2004/6/21 新日本石油

マレーシア・サラワク沖 セライ・ガス田の商業生産開始
〜SK-10鉱区に続き、SK-8鉱区も商業生産に移行〜
http://info.eneos.co.jp/press/2004_2005/e71_pr_20040621_01.html

 当社(社長:渡 文明)の石油開発部門である新日本石油開発株式会社(社長:甲斐 勝)が出資する日石サラワク石油開発株式会社は、同社が37.5%の権益を保有するマレーシア・サラワク沖SK-8鉱区内のセライ・ガス田において、オペレーターであるロイヤル・ダッチ・シェル社と共に天然ガスの開発を行っておりましたが、この度、同ガス田における生産設備が完成し、商業生産を開始することになりましたのでお知らせいたします。

 日石サラワク石油開発株式会社は、1991年8月にマレーシア・サラワク沖SK-8鉱区のプロジェクト会社として設立され、その後の探鉱活動の結果、1992年から1994年にかけて複数のガス田を発見し、セライおよびジンタン・ガス田の商業生産に向け、2002年に天然ガス生産設備の建設に着手しておりました。

 今回商業生産を開始するセライ・ガス田の生産量は、天然ガスが日量最大約800万立方メートル(原油換算:日量約5万バレル)、コンデンセートが日量最大約8千バレルとなる予定であり、日石サラワク石油開発株式会社は、生産した天然ガスおよびコンデンセートを、ともに海底パイプライン経由でサラワク州ビンツルに輸送し、当社が出資するマレーシアLNGティガ社のプラントにおいて分離・液化(LNG化)したうえ、LNGについては日本国内の需要家などに、コンデンセートについてはマレーシアの国営石油会社であるペトロナスに販売いたします。また、ジンタン・ガス田につきましても、本年7月末には商業生産を開始する予定であり、これによりSK-8鉱区において開発を行っておりました2つのガス田が、ともに生産段階に移行することとなります。

 当社グループでは、日石マレーシア石油開発株式会社が、今回商業生産を開始するSK-8鉱区の近隣に位置するSK-10鉱区内のヘラン・ガス田において、昨年11月から天然ガスの商業生産を開始しており、今後は、セライおよびジンタン・ガス田を加えた3つのガス田合計で、天然ガスは日量最大2,900万立方メートル(原油換算:日量約17万バレル)、コンデンセートは日量最大4万2千バレルの生産を見込んでいます。セライおよびジンタン・ガス田からの天然ガスは、ヘラン・ガス田からの天然ガスと同様、マレーシアLNGティガ社に原料ガスとして供給されますが、当社はマレーシアLNGティガ社にも出資していることから、昨年当社グループが日本企業として初めて確立した天然ガスの一貫操業体制は、今後、更に安定したものになると考えております。

 当社グループといたしましては、本件により、エネルギー需要の拡大が見込まれる東アジアにおいてLNGというクリーンなエネルギーの安定供給体制を構築できたことは、総合エネルギー企業化に向けた大きな前進であるとともに、地球環境への負荷の低減という点においても大きな意味を持つものと考えており、今後も本事業を石油開発部門におけるコアビジネスのひとつとして位置付け、さらなる事業拡大を目指してまいります。

 なお、当社グループがSK-8およびSK-10の両鉱区で実施している天然ガス事業の概要は参考資料のとおりであり、日石サラワク石油開発株式会社および、日石マレーシア石油開発株式会社は、ともに石油公団、帝国石油株式会社および三菱商事株式会社からの出資を受けております。



【参考資料-1:マレーシアLNGティガ・プロジェクト概要】

新日石開発、シェルおよびチャリガリ(ペトロナスの開発子会社)等が沖合ガス田で天然ガスを生産。
ペトロナスがガス田から輸出基地ビンツルまでのパイプラインを敷設・運営。パイプラインで輸送される原料ガスをビンツルのLNGプラントで液化し、需要家へ販売。
東北電力、日本のガス会社3社(東京ガス、東邦ガス、大阪ガス)、石油資源開発、東京電力、韓国ガス公社等とLNG売買契約(SPA)を締結済。

1.上流部門について

  SK−8鉱区 SK−10鉱区
権益保有者
(※オペレーター)
※シェル:
  37.5%
 

新日石開発

 

39.02%

石油公団

37.48%

帝国石油

15.00%

三菱商事

 8.50%

日石サラワク:
  37.5%
チャリガリ:
  25.0%
※日石マレーシア:
  75.0%

新日石開発

 40.15%

石油公団

38.58%

帝国石油

15.00%

三菱商事

6.27%

チャリガリ:
  25.0%
 
開発対象ガス田 ジンタン・ガス田 セライ・ガス田 ヘラン・ガス田
開発開始時期 2002年1月 2002年12月 2000年4月
生産開始時期 2004年7月
(予定)
2004年6月
(今回)
2003年11月
(現在生産中)
Pj会社
開発投資額
約92百万米ドル 約36百万米ドル 約360百万米ドル
ガス生産量(予定)
<参考>
 LNG換算
 原油換算
日量1,400万m3

約320万トン/年
約8万バレル/日
日量800万m3

約200万トン/年
約5万バレル/日
日量700万m3

約160万トン/年
約4万バレル/日
コンデンセート
生産量
(予定)
約1万4千バレル/日 約8千バレル/日 約2万バレル/日

2.液化プラント合弁会社

マレーシアLNGティガ社
・LNG生産量 680万トン/年(340万トン/年×2系列)
・生産開始時期 2003年3月
・出資比率 ぺトロナス60%、サラワク州政府10%、新日本石油10%、シェル15%、
ダイアモンド・ガス・ネザーランズ5%

3.マーケティングについて

・2001年 4月: 東北電力とSPA締結(2005年度より20年間、最大90万トン/年)
・2002年 2月: ガス3社(東京ガス、東邦ガス、大阪ガス)とSPA締結
(2004年度より20年間、最大160万トン/年)
・2002年 4月: 石油資源開発とSPA締結(2002年度より20年間、最大48万トン/年)
・2003年 3月: 東京電力とSPA締結(2003年度年間契約、実績47万トン/年)
・2003年 5月: 韓国ガス公社とSPA締結(2003年度より7年間、最大200万トン/年)

【参考資料-2:SK−8鉱区の概要】

1.沿革

 1989年 7月

 SK−8鉱区のPSC(生産分与契約)、JOA(共同操業契約)締結

 

 

1991年 5月

 新日石開発(株)、SK−8鉱区にファームイン

 

 

8月

 日石サラワク石油開発(株)設立

 

 

12月

 SK-8鉱区の権益を新日石開発(株)から日石サラワク石油開発(株)へ譲渡

 

 

1992年 3月

 ビジャン・ガス田発見

 

 

5月

 ジンタン・ガス田発見

 

 

1993年 2月

 セラシ・ガス田発見

 

 

4月

 セライ・ガス田発見

 

 

12月

 チリパディ・ガス田発見

 

 

1994年 6月

 サデリ・ガス田発見

 

 

1995年 8月

 ガス田の開発・生産に係る基本契約書締結

 

 

1999年 7月

 既発見6ガス構造を除くSK−8鉱区を放棄

 

 

11月

 三菱商事(株)が日石サラワク石油開発(株)の増資新株式を引き受け、
 株主(出資比率:10.0%=当時)として当該プロジェクトへ参入

 

 

2000年11月

 帝国石油(株)が日石サラワク石油開発(株)の増資新株式を引き受け、
 株主(出資比率:15.0%)として当該プロジェクトへ参入

 

 

2001年 6月

 ジンタン・ガス田開発計画(FDP)、ペトロナス承認

 

 

8月

 セライ・ガス田開発計画(FDP)、ペトロナス承認

 

 

2002年 1月

 石油公団、ジンタン開発移行および債務保証採択承認

 

 

1月

 国際協力銀行、ジンタン融資承認

 

 

12月

 石油公団、セライ開発移行および債務保証採択承認

 

 

2003年 2月

 国際協力銀行、セライ融資承認

 

2.セライ・ガス田について
 ・マレーシア国サラワク州ビンツルの北西約270km沖合いに位置するガス田
 ・水深約130m

3.日石サラワク石油開発株式会社について

  1 名称 日石サラワク石油開発株式会社
(英文名)Nippon Oil Exploration (Sarawak) Limited
  2 設立 1991年8月6日
  3 所在地 (本社)東京都港区西新橋一丁目3番12号
  4 代表者 代表取締役社長 甲斐 勝
  5 資本金 148億8千9百万円(2004年4月1日現在)
  6 株主 新日本石油開発株式会社(39.02%)、帝国石油株式会社(15.00%)、
三菱商事株式会社(8.50%)、石油公団(37.48%)
  7 事業目的 マレーシアおよびその周辺地域における石油、天然ガスその他鉱物資源の
探鉱・開発、およびそれらの副産物の採取・加工・貯蔵・売買・輸送など。