20193月18日  窪田製薬ホールディングス

NASAディープスペースミッションに向け、小型OCT光干渉断層計開発受託契約締結

窪田製薬ホールディングスは、当社CEOの窪田良アメリカ航空宇宙NASAより有人火星探査を含むディープスペースミッションPrincipal Investigator研究代表に任命され100%子会社のAcucela Inc.Translational Research Institute for Space HealthTRISH小型OCT開発受託契約を締結したことをお知らせいたします。

Translational Research Institute for Space HealthTRISHは、NASAとの共同契約を通じた携により、NASAのディープスペースミッションにおける、宇宙飛行士の精神的、身体的健康保護、維持するための革新的な技術に資金供与を行うコンソーシアムです。

OCTOptical Coherence Tomographyは、光干渉断層計といい、生体に負担をかけず、光線を眼底に照射して網膜の断面画像を撮影する装置

これにより、当社は有人火星探査に携行可能な超小型眼科診断装置の開発今後NASAと共同で進めてまいります。

なお、この契約に基づき、開発に要する費用はTRISHを通じてNASAより全額助成されます。

今回の共同開発の背景には長期的な宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約63%視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群患っているという研究報告を契機に宇宙飛行中にリアルタイム網膜の状態を計測することへの需要の高まりが挙げられます。

現在、国際宇宙ステーション(ISSで使われている市販のOCTは、ポータブルではなく、また、耐放射線性ではないため、月や火星などへの宇宙飛行時に使用するには適さないとされています。また、神経眼症候群による解剖学的影響の診断や経過観察には必要のない機能が搭載されているなど、システムが複雑で機器自体も大型であることも課題となっています。

ロケットなどにも積みこめる超小型眼科診断装置があれば疾患の経過観察が可能になります当社が開発する小型OCTは、耐久性と耐放射線性を備え、ロケットに搭載するにあたっては、小型軽量であることを含め、宇宙飛行中の宇宙飛行士網膜の状態を撮影できる新たなOCT機器として、NASAで活用されることが期待されます。

OCTの製品イメージ

宇宙飛行に起因する神経眼症候群は、Spaceflight Associated Neuro-ocular SyndromeSANS言われ、主な症状に、視神経が部分的に腫れる「視神経乳頭浮腫」や、眼球の後ろが平たくなる眼球後部平坦化」、眼球後方で網膜の外側にある脈絡膜がしわしわになる「脈絡膜鄒壁、眼底に白いシミができる「綿花状白斑」や視点の焦点を合わせる屈折に異常が見られるなどがあります。

現在、SANSの検査で、網膜の断層を撮影する光干渉断層計Optical Coherence TomographyOCTが主に使われており、網膜の厚みや、網膜と視神経乳頭の断層画像を正確に計し、のテストと併用して神経眼症候群の診断や経過観察、治療に活用されています

慶應義塾大学医学部眼科学教室の客員教授あり、当社の代表執行役会長、社長兼最高経営責任者ある窪田良博士は、「NASAの宇宙医療の研究に研究責任者として参画できることは非常に光栄です。当社の技術を活用し、宇宙飛行中の宇宙飛行士の健康を守るために、耐久性の高い小型OCTの開発に全力で取り組んでまいります」と述べています。

 

窪田製薬ホールディングスについて

当社は、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。

100%子会社のAcucela Inc.米国が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでいます。

当社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」において糖尿病網膜症およびスターガルト病への適応を目指し研究を進めております。また、白内障や老視老眼の薬物治療を目的とした低分子化合物の研究開発、そして網膜色素変性における視機能再生を目指す遺伝子療法の開発を実施しております。

同時に、糖尿病黄斑浮腫、ウェット型加齢黄斑変性など血管新生を伴う疾患の治療を目指し、生物模倣技術を用いた低分子化合物の研究開発も進めております。在宅・遠隔医療分野(モバイルヘルス)では、PBOSなどクラウドを使った医療モニタリングデバイスの研究開発も手掛けております。

会長・社長/CEOの窪田 良博士が、2000年に渡米し、2001年に独自の細胞培養技術を発見する。2002年、「世界から失明を撲滅する」ことを目標にシアトルの自宅地下室でアキュセラ(Acucela Inc.)を設立。

2002年4月 変性眼疾患の治療法および医薬品のスクリーニング・システムの開発を目的として、米国ワシントン州シアトル市にAcugen Neuropeutics Inc.を設立
2003年3月 社名をAcucela Inc.に変更
2015年12月 東京都渋谷区に子会社アキュセラ・ジャパン株式会社(現窪田製薬ホールディングス株式会社)を設立
2016年12月 三角合併による日本への本社機能移転を実施し、窪田製薬ホールディングス株式会社が米国アキュセラ・インクを完全子会社とする
2016年12月 窪田製薬ホールディングス株式会社が東京証券取引所マザーズ市場に上場

 

 

Translational Research Institute for Space Healthについて

NASAの人間研究プログラム(Human Research Program:宇宙飛行士がミッションを遂行するにあたっての健康管理に関するプログラム)では、火星への飛行を含め、長期にわたる宇宙探査ミッションにおける人体への健康リスクを軽減する革新的なアプローチを研究開発する外部の組織との連携により行われています。これらのパートナシップの一つが、宇宙医学・宇宙での健康管理のための技術を研究開発するトランスレーショナルリサーチインスティチュート(The Translational Research Institute for Space Health TRISHで、Baylor College of Medicine(ヒューストン市)を中心とし、California Institute of Technology(パサデナ市)とMassachusetts Institute of Technology(ケンブリッジ市)が参画するコンソーシアムが組まれています。TRISHのミッションは、国家的努力として地球上の最先端の生物医学の研究と技術開発を、有人宇宙探査における宇宙飛行中の人体への健康リスクを軽減する戦略に応用することです。