2002/07/19 三井物産

バイオ・ナノテック・リサーチ・インスティチュート社、
   産総研の技術ポテンシャルを活用した技術戦略を展開

 三井物産鰍フナノテク戦略・エネルギー戦略の一端を担っている械NRI社(バイオ・ナノテック・リサーチ・インスティチュート、三井物産100%出資研究開発ベンチャー)は、産業技術総合研究所(産総研)と提携し、種々の分野で共同研究を展開することになりました。旧国研の有するシーズ技術の実用化に向けた本格的スケールアップ研究を推進致します。

 既に共同研究を決定或いは開始している研究テーマは以下の3分野。何れも1−3年以内の実用化を目指しており、研究開発を加速すべくBNRIから共同研究員を産総研に派遣致します。

− バイオマスアルコール製造技術への応用 (3年を目処に実用化)
    アルコール選択透過膜(シリカライト)実用化研究
− ケミカルヒートポンプ等への応用 (2年を目処に実用化)
    ナノポーラス材料量産化研究 
− 通信用デバイスへの応用 (1年を目処に実用化)
    高温酸化物超電導薄膜実用化研究 

 三井物産は、BNRI・CNRI等の研究開発子会社を通じ、独立行政法人化により産業界等との連携研究を重視し始めた産総研の諸制度(マッチングファンド・ライセンシング型共同研究他)を多角的に利用して、産総研の研究開発ポテンシャルを自社の技術開発に活用しその効率化を図ります。又、BNRI社は、国のベンチャー支援方針を受けてその体制強化を図るために産総研が最近制定した「産総研認定ベンチャー」にも認定される予定です。

1. アルコール選択透過膜実用化研究
   BNRI社が現在開発しているゼオライト膜がシリカ成分とアルミナ成分とから成るゼオライト多結晶体の水選択透過性膜であるのに対して、産総研が開発しているシリカライト膜はアルミナ成分を全く含まない疎水性のアルコール選択透過膜です。シリカライト膜は、水より分子サイズの大きいエタノールを選択的に透過させようとする膜であるため、技術的困難度は高く、実用的な膜の開発にはまだブレークスルーすべき多くの技術課題が存在しております。しかしBNRI社では、このシリカライト膜の将来性に注目し、将来の技術導入をも視野に入れて、今回産総研と共同研究契約を結んでその開発に協力すると共に、この技術分野で30年以上の研究経験を持ち高い技術ポテンシャルを有す産総研の膜構造解析技術等を同社のゼオライト膜開発に利用し、その開発の効率化を図ろうとしております。
   
2. ナノポーラス材料量産化技術開発
   BNRI社では保有するナノポーラス材料合成技術の応用として、最近ナノテク材料の一つとして注目されているメソポーラス材料に着目しその開発・実用化を図ろうとしております。この技術分野でもその開発期間を短縮するため、技術ポテンシャルの高い産総研の開発能力を活用することとし、メタノール吸着性等の新しい機能を有するメソポーラス材料の創製を産総研に委託研究として依頼し、その量産技術確立のため同社研究員を産総研に派遣しております。メソポーラス材料はナノ空間制御を実現するポテンシャルを秘めた新素材であり、ナノスケールの素材であるナノカーボン同様、種々の分野での応用が期待されております。BNRIは当該共同研究の成果となる量産化技術をベースに、セミコマーシャルプラントを建設。高品質・低価格のサンプル提供をベースに種々の応用研究開発を進めていきます。
   
3. 高温酸化物超電導薄膜実用化研究
   BNRI社は、IT・エネルギー両分野のキーテクノロジーとして、産総研の有す塗布熱分解法による高温酸化物超電導薄膜形成技術に着目し、超電導デバイス材料や強誘電性材料等の機能性新材料開発への応用を図るため、産総研からの技術導入を目的とした共同研究を開始しようとしております。この研究開発は、本年度から産総研で新たに設けられたライセンシング型共同研究の制度を活用して進められる予定です。

2002/12/3 日本製紙

木くず廃材を燃料とした発電設備の建設を決定
〜化石燃料由来のCO2を年間10万トン削減〜

 日本ユニパックホールディンググループの日本製紙は、勿来工場(福島県いわき市)に木くず廃材を主な燃料とした流動床ボイラーおよび15,000kW(キロワット)のタービンの建設を決定いたしました。設備投資額は約38億円、着工を2003年4月、完成を2004年8月に予定しています。

 廃棄物最終処分場の新設が各種事情により困難な中、1960〜1970年代に新築された住宅やビルが更新期を迎えているため、建設廃材が大量に発生する見込みとなっています。事実、不法投棄される産業廃棄物の75%がこれら建設廃材であり、これは大きな社会的問題です。また、建設廃材の中で木くずの占める割合は、重量比だと約6%(年間約600万トン)程度なのに対して、容量比になると約13%となり、容積の大きい木くずの処理が重要な課題となっています。今回、新設するボイラーは、この木くずを主な燃料として年間約9万トン使用するもので、社会的ニーズに応えるとともに、重油からの燃料転換によってコストメリットをも享受することができるものです。

 勿来工場の製造工程で使用する電力や蒸気は、自家用の重油ボイラーとディーゼル発電から供給しています。今回のボイラーが稼動することによって、年間約3万4千キロリットル使用していた重油がバックアップ用に使用するだけとなり、その結果、使用量が約98%削減されます。それに伴い、化石燃料由来の二酸化炭素排出量を年間約10万トン削減することができる見込みです。また、タービンによって得られる電力だけでなく、コージェネレーションにより工場内で使用する蒸気も供給するため、当発電設備のエネルギー効率は66%と、驚異的な値を示しています(一般的な発電設備は最高でも40%強)。また、このボイラーは、排ガスに含まれるダストを除去する装置としてバグフィルターを、硫黄酸化物を除去する装置として湿式脱硫装置を備えており、最新鋭の環境対応設備になっています。

 当発電設備の事業は、経済産業省による2002年度新エネルギー事業者支援対策事業の「バイオマス発電」として認定されました。日本製紙は、古紙や廃棄物など、社会的問題となっている分野で、古紙設備の増強や木くず廃材ボイラーの新設など、積極的な社会貢献を進めています。


日刊工業新聞 2003/3/13

神鋼、バイオマス事業を強化

 神戸製鋼はバイオマス事業を強化する。木質系バイオマスの高度なガス化技術を持つフィンランドのカルボナ社と提携し、木質系バイオマスのガス化発電に取り組む。これを機に、バイオマスをソリューション事業の柱の一つとして100億円規模の売り上げを目指す。

 ガス化発電では、ガスエンジンと組み合わせることで、26―28%の発電効率が得られる。さらにガスタービンとの複合発電で40%以上にアップ。10%台だった従来型の小型スチームタービンから効率が大幅にアップする。一度ガスにして精製するため、ガスのクリーン化が容易で、環境性が高い。また、燃焼以外に、水素や化学製品の原料としても利用可能で、システムとしての将来性にも期待している。

 同社は鉄鋼事業で培った燃焼・溶融に関するノウハウを、下水汚泥、家畜汚物、生ゴミの処理などに活用し、その技術開発に取り組んできた。