石炭液化  liquefaction of coal

石油公団 石油/天然ガス用語辞典 
http://oilresearch.jogmec.go.jp/glossary/framesetj_se.html


 高分子炭素化合物から成る石炭を低分子化合物に分解し,液体の炭化水素すなわち石油製品に変える技術である。
 液化法は石炭を粉砕し,溶剤と混合して高温・高圧下で水素と直接反応させる
直接液化法と,石炭を一度ガス化(石炭ガス化)し,生成ガスを分離・精製した原料を合成反応させ液化する間接液化法に大別される。
 直接液化は,20世紀初めにドイツで開発され,第二次世界大戦中に一時期工業化された実績を持つが,石油危機以降米国,西独を中心に技術開発が再開され,米国のEDS法,SRC II法,H−Coal法や西独のポット・ブロッヘ法などで数百トン/日規模のパイロット運転研究が実施された。

 我が国はサンシャイン計画に基づき研究に取り組んでおり,NEDO(新エネルギー総合開発機構)の下で,オーストラリアに褐炭を対象とした50トン/日プラントを運転中で,また国内にれき(瀝)青炭を対象に250トン/日パイロット・プラントを建設運転する計画も進められている。

 間接液化は直接液化と比較してコストが高いとされているが,現在南アフリカのサソール・プラントが数万バーレル/日の商業生産を行っている。


 南アフリカでは長い間アパルトハイトにより石油禁輸を受けていたため、サソール社が豊富な石炭を利用したフィッシャー・トロプシュ合成反応による合成油の生産を行っていた。

 三菱化学がサソール社とのJV、Sasol Dia Acrylates (South Africa) (Pty) Limited を設立し、アクリル酸及びアクリル酸エステルの製造をおこなっているが、これは
 「Sasol社の供給する最先端の独自の石炭液化技術により得られる石炭ベースのプロピレン及びエタノール並びに当社技術により生産されるノルマルブタノールの競争力ある安価な原料と、当社の世界的競争力をもつアクリル酸及びアクリル酸エステルの製造技術を組み合わせ」たもの。
 
http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2001/20011022-1.html


NEDO技術協力

 インドネシア、中国


石炭の液化技術開発と北開試における研究
http://unit.aist.go.jp/hokkaido/kendb/F1990/HH90213J.HTM

吉田諒一 1990年3月 北海道工業開発試験所報告 50,1-15

 石炭を液体として利用するための液化技術開発の世界的動向について見ると,米国では既に250t/dのEDSプロセス,200t/dのH-Coalプロセス,および50t/d並びに30t/dのSRCI/IIプロセスのパイロットプラントの運転研究を終了し,これらのパイロットプラント研究において蓄積されたデータのデータベース化が進行している。 今後のエネルギー情勢に応じ,商業化段階へ容易に移行しうる状況にあるといえる。 さらに,これらの液化プロセスの改良といった観点から,二段階液化法に基づく6t/dのプラントが運転されておリ,またco-processing法による液化技術開発をベンチスケールで実施している。
 西ドイツにおいても200t/dのパイロットプラントの運転研究を終了し,現在はco-processing法に取り組むために石油残渣油を原料として運転を行っている。 さらに,イギリスにおいては2.5t/dの小型パイロットプラントが試運転段階にあり,ソ連においては5t/dの褐炭液化プラントが稼働している。
 一方,わが国ではサンシャイン計画の一環としてオーストラリア・ビクトリア州のモーウェル地区に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が50t/dの褐炭液化プラントを建設し,運転段階にある。
 瀝青炭液化プロセスについては,NEDOがNEDOLプロセス(NEDO Liquefaction Process)を確立し,150t/dのパイロットプラントの設計段階にある。 この支援研究として1t/dのPSUプラントが運転されている。


http://www.iae.or.jp/publish/tenbou/1996-TEIHINITAN/3shou.html

 日本のサンシャイン計画のひとつとしてNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)−NBCL(日本褐炭液化(株))が,ビクトリア褐炭の最適液化プロセスを確立することを目的に,1981年から1990年にかけてラトローブバレーに石炭処理量50トン/日(乾炭ベース)の褐炭液化パイロットプラントを設置し,ビクトリア褐炭液化技術の開発を行なった経緯がある。高液化油条件で実質 1,700時間の連続運転を達成し,全系統安定総合運転技術を取得するとともに,液化油収率の向上,スケールアップのための各種エンジニアリングデータの取得,効率化技術の確立を目指し,延べ10,500時間の運転試験を行なった。

 NBCLの褐炭液化プロセスフロー