2007/4/11 asahi.com

名誉棄損で高杉良さんに賠償命令 日経元社長が一部勝訴

 週刊現代に連載され、単行本になった高杉良氏の小説「乱気流」を巡り、日本経済新聞社の鶴田卓彦元社長らが「小説のモデルにされ、事実無根の内容で名誉を傷つけられた」として、発行元の講談社と高杉氏に損害賠償などを求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。菅野雅之裁判長は小説の登場人物が検察の事情聴取を受けるなど一部の記載について名誉棄損を認め、計470万円の賠償を命じた。

 単行本の出版差し止めや謝罪広告については、今後の文庫本化にあたり記述を変更する予定があることなどを理由に認めなかった。

 「乱気流」は架空の大手新聞社「経済産業新聞社」の記者が様々な事件に遭遇する物語。社長の「亀田光治郎」を巡るスキャンダルが描かれており、鶴田氏は「亀田」は自らをモデルにしたと主張。同様にモデルになった元常務とともに、計約1億円の賠償を求めた。

 菅野裁判長は「現実と虚構とが渾然一体となって記載され、截然と区別できない」と指摘。「亀田」と鶴田氏とは、名前や経歴が似ていることから2人を同一視する読者もおり、「亀田」の社会的評価を低下させるような記述は鶴田氏の名誉をも傷つけるとした。

 小説では「亀田」らが裏金作りのため子会社「ケー・シー・ワークス」(KCW)を作り、不正経理事件で東京地検の聴取を受けたり、赤坂のクラブ経営者を愛人にしたりする記述がある。日経では02年に子会社「ティー・シー・ワークス」(TCW)の不正経理事件が発覚している。

 〈高杉良氏の話〉一部名誉棄損とされたが経済小説の本質は理解していただいた。信念と創作に向かう姿勢はいささかも揺らぐことはありません。


asahi.com 2006年08月14日

高杉良氏、日経新聞を提訴

 経済・企業小説で知られる作家の高杉良さんが14日、日本経済新聞社を相手取り、自らが同社の株主であることの確認などを求める訴訟を東京地裁に起こした。

 訴状などによると、高杉さんは日経の元社員から7月4日、同社株1000株を計736万円で購入する契約を結んだ。ところが日経は同13日、売買を無効と通告した。

 日経の定款は「株式の譲り受け人は、本会社の事業に関係のある者に限る」と定めている。高杉さん側は「日経から著書を何冊も出版したうえ、『日経新聞ウオッチャー』として経営改革について提言しており、事業に深く関係している」と主張している。

 元社員は、株主になれる「社友」の資格を同24日に取り消されたため、社友の地位の確認などを求め、高杉さんと共に提訴した。

 日本経済新聞社社長室の話 弊社は言論報道機関としての独立性を守るため、日刊新聞法に基づき定款で株主の資格を事業関係者に限定しています。今回、弊社に承認するよう申し出のあった株式譲渡は明らかに定款に反して無効であり、到底認められません。弊社における社員株主制度の正当性を裁判の場で主張していく考えです。