2006-5-1

ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp



2016/1/16 サントリー、植物由来原料100%使用ペットボトルの開発に向けた実証プラントを建設

サントリーは1月13日、ペットボトル原料を生成する実証プラントを米国テキサス州に建設することを決定したと発表した。

サントリーは、植物由来原料(非食用)を用いたペットボトル原料生成を目指す米国バイオ化学ベンチャー企業 Anellotech と2012年から共同開発を開始し た。
両社は、ペットボトル原料の70%を構成するテレフタル酸の前駆体「パラキシレン」を、非食用の植物由来原料(ウッドチップ)のみから生成することを目指している。

このたび、研究室レベルでの検証に目処が立ったことから、商品への実用化に向けたペットボトル原料生成を行う実証プラントを テキサス州 Hardin CountyのSilsbeeに建設することを決めた。

本年1月下旬以降に着工し、年内に竣工・稼動予定で、ここでは植物由来原料(非食用)でペットボトル原料を生成する。

サントリーグループは、既にペットボトル原料の30%を構成するモノエチレングリコールを植物由来原料から生成し、実用化している。

今回の新技術を組み合わせ、植物由来原料100%使用ペットボトルを開発する。将来的には、「サントリー天然水」ブランドを中心に植物由来原料100%使用ペットボトルを導入する予定。

1) EG

豊田通商は2010年10月7日、台湾化学品メーカーの中国人造繊維(台北市)と50/50の合弁会社 台湾緑醇を設立すると発表した。

モノエチレングリコールをサトウキビ由来のバイオエタノールから製造するもので、原料のバイオエタノールはブラジル国営Petrobrasから2012年から10年間、毎年14万KL を引き取る契約を締結した。これを使用したバイオPETは、従来の石油由来PETと同等の品質を有していることが確認された。

2011年からは、トヨタ自動車の自動車内装材の一部に採用が開始された。さらに、2012年4月、韓国 Lotte Chemicalと提携し、GLOBIOブランドのバイオPET樹脂の生産・販売を開始し た。年間約20万トンのバイオPETを供給する。

2013年5月から、「サントリー 南アルプスの天然水/阿蘇の天然水/奥大山の天然水」のPETボトルへの採用が決定した。

2) キシレン

Anellotech Inc.は2008年創業のニューヨーク州Pearl River に本社・研究開発機能をもつバイオ化学ベンチャー企業 で、非食用の植物由来原料から石油精製品と同一性能を持つベンゼン・トルエン・キシレンを生成する技術開発を進めている。

キイとなる技術はUniversity of Massachusetts-Amherst のProfessor George Huberが開発し、Anellotechが完成した Thermo Catalytic Biomass Conversion (Bio-TCAT™) 技術で、ゼオライト触媒を使用し、バイオマス(木材、おが屑、トウモロコシ茎葉、サトウキビ搾汁後の残渣、その他非食材料)からBTXを生産する。

3) パラキシレン

今回、テレフタル酸の前駆体「パラキシレン」を、非食用の植物由来原料(ウッドチップ)のみから生成することを目指 す。

 


2016/1/17 東京ガスとBHP Billiton、米国のシェール関連で減損処理 

米国の天然ガス価格の値下がりで、シェール関連での減損処理が続いている。

1)東京ガス

東京ガスは1月15日、Tokyo Gas Americaが出資する米国テキサス州Barnett 堆積盆におけるシェールガス開発事業について、ガス・原油価格下落の影響を踏まえた事業価値の再評価をおこなった結果、106 億円の減損損失を計上する見込みとなったと発表した。

同事業では2015年3月期にも約240 億円の減損損失を計上している。

同社では天然ガス価格(Henry Hub)を100万BTU当たり3ドル程度を想定していたが、昨年末に2ドルを切っている。
(本年に入り、若干回復)

ーーー

東京ガスは2013年3月29日、Quicksilver Resources Inc.との間で、米国テキサス州Barnett 堆積盆におけるシェールガス開発事業の権益に関する売買契約を締結したと発表した。

東京ガスはTokyo Gas America の子会社としてTG Barnett Resources LPを設立し、Quicksilver がBarnett堆積盆でシェールガスを開発・生産している事業の権益25%を485百万米ドルで取得した。

同社持分のガス生産量は、LNG換算で約35〜50万トン/年と見込んでおり、米国内市場に販売する。

同鉱区はバーネット堆積盆の複数鉱区で、約13万エーカー。確認埋蔵量は天然ガス1.2兆立方フィート。

2013/4/2 東京ガス、米国でシェールガス開発事業に参加

 

2)BHP Billiton

BHP Billitonは1月15日、米国のオンショアエネルギー資産(シェールガス)について減損処理すると発表した。
72億ドル(税引き後で49億ドル)という過去最大の減損処理となる。

エネルギー資産の過去の減損処理の最大は 2013年の複数資産についての55億ドルであった。
同社はエネルギー事業では、2012年にFayetteville シェール分で28.4億ドルの減損処理を行ったが、2015年でも米国のシェールで28億ドル(税引き後で20億ドル)の減損処理を行っている。

同社では減損処理について、相場見通しの下方修正や開発計画の見直しを反映するもので、生産性は大幅に改善しているものの、これらがその効果を大きく打ち消したとしている。また減損処理で米国のオンショア事業の正味評価額は160億ドル前後に減少するとした。

また、稼働しているリグ(掘削装置)の数を1-3月期中に7基から5基に減らすほか、キャッシュフローを維持することを目指し年内の投資・開発計画を見直す方針も示した。

CEOは、「石油・ガス相場は業界の予想よりも大幅に下落している」と述べた。

ーーー

BHP Billitonは外国からの米国のシェールへの最大の投資者であり 、4つのシェールオイル (Eagle Ford、Permian、Haynesville、Fayetteville)で権益を有している。

BHPは2011年2月に、米天然ガス大手Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収した。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

2011年7月には、テキサス、ルイジアナ両州に約100万ネットエーカーのオイルシェール資産を保有するPetrohawk Energy の全株式を現金でのTOBで取得する契約を締結した。
買収金額は121億ドルで、借入金込では151億ドルになる。

この買収で、BHPはテキサスの
Permian BasinEagle Ford、テキサスとルイジアナにまたがるHaynesvilleの権益を取得 した。

2011/7/19  BHP Billiton、米のオイルシェール企業 Petrohawk Energy を買収

シェール以外では、米国で Gulf of Mexicoの海上油田(Shenzi、Atlantis、Mad Dog ほか)の権益(24%〜44%)を有している。


2016/1/18  LG Chem、農業化学に進出

LG Chem は1月8日、韓国最大の殺虫剤・肥料メーカーの東部ファーム韓農(Dongbu Farm Hannong)を5152億ウォン(約429百万ドル)で買収すると発表した。

親会社の東部グループの債権団が保有する50.1%の持分と東部グループの持分49.9%をすべて買収する。
確定調査及び企業結合審査などを経て、2016年3月まで契約を最終的に終了する予定。

LGでは、買収は新たな成長エンジンを確保する努力の一つであるとしている。中国経済の低迷でLGの主力事業の石化事業の成長には限度があるとみられている。

LGのパク・ジンス副会長は、
「世界的な化学企業は農化学事業を未来の主力事業として集中的に育成しており、LGも今回の東部ファーム韓農の買収で農化学事業に進出し、先進型総合化学会社に生まれ変わる準備を終えた」

「半世紀以上蓄積してきたLGのグローバル事業のノウハウと体系的な営業・購買力を集中してグローバルTop 10 企業に積極的に育成する」
と述べた。

東部ファーム韓農は韓国最大の農業化学メーカーで、農薬市場では27%のシェアを持ち、種子と肥料市場では業界2位で19%のシェアを持っている。
独自に開発して保有した農作物種子は600種あまりに達する。

付記

東部ファーム韓農(Dongbu Farm Hannong)は4月19日、ファーム韓農(FarmHannong)と改称した。

ーーー

東部ファーム韓農は、韓国の財閥の東部グループの一員である。

東部グループは、2015年4月時点で総資産額が約18兆ウォン(約1兆9000億円)と韓国財閥で18位で、系列企業は建設や半導体、証券、保険など64社にものぼる。

しかし、韓国の経済改革研究所が行った調査で、負債比率が200%を上回り、営業利益/利子が100%を下回って「不良リスク兆候」と分類された10グループの1つである。(他は、現代、韓進、韓国GM、ハンソル、ハンファ、韓進重工業、大成、東国製鋼、大林)

このうち、東部は、現代、韓進、東国製鋼、大成、韓進重工業とともに、2012年以降3年連続で負債比率が200%を超えており、「よりリスクが高い」と判定された。

聯合ニュースが昨年、東部グループについて、負債比率が400%を超える過剰債務のグループ企業が24社あると報じたが、このうち中核企業だった東部製鉄も取引銀行など債権団の管理下に入っている。東部製鉄は子会社である東部特殊鋼を現代製鐵に売却することに合意した。

2015年12月31日に東部グループ傘下の東部建設が裁判所に法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請した。
同社は2018年の平昌五輪のそり会場などの施工にも参加しており、平昌五輪の準備の遅れが懸念されている。

東部グループは2015年3月31日、東部ファーム韓農の系列分離及び売却を決め、公正取引委員会に系列分離を申請することにしたと発表した。

当初、日本のオリックスグループが買収するのではと見られており、問題視された。

1997年の通貨危機により、国内シェア上位の4社が外国の企業に売却された。

国内シェア1位の「フンノン種描」と3位の「中央種描」は多国籍企業Seminisに売却され、そのSeminisは2005年にMonsantoが買収した。
「ソウル種苗」はNovartisに、「チョンウォン種苗」は日本のサカタに売却された。

これにより、大根、白菜、唐辛子などの所有権の5割、玉ねぎ、人参、トマトなどの所有権の8割が外国企業に渡ったという。

LGは2015年9月に予備入札に参加、11月に本入札参加を通じて優先交渉者に選定された後、買収に向けた主要な条件が合意され、本契約を締結することになった。


2016/1/18 アジアインフラ投資銀行の開業式典 

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の開業式典が1月16日午前、北京釣魚台国賓館で開催された。

2015年6月29日の設立協定の調印式では、創設メンバーとして参加を表明していた57か国のうち、フィリピンなど7か国が設立協定への署名を見送った。

その後、これら各国も順次署名し、最後に残ったフィリッピンも発言権などで優遇される「創設メンバー」の地位を得る最終期限である12月31日に署名、全57カ国が署名した。

AIIBは、協定に署名した国々のうち10カ国以上が協定を批准し、批准国の出資金の合計が全体の50%以上に達した段階で設立される仕組みだが、中国は11月4日に批准した。英国のオズボーン財務相は12月3日、 英国がG7の中で最初に批准したことを明らかにした。
その後、ドイツ、韓国、オーストラリアなどが批准し、12月25日時点で17カ国・出資金の合計 50.08%となり、発足した。

2015/12/26 アジアインフラ投資銀行 発足 

付記

韓国企画財政省は2月3日、投資リスク管理担当の副総裁に、韓国産業銀行会長の洪起沢氏が承認されたと発表した。

副総裁は、一般行政、投資運営管理、加盟国・理事会支援、中長期政策・戦略担当を含めた計5人。いずれも任期3年で、北京に常駐して勤務する。
うち投資リスク管理担当ら3人の副総裁は、金立群総裁とともに、具体的な投資を決定する投資委員会を構成する。

理事会は12か国で構成され、現時点で、中国、英国、ドイツ、インド、ロシア、韓国、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)、ネパール、インドネシア、トルコの11か国の理事派遣が決まっている。残り1か国は加盟参加の国会批准待ちという。

中国の習近平国家主席が式典で挨拶し、「各メンバー国の共同の努力により、AIIBは必ずや、専門的、効率的でクリーンな21世紀の新型多国間開発銀行となり、人類の運命共同体を構築する新たなプラットフォームとなり、アジアと世界の発展・繁栄促進に貢献を果たし、世界経済ガバナンスの改善に力を添えることができるだろう」と強調した。

AIIBの設立・開業は、アジア地域のインフラ投資を効果的に増やし、地域の相互連結と経済一体化を推進するばかりでなく、アジアの途上国の投資環境改善、雇用創出、中長期の発展の潜在力向上に役立ち、アジアおよび世界経済の成長にプラスの作用をもたらすだろう。

AIIBは開かれた地域主義を貫き、既存の多国間開発銀行と相互補完し、その強みと特色でもって既存の多国間体制に新たな活力を注ぎ、多国間機関の共同発展を促し、互恵・ウィンウィンの、専門的・効率的なインフラ投融資のプラットフォームになれるよう努力しなければならない。

AIIB提唱国である中国は、確固としてその運営と発展を支援していく。期日通りに資本金を支払うほかに、間もなく設立されるファンド「プロジェクト準備特別基金」に5千万ドルを拠出し、後進国メンバーのインフラプロジェクト実施を支援する。

AIIBは各メンバー国のものであり、地域と世界の共同発展を促進するためのものだ。我々は、各メンバー国の共同の努力により、AIIBが必ずや、専門的、効率的でクリーンな21世紀の新型多国間開発銀行となり、人類の運命共同体を構築する新たなプラットフォームとなり、アジアと世界の発展・繁栄促進に貢献を果たし、世界経済ガバナンスの改善に力を添えることができると信じ、期待している。

開業式典では、AIIBの創設メンバー57カ国の代表団団長がAIIBの正式な開業を表すボタンを共に押し、習近平主席がAIIBのシンボルとなる「点石成金」のモニュメントの除幕を行った。

このシンボルには、AIIBを通じて「石を金に変える」奇跡を生み出し、アジアおよび世界経済の持続可能な発展を推進したいというメンバー国の期待が込められている。


AIIBの金立群・初代総裁が1月17日、北京市内で就任後初めて記者会見した。

AIIBの仕事のやり方を "Lean, Clean and Green" であると述べた。

Lean:with a small efficient management team and highly skilled staff
Clean:an ethical organization with zero tolerance for corruption
Green:an institution built on respect for the environment

官僚的な組織の非効率さなどを指摘される既存の国際機関の欠点を乗り越えることで、存在感を発揮したい考えで、「実行力を伴う21世紀型の国際開発銀行にする」と語った。

参加を見送っている日米などには、「ドアは開き続けている」と述べ、引き続き、参加を歓迎する考えを示した。


 


 
2016/1/19    住友商事、マダガスカルのAmbatovy ニッケルプロジェクトで約770億円の減損損失を計上  

住友商事は1月13日、マダガスカルで進めてきたニッケル採掘・精錬の「Ambatovy Nickel Project」に関してニッケル価格の下落を理由に約770億円の減損損失を計上すると発表した。

同社は、原油や鉄鉱石などの価格も下落していて、さらに損失を計上する可能性もあるとし、2015年10月30日に公表していた3月期の最終利益 2300億円の予想を「未定」として撤回した。

足元のニッケル価格の下落を踏まえ、中長期価格の見通しを見直した結果、プロジェクト会社が保有する固定資産の簿価を全額回収することは困難と判断したとしている。

Ambatovy Nickel Projectに40%出資するSherritt Internationalは1月13日に以下の発表を行った。

製品市価の下落から、税引き後で24億米ドルの評価損を認識(ニッケルの長期的価格として US$8.50/lb を前提)

Sherrittの損失持分は9.6億米ドル(13億カナダドル) で、これに鉱業権などの分を加え、16億カナダドルの損失を計上する。

これを住友商事(32.5%)に当てはめると、7.8億ドルとなる。
(但し、2015/9までは出資比率は27.5%であり、9月末に買収した5%の買値なども考慮し、評価損を計算したと思われる。)

2010年稼動を目指して投資を決定したが、生産開始は約2年ずれ込んだうえ、総事業費は当初見込みの33億ドルから72億ドルに拡大、2010年頃には1ポンド10ドル前後であったニッケル価格は3.8ドルに下落している。住友商事では2020年時点のロンドン金属取引所のニッケル価格を当初想定の1ポンド当たり10−11ドルから8.5ドルへと引き下げた。

ーーー

住友商事は2014年9月に米国のタイトオイル開発などで2700億円の大幅な損失を計上すると発表した。

2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上

当ブログでは2015/1/29の丸紅の減損損失の記事で、これに触れ、以下の通り述べている。

「住友商事はアフリカで世界最大級のニッケル鉱山開発を進めているが、操業開始が大幅に遅れたほか、市況急落もあり、損失を計上する可能性がある」

ニッケル価格はその後も値下がりを続けており、他の株主とも協議し、損失計上を決断したと思われる。

ーーー

住友商事は2006年10月30日、マダガスカル共和国で日加韓共同で大型ニッケル資源の開発を推進すると発表した。

前年の2005年8月に住友商事とカナダのDynatec Corporation が契約を締結、2005年10月に住友商事25%出資でスタートしたが、1年後にKorea Resources CorporationとSNC Lavalin が参加し、新体制でスタートしたもの。

ニッケルの鉱石から地金までの一貫生産を行う Ambatovy Nickel Project の概要は下記の通り。

付記 住友商事は2017年5月2日、本件のストラクチャー変更で基本合意したと発表した。 青字が変更後。
    
Sherritt は資金難で2015年末から拠出を停止して、住商や韓国資源公社が出していた。
                
Sherritt は12パーセントに出資比率を落としてオペレーターを継続するとともに、2015年末より停止していた株主資金拠出を、停止時点に遡って新しい持分比率に応じて再開 する。
      住商の肩代わり分は債権を出資に変えるもので新支出はない。

合弁会社名 @ Ambatovy Minerals  ニッケル採掘
A Dynatec Madagascar   ニッケル精錬
株主
(当初)    
住友商事 27.5%

 ファイナンスの組成と販売を担当

Korea Resources Corporation 27.5%

 ファイナンスの組成と販売を担当

Dynatec Corporation (Canada) 40.0%

 操業を担当

SNC Lavalin Inc. (Canada)  5.0%

 設計/資機材調達(EPCM)を担当

   

 

Dynatec  はエンジニアリング・鉱山会社で、ニッケルについては、最高レベルの知見・経験を持つ。

SNCは幅広い分野で設計・エンジニアリング・建設・操業マネジメント
を実施する世界有数のエンジニアリング会社で、ニッケルの湿式製錬プロジェクトを手がけた実績を持つ。

Korea Resources(韓国鉱物資源公社)海外資源開発投資の国策会社

(現状)
住友商事 27.5%→32.5%

→47.7%

 2015/9 SNC Lavalin分5% を買収(後記)
Korea Resources Corporation 27.5%

→40.3%

 
Sherritt International (Canada) 40.0%

→12%

 2007 Dynatec を買収
       
住友商事と韓国鉱物資源公社はそれぞれ、ニッケル地金の50%の販売権をもつ。

立地

Ambatovy鉱山はAntananarivoから東へ80km、海抜1,000m程のAmbatovyに位置する。
鉱山面積は約1,300haで、鉱石は深さ20m〜100mを削ぎ取るように露天掘りで採掘される。
発掘後、水と混合させたスラリー状態にして、スラリーパイプラインで東海岸の港町Toamasiaまで220km運 び、精錬する。

初期投資 2006/10時点 25億米ドル→2007/8時点 33億米ドル

2007年8月、21億米ドルのプロジェクトファイナンス契約を締結
 国際協力銀行(協調融資を含め7億米ドル)
 韓国輸出入銀行(同 6.5億米ドル)
 カナダ輸出開発公社(3億米ドル)
 欧州投資銀行(3億米ドル)
 アフリカ開発銀行(1.5億米ドル)


2013年3月の報告では、これまでの投資総額はパイプラインの設置、鉄道などのインフラ、ニッケル地金生産のためのリファイナリー向けなど、約55億ドルを上回った。

現在の報道では72億ドルとされる。

能力
ニッケル地金 60,000トン  2011年世界シェア 4%
コバルト地金 5,600トン       同上       7%
硫安  190,000トン  
鉱山寿命 少なくとも27年間を想定
当初、生産開始は2010年初頭としていたが、ニッケル価格低下や、現地の政権交代、採用する生産技術の複雑さなどが相まって、延期が続き、2014年1月にようやく生産を開始した。

2014年1月23日、プラントでの鉱石処理量が30日間平均でフル生産時の70パーセントに到達し、商業生産を開始したと発表。

2015年9月30日、5%を出資するカナダのSNC Lavalin Inc. はオプションを行使し、権益を住友商事に約6億カナダドル(4.18億米ドル)で売却した。

設計/資機材調達(EPCM)を担当するSNC LavalinはFinancial Completion (財務面でみた完工)時に離脱するオプションを持っていた模様。
本プロジェクトは2015年9月21日に
プロジェクトファイナンス契約上の全10の条件を達成し、Financial Completion となった。

Financial Completion となると、プロジェクト・ファイナンスは、ノンリコース・ローン(非遡及型融資)に切り替わる。

ーーー

豪州では、ニッケル精錬を手掛けるQueensland Nickel が1月18日、経営破綻した。ニッケルの市況が悪化し、債務不履行に陥った。
同社は豪州の富豪で下院議員のClive Palmer が100%出資している。

同社はニッケル原料をニューカレドニアなどから輸入している。

 

 

 



2016/1/20 GE、厨房機器など家電製品部門をハイアールに売却 

GEは1月15日、厨房機器など家電製品部門を中国の海爾集団 ( Qingdao Haier Co., Ltd.) に54億ドルで売却する契約に調印したと発表した。

GEの家電製品部門は厨房機器を中心に、下記製品を扱っている。

厨房機器(冷蔵庫、食洗機、電子レンジ・オーブンなど)
洗濯機
湯沸かし器、フィルター
エアコン
カメラ等

GEは選択と集中を進め、戦略外の家電製品事業を売却し、ガスタービンや航空機エンジンなどに注力する方針で、2014年9月8日 にスウェーデンの家電大手 Electrolux ABに 33億ドルで売却することで合意した。

しかし、米司法省が、「調理コンロやオーブンなどでシェアが高い両社の事業が統合されると、価格が上がって米消費者に不利益が生じる」と主張し、2015年7月1日、この売却を禁止することを求める訴訟を提起した。

この訴訟の決着はついていないが、GE がギブアップし、2015年12月7日、売却を中止すると発表した。

GEとElectroluxとの契約では、売却が実行できない場合、Electrolux がGEに解約金 175百万ドルを支払うこととなっており、GEはこの支払を求めた。

Electrolux は、同社が承認の取得に多大の努力をしており、裁判が進行中なのにGEが契約を打ち切ったのは遺憾であるとしており、解約金の支払についてはどうするか検討するとしていたが、結局支払いに同意した。

2015/12/11 米General Electric 、厨房機器事業の売却を中止

GEは今回、Haier への売却を決めたもので、売却金額はElectroluxの33億ドルに対し、54億ドルと大幅にアップとなった。
GEは売却益で2016年のリストラ費用をまかなう。

GEの家電製品事業の昨年の売上高は59億ドルで、米国の白物家電市場ではワールプール次ぐ2位。

Haierはこの買収により、5%未満にとどまっている米市場のシェアを一気に強化する。

HaierはGEブランドを引き続き使用する長期契約を締結した。 米国内の9工場のほか、販売や仕入れのネットワーク、アフターサービスのための拠点を手に入れる。家電の研究開発部門も引き継ぐ。

両社は、家電以外でも、インターネット、ヘルスケア、先進的製造でも長期的な戦略的パートナーシップをつくる。

GEは Haierが工場の効率を高めるのを手伝い、HaierはGEが開発したIoT基盤「Predix」の実施を手助けする。
社は、中国での手頃なヘルスケア事業の開発、拡大に協力する。

ーーー

Haierは2011年7月、三洋電機の日本、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムにおける冷蔵庫、洗濯機、その他家庭用電化製品事業の買収について基本合意し、同年10月に最終合意した。

日本国内においては「Haier」および「AQUA」両方のブランド名を使うダブルブランド戦略を展開、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアでは「Haier」ブランドと共に、一定期間「SANYO」ブランドも並行して使用する。

2012年にはニュージーランドの家電メーカー Fisher & Paykel Appliances を買収している。

 


2016/1/21  ガス絶縁開閉装置カルテルに関する欧州一般裁判所の判決 

欧州一般裁判所は1月19日、ガス絶縁開閉装置の欧州での販売に関するEU競争法違反に関して、三菱電機と東芝が制裁金の減額を求めていた裁判で、提訴を棄却し、欧州委員会の主張を支持する内容の判決を下した。

この結果、欧州市場でのカルテルに参入しないということを決めて摘発された場合も、制裁金の計算で、参入した企業と同じ扱いを受けることが確定した。
(欧州市場でのカルテルに参入しないということを決めることが違法であることは、2013年12月の判決で確定している。)

ガス絶縁開閉装置は、しゃ断器、断路器、母線等をガスを封入した金属容器に収納して構成された開閉機器システムの総称。

付記

東芝はこれを不服として2016年3月、欧州司法裁判所に上訴した。(三菱電機は上訴せず)

2017年7月6日、東芝単独として56.8百万ユーロ及び三菱電機との連帯責任として4.65百万ユーロを賦課するとの欧州委員会の決定を支持する旨の欧州司法裁判所の判決を受領した。

 

本件経緯は下記の通り。

(単位:千ユーロ) 2007/1
 制裁金
2011/7
一般裁判所
  2012/6 
 制裁金
事実関係 制裁金
EU発表 各社発表 2013/12
司法裁判所
2016/1
一般裁判所
Siemens(ドイツ)   396,563   却下 上訴   却下  
Siemens(オーストリア)    22,050            
ABB(スイス)       0            
三菱電機 2002/10  JV
 
TMT & D
  118,575 113,920 連帯
4,650

取り消し
(違反有・ 計算誤り)

上訴 74,817

連帯
  4,650

却下 2012/6の制裁金が確定
東芝    90,900 86,250 56,800
Alstom(フランス)    11,475            
Areva/Alstom(フランス) 53,550            
日立製作所    51,750   却下        
Schneider(フランス)    8,100            
富士電機システムズ    3,750   情報提供
減額→3,550
       
日本AEパワーシステムズ
(富士電機システムズ、
日立、明電舎のJV)
   1,350            
合計   750,713            

 

1) EUの欧州委員会は2007年1月24日、電力用ガス絶縁開閉装置で国際カルテルを結んでいたとして日欧10社に7億5千万ユーロの制裁金支払いを命じた。

少なくとも1988年からカルテルを結んでいたとされる。
日本企業は欧州での販売実績はほとんどないが、上記の取り決めに従って
欧州で応札せず、直接的に欧州での競争を制限したため制裁金が課せられた。

当初のEU発表分では、三菱電機 118,575千ユーロ、東芝 90,900千ユーロとなっているが、
各社が受け取った通知は、
三菱電機 113,920千ユーロ、東芝 86,250千ユーロ、JV連帯 4,650千ユーロとなっており、その後のEU発表も後者となっている。

2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金

2) これに対し、Siemens、三菱電機+東芝、日立、富士電機システムズが処分の見直しを求めて欧州一般裁判所に提訴した。
   日本企業各社は欧州競争法に違反する行為を行っていないとして提訴。
   Siemensは、「制裁金の額は無茶苦茶で、どうしてこんな額になるのか理解できない」として提訴した。
   
3) 2011年7月に一般裁判所の判決があった。
  欧州で販売していない日本企業に制裁金が課せられたことについては、欧州市場は欧州企業に、日本市場は日本企業とという(書類にはない)合意があり、日本側は欧州市場への参入を行わず、欧州側は欧州市場割当の結果を日本側に連絡していること、欧州側は日本市場への不参入を約束するとともに、一部の海外市場に参入しないことを約束していることから、カルテルに参加していると認めた。

Siemensと日立は却下、富士電機システムズ は情報提供を評価し、制裁金を減額。
三菱電機と東芝については、事実認識についてはEUを支持、制裁金については
算定基準の違いを理由に決定を無効とした。

欧州委員会が三菱電機と東芝には2001年の売上高を使用し、欧州企業には2003年の売上高を使ったことを問題とし、平等な扱いでないとみなした。

欧州委員会が年度を変えた理由は、東芝と三菱電機は2002年10月に両社の電力系統・変電事業を統合して50/50の合弁会社TMT & Dを設立した(2005年4月末に解消)が、カルテルにはJVではなく、東芝と三菱電機として参加していたため、JV設立前の両社の売上高を採用したもの。

裁判所は、意図は理解できるが、何か別の方法を使用することにより、日本企業を不平等に扱わないようするべきであったとし、平等処理の原則に反しているとして、制裁金を取り消した。

2011/7/15 欧州一般裁判所、東芝・三菱電機への電力用ガス絶縁開閉装置カルテル制裁金を取り消し

4) 事実認識(有罪・無罪)について、Siemens と三菱電機/東芝が上訴。
司法裁判所は2013年12月にこれを却下した。

この判決により、日本企業が欧州市場で販売をしない約束をすれば、カルテルに参加していると判断され、制裁金を命じられることとなった

2013/12/27 ガス絶縁開閉装置事業のカルテル制裁金に関する欧州司法裁判所の判決

5) 2011年7月の判決に基づき、2012年6月に三菱電機/東芝に対し欧州委員会から新しい制裁金(他社と同じ2003年の TM T&Dの売上高から計算)が下されたが、両社は減額を求めて一般裁判所に提訴。
6) 今回の判決で確定。
   

今回の判決の理由は下記の通り。

1)欧州市場に参入しないとしただけで、欧州のマーケットシェアの配分に参加していないため、減額すべきとの主張に対して:

欧州市場に参入しないと決めたことで、欧州市場のマーケットシェア配分が欧州のメーカー間で実行できることが確実となり、全体として違法行為に貢献しており、責任度合を減らすことは出来ない。

2)2003年のそれぞれの会社の売上高を基準に計算すべきとの主張に対して:

2011年の判決では、両社に対してのみ2003年ではなく2001年の売上高を使ったとして無効としたため、制裁金は2003年の売上高を基に計算することとなる。
しかし、両社は
この事業を統合して50/50の合弁会社TMT & Dを設立したため、両社の2003年の売上高はゼロである。このため、2003年のTMT & Dの売上高を使用することは妥当である。


2016/1/22  三菱商事、米国の CIMA Energy を完全子会社化

三菱商事は1月20日、全額出資子会社のMC Global Gas Corporation(MCGG)を通じて、米国テキサス州のガスマーケティング会社であるCIMA Energy 完全子会社化すると発表した。
 
CIMA Energy は、Houstonを拠点に、ガス及び原油のマーケティング事業を展開しており、北米市場にて既に 1,500社に上る顧客基盤と確立された取引プラットフォームを有している。
 
三菱商事は2008年6月に同社のリミテッド・パートナーシップ持分34%を取得し、この市場に進出したが、今回、残り持分66%を取得することで合意した。

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三菱商事は北米天然ガス事業として、米国ルイジアナ州のCameron LNG、カナダシェールガス上流開発事業や、LNGカナダプロジェクトへの参画を通じた同国からのLNG輸出事業等を推進しており、生産されたLNGは、在シンガポールの子会社 Diamond Gas International を通じて、日本をはじめ、欧州、アジア新興市場等の需要家へ販売する予定。
 

    Cameron LNG:

三菱商事と三井物産は2013年5月17日、Cameron LNGの設立契約と天然ガス液化加工契約を締結した。
三菱商事は日本郵船とのJV (Japan LNG Investment) で参加、他にGDF Suez (2015/4 Engie に改称)も参加する。

Cameron LNGを設立し、年間400万トンx 3基の設備の1基ずつを三井、三菱、GDFSが委託することとなる。

Cameron LNGはルイジアナ州HackberryのLNG輸入基地の輸出基地への転用工事を2013年後半より開始し、総工費60億ドルで1系列年間400万トン能力の液化設備3系列(合計能力 1,200万トン)を建設し、2016年末より生産・輸出する計画を検討している。

2012/4/20 三菱商事と三井物産、米国産LNGを輸入へ 

米エネルギー省は9月10日、Cameron LNGに対し、FTA非締結国向けのLNGの輸出の最終承認を与えた。

輸出承認は日量1.7Bcf の天然ガスを20年間となっている。年間ベースでは1200万トンの輸出枠となる。

2014/9/12 米エネルギー省、Cameron LNG にFTA非締結国向け輸出の最終承認 

    カナダシェールガス上流開発事業:

三菱商事は2010年8月24日、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。

その後、中部電力、東京ガス、大阪ガスと石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が参加した。

2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画
2011/5/14 中部電力、東京ガス、大阪ガスと
JOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加 

    LNGカナダプロジェクト

三菱商事は2012年5月、Shell Canada、韓国ガス公社(Kogas)、中国石油天然気(PetroChina) とのLNG輸出計画、「LNG Canada」構想を発表した。

2012/5/17 Shell、三菱商事等の「LNG Canada」計画 

ーーー
 

今回の完全子会社化で、CIMA Energy はLNGプロジェクト向けの原料ガスの調達支援業務、輸送手配、数量調整業務、パイプラインに対する輸送契約管理等、北米天然ガス事業に於けるオペレーション業務の核を担うこととなり、北米に於ける生産から販売までのバリューチェーンの強化、安定化に寄与することとなる。
 
Cameron LNGでは、CIMA は窓口である MC Global Gas Corporation に対し、原料ガス、パイプライン、ストレージ管理等での業務支援を行う。


2016/1/23 Samsung 製品に特許侵害で販売差し止め命令 

2011年4月に提訴された Samsung と Apple の特許裁判では、既報の通り、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われたが、Samsung が12月14日に米最高裁判所に上告するなど、今も争いが続いている。

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く

これとは別の両社の争いが今回、決着を見た。

2016年1月18日、カリフォルニア州の連邦裁判所は差し戻し審で、SamsungがAppleの特許権を侵害したと認めた上で同社製スマートフォンの販売を差し止める決定を下した。

「スライドでロック解除」「スペル自動補正」「クイックリンク」に関する特許侵害で、これらの技術を使用するSamsung製端末の Galaxy Nexus、Galaxy Note、Galaxy Note 2、Galaxy S2、Galaxy S2 Epic 4G Touch、Galaxy S2 Skyrocket、Galaxy S3などの販売が差し止められた。

この決定の効力は、判決から30日後に生じるが、クイックリンクの特許に関しては、偶然にも2016年1月末日で特許権自体が消滅する。

今回の決定によって販売差し止めが認められた機種は、いずれも数年前に販売されていたスマートフォンで、販売禁止の影響はSamsungに対してほとんど影響を与えないと見られている。

しかし、特許権侵害によって製品の差し止めが認められたという事実は、Appleの今後の販売戦略上大きな意味を持つ。


2014年3月にAppleは2011年の提訴とは別の5つの特許侵害で、またSamsungも自社の2つの特許侵害で、互いに相手を訴えた。

2014年5月2日、カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁の陪審は、AppleとSamsung双方の特許権侵害を一部認め、 Samsungに対しては(Appleによる22億ドルの請求に対し)119.6百万ドルの賠償金を、Appleには(Samsungによる620万ドルの請求に対し)158.4千ドルの賠償金を、それぞれ支払うよう命じた。

Appleの特許のうち、2つは特許侵害はなかったと認定した。

2011年の提訴では、陪審は1,050百万ドルのAppleの損害を認定した。
この場合は意匠権が含まれており、米国の特許法では、意匠権の侵害では侵害者が得ていた利益を全額賠償金として請求できる制度があるので、賠償金が巨額になりやすい。

今回は意匠権は対象になっておらず、狭義の特許権5件が対象のため、このような少額の損害認定となった。

Appleはこの判決を基に販売差し止め命令を求めたが、Koh判事は2014年8月、「Appleが被った不利益は損害賠償によってまかなわれている」として、これを却下した。

しかし、巡回控訴審2015年9月17日、Apple はSamsungに対し、特許を侵害する機能の搭載差し止めを求める権利があると認め、一審判決を破棄し、連邦裁判所に再審理を求めて差し戻した。

「競合相手による財産権の使用を排除する権利は重要なものであり、この排他性を維持する権利は、アメリカ合衆国憲法に由来する権利であり、特許権の本質である」とし、第一審判事は「Samsungの侵害に禁止命令を出さず、裁量権を乱用した」と述べた。

 


2015/1/25    2015年の日本の石油化学製品の出荷実績

2015年の統計がほぼ出揃った。国内出荷はほぼ、前年並みとなった。

 

LDPE、HDPE、PPの内需内訳は未発表
  2000年 2015年 増減
国内 1,600 1,335 -265
輸出 266 197 -69
....
  2000年 2015年 増減
国内 1,005 752 -253
輸出 237 110 -127
....
  2000年 2015年 増減
国内 2,306 2,337 31
輸出 357 197 -160
....
  2000年 2015年 増減
国内 985 636 -349
輸出 148 23 -125
....
  2000年 2015年 増減
国内 2,240 1,412 -828
輸出 802 1,010 208
....
  2000年 2015年 増減
国内 410 230 -180
輸出 184 128 -56
....
  2000年 2015年 増減
国内 1,679 1,008 -671
輸出 746 567 -179

PVC国内需要は1996-7年の半分の水準
(住宅着工件数減、塩ビ管出荷減に対応)

....
  2000年 2015年 増減
国内 1,750 1,122 -628
輸出PVC用 746 567 -179
VCM輸出 477 874 397
....
板(注型+押出)は2003年が最高で、その後激減し、1/3の水準。

成形材料は好調が続く

2016/1/26 Google、追加納税で英税務当局と合意 

Googleは1月22日、英国の税務当局(歳入関税庁)との間で、過去の税金の滞納分を追加で納税することで合意した。
2005年以降の追加分として130百万英ポンド(約220億円)を納税、今年以降も従来よりも高い税率で法人税を納める。

Googleは英国で多額の収入がありながら、課税を逃れていると批判されている多国籍企業の1社で、英当局は6年間調査を続けてきた。

英国はGoogleにとって最大の市場の一つであり、2013年の英国での売上高は38億英ポンドもありながら、税金は2040万英ポンドしか払っていない。

Google は海外事業について、法人税率が12.5%と欧州最低水準のアイルランドに欧州の本社機能を置き、権利(無形固定資産)を安い対価で移している。
さらに、この会社は法人税がゼロのバミューダで管理するため、アイルランドでは非居住者となり法人税が免除される。

アイルランド会社が事業を行い、ライセンス収入はオランダ子会社経由でアイルランドに移すことで源泉税を免れている。

Jeffrey Sachsの“The Price of Civilization”によれば、2006年に米国税庁(IRS) がGoogleと秘密協定を結び、この扱いを認めたという。

Googleは、これは合法であり、国際的なルールに従っているとしてきていた。

しかし今回、システムを変更し、英国での利益について英国で税金を支払う。

同社は発表で「国際的にルールが変更されつつあり、英国政府は新しいルール適用でリードしている。従って当社はやり方を変更する。今後適切な税金を支払う」と述べた。

経済協力開発機構(OECD)や20カ国・地域(G20)が昨年秋にまとめた課税ルールでは、多国籍企業に対して実際に事業を営む国で納税することを求めている

遡及納税することは過去に脱税をしているとの批判が正しかったということかとの質問に対しては、これを否定し、その時その時のルールに従っており、今回新しいルールに従って税金を納めるということだと述べた。

歳入関税庁は、多国籍企業は払うべき税金は払わなければならないとし、企業の規模の大小にかかわらずルールを適用するとしている。

付記

1月17日付の英 Financial Times はこれについて、不透明な合意と批判している。
どのような基準で課税したのかが不明であり、新たに設けた税率の根拠も示しておらず、従来より公正かどうか分からないとしている。

ーーー

欧州委員会は2013年6月以降、メンバー各国の租税ルーリング制度を調査している。

2015年10月にはStarbucksがオランダ政府から、Fiat Finance and Tradeがルクセンブルグ政府から、それぞれEUでは違法となる優遇税制を受けていたと判断した。

2015/10/27 欧州委員会、StarbucksとFiatの税優遇を違法と認定、追加徴税を指示

現在、アイルランドのApple、ルクセンブルグのAmazon、ルクセンブルグのMcDonald's の優遇措置を調査している。

2014/11/27 欧州委員会、オランダのStarbucks への税優遇の内容を公表 Amazonも

2015/12/9   EU、McDonald'sに対するルクセンブルグの法人税優遇措置を調査
 

EUは1月11日、多国籍企業約35社に対するベルギーの「超過利益 ("Excess Profit" ) 制度」と呼ばれる優遇税制度を違法とする判断を下し、約 7億ユーロの追徴課税を求めた。

2016/1/14    EU、ベルギーの「税優遇制度」は違法


2016/1/27 建設アスベスト訴訟で国が3度目の敗訴 

建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込んで健康被害を受けたとして、大阪や兵庫などの元建設労働者や遺族ら計30人が、国と建材メーカー41社に計6億9300万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は1月22日、規制に遅れがあったとして国の責任を一部認め、原告14人に計9746万円を支払うよう命じた。

同様の集団訴訟は全国6地裁で起こされ、判決は4件目で、国の違法性を認めたのは2012年の東京、2014年の福岡両地裁判決に続いて3件目。
メーカーの賠償責任はいずれも認めていない。これについて弁護団は控訴するとしている。

1月29 日には京都地裁で5件目の判決が言い渡される予定。

判決のポイントは以下の通り。

1)労働者が防塵マスクを着用するよう事業者に義務づけるべきだった時期
   (国が実際に義務化したのは1995年)

  今回の判決

 ・国は遅くとも1975年には、石綿吹き付けなどに従事した作業員が石綿関連疾患を患う危険性を認識できた。
  ・国は1975年時点で、事業者に対して労働者に防じんマスクを使用させるべき義務を明示的に定めるべきだった。

東京地裁
 
石綿の吹き付け作業では1974年、切断などでは1981年に規制の義務を負っていた。

福岡地裁
 
国は遅くとも1975年から罰則付きでマスク着用を義務づけるべきだった。

2)「一人親方」 

 今回の判決

個人で仕事を請け負い、企業に雇われる労働者に当たらない「一人親方」は、労働関係法令の保護対象ではないとして賠償を認めず。

 東京地裁
 
 零細事業主や個人事業主について国は責任を負わない。

 福岡地裁
  
一人親方は個人事業主で労働基準法が適用される労働者に当たらない。
 

 3)メーカーの責任

福岡地裁訟の判決が、どの企業の製品で健康被害を受けたかが具体的に示されていないとしてメーカーへの請求を退けたことから、今回の原告側は、従事していた作業内容などから原告ごとの原因企業41社を絞り込んだ。

 今回の判決

それぞれの被害者が実際に扱った石綿建材を具体的に特定するものではない。
石綿含有率が低い建材が一律に除外されていることも問題とした。

 東京地裁
 
 石綿を含有した建材の製造販売企業に共同不法行為は成立しない。

  福岡地裁
 
  加害企業の特定が出来ない。
   「建材メーカーは製造販売の時期や製品がそれぞれ異なり、加害行為の一体性を一律に認めることはできない」
   「42社以外に損害を与える企業がなかったと証明されていない」

 4)1995年にクロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)の製造を禁止した際、クリソタイル(白石綿)を禁止しなかったのは著しく合理性を欠くとした。

国内で危険性が明らかになり、海外でも規制が進んでいたのに、2006年まで販売が続けられていた。

ーーー

過去の判決は下記の通り。
屋外型の横浜建設アスベスト訴訟
  横浜地裁 (2012/5/25)
訴訟 建設現場でアスベストを吸い込み、肺がんなどを発症した建設労働者や遺族計87人が、国と建材メーカー44社に総額約29億円の損害賠償を求める。
結論 原告の請求を全て棄却
理由 「1972年時点で、石綿粉じん曝露により肺がん及び中皮腫を発症するとの医学的知見が確立した」

2006年に至るまでアスベスト建材の使用を全面禁止しなかったこと等について、「著しく合理性を欠く」と言うことまではできない。

 
屋外型の東京建設アスベスト訴訟
  東京地裁 (2012/12/5)
結論 国に対する請求を一部認容
賠償金 170人に総額10億6394万円の賠償命令
理由
1) 国は石綿の吹き付け作業では1974年、切断などでは1981年に規制の義務を負っていたが怠り、違法だ。

遅くとも1981年以降は
・事業者に防じんマスクの着用を罰則つきで義務づける
・建材に「肺がんなどを生じさせる」と警告表示する――
などの対策をとれば、多くの被害を防止できたと結論づけた。

 

2) この時期以降に屋内で建築作業に従事した労働者に限り、国の賠償責任がある。
 
3) 屋外作業では危険性を容易に認識できたと言えず、零細事業主や個人事業主についても国は責任を負わない。
 
4) 石綿を含有した建材の製造販売企業に共同不法行為は成立しない。
詳細 2012/12/10 建設労働者アスベスト訴訟、国に初の賠償命令
 
屋外型の九州建設アスベスト訴訟
  福岡地裁 (2014/11/7)
結論 国に対する請求を一部認容
建材メーカーへの訴えは却下

「一人親方」などの原告15人については認めず。
賠償金 36人に総額1億3700万円の賠償命令
理由 建設現場での防じんマスク着用は「被害防止対策としては唯一有効な手段」

国は遅くとも1975年までには石綿被害の危険性を認識できた。
同年から罰則付きでマスク着用を義務づけるべきだった。
危険性を知らせる警告表示について、建材や建設現場などで義務づけるべきだった。

1995年まで国がこうした規制を怠ったのは「違法」

一人親方は個人事業主で労働基準法が適用される労働者に当たらない。

建材メーカーについては加害企業の特定が出来ないとした。
「建材メーカーは製造販売の時期や製品がそれぞれ異なり、加害行為の一体性を一律に認めることはできない」
「42社以外に損害を与える企業がなかったと証明されていない」

ーーー

大阪府の泉南地域のアスベスト紡織工場の元従業員とその遺族89人が、規制の遅れで肺がんになったなどとして国に賠償を求めた2件の集団訴訟(大阪アスベスト訴訟第1陣、第2陣)で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は2014年10月9日、規制権限を行使しなかった国の対応を違法とする判決を言い渡した。

「粉じん排気装置の設置義務化」で原告主張を認めたもので、「濃度規制強化」と「マスク着用義務化」の遅れを理由に2審で賠償が認められた1名は逆転敗訴となった。

アスベストの健康被害では、全国で830人余りが14の裁判を起こし、国や企業に対し総額で265億円余りの賠償を求めている。

最高裁判決は、原告によっては直ちには影響しない。

アスベスト工場従業員 影響を与える可能性あり
周辺住民 影響を与える可能性あり
但し、1975年以前に周辺住民の発症リスクが高いとの医学的知見がなかったことをどう判断するか。
建設現場でのアスベスト製品の使用(屋外、屋内) アスベスト製品の使用であるため、「排気装置義務付け」とは関係なし。

「防じんマスクの着用義務づけ」は「石綿工場の粉じん対策としては補助的手段に過ぎない」が、建設現場では主な手段であるため、裁判での争点となる。

2014/10/10 アスベスト訴訟、最高裁 「国に責任」の判断

 


2016/1/28 日立金属、米国の医療機器用部品会社買収 

日立金属は1月21日、電線材料事業における医療分野の強化とグローバルな中長期的成長を目指して、米国で医療用チューブ等事業を展開するHTP-Meds, LLC および Hi Tech Machine and Fabrication, LLCの全株式を買収する契約を締結したと発表した。

買収する2社:
 HTP-Meds, LLC 医療用チューブの製造、販売
           PORTs(
血管内に薬剤を注入するための医療機器)、PICCs(腕から挿入する中心静脈カテーテル
           dilators(
医療用拡張器) 、multi-lumen tubes、multi-layer tubes、
           precision tubing for balloons and sheaths、catheters その他

 Hi-Tech Machine and Fabrication, LLC 医療用チューブ成形金型の製造・販売

買収目的:
 2社の技術力・開発力と日立金属の生産技術力をあわせ、医療用チューブ事業を拡大
 2社と日立金属の医療分野の顧客基盤に各々の製品を相互乗り入れし、医療用製品事業のグローバル展開
 電線・ケーブル技術とチューブ技術を複合した新しい製品を開発・展開

 電線材料事業の成長ドライバの1つと位置づける医療分野において、電線・ケーブル技術と親和性が高く、
 成長性のある医療用チューブ事業を事業に加える。
 医療ビジネスの中核的な市場である北米において事業基盤を確保

ーーー

日立金属の事業は次のとおり。

電線材料事業は、鉄道、医療、自動車用電装部品の3分野を成長ドライバと位置付け、ポートフォリオの入れ替えをすることで高収益事業体質の確立に取り組んでい る。
医療分野では、超極細合金線を用いた超音波診断装置用プローブケーブルで高いシェアを有している。

電線材料事業は2013年7月に日立電線を合併したもの。

日立製作所の中西宏明社長が主導した日立電線の救済策

日立電線は、日立金属、日立化成とともに日立系御三家と呼ばれるが、電線業界では住友電工、古河電工、フジクラに次いで国内4位で、電力会社の投資抑制で高電圧ケーブルの需要が縮小 、半導体向けの配線部品も低迷していた。

日立金属では、電線材料の事業ポートフォリオの見直しと基盤強化を進めている。

 ・送配電用電力ケーブルのジェイパワーシステムズの株式譲渡(50%→0%)
   住友電工と日立金属のJVであったが、両社が株式の全部を住友電工に譲渡した。
 
 ・電線・ケーブル販売会社の住電日立ケーブルへの出資比率変更(50%→34%)
   住友電工(40%)、日立電線(40%)、タツタ電線(10%)、東日京三電線(日立金属100%子会社) (10%)の4社の出資により設立
   2014年に出資比率を変更(住友電工56%、日立金属34%、タツタ電線10%)
 
 ・エアコン用銅管の製造販売の上海日光銅業への出資比率変更(約49%→約13%)
   古河電工48.825%、日立金属48.825%出資の出資持分の一部を、金龍精密銅管集団股份有限公司へ譲渡。

 ・化合物半導体事業(窒化ガリウム(GaN)基板・エピウエハ、ガリウムヒ素(GaAs)エピウエハ等)を住友化学へ譲渡

 ・成長期待分野へのシフト

  売上高目標(2013→2018)
鉄道車両用電線(中国、欧米)  37億円→160億円
医療用電線(ブローブケーブルの生産集約で経営効率向上) 55億円→190億円
自動車部品(センサーケーブル伸長、アジア・中米拠点を強化) 200億円→390億円

2016/1/29 日東電工、米国に創薬専業新会社を設立 

日東電工は1月25日、米国に創薬事業を専門とする新会社 Nitto BioPharma, Inc.を設立したと発表した。
 

同社は、Innovation for Customers をブランドスローガンに掲げ、Green(環境関連) ・Clean(新エネルギー) ・Fine(ライフサイエンス) の分野で事業ポートフォリオを拡大し、社会に価値提供していくことを目指している。

米国では、核酸医薬の分野では米国の100%子会社 日東電工テクニカルコーポレーションで核酸医薬合成の技術開発を行なっており、Nitto Denko Avecia Inc.で核酸医薬の製造受託事業を行っている。

同社では更に、日米欧で治験を進めている第1プログラムの肝硬変治療薬(ND-L02-s0201)をはじめとして、難治性疾患に対する治療薬開発等、創薬の事業化に取り組んでいる。

今後、肝硬変治療薬をはじめとする創薬事業は日東電工本体とNitto BioPharmaにて進めていく。

ーーー

日東電工は、1918年の創業以来、基幹技術である粘着技術や塗工技術などをベースに、エレクトロニクス業界や、自動車、住宅、インフラ、環境および医療関連などの領域で、グローバルに事業を展開してきた。
 

日東電工の事業領域は下記の通り。

自動車・他輸送機器
住宅・住宅設備
社会インフラ
素材
家電・電子機器
ディスプレイ
電子デバイス
医療
包装材料
消費財

このうち、医療分野では以下の製品を扱っている。

核酸医薬品の原薬合成
  極少量の研究初期から治験後期まで対応できる設備と体制を整備し世界のトップシェアを維持

粘着技術を応用した経皮吸収医薬品
  薬を皮膚から吸収させ、体内に導く経皮吸収治療システム

  その他、医療用粘着シート、 直貼り用粘着テープ(ニトフィット:医療用の貼る温熱シート)

衛生材料の開発製造
  肌を傷めない絆創膏からケガを予防するスポーツテープまで多様な製品を提供


日東電工は米国の100%子会社 日東電工テクニカルコーポレーションで核酸医薬合成の技術開発を行なっている。

核酸医薬は、DNAやRNAの機構成分である核酸からなる医薬品で、遺伝子の発現に直接作用することにより、これまで治療が難しかった病気の治療が可能になると期待されており、抗体医薬に次ぐ医薬品として注目されている。

日東電工テクニカルコーポレーションは、より高い開発効率を目指した新研究施設の整備を進めており、2016年度前半にサンディエゴ市内北部のライフサイエンス事業集積地へ、移転を計画している。

日東電工は2011年2月、核酸医薬の分野において事業基盤の強化を目的に、米国マサチューセッツ州にあるAvecia Biotechnology Inc.を買収した。

Avecia は核酸医薬の製造受託分野でトップシェアを誇り、前臨床段階から商業的製造までのステージにおいて、cGMP 製造能力をベースに、分析方法開発、プロセスバリデーション、安定性試験、品質管理及び薬事面サポートと幅広いサービスを提供している。

2012年にAvecia Biotechnologyを現在のNitto Denko Avecia Inc.に改称した。

更に2012年11月には、核酸医薬分野の更なる事業拡大を図るため、Girindus America Inc. と資産買収契約を締結した。

Girindus は、核酸医薬の受託製造において主要な製薬会社、バイオテック会社へのサービス提供の経験を有する。またRI標識能力及び有機合成能力を有する。

Girindus の資産を買収することにより、今後の成長が期待される核酸医薬品業界において以下のようなシナジー効果を期待する。

1)グローバルでの顧客対応能力の向上による、顧客との関係強化
2)パイプラインの拡充及び製造能力増大
3)第2製造拠点確保による供給セキュリティーの向上
4)RI標識能力及び有機合成能力の獲得によるサービスの拡大

 

2016/1/30   2015年第4四半期 国産ナフサ基準価格 

2015年第4四半期の国産ナフサ基準価格は40,900円/kl となり、前四半期を6,300円下回った。

 

2014/1Q

72,000
2Q 69.900
3Q 70,900
4Q 66,000
2015/1Q 47,000
2Q 48,800
3Q 47,200
4Q 40,900
     

ナフサの輸入価格は下記の通り。

2015/10 39,118円/kl 56,406円/t レート119.98円/$ 470.11$/t
11 38,357円/kl 55,487円/t 121.21円/$ 457.78$/t
12 39,268円/kl 56,652円/t 122.63円/$ 461.97$/t

        単価は通関統計の数量(kl、kg)、金額から計算
    レートは財務省の貿易統計記載の税関長公示レート平均値

国産ナフサ基準価格は4半期平均輸入価格に2,000円/kl を加えたもの。

第4四半期の輸入価格は463$/t であるが、最近のナフサの先物価格(3月後半入着分)は300$/t 近くまで下がっている。

このため、今後更に値下がりが続くと思われる。

日本経済新聞は石油取引仲介業者の見方として、2016年1〜3月期の基準価格は34,000円/kl 程度と伝えている。

12月の先物価格の単純平均は426$/t、1月は328$/tで、この平均の377$/t が32,000円/kl となり、2,000円/klを加えると34,000円/klとなる。

 

 


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