ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから      目次

これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

最新分は http://blog.knak.jp


2023/5/15 主要企業の2023年3月期決算 三菱ケミカルグループ 

コア営業損益は増益だが、非コア損益で多額の赤字を計上、株主帰属損益は減益となった。

なお、田辺三菱製薬が多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharma へのライセンスの係争で過去3年間、ロイヤリティ収入の計上を止めていたが、仲裁で勝ち、本年度に過去分を含め1259億円を計上 した。

この過去分を除外するとコア損益も減益と思われる。

単位:億円
  売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア 非コア 合計 中間 期末
2021/3 32,575 1,747 - 1,272 475 329 - 76 12 12
2022/3 39,769 2,723  309 3,032 2,904 1,772 15 15
2023/3 46,345 3,256 - 1,428 1,827 1,680 901 15 15
増減 6,576 532 -1,737 - 1,205 - 1,224 - 871    
2024/3予 45,550 2,500 -110 2,390 2,010 970 16 16

2021/3月期と2023/3月期に多額の特別損失を計上した。いずれもMMAと田辺三菱製薬関連分が大きい。

2021/3 2023/3
MMA テキサス州工場閉鎖関連損失  -236億円 MMA  英国工場閉鎖関連損失  -687億円
田辺三菱製薬 ニューロダーム減損  -845億円 カナダの新型コロナワクチンメーカー メディカゴ 清算  -574億円
その他   -191億円 その他   -167億円
合計  -1,272億円 合計 -1,428億円

 

コア営業損益

 

  '19/3 '20/3 '21/3 '22/3 '23/3 増減 '24/3予
(機能部材) 382 395          
(機能化学) 331 218          
Specialty Materials     597 787 515 -272 730
MMA 944 238 131 318 -37 -355 100
石化 87 -21 17 446 26 -420 160
炭素 249 81 10 258 103 -155 60
産業ガス 633 880 851 989 1,210 221 1,250
ヘルスケア 538 165 179 -70 1,418 1,488 200
その他/全社 -23 -8 -38 -5 20 25 0
合計 3,141 1,948 1,747 2,723 3,255 532 2,500

機能商品セグメント(Specialty Materials) : ディスプレイ用途をはじめとして総じて需要が減退したことやインフレを背景とした費用の増加等によ減益

MMA:海外売上で為替の影響等による増加はあるもの需要の減退に伴い販売数量が減少、MMAモノマー等の市況が下落したことにより減益、赤字となった。
   MMAモノマーの価格変動は激しく、損益は極端に変動する。('19/3 +944億円、'23/3 赤字)

MMA、石化、炭素は前年は原料価格上昇による在庫評価益が450億円もあり、大増益となったが、当期は本来の姿に戻った。

産業ガス:国内外の需要が堅調に推移したことに加燃料価格の上昇に伴う販価格の上昇や為替影響等により増益となった。

ヘルスケア:田辺三菱製薬コア営業損益の大半がロイヤリティ収益である。
     多発性硬化症治療剤「ジレニア」の
Novartis Pharma へのライセンスの係争で過去3年間、ロイヤリティ収入の計上を止めていた。
       本年度に過去分を含め
1259億円を計上した。

2023/2/15   国際商業会議所の仲裁判断で田辺三菱製薬のロイヤリティ収入が復旧

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三菱ケミカルグループは、2021年12月に発表した新経営方針「Forging the future 未来を拓く」において、石化・炭素事業の2023年度のカーブアウトを打ち出した。石油化学事業について、パートナーを選定した上で、2024年度に合弁会社の設立を目指す。炭素事業は売却する。

2023/2/28 三菱ケミカルグループ、経営方針「Forging the future 未来を拓く」に関する今後の実行計画   


2023/5/16   米預金保険基金、銀行破綻保護の費用を銀行への特別負担金で回収へ

米連邦預金保険公社(FDIC)は5月11日、3月に破綻した米地銀Silicon Valley BankSignature Bankの全額預金保護でかかった費用を回収するため、銀行に特別な負担金を課す案を公表した。

地方銀行破綻で目減りした預金保険基金の補充で、113の銀行が計158億ドルを負担する。うち95%以上を資産規模500億ドルを超す大手・中堅銀行が支払う。

 

本年3月以降、米国の3銀行が相次いで破綻した。

Silicon Valley Bank 2023/3/10 破綻、First Citizens BancSharesが買収

Signature Bank  2023/3/12 破綻 New York Community Bancorpが買収

First Republic Bank 2023/5/1 破綻  JPMorgan Chaseが資産、負債買収 

経営不安が広がったSilicon Valley Bankでは預金保護の対象とならない非付保預金が大量に流出し、経営破綻に追い込まれた。
同行は長期財務証券に巨額の資金を投資していた。(短期の預金を長期の証券で運用するというミスマッチがあったが、金利の急速な引き上げで
債券の価格が下落し、損失が膨らんだことが大きい。一部からはFRBの急速な引き締めが金融危機を誘発していると指摘する声が上がった。)

米国では金融機関が加盟する連邦預金保険公社(FDIC) が1口座あたり25万ドルを上限に保護する仕組みがあるが、Silicon Valley Bankはスタートアップ業界を顧客としており、2022年末の預金残高約1750億ドルのうち89%に当たる約1560億ドル(約21兆円)は預金保護の対象外だった。

First Republic BankはSilicon Valley Bankと同様、非付保預金が全体に占める割合が高かった

Silicon Valley Bank破綻後に米金融当局は預金の全額保護を打ち出したが、顧客から預金保険制度の限界を見抜かれて預金の流出を止めきれなかった。 顧客は数日のうちに約1,000億ドルの預金を引き出した。

JPMorgan ChaseはFDICが実施した緊急入札で落札、First Republicの下記の資産と負債を引き受け、対価として106億ドルをFDICに支払う。

2023/5/3 全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目

 

Silicon Valley BankSignature Bankの破綻処理をめぐり、FDICなどの米当局は金融システムの混乱拡大を防ぐため、2行の預金を全額保護する特例措置を決めた。25万ドルが上限の預金保険の保護対象を広げたことで、2022年末時点で1282億ドルあった預金保険基金に損失が生じることになった。

預金保険基金からは、Silicon Valley BankSignature Bankの破綻に伴って預金全額保護措置を講じた際に158億ドルが引き出された。

さらにFDICが接収したFirst Republic BankJPMorgan Chaseが買収するに当たり、基金は130億ドルの支払いを強いられる。

連邦預金保険法は銀行からの追加の負担金徴収で損失を穴埋めするよう求めており、今回、FDICがその実行に向けた規則案をまとめたもの。

 

FDICはこの穴埋めとして、資産50億ドルを超える銀行(合計113行)に各保険対象預金の0.125%を「特別賦課金」として徴収する。来年6月から2年間、四半期ごとに8回に分けて徴収される予定。

資産500億ドル超の銀行が特別賦課金の95%余りを支払うことになる。
一方で資産50億ドル未満の銀行は負担の義務はない。

米銀最上位14行の支払額は推定で年間58億ドルに上る。

今後2カ月間の意見公募などを経て最終規則をまとめる。徴収額などは今後修正される可能性もある。

FDICのGruenberg総裁は声明で「今回の提案は保険対象外の預金者の保護で最も恩恵を受けた銀行に特別な負担金を課すものだ」と説明した。
Silicon Valley Bankなどに講じた預金の全額保護が安心感をもたらし、他の銀行の大口預金流出を防ぐ効果があったため、大口預金の多い大手銀行に相応の負担を求める形にした。中小銀行に過度な負担が生じないよう配慮した面もある。

 

FDICは預金保険の拡充策の検討も進めている。事業会社の決済口座に絞って保険でカバーする金額を大幅に引き上げる案が最有力だとした。制度変更には米議会の承認が必要で、与野党の対立が目立つ現在の政治情勢で議論が難航する可能性もある。

 

ーーー

米銀の破綻を契機とした金融不安がくすぶっているが、新潟で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は5月13日の共同声明でこの問題を取り上げた。

世界経済と経済政策:

「監督・規制当局と引き続き緊密に連携して金融セクターの動向を監視する。金融安定及びグローバルな金融システムの強靱性を維持するために適切な行動をとる用意がある。

我々の金融システムが強靱であることを再確認する。我々は銀行部門におけるデータ、監督及び規制のギャップに対処する。」

 

鈴木財務相コメント

金融システムは強靭であるとの認識を共有した上で、引き続き警戒心を持って動向を注視し、金融安定およびグローバルな金融システムの強靭性を維持するために適切な行動をとる用意があることに合意した。

Social Networking Serviceなどで信用不安が瞬時に広がる。主要国の金融当局でつくる金融安定理事会などで教訓をしっかりと棚卸しして、金融システム強化のために優先的に取り組む事項を検討していきたい。

植田日銀総裁コメント

リーマンショックの金融危機以降に合意された金融規制改革が徹底されていない部分について実行していく。米国の中堅銀行の場合は監督当局と銀行との対話が十分でなかった反省もあり、そういうギャップを埋めていく努力が含まれると思う。


2023/5/17   主要企業の2023年3月期決算 住友化学

石油化学と医薬品が大幅減益となり、住友ファーマの減損損失も大きく、株主帰属損益はほぼゼロとなった。2024年3月期もこの状態が続く。

配当は前年の24円を18円に下げた。2024年3月期は更に6円引き下げる。 

単位:億円 売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア うち
持分法
非コア 合計 中間 期末
2021/3 22,870 1,476 -125 -105 1,371 1,378 460 6 9
2022/3 27,653 2,348 422 -198 2,150 2,511 1,621 10 14
2023/3 28,953 928            -68     - 1,237         - 310   2  70 12 6
増減   1,300       -1,420         - 490      -1,040     -2,460   - 2,509    -1,551 2 -8
2024/3予 29,000   400            -200    200     100 6 6

 

コア損益

  19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 増減 24/3
エッセンシャルケミカルズ 616 145 -120 535 -342 -877 -70
エネルギー・機能材料 230 203 203 201 152 -49 130
情報電子化学 262 251 397 578 476 -102 380
健康・農業関連 197 21 315 423 573 150 620
医薬品 808 753 717 617 162 -455 -610
その他 94 88 128 158 104 -54 150
全社 -164 -134 -164 -164 -197 -33 -200
合計 2,043 1,327 1,476 2,348 928 -1,420 400

石油化学をエッセンシャルケミカルズに改称

住友化学が37.5%出資するPetroRabigh の影響が大きい。
2021年は大幅な黒字となったが、2022年は大赤字となった。2023/1Q速報では税引後損益は-257百万ドルとなった。(2022/1Qは193百万ドルの黒字)

百万ドル 2022 2021  増減
売上高      14,921      12,170         2,750
粗利益            449         1,268 -819
営業損益                 3            851 -848
税引後損益 -297            543 -840

 2022/4〜2023/3 ベースでは税引き後損益は-747百万ドル

同じサウジの石化のSABIC も 2022年決算で、石油化学製品の値下がりで3-4Q損益が激減、2023/1Qの純損益は1.8億ドルにとどまった。
   

医薬品は下記、住友ファーマ(旧称:大日本住友製薬)を参照。

 

非コア項目 住友ファーマを中心に、巨額の損失を計上した。

  合計 うち 住友ファーマ
2020/3 2021/3 2022/3 2023/3 2020/3 2021/3 2022/3 2023/3
減損損失 -373 -408 -81 -1,094 -352 -357 -16 -882
条件付対価 公正価値変動 485 225 33 34 485 225 33 34
事業構造改善費用 -78 -63 -106 -220       -130
固定資産売却益 9 187 7 52   167    
その他 6 -45 -51 -9 -20 -19   45
合計 49 -105 -198 -1,237 113 16 17 -933

条件付対価 公正価値変動 (2020/3 & 2021/3):
事業買収に当たり、買収額と純資産との差は「のれん」となるが、一定条件を満たした場合に追加支払いをする契約がある。
IFRS基準ではこの場合、買収時点で将来の追加予想支払額を「のれん」と負債に計上する。

大日本製薬の場合、いくつかの買収で追加支払いが不要となり、買収時に計上した負債を消し、利益に計上した。合わせて、「のれん」を評価しなおし、減損損失を計上した。
大日本製薬の売却益は既に休止している茨木工場跡地の売却益である。

減損損失:

 住友化学
 メチオニン事業の収益予測見直しで製造設備を減損 -158億円
 ポストハーベスト事業に係る有形固定資産および無形資産(米国)-32億円

   住友ファーマ
   キンモビ特許権全額   -556億円
   TP-0903
仕掛研究開発費 -206億円

  事業構造改善費用:

   住友ファーマ 北米事業構造改善費用 -127億円

ーーー

住友ファーマ(旧称 大日本住友製薬)

2005年10月1日に住友製薬と大日本製薬が合併し、大日本住友製薬となったが、2022年4月1日付で住友ファーマに改称した。

コア営業損益が大幅減となり、多額の減損損失等を計上して株主帰属損益は745億円の赤字となった。住友化学の出資比率は 50.22%で、株主帰属損益の50.22%が住友化学連結決算に反映されている。

2024年3月期予想では非コア損失は減少するが、コア営業損益は大幅赤字となる。

単位:億円 売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア 非コア 合計
一般 Sumitovant 中間 期末
2021/3 5,160 1,332 -636 696 16 712 779 562 14.0 14.0
2022/3 5,600 1,454 -869 585 17 602 830 564 14.0 14.0
2023/3 5,555 1,132 -968 164 -933 -770 -479 -745 14.0 7.0
増減 -45 -322 -99 -421 -951 -1,372 -1,309 -1.309 - -7.0
2024/3予 3,620     -620 -160 -780 -810 -800

無配

1)北米で儲け頭であったラツーダが20232月 に独占販売期間が終了、出荷数量の減少や販売価格の低下等で減収、今後は更に大幅減収減益となる。

   北米ラツーダ売上高 2022年度1,465百万ドル→2023年度 161百万ドル

   北米市場で2022年度の売上高は3285億円で、前年比87億円の増であったが、うち為替差益が560億円の益で、数量の影響は473億円の減収である。
   2023年度にはこれが2088億円に下がる。

2)問題は、ラツーダ後継が間に合わなかったこと。いろいろの候補医薬品が登録に成功しなかった。

3)Sumitovant Biopharmaを買収したが、まだ本格販売に至らず、多額の仕掛研究開発費の償却で大きな赤字となっている。仕掛研究開発費として2,659億円を資産計上している。

大日本住友製薬は2019年10月31日、米国のRoivant Sciences との間で、戦略的提携に関する正式契約を締結し、米国に運営会社Sumitovant Biopharmaを設立した。

更に、このうちのMyovant Sciences Ltd. 約52%買収)を2022/10/23 総額17億米ドルを支払い、100%とした。 合計投資額は6000億円となった。

2019/11/4 大日本住友製薬、Roivant Sciences と戦略的提携、30億ドルを投資 

スミトバント社関連(億円)

  2021/3 2022/3 2023/3
売上収益 78 357 897
販売管理費 465 903 1,395
研究開発費 246 243 337
コア営業利益 -636 -869 -968
営業利益 -636 -865 -977
当期利益 -636 -874 -1,039
株主帰属利益 -443 -716 -817

4)2023/3  非コア損益 

キンモビ特許権全額 減損損失 -556億円
TP-0903仕掛研究開発費 減損損失  -206億円
北米事業構造改善費用 -127億円
その他  -44億円
合計 -933億円

キンモビは、パーキンソン病に伴うオフ症状の治療剤として、米国で初めて発売された新規の舌下投与フィルム製剤。サノビオン社が2020年9月に米国で販売を開始。上市後2年が経過したが、売上計画を下回る状況が続いていた。

TP-0903(dubermatinib)は、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ1/2試験(外部研究機関主導治験)が中止となった後、開発方針検討中であったが、開発を継続しないことを決定した。


2023/5/18   化学メーカーの2023年3月期決算対比 

3月期決算の発表がほぼ終わった。

各社の決算については下記を参照。左枠の社名をクリックしてください。

  http://www.knak.jp/kessan/

下記の各社については既報のブログを参照してください。

2023/5/1 主要企業の2023年3月期決算  信越化学

2023/5/15 主要企業の2023年3月期決算 三菱ケミカルグループ

2023/5/17 主要企業の2023年3月期決算 住友化学

2023/5/11 主要企業の2023年3月期決算 塩野義製薬 (本リストには医薬品メーカーは除外している)

 

主要各社の決算の対比を行った。

三菱ケミカルは大陽日酸の産業ガス(欧州向け)が貢献

信越化学は米国Shintechの増設で驚異的な増益  更に2023年末にはVCM、PVCの増設2期が 完成する。ブログ参照
三菱ケミカルの増益は、
ヘルスケアの過年度分(3年間)を含めロイヤリティ 1259億円を計上したため。
住友化学の大減益はサウジのPetroRabigh と住友ファーマが原因 ブログ参照
三井化学は石油化学の減益、東ソーはクロルアルカリが大減益
帝人は医薬品「フェブリク」の後発品参入や薬価改定等で減益、マテリアルが赤字化

三菱ケミカルは、英国のMMA工場閉鎖と田辺三菱のカナダのコロナワクチンメーカーの閉鎖で1439億円の減損
住友化学は住友ファーマの医薬品研究費の減損と北米事業構造改善費用などで933億円のほか、メチオニンの減損158億円など

旭化成 2023/3/10    旭化成、リチウムイオン電池のセパレーター生産の米子会社Polyporeで減損損失 1,850 億円を計上


2023/5/19    医薬メーカーの2023年3月期決算対比

各社の決算については下記を参照。左枠の社名をクリックしてください。

  http://www.knak.jp/kessan/


武田薬品については複雑で、分析未完。

塩野義製薬は@COVID-19 飲み薬ゾコーバが売上高と営業損益に大きく貢献、A売上高に多額のロイヤリティ収入を含む。

塩野義が出資するGSK、PfizerとのJVは、塩野義が供与した薬品について米国ギリアド・サイエンシズ の特許侵害訴訟和解で 22/3月期に一時金とロイヤリティ を受領した。ViiVの利益は配当の形で塩野義に払われるが、本年度は多額の一時金・ロイヤリティがあるため、配当が612億円の多額にのぼった。(株主帰属損益に営業損益に加え、受取配当金が加わる。)

2023/5/11 主要企業の2023年3月期決算 塩野義製薬 

住友ファーマについては、下記の住友化学決算を参照。

2023/5/17 主要企業の2023年3月期決算 住友化学

田辺三菱製薬は三菱ケミカルの100%子会社となり、決算発表なし。特記事項については下記の三菱ケミカルを参照。

2023/5/15 主要企業の2023年3月期決算 三菱ケミカルグループ

 

売上高  
 
     
コア営業損益
 
     
株主帰属損益
 
 

2023/5/22  日本企業が英国に3兆円の投資 

G7出席のため訪日中の英国のRishi Sunak首相は5月18日、東京でのレセプションの席上、日本企業が英国への約180億英ポンド(約3兆円)の投資をコミットしていると述べた。英首相官邸が発表した。

丸紅などからの英国への投資が戦略的なクリーンエネルギー産業で質の高い雇用を生むとするとともに、英国がTPPへの参加準備を進める中、Octopus Energy、Mott MacDonaldなどの英国企業が日本でのチャンスを掴もうとしているとしている。

英国は2020年1月30日にEUを正式離脱したが、2021年2月1日にTPP加盟を申請した。

日本はすでに英国に920億ポンドを投資し、英国 への第5位の投資国となっており、昨年の英国の商品とサービスの貿易額は277億ポンドに達して いる。英国がTPP貿易圏に参加すればさらに増加する可能性が高いとしている。

Sunak首相によると、日本企業の英国投資は次の通り。(概算170円/英ポンドで換算)

1.丸紅 10年間で100億ポンド(1.7兆円)

洋上風力発電、低炭素水素、その他のクリーンエネルギープロジェクト(Scotlandでの海上風力発電、Wales、Scotlandでのグリーン水素計画を含む)への資金提供  

 同社は既に2001年に電力卸売・小売事業の子会社SmartestEnergy Limitedを設立、2008年からは市場で調達した電力を個別の大規模需要者へ販売する事業も開始し、今では 「ビッグ6」と呼ばれる大手電力会社に匹敵する規模にまで急成長している。

契約電力量の約83%(2019年度)が再生可能エネルギー由来となり、容量換算で大型石炭火力発電所2基分のCO2排出量削減に相当する。米国・豪州にも拠点を設立している。

2.三菱地所と三井不動産  35億ポンド(6千億円)

ロンドンに手頃な価格の住宅、高品質のオフィススペース、ライフサイエンス研究所を建設、首都圏の活性化に貢献

3.住友商事  40億ポンド(6800億円)

英国の洋上風力発電プロジェクトを拡大 (Suffolk and Norfolk 沖のプロジェクト)
2030 年までに 50GW の洋上風力発電設備を導入するという英国政府目標をバックアップ

4.住友電工  2億ポンド以上(340億円)

スコットランド高地に戦略的に重要な高電圧ケーブル製造工場を建設
英国が洋上風力発電プロジェクトなどの重要なインフラ向けに強靱なサプライチェーンを構築するのに貢献

5.東芝  

ケンブリッジ研究所での事業(高度な量子安全暗号通信ソリューションの設計と提供)を拡大 、英国の最先端産業の成長を支援
当初は30人以上の新規雇用を創出し、新技術開発に2,000万ポンドを超える投資を行っている。
     

以上の1〜4の合計で177億ポンド

ーーー

英国企業の日本での活動例は下記の通り。

英国企業Octopus Energy Groupは当日、2027年までにアジア太平洋地域のエネルギー市場に15億ポンドを投資し、この地域のよりクリーンでスマートなエネルギーシステムへの移行を加速するというコミットメントを発表した。

同社は持続可能なエネルギーを専門とする英国の再生可能エネルギー グループで、ファンド管理会社オクトパスグループの支援を受けて2015年に設立された。

既存のアジア本社を倍増して、東京の技術革新とエネルギー小売拠点の拡大に3億ポンドを投じる 。

日本との防衛協力を拡大する中、Leonardo UKは川崎重工業と提携し、海上自衛隊にさらなる世界クラスの海軍ヘリコプターと中型改修キットを提供する契約を結んだ。その額は1億5,000万ポンドを超える。  

Leonardo UKは、2018年に設立された英国のTeam Tempestプロジェクト(英国空軍と英国の業界パートナーが戦闘航空技術の発展を目的として共同出資したテクノロジーイニシアチブ)の創設メンバーで、第6世代戦闘機の技術開発に携わっている。三菱電機とは2018年からレーダーの共同開発に取り組んでいる。

英国のコンサルタント会社Mott MacDonaldも、英国の洋上風力発電に関する専門知識を基に、西日本で17万5000世帯以上の家庭にクリーンエネルギーで電力を供給できる最先端の洋上風力発電所の開発を支援する大型契約を獲得した。

モットマクドナルドジャパンは2009年の設立以来、日本国内においてはエネルギー分野のテクニカルアドバイザーとして、特に電力セクターにフォーカスしてきた。

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Sunak首相は次のように述べた。

これらの新しい投資は、日本の一流企業のいくつかからの、英国のダイナミックな経済への大きな信頼の表れです。政府や英国産業と協力して、私たちは全国各地で提供しているような、高品質で信頼性のある雇用と地域への変革的な投資を創出します。

また、英国の主要企業が日本での成長と協力の巨大な機会を活かしているのを見ることも素晴らしいです。

私たちが貿易関係をさらに拡大し、巨大な地域のCPTPP貿易ブロックに加わるにつれて、英国と日本の企業や起業家にとっては可能性が無限大です。


2023/5/24 米債務上限協議、合意に至らず 

米連邦債務の上限引き上げを巡り、バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長が5月22日、会談した。事務レベルでの協議が行き詰まっており、広島市で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)に出席していたバイデン大統領が、米国に戻る大統領専用機からマッカーシー議長と電話で協議し、再会談で一致したもの。

しかし、マッカーシー氏は会談後、記者団に「生産的な話し合いだったが、まだ合意はしていない。前の年度よりも支出を減らさないといけない」と述べ合意点を見い出すために事務方の交渉が「夜通し」で行われるとの見通しを示した。
議会で関連法案を可決するのに数日を要するとみられるため、デフォルトを回避できるタイミングで法案を成立させるには、週内に合意をまとめる必要があると述べた。

バイデン大統領は声明を発表し「債務不履行を防ぎ、経済の大惨事を避けるための生産的な会談だった」としたうえで「債務不履行はありえない。前に進む唯一の方法は超党派の合意に向けて誠実に取り組むことだ。合意していない分野がいくつかあるが協議を続けていく」としている。

イエレン米財務長官は、5月21日のインタビューで、債務上限の引き上げが行われなければ6月1日にも財政資金が枯渇すると改めて指摘した。「これは厳密な期限だ」と語り、早期の合意を求めた。

6月1日まで残り10日ほどとなった。継続協議で妥協案を探る。

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2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。

下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。

▽バイデン政権の看板政策である再生可能エネルギーやEV=電気自動車などに対する税額控除の廃止または修正
▽低所得者向けの医療保険制度「メディケイド」や食料支援を行う際の条件の厳格化
▽石油・天然ガス・鉱物などエネルギー資源開発プロジェクトに対して政府の許認可プロセスを迅速にすることなども盛り込んでいる。

法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。

2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防

バイデン大統領は5月9日、連邦議会下院のマッカーシー議長らと、懸案となっている債務上限問題への対応に関する協議を行った。2月に続いて2回目となる。

会合は1時間程度行われ、会合後に報道陣の取材に応じたマッカーシー議長は「新しい動きはなかった」と述べた。共和党側は4月に下院で可決した独自の歳出削減法案を基に債務上限引き上げの条件として厳しい歳出削減の確約を要求した。他方、バイデン大統領を含む民主党側は予算の修正協議には応じるものの、債務上限については従来どおり無条件での引き上げを主張した。

バイデン大統領は5月16日、ケビン・マッカーシー議長らと3回目の協議を行った。

会合後に報道陣に答えたマッカーシー議長は「両者には依然大きな隔たりはあるが、今週末までに合意に至ることは可能であり、それほど難しくはない」と述べ、 前向きな姿勢を示した。バイデン大統領も「双方が求めるもの全てを得ることが難しいことを認識すれば、超党派の予算合意に至る道は開ける」としており、両者に歩み寄りがみられた。今後、スタッフ間で協議を続け、5月19日に広島で開かれるG7サミットへのバイデン大統領の参加後に再度協議するとし た。

バイデン大統領のG7への参加に関しては、債務上限問題の協議を優先して、オンライン参加となるとの可能性も取り沙汰されていたが、当初の予定どおり対面参加 した。ただし、訪日後に予定していたオーストラリアとパプアニューギニア訪問を中止した。


バイデン大統領が日本を訪問している間も担当者レベルでの交渉は続けられ、マッカーシー下院議長は18日、「何も合意はしていないが、合意できるかもしれない。道筋は見えてきた」と述べて、話し合いが前向きに進んでいることを示唆した。しかし、19日になって事態は一転し た。

交渉を担当する共和党の議員が「交渉が生産的ではない」と述べて協議が一時、中断した。これについてホワイトハウスの報道官は、広島で行った記者会見で「双方のあいだに深刻な開きがあることは間違いない」と認め「共和党側はアメリカ経済を人質にしてはならない。経済不況を引き起こし、何百万人もの雇用が失われるおそれがある」と述べてけん制した。

マッカーシー下院議長は20日、「不幸なことだがホワイトハウスは交渉をひっくり返している。共和党はG7広島サミットからバイデン大統領が戻ってからでないと交渉には応じられない」と述べた 。

バイデン大統領はG7広島サミットが閉幕したあとの記者会見で、 野党・共和党の提案は「率直に言って受け入れがたい」と述べ、意見の食い違いが依然として大きいことを明らかにした。これまでの歳出削減と新たな歳入の組み合わせによる3兆ドル近い財政赤字の削減に加えて 、新たに1兆ドル以上の支出削減案を提案 したにもかかわらず、共和党側は富裕層などを守りながら、100万人近い人たちへの食料支援を危険にさらすような提案をしていると述べ、「共和党がその極端な立ち位置から動く番だ」と訴えた。

「例えば、昨年2000億ドルを稼いだ石油産業に対する300億ドルの減税を可能にするような内容には同意しない 。低所得層向け公的医療保険のメディケアを巡って2100万人の米国人の医療を危険にさらす一方で、(石油産業に)さらに300億ドルもの優遇措置は必要ない」と述べた。

アメリカのメディアは共和党が低所得者向けの医療保険制度や食料支援の条件を厳格にすべきだと提案していると伝えてい る。

これに対し、マッカーシー 議長は「私の立場は変わらない。子供や孫を犠牲にして、持ってもいない金を使い続けるわけにはいかない」とツイッターに投稿し、さらなる支出の削減を求めた。

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民主党上院議員団はバイデン大統領に対し、共和党との債務上限交渉が不調に終わった場合のデフォルト(債務不履行)回避に向け、合衆国憲法修正第14条の発動に備えるよう求めた。

5月18日に公表された書簡によると、民主党と会派を組む無所属の"Bernie" Sanders議員が率いる11人の議員は、上限引き上げへ超党派合意を目指すバイデン氏の努力を評価しつつ、議会共和党は「誠実に行動していない」と指摘した。

その上で、「合衆国の公的債務の効力が問われてはならない」と規定している修正第14条に言及 し、「この権限を用いれば米国は滞りなく支払いを続けることができ、世界的な大惨事を防ぐことができる」とした。

バイデン大統領は今回、議会抜きで債務上限を引き上げるために合衆国憲法修正第14条を発動する権限が自身にあるとの考えを示したが、その法的理論を検証する時間はほとんどないと述べた。「問題は、それが可能かどうか、また異議申し立てが行われず、結果的に問題の日付を過ぎても米国債がデフォルトにならないような時期に、条項を発動することができるかどうかということだ。これは未解決の問題だ」とした。

2023/5/9   米国の債務上限問題と米憲法修正第14条

 

米財務次官は5月15日、デフォルト回避に向けた方法として提案された「1兆ドルのプラチナコイン(法定通貨)を鋳造する」
という考えを否定した上で、実行可能な解決策は議会が連邦債務上限を引き上げることだけだと述べた。

米国の主要メディアに「米国財務省が額面1兆ドルのプラチナコイン(法定通貨)を発行することで公的債務上限を実質的に1兆ドル引き上げることが可能 」との話が流れている。

1996年に米議会で「財務省は任意の額面、大きさのプラチナコインを法定通貨として鋳造することができる」という法律が可決された。記念貨幣発行を意識した動きであった。

しかし、財務省が例えば1兆ドルの額面のプラチナ貨幣を発行して、米連邦準備理事会(FRB)に持ち込み、財務省口座に入金すれば、米国債を発行せずに、1兆ドルが調達できることになる。このプラチナ法定通貨が市中に流通すること はなく、鋳造にあたり議会の承認も必要ない。

      



2023/5/25 
   Chevron、米シェール会社
PDC Energy を買収

米石油大手Chevron Corporationは5月22日、米シェール開発会社 PDC Energy, Inc.を買収することで同社と合意したと発表した。買収額は63億ドル(債務を含めて76億ドル)で年末までに取得する見込み。

PDCはコロラド州のDenver-Julesburg (DJ) 盆地に27万5,000エーカー(約1,113平方キロ)の権益、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるPermian 盆地に2万5,000エーカー(約101平方キロ)の権益を保有している。いずれもChevronがNoble Energy, Inc.から買収したガス田(下記)に隣接している。

PDCの2023年第1四半期(1〜3月)の石油ガス生産量は、DJ盆地で日量21万6,000バレル(原油換算相当)、パーミアン盆地で日量約2万8,000バレル(原油換算相当)。

Chevronは2020年7月20日、独立系石油ガス開発企業のNoble Energy, Inc.を買収することを発表した。Noble Energyの全株式(50億ドル相当)を株式交換方式で買い取る。Noble Energyの企業価値は負債も含めて130億ドルとされており、Chevronは負債額87億3,700万ドルを負うことになる。

この買収で、ChevronはDenver-Julesburg (DJ) 盆地とPermian 盆地の油田・ガス田を獲得する。

Chevronは更に2021年3月5日に,、Noble Energy, Inc.の子会社で石油ガスのパイプライン輸送を担うNoble Midstream Partnersを買収することで合意した。取引額の総額は13億ドル相当で、株主はChevron株式を受け取る。

Noble Midstream Partnersは、DJ盆地とパーミアン盆地で、石油ガスのパイプライン輸送サービスを実施している。

この買収により、シェブロンは石油ガスの生産・輸送を含めたガバナンス機能を簡素化し、DJ盆地とパーミアン盆地でさらなる運用の統合を図ることを狙う。

今回、Noble Energyから買収した油田と隣接するPDC Energyの油田を合わせ持つこととなり、Noble Midstream Partnersのパイプラインをともに利用できることとなる。

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U.S. Energy Information Administration (EIA) によると、DJ Basin は2020年に米国で5番目の大きさの生産盆地で、平均で日量51万バレルの石油、51億立法フィートの天然ガスを産する。

当初の開発者の1社がGreat Western Oil and Gas Companyで、同社は後に Noble Energyが買収した。(今回、ChevronがNobleを買収)

もう1社が Kerr-McGeeで、その後、Anadarko Petroleumに買収された。Anadarkoは2019年にOccidentalに買収された。

2019年4月にChevron Corp がAnadarko Petroleum を500億ドルで買収すると発表した。同月にOccidental PetroleumAnadarkoに対し570億ドルで買収することを提案した。

Occidentalは買収提案のうち現金の比率を引き上げ、さらにAnadarkoChevronとの買収契約を破棄するための違約金10億ドルを負担すること、Anadarkoがアフリカに保有する資産をTotalに売却することで合意したことを発表。

翌5月にChevronは買収条件の再提出見送りを発表、AnadarkoOccidentalに買収された。

Noble EnergyとPDCを買収したChevronと、Anadarkoを買収したOXYの2社がDJ Basinの主プレーヤーである。両社はPermian Basin でも主プレーヤーである。

グラフのPREはおそらく、Parsley Energy  

調べても分からず、ChatGPTにこのグラフの元記事のアドレスを知らせると、すぐに返事があった。


2023/5/26    徴用工問題、生存者に賠償額初支給

韓国外務省は5月25日、徴用工訴訟問題で敗訴が確定した日本企業の賠償金を韓国政府傘下の財団が支払う解決策に基づき、生存中の原告3人のうち1人に対し、相当額が26日に支給されると発表した。

生存者が政府の解決策を受け入れるのは初めて。

 

新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業を相手取った3件の訴訟で判決が確定している。韓国外務省によると賠償対象となる元徴用工は故人を含め15人いる。(生存者3名、故人12名)

聯合ニュースによると15人分の判決金と利子の総額は40億ウォン(約4億円)規模になる。

韓国の朴振外相は3月6日、元徴用工問題の解決策を正式に発表した。韓国最高裁が日本企業に命じた賠償金の支払いを韓国の財団が肩代わりする。

・韓国政府傘下の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が原告に判決金相当の金額を支払う。

・係争中の訴訟も、原告の勝訴が確定した場合は財団から支給する。

・肩代わりの財源は民間の自発的貢献により調達  

・被告の日本企業の資金拠出は前提としていない。

・原告に判決金の受け取りに理解・同意を求める努力を継続する。

・歴史問題の真の解決に向けた研究と、未来世代に対する教育を強化

2023/3/9 韓国、元徴用工解決策を発表 

1965年の日韓請求権協定を通じ日本から経済支援を受けた韓国鉄鋼大手ポスコは3月15日、元徴用工を支援する韓国政府傘下の財団に40億ウォンを拠出すると表明した。

 

韓国最高裁で勝訴が確定した15人中10人の原告遺族が、韓国政府傘下の財団からの解決金の受領を4月14日までに終えた。

4月7日に原告遺族2人への支給が初めて実施され、遺族側は「判決に関連し、被告企業に代わり韓国政府側から支給を受ける」とする受領申請書を提出。さらに8人への入金が14日に行われた。聯合ニュースは遅延損害金などを含め1人あたり2億ウォン(約2千万円)〜2億9千万ウォンが支払われると伝えた。

韓国外務省のアジア太平洋局長は「(同意した)遺族は問題が早く解決されることを望み、支給を受け入れた」と述べた。

生存する原告3人を含む残り5人はいずれも日本側の謝罪などを求め、財団支出金の受領を拒む意向を示した。

 

今回、生存者1人に支給され、残り4人(生存者2人、遺族2人)となる。韓国政府は説得を続ける方針。


2023/5/28  米債務上限引き上げで基本合意 

Biden米大統領と米連邦議会のKevin McCarthy 下院議長(共和党)は5月27日、米政府債務の法定上限を引き上げることで合意した。議会で承認されれば、市場で懸念されていた米国債の債務不履行(デフォルト)は回避される。

McCarthy議長はBiden大統領と電話会談し、債務上限を引き上げる一方で、政府の支出を削減するなどの案で「基本合意に至った」と明らかにした。今後は双方のスタッフ間での法案の文言の調整を進めるほか、28日にはBiden大統領と再び会談し、正式合意に至るとの見通しも示した。

暫定合意には、2年間の債務上限引き上げ(時限措置として現行の上限である約31.4兆ドルを上回る債務残高を認める)に加え、非国防支出を今後2年間にわたりほぼ現行の水準に据え置く歳出合意が盛り込まれた。
非国防支出を2024年度は2023年度と同レベルとし、2025年度は1%だけ増やすとされる。
未使用の新型コロナウイルス資金を回収、一部のエネルギープロジェクトの許可プロセスを加速し、貧しい米国人向けの食糧援助プログラムに要件を追加する。

McCarthy議長は、「歴史的な支出削減であり、人々を貧困から引き上げて労働力にする改革であり、政府の行き過ぎを抑制する――新たな税金や政府の新たなプログラムはない」としている。

ツイッターに「先ほど、大統領と電話を終えた。彼が何カ月も時間を浪費し、交渉を拒否した後に、私たちは米国民にふさわしい大筋合意に至った」と投稿した。

I just got off the phone with the president a bit ago. After he wasted time and refused to negotiate for months, we've come to an agreement in principle that is worthy of the American people.

Biden 大統領はこの合意を重要な前進("an important step forward") と呼び、「妥協であって、全員が望むものを手に入れる訳では無い」としている。

   "The agreement represents a compromise, which means not everyone gets what they want. That’s the responsibility of governing."

今後は最終的に法案として上下両院での可決にこぎ着ける必要があるが、合意には民主・共和両党の強硬派からの反対が予想される。議長は28日に法案を完成させて大統領と再び協議し、正式に合意したうえで、31日に採決を行う方針を表明した。


Yellen財務長官は、債務上限の引き上げを行わなければ6月5日にもデフォルトに陥る恐れがあると指摘している。

これまでは6月1日にも行き詰まると説明していたが、最新データに基づいて分析したところ、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れのある期限がやや後ずれした。

2023/5/24 米債務上限協議、合意に至らず

 


2023/5/29 コニカミノルタ、ヘルスケア事業で巨額の減損損失 

コニカミノルタの2023年3月期の業績は下記の通りとなった。 ヘルスケア部門で1035億円もの巨額の減損損失を計上した。

(単位:億円) 売上高

営業損益

親会社株主 帰属損益
一般 減損 合計
デジタルワークプレイス 6,003 122 -29 93  
プロフェッショナルプリント 2,526 175 -9 166  
ヘルスケア 1,378 -87 -1,035 -1,122  
インダストリー 1,375 189 -81 108  
その他 21 -184 -12 -196  
合計 11,304 215 -1,166 -951 -1,032

デジタルワークプレイス事業:
  
複合機及び関連消耗品の開発・製造・販売、並びに関連サービス・ソリューション、及びITサービス・ソリューションの提供

プロフェッショナルプリント事業:
  デジタル印刷システム・関連消耗品の開発・製造・販売、各種印刷サービス・ソリューションの提供

ヘルスケア事業:
  <ヘルスケア分野> 画像診断システムの開発・製造・販売・サービスの提供、医療のデジタル化・ネットワーク化・ソリューション・サービスの提供
  <プレシジョンメディシン分野> 遺伝子検査、プライマリケア関連サービスの提供、創薬支援

インダストリー事業:
  
<センシング分野> 計測機器等の開発・製造・販売

  <材料・コンポーネント分野>ディスプレイに使用される機能性フィルム、産業用インクジェットヘッド、産業・プロ用レンズ等の開発・製造・販売
  <画像IoTソリューション分野>画像IoT及び映像関連機器の開発・製造・販売、関連ソリューション・サービスの提供

ーーー

2003年にコニカとミノルタが事業統合し、コニカミノルタとなった。

2006年3月末にデジタル一眼レフカメラシステムの一部資産をソニーへ譲渡することでソニーと合意、フィルムカメラやデジタルカメラなどのカメラ事業については2006年3月31日をもって終了し、今後は、中核事業の情報機器分野、戦略事業の光学及びディスプレイデバイス分野などへ経営資源を集中させることとした。

しかし、2010年代、世界的に紙の印刷需要が減って事務機の事業環境は厳しさを増した。このため「ポスト事務機」育成による成長を目指し、海外M&Aにより「プレシジョン・メディシン分野 」に進出した。

プレシジョン・メディシンは、個々人の細胞における遺伝子発現やたんぱく質などの特性を分子レベルで判別することで個々の患者を精密にグループ化し、最先端の技術を用いて適切な投薬、治療と予防を提供する医療。

従来の画一的な方法ではなく、患者特性に応じた集団ごとの治療法から疾病予防までを確立する事により、適切な投薬、治療が可能となる。また、個人の特性を鑑みた適切な投薬は、副作用を軽減し、患者のQOL向上に寄与する。

創薬分野においては、効果的なバイオマーカーの活用が薬理試験の効率化を促進することで創薬のイノベーションを加速する。さらに、臨床試験における正確な薬効予測を可能にし、臨床試験期間やその規模の縮小という形で、新薬開発の成功確率と効率を向上させる。

2017年7月6日、産業革新機構との共同投資によりAmbry Genetics Corporationを子会社化することを決定した。

Ambry Geneticsは、最先端の遺伝子診断技術を持ち、高度な商品開発力、多様な検査項目、高い検査処理能力、遺伝子カウンセラーチャネルでの圧倒的な強さを背景に、成長著しいがん領域を中心とした米国の遺伝子検査市場におけるリーダー的存在。

2017年9月25日、プレシジョン・メディシン事業の成長戦略の一環として、米国の創薬支援企業であるInvicro LLCの買収契約を締結した。

Invicroは、高度な数値解析技術、バイオマーカー探索技術に強みを持つ創薬支援のイメージングCRO(医薬品開発支援業務受託機関)で、PET(陽電子放出断層撮影法)イメージング技術を用いた、がん腫瘍部の検出技術やアルツハイマー病の病理画像解析技術を有し、製薬企業にとって付加価値の高い創薬支援、治験・診断支援を、バイオマーカーを軸にして⼀気通貫的に提供するビジネスモデルを推進。

  Ambry Genetics Corporation (AG) Invicro LLC (IC)
本社 カリフォルニア州 マサチューセッツ州
買収額 (100%) 株式取得800百万ドル、
    他に業績連動型アーンアウト 200百万ドル
295万ドル
出資比率 60%(残り40%は産業革新機構) 95%
戦略的意義 プレシジョン・メディシン分野への本格参入
世界トップクラスの遺伝子診断技術とコニカミノルタのタンパク技術の融合
ヘルスケアにおける高収益性事業構築
患者と製薬会社双方をターゲットとするビジネスモデル
日本を含めたグローバル展開
プレシジョン・メディシン分野への本格参入
製薬会社向け創薬支援ビジネス開始
デジタルイメージング技術、タンパク質解析技術、遺伝子解析技術を融合した顧客への価値提供
ボストンで優秀な人財へアクセス
高成長・高収益事業の構築

コニカミノルタは写真化学技術を活用した,新たな高輝度蛍光体ナノ粒子とデジタル画像処理技術を組み合わせてなる,デジタル病理技術(HSTT: High Sensitive Tissue Testing)開発した。
分子標的薬の標的となるたんぱく質の存在位置と量をヒト生体組織上でイメージング化し、正確に測定することができる。これは、従来の免疫染色技術の精度をはるかにしのぐ技術であり、早期かつ高精度の診断と疾患に対する患者の免疫反応の把握を可能にする。

2社の買収により、短期中期ではAG社の遺伝子検査サービスとIC社の画像解析サービスのコア事業強化に注力するともに、サービスを拡充させていくを目指 す。
中長期では、2社が持つ生命科学と情報科学の技術を融合することで、人体に存在する分子を総合的に解析するマルチオミックス解析を実現し、クラウド上のプラフォームで世界へサービスを展開することで、積極的に事業を拡大していく とした。

しかし、アンブリーを中核とするヘルスケア事業は4年連続で営業赤字が続いた。

減損損失を除く営業損益(億円)

2020/3 -44
2021/3 -64
2022/3 -203
2023/3 -87

同社によると、ライバルの米Invitae Corpなどが2017年頃に 採算度外視で仕掛けた検査料金の価格引き下げが、業績が悪くなった大きな要因とする。

さらに、@米国でのコロナ禍における予防的な遺伝子診断のための来院者の激減と 、Aそれ以降の医療スタッフの不足などにより、病院での診断や健康診断での遺伝子検査の需要成長が想定より大幅に下回っていること、B製薬会社での治験が大幅に遅延したこと、C他社との協業などの自社戦略の実行遅延などもあった。

また、直近の金利上昇により減損テストに使用する割引率が上昇したことからも回収可能価額が大幅に低下した。

その結果、不振脱却が難しいと判断し、2023年3月期に1035億円の減損損失を計上した。

大幸社長は「 「あまりにも大きく描きすぎたバラ色の期待と現実とのギャップはずっと拭えなかった」としている。

 

「ポスト事務機」育成による成長を目指し、次の柱を求めて計画実現性の精査が甘いまま、新規事業育成を性急に進め たのが響いた。

 

付記 

同社が発表した新中期計画では、「過去から決別し、戦略的新規事業の位置づけを見直し、事業の選択と集中に取り組む」とし、基本方針として、「ベスト条件だけで成立する計画策定を廃止し、達成可能な計画を着実に実行し、自信と信頼を回復」とした。

問題のプレシジョンメディシン事業については「非重点事業」に見直した。


2023/5/30 IPEF(インド太平洋経済枠組み)の閣僚級の会合

日本やアメリカなどが参加するIPEF(インド太平洋経済枠組み)の閣僚級の会合が5月27日、デトロイトで開かれ、参加国が重要な物資のサプライチェーン=供給網を強化していくことで合意した。

中国の影響力が拡大しているほか、新型コロナの感染拡大などを背景として、重要物資の供給が受けられなくなるリスクが高まっていることから、半導体や重要鉱物などを念頭に、中国に依存せずに重要な物資が供給できるよう、相互に協力する仕組みを整えていく。

バイデン米大統領は2022年5月23日、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明した。日米と韓国、インドなど計13カ国を創設メンバーとし、中国に対抗してサプライチェーン(供給網)の再構築やデジタル貿易のルールづくりなどで連携する。2022年5月26日にフィジーが参加し、現在は14カ国となっている。 (メンバーは下の表を参照)

「デジタル経済のルール作りや強固で強じんなサプライチェーンの確保、エネルギーの転換など、新たな経済の課題に立ち向かうためにデザインされた21世紀の新たな枠組みだ」と説明した。

IPEFは、(1)公平で強靭性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)「クリーン経済」(インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー)、(4)「公平な経済」(税、反腐敗)の4つの柱から構成される通商枠組み。
米国の輸入拡大につながる関税の引き下げは交渉しないとしている点が、TPPとは大きく異なる。通常の多国間協定とは違い、議会の承認は得ず、緩やかな連携を目指す。

米国は、各国が枠組みのすべてに賛同しなくても、参加したい分野だけを選んで参加できる珍しい仕組みも検討している。

2022/5/21 インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)

昨年から交渉官が半導体など重要物資のサプライチェーンの強化や、デジタル技術を活用した貿易の円滑化など、4つの分野で交渉を行ってきた。

事前の協議では、4つの分野のうちサプライチェーンの強化に関する分野で交渉が進展している。

その一方で、「貿易」や、「クリーン経済」、「公平な経済」は、議論を主導するアメリカと新興国などとの間で意見の隔たりが残っている。

 

昨年5月の発足以来、具体的な成果はこれが初めてで、アメリカや日本は今後、他の分野でも協議を加速し、今年11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に合わせて、「供給網」以外の分野を含めた全体的な合意を目指したい考えである。

しかし、IPEFは「関税の引き下げ」が交渉の対象になっていないため、東南アジア諸国にとっては輸出拡大などの具体的なメリットが乏しく、今後の交渉は難航が予想される。

 

付記

2023年11月までに(2)サプライチェーンの強靭性、(3)「クリーン経済」(インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー)、(4)「公平な経済」(税、反腐敗)の3つを取りまとめたが、(1)「公平で強靭性のある貿易」については米政府は11月の会合で妥結を目指したが、与党民主党のSherrod Brown 上院議員らが反対を訴え、膠着した。Brown氏らは単なる「先送り」でなく、「交渉の撤回」とした。関税を交渉項目に含まず、TPPより緩やかな枠組みだが、「選挙を控え『貿易』という言葉自体が政治的にタブーとなった」

ーーー

なお、5月25日から26日にかけて、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易担当大臣会合が本年の議長国である米国のKatherine Tai 通商代表の議長のもと、デトロイトで対面形式で開催された。

APEC:

重要鉱物や半導体などのサプライチェーンの強化や、気候変動問題、食料安全保障などについて議論が行われ、自由で開かれたルールに基づく多角的な貿易システムを強化し、サプライチェーンの混乱に対処することや、世界経済が直面する食料不安や気候変動の課題にも対応していく必要性を確認した。

しかし、ウクライナ侵攻による世界経済への影響に関する文言にロシアや中国などが反発し、共同声明の採択は見送られ、議長声明が出された。
このなかで、「(
ウクライナ情勢についての)状況及び制裁について、他の見解及び異なる評価があった」としている。

ーーー

IPEFやAPEC等の参加国は下記の通り。

APEC:アジア太平洋経済協力
IPEF:インド太平洋経済枠組み

RCEP:地域的な包括的経済連携協定

  TPP ASEAN APEC RCEP IPEF
  参加国数 11 10 21 15 14
日本  
韓国    
台湾        
中国      
香港        
ロシア    

 

 
マレーシア
シンガポール
ベトナム
ブルネイ
フィリッピン  
インドネシア  
タイ  
ミャンマー      
ラオス      
カンボジア      
インド        
スリランカ      

加盟へ

 
豪州  
NZ  
米国      
カナダ      
メキシコ      
ペルー      
チリ      
パプア
ニューギニア
       
フィジー        

スリランカ大統領は5月25日、都内での講演で、「スリランカは高いレベルの経済自由化を目指し、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への加盟を申請する」と話した。


2023/5/31 現代自動車、SK On とのJV 及び LG Energy SolutionとのJVで米国にバッテリー工場建設 

現代自動車グループは2023年4月25日、韓国SK Onと合弁で電池セル生産会社を米国に設立する計画を発表した。両社は2022年11月に北米向け電気自動車(EV)用電池の供給について覚書を締結していた。

合弁会社はジョージア州Bartow Countyに電池セル工場を建設する。総投資額は50億ドルで両社折半出資。2025年の稼働開始を目指す。年間生産能力は35ギガワット時で、EV 30万台の生産をサポートできる。

今回発表した新工場で生産する予定のバッテリーは、ジョージア州南西にある現代自動車グループ傘下の起亜の工場や、アラバマ州にある現代自動車の工場など、米国内のグループ工場向けに納品する。

 

現代自動車、SK Onの両社はそれぞれジョージア州でのEV・バッテリー事業を急速に進めている。

(現代自動車)

現代自動車は2022年5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場を新設すると発表した。

ジョージア州Bryan Countyに2023年着工し、2025年上半期から稼動する。生産量を次第に増やし2030年に年産30万台とする。
ジョージア州政府は税制優遇などインセンティブを提供し、持続的な諸般の支援を約束した。

投資額は55億ドル、生産能力は年産30万台規模で、車載電池工場も併設する。

「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SK On、LG Energy Solution、Samsung SDIの韓国企業3社のうち1社が有力と された。

2022/5/24 現代自動車、米にEV工場

11月23日にはグループ傘下のサプライヤー現代モービスが9億2,600万ドルを投じて同地域にEV用電力システムと現代が開発した統合充電システム(ICCU)の製造工場を建設することを発表した。

(SK On)

ジョージア州北東のジャクソン郡コマース市に既に2つのEV用バッテリー工場「SKバッテリーアメリカ」を持つ。

 

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Hyundai Motor Group とLG Energy Solutionは5月26日、米国に5兆7000億ウォン(約43億ドル)を投じて自動車用バッテリーのJV工場を建設すると発表した。同日、ソウルのLG Energy Solution本社で契約を締結した。

現代自動車は2022年5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場と電池工場を新設すると発表したが、「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SK On、LG Energy Solution、Samsung SDIの韓国企業3社のうち1社が有力とされた。

現代自動車は最終的にLG Energy Solutionを選んだもので、上記のSK OnとのJVに続き、LG Energy Solutionと合弁工場を建設し、米国内におけるEVとバッテリーの生産能力を 急拡大している。

現代自動車のEV新工場(Hyundai Motor Group Metaplant America)が建設される米ジョージア州ブライアン郡に建設する。JVは折半出資で、総投資額は5兆7000億ウォン(約43億ドル)。年間約30ギガワット時(GWh)のバッテリーセル(EV 約30万台) を生産する。

両工場を完成すれば、米国内にも合計約60万台以上のEVのバッテリー生産能力を備えることになる。

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調査会社テクノ・システム・リサーチによると、2020年の車載電池の世界シェアでSamsung SDIは9%で4位。LG Chemは23%で2位、SK Innovationは5%で7位。

LG Energy Solution (今回の現代自動車とのJVが加わる)

2023/2/24 Ford、トルコでの電池JVの相手をSKからLGに変更

SK On(今回の現代自動車とのJVが加わる)

2023/1/11 韓国SK On のトルコの電池JV計画 白紙撤回へ 

SK Innovation

SK Innovationは2018年11月に米ジョージア州Commerce市に1兆1396億ウォン(約1140億円)を投資して、電気自動車用バッテリー工場を建設することを明らかにした。
2020年6月29日、第2工場の設立のための投資協約式を交わしたと発表した。

SK Innovationは、LG Chemと同様、米国と中国と極東、そして欧州というEVマーケットのシェア9割を占める地域をカバーする。

北米でVolkswagenグループへの供給が決まっている。

Commerce工場は112万2000平方メートルの敷地に新設され、来年初めに着工して2022年に完成する予定。年間 9.8GWhの規模で建設される。

新工場が完成すれば、SK Innovationは韓国(忠清南道瑞山市)とハンガリー(Komárom )、中国(常州)を含めて「グローバルの四角生産体制」を構築することになる。

新工場は、瑞山工場(4.7GWh)の2倍を超える規模で、常州工場(7.5GWh)と、2022年に完成予定のKomárom工場(7.5GWh)を合わせれば、全体の生産能力は約30GWhに増える。

  稼働 建設
韓国(忠清南道瑞山市) 4.7GWh  
中国(常州) 7.5GWh  
ハンガリー(Komárom   7.5GWh
米国(Commerce   9.8GWh
合計 12.2GWh 17.3GWh
総計

29.5GWh

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設、LG & Samsung も各地で増設 


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