1998/2/2 昭和電工

株式会社エス・ディー・エス・バイオテックの経営権の譲り受けについて

 昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、スイス法人ノバルティス社(本社 スイス連邦共和国バーゼル市,社長 ダニエル・バセラ)との間で、ノバルティス社が保有する株式会社エス・ディー・エス・バイオテック(社長 渡瀬昭治)の全株式(発行済株式の54.8%)を、証券取引法に基づく公開買付けを通じて譲り受け、同社の経営権を取得することで基本合意に達しました。 

 昭和電工株式会社は、現在、株式会社エス・ディー・エス・バイオテックの発行済株式の33.8%を保有しておりますが、本年4月末までを目途に、ノバルティス社および一般株主が保有する同社の全株式(発行済株式の66.2%)を対象に、証券取引法に基づく公開買付けを実施する予定であります。ノバルティス社からの上記株式譲り受けと同時に、株式会社エス・ディー・エス・バイオテックは、現在
ノバルティス社から輸入し開発販売している農薬、動物薬および防疫薬に関する事業を、ノバルティス社に譲渡することにつき、併せて基本合意に達しました。 

 昭和電工株式会社は、昨年スタートさせた中期事業戦略計画「α−21プラン」の中で、連結経営強化の経営方針を打ち出すと共に、農薬関連製品を含む特殊化学品事業を成長事業として位置づけ、その強化・拡充に積極的に取り組んでまいりました。一方、株式会社エス・ディー・エス・バイオテックは、主力製品ダコニール
® (殺菌剤)およびダイムロン® (水田用除草剤)等に加え、21世紀初頭には大型の水田用除草剤を上市する見込みであり、収益力のさらなる向上と事業基盤の強化に努めております。 

 昭和電工株式会社は、株式会社エス・ディー・エス・バイオテックに対し、ダコニールの主原料やダイムロン原体を供給する等、すでに密接な取引関係を築いておりますが、今後その関係をなお一層強化し、農薬原料から製品の製造販売に至る一貫体制を構築すると共に、経営の自由度を高めるため、同社の全株式を取得しようとするものであります。さらに、両社がこれまでに蓄積してきた技術の相互有効活用を通じて、昭和電工グループ全体の特殊化学品事業の強化拡大を図ります。

 昭和電工株式会社といたしましては、経営権を譲り受けるにあたって、従来の経営との継続性を十分に尊重するとともに、需要家の皆様への供給および品質責任の達成には最大限の努力を払ってまいります。

 尚、昭和電工株式会社の連結業績に与える影響につきましては、現在当期の連結業績予想を策定中であり、平成9年12月期連結決算発表時に併せて公表いたします。

また、この公開買付けの結果次第によりましては、株式会社エス・ディー・エス・バイオテックの店頭登録が取り消される可能性があることを申し添えます。
 
基本合意の概要

1. 昭和電工株式会社は、ノバルティス社が保有する株式会社エス・ディー・エス・バイオテックの株式4,910千株(発行済株式の54.8%)を含む5,931千株(昭和電工株式会社保有以外の全株式)を対象として、証券取引法に基づく公開買付けを実施し、ノバルティス社は同社保有の全株式4,910千株につき、当該公開買付けに応募する。買付価格は1株当たり1,550円(1997年1月から12月までの売買の加重平均価額)とし、1998年4月末までに買付けを実行する。
   
2. 株式会社エス・ディー・エス バイオテックは、現在ノバルティス社から輸入し開発販売している農薬、動物薬および防疫薬に関する事業を、1998年4月末を目途に、ノバルティス社に譲渡する。ノバルティス社は、株式会社エス・ディー・エス・バイオテックから移管される事業につき、顧客との現行の取引態様および条件を尊重する。
   
3. 株式会社エス・ディー・エス バイオテックとノバルティス社は、混合剤の開発等の分野で、将来にわたり協力関係を維持発展させていく。

(会社概要)

株式会社エス・ディー・エス バイオテック
  社長   渡瀬 昭治
  資本金   732百万円(平成8年12月末現在)
  本社   東京都港区東新橋二丁目12番7号
  設立   昭和43年10月7日
  従業員数   193名(平成8年12月末現在)
  売上規模   152億円(平成8年12月期)
  事業概要   農薬、動物薬、防疫薬の製造、輸入および販売
       
ノバルティス社 (Novartis AG.)
  社長   ダニエル・バセラ
  資本金   13億7700万スイスフラン(約1160億円)
  本社   スイス連邦共和国 バーゼル市
  設立   1996年12月
  従業員数   87,000名
  売上規模   312億スイスフラン(約2兆6200億円)
  事業概要   医薬品、農薬、動物薬、種子、コンタクトレンズ、栄養食品等の研究開発、製造および販売

1998/2/2 Novartis

Novartis sells its SDS-Biotech shares to Showa Denko. Separation improves Asian market clarity

 Showa Denko K.K., Tokyo, and Novartis AG have agreed to end a twelve year relationship in SDS-Biotech K.K., Tokyo. Showa Denko will acquire all of Novartis' shares (54.8 percent) in SDS-Biotech K.K., through a tender offer to be announced separately today by Showa Denko. All products from the former Sandoz Agro distributed by SDS-Biotech will be returned to Novartis. All existing agreements between the companies will be terminated. New supply and distribution contracts for certain products will be established.

 SDS-Biotech develops, manufactures and sells crop protection and animal health products in Japan and other Asian countries. Since 1986 the company was jointly managed by Showa Denko and Sandoz or its successor Novartis. At that time Sandoz arranged for local marketing of ist products by SDS-Biotech.

 Over the last year, Sandoz has merged with Ciba-Geigy to form Novartis. In the Asian region, the new company's products have hitherto been marketed by Novartis affiliates and SDS-Biotech. Showa Denko and Novartis have agreed to separate their businesses in the region in order to achieve a clearer focus.

 In Japan and the other Asian countries concerned, SDS-Biotech and Novartis are now able to run their businesses independently. Novartis Crop Protection can develop its own strategy for the Asian region, where it will offer its full product range directly to the distributors.

 Novartis Crop Protection, the world's leading supplier of chemical and biological crop protection products, is a business sector of Novartis. Worldwide, several thousand employees discover, develop, manufacture and market fungicides, herbicides and insecticides. These help protect the production of food and fiber crops.

 Novartis is a world leader in Life Sciences with core businesses in Healthcare, Agribusiness and Nutrition. In 1997, Novartis Group sales in Life Sciences were 31.2 billion Swiss francs, of which 18.8 billion were in Healthcare, 8.3 billion in Agribusiness and 4.1 billion in Nutrition. The company annually invests more than 3 billion Swiss francs in R&D. Headquartered in Basel, Switzerland, Novartis employs about 87,000 people and operates in over 100 countries around the world.


化学工業日報 2000/3/30

SDSバイオテック

 SDSは出資構成の変更を経て、96年から昭和電工とノバルティスを親会社としてきたが、98年にノバルティスが資本を引き上げたことで、旧サンド製品の販売権を失効。150億円台で推移していた年間売上高は130億円前後まで縮小することになった。現在、昭和電工はSDS株の99%以上を所有し、今年5月には100%子会社が実現する。


化学工業日報 2001/3/14

水稲用除草剤原体で攻勢−SDSバイオテック

 エス・ディー・エスバイオテックは、中核となる農薬部門で新製品を継続的に投入しながら事業を拡大する。海外拠点の合理化や営業と開発を一体化させた新たな組織変更を行うなど将来に向けての効率的な体制も固まり、水稲用除草剤の独自原体「ベンゾビシクロン」(一般名)を含む単剤および各種混合剤の実用化を機に来シーズン以降、本格的な攻勢に乗り出す。新規IGR(昆虫成長制御剤)についても数年後の発売を想定しており、2004年に終了する現5カ年経営計画の目標達成に全力を注ぐ。


2001/6/19 中外製薬/昭和電工 

水稲・芝用除草剤について

 中外製薬株式会社(本社:東京都中央区、社長:永山 治/以下、中外製薬)と昭和電工株式会社(本社:東京都港区、社長:大橋光夫/以下、昭和電工)の両社はこのほど、中外製薬が開発し、連結子会社の永光化成株式会社(本社:福島県西白河郡矢吹町、社長:田邉泰夫/以下、永光化成)が製造・販売している水稲・芝用除草剤「グラチトール
(一般名:カフェンストロール)」について、永光化成の農薬事業の再編・縮小に伴い、2001年6月29日付で昭和電工の連結子会社である株式会社エス・ディー・エス バイオテック (本社:東京都港区、社長:白井 孝/以下、SDS)に譲渡することで合意しましたのでお知らせいたします。

 「グラチトール」は低薬量で優れた除草効果を発揮するため、特に水稲用除草剤の混合基剤
(ヒエ剤)として国内第2位のシェアーを誇る農薬で、現在、混合剤として16剤が上市され、約50万ヘクタールの水田で使用されています。(水稲用除草剤シェアーとして約28%)「グラチトール」としての年間売上高は約20億円です。

 中外製薬は現在、グループの経営資源をコア事業である
医薬品事業へ集中化する方向での各種施策を展開しており、永光化成についても、その一環として事業構造改革(環境衛生用材事業、農薬事業、殺虫剤生産事業の抜本的見直し)に取り組んできました。今回の「グラチトール」の譲渡を柱とした同社農薬事業の再編・縮小は、本年4月、既に撤退を開始した環境衛生用材事業に引き続いたのもので、今後、永光化成は中外製薬の殺虫剤(バルサン)受託生産事業に特化し、存続する予定です。

 昭和電工は、現在推進中のチータ・プロジェクトにおいて特殊化学品事業を成長戦略事業と位置付け、コア事業として、とりわけ農薬事業に注力しております。
 「グラチトール」原体は上市当初より、その殆どを有機合成技術に優れる昭和電工の東長原事業所
(福島県河東町)が生産を受託しており、今後も昭和電工が生産を継続いたします。
  
 SDSは、主力製品である水稲用除草剤「ダイムロン」のほか、本年上市した新規水稲用除草剤「ベンゾビシクロン」に加え、今回の「グラチトール」の譲受により、一社で3剤の水稲用除草剤を有することになり、この分野の事業展開に一層の強みを発揮することが期待されます。具体的には、昭和電工グループとして収益向上が図れるほか、ユーザーである製剤メーカーに対しても、既に「グラチトール」と「ダイムロン」が混合された製品が数多く販売されていることから、営業活動上での大きな相乗効果が見込まれます。
 なお、SDSは本年137億円、2005年には180億円の売上を計画しております。



1983/4/20 日本経済新聞

農薬で世界市場狙う 昭電、米社と全面提携 夏までに米に合弁

 成長性の高いファインケミカル(精密化学)分野で、世界市場を照準においた日米企業提携が実現する。
 関係筋が19日明らかにしたところによると、総合化学大手の昭和電工と米国の有力化学会社ダイヤモンド・シャムロックは農業・動物薬分野で全面提携することで基本的に合意した。具体的には両社で今夏までに折半出資による合弁会社を米国内に設立し、ダ社が米国を中心に世界各地で展開している同事業をすべて新会社に引き継ぐという内容。昭電のもつ技術力、マーケティング力などを取り入れることによって、バイオテクロノジーを駆使した新製品の開発や事業内容の拡大に取り組み世界でトップクラスの農薬・動物薬メーカーを目指すことにしている。これにより昭電は米国に本格的な拠点を確保するとともに、既存の国内メーカーの規模をしのぐ生産・販売会社を傘下にもつことになる。
 今回の提携は両社首脳がこのほど米国内で交渉した結果、合意した。今夏までに新会社設立について最終契約する見通し。新会社はダイヤモンド・シャムロックが米国および欧州、中南米、東南アジアなど世界各地にある農薬・動物薬に関するすべての資産、従業員を継承する。米国内にあるヒューストン、プリンストンの2工場のほか、世界に13ある関係会社がこの対象になり、従業員数は約800になる模様。
 新会社の資本金、人事などは今後詰めるが、年間売上高は関係会社分を含め約800億円の規模になる。新会社では両親会社が手がけている農薬・動物薬の製造、販売、研究開発を相互に補完して生産品目の充実と競争力強化を図る。2,3年以内には売上高を年間約1200億円にする予定。

   → 7/14 
合弁会社SDS Biotech 設立


2003/1/8  昭和電工/宇部興産

農薬事業の譲渡・譲受について
                  
 昭和電工株式会社(本社:東京都港区、大橋光夫社長)は、本日、連結子会社である 株式会社エス・ディー・エス バイオテック(本社:東京都港区、白井孝社長 昭和電工100%出資:以下SDS)が宇部興産株式会社(本社:山口県宇部市、常見和正社長)より農薬事業を譲受けましたのでお知らせいたします。

1.譲渡・譲受の内容
 SDSは、宇部興産が開発・上市している以下3剤の農薬(殺菌剤)事業を譲受ける。

2. SDSが譲受ける剤
  @ ぺフラゾエート (商品名:ヘルシード) 1989年農薬登録取得
イネ、小麦等の種子消毒用殺菌剤
   
  A オキスポコナゾール (商品名:オーシャイン) 2000年農薬登録取得
黄桃、なし、もも、ぶどう、りんご、柑橘等の果樹用殺菌剤
 B ジフルメトリム (商品名:ピリカット) 1997年農薬登録取得
菊、ばら等の花卉用殺菌剤
 * 上記3剤に係わる農薬登録、安全性試験データ、営業、製造、特許、商標等に関する宇部興産の保有する全ての権利を譲受ける。

3.事業譲渡日:2003年1月8日

 今回の事業譲渡・譲受は、SDSの原体メーカーとしての地位を確固たるものとする昭和電工の農薬事業戦略と、経営資源を医薬・機能性材料部門に集中する宇部興産の事業方針が合致したものです。

 SDSは、広範囲の作物に効果を発揮する殺菌剤「ダコニール® 」および高いシェアを有する水稲用除草剤を中核に、国内および今後大きな成長が見込めるアジア地区マーケットをターゲットとし、この地域の特色である野菜・果樹、水稲分野に注力した農薬事業を展開してまいります。
 今回譲受けた3剤の中で、ヘルシードはイネ用種子消毒剤として国内市場で高いシェアを有する基幹剤であり、箱育苗で使用される「ダコニール®」との種子〜育苗の体系防除の普及、あるいは既存の水稲用除草剤「ダイムロン」、「カフェンストール」、「ベンゾビシクロン」との営業上の相乗効果が期待できます。
 昭和電工グループの農薬関連事業の売上規模は、3年後には230億円を見込みます。(2002年見込み:180億円)


2005年3月15日 昭和電工

エス・ディー・エス バイオテック
MBO(マネジメントバイアウト)を実施し昭和電工より独立 業界再編成の中核を目指す

 昭和電工株式会社(本社:東京都港区、以下「昭和電工」)は、本日、昭和電工が100%出資する農薬事業子会社の株式会社エス・ディー・エス バイオテック(本社:東京都港区、以下「SDS」)を、MBOの手法で分離・独立させる事を決定いたしました。

 具体的には、みずほフィナンシャルグループの中核投資会社であるみずほキャピタルパートナーズ(本社:東京都千代田区、以下「みずほCP」)が運営するMBOファンド「MH CAPITAL PARTNERS U,L.P.」の出資による特別目的会社「有限会社エス・ディー・エスバイオテックホールディングス(以下、SPC)」に、昭和電工が保有するSDSの全株式を売却いたします。
 また、SPCによって実施される第三者割当増資により、SDSの現経営陣・従業員持株会に加え、昭和電工も約15%の株式を取得いたします。

昭和電工は、現在推進中の連結中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」において、成長戦略事業の強化とともに、事業構造変革並びに財務体質の強化を推進いたしております。今般、事業構造改革の一環として、MBOの手法を初めて採用し、みずほCPのバックアップを得て、SDSを独立させます。安定した経営基盤と製品開発力により、SDSがより強固なマーケットポジションを築いていくことを期待いたします。

 みずほCPは、SDSが、農薬等の原体・製品に関する開発、生産および販売までの一貫体制を有し、当該業界の中でもトップクラスの原体保有数を誇るだけでなく、
@ 有力な主力原体を持ち安定したキャッシュフローを創出できること
A 国内外のメーカーと連携した商品開発に強いこと
などから、今後単体でも十分成長が見込まれるビジネス基盤を有すると判断し、MBOによる独立を支援することと致しました。

 合従連衡が進む農薬業界において、今後、規模のメリットを志向した業界再編成が十分に予想されます。こうした動きを踏まえ、SDSは今回のMBOによって昭和電工グループからの独立を図り、みずほCPのサポートを受けながら、経営効率化の推進ならびに業界再編成の中核を志向することにより、収益および業容の拡大を図り、3年程度での株式公開の実現を目指して参ります。

株式会社 エス・ディー・エス バイオテック(SDS Biotech K.K.)
 東京都港区芝二丁目5番6号 (03-5427-2411)
 代表取締役社長 白井 孝
 事業内容: 農薬・工業用防バイ剤、防疫薬剤および特殊化学品の 製造・輸入・販売
 設立: 1968年10月7日
 売上高 : 131億円(2004年度実績)
 従業員数: 128名(2004年12月末)