三菱化学

2008年02月21日 日刊工業新聞

三菱化学、事故・停止中の鹿島第2プラントの定修を延期へ

三菱化学が、5月に予定する鹿島事業所(茨城県神栖市)第二エチレンプラントの定期修理を遅らせる方向で、茨城県と調整に入った。同プラントは昨年末の事故で停止中だが、消防などの許可が出れば3月にも一部運転を再開する見通し。ただ、定期修理が同社の他プラントと重なり、供給力不足の懸念が残る。このため、県に定修時期の変更を要請したとみられる。同県は「規則である8月31日までに完了できれば、安全上問題はない」とし、了承する構えだ。
 定修は通常1カ月程度かかり、その間はプラントを停止せざるを得ない。同社は同事業所にもう1基と、水島事業所(岡山県倉敷市)に1基のエチレンプラントを持つが、いずれも5―6月に定修を予定する。


茨城新聞 2008/3/13

三菱化学火災 県事故調報告書 再発防止策求める

安全管理統括部門を
 死者4人を出した三菱化学鹿島事業所(神栖市東和田)のプラント火災で、専門家でつくる県事故調査委員会(委員長・長谷川和俊千葉科学大教授)は12日、「危機管理ができておらず適切な安全管理がなされていなかった」などと指摘する最終報告書をまとめた。再発防止策として、下請け会社を含めた安全管理統括部門の新設や、リスク情報や避難経路を従業員らに周知することなどを求めた。県は14日、同社幹部を呼び、報告書に基づき再発防止を指導する。

 火災は昨年12月21日午前11時半ごろ、第二エチレンプラント分解炉で発生。下請け会社の従業員らが十階で、配管の仕切り板を交換中に弁が開き、冷却用油が漏出して発火した。
 これまでの調べでは、
弁は圧縮空気で動く仕組みで、つまみスイッチをオンにすると圧縮空気が送られ開放状態となる。弁が開になっても空気の流れを遮断する「元弁」を閉めていれば油の漏出を防げた。だが、元弁を閉める作業は同社の操作マニュアルに記載されていなかったことが分かっている。
 報告書は、油の漏出原因について@弁のハンドルを鎖で巻き固定する施錠がなかったA元弁が開いていたBスイッチがオンになった−と結論づけた。管理体制については「不安全を認識していなかった。必要と認識され、会合で決定されていた安全にかかわる操作をマニュアル化していなかった。個人の安全意識に頼り過ぎていた」と問題点を分析した。
 また、報告書は、人的被害拡大の理由をめぐっては「仕切り板入れ替え作業と断熱作業を同時並行で実施していた」「災害の緊急性を想定できず適切な避難誘導ができなかった」などの問題点を挙げた。ただ、着火原因については「電気火花、静電気火花、高温部接触のいずれかによる」と具体的な特定は避けた。
 再発防止策として、▽仕切り板の入れ替え作業が不要となる弁への変更▽弁の施錠▽スイッチの防護を行う▽緊急時の避難経路を周知する▽協力会社を含めた安全管理の統括部門を新設する−などを求めた。

【解説】
■求められる体質改善
「2004年に同様の事故を起こしている。この教訓が生かされていない。そういう体質がある。通常の化学工場では考えられないような、マニュアルに載せない体質があり、懸念している」。事故調の長谷川委員長は会見で、三菱化学の体質に不信感をあらわにした。さらに「再度事故を起こさないという保証は得られない。再発防止策の実施状況や発火源の探究の報告を定期的に求める」と半年ごとの報告を求めチェックしていく方針を示した。
 事故調は「警察と違い、個人の行動まで詳しく検証する立場もなく権限もない」として、事故原因の核心となる弁のスイッチがオンになった経緯については明らかにしなかった。一方、業務上過失致死容疑で捜査している鹿嶋署捜査本部は「仕切り板を吊り上げる鎖がスイッチに触れた可能性は高いが、断定はできない」と説明し、原因は定まっていない。
 三菱化学鹿島事業所は現在、監督官庁から自主保安検査の認定やボイラーの連続運転の認定を取り消されている。鹿島コンビナートの上流部分である同社の操業停止で、原材料の提供を受ける「川下」の企業の操業にも影響が広がった。
 ただ、プラントに出されていた使用停止命令の一部解除が認められ、月内にも操業再開となる見通し。しかし、周辺住民の間には、四人の命を奪った事故の記憶は依然生々しい。住民の不安解消には三菱化学の体質改善が欠かせない。


(2008年3月13日 読売新聞)

三菱化学火災防止策柱に報告書
事故調 管理体制の不備言及

 4人の死者を出した三菱化学鹿島事業所(神栖市)のプラント火災で、有識者らでつくる事故調査等委員会(委員長・長谷川和俊千葉科学大教授)は12日、神栖市内のホテルで3回目の会合を開き、再発防止策を柱とする報告書をほぼ完成させた。作業リストの不備など、同社の安全管理体制の問題点にも言及している。

 火災は昨年12月21日に第2エチレンプラントで発生。下請け会社の作業員らが配管の仕切り板を交換中に弁が開いて冷却油が漏出し、何らかの理由で発火した。報告書では、油が漏出したのは
弁が施錠されておらず、しかも弁に空気を送り込む元弁が開いたままだったことが原因で、この状態でスイッチがオンになったため、油が漏出したとし、弁の施錠がマニュアルで定められていたにもかかわらず、現場の作業員のリストに記載がなかったなどとしている。

 再発防止策は、事故調の調査で、
仕切り板をつり上げるための鎖が弁のスイッチに触れて、オンになったと結論づけたことを受け、〈1〉弁を仕切り板の交換が必要ないものに変更する〈2〉弁を施錠し、スイッチも隔離・防護する〈3〉作業員に作業の危険性を教示し、同じプラント内で複数の作業を同時に実施しない――などを盛り込んでいる。また、事業所に対し半年ごとに再発防止策の実施状況などの報告を求めるよう県に指示している。

 長谷川委員長は会合後の記者会見で、同事業所が2004年にも同様の事故を起こしていることに触れ、「教訓が生かされていない」と批判した。04年の火災も第2エチレンプラントで起きた。配管にたまった水を、弁を開いて抜き取る作業中に作業員が現場を離れてしまい、配管からナフサが漏出し、高温部に触れて発火した。けが人はなかった。


毎日新聞 2008年3月13日

神栖の三菱化学工場火災:県事故調査委、鹿島事業所の再発防止策を了承 /茨城

 ◇操業一部再開へ
 4人が焼死した三菱化学鹿島事業所の火災で、県の事故調査等委員会は12日、初歩的ミスが重なったと断定し、鹿島事業所が示した再発防止策を了承した。事故調は今後、一定期間は安全対策実施状況の報告を求める。鹿島事業所は月内にも、火災が起きたエチレンプラントの操業を一部再開する方針だ。

 委員長の長谷川和俊・千葉科学大教授らが神栖市内で開かれた会合後に会見した。火災原因は(1)弁が施錠されていなかった(2)弁を動かす「元弁」が開いていた(3)弁のスイッチがオンになった−−のミスが重なって弁が開き、冷却オイルが漏れて発火したと結論付けた。発火原因は電気、静電気、高温部接触のいずれかとした。

 鹿島事業所は、弁を別の型に取り換え、弁の施錠、元弁の閉止、弁スイッチの防護をする下請け会社に作業の危険性などの情報を提供する−−など4点の再発防止策を列挙。調査委は「事故を起こさない保証にならない」として、少なくとも1年間実施状況を検証することを決めた。

 鹿島事業所は「(事故調の指摘を)真摯(しんし)に受け止め、再発防止に取り組みたい」とコメントした。

 ◇安全管理、末端に届かず
 事故調の長谷川委員長は12日の会見で、「鹿島事業所の安全管理の体質に問題があった」と指摘した。今回の火災は作業の危険性の認識や、緊急時の避難方法などの安全管理が「末端」の作業員にまで行き渡っていなかったことで被害が拡大したといえる。

 巨大な化学プラントは、運営する企業の社員だけでなく、大勢の下請け会社の作業員が現場に参加している。火災で命を落とした4人は、いずれも鹿島事業所から配管のメンテナンス作業を受注した下請け会社の作業員だ。ある関係者は「下請けの作業員は、現場の安全が保証されている前提で与えられた作業に入る」と、鹿島事業所の安全に対する責任の重さを証言する。

 鹿島事業所は99年と04年にも、安全管理の不徹底が原因とみられる事故を起こしており、死傷者も出していた。またしても4人の死者を伴う大惨事を起こしたことに、長谷川委員長は「過去の事故が教訓として生かされていない」と指弾した。

 「同じ悲劇を繰り返さないために、現場の作業員への安全教育をしっかりしてほしい」。今回の事故で死亡した木村春男さん(当時45歳)の妻(43)の声は切実だ。新たに示した再発防止策を、今度こそ末端まで徹底させられるか。鹿島事業所に厳しい視線が注がれている。

2008年2月13日  読売新聞

事故調 弁開いた原因も特定

 4人の死者を出した昨年12月の三菱化学鹿島事業所(神栖市)のプラント火災で、有識者らでつくる事故調査等委員会(委員長・長谷川和俊千葉科学大教授)は12日、水戸市の県庁で2回目の会合を開き、油が着火した原因として、新たに「電気火花」の可能性を挙げた。また、委員会で弁が開いた原因を特定したとしながらも、長谷川委員長は記者会見で「県警の捜査が進んでおり、公にはできない」として、具体的な言及を避けた。

 同火災では、同社や下請け会社の社員5人が第2エチレンプラント10階で冷却油が流れる配管の仕切り板を交換中、突然、弁が開き、油が漏出した。着火原因について委員会はこれまで〈1〉熱面着火〈2〉静電気――の二つを挙げていた。長谷川委員長はこの日、「三菱化学の調査で、電動工具から発生する火花が着火源になった可能性もあることが分かった」と述べた。

 委員会の説明によると、弁などがある10階より下の階で、死亡した作業員らが工具を使ってパイプの断熱工事をしていた。同社のマニュアルはプラントへの工具の持ち込みを認めているが、委員会は同じプラント内で同時に作業を行っていた点に注目し、「連携を確認する」という再発防止策を提示。同社によると、別の階で同時に作業を行うことはマニュアルなどで制限されていない。長谷川委員長は会見で「いずれの着火原因もメカニズムがはっきりしており、再発防止策が立てられた」とも述べた。

 また、原因究明で焦点となっている、弁が開いた原因については「組織の問題と個人の問題が総合的に重なり合ったため」と述べるにとどまった。

 委員会は今後、再発防止策の実現度を計るため、項目ごとに数値目標を定め、一定期間後に検証することを決めた。同社は委員会に対し、「3月の早い時期に操業を再開させたい」との考えを示したとされるが、長谷川委員長は「委員会がコメントすることではない」と述べた。委員会は最終となる3月の会合までに報告書をまとめる予定。

 

2008年2月16日(土) 「しんぶん赤旗」

下請け増え労災増

製造現場 厚労相「法改正も」

塩川氏質問

 日本共産党の塩川鉄也議員は15日の衆院予算委員会で、大企業製造現場で、不十分な安全対策のもと働かされる下請け労働者の実態を告発し、「安全対策さえ後回しにする大企業を応援する政治は転換すべきだ」と政府に迫りました。

 製造現場で働く派遣・請負はこの十年間で103万人と二倍化。下請け労働者が労働災害にあう比率は、元請け業者の二倍以上に達します。

 塩川氏は昨年12月、下請け労働者四人が死亡した三菱化学鹿島事業所(茨城県)の火災事故をとりあげ、製造現場の下請け労働者の実態を明らかにしました。死亡したのは四次、五次下請けの社員です(図)。三菱化学は死亡した労働者の所属会社も把握しておらず、重層下請けの問題が浮き彫りになりました。

 塩川氏は、その作業現場には、本来、安全指示書などを作成する責任のある元請けや一次下請けの社員がいなかったことを指摘。「製造業でも、建設業と同様に元請け責任を明確化した安全対策を」と、労働安全衛生法改正を求めました。

 舛添要一厚労相は「しかるべき法改正も検討する」と答えました。

 塩川氏は、保安規制を緩和してきた政府の姿勢をただすとともに、三菱化学が五年間で従業員数の半分=五千人余をリストラしたことを指摘。「大量の人減らしで、まともな安全対策の継承ができるのか」と迫りました。

 しかし甘利明経産相は「国際競争が激化するなか、選択と集中をして生産性をあげなければならない」などと擁護。塩川氏は、政府が同社に産業再生法を適用して約三億円もの減税をしてきたことを示し、「リストラ応援を続ける政治では、まともな安全対策は取れない」と批判しました。


---------------

三菱化学が2008年1月9日に出した追加報告に、過去の事故の記録がある。
http://www.meti.go.jp/press/20080109001/M.pdf

 

状況 1999/1 第一エチレン 死亡1 負傷6

 熱交換器の配管を修理するため、保温材を剥がしていたところ、配管が破裂、水蒸気が噴出し、作業員が被災した。
 

原因 工事に係わる安全措置確認の不足により、本来閉止すべき弁の閉止操作が行なわれず、低圧系配管に超高圧蒸気の圧力が加わったため、エロージョンで減肉していた部位が破裂した。  

対策
・運転指示、作業指示に係わる管理の徹底
・作業発生時の「作業安全確認書」使用の徹底(義務付け)
・「バルブ等施錠管理」の制定
 

 


 

平成19年12月6日 三菱ガス化学

天然ガス生産基地における爆発事故について

本日、三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:酒井和夫)の新潟工場(新潟県新潟市)に天然ガスを供給する東新潟油ガス田の自社天然ガス生産基地において、爆発事故が発生いたしました。
現時点で事故の詳細は判明しておりませんが、1名の方が亡くなられております。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、関係各位に深くお詫び申し上げます。
当社といたしましては、警察、消防および産業保安監督部等の捜査に協力し、安全の確保に万全を尽してまいります。

(事故の概要)
12月6日(木)午前、東新潟油ガス田の自社天然ガス生産基地において、採取した天然ガスから分離した水を貯蔵するタンクで作業をしていたところ、何らかの理由によりタンクが爆発した。


2009.1.21

三菱ガス化学のタンク爆発事故 現場監督を書類送検 新潟

 平成19年12月、三菱ガス化学新潟工場(新潟市北区)でタンクが爆発し作業員1人が死亡した事故で、県警捜査1課と新潟北署は20日、業務上過失致死の疑いで、現場監督だった同社の男性社員(30)を新潟地検に書類送致した。

  調べでは、男性社員は19年12月6日、天然ガス掘削時に出る廃水をためるタンクの配管増設工事を監督。廃水にはガスが含まれているため、工事前にタンク への廃水流入を遮断し、ガス検知器で安全を確認する義務があったが、これを怠った疑い。このため、溶接でタンクが過熱し、ガスに引火して爆発、作業中の皆 川要作さん=当時(64)=が吹き飛ばされて死亡した。男性社員は容疑を認めている。

2009/1/20 三菱ガス化学

 弊社は、本事故発生直後に社内の事故調査委員会を発足させ、関係諸機関からの指導を受けながら、事故の直接原因と背後要因の解明ならびに再発防止対策の検討を行いました。この結果、直接原因としては工事着手前の安全化措置と安全確認が確実に行われなかったこと、間接原因としては東新潟鉱山における保安管理体制が適切に機能していなかったこと、保安規程や安全要則などの社則が遵守されなかったこと、保安教育が充分でなかったことなどが挙げられました。
 再発防止対策といたしましては、東新潟鉱山保安管理体制の抜本的改善と強化、関係諸規程の改定、本事故を含め周辺設備のリスクアセスメントなどの諸対策を実施しました。社員ならびに協力会社に対する保安教育に関しては、とりわけその強化を図り実施してきておりますが、今後も教育内容のレベルアップを図りながら継続的に進めていきます。また、法規や社則の遵守をより徹底させると共に、潜在リスクへの洞察力や安全への感性を高めるための全社活動も展開しており、会社全体で安全文化の醸成に向けた努力を継続して参ります。

-----------

平成19年12月14日 三菱ガス化学

消防法に基づく警告書の受領について

今般、弊社新潟工場(新潟県新潟市)の天然ガス生産基地において発生した 爆発事故に関連して、新潟市消防長より工場全体の安全管理の見直しと改善計画書の提出を求める警告書を受領いたしました。
弊社といたしましては、このような事態に至ったことを厳粛に受け止め、改めて関係各位に深くお詫び申し上げます。また、今後このような事故が発生しないよう、工場の安全操業に万全を尽くしてまいります。

新潟日報2007年12月13日

爆発事故で市消防局が警告

 新潟市北区の三菱ガス化学新潟工場の天然ガス基地でタンクが爆発し作業員1人が死亡した事故を受け、同市消防局は13日、同社に工場全体の安全管理の見直しと改善計画書の提出を求める警告書を交付すると発表した。渡辺俊英消防局長が14日、同工場の山根祥弘工場長に手渡す。1月末をめどに改善計画書の提出を求める。

 事故を起こした施設だけでなく工場全体を警告対象とするのは、同局予防課でも「過去に記憶がない」という。

 同課では「天然ガスが原因とみられる爆発事故で死者が出た。事業者として工場全体の安全体制を見直してもらう必要がある」と話している。



2009/7/31 三菱ガス化学

天然ガス生産基地の爆発事故に関する起訴について

 この度、新潟地方検察庁より、平成19 年12 月6 日に発生した弊社天然ガス生産基地における爆発事故に関し、新潟工場の社員一名が業務上過失致死により起訴されました。
 本事故において亡くなられた被害者の方のご冥福を衷心よりお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様に対して、心からのお詫びとお悔やみを申し上げます。
 また、近隣住民の皆様をはじめ、行政、監督官庁ほか多くの関係者の皆様に、多大なるご迷惑をおかけいたしましたことにつき、改めてお詫び申し上げます。
 今回の措置を厳粛に受け止め、全社を挙げて本事故の教訓を深く心に刻むとともに、今後の企業活動の中に風化させること無く伝承し、二度と同じ過ちを犯さないよう、全力を挙げて安全の確保と信頼の回復に努めてまいります。

2009/8/4 毎日新聞

三菱ガス化学爆発事故:当時の現場監督、業過致死罪起訴 /新潟

 新潟市北区の三菱ガス化学新潟工場の天然ガス採掘場で07年12月、地下水タンクが爆発し男性作業員が死亡した事故で、新潟地検は3日までに、新潟北署などが書類送検していた事故当時、現場監督をしていた男性社員(31)を業務上過失致死の罪で起訴した。

 起訴状などによると、男性社員は07年12月6日、可燃性ガスを含んだ水がタンク内に流入するのを遮断せず、ガス検知器での安全確認を怠ったま ま、男性作業員(当時64歳)に溶接作業を行わせたため、溶接の熱がガスに引火して爆発。作業員を外傷性ショックで死亡させたとしている。同社は「全力を 挙げて安全確保と信頼回復に努めたい」とコメントした。

 関東東北産業保安監督部も同社と男性社員を鉱山保安法違反で書類送検していたが、新潟地検は起訴猶予とした。


sankei 2007.12.26

三菱ガス化学工場爆発 かけ声倒れの安全確認

団塊退職、保安技術継承されず
 度重なる事故にもかかわらず、基本的な安全確認を怠っていた。今月6日、新潟市北区太夫浜(たゆうはま)の三菱ガス化学新潟工場の天然ガス採掘基地で作業員1人が亡くなった爆発事故で、会社側は安全確認が不十分だったことを認めた。新潟県は全国有数の化学工場を抱え、3月には上越市の信越化学工業直江津工場でも17人が重軽傷を負う爆発事故があったばかりだ。なぜ、安全意識は高まらないのか。

 「ドーンと下から突き上げるような音がして、家の障子戸がガタンと上下した」。事故現場近くに住む主婦の小山内マチ子さん(48)は、爆発の衝撃を生々しく振り返る。

 新潟県は全国の生産量の約65%を占める天然ガスの宝庫。事故は、新潟市北区の東新潟油ガス田で採掘された天然ガスから、水や油を分離する装置の末端にある貯水タンク(直径2・5メートル、高さ3メートル)で起きた。午前10時半すぎ、タンクの天板上で、配管を取り付ける溶接工事をしていた建設業「新潟ボンド工業」社員の皆川要作さん(64)=新潟市西区立仏=が天板ごと吹き飛ばされ、肺挫傷などで死亡した。約 140キロの天板が30メートルも飛ばされるほどのすさまじさだった。

 現場には、三菱ガス化学新潟工場の社員2人が立ち会い、元請け会社の1人と、下請け会社の皆川さんら2人がいた。本来は立ち会うべき工場の課長級社員はいなかった。



 天然ガスは大気中濃度が5〜15%になると、爆発の危険性が生じる。同社の内部規定では、タンクを修理する際は、タンク内のガス濃度を1%以下にしなければならない。6日の記者会見で、事故原因について山根祥弘工場長は「上流側の装置は前日に止め、工事前にはタンク内の水を抜いて換気し、ガスを検知したはず。それが工事をする際の基本」と説明した。

 だが、実際にはその「基本」が守られていなかった。会社側はその後の調査で、上流側の装置が稼働しており、装置を止めたのは爆発事故の後だったことを認めた。

 新潟工場は
平成17年9月と18年3月、有毒ガス発生などの事故が相次いでいる。17年8月は、敷地内の子会社「日本ヒドラジン工業(現日本ファインケム)」新潟工場で爆発が起き、重軽傷者3人を出した。山根工場長は「工場一丸となって安全推進を徹底してきた中での事故だけに、重く受け止めている」と謝罪したが、今回の事故を見れば、それがかけ声倒れだったとしか思えない。

 県内では今年3月、信越化学直江津工場で17人が重軽傷を負う爆発事故が発生した。これを受けて県は11月、14の化学工場と学識経験者、消防を集めて事故事例研究会を開催。事業者に来年1月中旬までに、自主点検結果の報告書提出を求めていた矢先だった。

 県内の化学工場で事故が相次ぐ理由について、県消防課の川村鉱次課長補佐は「高度成長期にできたプラントが劣化時期を迎えているのに加え、団塊世代の大量退職で、保安技術が継承されていない」とみている。

 昭和48年、信越化学直江津工場で1人死亡、23人負傷の大爆発が起きて以来、県は独自に保守点検を実施してきたが、財政難などを理由に平成11年度からは取りやめた。長年、県の保守点検指導員を務めた新潟大工学部の堀田憲康准教授(生産化学工学)は今回の事故について「初歩的なミスをまた繰り返している。技術に絶対安全はありえない。行政も目を光らせるべきだ」と断じる。



 皆川さんは新潟市内の天然ガス関連会社を42年間勤め上げ、定年後は請われて新潟ボンド工業に再就職した。息子は「まじめな仕事人間で、孫もかわいがる立派なおやじだった。なんでこんなことに…。今はつらいだけ」と声を震わせる。事故現場を見てきたという兄は「会社からは詳しい説明がなく、怒りの矛先をどこに向ければいいのか」とやるせない表情で語った。


 県警は工場側の業務上過失致死容疑を視野に捜査を進めている。新潟市消防局は14日、工場全体の安全管理体制改善を求める警告書を交付した。警告書を受け取った山根工場長は沈痛な表情で、こう記者団に語った。「真実を明らかにし、まず皆川さまのご霊前にご報告させていただく」。

 もう2度と、悲劇を繰り返してはならない。


2007/12/11 東ソー 

当社グループ企業である東ソー・ファインケム本社工場事故について

既に、お知らせしておりますが、2007年12月3日(月)当社グループ企業の東ソー・ファインケムの本社工場(山口県周南市)のアルキルアルミニウム製造プラントにおいて、火災事故が発生しました。定期修理を終えた当該プラントの稼動再開に向けての作業中に配管が破裂、社員4 名が負傷し病院に入院しています。
今回の火災事故により、周辺地域の皆様、お客様の皆様をはじめ関係者の皆様方に多大なるご迷惑とご心配をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。
火災事故発生以降、アルキルアルミニウム製造プラントは停止しています。今回の火災事故の詳しい原因については、現在、警察・消防など当局のご指導、ご協力を得ながら調査中です。現場の復旧については、東ソ−グル−プ一丸となって全力で取り組んでいますが、現時点においてはアルキルアルミニウム製造プラントの操業再開の時期は未定となっております。こうした中、お取引先の皆様方には、アルキルアルミニウムの安定供給に支障をきたす状況となっておりますことを改めて深くお詫び申し上げます。
今後の状況につきましては、状況が判明次第、随時お知らせいたします。

*東ソ−・ファインケム会社概要
売上高/65 億円(2006年度)
資本金/5億円、従業員数/約140名
設立/1965年7月
業務内容/第二燐酸カルシュウム、アルキルアルミニウム等の製造・販売
本社/山口県周南市開成町4555

---

2007/12/17

当社グループ企業である東ソー・ファインケム本社工場事故について(一部製品生産再開)

この度の当社グループ企業の東ソー・ファインケム本社工場におけるアルキルアルミニウム製造プラント火災事故によりまして、関係の皆様方に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、あらためて深くお詫び申し上げます。
12月3日(月)の火災事故発生以降、安全を確保する目的で、発災していないもう1系列のアルキルアルミニウムプラントを自主的に停止しておりましたが、監督官庁より生産再開の了解が得られましたので、ご連絡いたします。

〔生産再開品目〕
・エチルアルミニウムジクロライド(EADC) 12月15日(土)から生産再開
・エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC) 12 月16 日(日)から生産再開

事故を起こした系列のアルキルアルミニウム製品につきましても、引き続き監督官庁のご指導を受けながら、東ソーグループ一丸となって早期の操業再開への努力を続けています。生産再開の目処がつき次第、改めてお知らせいたします。

2007/12/21

当社グループ企業である東ソー・ファインケム本社工場事故について(復旧工事の開始)

この度の当社グループ企業の東ソー・ファインケム本社工場におけるアルキルアルミニウム製造プラント火災事故によりまして、関係の皆様方に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。
事故発生以来、東ソーグループ一丸となり復旧に向けて全力を尽くしております。被災しました系列設備に関しまして、本日、監督官庁により、復旧工事の開始について了解が得られましたので、復旧に向けて本格的な工事を開始できることとなりました。年内の再稼動を目指して復旧工事に全力で取り組む所存です。工事の完了および再稼動の日程に目処がつき次第、改めてお知らせいたします。

2007/12/28

当社グループ企業である東ソー・ファインケム本社工場の生産再開について

この度の当社グループ企業の東ソー・ファインケム本社工場におけるアルキルアルミニウム製造プラント火災事故に関しまして、工場周辺の住民の方々や当社のお客様の方々をはじめ関係の皆様方に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、重ねて深くお詫び申し上げます。
安全を確認しながら復旧工事を進めてまいりましたが、昨日(27日)、生産再開の許可を得ることができました。二度とこのような事故を起こさないとの決意のもと、プラントのハード面の改造、操作手順の徹底的な見直しを行ないました。この再発防止対策に則り、本日(28日)より、アルキルアルミニウム全製品の生産を再開致しました。「安全の確保が総ての基本」を従業員の合言葉として、安全・安定操業を堅持する所存です。
なお、この事故で負傷しました当社従業員4名は、順調に回復しており本日までに3名が退院いたしました。
生産再開当初は、お客様の皆様方に引き続きご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解の上、ご容赦賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


2009/8/14 信越化学

直江津工場 四塩化ケイ素漏洩事故について

  2009年8月14日、午前8時30分頃、弊社直江津工場(新潟県上越市、工場長:林田 章)において、製造設備の配管から合成石英等の原材料である四塩化ケイ素が漏洩し、塩化水素ガスが発生する事故がありました。

   近隣住民の皆さまをはじめ、関係の皆さまに多大なご迷惑とご心配をお掛けし、誠に申し訳なく深くお詫び申し上げます。

   同工場は漏洩の発見後、直ちに停止措置を取るとともに公設消防に連絡、出動した公設消防隊がガスの拡散を防止し、午前9時30分頃、漏洩の停止を確認しました。この漏洩による負傷者や地域の皆さまへの被害の情報はありません。

   なお、漏洩の原因につきましては現在調査中です。原因を究明後、再発防止に万全の対策を取ってまいります。

同工場によると、ガスが発生したのは化学製品「クロロシラン」を製造するライン。24時間稼働しており、同8時半ごろ巡回していた従業員が、直径15センチの配管から白い煙が上がっているのを発見した。

配管を流れていた液体の「四塩化ケイ素」が漏れ、空気中の水分と反応してガスが発生。同9時半までに50〜100リットルが漏れ出たとみられる。空気中に水をまいて中和作業をした。同5時の巡回で異常はなかったという。

上越署によると、配管をつなぐパッキンが腐食し、液体が漏れた可能性が高い。