2008年5月8日 化学工業日報

新日石・大阪製油所、CNPCが資本参加

 新日本石油と中国石油天然ガス集団公司(CNPC)は7日、新日石子会社の新日本石油精製が保有する大阪製油所を共同出資会社として運営することで合意した。同製油所を輸出特化型製油所に転換するため新会社を設立、CNPCが49%出資する。中国石油企業が日本国内の製油所運営に資本参加するのは初めて。石油製品の国内需給が減少の一途をたどる一方で中国を中心としたアジアでは堅調な伸びが予想されており、日本の製油所オペレーション能力を活用したアジア石油企業との協業の動きが今後も活発化しそうだ。

 新日本石油の渡文明会長とCNPCの蒋潔敏総経理が都内のホテルで同日、「石油精製合弁会社の設立に関する意向書」の締結に調印した。新日本石油精製大阪製油所を輸出型製油所に転換するため09年4月をめどに合弁会社を設立、新会社には新日石が51%、CNPCが49%を出資する。同製油所の運営管理は新日石が手がけ、原油調達と石油製品販売はCNPCが担う。会社名や資本金、会社設立の時期などの詳細は今後両社間で協議のうえ決定する。ナフサ、ベンゼン、キシレンなど石油化学会社への原料供給はこれまで通り継続するという。

 合弁会社設立の背景にあるのは、日本とアジアにおける石油製品需要の格差。原油高騰に加え環境規制の強化にともなう燃料転換・省エネルギーが進展、石油製品需要が大幅に減少することが見込まれている日本とは対照的に、中国を中心とするアジア・太平洋地域の需要は着実に増加している。


2008/5/7 新日本石油

中国石油天然ガス集団公司との間の「石油精製合弁会社の設立に関する意向書」締結について

 当社(本社:東京都港区、社長:西尾進路。以下「新日石」という。)は、中国石油天然ガス集団公司(総経理:蒋潔敏(ジャン ジエミン)。以下「CNPC」という。)との間で、これまでの長期に亘る協力関係を基にアジア・太平洋地域における両社のさらなる発展を期するべく、精製子会社である新日本石油精製株式会社(本社:東京都港区、社長:大野博。以下「新日精」という。)大阪製油所の合弁製油所化に向けて、詳細な検討に入ることにつき合意に達し、本日、下記のとおり意向書を締結しましたので、お知らせいたします。
 
 新日石とCNPCは、
2004年7月に「石油製品受託精製契約」をCNPC傘下のチャイナオイルとの間で締結し、また、2007年4月には「長期協力に関する覚書」を締結するなど、これまで良好な関係を構築してまいりました。なお、石油製品の受託精製に関しては、2008年度の契約数量を前年度の5万バレル/日から7万バレル/日に増量する契約を、本意向書と併せて締結いたしました。

 今後も両社は、一段の競争力強化と事業のさらなる拡大・発展に向けて、引き続き、強固な協力関係の維持・発展に努めてまいります。


1.意向書締結日および場所 2008年5月7日(水) 於:帝国ホテル(東京都千代田区)

2.調印者 新日石 : 代表取締役会長 渡  文明
       CNPC : 総経理 蒋  潔敏

3.合弁会社の概要
(1) 所 在 地 大阪府高石市
(2) 出資比率 新日石 : 51%
         CNPC : 49%

(3) 事業内容 大阪製油所において原油を精製のうえ、アジア・太平洋市場においてこれを販売する。
(4) その他 会社名、会社設立の時期等具体的事項については、今後、両社間で協議のうえ決定する。

4.合弁会社設立の背景・目的

(1) 昨今の原油価格高騰、環境規制の強化に伴う燃料転換・省エネの進展で、
国内の石油需要の大幅な減少が見込まれる中、先行きの過剰設備解消をはじめとする抜本的な産業構造の改革はわが国石油業界の喫緊の課題となっております。一方、アジア・太平洋地域における石油製品需要は着実に増加しており、中長期的な観点からもビジネスチャンスは拡大する見通しです。

(2) このような事業環境に係る共通認識のもと、新日石とCNPCは、新日石グループの製油所運営能力と、CNPCグループの優れた製品マーケティング能力を相互に有効活用することを目的として、合弁会社の設立について検討を開始いたします。

(3) 具体的には、新日石の精製子会社である新日精が所有する大阪製油所の優位性(生産する製品の品質の高さ、大容量の製品タンク等)を最大限に活かし、同製油所を国内市場向けの製油所からアジア市場に向けた輸出型製油所に転換することを企図しております。

(4) こうした既存製油所の輸出製油所化は、過剰設備対策として有効で、国内石油産業の競争力強化に資するとともに、拡大著しいアジア・太平洋市場のエネルギー安定供給に貢献するもので、わが国のエネルギー政策に沿ったものです。

新日本石油精製株式会社
 原油処理能力 (バレル/日)
   室蘭製油所 180,000
   仙台製油所 145,000
   根岸製油所 340,000
   大阪製油所 115,000
   水島製油所 250,000
   麻里布製油所 127,000
   合計 1,157,000

大阪製油所概要
 所在地大阪府高石市高砂二丁目1番
 原油処理能力 115,000 バレル/日
 主要装置能力(バレル/日)
  接触分解装置 27,000
  接触改質装置 17,000
  IPP発電装置149,000 KW(内、130,000KWを関西電力株式会社に供給)