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2013/9/2 米・電力大手Entergy、Vermont Yankee原発の廃炉を決定 

アメリカの電力大手 、Entergy Corporationは8月27日、バーモント州南部にあるYankee 原子力発電所の稼働を来年の末に停止し、廃炉にすることを決めたと発表した。
原発は"safe-store"(
安全貯蔵)の状態に置かれ、核物質が冷却されて取り除けるまで60年間そのままに置かれる。


 

Yankee原発は、1972年に運転を開始したGE製の沸騰水型(BWR)の原子力発電所で、フル稼働時の能力は620メガワット。

廃炉を決めた理由について、シェールガスの生産増加の影響で天然ガス価格が低くとどまり、発電コストの競争力が低下したことや安全性や信頼性向上のために多額の費用がかかることなどを挙げている。

同社では、人為的にエネルギー価格を低下させる欠陥市場構造(a flawed market design)が問題であるとしている。

米国の原発は天然ガスブームによる著しい価格競争に襲われているが、Vermont Yankeeは米国で最も古く、最も小さいプラントの一つで、反原発運動が盛んな州にあり、最初に廃炉に追い込まれる原発になると見られてきた。

1970年代以降、同原発に対する反対運動が行われ、福島原発事故の際と、最初のライセンスの切れる2012年3月には大規模な抗議運動が行われた。

同原発は2012年3月に稼働40年になるため、2006年に20年間の操業延長の申請をNRCに行い、2011年3月に2032年3月までの20年延長の承認を得たばかり。

同原発については、バーモント州の原発を含むユーティリティの監督を行うPublic Service Boardが操業延長を認めたのに対し、2010年初めに州上院がこれを否定し、延長を認めない決定を行った。議員は工場の安全性、老朽化、工場経営者によるリアクター部品についての虚偽の説明を問題にした。

これに対し、米地裁は2012年に、州上院の決定は放射能の安全性についての議論に基づいているが、その問題はNRCだけが独占的に関与しうるとして州の敗訴の判決を下した。また州が延長を認める条件として電力を安い価格で州内の施設に売るよう求めたことについて、憲法違反とみなした。

2013年8月には連邦控訴審が地裁の判決を支持した。Atomic Energy Act of 1946により安全性は連邦政府(NRC)だけの責任であるとした。

今回の停止・廃炉決定で州との争いにも終止符が打たれる。

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現時点で他に5基のの原子炉の停止が発表されている。全てのケースで安価な天然ガスが停止の一因とされているが、多くはメカニカルな問題を抱えている。
Dominion のKewaunee原発と今回のYankee原発は、特に大規模な設備投資の必要性に迫られておらず、天然ガスとの競争に負けての停止である。

1)電力大手Dominion は本年5月7日、ウイスコンシン州のKewaunee原発(556メガワット)を永久停止した。純粋に経済性の観点としている。

同社は中西部地域で原発投資の橋頭堡を築く目論見だったが、中西部で適当な他の原発を買収することに失敗し、この原発を維持する経済合理的根拠を失い、売却を決めたが、買い手はみつからなかった。
同原発はすでに20年間の延長許可を取得しており、2033年まで操業できるはずだった。

2012/10/26   米の発電会社、不採算を理由に原発を閉鎖

2)Exelon は2010年に、ニュージャージー州のOyster Creek原発を認可の期限の2019年末までに停止すると発表した。
1969年稼働の米国最初の大規模商業用原発で、645メガワットのBWR型原発。
温排水による環境への影響の懸念で州環境保護局から冷却塔の追加を要求され、高コストを理由に廃炉を決めた。

3)フロリダ州のCrystal River原発は能力860メガワットで、原子炉の格納容器にひびが入ったため、2009年9月から停止していた。

Duke Energyは2012年7月に同原発を所有するProgress Energyを買収したが、その後の調査の結果、修理費が15億ドル、最悪シナリオでは34億ドルかかることが分かり、現在の電力料では回収できないと判断、Duke Energy は
2013年2月、同原発を永久停止すると発表した。(保険金850百万ドルを回収)

Duke Energyは又、本年8月1日に、フロリダ州のWilliam Lee 原発の新設計画を断念すると発表した。
東芝子会社のWesting Houseが原子炉2基を納入する予定だった。

Dukeが2016年以降の運転開始を目指して2008年に申請したが、NRCは最終ヒアリング(当初目標は本年3月)は2016年になると通知したため、Dukeは撤回を決めた。

4) 三菱重工業製の蒸気発生器の配管破損で昨年から停止中の米カリフォルニア州南部のSan Onofre原発について、運営するSouthern California Edison 6月7日、全2基を廃炉にすると発表した。

2号機は1983年、3号機は1984年にスタートした。
三菱重工業は2号機、3号機の取替用の蒸気発生器を各2基 納入した。

San Onofre原発は2012年1月31日、3号機の蒸気発生器の配管から水が漏れて緊急停止、微量の放射性物質が漏れた可能性もある。定期点検中の2号機でも配管摩耗が見つかり、NRCはすべての稼働を禁じた。

Edisonは2012年10月、2基のうち1基を7割の出力で稼働する計画をNRCに出したが、市民団体や一部議員が反対、NRCも公聴会を重ねるなどして判断に時間がかかり、「再稼働できるかどうか、できたとしてもいつになるか不安定な状態がこれ以上続くのは、利用者や投資家にとってよくないとの結論に至った」とコメントを出した。

同社は三菱重工に損害賠償を請求する。

Edisonは三菱重工業に対し、原発停止で生じた損害全額を賠償するよう求めているが、三菱重工側は契約上の責任上限額を超える賠償責任はないと反論している。

付記

Southern California Edisonは2013年10月16日、米国で仲裁を申し立てた。本件契約の保証義務違反等に基づき、三菱重工に対し40億米ドル以上の損害賠償を求めている。

これに対し、三菱重工では、契約上の同社の責任上限は約1億3,700万米ドルであり、代替燃料コストを含め間接損害は排除されているとしている。

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米国では、1979年のスリーマイル島原発事故以来、原発建設は凍結されていた。

オバマ政権はこれを再開する方針を示しており、NRCは2012年2月9日、Southern Nuclear Operating Companyのジョージア州オーガスタの南東26マイルのVogtle power plantの2機の建設・運転一括許可を承認した。
東芝傘下のWestinghouse Electricの新型加圧水型軽水炉(PWR)のAP1000を採用する。

NRCは2012年3月30日、South Carolina Electric & Gas とSantee Cooperがサウスカロライナ州のコロンビアの北西約40キロにあるV.C. Summer 原発の2号機と3号機について建設運転を承認した。
これもAP1000を採用する。

2012/4/4 米、2件目の原子力発電所新設を承認

米原子力規制委員会は2012年8月7日、最近の連邦控訴裁判所の判決で提起された使用済み核燃料の保管に関する規則を見直すまで、原子力発電所建設の認可手続きを停止すると発表した。

連邦高裁は2012年6月、運転をやめた原発の敷地内で60年間、使用済み燃料の保管が認められていることについて、NRCの安全性評価は不十分だとして再検討を命令。原発敷地内ではなく、最終処分場の候補地を検討するよう求めている。

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新規計画が2つ承認された一方、申請していた計画の2つが既に取り止められており、上記のDuke Energyのフロリダ州のWilliam Lee 原発の新設計画断念が3つ目となる。

1)NRG Energyは2011年4月、福島第1原発事故の影響で「規制動向など先行きが不透明になった」として、東芝との合弁会社でテキサス州で進めていた原発2基の新設計画への投資を打ち切った。

NRGは2008年にNuclear Innovation North America(NINA)を設立、同年に東芝が12%出資し、サウステキサスプロジェクト原子力発電所に改良型沸騰水型原子炉 (ABWR)2基(3号機、4号機)を増設する計画を進めていた。

2)Exelon は2012年8月、テキサス州Victoria County Stationの原発申請を取り下げた。

同社はさきに、建設を長期間遅らせるため、combined construction and operating license (COL)の申請を取り下げていたが、今回、残していたearly site permit for land の申請も取り下げた。

天然ガスの値下がりで、予想しうる将来にわたって競争力がなくなったと判断した。

2012/9/6 米電力大手Exelon、原子力発電所の申請を取り下げ 

2012年7月30日付の英 Financial Times は、“Nuclear 'hard to justify', says GE chief”のタイトルでGeneral ElectricのCEOのJeff Immeltのインタビュー記事を掲載した。

シェールガス革命で天然ガスが豊富に供給され、再生可能エネルギーの選択肢も増えたことから、原子力発電を正当化することは難しくなったというもの。

2012/7/31 原子力発電の正当化困難にーGE会長 


2013/9/3   中国国営企業の汚染物質排出削減量審査でCNPCとSinopecが不合格

環境保護部はこのたび、2012年の31省・自治区・直轄市および新疆生産建設兵団における主要汚染物質の総合的排出削減量の審査の結果を発表した。

それによると、中央企業(中央政府直属の国有企業)8社のうち、華為集団(発電)、大唐集団(発電)、華電集団(発電)、国電集団 (発電)、中国電力投資集団(発電)、神華集団 (石炭を中心とするコングロマリット)の6社が同年の排出削減目標を達成し、審査に合格したが、中国石油天然気(CNPC、子会社はPetroChina)とSinopecは目標に達しなかった項目があり、審査に不合格となった。

両社の実績は以下の通りで、2012年目標に達しなかったのは各1項目だけだが、12次5カ年計画目標に対しては両社とも大きく未達となっており、特にNOxについては両社とも逆に増加となっている。
汚染物質排出削減の達成量はスケジュール的にみて大きく後れており、全国各地のペースにも大きく後れを取っている。

  CODの排出量 アンモニア性窒素 二酸化硫黄(SO2) NOx
2012年
実績
CNPC 0.08%減
目標 0.6%減
1.33%の減 1.62%減 3.26%
Sinopec 2.62%減 1.91%減 3.90%減 1.28%
目標 ゼロ排出
 
12次5カ年計画目標 10%減 8%減 10%減 8%減
2012年末
累計
CNPC 0.53%減 0.04%減 4.31%減 8.27%
Sinopec 2.3%減 2.1%減 6.0%減 2.52%

両社の場合、汚染物質排出削減プロジェクトにおける措置の著しい後れ、汚染対策プロジェクトの技術の後れと運営効果の低さ、環境の管理水準のばらつき、の3つが問題とされた

規定により、審査結果発表の日から、CNPCとSinopecの2つのグループ会社に対し、石油製品のグレードアップと省エネ・汚染物質排出削減の両分野でのプロジェクトを除き、精製設備の新設・改造・拡張プロジェクトの環境評価に対する審査認可を一時的に停止することが決定された。

影響が出るのは準備中または環境影響評価の文書を提出した立案中のプロジェクトの一部に限られ、稼働中及び建設中のプロジェクトには影響しない。

停止を解除する時期は、2013年上半期の総合的排出削減量の審査、および汚染物質排出削減の責任と目標を明確に定めた目標責任書の履行状況を踏まえて確定する。


2013/9/4 イラクのガラフ油田が生産開始 

石油資源開発(JAPEX) は9月2日、イラクのガラフ(Garraf or Gharaf) 油田が8月31日に原油生産を開始(ファーストオイル)したと発表した。

Garraf 油田はイラクのジカール県(Thi Qar Province)にある。

イラクの石油の第二次入札が2009年12月に行われ、日本の石油資源開(Japex)がマレーシアのPetronasと組んで、Garraf 油田を落札した。

両社は入札で 3つのチームに打ち勝った。
 ・
トルコ国営石油(TPAO)/インド ONGC
 ・
カザフスタンのKazMunaiGas/韓国のKoGas/イタリア Edison
 
・インドネシア Pertamina

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

両社はイラク国営南部石油(South Oil Company)との間で開発サービス契約を締結した。

開発請負者 参加比率 資金負担比率
Petronas 45% 60%
JAPEX Garraf 30% 40%
国営北部石油
(North Oil Co.)
25%  −

JAPEX Garraf はJAPEX 55%、石油天然ガス・金属鉱物資源機構 35%、三菱商事 10%の出資。

国営北部石油のコストは海外2社が負担する契約で、PetronasJAPEX Garraf が共同で約70億ドルを投入し、7年以内に生産を開始する。

原油1バレルごとに $1.49 の報酬を受け取る条件で、20年間、日量230,000 bbl を生産する。
イラクでは油田の権益自体は取得できないが、開発・生産のコストを原油で受け取ることができる。

JAPEXでは、「投資費用は数年で回収できる」としている。

2011年3月にベースキャンプを開設、6月から坑井掘削作業を行い、これまでに評価井2坑、開発井9坑の計11坑を掘削するとともに、生産施設を建設してきた。

このたび日量3.5万バレル規模で生産を開始、2017年には目標の日量 23万バレルまで増産する計画。

JAPEX Garraf 分として引き取る原油については、日本への持ち込みを視野に、販売方針を検討中としている。

ーーー

石油資源開発(JAPEX) は1955年に石油資源開発株式会社法に基づく特殊会社として設立された。
1967年に石油開発公団の設立に伴い、同公団の事業本部となった。

1970年に石油開発公団から分離し、民間会社として再発足した。


2013/9/5 米の独立系石油会社 Apache、エジプトの権益の一部をSinopecに売却  

米の独立系の石油会社 Apache Corp は8月29日、Sinopec傘下で海外事業を担当するSinopec国際石油勘探開発(Sinopec International Petroleum Exploration & Production)との間で石油・ガスの開発に関するグローバルパートナーシップを形成すると発表した。

提携の第一歩として、SinopecはApacheのエジプトでの石油・ガス開発事業の33%の権利を取得し、31億ドルを支払う。オペレーションはApacheが引き続き担当する。

Sinopecとしてはエジプトの石油・ガス開発への初の進出となる。
中国勢の海外の石油資源の取得としては
本年2月26日に完了したCNOOCによる Nexen買収に次ぐものである。

Apacheは現在、米国の2つの地区、テキサス州とニューメキシコ州南東部にまたがるPermian盆地と、テキサス州とオクラホマ州にまたがるCentral地区Anadarko盆地の開発に力を入れている。
両地区では以前から活動していたが、2つの買収により、活動を大幅に拡大した。

Apacheは2010年7月、BPから総額70億ドルで米国、カナダ、エジプトの石油資産を 買収する契約を締結した。対象はパーミアン盆地の油田、西カナダの天然ガス、及びエジプトの西砂漠油田とEast Badr El-din 油田。

2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却

Apacheは2012年5月、Anadarko盆地に312千エーカーの権利を持つCordillera Energy PartnersⅢを買収した。
現金25億ドルと同社普通株630万株を支払う。

これらにより、北米での産出量は2.4倍となった。(但し、借入金も増大した。)

確認埋蔵量は両買収により、石油換算29億バレルから一挙に117億バレルと4倍になり、うち、Permianは37%、Centralは48%と、北米が85%を占めるに至った。エジプトは10%から2%に下がった。他は、カナダ 5%、豪州 3%、北海、アルゼンチンなど。

Apacheは今年に入りバランスシートを強化するため、長期の成長に役立ち、現金を生み出す資産を大事にし、ノンコアの事業を売却するという戦略をたて、本年5月9日の第1四半期決算発表時に、2013年末までに40億ドルの資産を売却すると発表し た。

同社では40億ドルの半分を借入金返済に使用し、残りは普通株の7.5%を買い戻すのに使用する。

同社は7月18日に、Gulf of Mexico Shelf の事業をFieldwood Energy に37.5億ドルで売却すると発表している。

今回の売却もその一環で、今回の取引で目標を上回ることになる。
Sinopecとの提携でエジプトでの開発を継続しつつ、バランスシートを改善する。

ーーー

Apache はエジプトで20年以上開発を行っており、970万エーカーの権益を持つ。うち18%が開発済み。

Egyptian General Petroleum とのJVのKhalda Petroleum とQarun Petroleum で運営している。
Khaldaは西エジプトとシナイ半島で事業を行っており、Qarun Petroleum は西エジプトで事業を行っている。

エジプトは政治の混迷期にあるが、Apacheでは同社の事業は遠隔地にあり、問題はないとしている。

Apacheは本年の第2四半期にFaghur盆地(4か所)、Shushan盆地、Matruh盆地、Abu Gharadig盆地で合計7か所の油田・ガス田を発見したと発表している。

Apacheのエジプトでの生産は拡大し続けている。


2013/9/6 Solvay、サウジのSadara Chemical とのJVで過酸化水素工場建設 

Solvayは9月2日、Sadara Chemical (DowとSaudi Aramcoの石化JV)との50/50 JVでJubail Industrial City IIに大規模な過酸化水素工場の建設を開始したと発表した。

JVはSaudi Hydrogen Peroxide Companyで、能力は年産30万トン、2015年のスタートを目指す。サウジで初めての過酸化水素工場となる。

Sadara Chemical は過酸化水素を同社が建設中の過酸化水素法酸化プロピレン(HPPO)の原料とする。
同社ではPOを原料にポリオールやプロピレングリコールなども生産する。

Solvayにとっては、これは3つ目の大規模過酸化水素JVとなる。

  立地 能力

目的

製品 能力 メーカー
Solvay/Dow/BASF JV Antwerp
(ベルギー)
 23万トン HPPO  30万トン Dow/BASF JV
MTP HPJV (Thailand)
  Solvay/Dow JV
Map Ta Phut
(タイ)
33万トン HPPO 39万トン MTP HPPO Manufacturing
(Dow/Siam Cement JV
外販HP Solvay Peroxythai 経由販売
Saudi Hydrogen Peroxide
  Solvay/Dow 50/50
Jubail
(サウジ)
30万トン HPPO

未発表

Sadara Chemical
(Dow/Saudi Aramco JV)

Solvay Peroxythai は東南アジアの過酸化水素の主メーカーで、Map Ta Phutに35千トンのプラントを持ち、過去20年以上にわたり、高純度品を食品やエレクトロニック業界に供給している。新プラントからの製品で、供給能力は従来の2倍以上となる。

ーーー

POの生産にはこれまで、3つの方法があった。

1)塩素法

従来からの製法でプロピレンに塩素と水を反応させ、生成したクロルヒドリンを水酸化カルシウム或いは水酸化ナトリウムで処理する方法。

日本では現在、旭硝子(鹿島)とトクヤマ(徳山)が生産している。

2)ハルコン法

イソブタン又はエチルベンゼンを酸素と反応させて得られたハイドロパーオキサイドでプロピレンを酸化する方法で、イソブタンを使った場合はTBA or MTBE、エチルベンゼンを使った場合はスチレンモノマーを併産する。

日本では日本オキシランがSM併産で生産している。
アジアでは韓国でSKCケミカル(当初ARCOが出資)、シンガポールでSeraya Chemical (Shell) 及び Ellba Eastern (Shell/BASF)が、いずれもSM併産で生産している。

3)住化新法

上記2)の方法でイソブタン或いはエチルベンゼンの代わりにイソプロピルベンゼン(クメン)を用い、生成するクミルアルコールを脱水/水素化してクメンに戻すことにより、併産物を生成しない新しいプロセスの構築に成功した。

住友化学は千葉で新法によるプラントを建設した。また、サウジのPetro Rabighで新法によりPOを生産する。

DowとBASFは2006年3月、アントワープで過酸化水素法でPOプラントを建設すると発表した。

過酸化水素法はBASFが1995年頃から研究してきたもので、副産物がなく、最終製品であるPOと水しか発生しないこと、プラントの設置面積が小さく、必要インフラストラクチャが少ないことが特徴とされている。
(但し、多量の過酸化水素
を使用するため、過酸化水素のプラント建設が必要で、またエポキシ化触媒をリサイクルするためにメタノールを使用しており水とメタノールの分離に多量のスチームも使用する。)

Dowは2001年にEnichemとの間でポリウレタン事業とPolymeri(UCC/EnichemのPEのJV)持分を交換した際にこの技術を取得しており、2002年8月にBASFとの共同開発を決めた。

タイの計画にはBASFは参加していない。(経緯不明)

ーーー

Solvayは過酸化水素の世界最大のメーカー。

過酸化水素は、製紙用の漂白剤が主用途であったが、HPPO用に大量に使用されるようになり、この分野の需要が急拡大した。
この用途は現在、Solvayのみのため、同社のシェアは更に拡大した。

従来の用途向けでは、中国の需要の伸びが大きい。

SolvayはHuatai Group(华泰集团)とのJV、Shandong Huatai Interox Chemicalを設立し、2011年に山東省東営市に年産5万トン設備を建設した。同社では中国南部に第二拠点の建設を検討している。

南米でも、ブラジル(現地のProdutos Quimicos MakayとのJVのPeróxidos do Brasil )の能力を2000年の5万トンから2010年位は16万トンに増強、現在は18万トンとしている。

Solvayは2012年4月、年産5~15千トンの小規模設備を低コストで生産する技術を開発し、需要家の工場に設備を設置するシステムを考案したと発表した。遠隔地のパルプ、製紙工場に最適で、Peróxidos do Brasil 内にパイロットプラントを建設する。

 参考 Solvay's position and strategy in hydrogen peroxide


2013/9/7 福島原発 汚染水対策 

政府の原子力災害対策本部は9月3日、東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水漏れ事故について、政府として主体的に取り組むことを明記した「基本方針」を了承した。

地下水が原子炉建屋に流入するのを防ぐ凍土遮水壁の建設費用や、汚染水処理装置の増設・改良計画に国費470億円を投入することが柱。

国費投入
  凍土遮水壁    約320億円 (うち本年度予算予備費から140億円)
  汚染水処理設備   約150億円 (同上 70億円)

但し、上記の2つとも技術的に確立しておらず、実際に効果があるかどうかは不明。

汚染水対策の概要は以下の通り。

現状 対策
1日約1,000トンの地下水が流入 地下水バイパスで海に放流し、流入量を減らす。
このうち約400トンが建屋に流入 ・凍土方式遮水壁で建屋への流入を防止
・既存の汚染水をサブドレンで汲み上げ
残りのうちの1日300トンがトレンチ内の汚染源に触れて、
汚染水として海に流出
(他にH4エリアの汚染水タンクからも300トンが漏れて流出)
・港湾内に海側遮水壁設置
・建屋海側汚染エリア護岸に水ガラス壁設置
・トレンチ内の高濃度汚染水を汲み上げ

回収汚染水はタンクに貯蔵
  能力限界
  汚染水漏れ
・タンク増設
・溶接型タンクへのリプレイス

・ALPSで汚染水浄化
・より高効率の浄化装置を実現
(浄化後もトリチウムを含むが、薄めて海に放流)

 

具体的対策は以下の通り。
   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/dai32/siryou1.pdf 

  これまでに講じた対策 今後講じる対策
1.汚染源を
    取り除く
海際トレンチ内の高濃度汚染水汲み上げ
 タービン建屋に移し、浄化
  (2013/8/22~)

タンクからの漏えいで汚染された土を回収
  (2013/8/23~)

ALPSで高濃度汚染水の浄化を加速化
 (2013/9/中旬~)

海際の主トレンチ内高濃度汚染水を移動式浄化装置で濃度を下げ、
 トレンチを閉塞

より高効率の浄化装置を実現
(国費を投入)

2.汚染源に
   水を近づけない
  建屋山側で地下水を汲み上げ(地下水バイパス)
 線量確認の上で、海洋に放流

  (2013/3設置完了、稼働時期調整中)

サブドレン(建屋近傍の井戸)により地下水汲み上げ
  (2014/9頃完了)

建屋の周りを囲む凍土方式遮水壁
  (国費を投入 2014年度中に運用開始)

建屋地下滞留の汚染水の完全除去のため
 建屋の隙間等を塞ぐ等、

3.汚染水を
   漏らさない
港湾内に海側遮水壁設置
(一部設置済、2014/9完成)

建屋海側汚染エリア護岸に水ガラス壁設置
 (2013/8 一部完了)
汚染水を汲み上げて浄化
 (2013/8/9開始)

パトロール強化(1日2回4回)
 (2013/8/22)

タンクの全ての堰の排水弁を閉める
 (2013/8/22より順次)

モニタリング強化
 (2013/8/20より順次)

汚染エリア地表のアスファルト舗装
 (2013/101より順次)

タンクの増設

溶接型タンク増設を最大加速化、
 全てのボルト締めタンクのリプレイス

タンクに水位計、漏洩検出装置の設置
 (2013/8/22より順次)

高レベル放射性廃棄物を保管する高性能容器などを覆う建屋を設置
  万一の漏えいの場合のリスクを低減

高濃度汚染水貯留に関するリスクの洗い出しと対応

海側遮水壁

鋼鉄製の板の壁で、海底から海面上まで幅800mにわたり約700本設置。

   

   

水ガラス壁

水あめ状の薬剤を土壌に注入。
地中1.8 x 16m しか効果がなく、壁の上を汚染水が通って海に漏れ出している。

地下水バイパス

建屋の山側に12本の井戸を設置し、流入前の地下水をくみ上げる。
くみ上げた水は、放射性セシウム濃度が1リットル当たり1ベクレル以下と低いことを確認して海に放出する。
流入量を1日100トン程度減らせると見込んでいる。

この案に対する問題が9月5日に明らかになった。
「H4」エリアのタンクから約300トンの高濃度汚染水が漏れていたが、このタンクの南側で掘った井戸から放射性物質を含む地下水が検出された。汚染水が地下水バイパス用の井戸に混じれば、海への放出に問題が生じる。

付記
東京電力は2014年4月9日、「地下水バイパス」の作業を始めた。放射性物質の濃度が東電の基準を下回ることを確かめた上で、5月の大型連休明けにも放出を始める。
水はいったんタンクにため、外部の2検査機関が調べる。基準は、セシウムなどの放射性物質の濃度が周囲の川と同程度に設定。
福島県漁業協同組合連合会は2014年3月末、放出を容認した。

凍土遮水壁

鹿島が提案したもの。
1〜4号機の原子炉建屋を囲むように200m x 500m(延長1.4km)の壁を設置する。

凍結管を1メートル間隔で地表から20〜30メートルの深さまで垂直に打ち込み、管の中に氷点下40度以下の冷却材を循環させて周囲の土を凍らせ、「土の壁」を造る。
冷却の電気代などに多額の維持費がかかる。

世界的にも前例のない工事になるため、実現可能かは不透明とされる。
凍土遮水壁の2015年度前半の完成を目指し、実際に導入可能か年内に結論を出す。

サブドレン(建屋近傍の井戸)

事故前からあったポンプ設備(津波で損壊)の復旧も進め、建屋にごく近い地中からも地下水をくみ上げる。

海側遮水壁

建屋内の汚染水や建屋を迂回した地下水が海に流れ出ることがないよう、1~4号機の海側に鋼管約600本を打ち込んで遮水壁とする。

汚染水処理設備

東電は汚染水から62種類の放射性物質を取り除く能力がある汚染水処理装置「ALPS」の稼働を目指す。

2013/8/30   福島第一原発、新型浄化装置ALPS を9月中旬に稼働へ

政府は今回の対策で処理能力の向上を目指す研究開発にも取り組む。

但し、この場合もトリチウムは処理できない。

原子力規制委員会の田中委員長は9月2日、日本外国特派員協会で講演し、ALPSで処理した汚染水を一定濃度に薄めて海洋に放出する必要性について言及した。

ーーー

汚染水問題は国際的に大きな注目を浴びており、五輪招致にも悪影響を与えている。

韓国政府は9月6日、福島第一原発の汚染水漏れを受け、福島、茨城、群馬、宮城、岩手、栃木、千葉、青森の8県の全水産物の輸入を9日から全面禁止すると発表した。放射能汚染の有無と関係なく韓国内での流通が全面的に禁止される。

8県以外の水産物についても、セシウムが微量でも検出されれば、他の放射性物質の検査証明書を追加で要求することを決定、微量でも放射性物質が検出された水産物は事実上、遮断される。

 

付記

安倍首相は9月7日、国際オリンピック委員会総会の最終プレゼンテーションで、汚染水問題について「まったく問題はない。汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調した。 

質疑応答でも、汚染水漏れは「全く問題ない。解決に向けたプログラムを決定し、既に着手した。責任を完全に果たす」と強調。「影響は同原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」とするとともに、放射性物質の数値は最大でもWHOの飲料水水質ガイドラインの500分の1、日本の食品や水の安全基準は世界で最も厳しい基準だ」とアピールし、「健康問題には今までも、現在も、将来も問題ないと約束する」と述べた。

「港湾内で完全にブロックされている」というのは言い過ぎ。

東電も「港湾内と外洋を水が行き来していること」を認めている。

3か所にシルトフェンス(水中カーテン)を張り、遮断しているが、完全ではない。

菅官房長官は9月10日の記者会見で、福島第一原発の放射能汚染水漏れについて、同原発の港湾の内外で汚染水を含む海水が出入りしていることを認めた。
ただ、「港湾内でも大幅に基準値以下だ。汚染水の影響については完全にブロックされていると申し上げた」と強調した。


タンクから漏れた汚染水は排水溝から外洋に漏れた可能性が極めて高いとされる。

「健康問題には今までも、現在も、将来も問題ないと約束」したが、そんな約束をしても大丈夫だろうか?


2013/9/9     大塚製薬、米国Astex Pharmaceuticalsを買収  

大塚製薬は9月5日、Astex Pharmaceuticals を買収することで同社と合意したと発表した。

1株 $8.50(過去30日の株価平均に48%のプレミアム、9月3日の終値に対しては27%)で全株式を現金で買収するもので、総額は886百万ドルとなる。10営業日以内に買い付けを始め、開始後20営業日以内に終了する。

Astex Pharmaceuticalsは、分子設計創薬技術に優れた、がんと中枢神経領域に焦点を合わせたカリフォルニアに本社をおくバイオベンチャー企業で、フラグメント創薬のリーディングカンパニーとして知られる。

1991年設立の米国のSuperGen, Inc.が2011年7月に英国のAstex Therapeutics Limited を合併し、Astex Pharmaceuticals に改称した。

英国ケンブリッジにフラグメント分子設計創薬研究所と、米国カリフォルニアに臨床開発部門を有している。

フラグメント創薬とは、小さな分子フラグメントと、疾患に関与する複雑な立体構造をもつ大きな分子の標的タンパク質との相互作用を明らかにすることで分子設計し、新規化合物を創りだす技術で、NMR やX線結晶構造解析を用いて、相互作用を明らかにする創薬技術。

フラグメント技術によって、過去8年間で8つの癌と中枢神経領域における新規化合物が臨床開発段階に移行している。

現在、フェーズ2に4化合物、フェーズ1に4化合物があり、そのうち4化合物は、AstraGeneca、Novartis、Janssen Pharmaceutical(Johnson & Johnson子会社)とのアライアンス体制のもと、臨床開発が行われている。

臨床開発部門は、抗がん剤の開発に特化し、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病治療剤「静注Dacogen®」の開発に成功している。
Dacogen
は、北米においてはエーザイが、その他の地域においてはJohnson & Johnson子会社のJanssen Pharmaceuticalが販売している。

DacogenはSuperGenが開発した。

SuperGenは2004年9月にMGI PHARMA, INC.にDacogenの全世界の独占権を与えた。

MGI PHARMAは2006年に7月に、Dacogenの北米以外の権利をJohnson & Johnsonの子会社のJanssen にサブライセンスした。

エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つMGI PHARMA を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結、米国子会社の100%子会社とした。

この結果、現在はエーザイが北米、残り地域はJanssen がDacogenを販売している。

大塚製薬では、今回のアステックス社の買収は同社の目指すがん領域のポートフォリオ拡充のみならず、中枢神経領域の創薬研究の強化にもつながるものと期待している。

Astexのフラグメント創薬技術と、大塚製薬の強みである中枢神経領域の研究を組み合わせることによって、新たな作用メカニズムの中枢神経領域の医薬品を届けられると期待している。

また、臨床開発力にも優れたAstexの買収で、がん領域のポートフォリオを拡充するとともに、大塚製薬の抗がん剤開発体制を強化する。

大塚製薬の主力製品の統合失調症治療薬「エビリファイ」が全世界で売上高を伸ばしているが、2015年4月に米国で特許切れを迎える。
2013年3月期の連結売上高1兆2180億円のうち、エビリファイが4385億円(うち米国は3361億円)を占めており、特許切れ後の対応としての一手が注目されていた。

Astexの最近の損益状況は下記の通り。(百万ドル)

  2012 2011 2010
売上高 ロイヤリティ 71 61 53
開発費収入 12 6 1
合計 83 67 53
営業費用 開発費 60 44 28
管理費 16 17 9
その他 14 4 0
合計 90 65 37
営業損益 -7 2 16
税引前損益 -5 2 16
純損益 8 5 16

2013/9/10 LG化学のミシガン州のリチウムイオン電池工場、生産開始2か月で停止 

本年7月にようやく稼働したLG化学子会社 Compact Powerのミシガン州Hollandのリチウムイオン電池工場が9月に入り生産を停止した。6週間程度止まると見られている。

LGは以下の通り説明している。

米国での商業生産開始の前に使用する原料をEPAに登録する必要があるが、製造に使う非常に少量の原料(名前は開示できない)について登録されていない可能性があることが判明した。

現在、登録状況をチェック中で、問題の早期解決のためEPAと協議している。
登録されていることを確認するか、又は承認を取得するまで、約6週間、生産活動を止める。

生産は止めるが、従業員のレイオフはしない。
改善工事や特別訓練、メンテナンスなどを行う。

直ぐに生産を再開できると自信をもっている。

EPAは9月6日、LGがどんな原料を使っているかを確認するため、本年7月にLGに対し原料リストの提出を命じたことを明らかにした。

付記 LGは10月28日から生産を再開すると発表した。

LG Chem in Holland is set to resume production of lithium-ion batteries for General Motors starting on Monday.

Read More at: http://wwmt.com/shared/news/features/top-stories/stories/wwmt_lg-chem-restart-battery-production-monday-14968.shtml

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米政府から151百万ドルの補助金を受け、2010年7月の起工式にはオバマ米大統領が出席した、LG化学子会社 Compact Powerのミシガン州Hollandのリチウムイオン電池工場は、当初、2012年に稼動し、2013年末までに"Chevy Volt"ベースで6万台分を生産する予定であった。

しかし、電気自動車が不振で、GMは2012年に「Volt」を5万台売るという目標を設定したが、2012年10月までの販売台数は2万台弱に止まっていた。

このため、LGは工場完成後も生産開始を行わず、 韓国からのリチウムイオン電池輸出を続けた。

2013年2月にエネルギー省のInspector General (監察官)はLG Chem とエネルギー省職員を非難する報告書を発表した。

これを受け、エネルギー省はLGに対し補助金のうち、 842千ドルの返還を命じた。

2013/2/15   LGの米リチウムイオン電池工場への批判 

LGは2013年7月になって、Holland工場でリチウムイオン電池の製造を開始した。
5月に製造部品承認プロセス(Production Part Approval Process)が完了して需要家GMの承認を取得、その後、GMと共同で“pre-production testing”も終えた。

生産を開始しても、リチウムイオン電池はsettling period (「エイジング検査期間」:バッテリーを一定期間放置し、沈殿物の有無で不純物の混入を確かめる検査の期間)が必要なため、最初の出荷は9月終わりか10月初めの予定となっており、GMの工場にはここからの出荷はまだ行われていない。

生産ラインは3ラインで、2015年9月までに更に2ラインを追加する。


2013/9/11 パナソニック のヘルスケア事業売却、米KKR に優先交渉権 

パナソニック は、計画しているヘルスケア事業の一部売却で、米投資会社KKR に優先交渉権を与える方針を固めたことが分かった。
関係筋によると、完全子会社 パナソニックヘルスケアの株式の大半を売却する方向で近く合意を目指し、詳細条件を詰める。

売却額は1500億円前後になるとの見方が多い。売却資金の一部は、社債償還などに充てることで一段の負債圧縮に寄与する見込み。

付記

パナソニックは9月27日、パナソニック ヘルスケアの全株式をKKRの関連投資ファンドが実質的に全株を保有するPHCホールディングスに1650億円で譲渡する契約を締結することを決めたと発表した。
パナソニックは、750億円の売却益を今期の営業外収益に計上する。

パナソニックはPHCの20%を引き受け、パナソニック ヘルスケアの20%を実質保持する。
引受額は未公表。

付記

パナソニックは10月4日、パナソニックヘルスケアの旧松下寿電子工業時代からの主力拠点の西条工場(愛媛県西条市)を閉鎖すると発表した。
横浜市(研究開発拠点)と四日市市(医療施設向けの食事運搬カートを生産)のグループ共同の拠点からも撤退する。

生産・開発拠点6カ所を2016年3月末までに3カ所に集約、経営効率を高める。

付記

2014年3月31日、手続き完了。KKR 80%、パナソニック 20%となる。

 

パナソニックは中期重点施策の一つとして、「脱・自前主義による成長・効率化」を挙げ、パナソニックヘルスケアへの外部資本導入を決めた。

パナソニックヘルスケアは着実に収益を上げているが、医療業界における知見が限定的で、グループとして十分な投資ができない中では、事業成長の可能性に限界がある。
同分野のノウハウと資金リソースを持ち、事業ビジョンを共有できるパートナーと手を組むことで、自前では難しい非連続な成長を目指す。

パナソニックは一定の出資比率とブランドを維持し、同業界向けの販路としても活かしていく。

(このほか、本年3月にパナソニック ロジスティックスの株式の66.6%を日本通運に譲渡することで合意している。)

2013/3/28  新中期計画 2013年度事業方針

パナソニックは5月に1次入札を実施し、計10社程度が応札した。

8月26日の最終入札では、KKRのほか、米投資ファンドのBain Capital(三井物産、日本政策投資銀行と連合)、東芝(米投資ファンドのCarlyle Groupと連合)の計3陣営が参加、このうちKKRが最も良い条件を提示した 模様。
 

パナソニックヘルスケアは現在、診断薬、メディカルシステム、補聴器、画像診断のビジネスユニットを持つ。
2013年3月期の売上高は1343億円。

このうち、補聴器事業については2014年3月末に家庭内ネットワーク技術や公共システムなどの情報通信技術を扱うパナソニック システムネットワークスに事業移管することが決まっている。

また、超音波診断機器関連事業をこれまで共同で開発を進めてきたコニカミノルタに譲渡することも決まっている。

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パナソニックヘルスケアの歴史は以下の通り。
当初はエレクトロニクスが中心であったが、2007年4月の改組でヘルスケアが中心となった。

1969/11   松下寿電子工業として発足
     松下グループ内で「四国の天皇」とも呼ばれた稲井隆義(赤外線電気コタツの考案者)が四国で創業
     
2002/10   株式交換により松下電器産業の完全子会社に
     
2005/4   パナソニック四国エレクトロニクスに改称
   
ヘルスケア分野:血糖値測定システムほか
ビジュアル分野:デジタルビデオカメラ(DVD・DVC)、マルチメディアディスプレイ他
デバイスインダストリー分野:ブルーレイディスクドライブ、スーパーマルチドライブ、HDD用流体軸受モータ他
     
2007/4   松下電器改組
    ・松下電器の社内分社である「ヘルスケア社」をパナソニック四国に統合
・PC用光学ドライブ事業をパナソニック コミュニケーションズ(現:パナソニック システムネットワークス)に譲渡
   
     
2010/4   ヘルスケア事業のさらなる拡大に向け、ヘルスケア事業としての事業領域別体制に再編
    ・「デバイスプロダクツBU」「流軸モータBU」を統合し、「医療デバイスBU」
・「補聴器 BU」を新設
・「ビジュアルプロダクツBU」に、医療システム事業を加え、「医療機器・システムBU」
     
2010/10   パナソニックヘルスケアに改称
     
2012/1   パナソニック改組
    ・パナソニックに新たな社内分社としてヘルスケア社を設立
・三洋電機のバイオメディカ事業とメディコム事業はパナソニック ヘルスケアに統合
・パナソニック電工四日市のFCメディカル事業をパナソニック ヘルスケアの医療機器・システムBUに統合
・パナソニック ヘルスケアの医療デバイスBUを医療機器・システムBUに統合
   
   
・医療機器・システムBU:
  高性能で高品質な医療機器・システムの提供
  人口歯一次加工事業や注射薬払い出しロボット、医療用データストレージなど
補聴器BU 「オーダーメイド耳あな型」、「耳かけ型」、「ポケット型」など、豊富なラインナップ
・画像診断BU: 超音波診断装置を中心に、画像診断技術を駆使した機器を展開
         超音波診断装置や4Dプローブ、 POD半導体レーザー
・バイオ診断BU: 独自のバイオセンシング技術を駆使し、体外診断デバイスを展開
         血糖値測定シテテムや乳酸値測定システムなど
      * 補聴器と超音波診断は今後売却
     
現状  
・診断薬BU
・メディカルシステムBU
・補聴器BU
・画像診断BU
・インキュベーションセンター
・マーケティング本部
・R&Dセンター
     
(決定済)    
2014/1   超音波診断機器関連事業をコニカミノルタに譲渡
     
2014/3   補聴器事業をパナソニック システムネットワークスに事業移管

 


2013/9/12 未来技術遺産ー2013年 

国立科学博物館は9月3日、セメダインCやカシオSL-800、除虫菊を含む蚊取り線香など計22件を未来技術遺産として登録することを発表した。
   http://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/159444.pdf

化学関係は以下の通り。

1)00117号 量産初期のPVC樹脂製造装置

カネカ大阪工場

鐘淵化学工業が1950年に月産能力60トンで工業化した時の実験用重合機及び製造装置(5000L重合機、PVC反応1号炉、アセチレン発生器)

製造法は乳化重合法から懸濁重合法に、また原料もカーバイドから石油に移行する前のもので、国内に現存する最古級の塩ビ製造装置とされている。


 

1949年に鐘淵紡績が兵庫でVCM(アセチレン法)、PVC(乳化重合法)の試験生産を開始、1949年に鐘紡の非繊維部門の分離・独立により鐘淵化学が設立され、塩化ビニル試験設備を継承した。
  
1950年に大阪でVCM、PVCの生産を開始した。

当時は古河グループがGoodrich、三菱(日本化成)がMonsantoの、資本と懸濁法重合技術を導入する計画が進んでおり(日本ゼオンと三菱モンサント)、各社とも懸濁法の研究を行い、切り替えを図った。

同社は1951年に自社技術で懸濁法に転換した。
その後、1960年に高砂で、1970年に鹿島で、PVCの生産を開始した。
大阪工場は1995年に停止した。

VCMについては、同社はUCCからEDC法技術を導入して、1964年に高砂でEDC法VCMを工業化した。
その後、Staufferからオキシ法VCM技術を導入し、1968年に高砂でオキシ法VCMの生産を開始するとともに、東で信越化学などとともに鹿島塩ビモノマーを設立した。

2)00133号 セメダインC

1938年製作。日本初の合成接着剤。ニトロセルロースを主成分とする。

ーーー

1923年に今村善次郎が東京で接着剤類の製造販売を開始。
1941年に各種接着剤の製造販売を目的に有限会社今村化学研究所を設立。
1951年に販売会社としてセメダイン㈱を設立、1956年にこれを吸収合併して、社名をセメダイン㈱に改称した。

創業時にイギリス製の「メンダイン」と呼ばれる接着剤が隆盛で、同社も当初はこれを輸入販売していたが、創業者が「市場から攻め(セメ)出せ、メンダイン」との闘志を込めて、開発した製品に「セメダイン」という名前をつけた。

「接着剤」という言葉も今村善次郎が創った言葉だと言われている。

3)00135号 世界初の除虫菊を含む蚊取り線香

   大日本除虫菊

(1)1911~1914 棒状蚊取線香「金鳥香」

(2)1919~1925 渦巻型蚊取線香「金鳥の渦巻」

(3)1895    渦巻型蚊取線香 試作木型

(4)明治末期~1957 機械式手巻き用 線香押し出し機

(5)1930~1940 蚊取線香戦前の海外向けポスター群

(6)1896    「除虫菊栽培書」「日本の除虫菊」

(7)1902頃   木製 線香突き

蚊取線香については 2006/8/21 夏休み特集 蚊取り線香物語 ピレスロイドの歴史

 

過去に指定された未来技術遺産の化学関連のものは以下の通り。

2011/10/8   「未来技術遺産」

年度 登録番号 名称                                   所在地 製作年 詳細
2008 00009号 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル アロン化成
名古屋工場
1951 PDF
2009 00026号 池田菊苗博士抽出の第一号具留多味酸
— 日本最古のグルタミン酸 —
東大大学院 1908 PDF
00029号 【 アンモニア合成装置 】 輸入機器
(1) アンモニア合成塔
(2) 混合ガス圧縮機
(3) 清浄塔
— わが国初の本格的なアンモニア合成プラント —
旭化成
(延岡市)
1923 PDF
00039号 界面活性剤製造設備(TO リアクター)
— 世界で初めてα オレフィン・スルフォン酸塩の工業化に成功 —
ライオン
大阪工場
1976 PDF
2010 00051号 合成ガス循環機
— 日本初の国産アンモニア合成装置 —
昭和電工
川崎事業所
1930 PDF
00056号 ビニロン(ポリビニルアルコール繊維)
— 国産初の合成繊維 —
クラレ
岡山事業所
1950 PDF
00057号 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本
— 現存最古級の塩化ビニル被覆電線 —
古河電工
(市原市)
1950~
1955頃
PDF
00072号 上中啓三 アドレナリン実験ノート
— 高峰譲吉によるアドレナリン発見を決定づけた実験ノート —
教行寺
(西宮市)
1900 PDF
2011 00080号 硬質塩化ビニル板製造用プレス機
— 日本最古の硬質塩ビ板成形プレス —
三菱樹脂
長浜工場
1954 PDF
00082号 “テトロン”糸生産第一号機
— 日本初のポリエステル繊維製造装置 —
東レ
(三島市)
1958 PDF
2012 00095号 クロード法によるアンモニア国産化史料
  アンモニア合成管用台盤、運転日誌、分離器
下関三井化学 1923~
 1930
PDF
00097号 国産初のPVC製LPレコード 日本コロンビア 1951
00106号 世界初の木材用非ホルマリン系接着剤
 イソシアネート系PVA系接着剤量産工場
光洋産業
 富士工場
1972年

2013/9/13   米、日本向けLNG輸出 2件目を承認 

米エネルギー省は9月11日、住友商事が輸入契約を締結しているLNG輸出プロジェクト、Dominion Cove Point LNGに対し、Maryland 州 Calvert County にあるCove Point LNG Terminal から米国とFTAを締結していない国に対するLNGの輸出を承認した。(FTAを締結している国への輸出については、既に2011年10月7日に承認を受けている。)

輸出承認は日量770百万立方フィート(0.77Bcf/d )の天然ガスを20年間となっている。年間ベースでは525万トンの輸出枠となる。

Dominion Energyでは既に住友商事との間で年間230万トン、インドのGailとの間で230万トンの輸出契約を締結している。
住友商事では、東京ガスに対して140万トン、関西電力に対して80万トンの供給を約束している。

    http://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#sumisho

付記 本プロジェクトは2014年9月29日、米国連邦エネルギー規制委員会から建設許可を取得した。

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FTA非締結国向けの輸出については、法律により、公共の利益に反しないことという条件がついている。
今回の承認は4件目で、日本向けとしては大阪ガスと中部電力が契約している
Freeport LNGに次いで2件目となる。

エネルギー省は今回、輸出申請を慎重に検討し、特に、経済、エネルギー安保、環境への影響を考慮するとともに、LNG輸出に対する賛成、反対のコメント(20万件に及ぶ)を検討した結果、20年間の0.77Bcf/dの輸出は公共の利益に反しないと判断したとしている。
米国の天然ガスの開発が進み、EIAの予想では2013年の生産は日量 699.6億立法フィートに達するとしている。

承認を受けた4つの計画の概要は以下の通り。

これまでの3計画については  2013/8/12 米エネルギー省、非FTA締結国向けLNG輸出で3件目の承認

付記 エネルギー省は11月15日、Freeport に対し増量を認めた。1.4 Bcf/d→1.8 Bcf/d(20年間)

会社名 立地 概要
Cheniere Energy

本事業のため
Blackstoneが出資

Sabine Pass LNG Terminal
(Cameron Parish, LA)
承認:2011/5(FTA締結国向けは 2010/9)
数量:2.2 Bcf/d(年間1600万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   BG Group   550万トン
   Gas Natural (スペイン)   350万トン
   Gail(インド)   350万トン
   Kogas(韓国)   350万トン
   合計    1600万トン

  注. 承認時は韓国はFTA未発効

Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
数量:1.4 Bcf/d(年間900万トン)
     
→1.8 Bcf/d (年間1200万トン)(2013/11承認)
期間:20年間
輸出契約:
   大阪ガス   220万トン
   中部電力   220万トン
   BP Energy   440万トン
   合計     880万トン
Lake Charles Exports

株主:
Southern Union Company
BG Group
Lake Charles Terminal
(Lake Charles, LA)
承認:2013/8(FTA締結国向けは 2011/7)
数量:2.0 Bcf/d(年間1500万トン)
期間:20年間
輸出契約:未定
    BG Groupがパートナーのため、当然BGは対象
Dominion Energy Dominion Cove Point
  LNG Terminal
(Chesapeake Bay
 in Lusby, Md.)
承認:2013/9(FTA締結国向けは 2011/10)
数量: 0.77Bcf/d 年間525万トン
期間:20年間
輸出契約:
    住友商事  

230万トン

 
     (東京ガス)  

(140万トン)

 
          (関西電力)   ( 80万トン)  
   Gail(インド)   230万トン  
   合計    460万トン  
  http://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#sumisho

認可待ちの計画は以下の通り。

会社名 立地 概要
Cameron LNG

株主:
Sempra Energy 50.2%
三井物産 16.6%
Japan LNG 16.6%
(三菱商事
/日本郵船)
GDF Suez  16.6%

Hackberry, LA 承認:未(FTA締結国向けは2012/1)
数量:1.7 Bcf/d(年間1200万トン)
期間:
輸出契約:
   三井物産  

400万トン

 
   三菱商事  

 400万トン

 
   GDF Suez   400万トン  
   合計    1200万トン  
  http://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#LNG
Jordan Cove LNG

株主:
Veresen Inc

Port of Coos Bay, Oregon 承認:未
数量:1.0 Bcf/d(年間 600万トン)
期間:
輸出契約:未定

 


2013/9/14   カザフスタンのカシャガン油田、生産開始 

国際石油開発帝石(Inpex)は9月12日、子会社インペックス北カスピ海石油が参加するカザフスタンの北カスピ海沖合鉱区にある世界有数の巨大油田の
Kashagan油田 が9月11日より最初の生産井から原油の生産を開始したと発表した。

Kashagan油田は、カザフスタン共和国アティラウ州の州都アティラウの南東約80キロ、水深3~5メートルの浅海の海底下4,200メートルに位置し、縦横75km x 45kmの規模を有する巨大油田。2000年に発見され、2004年に商業的発見宣言を行った。

Kashagan油田は原始埋蔵量で350 億バレルの原油を有する世界でも有数の巨大油田で、この鉱区では南西カシャガン、アクトテ、カイランおよびカラムカスと4 つの既発見未開発構造を確認している。これらの開発で、将来、生産量が大幅に増加する可能性を有している。

なお、後記の通り、中国にCNPCの本計画への参加が決まった。

今回の生産開始は第一次開発分で、初期生産として日量18 万バレルの生産量が計画されており、その後日量37 万バレルまで生産量が引き上げられる予定。
 

インペックス北カスピ海石油は7.56%の権益を有し、本プロジェクトの操業会社であるNorth Caspian Operating Company(NCOC)を通じて、海外の大手石油会社と共に開発作業を推進してきた。

インペックス北カスピ海石油は 1998年 8月に設立された。
出資比率は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が50% 、Inpexが45% 、石油資源開発と三菱商事が各2.5%となっており、JOGMECが債務保証をしている。

これまでの開発投資額は412億ドルで、インペックス北カスピ海石油は31億ドルを負担した。

インペックスでは権益分の石油を他の石油会社などと原油のスワップ取引を行い、日本へ同等量の原油を供給する方針。

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Kashagan油田は、当初は2008年にも商業生産が始まる予定だったが、2010年後半に延期され、開発費も大幅に増加した。

これに対して、カザフスタン政府はスタートアップの遅延に不満を持 ち、介入した。

契約見直しでの石油販売取り分の増加(10%を40%に修正)を 要求
・2007年8月、開発工事に環境面その他で違反があったとして3カ月停止の処分
・同年9月、首相が、
KazMunaiGasを主要共同開発者とするよう要求
   「要求を受け入れなければ他の手段に訴える」とも述べ、外資の免許剥奪などの可能性も示唆
同じく9月 に下院が、外国企業との契約を一方的に破棄する権限を政府に与える法案を全会一致で可決した。

2007/9/6 カザフスタンの石油開発中断

2008年1月14日、カザフスタン政府はKashagan 油田の持分変更で合意したことを発表した。
他の権益者に合計 17.8
億ドルを支払い、国営KazMunayGas持分を倍増し、トップ4社に並 んだ。
スタート時期は
2011年末に延期された。

 

ConocoPhillipsは2012年に世界中の資産の見直しを行い、Kashagan 油田の権益をインドの国営石油探査会社のONGCに50億ドルで売却する契約を締結した。

これに対し、KazMunaiGas は本年7月、先買い権を使って、これを買収することを決めた。

中国の習近平国家主席は9月7日、カザフスタンの首都アスタナで同国のナザルバエフ大統領と会談した。
両国の元首は両国関係の発展状況について総括し、今後の協力に関する全面的な計画をまとめ、全面的戦略パートナーシップを深めることについて重要で幅広い合意に達した。

両首脳の見守るなかで、KazMunaiGasと中国のCNPCは、Kashagan 油田の権益 8.33%を約50億ドルでCNPCに売却する契約に調印した。
10月末までに取引が完了する。
これにより、インドのONGCの進出可能性は潰れた。

CNPCは同時に、KazMunaiGasに対し、Kashagan 油田の2020年以降の第二次開発に必要な資金の半分をカバーするため、30億ドルを支払う

これとは別に、カザフスタンの国営企業 Baiterekが産業プロジェクトを推進するのに対し、中国開発銀行と中国輸出入銀行がそれぞれ、30億ドルと50億ドルの借入保証を行う。

これらの結果、Kashagan 油田の権益の推移は下記の通りとなる。

  当初 2008/1 現状 備考
インペックス北カスピ海石油  8.33% 7.56% 7.56%  
Eni   18.52%   16.81%   16.81%  
ExxonMobil 18.52% 16.81% 16.81%  
Shell 18.52% 16.81% 16.81%  
TOTAL 18.52% 16.81% 16.81%  
ConocoPhillips  9.26%  8.40% 0% ONGCに売却KazMunaiGas に売却
KazMunaiGas  8.33% 16.81% 16.88% 先買権行使し、Conocoから8.40%購入。
CNPCに8.33%を売却
CNPC(China)     8.33% KazMunaiGas から購入
ONGC (India)     0% Conocoと契約するが、KazMunaiGas に取られる。

中国とカザフスタンを結ぶ石油パイプラインが完成しており、CNPCはこれを経由して原油を中国に送ることができる。

2006/5/29 中国−カザフ石油パイプライン正式稼動


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