Rapidus株式会社

Rapidusは2022年11月11日設立を発表した。

社名:Rapidus株式会社(英文名:Rapidus Corporation)

設立日:2022年8月10日

資本金等:73億4,600万円(2022年11月時点。資本準備金の額を含む)

トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア(半導体大手)、三菱UFJ銀行
出資額は三菱UFJ銀行が3億円、他の7社は各10億円。

取締役会長 東 哲郎  東京エレクトロン元社長、会長

代表取締役社長 小池 淳義  日立製作所出身、Western Digital Corporation 元Sinior VP 

Homepage:https://www.rapidus.inc/

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2022/12/13 IBMとの共同開発パートナーシップ

IBMとRapidus株式会社は、日本が半導体の研究開発・製造におけるグローバルリーダーを目指す取り組みの一環として、ロジック・スケーリング技術の発展に向けた共同開発パートナーシップを締結したことを発表した。

本パートナーシップの一環として、RapidusとIBMは、IBMの画期的な2ナノメートル(nm)ノード技術の開発を推進し、Rapidusの日本国内の製造拠点に導入する。

2021年に、IBMは世界初の2nmノードのチップ開発技術を発表した。

このチップは、現在最も先進的な7nmチップに比べて45%の性能向上、または75%のエネルギー効率向上の達成が見込まれる。

2nmチップは指の爪のサイズのチップに最大500億個のトランジスターを搭載できるようになる。

 

2023年1月5日、ワシントンDCで行われたレモンド米商務長官と西村経済産業大臣との会談に小池社長がIBM Dario Gil Sinior VP兼IBM Research Directorとともに参加した。

   当日の資料

ラピダスの小池淳義社長は2023年2月28日、北海道庁を訪問し、千歳市に工場を建設することを伝えた。

半導体の生産に欠かせない水が豊富であることを説明。「北海道大学などを中心に先端技術、世界中の技術者を集められる環境もある」と述べた。再生可能エネルギーや産業用地が豊富であることも挙げた。

工場は、2025年に試作ライン、2020年代後半に量産ラインを立ち上げることを目標としている。

 

 

台湾に拠点を置くアナリスト集団Isaiah ResearchのVice PresidentであるLucy Chen コメント

   https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ne/18/00095/00005/

ラピダスは2nm 世代プロセス半導体を量産できるか? 技術的には可能だろう。ただし、収益性のある量産の実現はまだ難しい。

理由は主に3つ。(1)先端ノードの量産経験不足、(2)資金の不足、(3)先端ノードを必要とする顧客の確保の不透明さ

 (1) 日本企業の現状の最先端ノードはルネサス エレクトロニクスの40nmプロセス
   
GAA(Gate All Around)やFinFETのようなトランジスタの製造経験が要ります。両技術はリーク電流やエネルギー損失を制御するカギであり、これなしに2nm世代プロセスを高い歩留まり、かつ高性能で量産することは難しい 。

Gate All Around(GAA)FET全周ゲートFET 4面全てをゲートで囲むことで、リーク電流を抑える方法

現在の最先端半導体プロセスにおいて用いられているトランジスタは「FinFET」と呼ばれる立体構造をしている。

(2)  将来は5兆円規模の投資と1千人以上の雇用が見込まれる。

    現在の出資はメーカー7社が各10億円、銀行1行が3億円で計73億円

    不確実な事業に誰が出資、融資をするか。

サムスン電子は龍仁市に2042年までの20年間、300兆ウォン(30兆円)を投資し、次世代半導体製造工場5カ所など生産施設を建設する。

 

先端半導体の量産に当たり、同社が段階的に採用していく日本のトップ技術者「100人リスト」である。リストにある技術者の勤務先は外資系企業が多く、50代以上のシニア層がメインなのだ。

日系の半導体メーカーは壮絶なリストラを行い、若手の採用を減らしてきた。他方、韓国のサムスン電子や中国の紫光集団などは高額報酬で日本の技術者を採用し、技術移転を図ってきた。

 

上市するまで5年以上かかり、その間、収入なし。多数の技術者を高給で雇用し続けることが可能か?

 

(3)先端ノードを必要とする顧客の確保の不透明さ

先行する台湾、韓国勢が先に開発するのはほぼ確実

 

 

今のところラピダスが確保できているのは、政府からの補助金700億円と、国内の出資企業8社から集めた73億円にとどまっている。

 最初の数年は資金を国家予算に依存するにせよ、いずれは民間企業から資金を引き出しプロジェクトの独り立ちを図らねばならない。その成否は、ラピダスに半導体の製造を注文する「ユーザー企業」を獲得できるかどうかにかかっている。

 ソニーグループ、トヨタ自動車、NTTをはじめとする出資企業は有望な顧客企業候補ではあるが、2ナノ半導体を使いこなせるだけの開発意欲と技術力が十分に備わっているとはいえない。