米投資会社スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド
               vs

           ユシロ化学工業  http://www.yushiro.co.jp/
           ソトー  http://www.sotoh.co.jp/


日本経済新聞 2004/1/15

ユシロ化学、米社のTOBに対抗して配当を大幅増

 ユシロ化学工業は15日、2003年3月期の年間配当を200円に増額すると発表した。従来計画は19円だった。同社は米投資会社による同社株の公開買い付け(TOB)に反発しており、配当引き上げで株主に継続保有を促す。

 同社は大型の投資案件を抱えておらず、今期は剰余金のうち当面の事業展開に必要ない部分を取り崩して配当する。来期以降は当期利益全額を原則として配当する。昨年12月に米投資会社スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドが提案した1株1150円でのTOBへの対抗措置。株主には喜ばしいが、外圧であっさり配当政策を変更する同社の姿勢に批判も出そうだ。


日本経済新聞 2004/1/27

米投資ファンドの買収、ユシロ化学株主動かず

 米系投資ファンドによるユシロ化学工業とソトーの株式公開買い付け(TOB)問題で、ユシロの株主の多くは期限の26日までに買い付けに応じなかったことが明らかになった。ユシロが対抗策として発表した一株200円への大幅増配を評価、株式の保有を続けるのが望ましいと判断したとみられる。ソトーに対しては買収価格をつり上げ、日本で異例の敵対的買収戦がエスカレートする。

 両社の買収に動いている米スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドは日本の小型株投資に特化したファンド。26日がTOBの期限だった。スティールは一株1150円による買い付けを表明していたが、15日にユシロが買収阻止を狙って2004年3月期の200円配当(前期は14円)を打ち出し、株価が急騰。買い付け価格を上回ったため、応募する株主は少なかったとみられる。いったんはTOBに応じたものの、株価急騰をみて撤回する投資家も相次いだようだ。


朝日新聞 2004/2/12

米系投資ファンドが再度買い価格上げ ソトー株TOB

 毛織物染色大手のソトー(愛知県尾西市)に敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛けている米系投資ファンド、スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(SP)は12日、買い付け価格を1株1400円から1550円に引き上げると発表した。期間も7日間延長して23日までとする。ソトー側に立つ大和証券グループの投資会社が5日に引き上げた価格1470円を再び上回る。

 SPは03年12月に1株1150円でソトー株のTOBに乗り出し、今回が2度目の価格引き上げ。全株式の買い取り額は206億円になる。


日本経済新聞 2004/2/16

ソトー、米ファンドTOBに対抗し年200円配

 東証、名証二部上場のソトーは16日、2004年3月期の年間配当を前期の13円から200円に増やすと発表した。米系ファンドによる株式公開買い付け(TOB)に対応し、大幅増配で魅力を高めて株主がTOBに応じないようにする狙いだ。これまで大和証券グループがソトーに協力する形でTOB合戦をしてきたが、今後は共同歩調をとらずに事態の収拾をめざす。

 同社は今期の200円配を含めて、2006年3月期末までに一株当たり合計500円の株主への利益配分をする方針。「これまで蓄積した内部資金を取り崩せば対応できる」という。ソトーを巡っては米系投資ファンドのスティール・パートナーズが昨年12月、一株当たり1150円でのTOBを表明。ソトー側は1月、大和証券グループのエヌ・アイ・エフ ベンチャーズ(NIF)と組み、経営陣による買収(マネジメント・バイアウト)に出た。その後は双方が買収価格を引き上げ、12日にスティールが提示した価格は1550円と、当初案より400円もつり上がっていた。


日本経済新聞夕刊 2004/2/24

ソトー買収劇終幕
 TOB応募、株式の1%弱

 毛織物染色加工大手のソトーに対し株式公開買い付け(TOB)を提案していた米系投資ファンド、スティール・パートナーズは24日、前日終了した買い付け結果を公表した。ソトーの大幅増配方針を受けて株価が買い付け価格の1550円を上回っていたため、大半の株主がTOBに応じず応募は11万5千株と発行済み株式の1%弱にとどまった。
 スティールはソトーが16日に、2004年3月期の年間配当を前期の13円から200円に増やすと発表したことを「歓迎する」としており、再びTOBに動く可能性は低いとみられる。昨年12月からの買収劇は一応の終幕を迎えた格好だ。
 ソトーを巡っては、スティールと、ソトー経営陣と組んだ大和証券系ファンド、エヌ・アイ・エフ・ベンチャーズ(NIF)が昨年12月からTOB合戦を繰り広げていた。NIFの買い付け期間は26日までだが、株価はNIFの買い付け価格1470円を大きく上回り、応募する株主はいないとみられる。


日本経済新聞 2004/2/25

ソトーTOB合戦終結 敵対的買収排除難しく 日本企業に変革迫る

 米系投資ファンド、スティール・パートナーズによる毛織物染色加工大手、ソトーに対する株式公開買い付け(TOB)が終結した。TOBに応じたのは発行済み株式の1%弱(11万5千株)にとどまり買収には失敗したものの、大幅増配を引き出した。先のユシロ化学工業へのTOBと同様の結果となった。資本市場のグローバル化が進む中で、日本企業も敵対的買収で経営変革を迫られる時代になってきた。
 日本企業の敵対的買収は今回が初めてではない。1999年に国際デジタル通信(IDC)を巡り日英企業がTOB合戦を繰り広げ、英企業が競り勝った。銀行との株式持ち合いが崩れた結果、敵対的買収を排除するのは難しくなっている。
 敵対的買収が日常茶飯事の米国。今年に入っても娯楽・メディア大手のウォルト・ディズニーが敵対的買収に見舞われ、7兆円以上の値段を付けられた。同社は20年前にも買収の標的になったことがある。映画事業が赤字を垂れ流し、株価が低迷していたためだ。再建請負人として同社が外部から招き入れたのが現会長のマイケル・アイズナー氏だった。20年経過して再び経営刷新を求められている。
 クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券のマネージングディレクター、大楠泰治氏は「敵対的買収は競争力の強化に不可欠。企業の経営が機動的に刷新されるからだ」と語る。
 米著名投資家メイソン・ホーキンス氏が率いる米投資ファンド。フジサンケイグループの持ち株会社的な存在であるニッポン放送の実質筆頭株主になった。同グループの中核企業フジテレビジョンは、公募増資などで「ファンドの影響力を薄めようと必死」(市場関係者)と言われる。
 同じファンドが筆頭株主になっている日本興亜損害保険は違う。松沢建社長はホーキンス氏をパートナーとして扱っている。「異質な株主」を取り込めば、経営の刺激になると考えた結果だ。

スティール・パートナーズが大株主となっている企業

  保有比率 受付日
明星食品 10.7% (2004/2/3)
天竜製鋸  6.4 (2004/1/23)
東北通信建設  5.1 (2004/2/16)
松風   5.0 (2003/9/17)
帝国臓器製薬  5.0 (2003/9/22)
ブルドックソース  4.6 (2004/2/18)
中央倉庫  3.4 (2003/12/18)
高田機工  2.4 (2003/12/9)

(注)関東財務局が受け付ける大量保有報告書から作成