2008/1/20 毎日新聞      参考 ロシアのパイプライン

露のガスパイプライン南ルート計画 ブルガリアと建設合意 プーチン大統領最後の外遊で

 ロシアのプーチン大統領は18日、ブルガリアのソフィアでパルバノフ大統領と会談し、ロシア産天然ガスを黒海海底を通って欧州に運ぶ「サウス(南)・ストリーム」パイプライン建設に、ブルガリアが参加することで合意した。5月に退任するプーチン大統領にとって最後の外遊となる今回の訪問で、ロシアの欧州エネルギー市場への影響力をさらに強化することに成功した。
 「サウス・ストリーム」は昨年6月、ロシアの政府系天然ガス独占企業「ガスプロム」とイタリア企業が建設に合意した。黒海、バルカン地方を経てイタリアに至るプロジェクトで2013年の開通を目指す。今回はブルガリア国内のパイプライン建設で、同国とロシアが50%ずつ権益を分け合うことで合意した。
 ロシアからの欧州向けガスパイプラインは現在ウクライナ、ベラルーシを経由する2ルートしかない。供給ルートの多様化を図るため、ドイツとロシアはバルト海海底を通る「北欧州パイブライン(ノルド・ストリーム)」敷設に合意した。
 欧州連合(EU)は、調達先の多様化を目指しトルコからの「ナブコ・パイプライン」建設を計画しているが進んでいない。同パイプラインとルートが重複するロシアの「サウス・ストリーム」事業が進展すれば、一層の難航が予想される。

@ウクライナ経由ルート(開通1967年、年間輸送量1750億立方メートル)
Aベラルーシ経由の「ヤマル・ヨーロッパ」(同1999年、同330億立方メートル)
Bトルコに送る「ブルー・ストリーム」(同2003年、同75億立方メートル、10年に倍増予定)

Cバルト海の海底を通りドイツなどに続く「
ノルド(北)・ストリーム(北欧州ガスバイプライン)」
  (開通予定 2010年、最大年間輸送量550億立方メートル)
D欧州側が主導し、トルコを経由する「ナブコ」パイプライン(同2012年、同310億立方メートル)
E「サウス・ストリーム」(同2013年、同300億立方メートル)