サハリン1

日本経済新聞 2003/5/16

サハリン原油開発始動 「サハリン1」来月に掘削着手    
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 5500億円投資 日本中心に供給

 日本、米国、ロシア、インドの各社が開発に参加するロシア・サハリン沖の原油ガス田「サハリン1」が本格始動する。46億ドル(約5500億円)を投じて6月中旬に原油生産のための掘削工事に着手、今夏には積み出し港となるロシア本土への海底パイプライン着工に踏み切る。2005年に商業生産を開始、1年後をメドに日量25万バレルの原油を生産し、主に日本向けに販売する。
 サハリン1は伊藤忠商事や丸紅などが出資するサハリン石油ガス開発(SODECO)、米エクソンモービルが中心となり、ロシアとインドの石油開発会社が権益を保有。サハリン石油ガス開発は原油掘削にかかわる約5500億円の投資額のうち、
権益保有率と同じ3割(1650億円)を分担する見通し。
 3カ所の鉱区には原油と天然ガスがほぼ同じ割合で埋蔵されており、原油の可採埋蔵量は23億バレル。総開発費用は120億ドル(約1兆4400億円)と見込まれている。各社はまず原油の生産・販売を軌道に乗せ、2008年にも日本初となる海底パイプラインによる天然ガスの生産・販売を目指す。
 エクソンなどは日本向けを中心に、韓国や中国にも販路開拓する。日量25万バレルの原油生産量は中東のオマーンからの輸入量に匹敵し、日本の消費量の16分の1程度をカバーする。原油の中東依存度は2001年に88%と高まっており、各社は「エネルギー安全保障上もサハリンヘのニーズは大きい」(大手商社)とみている。
 一方、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや三井物産、三菱商事が開発に参加する近隣の「サハリン2」は、12日に東京ガスが液化天然ガス(LNG)の購入を決定。15日に事業が正式スタートした。サハリン1は天然ガスの大口購入先は決まっていないが、原油生産にメドがついたことで、サハリン沖の二大エネルギープロジェクトがそろって本格始動する。


日本経済新聞 2003/5/16

サハリン2、事業化宣言 三菱商事など3社

 英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと三菱商事、三井物産の3社は15日、モスクワで記者会見し、サハリンでの天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の事業化を宣言した。総額100億ドル(1兆2千億円)の大型事業が正式にスタートする。
 3社が出資する事業主体のサハリン・エナジー・インベストメントが15日からの事業化を発表、フリステンコ・ロシア副首相は「大いに喜んでいる」と歓迎した。三井物産の槍田松瑩社長と三菱商事の増田幸央副社長はともに「日ロの経済交流と日本のエネルギー安全保障の強化につながる」と強調した。


日本経済新聞 2003/5/16

LNG基地3000億円で受注 千代田化工・東洋エンジ

 千代田化工建設と東洋エンジニアリングはロシア・サハリンの大型液化天然ガス(LNG)生産基地の建設事業を受注した。受注額は約3千億円とプラント商談では過去最高。世界市場の約1割にあたる960万トンの生産能力を持つ世界最大級のLNG輸出拠点を2008年までに完成させる。
 受注したのは英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル、三井物産、三菱商事が建設を計画している石油・ガス開発プロジェクト「サハリン2」のLNG生産基地。3社が出資する事業会社のサハリン・エナジー・インベストメントが同日に設計、機器調達、建設を一括発注した。7月にも工事が始まる見通し。千代田化工と東洋エンジニアリングは16日午後発表する。
 LNG生産基地はサハリン南端のプリゴロドノエ地区に建設する。約200ヘクタールの敷地に年産能力480万トンのLNG生産設備2基、容量が10万立方メートルのLNG出荷用タンク2基などを設置。約600−800キロメートル北のガス田からパイプラインで天然ガスを運び、セ氏マイナス162度の低温で液化する。製品は専用タンカーに積み込んで日本などに輸出する。
 総受注額のうち、千代田化工と東洋エンジニアリングの取り分はそれぞれ約1800億円と1200億円。商談には日揮−米KBRも参加したが、基本設計を請け負った千代田化工と、旧ソ連時代に60件以上のプラントを建設した東洋エンジニアリングが有利に進めた。


産経新聞 2003/7/17

露サハリン沖開発 コスモ石油が離脱へ 「カタール」油田に軸足
  事業費肥大化 資本参加の元売りゼロに

 政府が国家プロジェクトに掲げるロシア・サハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン1」で、資本参加する石油元売り大手のコスモ石油が事業から離脱する方針を固めたことが、16日わかった。サハリン1は今月12日、まず原油生産のための掘削が始まったが、電力会社など大口需要家は採算性を疑問視している。最後に残った石油元売り会社の撤退が業界に与える心理的影響は大きい。
 コスモ石油は日本企業連合としてサハリンの資源開発を手がけるサハリン石油ガス開発(SODECO)に資本参加する8社のうちの1社。石油開発業界関係者によると、事業費の肥大化に比例して債務保証にともなう負担が膨れ上がっている。
 最終的に日量25万バレルを目指す原油生産で、当初予定の事業費は25億ドル(約3千億円)だった。しかし、すでに40億ドル(約4600億円)を突破して実際に原油生産が始まる平成17年末段階には、50億ドルに迫るといわれる。
 しかも、プロジェクト最大の狙いは天然ガスを液化せず、パイプラインで日本に送るという壮大な構想。実現には200件を超える漁業補償が必要となり、総事業費約120億ドル(約1兆4千億円)という当初見積もりの大幅変更は避けられない。
 コスモ石油のSODECOに対する出資比率は1.13%にすぎないが、同社はカタールのカルカラ油田の開発に単独出資する方針を固めつつある。これにともなう投入資金は150億円ともいわれ、サハリンへの投資継続による負担増は、原油生産を目前に控えながら、同社に重くのしかかる。
 SODECOをめぐっては、国が平成7年の設立当初、民間から40%の出資を募って14社が資本参加。ところが、13年には「石油・天然ガスともに事業化のメドが立たない」として、日商岩井や出光興産など6社が保有株式を売却し、事業から撤退した。
 この流れを受けて電力、ガス会社などの大口需要家の間では、事業の進展を静観しながらも「政策を優先するあまり採算性を後回しにする国のやり方では事業化は難しい」(電力業界関係者)との見方が支配的になっている。


日本経済新聞 2004/11/2           日経解説

「サハリン1」天然ガス 日本への供給 白紙に エクソン中国に全量検討

 ロシア・サハリン沖の大規模石油開発プロジェクト「サハリン1」を巡り、国際石油資本(メジヤー)の米エクソンモービルが、生産する天然ガスの全量を中国へ販売する方向で同国の大手石油会社と交渉に入ったことが1日、明らかになった。プロジェクトには日本から伊藤忠商事や石油資源開発、石油公団などが参加、サハリンから日本までパイプラインを敷設し全量を日本が購入する計画だった。対日供給が白紙に戻れば、日本のエネルギー安全保障への影響が避けられない。
 複数の関係者によるとエクソンモービルの交渉先は中国三大石油会杜の一つ、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)。サハリン島からロシアの大陸沿岸を経由し中国東北部に至るパイプラインを建設、天然ガスを中国に輸送する。来春までの合意を目指している。
 サハリン1では日本の年間需要の6年分に相当する約4800億立方メートルの天然ガス生産が見込まれ、2008年の出荷を目指している。計画を主導するエクソンが30%、日本勢30%、インド開発会社とロシア開発会社が各20%の比率で開発権益を保有。総投資額は1兆−1兆5千億円に達するもよう。
 当初計画ではサハリンから日本へ総延長約1500キロメートルのパイプラインを敷設、日本の電力・ガス会社に販売する予定だった。日本政府もエネルギーを安定的に確保する狙いから、石油公団を通じて資金支援してきた。
 しかし、
日本へのパイプライン敷設が漁業補償問題で進んでいない。最大需要家になるとみられた東京電力もサハリン1からの購入に難色を示している。電力需要の伸び悩みに加え、パイプライン方式では液化天然ガス(LNG)以上に購入先が長期的に固定され、柔軟なガス調達が制限されるとみているからだ。
 サハリン1への累計投資額は既に千億円以上。販売先の決定権を持つエクソンは早期回収にメドを付けるため、中国との交渉に入った。エネルギー需要が急速に拡大している中国は、全量受け入れに前向きな姿勢を示しているもよう。
 販売先が中国に決まった場合でも、計画に参加する日本企業は権益比率に応じた販売収入が期待できる。ただ、日本政府にとってエネルギー安全保障の見直しは必至だ。

▼サハリン1
 サハリン島東北部沖の大陸棚に埋蔵されている原油や天然ガスを日本とロシアで共同開発する事業の一つ。開発力のある米エクソンモービルが生産計画を主導し、日本からは伊藤忠商事、丸紅などが出資するサハリン石油ガス開発が参加。旧ソ連時代の1975年に開発の基本契約に調印した。
 三鉱区を開発中で2005年末に原油、08年から天然ガスの生産を始める計画。可採埋蔵量は原油23億バレル、天然ガス3億5700万トン(液化天然ガス換算)。

日本側、購入に消極的 エクソン投資回収へ対中交渉
 米エクソンモービルが「サハリン1」プロジェクトの天然ガス販売で中国の石油大手と交渉に入った背景には、原油高を背景とした開発投資の増大と、ガス購入に後ろ向きな日本の需要家の姿勢がある。
 サハリン1の石油・ガス田の掘削作業は比較的順調に進んでいる。ただ最近、原油高につられる形で掘削機器のリース料や人件費が高騰。第一段階だけでも総投資額が千億円以上、超過する見通し。日本側も追加投資を迫られ、窓口会社のサハリン石油ガス開発(SODECO)は300億円強を金融機関から調達、伊藤忠商事や丸紅がその債務保証をする方向で調整中だ。
 投資額の増大が必至という事態に、エクソン側は膨らむ投資の回収方法を早期に見つけなければ株主への説明ができないと判断。中国との交渉を開始したとみられる。
 経済産業省はサハリン1について安全保障の観点から供給先が確定するパイプライン方式にこだわる一方、東京電力など需要家の立場は異なる。エネルギー需要が頭打ちなことに加え、電力業界は原子力発電所の建設推進を掲げる。必要以上の火力発電所の増設につながりかねないガス購入に難色を示しており、「事実上、エクソンとの交渉に応じていない」(SODECO株主)。
 東京ガスなどの大手ガス会社も既存施設の活用を優先するため、液化天然ガス(LNG)を重視する。東電や東ガスは、三菱商事や三井物産が英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと推進する「サハリン2計画」からの購入を決めており、「追加購入の余力がない」(東電幹部)。
 今回の計画変更にはロシア側の意向も働いているもよう。ロシアの国営ガス会社ガスプロムと中国石油天然ガス集団公司(CNPC)は、戦略的な協力関係の構築で合意済み。サハリンー計画に参加しているロスネフチはガスプロムに吸収合併されることが決まっており、ロシア側も大陸でのガスパイプライン網拡充に前向きになっている。

サハリン1開発の経緯

1974年    日本・ソ連(現ロシア)協力によるサハリン開発の日本側母体としてサハリン石油開発協力(旧SODECO)を設立
  95年   米エクソン(現エクソンモービル)参加に伴い、日本側の出資構成を見直しサハリン石油ガス開発(現SODECO)設立
2001年   エクソンなどロシア政府に対し商業化宣言
  03年   鉱区で本格掘削を開始
  05年   原油商業生産を開始予定
  08年   天然ガス商業生産を開始予定

2004/11/10 日本経済新聞夕刊

中国に目を向けたサハリン1
 値下げ圧力、交渉難航も

 ロシア・サハリン沖の大規模エネルギー開発プロジェクト「サハリン1」を主導する米エクソンモービルは、生産する天然ガスを中国に供給する方針を打ち出した。日本で顧客獲得のメドがたたないためだ。ただ、中国との交渉は日本以上に難しいとの見方もある。
 サハリン1は1975年に基本契約が調印された、いわばサハリン沖開発の老舗。だが、国際政治、ロシアの混乱などにもまれ、プロジェクトの具体化に長い時間がかかってきた。
 現在、生産に向けた準備は順調に進んでいるが、最大の市場と期待した日本での顧客獲得が難航をきわめている。問題はエクソンモービルがパイプライン供給にこだわっている点だ。
 サハリンから北海道を通過、本州の太平洋岸を南下して首都圏に至る1500キロメートルのパイプラインを建設し、東京電力や東京ガスに売り込もうという構想。日本に供給される天然ガスは国産ガスを除けば全量が液化天然ガス(LNG)の形で輸送されており、エクソンモービルは初のパイプライン供給を目指した。
 通説では輸送距離が3千キロメートル以下ではLNGよりパイプラインの方が輸送コストが安いとされる。しかし買う立場からすると、パイプラインは供給が固定され、売り手優位になりかねない。まして日本国内にはすでに25カ所ものLNG受け入れ基地があり、既存設備をフル活用する方が有利という事情もある。
 日本で顧客を得られないとみたエクソンモービルはエネルギー需要の伸ぴる中国に目を転じた。サハリンからパイプラインで沿海州を南下、中国東北部に供給しようという構想だ。途中でパイプラインを分岐すれば韓国、北朝鮮にも供給できる可能性もある。
 中国は環境対策もあって発電、都市ガス用に天然ガス利用を推進しており、有望な市場といえる。
 ただ、タリム盆地から上海にガスを供給する「西気東輸」と呼ばれるパイプラインが完成したほか、広東省を手始めに沿海部でLNG導入が急速に進んでいる。東シベリアのガス開発計画もあり、サハリンのガスがどこまで割り込めるかは疑問だ。
 西気東輸プロジェクトでは上海周辺の発電所などがガス価格の高さを理由に購入を拒否する動きもある。LNG調達でも中国は強気の交渉で、従来の日本向けより安い契約を認めさせてもいる。エネルギー調達に関して中国はきわめて厳しい交渉相手となる。
 パイプラインではなく、LNGでの供給を選んだサハリン2は今月、東電との購入契約がまとまるなど、生産する全量960万トンの購入先が決定。2007年の供給開始が確定した。 サハリン1にとって中国向け供給が問題の解決になるとは限らない。


日本経済新聞 2006/8/26

サハリン開発 ロシア、外資に圧力 投資に影響も

 ロシアのプーチン政権が資源・エネルギーの国家管理を一段と強化しようとしている。三井物産、三菱商事など日本企業が参加する
サハリン沖の原油・天然ガス事業が対象で、外資に生産などに関する従来の取り決めを見直すよう間接的に圧力をかけている。天然ガスを独占するガスプロムなど政府系企業の権益拡大が狙い。契約変更に発展すれば同国政府への不信感が高まり、海外直接投資に影響を与えるのは確実だ。
 ロシア政府は「サハリン2」で三井、三菱と生産分与協定(PSA)を締結している。ただ、同政府はサハリン2で「合意事項が守られていない」などとして四半期ごとの会計報告書を要求。違反に対して罰金を科す可能性を示した。輸出基地に通じるパイプライン建設についても環境面での問題を指摘、工事差し止め措置を示唆した。

▼生産分与協定(PSA)
 資源保有国が単独で進めることが困難で大規模なプロジェクトの探査・開発に外国投資家を参加させる目的で定められる。
 ロシアの場合、政府が外国企業と協議して生産計画や利益配分を決める。石油・ガス関連では「サハリン1」「サハリン2」など
3プロジェクトが承認されている。同協定は1995年に発効したが、2003年に国内企業を優先する内容に改正された。

 一連の圧力はガスプロムが同事業に参加する比率を高めるのが狙い。同社は英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルが所有する55%の権益のうち25%超を西シベリアのガス田の権益と交換することで昨年基本合意したが、日本勢の権益も含め、さらに高いシェア確保を求めているもようだ。
 米エクソンモービルや丸紅などが参加する「サハリン1」を巡っては、鉱区からはみ出す地域で見つかった油田とガス田の権益を新たに入札にかけることを決定した。同地域に関してはエクソンなど既存の開発企業が買い取ることで政府と合意していたが、天然資源省が従来方針を変更した。ロシア企業を入札に参加させ、開発権益の拡大を目指す狙いとみられる。
 ロシア政府は2004年にサハリン3でエクソンの開発免許を剥奪。仏トタルがPSAを結んで開発するロシア北部のハリャガ油田・ガス田にも一部権益譲渡を要求するなど圧力を加えている。

サハリン3
キリンスキー及びアヤシ・東オドプト地区について2004/1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区から外し、入札が無効となった。

ハリャーガ(Kharyaga)[ヤマロ・ネネツ自治管区]
 1996年4月にロシア連邦政府が承認。出資比率はLukoil が20%、TotalFinaElf が40%、
 Norsk Hydro が30%およびNenets Oil Co.が同10%。投資額は7 億ドル。

 PSAは原油価格が低迷した1990年代に締結されたため、政府や議会ではロシアの取り分が少ないとの不満が高まっている。プーチン政権は外国資本が過半数を占める企業を天然資源開発から排除する方針を打ち出している。
 ただ、欧米諸国では「PSAが見直されればロシアヘの投資に悪影響を与えるだけでなく、外交問題にも発展する」(外交筋)との見方が支配的になっている。

ガスプロムに株の一部放出も 日本側関係者が指摘
 ロシアが資源の国家管理強化を急ぐ中、サハリン事業に参加する外資は事態の推移を冷静に分析しようとしている。ガスプロムがサハリン2ブロジェクトヘの参加を求めて英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと交渉していることについて、日本側関係者は「シェルとガスプロムの交渉結果を受けて日本側も株式を一部手放す可能性はある」と指摘する。
 ただ、日本勢は売却交渉が始まった場合は各種条件を慎重に検討する方針で、「ガスプロムへの株式の譲渡価格など、経済合理性を見極めた上で判断する」としている。


ガスプロム LNG輸出拠点確保へ 日本・北米市場へ影響力拡大狙う

 ガスプロムがサハリン事業への参加に意欲を見せるのは液化天然ガス(LNG)事業を経営の「次の柱」に据えているからだ。同社はこのほど日本向けにオマーン産のLNGを専用船で初めて輸出、パイプラインに依存した輸出体制の見直しに着手している。エネルギー輸出を外交に活用するプーチン政権の思惑もあり、日本と北米市場での影響力拡大を目指す。
 「サハリン2」は現在、ロシアで建設中の唯一のLNG基地。しかし、ロシア企業が参画していないためガスプロムはなるべく多くのシェア獲得を目指している。
 ガスプロムはバルト海のシュトックマン・ガス田を開発し、早ければ2011年にも北米向けにLNGを輸出する計画。現在、共同開発する外国企業を選定している。サンクトペテルブルク郊外にもLNG基地を建設、既存のガス田の天然ガスを利用してカナダなどに輸出する計画だ。
 プーチン政権はエネルギーをテコに国際的な発言力を高めようとする姿勢を鮮明にしており、政府が株式の過半数を所有するガスプロムはその最大の武器と位置づけられている。


化学工業日報 2006年8月24日

新日本石油、サハリン原油を初購入

 新日本石油は23日、「サハリン−1」プロジェクトに権益参加するサハリン石油ガス開発(SODECO)から「サハリン・ソコール原油」をスポット購入すると発表した。購入数量は70万バーレル(約11万キロリットル)で、持ち届け(C&F)契約を結んで10月に新日石100%子会社の新日本石油基地・喜入基地(鹿児島県鹿児島市)で荷揚げする。新日石はソコール原油の経済性などを評価したうえで、購入の継続について検討する方針。