開始など、積極的な拡大投資と事業構造改革を推進しています。今回の統合・再編は、グループ樹脂事業の成長拡大戦略の一環として実施するものです。東レは引き続き、マーケットニーズに的確、迅速に対応できるグローバルオペレーション体制を構築していくことで、アジアにおける樹脂のメジャープレイヤーとしてのプレゼンスを一層強化してまいります。

<新会社概要>(2005年4月1日現在)
東麗塑料(香港)有限公司 Toray Plastics (Hong Kong) Ltd. (略称:TPHK)
 1. 事業概要: 香港をはじめとした華南地区における樹脂製品の販売。
 2. 社長: 山脇 良庸 (東レ出身)
 3. 資本金: 102,733千香港ドル
 4. 株主: 東レグループ 100% (東レ(株):96.4%、東レ香港(THK):3.6%)
 5. 社員数: 22名

東麗塑料(深)有限公司 Toray Plastics (Sheng Zhen) Ltd. (略称:TPSZ)
 1. 事業概要: 樹脂コンパウンドの生産、技術サービス。
 2. 社長: 山脇 良庸 (TPHK社と兼任、東レ出身)
 3. 資本金: 74,914千RMB
 4. 株主: 東麗塑料(香港)有限公司 100%
 5. 社員数: 130名