高砂香料工業株式会社 (Takasago International Corporation)
                                
http://www.takasago-i.co.jp/ 

本社   東京都大田区蒲田5丁目37番1号
創立   1920(大正9)年2月9日
資本金   92億円
売上高   596億円 (連結売上高1037億円)
※2002(平成14)年3月期
従業員数   1,016名
(国内および海外の高砂香料グループ2,383名)
工場   平塚 (神奈川県)・磐田 (静岡県)・鹿島 (茨城県)
海外グループ
  生産拠点
  ロックレイ・シカゴ・メキシコシティ・サンパウロ
パリ・ツルピヒ・ムルシア
シンガポール・上海・厦門

当社取締役の
野依良治博士が 2001年ノーベル化学賞を受賞

2001年10月10日、当社取締役・野依良治氏(名古屋大学教授)が、「触媒不斉合成の開発」の研究で、2001年のノーベル化学賞を受賞しました。スウェーデンの王立科学アカデミーは、触媒による不斉水素化反応の開発によって、生化学反応でのみ可能とされていた有用物質を高い効率で化学的合成する技術への道を開拓したことを評価し、ウィリアム・ノーレス氏とバリー・シャープレス氏との連名で、今回のノーベル賞を贈ることを決定しました。

現在確立されている不斉合成法によるL-メントールの製造方法は、野依教授の研究グループ(名古屋大学)や大阪大学などとの共同研究によって、1983年に世界で初めて工業化されたものです。世界的な化学者である野依博士は、今年6月に当社の社外取締役に就任し、技術的な観点から経営へのサポートを担っており、国際派としての氏の理論や経験を今後の当社のファインケミカル事業に活かしていけるものと確信しております。


 高砂香料は、1920年の創立以来、香料技術の最先端の研究開発を続け、世界の5指に入る総合香料メーカーとしてグローバルな事業展開をしています。
 文化のバロメーターともいわれる香料。味と香りに対する嗜好は、風土や習慣によって様々ですが、世界のあらゆる国々で幅広く愛用されています。このような香料の国際性に早くから目を向け、1960年のニューヨーク・パリでの開設以来、積極的に世界市場の開拓を推進してまいりました。現在では海外21カ国に35のグループ会社を有し、グローバルな研究、生産、販売の体制によって、各地の市場ニーズに適した製品づくりをおこなっています。

 これら世界各地を結ぶグローバルネットワークは、当社の目となり、耳となり、鼻となり、味蕾となっています。わたしたちTAKASAGOのグローバルネットワークが、ユーザーの皆様方の商品開発に有用な情報源としてお役に立てるものと確信しています。


  Takasago International Corporation (USA)

 1968年に設置されたTIC(USA)は、ロックレイの4VOLVOビルに、ヘッドクォーター、フレーバー研究所および基礎研究部門があります。99年4月にはこれに隣接して新フレグランス研究所をオープン、またティタボロのフレーバー工場の増設工事も完了しました。
 シカゴにおけるアロマケミカル製造工場の建設も完成し、これにより
USAにおける原料製造からフレグランス、フレーバーの製造までの一貫体制が整い、今後一層の飛躍が期待されます。


  Takasago de Mexico S.A. de C.V.

 1980年TIC(USA)の子会社として設立されたTDMは、中南米の拠点として着実に業績を伸ばしています。
 現在、社屋隣接地に拡張計画を推進しています。まず新フレーバー工場が2000年秋に竣工し、その後フレグランス工場の増強を予定しています。ベネズエラ、コロンビアを主にした中南米諸国ユーザーへの貢献度も高まってきており、NAFTA、その他の自由貿易協定を活用した得意先の生産政策に充実した体制で対応しています。


  Takasago Fragrancias e Aromas Ltda

 1991年サンパウロに設立されたTFAは、フレーバーの国際化とともに年々その重要性を増しつつあり、現在のブラジル経済の中で着実に定着しています。
 ブラジルはコーヒーをはじめトロピカルフルーツなどの魅力ある天然素材にあふれており、他地域にはない独特のクリエーションを目指し、研究開発にも努力を重ねています。 TAKASAGOがブラジル、アマゾン下流での香料植物栽培を目的として進出して以来約40年が経ちますが、TFAは新しいスタイルの海外拠点として歩み続けています。フレグランス部門も99年より活動を開始し、将来を期待される市場になりつつあります。


  上海高砂・鑑臣香料有限公司(Shanghai Takasago Fragrances & Flavors Co. Ltd)

 STUは1993年に中国の上海日用化学工業開発公司との合弁で、中国最大の経済都市上海に設立されました。STUはその市街地の中心部に本部を置き、浦東に本社・工場を有しています。巨大な中国市場でSTUが担う役割はますます大きくなっています。
 そうした中、STUは1998年には上海市からハイテク企業に認定され、近年は本部改造に着手し、芽吹き始めたフレーバー部門の食品市場への積極的な展開を進めています。


日刊工業新聞 2003/2/14

高砂香料、上海で食品香料強化−生産力倍増・年2000トンに

 高砂香料工業は、中国上海で食品香料(フレーバー)の製造設備能力を倍増する。早ければ06年度内にも年産能力を現状比2倍の2000トンに増強する。追加投資額は2億円前後。併せてシンガポール拠点でも研究設備を増強し、東南アジア市場に対応した製品開発を強化する。これにより05年度には中国やアジア地域の連結売上高を02年度見通し比50%増の80億円に引き上げる計画だ。

 中国・上海工場で増設するのは、スナック菓子やチョコレートなど多種多様な食品の香料として使われているフレーバーの製造設備。同社は02年12月に上海拠点に年産1000トンのフレーバー設備を立ち上げたばかりだが、中長期的にも年率10%の成長が見込まれる中国市場の需要増に対応するためには設備増強の必要があると判断した。


化学工業日報 2004/12/2 

高砂香料、中国に食品香料の第2拠点設立

 高砂香料工業が、中国に第2の食品香料工場を建設する。上海にある合弁に続いて、11月17日付で広東省広州にも100%子会社を設立したもの。来年末からの製造開始を予定しており、生産能力は年間1000トン。2010年に25億円の売り上げを見込んでいる。

 同社が設立した新会社名は「
高砂香料(広州)有限公司」(広東省広州開発区永和経済区、資本金900万米ドル)。高砂香料は中国に合弁で「上海高砂・鑑臣香料有限公司」をすでに保有している。今夏には同社・浦東工場で最新鋭設備を導入し、フレーバー(食品香料)の生産能力を20−30%拡大させる計画も進めている。

 近年、中国においては菓子・飲料向けなどのフレーバーの伸長も著しいが、優良食品会社が多く進出している広州にもフレーバーの新工場を建設することにした。今回、確保した約3万3000平方メートルの用地では、粉末香料・粉末食品素材を中心に製造し、日系およびグローバルな食品会社さらには中国国内の有力食品会社に販売する計画。同時に東アジア地域にも販路を広げていく予定。


  Takasago International (Singapore) Pte., Ltd.

 1975年に東南アジアの拠点として設立されたTISは、多様なASEAN諸国の嗜好、ニーズに合ったフレーバー、フレグランスを提供するためにフレーバー、フレグランスの研究所、工場を完成し、より地域に密着した活動を進めています。
 99年初頭に製造、購買、販売、計画、会計までの一貫したプロセスの管理をコンピュータ化。東南アジアの金融、物流、情報のハブとしての重要性がますます高まるシンガポールにおいて、TAKASAGOのグローバルな経営資源を十分に活用した、より優れたサービスを提供できる体制が整いました。


  Takasago Europe GmbH

 TEGは、1992年にケルン郊外トロイスドルフに欧州のフレーバー拠点として設立されました。その後、7年にわたる市場開拓期間を経て、1999年4月にボン郊外西方40キロのツルピヒに敷地面積30,000m2、延床面積7,600m2の本格製造工場を完成しました。
 TEGは、EU経済の中心国の一つであるドイツから欧州全域へあらゆるセグメントのフレーバーを供給できる製造拠点として、また同時に、欧州フレーバーの情報発信基地としてTAKASAGOのグローバルネットワークの一翼を担っています。


  Takasago Europe Perfumery Laboratory S.A.R.L.

 1978年に設立されたTEPLは、香水・オーデコロンなどファインフレグランスの研究・製造・販売を行っており、パリ近郊のサントワンルモンに、コンピュータを駆使した最新の自動調合システムを備えたフレグランス工場をもっています。
 また、オランダのナールデンには既に石鹸、洗剤、ハウスホールドなどのフレグランス研究所Takasago International(Nederland)B.V.を有しており、フレグランス発祥の地における着実な発展が見込まれています。


  Aceites Esenciales y Derivados, S.A.

 ACEDESAはスペイン南東部ムルシア州の州都ムルシア市に立地し、創業30数年になります。1989年よりTAKASAGOの資本参加と技術指導で、合成香料の生産を拡大してきました。
 1998年12月、TAKASAGOはヨーロッパにおける合成部門の拠点として拡充するために、
ACEDESAの株式100%を保有。これでTAKASAGOは日本の磐田工場、USAのシカゴ工場、スペインのACEDESAと、合成香料の3大生産拠点が整いました。  


化学工業日報 2002/10/30

高砂香料、不斉合成法メントールを総合展開

 高砂香料工業は、l−メントールの総合展開に乗り出す。l−メントールは、同社が1983年に不斉合成法による工業化を世界に先駆けて果たした中核製品の1つ。世界大手サプライヤーとしての地位を築いているが、これまでの単品的な販売にとどまらず、オーラルケアやセンセート(感覚)といった分野のアプリケーション展開を強化して拡販にテコ入れを図る。新しい生産プロセスも確立しており、現有設備で供給能力が不足してくれば、新プロセスを導入した設備を建設して生産能力を増強する計画だ。


化学工業日報 2005/6/2

高砂香料、不斉合成品生産能力を再増強

 高砂香料工業はl−メントールなど不斉合成品の生産能力を1.5倍に増強した。l−メントールについては、3年間で1.5倍とする販売計画を1年前倒しで達成、これに合わせて生産能力も5割増やしたが、共通のプラントで生産する、冷感剤、医農薬中間体、忌避剤などを含めて、今後さらなる需要増が見込まれることから、再度の増強に踏み切った。これにより、不斉合成品は2500トンの生産体制となり、同社では3年後のフル稼働を目指し、販売を強化していく。

 高砂香料は、磐田工場(静岡県)で、エナミンと呼ばれる共通の原料から、不斉合成技術を駆使した一連の製造プロセスのもと、l−メントール、冷感剤、医農薬中間体、忌避剤などを生産している。

 このなかで最も生産量の多いメントールは、食品やたばこ、香粧品などに幅広く使われている。天然品はハッカなどを原料に製造されるが、高砂香料では、光学異性体の片方だけをつくり分け不斉合成技術で、メントールのl体だけを工業生産する技術を世界に先駆けて約20数年前に確立、現在世界で2番手の市場地位を築いている。


2004/3/17 中国・ASEANニュース速報

【シンガポール】高砂香料工業、工場拡張を完了

香料大手の高砂香料工業(本社・東京都大田区)は16日、シンガポール工場の拡張工事が終了したと発表した。投資額は700万Sドル。アジア域内の需要増大に対応し、サービス向上を図る。向こう3年で技術者を30%増やす計画だ。

本社の完全子会社の高砂インターナショナル・シンガポール(TIS)は、食品香料や家庭用・化粧品向けフレグランスを製造している。1986年に研究開発(R&D)、86年と96年に香料・フレグランスの生産施設を増設し、拡張路線を歩んできた。

TISは東南アジア諸国連合(ASEAN)とオセアニアをカバーする地域統括拠点でもあり、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、オーストラリアに拠点を持っている。

新村嘉也・本社社長は声明の中で「ASEANは世界中で最も成長が早い地域。この地域の多様性を理解することが香料フレグランス市場開拓には不可欠だ」と述べた。


化学工業日報 2002/11/11

東洋合成、香料事業に本格参入

 東洋合成工業が、香料分野に本格参入する。かねてから一部の香料原料を手掛けてきたが、このほど本社工場(千葉県市川市)内に食品添加物製造設備を導入し、食品添加物として製造販売できる体制を整えた。また、欧州市場への販売展開に向け、10月にオランダに駐在事務所を開設した。主力の感光性材料部門がIT(情報技術)産業景気に左右されやすいことから、香料事業を収益基盤安定化の一助にする狙いだ。


東洋合成工業株式会社   http://www.toyogosei.co.jp/

所在地   千葉県市川市上妙典1603番地
設立年月   昭和29年9月
資本金   800百万円(2002年3月末日現在)
売上高   7,866百万円(2002年3月期)
従業員数   283名(男性246名、女性 37名)(2002年3月現在)
事業内容   半導体・液晶表示装置の製造時に使用される光・電子材料に
関連する感光性材料の製造
    医薬品・塗料・香料などの中間体となる化学薬品の製造
    液体化学薬品の保管業務

 


2003/06/03 宇部興産

完全合成法によるマリン系香料「ヘリオフレッシュ」を開発

 宇部興産株式会社(社長:常見和正)は、マリン系のみずみずしい香りを有する合成香料(正式名:α−メチル−1,3−ベンゼンジオキソール−5−プロパナール、以下、MDPと略す)につき、天然木の成分を全く使用せず、既存化学物質から効率的に合成する新プロセスを開発した。
 「ヘリオフレッシュ」として商標出願し、2005年を目途に事業化するための調査をすでに開始している。

 従来MDPは、クスノキ科の植物を伐採し、その根を水蒸気蒸留して取り出したサッサフラス油から、ベース香料であるヘリオトロピンを合成、さらにMDPへと誘導して生産されてきた。(
別紙、図1参照)しかしながら近年、マリン系の爽やかな香りが流行し、MDPの需要が伸張したため、同植物の乱伐による森林破壊が深刻化し、またMDPの安定供給という面からも、植物由来ではない新たな合成法の確立が待たれていた。
 一方当社は、二価フェノール関連製品群をファインケミカル分野の基幹製品として位置付け、二価フェノール誘導体であるバニリン・エチルバニリンなどの大型香料や、これらをベースに合成される医薬原体・中間体など、幅広い展開を図っている。
 すでに昨年、長年の合成技術を結集し、二価フェノール誘導体であるメチレンジオキシベンゼンからヘリオトロピンの合成に世界で初めて成功していたが、このたび、ヘリオトロピンをも経由せず、メチレンジオキシベンゼンから直接MDPを合成する技術を確立した。(
別紙、図2参照)同技術による「ヘリオフレッシュ」は、植物成分を必要とせず、すべて既存の化学物質から効率的な短い工程で合成する画期的なものであるため、地球環境の保護とコスト削減の両方に資するものとなる。
 同製法の開発成功により、当社はヘリオトロピンや「ヘリオフレッシュ」などの一連のメチレンジオキシベンゼン関連香料を二価フェノール誘導体の戦略的製品として位置付け、2005年の本格生産を目指して市場調査に着手した。
 現時点では、メチレンジオキシベンゼン換算で1000トン/年の生産規模、約20億円程度の市場規模を想定している。
 なお、当社は6月4日から英国マンチェスターで開催されるChemSpec Europeに出展し、本製品の紹介も行う予定。

1.従来のMDPの製法

2.今回の「ヘリオフレッシュ」の製法


2005年8月24日 宇部興産

マリン系香料「ヘリオフレッシュ(R)」の本格生産設備を設置
http://www.ube-ind.co.jp/japanese/news/2005/2005_09.htm

 宇部興産(株)(社長:田村浩章)は、二価フェノールの新規誘導体であるマリン系香料「ヘリオフレッシュ(R)」の本格生産設備を、宇部ケミカル工場内に設置することを決定した。 *Heliofresh
 
 「ヘリオフレッシュ(R)」は、2003年に宇部興産(株)が世界で初めてカテコールからの完全合成に成功したマリン系香料で、メロンやスイカの瑞々しい香りが特徴。最近ではトレンディな香りとして有名な香水にも数多く使われ、注目を集めている。
 従来、この種の香料は、主として中国南部からベトナムに群生するクスノキ科の「サッサフラス」から取れるサフロールを原料にして製造されていたが、近年、乱伐による資源の枯渇により供給不安が出てきており、また、水害防止・環境保護のため伐採規制が厳しくなってきている。
 このような状況のもと、宇部興産(株)は植物由来ではない新たな合成法を開発、2004年からマルチプラントで生産を開始したところ、高い純度とクリアで爽やかな香りから、世界の大手トイレタリー・香料メーカーから高い評価を得、天然品からの置き換えが急速に進んでいる。

 今回の本格生産設備は、生産能力
500トン/年であり、ほぼ、全世界の需要を賄うことができるもので、2006年7月の稼動を目指す。
 宇部興産(株)は、環境に優しい「ヘリオフレッシュ(R)」の拡販により、森林資源保護に貢献すると共に、ファインケミカル事業のより一層の強化を図っていく方針で、2007年度にはフル生産に移行する予定。