日本経済新聞 2009/5/12

東シベリアで油田権益 日ロ共同開発合意へ 13年以降本格生産

 政府はロシアの東シベリア地域での原油開発に向けて、イルクーツク州中部の2鉱区で地下資源の鉱業権を取得する。来年にも現地企業と共同で試掘を始め、2013年以降の本格的な生産を目指す。埋蔵量は今後調査するが、近隣に有望油田があることなどから、日本側関係者の間では数億バレル程度と世界的にも中規模クラスになるとの期待も出ている。
 ロシアのプーチン首相の来日に合わせ、12日にも合意文書に調印する。同首相は来日前の日本経済新聞などとのインタビューでエネルギーなど経済協力の具体化に期待を示していた。
 2鉱区はボリシェチルスキーとザパドナ・ヤラクチンスキーで、面積は合わせて約8100平方キロメートル。総事業費は商業生産の前段階までで150億円程度になる見込み。独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と現地企業のイルクーツク石油が共同出資で新会社をつくる。
 鉱業権はJOGMECが49%、イルクーツク石油が51%を取得する。取得額は明らかにしていない。
 当面は新会社が今後5年間をめに調査や試掘を実施。商業生産が可能になったと判断すれば、JOGMECの権益を日本の民間企業に引き継ぐ方針だ。
 東シベリアではJOGMECが08年に日本の企業・事業体としては初めて1鉱区の権益を取得し、今年5月末にも試掘を始める。今回の2鉱区に加え、今後も有望鉱区の権益取得を目指す。産出する石油は建設中の太平洋パイプラインで日本に送る計画で、日本の化石燃料の中東依存に歯止めをかける狙いもある。