コスモ石油 アスファルト流出事故

2011/7/2 経産省、東日本大震災の火災事故でコスモ石油に行政処分 

2011/8/6 コスモ石油千葉製油所火災爆発事故の原因

2012/8/30  エネルギー供給構造高度化法、進展  コスモ石油坂出製油所を閉鎖

 

毎日新聞 2012年09月15日 

コスモ石油:アスファルト流出問題 腐食の穴を長年放置 調査結果を公表 

 市原市五井海岸のコスモ石油千葉製油所で今年6月、タンクが破裂してアスファルト約440キロリットルが漏れ、一部が海上に流出した問題で、同社は14日、腐食で開いたタンク上部の穴から浸入した雨水がタンク内で沸騰し内圧が上昇したことが原因とする調査結果を公表した。同社は「二度とこのような重大事故を発生させない強い決意で安全操業を確立し、信頼回復を図りたい」としている。

 同社によると、同タンク(直径約12メートル、高さ約11メートル、容量1000キロリットル)は1967年に製造・設置され、10年ごとに検査することになっていたが、07年の調査を見送ったため、96年を最後に検査されていない状態が続いていた。しかし、昨年3月の東日本大震災で同製油所の石油タンクが爆発、炎上する事故があったため、同製油所はすべてのタンクの稼働を停止させ、安全検査を実施。今回のタンクは昨年10月に約15年ぶりに検査された。

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日本経済新聞

コスモ千葉製油所、再開時期見通せず

 コスモ石油は14日、千葉製油所(千葉県市原市)で6月に発生したアスファルト漏洩事故の原因と再発防止策を発表した。安全対策投資などを実施したうえで、千葉県など監督官庁に説明し、再開の準備を始める。同社は来年7月の坂出製油所(香川県坂出市)の閉鎖を決めたばかりだが、千葉の停止が長引けば、経営への影響が大きくなる。

 千葉製油所は東日本大震災で液化石油ガス(LPG)タンクの火災・爆発事故が起き、法令違反も発覚。今春に一時的に生産を再開したが、トラブルや今回の事故などで再び停止したままだ。停止1カ月あたりで同社の15億〜30億円のコスト押し上げ要因になる。

 事故調査委員会によると3年前に予定したタンク検査が実施されないなどの不備もあり、腐食個所から雨水が入った。このためタンクを加熱する際に雨水が沸騰、アスファルトを押し上げて漏れ出した。海への流出を防ぐ措置も不十分だった。

 コスモはタンク補修の期間短縮や、排水溝の密閉、側溝のシャッター設置などの対策をし、監督官庁の理解を得たいとしている。同日記者会見した松村秀登取締役は、「再開時期は見通せない」と述べた。


2012年9月14日 コスモ石油

「千葉製油所屋外タンクからのアスファルト漏洩事故調査委員会」の結果報告について

コスモ石油千葉製油所で発生しましたアスファルト漏洩事故(6月28日既報)につきましては、地域の皆様を始め、関係する多くの方々に、多大なご迷惑とご心配をおかけ致しましたことを心より深くお詫び申し上げます。

今般、第4回事故調査委員会(委員長:横浜国立大学 関根和喜特任教授)を9月13日に開催し、事故概要、事故原因及び再発防止策等を取り纏めましたのでご報告致します。

なお、今回の事故調査委員会では災害の発生からアスファルト海上流出までを検討範囲としており、その範囲内で原因究明および再発防止策を策定致しました。海上流出直後の拡散防止措置やその後の油回収作業については「海上流出油対応検証会」を設置し、検証内容を今後の回収方針に反映致します。
 

1.事故概要

発災したアスファルトタンク (505番タンク、以下「本タンク」という)の点検および腐食開孔部の補修を目的に、常温であったアスファルト(以下「本アスファルト」という(※))を6月14日から加温し、他のアスファルトタンクに移送する準備をしていました。6月28日7時18分頃、本タンク上部の屋根板と側板の溶接部が開口し、本アスファルトが漏洩しました。漏洩した本アスファルトの多くはアスファルトタンクの敷地内に留まりましたが、排水溝を通じて一部が海上に流出しました(7月6日既報)。


本アスファルトとは、製品アスファルトよりも密度が小さく、製品アスファルトを生産する際にブレンド材として使用するものです。

<密度(15℃)>
製品アスファルト : 1.02〜1.04[グラム/立方センチメートル]
当該タンクのアスファルト : 0.97[グラム/立方センチメートル]

2.事故原因

従業員等が事故発生の直前に本タンク上部から相当量の白い蒸気を目撃し、事故発生時に鈍い音を聞いています。これらの目撃証言、現場検証、再現実験結果、シミュレーション結果等から、「本タンク内に浸入した水の沸騰に伴い、本アスファルトが上部へ押し上げられて本タンクの内圧が上昇し、本タンク上部が開口した。」と事故状況を推定しました(8月30日既報)。

これらの事故状況より事故原因を究明した結果、以下の(1)〜(3)を抽出しました。
(1)本タンクの屋根板が外面腐食により相当期間開孔し、雨水が浸入する状態になっていたこと

検査計画の策定および確認の手順に不備があり、本タンク屋根板の検査が適切に実施されず、屋根板が腐食により開孔した。

(2)本タンク内部に水が浸入した状態で本アスファルトを常温から加温したこと

本タンク屋根板の腐食開孔部については、応急処置を行っていたため、「本タンク内に水が浸入していたとしても少量であり、加温中に蒸発する。」と判断した。

(3)本アスファルトの海上流出を防ぐ体制が不十分であったこと

アスファルトタンクの敷地に囲いを設置していたほか、本アスファルトが漏洩してもアスファルトタンクの敷地内に留まる量の在庫運用を計画していたが、計画実行の前段階である移送作業の準備中に今回のアスファルト漏洩事故が発生し、本アスファルトの一部が囲いを越えて近くの排水溝に流入したため、海上へ流出した。

また、アスファルトタンクの敷地内にある油水分離槽の入口弁が開状態であったため、本アスファルトの一部が排水溝に流入し、海上に流出した。

3.再発防止策

上記2.(1)〜(3)の事故原因を踏まえ、以下の再発防止策を策定するとともに、併せてアスファルトタンクの敷地内に人が立ち入っていた際に同様な事象が発生した場合を想定し、人身災害防止対策を検討しました。

2.(1)の再発防止策

本アスファルトを含むアスファルトタンク屋根板の寿命予測を厳格に実施し、補修基準に達する前に検査を実施する計画を策定するとともに、検査履歴を整備し、保全計画が遺漏なく管理されるよう、より具体的な「手順・要領・役割分担」を策定します。

2.(2)の再発防止策

本アスファルトを含むアスファルトタンク内に水がある状態で加温する危険性について、運転管理基準等に反映するとともに、関係者への周知および教育を徹底します。

また、今後常温まで冷却された本アスファルトを再加温する際には、水の沸点を超えない運用とし、他のタンクへ移送します。

2.(3)の再発防止策

関係者に油水分離槽等の設置目的および運用方法を周知徹底するほか、万が一、本アスファルトが漏洩してもアスファルトタンクの敷地内に留まる容量で在庫運用を実施します。また、アスファルトがアスファルトタンクの敷地外に漏洩しても、海上に流出させないよう以下の対策を実施します。

排水溝および側溝の密閉化
側溝へのシャッター設置
排水口へのオイルフェンスの常設化

(4)人身災害防止対策

今回のアスファルト漏洩事故では人身災害は発生しませんでしたが、アスファルトタンクの敷地内に人がいた際に同様な事象が発生した場合でも、速やかに避難できるように歩廊を増設します。

委員会の結果を受けた今後の取り組みについて

東日本大震災を契機に発生した2011年3月の液化石油ガス(LPG)タンク火災・爆発事故を受けて、「千葉製油所変革委員会」を社内に設置し『千葉製油所の真の安全文化の醸成』に焦点を当て、千葉製油所の変革に向けた
活動を開始しました。

当該変革委員会の中で抽出された「コミュニケーション不足に起因する組織間での情報共有不足」、「各種施策の策定時における現場関与の不足」等の課題に対して、現場が自主的に対応策および実行策を立案してまいりました。

今回のアスファルト漏洩事故の背景にある安全文化面の課題は、当該変革委員会で抽出した課題とほぼ同一と考えており、今後の活動においても職位(縦の組織)と部門間(横の組織)を網羅したグループを編成し、本質的な
議論を通じてコミュニケーションの改善を図り、業務に携わる実施者自らが課題を抽出して対応策や工程表を策定し、実行してまいります。

今回のアスファルト漏洩事故を受け、改めて全社員一人ひとりが二度とこのような重大事故を発生させない強い決意をもって、安全操業および安定供給体制を確立することで信頼回復を図ってまいります。


2012年6月28日 コスモ石油

海上へのアスファルト漏えいについて

本日発生した海上へのアスファルト漏洩につきまして、近隣住民の皆さま方をはじめ、多くの方々に多大なご心配・ご迷惑をおかけしておりますこと深くお詫び申し上げます。

現在、漏洩したアスファルトの回収と原因の究明に全力を挙げ取り組んでおりますが、現時点での状況につきまして、以下の通りご報告致します。

1.漏洩日時

2012年6月28日(木曜日)午前7時18分頃
現在、漏洩は停止しています

2.漏洩場所

コスモ石油千葉製油所(所在地:千葉県市原市五井海岸2) 505番アスファルトタンク(容量:1,000キロリットル)

3.タンクからの推定漏洩量

437キロリットル(15℃換算)
漏洩したアスファルトの一部が海上に流出しました。
海上への流出量の特定には至っておりません。

4.漏洩原因

調査中

5.対策

8時頃オイルフェンスを展張し、油の拡散を防止。
現在、アスファルトの回収を実施中。

6.負傷者

無し

7.入出荷状況

一部油種(アスファルト)を除き、通常通り出荷中。

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2012年7月6日

海上へのアスファルト一部漏洩について

6月28日に発生した海上へのアスファルト一部漏洩(6月28日既報)につきまして、関係する監督官庁のご指示・ご指導のもと、アスファルトの回収作業を継続しておりますが、現時点での状況につきまして、以下の通りご報告致します。

1. 海上への推定漏洩量
タンクから漏洩した437キロリットル(15℃換算)のアスファルトの大部分が海上に流出したという一部報道がありましたが、当社で推算した結果、海上への流出量は約72キロリットル(15℃換算)と推定致しました。

また、海上へ流出したアスファルトはオイルフェンス内に留まって回収を継続していますが、この内約2キロリットルがオイルフェンスの外に漏洩したと浮流油の状況から推定致しました。
 

2. 漏洩原因 調査中です。

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2012年8月30日

「千葉製油所屋外タンクからのアスファルト漏洩事故調査委員会」の経過報告について(続報)


コスモ石油千葉製油所で発生致しましたアスファルト漏洩事故につきましては、地域の皆様を始め、関係する多くの方々に、多大なご迷惑とご心配をおかけ致しました事を心より深くお詫び申し上げます。
今般、第3回事故調査委員会(委員長:横浜国立大学 関根和喜特任教授)を本日開催致しましたので、その検討内容および今後の方針について、以下の通りご報告致します。

1. 現時点での検討結果
これまでの調査により、事故発生の直前にアスファルトタンク上部の通気口から多量の水蒸気が目撃され、事故発生時には鈍い破裂音が確認されている事から、タンク内に混入した水の沸騰に伴い、アスファルトが上部へ押し上げられたことにより内圧が上昇し、タンク上部が開口したと推定致しました。


タンク内に水が混入した原因
タンクおよび付属配管等を調査した結果、屋根板および側板上部付近の保温材下において、外面腐食による開孔が確認され、そこより雨水がタンク内に混入したものと推定致しました。当該タンク内のアスファルトは製品アスファルトを生産する際のブレンド材として使用するものであり、水よりも密度が小さい為(*)、水が混入した時は、製品アスファルトと異なりアスファルト内に沈み込みます。
タンクは通常170℃を保持していますが、精製装置の稼働停止に伴い1年以上常温期間があった為、内部へ混入した雨水がアスファルト内に沈み込んだ状態であったと考えられます。

タンク上部が開口し、アスファルトが流出した原因
当該タンクの点検を目的として、常温状態であったアスファルトを加温して別タンクに移送する準備をしておりました。加温に伴い、アスファルト内に沈み込んでいた水が底部に滞留、その後沸騰し、水蒸気によりアスファルトが上部へ押し上げられ、タンク上部が開口し、水蒸気とともにアスファルトが流出したものと推定致しました。
当メカニズムについては、再現実験やシミュレーションにて確認しております(下記参照)。
尚、タンク内部での爆発やアスファルトの燃焼についても調査致しましたが、その痕跡は確認されませんでした。

アスファルトが海上へ流出した事について
アスファルトタンクの敷地には囲いを設置しておりましたが、一部のアスファルトが囲いを越え、近くの排水溝に入り、海上へ流出しました。

再発防止策について
アスファルトタンクの管理手順、および運用方法、海上流出を防止する為の施策について、引き続き委員会で検討してまいります。

2. 今後について
最終的な事故原因および再発防止策については、9月に開催を予定している第4回事故調査委員会で検証・総括し、「事故調査報告書(仮称)」として取りまとめる予定です。


<タンク開口までのメカニズム>

タンク開口までのメカニズム