2003/1/29 武田薬品工業

生活環境事業の100%子会社化について

 当社は、本年4月1日付けで、活性炭、木材保存剤、工業用保存剤、環境汚染診断薬等の製造・販売等を事業内容とする生活環境カンパニーを当社全額出資の子会社といたします。

 生活環境カンパニーの活性炭や保存剤事業等はニッチな分野であるものの、それぞれ業界内でトップの位置にあります。引き続き競合優位な地位を確保していくためには、独立企業としてより機動的・効率的な事業運営を行うことが必須となっております。

 また、
医薬外事業の自立は、当社が世界的製薬企業を目指し、グローバルな成長戦略を展開するための重要な施策と位置付けており、すでにその他の事業につきましては新体制での運営をスタートさせてまいりました。

 新会社におきましては、徹底した経営体質の強化に取り組むとともに、将来の発展が期待できる事業運営体制の検討を進め、事業の拡大を図っていく所存であります。

<新会社の概要(予定)>

1.会社名 日本エンバイロケミカルズ株式会社
2.本社所在地  大阪市中央区道修町二丁目3番8号
3.資本金 21億円(当社全額出資)
4.初年度売上高見込 約170億円
5.代表取締役社長 小林厚夫(現生活環境カンパニープレジデント)
6.従業員数 約140名(生活環境カンパニー在籍の従業員全員が出向)
7.事業所 管理販売部門:東京、大阪
研究部門:現大阪工場内施設を継続使用
製造部門:静岡県清水市
8.事業内容            : 生活環境カンパニーの事業を承継し、次のとおりとする。
活性炭、木材保存剤、工業用保存剤、下水処理用の担体、環境汚染診断薬、フッ素・リン吸着剤などの研究、開発、製造、輸出入および仕入・販売
9.営業開始日  2003年4月1日

 


2003/05/21  武田薬品工業

ワイスと武田薬品との新たな提携について

 ワイス(本社:米国ニュージャージー州マディソン、会長、社長兼CEO:ロバート・エスナー)と武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:武田國男)は、本日、武田薬品が保有する
日本ワイスレダリー社の株式譲渡、関節リウマチ治療薬「エタネルセプト」(米国製品名エンブレル)のコ・プロモーションなどを含む新たな提携をスタートさせることについて合意いたしました。また、日本ワイスレダリー株式会社はワイス株式会社に社名変更いたします。

 主要な合意内容は、以下のとおりです。

ワイスは、武田薬品が保有する日本ワイスレダリー社株式40%を、今後数年かけて段階的に譲り受けます。
武田薬品と日本ワイスレダリー社は、現在日本ワイスレダリー社が日本で承認申請中の関節リウマチ治療薬「エタネルセプト」をコ・プロモーションします。
ワイスと武田薬品は、ワイス製品2品目(未定)を日本においてコ・プロモーション/コ・マーケティングします。
武田薬品は、日本ワイスレダリー社製品の一手販売を継続します。

 他社との競合上の観点から、合意文書の詳細については開示できませんが、ワイスは、日本ワイスレダリー社の株式を今後数年間にわたり、適正な市場価値に基づき武田薬品から譲り受けることになります。この間、武田薬品は出資比率に応じて取締役を派遣します。また、エタネルセプトのコ・プロモーション契約では、ワイスはマイルストーンの支払いを受け、武田薬品と日本ワイスレダリー社はマーケティング費用を分担することになります。

 ワイスと武田薬品の協力関係は、1953 年に当時のアメリカン・サイアナミッド社と武田薬品の折半出資会社である日本レダリー社の設立に始まり、ビジネスパートナーとして良好な関係を構築してまいりました。
 今後、新たな提携のもと、エタネルセプトをコ・プロモーションすることにより、より多くの患者さんの治療に貢献することが可能となります。

 ワイスの会長、社長兼CEO ロバート・エスナーは、「今日まで両社の提携は有意義かつ協力的なものでした。ワイスにとって、世界第2 位の医薬品市場である日本において、さらなる成長を期すために日本ワイスレダリー社の完全経営権を獲得する時期であり、新たなスタートとなります。」とコメントしています。

 武田薬品社長の武田國男は、「今回の合意による新たな提携関係は、両社の更なる発展につながるものと期待しております。また既に欧米で販売され、医療関係者から高い評価を得ているエタネルセプトについてコ・プロモーションを実施することにより、両社の持つ強みを活かし、同剤のポテンシャルを最大限に引き出すことができます。」と述べています。

(ご参考)

●ワイスの概要

1.社名   ワイス
2.本社所在地   米国ニュージャージー州マディソン
3.社長   ロバート・エスナー
4.売上高   146億ドル(2002年度連結ベース)
5.従業員数   52,000名(2002年12月末現在)
6.事業の内容   医薬品、動物薬の開発・製造・販売
     
●日本ワイスレダリー株式会社の概要
1.社名   日本ワイスレダリー株式会社
2.本社所在地   東京都中央区京橋1−10−3
3.社長   ルネ・ブレンバーグ
4.売上高    496億6200万円 (2002年度)
5.従業員数   1,300名(2002年12月末現在)
6.事業の内容   医薬品の開発、輸入、製造ならびに販売

2003/06/27 武田薬品工業

国際事業の地域別事業運営体制への移行について

 当社は、01−05中期計画において、医薬事業に特化した世界的製薬企業に向けた新たな挑戦を進めてまいりました。医薬外事業の自立に目処がついたなか、「国内と海外」といった管理体系や意識を払拭し、名実ともにグローバルに事業を展開する医薬品企業への脱皮を図る一環として、本日付にて、国際事業を地域別事業運営体制とする機構変更を実施いたします。
 具体的には、医薬国際本部を発展的に解消し、各地域部(米州部、欧州部、アジア部)を米州本部、欧州部、アジア部へと、社長直轄組織として分離・独立します。また、医薬国際本部のスタッフ部門である国際業務室は事業戦略部に、国際プロダクトマネジメント部は製品戦略部に移管します。
 地域別事業運営体制とすることにより、経営トップと各地域事業が直結し、海外販売会社とのより迅速なコミュニケーションが可能となり、海外事業、特に米国事業の強化につながります。また、米国、欧州、アジア、それぞれの事業環境・規模・業績の違いを踏まえた地域独自の戦略立案機能・事業運営が強化され、地域別の事業責任がより明確化します。
 当社では、2004年度からの「Takeda Pharmaceutical Company のスタート」に向け、当社の最大の課題である「新製品の創出および開発の効率化・迅速化」と「米国事業の強化」に、タケダグループ総力を結集し、取り組んでまいります。

(ご参考)

<海外販売会社の管理体制について>

 (地域/販売会社)

・米州本部
  武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社(TPNA社)、
  TAPファーマシューティカル・プロダクツ株式会社(TAP社)

・欧州部
  ラボラトワール・タケダ株式会社(フランス)、英国武田株式会社(イギリス)、
  タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ株式会社(イタリア)、タケダ・ファルマ有限会社(ドイツ)、
  タケダ・ファルマ・オーストリア有限会社(オーストリア)、タケダ・ファルマ・スイス株式会社(スイス)

・アジア部
  天津武田薬品有限公司(中国)、台湾武田株式会社(台湾)、ボイエ武田株式会社(フィリピン)、
  タイ武田株式会社(タイ)、インドネシア武田株式会社(インドネシア)   


2003/07/29 武田薬品

米国持株会社への増資について

 当社は、本日、100%出資の米国持株会社である武田アメリカ・ホールディングス株式会社(Takeda America Holdings, Inc. “TAH”)に26億ドル(約3,000億円)の増資を実施いたしました。

 米国の医薬品市場は二ケタ成長が続いている世界最大の市場です。国際戦略製品を中心に米国市場における業績向上が当社成長を牽引しているなか、当社にとって同市場の戦略的重要性は一段と高まっています。今般、TAHに増資することにより、今後、
米国事業において資金需要が発生した場合の機動的な対応が可能となるとともに、米国に資金をシフトすることによる運用収益の向上効果も期待されます。

 今後とも、当社では「世界的製薬企業」としての基盤強化に向け、課題である「新製品の創出および開発の効率化・迅速化」と「米国事業の強化」に、タケダグループ総力を結集し、取り組んでまいります。

<増資の概要>
  1.増資額   26億ドル(約3,000億円)
  2.増資後資本金   2,827,256,716ドル
  3.増資実施日   2003年7月29日
  4.増資形態   全額現金出資
                    
<武田アメリカ・ホールディングス株式会社の概要>
  1.所在地   555 Madison Avenue, New York, NY, USA
  2.代表者   森本建次郎
  3.設立   2001年7月
  4.事業の内容   米国での医薬品事業における持株管理ならびに配当等を原資とした現金資産の運用・管理等
  5.決算期   12月31日

2003/08/01 麒麟麦酒/武田薬品工業

キリンビール、ヒト抗体技術を武田薬品に導出

 キリンビール株式会社(本社:東京都中央区、社長:荒蒔康一郎)と武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:長谷川閑史)は、このほど、ヒト抗体産生マウス技術についてライセンス契約を締結いたしました。

 この契約に基づき、武田薬品は、キリンビールのヒト抗体産生マウス技術を用いて、武田薬品の選んだ抗原に対し完全ヒト抗体を作製し、全世界で治療薬および診断薬の開発、製造、販売を行います。キリンビールは、武田薬品より開発の進捗および売上げに基づきマイルストーン、ロイヤルティを受け取ります。

 キリンビールは、独自に開発した巨大なヒト遺伝子を導入する技術を用いて、ヒト抗体産生マウスを完成させました。1999年に
米国メダレックス社と提携した後、KMマウス※1を開発し全世界で完全ヒト抗体技術を提供しています。キリンビールのヒト抗体技術を用いることにより、バラエティに富み、抗原に対し高い親和性※2を有する完全ヒト抗体を効率的に作製できます。既に米国コリクサ社、ジェンザイム社などとヒト抗体の開発に関する契約を締結しておりますが、キリンビールが日本の大手製薬企業と契約を締結したのは初めてです。
 また、キリンビールは、
米国ヘマテック社と提携してヒト抗体産生ウシの実用化を目指すなど最先端の取り組みを行っています。

 武田薬品は、ゲノム情報の活用などを通じて創薬ターゲットの探索力強化を図っており、多くの成果を収めつつあります。一方、近年の医薬品の研究開発には多くの専門領域からの技術の統合も必要となっており、研究開発課題を充実させるために、自社の研究開発能力を絶えず向上させるとともに、自社の創薬研究を補完すべく外部研究機関との提携を積極的に展開するなど、あらゆる可能性を追求しています。
 今回の提携により、キリンビールが有する優れたヒト抗体技術を活用し、当社が発見したターゲットタンパク質に対するヒト抗体の作製を開始し、抗体医薬の研究開発をスタートいたします。

  KMマウス:
      キリンビールとメダレックス社が共同で開発したマウスの名称。両社の頭文字をとっている。両社の技術を生かした世界最高レベルのヒト抗体産生マウス。
  抗原に対し結合する力。親和性が高い方が抗原に対し有効に結合することができる。

2000/1/11 麒麟麦酒

ヒト抗体産生マウスに関するメダレックス社との戦略的提携について
 〜世界最高レベルの技術で事業展開をめざす〜

 キリンビール株式会社(社長 佐藤安弘)は、米国メダレックス社(社長 ドナルド・ドレイクマン、本社 ニュージャージー州)とヒト抗体産生マウス事業について全世界で包括的な提携を結ぶことで基本合意しました。この提携に基づき、両社は、お互いが有するヒト抗体産生マウスに関する技術及び特許※1を共同で利用し、全世界でヒト抗体産生マウスに関する事業を展開する予定です。当社は、主としてアジア地域でヒト抗体産生マウス事業を行い、メダレックス社はその他の地域で事業を行います。

 ヒト抗体産生マウスとは、ヒト抗体遺伝子を導入したマウスのことで、これを用いた研究開発により様々なヒト抗体の作製が可能になります。21世紀の重要な医薬品の1分野になると考えられている抗体医薬にとって大きな役割を果たすと期待されています。
 当社では、全てのヒト抗体遺伝子を有するヒト染色体を独自の技術により導入したマウス(TCマウス※2)の開発に成功しており、このTCマウスを用いた完全なヒト抗体作製の応用研究を行ってきました。メダレックス社は、ヒト抗体産生マウスを用いた完全なヒト抗体開発について既に10社以上の会社と契約し、開発研究が進んでいます。今回の提携により、両社のヒト抗体作製技術及び特許を組み合わせることで世界最高レベルのヒト抗体技術を確立することになります。
 両社は、お互いが有する技術及び特許を自社内の抗体医薬開発に利用するとともに、全世界に幅広くヒト抗体作製技術を提供することになります。また、お互いが有する技術を組み合わせて、より進んだヒト抗体産生マウスを開発していきます。

 抗体医薬は、癌、移植免疫、感染症などの治療薬として期待され、全世界で研究、開発が盛んに行われています。既に、米国では8種類以上のモノクローナル抗体※3が承認され、医療現場で治療に用いられています。当社とメダレックス社が提供する技術により、より安全性の高いヒト抗体の研究、開発が進み、種々の疾患に対する新薬の開発が加速されることが期待されます。

  ヒト抗体産生マウスに関する技術及び特許:ヒト抗体産生マウスと、そのマウスを用いて完全なヒト抗体を作製する方法、及びその方法を用いて作製されたヒト抗体自身に関するノウハウと特許
  TCマウス:Transchromosomic−Miceの略で、染色体を導入したマウスのこと。キリンビールが開発したヒト抗体産生マウスは、全てのヒト抗体遺伝子を染色体断片として導入しており、TCマウスと呼んでいる。
  モノクローナル抗体:1種類の抗原だけを鑑別する抗体

参考資料
1.キリン社ヒト抗体産生マウスの概要
 抗体は、身体にウィルス・細菌や毒素などの異物が進入してきた時に、その異物と結合し不活性化して、生体を守る働きがある。免疫力低下などの治療には抗体を使う必要があるが、他の生物の抗体を繰り返し用いるのは安全上問題があり、当社は細胞融合と遺伝子組換えの両方の技術を使用して開発したヒト抗体産生マウス(TCマウス)を用いてのヒト抗体開発研究を行っている。
 当社のヒト抗体産生マウス(TCマウス)は、ヒト抗体の重鎖(長い鎖)、軽鎖(短い鎖)の全遺伝子を含むヒト染色体断片を有している。それまでの技術では、巨大なヒト抗体遺伝子のごく一部しかマウスで発現できなかったことから、フルセットのヒト抗体遺伝子群を有している当社のヒト抗体産生マウス(TCマウス)では、様々な抗原に対してバリエーションに富む種々のヒト抗体を作製することができる。
 当社では、97年に独自のヒト抗体産生マウス(TCマウス)で抗体の作製に成功し、ヒト抗体を作製する応用研究を行ってきていた。

2.メダレックス社の概要

メダレックス社(Medarex, Inc.)
代表者 ドナルド・ドレイクマン(Donald L. Drakeman)
本社 米国ニュージャージー州
          (1545 Route 22 East, Annandale, NJ 08801-0953, USA)
設立 1987年
売上高 約7億円(換算レート 1ドル=103円) $ 6.8 million (1998年)
従業員 89人
事業内容 抗体医薬の研究開発を行っているベンチャー企業。ヒト抗体技術の開発を進めるとともに、癌などの治療薬として抗体医薬の開発を進めている。

2001/3/6 麒麟麦酒

ヒト抗体産生ウシに関するヘマテック社との共同研究について

 キリンビール株式会社(社長 佐藤安弘)は、ヘマテック社(CEO ジェームズ・M・バートン、本社 米国コネチカット州)との
ヒト抗体産生ウシ開発のための共同研究の進捗に伴い、ヘマテック社に対してマイルストンを支払いました。本研究において、両社はヒト抗体産生ウシの作製に有用な独自の技術を各々提供し協力していきます。当社は、ヘマテック社に対して研究費、マイルストン、ロイヤルティーを支払うことで、ヒト抗体産生ウシをポリクローナル抗体※1の作製目的に独占的に使用する権利を有しています。

  ヒト抗体産生ウシとは、ヒト抗体遺伝子を導入したウシのことで、これを用いた研究開発により、様々なヒト抗体医薬の開発が可能になると期待されます。ヒト抗体産生マウスがモノクローナル抗体の開発に有用であるのに対して、ヒト抗体産生ウシはポリクローナル抗体の開発に有用であると期待されます。本共同研究において、当社は、全てのヒト抗体遺伝子を動物に導入する独自のヒト染色体導入技術を提供します。一方、ヘマテック社は核移植を用いて効率的にウシを作製する技術を提供します。本共同研究では、両社の技術を合わせることにより、ヒト抗体産生ウシの開発を目指します。

  当社は、独自のヒト染色体導入技術を用いてヒト抗体産生マウス(TCマウス※2)を作製し、ヒト抗体産生マウスに関して米国
メダレックス社との間で全世界を対象とした戦略的な提携を結んでいます。ヒト抗体産生ウシ研究の進捗により、ヒト抗体分野における当社のプラットフォーム技術の一層の充実を期待しています。ヒトポリクローナル抗体は、ウィルスや細菌による感染症の治療薬や自己免疫疾患の治療薬として期待されており、現在、医療現場では、血清由来のヒトポリクローナル抗体が用いられていますが、ヒト抗体産生ウシを用いることにより、より効果が強く安全性の高いヒトポリクローナル抗体が開発される可能性があります。その結果、種々の感染症に対する新薬の開発が加速されることが期待されます。
  当社では、ヒト抗体に関する技術の提供とヒト抗体医薬の開発を目指して、今後も研究開発を行っていきます。

1   ポリクローナル抗体:
      ポリクローナル抗体は、抗体の混合物であり複数の抗原に対し反応する。一方、モノクローナル抗体は、1種類の抗原に反応する。
2   TCマウス: Transchromo Mouseの略で、染色体断片を導入したマウスのこと。


ヘマテック社の概要

ヘマテック社(Hematech LLC)
代表者 ジェームズ・M・バートン(James M. Barton)
本社 米国コネチカット州ウェストポート
設立 1998年
売上高 2.4百万ドル(1998年)
事業内容 抗体の開発と生産に関するベンチャー企業。
トランスジェニックウシを作製する技術を持っている。

日本経済新聞 2003/10/20           発表

武田、国内生産拠点を統合 湘南閉鎖 光工場増強へ100億円
 薬価下げで効率化

 武田薬品工業は医薬品の国内生産を3工場から2工場に集約する。湘南工場(神奈川県藤沢市)を2005年度末にも閉鎖し、約100億円を投じて光工場(山口県光市)の設備を増強、生産移管する。外資系企業の攻勢や薬価(薬の公定価格)引き下げなど国内の収益環境が悪化するなか、外部委託を含め生産拠点を集約して生産効率の向上につなげる。

 臨床試験に使う治験薬などを生産し、研究部門も併設している大阪工場は当面、現状を維持する。
 光工場は武田最大の工場で、医療用、一般用医薬品のほか、農薬なども生産している。医薬品以外の受託生産分を順次縮小する。余剰となる敷地に今後100億円程度をかけて医療用医薬品の設備を導入、医薬原体(原料)から製剤までの一貫生産体制を強化する。
 湘南工場では主力製品の前立腺がん・子宮内膜症治療剤やビタミン剤など医療用医薬品の注射剤のほか、風邪薬など一般用医薬品を生産している。医療用医薬品は光工場に、一般用医薬品は製造子会社の武田ヘルスケア(京都府福知山市)に生産を移管し、従業員は原則として光工場に異動する。
 武田は糖尿病治療剤など主力製品の販売が好調で、2004年3月期は12期連続で営業利益が最高となる見通し。しかし医薬品業界では2年に一度ある薬価引き下げなどの影響で国内の収益環境が悪化しているうえ、欧米の医薬品大手も国内市揚で販売攻勢を強めている。今年4月の改正薬事法で今後生産の外部委託もしやすくなるため、子会社を含めた生産委託の動きも広がっている。
 武田は海外売上高比率が実質7割を超えており、海外での生産体制強化と合わせ、国内生産を集約し固定費負担を軽減する。


2003年10月21日 武田薬品

今後の医薬品生産体制について
   
http://www.takeda.co.jp/press/03102101j.htm

 当社は、「Takeda Pharmaceutical Company」への変革に向け、世界的製薬企業としての成長戦略を支える生産基盤を整備・強化するため、グローバルな生産体制と品質保証体制の構築を推進しております。これにより、一層のコスト低減を実現し、世界に向け高品質の医薬品を安定して供給することが可能となります。

 当社の医薬品生産体制については、消費地生産、高度技術製品の自社生産を原則として、国内生産体制のスリム化、海外生産体制の強化、製造委託の拡大を基本戦略として実行し、競争力ある低コストの実現を目指しております。

 現在、国内には光(山口県光市)、大阪(大阪市)、湘南(神奈川県藤沢市)の三工場がありますが、そのうち湘南工場については、2006年3月末で生産を終了し、国内の生産は、光工場と大阪工場に機能を集中いたします。湘南工場で現在生産している製品のうち、ヘルスケア製品については武田ヘルスケア株式会社(京都府福知山市)に、医療用医薬品については光工場に生産移管いたします。これにより、光工場は原薬から製剤製品まで生産を行うことになり、当社の最も重要な生産拠点となります。光工場への生産移管にあたっては、総額約150億円の設備投資を予定しております。

 海外生産の強化については、欧米向け製品の供給拠点として武田アイルランド(製剤工場)を1997年に設立いたしました。現在、カンデサルタン(ブロプレス)、ランソプラゾール(タケプロン)、ピオグリタゾン(アクトス)などを生産しておりますが、一層の増産および新製品生産のため設備増強を図っております。また、アイルランドには原薬製造のための新工場を2004年10月稼動に向け建設中であり、完成後は欧米向けの治験薬用原薬およびピオグリタゾン原薬等の生産を行う予定であります。

 国内生産体制の再構築、海外生産体制の整備を進めるとともに、改正薬事法の施行を踏まえ、高度な製造技術を必要とする製品を除き、原則製造委託を推進してまいります。現在の製造委託比率は、生産量ベースで50%程度となっておりますが、2005年度には、70%程度まで拡大させたいと考えております。 

 当社は、国内生産体制のスリム化、海外生産体制の強化、製造委託の拡大等、医薬品の生産体制を見直すことにより、生産の効率化を進め、一層のコスト低減によるメガファーマとのコスト競争力の確保を目指してまいります。


日本経済新聞 2003/12/10

糖尿病治療剤 武田、欧州で一貫生産 アイルランドに原薬工場

 武田薬品工業は主力製品である糖尿病治療剤「アクトス」の原薬(医薬品原料)から製剤までの一貫生産体制を欧州に構築する。8千万ユーロ(百億円強)を投じてアイルランドに新工場を建設、2004年10月に原薬生産を開始する。海外一貫生産で製造コストを削減するとともに、生産拠点の国際分散で災害時などの供給リスクを軽減する。
 ダブリン郊外に建設する新工場は敷地面積8万平方メートル。同社として初の海外原薬工場となる。「アクトス」の原薬生産のほか、臨床試験に使う治験薬6種類も生産する。
 武田は現在、すべての原薬を国内の光工場(山口県光市)で生産している。一方、「アクトス」など国際戦略製品の拡大を背景にグループの海外売上高比率(関連会社含む)は7割を超えており、生産地と消費地のかい離が目立っていた。このため湘南工場(神奈川県藤沢市)の閉鎖決定など国内生産拠点の再編を進めるとともに、欧州に原薬工場を新設、消費地である海外での一貫生産体制を整える。
 アイルランドでは1997年に製剤工場が稼働。「アクトス」をはじめ、消化性かいよう治療薬「タケプロン」、高血圧症治療薬「ブロプレス」の3製品の製剤を欧米向けに生産している。海外での需要拡大に対応し、製剤工場も約10億円を投じて錠剤ラインを増設中で、年内にも稼働する予定。製剤工場の人員は2006年に220人と現状より70人増やす計画だ。 「アクトス」は同社が国際戦略製品と位置付ける大型4製品のひとつ。2003年3月期の連結売上高は前の期に比べ29%増の1553億円。2004年3月期も前期比3割増を見込んでいる。


2003/12/25 武田薬品

米国での武田グローバル研究開発センター株式会社設立について
  
http://www.takeda.co.jp/press/03122501j.htm

 当社は、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ(TPNA)株式会社の100%子会社として、米国に武田グローバル研究開発センター株式会社を設立いたします。同社は、2004年1月から業務を開始し、従来のTPNA社研究開発部門と欧州研究開発センターを統括、管理します。

 武田グローバル研究開発センターは、世界最大市場の米国においては、新製品の上市を最優先として、臨床試験、承認申請および許可取得に関する業務を行い、また、米国TPNA社との連携により、米国における市販後臨床試験、既存製品の付加価値増大化施策についても検討、実行していきます。

 当社では、研究開発型の世界的製薬企業への道標として策定した01−05中期計画の遂行にあたり、開発部門においては研究開発パイプラインの充実・強化に取り組んでおります。昨年7月の日本開発センター、ならびに今回の武田グローバル研究開発センター株式会社の設立により、グローバル開発体制の強化と効率化をはかり、引き続き、持続的な成長を支える新製品の早期上市に努めてまいります。

 


日本経済新聞 2004/4/7

新薬開発 武田、米VBと共同研究
 バイオ技術で化合物改良 欧米企業に対抗


 武田薬品工業は新薬開発で米国のバイオベンチヤー、
アレイ・バイオファーマ(コロラド州)と共同研究を始めた。糖尿病や高血圧の治療薬向けに武田が発見した化合物をアレイ社の技術でより医薬品に適したものに改良する。共同研究で開発費を抑えながら新薬開発のスピードを上げ、巨額投資で新薬開発を急ぐ欧米メーカーに対抗する。
 3月末に契約し、今月から共同研究をスタートした。研究対象は武田が重点分野と位置づける糖尿病治療薬など生活習慣病領域。武田が発見した化合物を、アレイ社が体内での働きや吸収性などが高まるように改良し、医薬品としてより効果的な化合物に仕上げる。
 改良した化合物の特許権は武田に帰属する。武田はアレイ社の研究成果に対して成功報酬を支払う。また共同研究による化合物が製品になった場合は、売上高に応じて一定の金額をアレイ社に支給する。
 アレイ社は新薬候補の化合物の合成・改良などを受託するベンチャー企業。化合物の体内での吸収性や活性を高める技術に強みを持つ。
 医薬品開発では新たに発見した化合物が実際に製品になる確率が1万分の1以下で、化合物を改良する技術が重要な役割を担う。武田はヒトゲノム(人間の全遺伝情報)関連のデータベース利用など新薬の候補を探す研究の初期段階で海外の企業・研究機関と提携しているが、こうした化合物の合成・改良で海外企業と組むのは初めて。海外ベンチャーとの協業では、藤沢薬品工業が英社のたんばく質構造解析技術を活用するなど共同研究が活発になっている。
 武田の2003年度の研究開発費は1350億円。これに対し世界最大手の米ファイザーが約8千億円を投じるなど欧米メジヤーとの投資格差が拡大している。

 


Array Biopharma, Inc. (NASDAQ:ARRY)   http://www.arraybiopharma.com/

会社概要: アレイ・バイオファマ社は、メディシナルケミストリー、分子生物学、インフォマティクスを大きな柱とし、製薬パートナーの低分子化合物の開発を支援する企業です。 AMGEN の研究者が spin-out して創業した企業で、メディシナルケミストリー、分子生物学、インフォマティクスに通じた研究チームがパートナー企業のために創薬のあらゆる局面で力を発揮しています。 主な提供技術・サービスは下記の通りです。

構造生物学
HTS 対応のアッセイの作成
インフォマティクス(主にコンピュテーショナルケミストリー、サイエンティフイックコンピューティング)
リード化合物の合成 (多様なビルディングブロックを合成し、スカッフォルドに加えていく)
分析化学
リード化合物の最適化
薬剤代謝
合成プロセス化学

http://www.mitsuivp.com/cgi-bin/WebObjects/f1f2557f0f.woa/wa/read/f2b1c547f5/

 


日本経済新聞 2004/8/10

武田、多角化5事業撤退 1000人転籍、医薬に集中 共同出資を解消

 武田薬品工業は9日、三井化学や欧米企業などとそれぞれ共同展開している化成品、動物薬など5つの多角化事業から全面撤退することを決めた。保有する各共同出資会社の株式を2007年度までに売却。別の活性炭事業を含め、約千人の出向社員が転籍する。転籍者は武田本体の従業員の約13%に当たる。医薬品産業の国際競争を勝ち抜くには、医薬品事業に従来以上に経営資源を集中する必要があると判断、好業績下で異例の経営合理化に踏み切る。
 武田は2004年3月期まで12期連続で営業最高益を更新中。撤退する5事業はいずれも黒字とみられ、産業界では国際優良企業が好況、好業績下でも戦略的に事業を再構築する「攻めの合理化」が目立ってきた。
 武田は9日までに出向社員の転籍を労働組合に申し入れた。条件については今後詰める。撤退するのは農薬、ビタミン、食品を含めた5事業。合計売上高は約1500億円で、武田が得る株式の売却益は計500億円程度とみられる。武田の国内従業員(出向含む)は、現在の7500人から約6500人に減る。
 まず来年7月にも米医薬品メーカー、シェリング・プラウとの動物薬の合弁を解消、全持ち株を売却する。ウレタンなど化成品事業を手掛ける三井化学との共同出資会社は2006年4月をメドに出資を引き揚げる。
 キリンビールとの食品事業の統合会社、住友化学工業と共同出資する農薬事業会社、独化学大手BASFとのビタミン合弁についても、武田の保有株式を2007年度までにすべて売却する。
 転籍者には活性炭を手掛ける全額出資子会社に出向中の約100人が含まれる。活性炭事業は株式保有を続ける。武田は2000年度に多角化事業整理に着手。5事業を出資比率50%未満の共同出資会社に移管していた。

武田が撤退する5事業

事業 共同出資企業 武田の
出資比率
武田の
出向社員
動物薬 米シェリング・プラウ 40% 約30人
ビタミン 独BASF 34% 約30人
化成品 三井化学 49% 約450人
食品 キリンビール 49% 約200人
農薬 住友化学工業 40% 約250人

 

武田、攻めの合理化
 好業績下で5事業撤退 国際競争激化に備え

 武田薬品工業が好業績下で大胆な経営合理化に踏み出す。本業の医薬品への経営資源集中が狙いだが、背景には強い事業をより強くする努力を怠れば、たちまち国際競争に立ち遅れかねないグローバル企業のし烈な競争がある。
 武田が撤退する5事業はすべて利益が出ているが医薬品事業に比べ収益性が低かった。5事業からの撤退で武田の事業はほぼすべてが医薬品になる。武田は株式売却益を新薬開発や企業買収などに充てるとみられる。
 医薬業界は国際的に企業の合併・買収(M&A)が活発になっている。本業集中で企業価値を向上、株価を高めて外資からのM&Aに対抗する思惑も働いているようだ。
 産業界では業績が急回復した松下電器産業が今年度、3千人をメドに早期退職を追加募集する。前3月期に過去最高益を更新した日産自動車は国内販売強化に向け、現在160社ある販売会社を2005年度中に100社前後に絞り込む施策を進めている。
 04年12月期に5期連続で最高益を更新する見通しのキヤノンも、2006年までに世界に約6千社ある部品・資材の取引先を半減し、年1100億円のコストを圧縮する。デジタルカメラなど主力製品の世界的な価格競争に備えコスト削減を徹底する狙いだ。
 業績好調の業界上位企業が一段の競争力強化と下位企業のふるい落としを狙って、間断なく合理化を進める経営スタイルは、これまで米企業に多く見られた。日本でも今後、こうした「攻めの合理化」を進める動きが広がりそうだ。


日本経済新聞 2005/1/8

会社研究 世界へのハードル 武田薬品工業vsファイザー
 米でのシェア見劣り 販売体制の再構築課題に

 武田薬品工業にとって2005年は、世界最大手の医薬メーカー、米ファイザーを強く意識する年になりそうだ。
 医薬品は対象疾患ごとに市場が形成されている。武田とファイザーには同じ領域の主力薬はなく、これまで「直接対決」はなかった。しかし年後半、武田が6年ぶりの新薬として投入する誘眠剤に、ファイザーが新薬をぶつけ、初めて米国市場で直接シェアを争う。
 下馬評は割れている。武田の薬品は自然な睡眠を誘うタイプで安全性が高いという。しかし、株式市場では「決め手は営業力。規模の大きいファイザー有利は動かない」(メリルリンチ日本証券)との見方も多い。
 武田の新薬を売るのは直系の米子会社TPNA。販売の中核となる医薬情報提供者(MR)を増員中だが、現在の数は1250人。一方、ファイザーのMRは8倍の1万人に達する。
 武田とファイザーの差は規模の差に尽きる。2000年以降、米大手ワーナー・ランバート、ファルマシアの2社を巨額資金で買収したファイザーの連結売上高は、5兆2千億円(2003年度)と武田のおよそ5倍。買収前に3倍程度だった差はさらに広がった。
 原料調達などで規模のメリットを発揮し2004年1−9月の売上高原価率は14%強と武田の約半分。浮いた費用を研究開発費に回して新薬を生み出し、力の営業で売り込む体制を整えた。
 主な経営指標のなかで武田が勝るのは利益成長率だ。昨年度までの5年間の純利益の伸びは武田が3.1倍に対しファイザーは2.7倍。武田は販売額1千億−5千億円の4つの大型新薬の販売を強化するとともに、動物薬など不採算事業の売却、切り離しに注力。ファイザーとは対照的な戦略で利益を伸ばした。
 規模の差を広げたもうひとつの要因は米国市場での占有力。武田の販売先は4割近くが米国で今後の成長には米攻略は欠かせない。しかも、米国は医療費抑制策が浸透する日本や欧州と違い、先進国で唯一医薬品市場の拡大が見込める市場だ。こうした重要性にもかかわらず武田のシェアは2%台と、1割以上のシェアを確保するファイザーに大きく見劣りする。背景にはちぐはぐな対米戦略がある。

 「年度内に買収できる可能性はゼロ」ーー。長谷川閑史社長は昨年暮れ、あきらめ顔で語った。武田は数年前から米大手のアボットと折半出資の合弁販売会社TAPの株を買い取る交渉を続けているが価格面で「埋められない溝がある」(長谷川社長)。TAPの設立は米国で自力販売できなかった1985年。年1300億円の純利益を稼ぐが連結対象にならず、持ち分利益として半分しか計上できない。
 販売体制も統一されていない。武田の主力4薬品のうち、抗かいよう剤と抗がん剤はTAPが販売。一方、糖尿病治療薬は先の誘眠剤を売る予定のTPNAが担当。2社体制で効率も上がりにくい。もうひとつの主力の高血圧薬の米国での販売は英大手に委託しているが、この会社は同じ領域の薬品を持つために販売に消極的。売上高は市場の小さい国内以下だ。
 委託販売方式や米で自社販売できなかったころに設立した合弁が今も足を引っ張る。すべて直系子会社で販売した場合と比べると、1千億円の期間利益を失っているという見方も成り立つ。
 世界の製薬企業のすうせいは買収による規模拡大とともに、世界中の新薬候補を取り込むための連携や販売権売買にも重点が移り始めた。豊富な資金とともに強力な営業網がなければ、新薬候補を取り込むこともままならない。


2005年2月7日 武田薬品工業

武田薬品・米国バイオベンチャーSyrrx社の統合について
http://www.takeda.co.jp/press/05020701j.htm

 武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:長谷川閑史、以下「武田薬品」)とSyrrx, Inc.(本社:カリフォルニア州サンディエゴ、会長:Samuel D. Colella、以下「Syrrx社」)は、米国時間2月5日、武田薬品のSyrrx社買収に関する契約について合意しました。独占禁止法上の許可取得など所定の手続きは2005年3月中に完了すると見込んでおり、その後Syrrx社は武田薬品の100%子会社である武田アメリカ・ホールディングス株式会社の子会社となります。

 Syrrx社は1999年に設立されたバイオベンチャー企業で、リード化合物の創出とその最適化において最先端の技術とされるタンパク質の高速X線結晶構造解析技術※など、世界最高水準の技術を駆使した創薬を行い、将来性の高い優れた研究開発パイプラインを保有しています。創出した新薬候補化合物のうち、糖尿病領域の複数の化合物は臨床試験ステージにあります。

 武田薬品は、大阪研究所、筑波研究所を中心としたグローバル研究ネットワークの構築を目指し、国内外の研究機関や大学との連携を積極的に進めています。このたびSyrrx社が米国における重要な研究拠点として新たに加わることにより、開拓・探索・創薬にわたるプロセスの効率性を高めることが可能となり、質・量の両面における研究開発パイプラインの強化に寄与するものと考えています。

 Syrrx社の会長 Samuel D. Colella氏は、「4つの国際戦略製品を創出した高い研究開発力と世界市場で証明されている高いマーケティング力を持つ武田グループの一員となることを非常に嬉しく思います」と述べています。また、社長兼Chief Scientific Officer Stephen W. Kaldor氏は、「私たちは、Syrrx社創製の化合物が武田薬品のグローバルな開発体制のなかで着実にステージアップすることを期待するとともに、私たちの創薬技術を武田薬品の研究プロセスで生かし、研究開発パイプライン拡充に貢献したいと思っています」と述べています。

 武田薬品の代表取締役社長 長谷川閑史は、「研究開発型の世界的製薬企業を目指す当社にとって、新薬創出力の強化は急務であり、Syrrx社の買収はその一環として研究体制のグローバル化の第一歩です。Syrrx社の高い技術と武田薬品の自社研究プログラムが相互補完し合い、研究開発パイプラインの強化を目指す上で、大きなシナジー効果が得られるものと信じています。今後とも継続した新薬創出に努め、当社の経営理念『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に邁進してまいります」と述べています。

<ご参考>
蛋白質の高速X線結晶構造解析技術について
 従来の創薬研究では、ハイスループット・スクリーニングによって数十万のライブラリー化合物のなかから、創薬ターゲットであるタンパク質の鍵穴にフィットする化合物(鍵)の探索を行い、ヒット化合物を同定していました。しかし、このヒット化合物から候補化合物にする最適化研究においては、結合に関する正確な情報がないために膨大な研究時間を要していました。
 これに対し、最先端の技術と言われている高速X線結晶構造解析技術は、創薬ターゲットであるタンパク質の鍵穴構造ならびにヒットリード化合物の結合構造を速やかに明らかにする技術であるため、効率的な最適化研究が可能になると期待されています。

Syrrx社について
 Syrrx社は米国カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くバイオベンチャー企業で、癌、糖尿病を含む代謝性疾患および炎症性疾患領域を重点領域とした創薬研究を行っています。タンパク質の構造解析技術など世界最高水準の創薬技術を駆使し、ターゲットとなる化合物の構造情報を明らかにすることにより、新薬の創出に結びつけています。
 新しいタイプのU型糖尿病治療薬であるDPP‐IV阻害薬など糖尿病領域や癌領域において新薬候補化合物を創出しており、一部は既に他社との共同開発および提携に取り組んでいます。

社 名  Syrrx, Inc.
所 在 地  San Diego, California, U.S.A.
設 立  1999年
代 表 者  Chairman of the Board, Samuel D. Colella
従業員数  91名(2005年1月31日現在)

武田薬品について
 武田薬品は経営理念である『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に向け、研究開発から医療現場における情報活動まで一貫した体制のもと世界各地で事業を展開しています。現在、武田薬品は研究開発型の世界的製薬企業を目指し、01-05中期計画を遂行中です。研究開発については、重点疾患領域における自社研究開発の強化とともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図っています。

社 名  武田薬品工業株式会社
所 在 地  大阪市中央区
設 立  1925年
代 表 者  代表取締役社長 長谷川閑史
従業員数  14,593名(2004年9月30日現在)


2005年4月7日 武田薬品工業

ワイス株式会社株式の武田薬品から米国ワイスへの一部譲渡について
http://www.takeda.co.jp/press/05040701j.htm

 米国ワイス(本社:米国ニュージャージー州マディソン、会長・社長兼CEO:ロバート・エスナー、以下「米国ワイス」)と武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:長谷川閑史、以下「武田薬品」)は、武田薬品が保有するワイス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:ルネ・ブレンバーグ、以下「ワイス」)の株式40%のうちの10%について、武田薬品が米国ワイスに譲渡することで合意し、本日、譲渡を完了しました。
 今回の株式譲渡は、2003年5月に米国ワイスと武田薬品の間で成立した株式譲渡契約に基づき行なわれたものです。これにより、
米国ワイスのワイス株式会社への出資比率は70%となり、米国ワイスはワイス株式会社の経営権を取得しました。
 株式譲渡金額は明らかにできませんが、適正な市場価値に基づいて計算しました。また、武田薬品が保有するワイス株式会社の
株式30%についても、今後数年かけて段階的に米国ワイスに譲渡される予定です。なお、当分の間、武田薬品は出資比率に応じてワイス株式会社へ取締役を派遣します。また、今後とも武田薬品はワイス株式会社製品の一手販売を継続します。
 米国ワイスのロバート・エスナー会長・社長兼CEOは「米国ワイスと武田薬品との日本での提携関係は非常に有意義で協力的なものです。米国ワイスにとって、ワイス株式会社の経営権を取得することは世界第二位の医薬品市場である日本における当社の成長基盤を確立する好機であります」と述べています。      

米国ワイスについて
 米国ワイス(本社:ニュージャージー州マディソン、NYSE:WYE)は 医療用医薬品、消費者向けヘルスケア製品のそれぞれの分野で世界をリードしている研究主導型グローバル企業です。米国ワイスは、化学合成品、ワクチン、バイオテクノロジー、一般薬の開発、製造、マーケティングを通じて世界の人々の生活向上に貢献しています。現在、「ワイス・ファーマシューティカルズ」、「ワイス・コンシューマ・ヘルスケア」、「フォートダッジ・アニマルへルス」の三事業部門から成っています。

ワイス株式会社について
 ワイス株式会社は国内医薬品業界のリーディング・カンパニーをめざし、医薬品の開発、輸入、製造および販売を行っています。「Leading the Way to a Healthier World 〜健康の最先端を目指して〜」を企業理念に掲げ、人々の生活を向上させる医薬品とヘルスケア製品を世界中へもたらし、優れた価値提供を実現して参ります。ワイス株式会社は、1953年にアメリカン・サイアナミッド・カンパニー(ACC)と武田薬品工業の折半出資により「日本レダリー株式会社」が設立されスタートしました。ワイス株式会社は1953年設立の「日本レダリー株式会社」と1957年設立の「日本ワイ ス株式会社」の医薬品事業が統合し、1998年に「日本ワイスレダリー株式会社」として設立され、2003年12月に「ワイス株式会社」に社名を変更しました。現在、米国ワイス(70%)と武田薬品工業株式会社(30%)が株主となっています。全国に1,200名以上の従業員を擁し、東京本社、埼玉県志木市の生産拠点および研究施設、全国主要都市7ヵ所の営業拠点で事業展開しています。詳細はwww.wyeth.jpをご参照ください。

武田薬品工業株式会社について
 武田薬品は研究開発型の世界的製薬企業を目指し、経営理念である『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に向け、研究開発から医療現場における情報活動まで一貫した体制のもと世界各地で事業を展開しています。
 研究開発活動については、「生活習慣病」、「癌・泌尿器科疾患(婦人科領域を含む)」、「中枢神経疾患(骨・関節疾患を含む)」、「消化器疾患ライフサイクルマネジメント」の4領域を重点疾患領域と定め、経営資源を重点的に投下し、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図っています。詳細については、www.takeda.co.jpをご参照ください。


日本経済新聞 2005/4/9

武田、初の海外研究所 医薬開発 日米3拠点体制に


 武田薬品工業は米国に海外初の研究拠点を設けた。3月に買収した米バイオベンチャーを研究所と位置付け、X線によるたんぱく質分析など最先端の手法を使って、がん・糖尿病で新薬開発を進める。国内2つの研究所と組み合わせ日米三拠点で開発分業体制を整える。武田は業績好調だが杭潰瘍剤など主力薬品の売り上げが鈍化しているため、次世代の主力となる新薬の創出を急ぐ。
 武田は全額出資の米国持ち株会社が280億円を投じて買収した米
シリックス(カリフォルニア州)を「武田サンディエゴ」と改名、米国の開発拠点とした。研究員は約70人で、米医薬大手イーライリリー出身者が社長を務めるなど開発技術は高いという。これまで武田の海外拠点は臨床試験や販売だけで研究所はなかった。
 武田サンディエゴは薬が結合する体内のたんぱく質の構造などをX線で細かく分析する世界でも最先端の技術を用い、たんぱく質に最適結合する化合物を短期に探索する。国内で未解決の研究課題の一部も引き受け、人員の増強も検討する。
 同社の開発はこれまで、筑波研究所(茨城県つくば市)と大阪研究所(大阪市)の2拠点体制。筑波はヒトゲノム(人間の全遺伝情報)を活用し、疾患に関連する体内のたんぱく質の発見などを手掛ける。大阪は筑波などで発見したたんぱく質に結合させる化合物を選び、効能や安全性を確認しながら薬に仕上げている。
 新体制によって「3年後から日米でそれぞれ毎年1つずつ臨床試験に入る新薬を創出したい」(左右田隆取締役)としている。


2005/06/28 武田薬品工業/シェリング・プラウ

武田シェリング・プラウアニマルヘルス株式会社株式の武田薬品からシェリング・プラウへの譲渡について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=103906&lindID=4

 シェリング・プラウ株式会社(代表取締役社長:鳥居正男、以下「SPKK」)と武田薬品工業株式会社(代表取締役社長:長谷川閑史、以下「武田薬品」)は、本年6月末をもって武田薬品が保有する武田シェリング・プラウアニマルヘルス株式会社(代表取締役社長:レオポルド・ナニ、以下「TSA」)の全ての株式をシェリング・プラウ(以下「SP」)に譲渡することをお知らせいたします。

 2000年3月、シェリング・プラウコーポレーション(米国ニュージャージー州)の日本法人であるSPKKと武田薬品は、動物用医薬品事業の合弁会社(TSA)を設立し、両社のアニマルヘルス(動物用医薬品)事業をTSAに移管する営業譲渡契約を締結しました。今回の株式譲渡は、当初の合弁契約に基づき、武田薬品のアニマルヘルス事業の営業譲渡(同年6月)後5年経過時に、武田薬品が保有するTSA全株式(40%)をSPに譲渡するものです。

 TSAは発足後着実に日本市場におけるプレゼンスを確立しつつあり、現在、畜産分野の細菌性及び胸膜肺炎用注射剤、飼料添加剤「フロロコール」、LH放出ホルモン剤「コンセラール」、解熱・鎮痛・消炎剤「フォーベット」、水産分野のハマチ連鎖球菌・類結節症用飼料添加剤「アクアフェン」、ペット分野の食事療法食「スペシフィック」など多くの主力製品を販売しています。

 シェリング・プラウアニマルヘルスのラウル・コーハン社長は、「TSAは、発足以来、パートナーである特約店の卓越した販売力と、関係各方面の皆さんのご協力に支えられながら、新製品の承認申請や上市、販売体制の整備、製品供給体制の効率化を行ってきました。今後はSPの100%子会社、シェリング・プラウアニマルヘルス株式会社として、一層の発展・進化を信じています」と述べています。

 武田薬品の長谷川代表取締役社長は、「当社のアニマルヘルス事業がTSAに受け継がれ、成長してきたことを嬉しく思います。今後もシェリング・プラウアニマルヘルス株式会社が競争力を強化し、日本のアニマルヘルス事業分野におけるリーディングカンパニーとして、揺るぎない地位を築かれると信じています」とコメントしています。

 TSAのレオポルド・ナニ代表取締役社長は、「これまでに築いてきた販売ルートならびに信頼関係を堅持するとともに、今後も世界で高く評価されている高品質かつ革新的な製品を日本市場に紹介することにより、さらなる信頼を積み重ねていきます。日本における投資を一層強化し、今後4年間で約20品目の新製品上市を見込んでいます」と抱負を述べています。


日本経済新聞 2005/12/27

武田 食品事業、ハウスに売却 300億円 医薬に経営資源集中
 ハウス「健康分野」を拡大


 武田薬品工業は26日、飲料・食品事業をハウス食品に売却すると発表した。来年4月に同事業を両社が共同出資する新会社に移管したうえで、2007年10月にハウス食品が完全子会社にする。買収総額は約300億円の見通し。健康食品部門を拡大したいハウス食品と、経営資源を医薬部門に集中投下したい武田の思惑が一致した。
 同日、大阪市内で記者会見したハウス食品の小瀬ム社長は「武田のブランド力を取り込み拡販につなげる。研究開発でも相乗効果を出したい」と狙いを述べた。武田薬品の吉田豊次取締役は「これまで進めてきた医薬品事業への集中戦略の一環」と話した。
 武田がハウス食品に売却するのは全額出資子会社の武田食品工業の事業。ビタミン入り機能性飲料「C1000タケダ」を核に、サプリメント(栄養補助食品)など健康食品を中心に展開。05年3月期の売上高は375億円。
 来年4月に武田食品の全事業を「分社型新設分割」と呼ばれる方式で切り離し、同社全額出資の新会社に移管。その後、新会社の株式をハウス食品が66%、武田薬品が34%取得する。07年10月に武田薬品が保有する全株をハウス食品が追加取得する。来年1月中に新会社の社名や役員体制を固める。武田食品の社員約300人は全員新会社に移る。ハウス食品からも人材を派遣する。
 2002年には武田薬品は調味料などを製造する食品事業をキリンビールとの共同出資会社に移管した。07年3月にはキリンの完全子会社になる予定。武田薬品は07年をもって食品事業から完全撤退する。新薬開発などコストがかさむ医薬品分野に特化する。
 ハウス食品はここ数年「黒豆ココア」など健康食品分野を強化してきた。今回の事業買収により現在100億円程度の健康食品事業は500億円弱まで一気に拡大する。武田食品のビタミンに関する知見とハウス食品の加工食品の開発ノウハウを合わせて新商品の開発力を強化し、3年後をメドに同事業の売上高を600億円まで伸ばしたい考え。


2007年3月12日 武田薬品工業

武田薬品によるパラダイム・セラピューティック社の統合について

 当社は本日、英国のバイオベンチャーである
パラダイム・セラピューティック社(Paradigm Therapeutics 英国、ケンブリッジ、以下"パラダイム社")と、同社買収に関する契約について合意しました。関連手続きは数週間以内に完了する見込みであり、その後、パラダイム社は当社の100%子会社である武田ヨーロッパ・ホールディングス有限会社の子会社となります。なお、本買収契約にかかる経済条件は公表しておりません。

 1999年にケンブリッジ大学の研究者により設立されたパラダイム社は、遺伝子組み換え技術を基盤として、世界的レベルの創薬ターゲット同定・評価能力を有しています。同社は、疼痛、中枢神経系疾患、前立腺ガン・乳ガンなどのホルモン依存性疾患、糖尿病・高脂血症・肥満などの代謝性疾患を重点領域と位置付け、アンメット・ニーズを満たすため新規創薬ターゲットおよび化合物の創製に取り組んでいます。

 当社では、パラダイム社の持つ技術がゲノム研究由来の創薬ターゲット候補の選択、ヒトの病態を反映したモデル動物の確立、前臨床段階にある候補化合物の最適化、など様々な研究プロセスの加速化につながるものと考えています。 

 パラダイム社最高経営責任者Alastair Riddellは、「2005年に開始した中枢神経系疾患領域における共同研究を通じて、武田薬品と有意義な関係を構築してきたことが、今回の合意に結びついたものです。長期的視点に立ち、グローバルに事業を展開する武田グループの一員として、今後、創薬研究活動に携わっていくことを嬉しく思います」と述べています。

 当社代表取締役社長 長谷川閑史は、「最先端技術を持つパラダイム社の統合により、当社は日・米・欧、さらにパラダイム社が子会社を有するシンガポールに研究拠点を有することになります。
 このグローバルな研究基盤の整備と各拠点における世界トップレベルの生産性・効率性の追求を通じて、成長の源泉としての研究開発パイプライン強化、さらには当社が目指す真の世界的製薬企業の実現に邁進してまいります」と述べています。

注:パラダイム社および同社のシンガポール子会社はそれぞれ、「武田ケンブリッジ株式会社」、「武田シンガポール有限会社」と名称を変更いたします。


<パラダイム社について>
パラダイム社は、創薬研究に従事するバイオベンチャーで、英国ケンブリッジとシンガポールバイオポリスに拠点を有しています。2004年12月にAmedis社を買収、2006年6月にはOrtho McNeil社との共同研究も開始しています。


2008年02月04日  武田薬品

武田薬品と米国アムジェン社(Amgen Inc.)による臨床開発品目に関するライセンス契約
ならびにアムジェン株式会社の株式譲渡契約について

このたび、武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とAmgen Inc.(本社:米国カリフォルニア州サウザンドオークス、以下「アムジェン社」)は、重篤な病気と闘う日本の患者さんにアムジェン社で創られている革新的な医薬品を提供するため、アムジェン社が保有している癌、炎症、疼痛などの疾患領域における臨床開発品目に関するライセンス契約を締結しました。また、これに伴いアムジェン社の100%子会社であるアムジェン株式会社(本社:東京都千代田区、以下「アムジェンK.K.」)の株式譲渡契約を締結しました。

今回の株式譲渡契約に基づき、アムジェン社は、アムジェンK.K.の全株式を武田薬品に2008年3月末までに譲渡する予定です。本株式譲渡後、アムジェンK.K.は、武田薬品の100%子会社としてアムジェン社が武田薬品に導出した品目の主に開発業務を担当します。

nikkei

武田薬品工業は世界最大のバイオ医薬品メーカーである米アムジェンの日本法人を買収する。買収額は900億円強とみられ、武田のM&A(合併・買収)としては過去最大となる。武田は遺伝子組み換え技術などを活用して作るバイオ医薬品で出遅れ気味で、買収により攻勢をかける。製薬業界ではエーザイが米製薬会社を買収するなど成長分野であるバイオ医薬を巡るM&Aが広がっており、国内製薬最大手である武田の攻勢により再編がさらに加速しそうだ。

武田はアムジェン日本法人(東京・千代田)を買収すると同時に、米アムジェン本社が欧米で開発している13個の新薬候補物質を、日本で優先的に開発・生産・販売する権利を取得する。

今回のライセンス契約では、抗癌剤であるmotesanib diphosphate (アムジェン社開発コード:AMG706)、panitumumab (米国製品名:VectibixTM)を含む13の品目が契約対象となっています。なお、そのうち1品目については、今後、最終的に契約対象とするかどうかを決定することになっています。またmotesanib diphosphate以外は、抗体医薬などのバイオ医薬品です。

本ライセンス契約に基づき、武田薬品はmotesanib diphosphateに関する、日本での独占的開発・販売権および海外でのアムジェン社との共同開発・販売権を獲得します。本薬の開発にあたり、武田薬品はアムジェン社に契約一時金100百万米ドルを支払うとともに、日本における開発費用全額と海外における開発費の60%を負担します。また、最初と2番目の効能取得にかかる開発の進捗に応じ最大175百万米ドルのマイルストンならびに日本での販売額に応じたロイヤルティをアムジェン社に支払います。なお、海外販売から得られる利益については武田薬品とアムジェン社が等分します。

Motesanib diphosphate以外の品目については、武田薬品は、日本での独占的開発・販売権を獲得します。これらの品目の開発にあたり、武田薬品はアムジェン社に契約一時金200百万米ドルを支払うとともに、日本における開発費全額と、海外における開発費の一部を最大340百万米ドルまで負担します。また、開発の進捗に応じ最大362百万米ドルのマイルストンならびに販売額に応じたロイヤルティをアムジェン社に支払います。

なお、アムジェン社は契約対象の全ての品目について日本におけるコ・プロモーション権を有しています。

アムジェン社の会長兼社長兼最高経営責任者のKevin Sharerは、「今回の武田薬品との契約締結は、当社にとって今後10年間の成長を加速させるものであり、当社の開発パイプラインが、日本ならびに世界中の患者さんにとって革新的な治療薬となりうると高く評価されたものと考えています。優れた開発力とマーケティング力を備え、日本におけるリーディングカンパニーである武田薬品との提携を嬉しく思います」と、述べています。

武田薬品の代表取締役社長・長谷川閑史は、「今回のアムジェン社との契約締結ならびにアムジェンK.K.を武田グループに迎えられることを、大変嬉しく思います。アムジェン社から導入した品目は、当社の重点領域である癌、骨・関節疾患領域などにおける研究開発パイプラインの強化に資するものです。今後、アムジェン社との緊密な協力の下、一日も早く新規治療薬を患者さんおよび医療関係者の方々にお届けできるよう、開発に注力してまいります」と、述べています。

アムジェン社について

アムジェンは、革新的な医療用医薬品の探索、開発、および販売を行っています。1980 年創業のアムジェンは、今までにない全く新しい製品を開発、製造し、患者に届けるという新しい科学の可能性を最初に具現化したバイオテクノロジー領域におけるパイオニア企業のひとつです。アムジェンの治療薬は、従来の治療法を一変し、癌や腎疾患、関節リウマチをはじめとする重篤な病気と闘う何百万人もの患者の治療に貢献しています。幅広い領域で画期的な新薬の候補を有するアムジェンは、常に科学的な進歩を追求し、人々の生活を劇的に向上させるために努力を続けています。アムジェンの先駆的な研究と医薬品について、詳しくは、 www.amgen.com をご覧ください。

アムジェン株式会社について
会社名 アムジェン株式会社(Amgen K.K.)
設立 1992年3月26日
本社 東京都千代田区丸の内1-7-12 サピアタワー
従業員数 161名(2007年9月現在) [※]派遣・契約社員含む
資本金 47,500万円
株主 米国Amgen Inc. 100%
1980年にAMGen(Applied Molecular Genetics)として設立されたアムジェンでは、組み換えDNAと分子生物学の進歩を基に、新規の革新的な製品開発を開拓してきました。 また、10年以上前、アムジェンは、生物学的に導き出された最初の二つの製品、EPOGEN(R)(Epoetin Alfa )とNEUPOGEN(R)(Filgrastim)を市場に導入し、これらはバイオ産業の最初の超大作になりました。 これらの製品は慢性の腎臓病と癌の疾病領域における何十万人もの患者さんの"Quality of Life"の改善に貢献してきました。

EPOGEN:遺伝子工学のテクノロジーによって作られた蛋白質で、腎臓に障害のある患者に用いられ、赤血球の生産を刺激・制限することで、患者の貧血の比率を低下させる

NEUPOGEN:癌患者のための新薬。骨髄を刺激し、感染症に対する免疫機能を有する白血球細胞の増殖を促進する。

今日、アムジェンは、"Fortune 500" に名を連ね、その事業は世界中の患者さん、特に癌治療領域、貧血治療、リウマチ性関節炎、および他の自己免疫疾患、例えば乾癬性関節炎や強直性脊椎炎などの患者さんに奉仕するために拡大しています。 私たちは、バイオテクノロジーの企業家精神と革新に根づいた企業文化を支え続けています。

Feb. 4, 2008 Amgen

Amgen and Takeda Announce Exclusive Collaboration in Japan on up to 13 Amgen Clinical Candidates

Amgen to Receive $200 Million Upfront Payment, $702 Million in Multi-year Global R&D Expense Sharing and Success-based Milestones, and Double Digit Royalties on Japan Sales; Takeda Will Receive Exclusive Rights to Develop and Commercialize Select Molecules in Japan Deal

Includes Global Partnership for Motesanib Diphosphate, which Provides Amgen with an Additional $100 Million Upfront Payment, $175 Million in Success- based Milestones for First 2 Indications, Double Digit Royalties on Japan Sales, and 50/50 Profit Sharing Outside of Japan

Amgen and Takeda Pharmaceutical Company Limited today announced an agreement under which Takeda will develop and commercialize for the Japanese market up to 13 molecules from Amgen's pipeline, one of which is included as an option. This collaboration validates the significant value of Amgen's clinical stage pipeline and further ensures Japanese patients will have access to Amgen's innovative potential medicines for serious illnesses. The collaboration includes early to mid-stage clinical-stage candidates across a range of therapeutic areas, including oncology, inflammation, and pain.

The financial terms include an upfront cash payment to Amgen of $200 million. Takeda will also pay to Amgen up to $340 million in expected worldwide development costs for these molecules over the next several years, $362 million in success-based milestone payments, and double digit royalties on sales in Japan. Additionally, Takeda plans to acquire all the shares of Amgen's Japanese subsidiary, Amgen KK. We anticipate the share transaction to close in the first quarter.

In addition, Takeda will become Amgen's worldwide partner for motesanib diphosphate (AMG 706), and will pay Amgen $100 million upfront, $175 million in success-based milestones for the first two indications, and double digit royalties on sales in Japan. Takeda will also pay 60 percent of ongoing clinical development expenses outside Japan and share potential profits outside Japan 50/50.

"We are excited about the agreements with Amgen, and also to welcome Amgen KK into Takeda Group," said Takeda President Yasuchika Hasegawa. "The target indications of the molecules we licensed from Amgen, such as cancer and bone/joint diseases, are in our core therapeutic areas. We believe they will enhance our R&D pipeline and we are looking forward to offering novel treatment options to the patients with such diseases and to physicians as early as possible, through conducting development activities in close collaboration with Amgen."

"The development programs included in this collaboration represent the growth engine for Amgen in the next decade," said Amgen Chairman and CEO Kevin Sharer. "Takeda's confidence in these programs validates their potential to become innovative therapies for patients in Japan and worldwide. We value and respect Takeda's strong development and marketing capabilities and look forward to working with the leading pharmaceutical company in Japan."

The partnership includes Amgen's Vectibix(TM) (panitumumab), motesanib diphosphate and additional molecules in oncology, inflammation and neurology/pain. With the exception of oncology candidate motesanib diphosphate, all molecules included in the partnership are biologics. Amgen retains certain co-promotion rights in Japan on all programs.

Financial guidance previously provided on Jan. 24, 2008 by Amgen for 2008 adjusted earnings per share will remain unchanged by this transaction.

 


日本経済新聞 2009/3/19

武田、米合弁会社 完全子会社化へ
 米売上高 約
5割に 新薬投入、外資に対抗

 武田薬品工業と米製薬大手アボット・ラボラトリーズは、両社が折半出資する米合弁会社を武田が完全子会社化する方向で最終調整に入った。武田は今春にも新薬開発権や事業の譲渡と引き換えにアボットが持つ50
%の株式を取得。連結売上高の約5割を米国で稼ぎ出す体制を築き、米国市場で攻勢をかける。医療費抑制で日本市場が縮小する中、米ファイザーなど世界大手に対抗するための国内製薬業界のグローバル化が加速する。
 武田が完全子会社化するのは
TAPファーマシューティカル・プロダクツ(イリノイ州)TAP株50%分の時価は3千億一5千億円とみられる。武田は全株式を取得すると同時にTAPを会社分割し、売上高の2割を占める前立腺がん治療薬事業をアボットに譲渡。武田が持つ新薬候補化合物の一部の開発・販売権も譲渡し、現金の支払いを最小限にする方向で詰めている。
 抗潰瘍薬事業などが主方の
TAPを子会社化することで、武田の連結売上高は1兆7千億円となり、世界の製薬業界における売上高順位は17位から14位に高まる。TAPを子会社化した後、今秋までに全額出資の米国法人、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ(TPNA)と合併させる。営業人員は合計約4300人規模で、欧米大手に匹敵する営業網を築く。
 武田は今後、糖尿病治療薬や抗がん剤などの新薬を米国に投入。約28兆円と日本の約5倍の市場規模を持つ米国の事業基盤を強固にする。1兆円規模の手元資金を生かした
M&A(合併・買収)も進める。
 国内市揚が頭打ちになっている半面、米市揚は年率10
%程度で伸びており、新薬の臨床開発も進めやすい。エーザイは米企業を買収、アステラス製薬は研究機能を米国に移管するなど、国内製薬各社による対米戦略が加速している。

TAPファーマシューティカル・プロダクツ
 武田とアボットが1985年に折半出資で設立。
2006年度の売上高は約33億ドル、純利益9億5千万ドル。武田が開発した抗漬瘍薬と前立腺かん治療薬が主力。持ち分法適用対象で利益の5割が武田の連結業績に反映されている。


製薬グローバル化加速 
 国内市場低迷 生き残りへ自前拠点

 武田薬品工業による米合弁会社の完全子会社化で、日本の製薬大手のグローバル化は新たな段階に入る。これまで各社は主に国内勢同士の再編で開発力向上に取り組んできたが、国内市場は停滞が鮮明で、新薬の開発速度も米国に比べて遅い。世界規模の研究開発競争で生き残るには欧米での自前の拠点構築が不可欠。ほかの国内大手も海外戦略の強化を迫られることになる。
 武田は昨年以降、矢継ぎ早に海外製薬企業の買収を決めてきた。2007年には英バイオベンチャーを傘下に収め、今年2月には世界最大のバイオ医薬品メーカーである米アムジェンの日本法人も買収。「自力成長で足りない部分は外部資源を
取り込む」
(長谷川閑史社長)M&A(合併・買収)に1兆円規模の資金を用意し、さらなる買収に意欲を見せる。
 そんな武田にとって今回の
TAPファーマシューティカル・プロダクツの完全子会社化は、世界最大の市場である米国を本格的に攻めるうえで10年来の悲願だった。
 武田の2007年3月期の連結売上高は1兆3051億円。うち海外は49
%と、海外・国内がほぼ拮抗している。国内が主戦場の日本の製薬会社のなかで武田の海外事業比率は高いが、世界の大手と戦う上で海外拠点のテコ入れが急務となっていた。
 米医薬品市場は約30兆円と世界の5割近くを占め、年率1割程度で成長している。武田は
TAPの子会社化で米国の営業担当者を4千人強へ倍増。英グラクソ・スミスクラインなど1万人前後を抱える欧米大手に対抗する体制を整える。さらに新薬の承認手続きが速い米国で開発力を強化、新薬投入を加速させる。
 国内医薬品市場は年7兆円規模と世界の1割に満たず、政府の薬価
(薬の公定価格)引き下げなどで環境は厳しさを増す。05年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併してアステラス製薬が誕生するなど大型再編が続くが、生き残りは海外市場の攻略にかかっている。
 国内首位の武田も世界の売上高順位は17位。今回の
TAP子会社化でようやく14位に浮上するが、それでも世界最大手、米ファイザーには遠く及ばない。
 製薬業界では新薬を生む研究開発力と事業規模が競争力に直結する。日本の製薬会社による海外企業の買収例はまだ少ないが、武田を含め欧米企業との提携や買収を通じて有力な新薬候補物質や営業網を取り込む動きが活発になりそうだ。

製薬会社の世界ランキング
  
(2006年度売上高、lOO万ドル、ユート・プレーン調べ)
  メーカー 売上高
@ 米ファイザー  45,083
A 英グラクソ・スミスクライン  39,335
B 仏サノフィ・アベンテイス  37,461
C ノバルティス(スイス)  29,491
D ロシュ(スイス)  27,318
E 英アストラゼネカ  26,962
F 米ションソン・エンド・ションソン  23,267
G 米メルク  22,636
H 米ワイス  16,884
I 米イーライ・リリー  15,617
     
L 米アボット・ラボラトリーズ  13,271
  武田薬品工業(TAP子会社化後)  
M 米シェリング・プラウ  12,008
     
P 武田薬品工業   9,613
33 TAPファーマシューティカル・プロダクツ   3,363

 


2008年03月20日 武田薬品工業

米国事業再編に関するお知らせ

当社は、米国時間3月19日、100%子会社である武田アメリカ・ホールディングス株式会社(Takeda America Holdings, Inc.、米国ニューヨーク州、以下、「TAH社」)とAbbott Laboratories(米国イリノイ州、以下、「アボット社」)との合弁会社(両社50%出資)であるTAPファーマシューティカル・プロダクツ株式会社(TAP Pharmaceutical Products Inc.、米国イリノイ州、以下、「TAP社」)について、均等な価値で会社分割を実施することをアボット社と合意しました。

本会社分割により、TAP社はTAH社の100%子会社となります。その後、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社(Takeda Pharmaceuticals North America, Inc.、米国イリノイ州、以下、「TPNA社」)はTAP社と合併するとともに、同社が保有する開発にかかる機能を武田グローバル研究開発センター株式会社(Takeda Global Research & Development Center Inc.、米国イリノイ州、以下、「TGRD社」)に移管します。

1.米国事業再編の目的

1977年の合弁事業開始後、TAP社は前立腺癌・子宮内膜症治療剤ルプロン・デポ、消化性潰瘍治療剤プレバシドなどの米国における販売を通じて、当社の医療用医薬品事業の成長に大きく貢献してきました。
今回の米国事業再編を通じて、当社グループとしての米国における販売および開発機能を一本化することにより、事業運営の効率化ならびに市場ニーズや製品ラインの状況の変化にフレキシブルに対応可能な体制を整備します。また、販売およびコストの観点では、シナジーの実現が期待されます。

当社代表取締役社長 長谷川閑史は、「今回の会社分割は、当社とアボット社双方の今後の事業展開にとって同様に有益なものであり、アボット社と合意に至ったことを大変嬉しく思います。30年以上にわたり、TAP社の成長と最適な運営に多大な貢献をしていただいた合弁パートナーのアボット社、ならびにTAP社の歴史を支えてこられたすべての人々に感謝いたします。また、今回の米国事業再編により、開業医市場を中心とした当社の販売力と開発力がさらに強化されることになります。そして、世界最大の医薬品市場である米国におけるプレゼンスの向上により、当社のグローバルな成長がより確固たるものになることを期待しています」と述べています。

2.米国事業再編の概要および日程
2008年4月(予定)

TAP社にかかる会社分割を実施します。
本会社分割により、アボット社は前立腺癌・子宮内膜症治療剤「ルプロン・デポ」等に関する資産を獲得します。
一方、当社の100%子会社となるTAP社は販売中の消化性潰瘍治療剤「プレバシド」、承認申請中の同治療薬dexlansoprazole (TAK-390MR)、開発中の同治療薬ilaprazole (IY-81149)ならびに痛風・高尿酸血症治療薬Febuxostat (TMX-67)などの資産を保有し続けます。

また、TAP社の現在のPresidentであるAlan MacKenzie氏がTPNA社のCEOに就任します。

2008年7月(予定)

TPNA社はTAP社と合併するとともに、TAP社が保有していた開発機能をTGRD社に移管します。

なお、アボット社および当社にとって均等な価値での会社分割とするための調整については、本会社分割後、別途実施します。

3.当事会社の概要
(1)商号 TAP Pharmaceutical
Products Inc.
Takeda Pharmaceuticals
North America, Inc.
Takeda Global Research &
Development Center Inc.
(2)主要事業内容 医薬品の販売・開発 医薬品の販売 医薬品の開発
(3)設立年月 1985年5月 1998年5月 2004年1月
(4)本店所在地 675 North Field Drive
Lake Forest, IL 60045, U.S.A.
One Takeda Parkway
Deerfield, IL 60015, U.S.A.
One Takeda Parkway
Deerfield, IL 60015, U.S.A.
(5)代表者 Alan MacKenzie Mark Booth Dave Recker
(6)資本金 39.5百万US$ 1US$ 5百万US$
(7)決算期 12月31日 3月31日 3月31日
(8)直近年度
 の業績概要
2007年12月期 純利益
996百万US$
2007年3月期 売上高
2,617百万US$
-
4.当社の連結損益に与える影響

今回の米国事業再編が当社の今期の連結損益に与える影響はございません。


2008年04月10日 武田薬品工業

当社子会社による米国バイオ医薬品会社・Millennium Pharmaceuticals, Inc.株式の取得について
- 現金による友好的な株式公開買付けを実施 -

 米国時間4月10日、当社は、米国のバイオ医薬品会社であるMillennium Pharmaceuticals, Inc(本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下、「ミレニアム社」、NASDAQ上場)に対して、武田アメリカ・ホールディングス株式会社(Takeda America Holdings, Inc.、当社の完全子会社、本社:米国ニューヨーク州)の100%子会社であるMahogany Acquisition Corp.が現金による株式公開買付け(以下、「本公開買付け」)を実施することによりミレニアム社を買収することについて同社と合意しましたので、下記の通りお知らせします。

1.ミレニアム社株式取得の目的
 ミレニアム社は癌領域と炎症疾患領域を重点研究開発領域と位置付け、同領域において強力な研究開発パイプラインを有する、世界有数のバイオ医薬品会社です。ヒトゲノムにかかる豊富な知見、疾患メカニズムへの深い理解、包括的・統合的な科学技術プラットフォームの活用などを通じて、画期的な医薬品の研究開発に取り組んでいます。

 当社は、「世界的製薬企業の創生」に向けて策定した5ヵ年経営計画である「06−10中期計画」の基本方針の一つとして、自社研究開発における「新薬創出力の回復」を掲げ、「2015年度 自社医療用医薬品売上高2兆円」を見通せる研究開発パイプラインの構築に総力をあげて取り組んでいます。そのために、自社研究開発活動の強化を基本戦略に据えるとともに、これを補完する導入・アライアンス活動も積極的に展開しています。

 ミレニアム社が特に強みを有する癌領域は当社研究開発の重点疾患領域の一つです。近年、当社はアンメットニーズの高い同領域において、自社創製の初期段階パイプラインを充実させるとともに、以下のような導入・アライアンス活動を行ってまいりました。

1) 2008年2月、Amgen Inc.(本社:米国カリフォルニア州サウザンドオークス、以下「アムジェン社」)と抗癌剤であるmotesanib diphosphate、panitumumab (米国製品名:Vectibix?)を含む臨床開発品目にかかるライセンス契約ならびにアムジェン社の100%子会社であるアムジェン株式会社(本社:東京都千代田区、現在の武田バイオ開発センター株式会社)株式にかかるアムジェン社から当社への譲渡契約を締結。

2) 2008年3月、Cell Genesys Inc.(本社:米国カリフォルニア州南サンフランシスコ)と同社が創製したGVAX前立腺癌ワクチンについて、全世界を対象とした独占的開発・販売契約を締結。

 当社にとって、今回のミレニアム社の公開買付けはその一環として最大規模であり、将来の持続的成長を確固たるものにするため極めて重要な投資であると考えています。

 当社が真の世界的製薬企業へと飛躍するためには、現在の当社の強みである生活習慣病領域のさらなる充実に加え、今後高い成長が見込まれる癌領域においてリーディングカンパニーとしてのポジションを確立することが必要です。本公開買付けを通じたミレニアム社の子会社化は、この戦略展開に大きく資するものであり、本公開買付けが成立した場合には、ミレニアム社を「武田グループの癌領域における製品戦略機能を始めとする関連機能の中核」として位置付けます。当社は今後、同社買収による相補効果の最大化を図ることにより、さらなる自社パイプラインの充実と米国におけるプレゼンス強化に全力を傾注してまいります。

2.ミレニアム社株式取得の方法および日程
1)公開買付け実施者 Mahogany Acquisition Corp.

2)公開買付けの対象会社 Millennium Pharmaceuticals, Inc

3)買付けを行う株券等の種類 普通株式

4)買付け価格 1株あたり$25.0ドル
注)当社は、本買付け価格の設定においては、UBS Investment Bankからの助言を参考にしています。

5)買付けに要する資金 約88億ドル(予定)
注)ミレニアム社発行済株式総数(完全希薄化後ベース)にCの1株あたり買付け価格を乗じた金額を記載しています。

6)買付け期間
 最初の買付け期間は、本件にかかるミレニアム社との最終合意の日(米国時間2008年4月10日)から5営業日以内に開始され、開始後20営業日で終了します。
 なお、買付け条件が充足されない場合は、買付け期間の延長を実施する可能性がありますが、延長期間は2008年10月31日を越えることはありません。

7)下限応募株式数
 当社は、ミレニアム社発行済株式総数の50%超(完全希薄化後ベース)の応募があった場合に本買付けを行います。

3.本公開買付けによる当社保有のミレニアム社株式数の異動
 本公開買付け前保有株式割合 0%
 本公開買付け後保有株式割合 100%[※]
 [※]本公開買付けにより、ミレニアム社株式の100%を買い付けることができた場合

4.ミレニアム社の概要
1) 商号 Millennium Pharmaceuticals, Inc
2) 本店所在地 米国マサチューセッツ州ケンブリッジ
3) 代表者氏名 CEO Deborah Dunsire
4) 設立年月 1993年1月
5) 資本金 325千ドル(2007年12月31日現在)
6) 発行済株式総数 普通株式 324,850,168株(2008年2月22日現在)
7) 決算期 12月期
8) 主な事業内容
 ミレニアム社は、患者さんがよりカスタム化した医療を享受することができるよう、各個人に適合する医薬品、すなわちPersonalized Medicine(個人化医薬品)の提供を目指しています。
同社は、プロテアソーム阻害剤として新規性の高い抗がん剤である多発性骨髄腫治療剤「VELCADE」(同社とJohnson & Johnson Pharmaceutical Research & Development, LLCの共同開発)を2003年5月に発売しています。また、画期的な治療、予防医薬品の研究開発・販売のため、「遺伝子から患者へ」というコンセプトに基づく包括的・統合的な科学技術プラットフォームの産業化およびその活用を通じて、癌領域を中心に新薬の研究開発プロセスを加速させています。

9) 従業員数 約1,000名
10) 最近事業年度における業績の動向

(単位:千ドル) 2007年12月期 2006年12月期
 売上高       527,525   486,830
 営業利益     △ 23,847  △ 86,761
 当期純利益     14,909  △ 43,953
 総資産      2,736,500  2,751,812
 純資産      2,236,893  2,145,177


5.ミレニアム社または同社役員と当社の本公開買付けに関する合意の有無
 ミレニアム社は2008年3月25日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する旨を決議しています。

Millennium社概要

・1993年創立
・癌領域におけるリーディングカンパニー
  優れた研究開発力
  高い米国販売プレゼンス
  ブロックバスター候補の癌治療薬を持つ
・グルーバルなバイオ企業の中で、時価総額で上位10社にランクイン
・2007年12月期売上高:528百万ドル、純利益:14.9百万ドル
・癌領域および炎症疾患領域において有望なパイプラインを保有
・研究〜開発〜販売までに至る質の高いフルライン機能

2009年05月18日 武田薬品工業

当社子会社による米国バイオ医薬品会社IDM Pharma, Inc.株式の取得について
-現金による友好的な株式公開買付けを実施-

 当社は、本日、米国のバイオ医薬品企業であるIDM Pharma(本社:米国カリフォルニア州アーバイン、以下、「IDM社」、NASDAQ上場)に対して、武田アメリカ・ホールディングス株式会社 (Takeda America Holdings, Inc、当社の完全子会社、本社:米国ニューヨーク州)の100%子会社であるJade Subsidiary Corporationが現金による株式公開買付け(以下、「本公開買付け」)を実施することによりIDM社を買収することについて同社と合意しましたの で、下記の通りお知らせします。

1.IDM社株式取得の目的

 IDM社は、非転移性骨肉腫の新規治療剤MEPACT(一般名:mifamurtide)を 有しており、同剤は欧州にて販売承認を取得しています。MEPACTは、小児から若年成人患者さんを対象とし、腫瘍の外科的切除後に用いられる薬剤であ り、この20年間に承認された唯一の骨肉腫治療剤です。

 骨肉腫は非常に希に発症し、死に至ることのある疾患です。欧州では毎年、約1,200人の患者さんが新規に骨肉腫と診断されており、その多くが小児や若年成人であるという特徴を有しています。
MEPACTは、欧州委員会により、2009年3月に中央審査方式により承認され、欧州27カ国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーでも販売承認を取得しています。

 MEPACTは、当社の欧州における販売統括会社である武田ファーマシューティカルズ・ヨー ロッパ株式会社(英国ロンドン)が管轄する販売子会社より発売します。当社では、本製品が既に欧州で販売承認取得済みであることから、当社の収益向上に速 やかに貢献するとともに、欧州における癌領域への本格進出を加速するための重要な要素になるものと期待しています。

 なお、MEPACTの今後のグローバルでの開発方針については、当社の癌戦略と開発を担うミレニアム・ファーマシューティカルズ株式会社(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)が検討します。
 当社では、患者さんの治療への満足度が未だに高くない癌領域について、次世代の中核領域と位置付け、引き続きミレニアム社とともに積極的な取り組みを推進し、癌患者さんのQOL改善に貢献してまいります。

2.IDM 社株式取得の方法および日程

1)公開買付け実施者 Jade Subsidiary Corporation

2)公開買付けの対象会社 IDM Pharma, Inc

3)買付けを行なう株券等の種類 普通株式

4)買付け価格 1株あたり2.64ドル

5)買付けに要する資金 約75百万ドル(予定)
 注)IDM社発行済株式総数(完全希薄化後ベース)に4)の1株あたり買付け価格を乗じた金額を記載しています。

6)買付け期間 
 最初の買付け期間は、本件の公表日(米国時間2009年5月18日)から7営業日以内に開始され、開始後20営業日で終了します。
 なお、買付け条件が充足されない場合は、買付け期間の延長を実施する可能性がありますが、延長期間は2009年7月22日を越えることはありません。

7)下限応募株式数
 当社は、IDM社発行済株式総数の50%超(完全希薄化後ベース)の応募があった場合に本買付けを行ないます。

3.本公開買付けによる当社保有のIDM社株式数の異動

 本公開買付け前保有株式割合 0%
 本公開買付け後保有株式割合 100%
[※]

[※]本公開買付けにより、IDM社株式の100%を買付けることができた場合

4.IDM社の概要

1)商号 IDM Pharma, Inc.
2)本店所在地 米国カリフォルニア州アーバイン
3)代表者氏名 CEO Timothy P. Walbet
4)設立年月 1987年
5)資本金 253千米ドル
6)発行済株式総数 普通株式 25,278,599株(2009年5月6日現在)
7)決算期 12月
8)主な事業内容 IDM社は免疫システムの活性や免疫反応の誘引により、腫瘍の再発を抑制し癌細胞を破壊する革新的な癌治療薬の開発に取り組むバイオ医薬品企業です。
9)従業員数 15名
10)最近事業年度
 における業績
2008年度売上高   3.1百万ドル
 同  純利益 ▲ 18.6百万ドル

5.IDM社または同社役員と当社の本公開買付けに関する合意の有無要

IDM社は2009年5月開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する旨を決議しています。
なお、既にIDM社の発行済普通株式の約55%(完全希薄化後ベースの場合49%)にあたる株主が同意を示しています。

6.今後の見通し

本公開買付けが成立した場合、これに伴う当社連結利益(本ディールに伴う無形固定資産等の償却費負担前営業利益)への影響については、2011年度よりプラス効果をもたらすと見込んでいます。

MEPACTについて

1.MEPACTの臨床第3相試験について

MEPACTの臨床第3相試験は、骨肉腫を対象とした試験では過去最大規模のもので、約 800人の患者さんを対象に実施されました。本試験の結果、MEPACTを3〜4つの化学療法剤(cisplatin、doxorubicin、 methotrexate、ifosfamide有り・無し)と併用することで、死亡率が約30%低下し、6年間のフォローアップ期間後の生存率が78% であったことが示されました。なお、忍容性についても良好でした。

MEPACTは、欧州において希少疾病用医薬品に分類されており、販売承認取得から10年間の独占的販売権を有しています。

2.MEPACTの安全性情報について

MEPACTの安全性は、骨肉腫と診断された2歳から30歳の患者による試験で評価されてお り、共通的な副作用は、貧血、食欲不振、頭痛、めまい、頻脈、高血圧、低血圧、呼吸困難、多呼吸、咳、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、吐き気、多汗症、筋肉痛、 関節痛、背痛、四肢痛、発熱、悪寒、疲労、低体温、疼痛、不快感、無力症、胸痛でした。

なお、販売承認に伴い、全ての医療用医薬品と同様に、MEPACTの医薬品安全性監視(Pharmacovigilance)が実施されます。

MEPACTの使用推奨に関する詳細については、the European Public Assessment Report(EPAR)が発行しているthe Summary of Product Characteristics(SPC)に記載されています。

 


2011/5/12 日本経済新聞夕刊 

武田、1兆円でスイスのナイコメッド買収
 新興国開拓を強化 製薬世界10位に

 武田薬品工業はスイスの製薬大手
ナイコメッド(チューリヒ)を買収することで大筋合意した。約1兆円を投じて発行済み株式すべてを取得する。国内製薬会社による企業買収では過去最大で、日本企業全体でも上位3位に入る規模となる見通し。同社を傘下に収めることで武田薬品は世界の製薬10位に浮上する。ナイコメッドが強い新興国市場へ本格参入し、欧米の製薬大手を追撃する。
 近く正式契約し、発表する。ナイコメッドは呼吸器分野などの医療用医薬品や、他社の特許切れ成分でつくる後発医薬品が主力。2010年12月期の売上高は32億ユーロ(約3700億円)で、医療用医薬品の世界売上高ランキングでは30位前後。売上高の約4割をロシアや中南米、アジアなどの新興国から得ていることが特徴。
 ナイコメッドは複数の投資ファンドが株式を保有する非上場企業で、武田薬品は各ファンドから株式を取得することで大筋合意した。買収費用は手元資金に加えて金融機関から借り入れるほか、社債発行なども検討している。円高で買収額を数年前と比べて抑えられることもM&A(合併・買収)の決断を後押しした。
 武田薬品の11年3月期の売上高は1兆4193億円で、世界の製薬業界での順位は15位前後。医療用医薬品売上高の5割強を海外で得ているが、海外売上高の内訳では米欧が9割以上を占め、アジアなどの新興国は1割未満にとどまる。
 米国の調査会社IMSヘルスによれば、中国やインドなど新興国の09年の医薬品市場は約1300億ドル。世界最大の市場である米国(約3000億ドル)と比べれば半分以下だが、14年まで毎年14〜17%という急ピッチで拡大していく見通し。日米欧の医薬品市場は医療費抑制などの影響で成長が鈍化しており、新興国市場の開拓が世界の製薬会社の共通課題。自前での進出では時間がかかり、海外大手に後れを取ると武田薬品は判断し、ナイコメッド買収を決断した。
 ナイコメッド買収に約1兆円を投じるのは、新興国で営業基盤を確立することが主な狙いだ。武田薬品が過去最大規模の大型買収に動くことは、先進国での自前の事業拡大が主体だった日本企業の海外戦略が、M&Aを伴って新興国市場を開拓するという方向に舵を切ったことを示している。

日本企業による買収  

  買収対象 金額(億円) 時期
日本たばこ産業 ガラハー(英) 22,530 2007
ソフトバンク ボーダフォン日本法人 19,172 2006
日本たばこ産業 RJRナビスコ米国外事業 9,424 1999
武田薬品工業 ミレニアム 8,998 2008
第一三共 ランバクシー 4,994 2008

 

2011年5月13日 武田薬品

一部報道機関の記事について

 一部報道機関において、当社がスイスの製薬企業と買収交渉を行っているとの記事が掲載されましたが、当社が発表したものではなく、新聞報道にあるような合意に至ったという事実はありません。当社では、戦略的投資を通じて、常に、株主価値の向上と事業活動の強化のための機会を追求していますが、現在発表できることはありません。

Nycomed 

Nycomed is a privately owned, global mid-sized pharmaceutical company with headquarters in Zurich, Switzerland. The company employs 12,500 associates worldwide and has affiliates in more than 70 countries, bringing medicines that matter to patients worldwide.

Nycomed has a strong presence in Europe and in fast-growing markets such as Russia/CIS, Latin America, Asia and the Middle East. In the US and Japan its products are available through best-in-class partners.

The company has built a flexible business model around partnering to grow its R&D pipeline, its product portfolio, and extend its geographical reach.

In 2010, total net turnover reached ?3.2 billion, with an adjusted EBITDA of ?851 million. Nycomed ranks 28th among global pharmaceutical companies.

Nycomed offers a diversified product range focused on branded medicines in gastroenterology, respiratory and inflammatory diseases, pain, osteoporosis and tissue management. A range of OTC products completes the portfolio.

Research and Development is conducted at three sites in Europe and one in India. New products are sourced from our own internal Discovery organisation and in-licensed from external companies such as small biotechs. Establishing long-term partnerships is a cornerstone of Nycomed´s growth strategy.

Nycomed has 15 manufacturing sites: 5 centres of competence in Europe for global products as well as 10 production sites for regional products in fast-growing countries such as Brazil and Mexico. A major investment is being made in a new pharmaceutical plant in Russia, currently Nycomeds biggest single market.