住友化学社史より

 アメリカのカーボランダム社(Carborundum Co.)が1972年に開発した耐熱・耐薬品性に特徴がある芳香族系液晶性樹脂「エコノール」に着目した当社は、同社との折半出資により「日本エコノール株式会社」を設立し、1975年初めから同製品の出荷を始めた。しかし、カーボランダム社がアメリカの事業を他社に譲渡したのを機に、1977年4月同社を解散し、当社は同事業の一時中断のやむなきに至ったが、カーボランダム社との提携解消後、1979年7月から自社技術による国産品で市場開発を再開し、同樹脂の製造設備を愛媛工場(菊本地区)に設置して1983年12月から本格的な供給を開始した。

 1993年、従来のエコノールを改良して「スミカスーパーLCP」と改称し、新用途への拡販を図った。これは、液晶性に由来する高い流動性を持ち、優れた加工性、耐熱性を生かしたもので、コネクター、リレー、スイッチなどの電子部品や電気コイルなどの封止剤として需要が伸び、国内で液晶ポリマーの40%のシェアを確保した。また、1975年には東南アジア向けの輸出が急増、その後の需要増加も見込んで同年8月、愛媛工場の製造能力を増強した。

* Carborundum Corp.は現在 Saint-Gobain Advanced Ceramics (boron nitride メーカー)


三菱エンジニアリングプラスチック

設 立  1994年3月1日

資本金  30億円(三菱ガス化学、三菱化学両社折半出資)

製品

  P C :ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネートシート
  P A :ポリアミド樹脂
  PA−MXD6 :ポリアミドMXD6樹脂
  P B T :ポリブチレンテレフタレート樹脂
  P O M :ポリアセタール樹脂
  m-PPE :変性ポリフェニレンエーテル樹脂
  GR−PET :強化ポリエチレンテレフタレート樹脂
  P P S :ポリフェニレンサルファイド樹脂
  L C P :液晶ポリマー樹脂

沿 革

  平成6年3月1日三菱ガス化学、三菱化成(現三菱化学(株))両社折半出資によって設立、4月より営業開始。両社が従来行ってきたエンジニアリングプラスチックス事業を継承し、一体化することを目的とした会社で本業界における売上金額においては日本最大級、5大エンジニアリングプラスチックスをすべて網羅し、世界でトップレベルの製品開発力と応用加工技術をそろえている。
       
  1994年 3月   三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社設立。(資本金4億円)
  1995年 5月   現地法人MEP香港設立。(当社100%出資)
  1996年 5月   タイ・ポリカーボネート社(TPCC)設立。
      (三菱エンジニアリングプラスチックス・三菱ガス化学・三菱化学・TOAケミカル社合弁、当社60%出資)
  1996年 6月   現地法人MEPシンガポール設立。(当社100%出資)
  1997年 10月   アジア地区の技術サービスを目的に現地法人MEPテクニカルセンター・アジア設立。(当社100%出資)
  1997年 11月   ポリカーボネート樹脂に関し「ISO9001」「QS-9000」の認証取得。
  1998年 4月   現地法人MEPアメリカ設立。(当社100%出資)
ポリカーボネート樹脂をTPCCで生産開始。
  2000年 3月   現地法人MEP香港広州事務所設立。
  2000年 6月   コンパウンドの拠点として株式会社MEPCOM四日市設立。(当社100%出資)
現地法人MEP台湾設立。(当社100%出資)
  2000年 8月   コンパウンドの拠点として鹿島ポリマー株式会社の株式取得。(当社85%出資)
  2000年 9月   株式会社 神戸製鋼所よりプラスチック材料事業を継承。
  2001年 4月   ポリカーボネート樹脂の製造会社である韓国の三養化成(株)の株式取得。
(当社25%出資)

2000/9/1 三菱エンジニアリングプラスチックス

神戸製鋼所樹脂材料事業の移管

 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社(MEP、本社:東京都中央区、社長:福谷秀夫)は、9月1日付で株式会社神戸製鋼所(東京都品川区、社長:水越浩士)の国内外樹脂材料事業の移管を受けることになりました。これまで神戸製鋼所が行っていた需要家への製品供給及び技術サービスは、今後MEPが引き継ぐことになります。

 神戸製鋼所の樹脂材料事業はカーボン長繊維強化ナイロンやガラス繊維強化ポリカーボネート等、エンジニアリングプラスチックス(エンプラ)の高機能コンパウンド材料に特徴があり、近年特にOA機器用途を中心に販売量が拡大しましたが、今後一層の競争力強化が課題となっていました。

 一方MEPは国内最大のエンプラ事業会社として、この需要分野の強化が必要と考えております。原料、コンパウンドから販売、技術サービス体制まで一貫した事業として、国際競争力強化の視点からも、本移管に至ったものであります。


2002/1/24 三菱エンジニアリングプラスチックス

MEPコンパウンド体制確立

 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社(MEP)は顧客対応の適切化・迅速化、製品品質の安定化を図るためにコンパウンド自製化体制の強化に力を注いできており、平成14年春には以下の通り、東日本、中日本、西日本の3拠点で合計生産能力6万7千トン/年の自製化体制を確立する。

【東日本】
○ 鹿島ポリマー株式会社(茨城県)
   平成12年に三菱ガス化学株式会社持ち分株式(発行株式の85%)全量を譲り受けた。合わせて設備を増強中であり、平成14年3月には、現状のコンパウンド生産能力1万5千トン/年から2万5千トン/年体制となる。
   
【中日本】
○ 株式会社MEPCOM四日市(三重県)
   平成12年6月にMEP100%出資で設立。第1期コンパウンド設備が完成し、平成13年11月より2万5千トン/年の生産能力で営業生産開始。
   
【西日本】
○ 株式会社MEPCOM九州(福岡県)

 


2000/8/16

鹿島ポリマー株式会社の株式譲渡及び同社設備能力の増強について

 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社(本社:東京都中央区、社長:福谷秀夫)は、下記の通り、鹿島ポリマー株式会社(本社:茨城県鹿島郡、社長:国井 忠)の三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大平 晃)持ち分株式(発行株式の85%)全量を、7月3日付で譲り受けました。又、鹿島ポリマー株式会社は、三菱ガス化学株式会社鹿島工場のポリカーボネート樹脂増設に対応したコンパウンド能力の増強を決定しました。

 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社の販売量の内、約35%はコンパウンド製品であり、コンパウンド生産の安定性確保、技術の向上、コスト低減は同社にとって重要な課題であります。このため四日市地区に同社100%出資の株式会社MEPCOM四日市を設立し年産5万トン規模の工場を建設する事を決めましたが、それに引き続き東日本の拠点である鹿島ポリマー株式会社の三菱ガス化学株式会社持ち分株式を全量譲り受け、自社工場と同様な運営をしていく事と致しました。

 又、三菱ガス化学株式会社鹿島工場は、平成14年初営業運転開始の予定でポリカーボネート樹脂7万トンの増設工事を行っておりますが、この増設に対応して鹿島ポリマー株式会社は、コンパウンド能力を年産15千トンから25千トンに増強する事に致しました。合わせてナチュラル・アイス色ペレット及びフレーク製造設備も新増設します。

本計画により、西日本拠点の株式会社新菱(本社:福岡県北九州市八幡西区、社長:宮原克彦)と合わせ、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社のコンパウンド自製体制が整備強化される事になります。


1. 鹿島ポリマー株式会社概要

  設立 1988年10月
  場 所 茨城県鹿島郡神栖町(三菱ガス化学株式会社鹿島工場敷地内)
  社 長 国井 忠
  資本金 3億円
  資本構成 譲渡前;三菱ガス化学(株)85%、山九(株)15%
譲渡後;三菱エンジニアリングプラスチックス(株)85%、山九(株)15%
  コンパウンド製品 ポリカーボネート樹脂が主体
  設備能力の増強 コンパウンド能力     (現状)  (能力増強後)
      ナチュラル色・アイス色  15 → 25千トン/年
ペレット化 能力        6 → 10千トン/年
フレーク生産能力      18 → 40千トン/年
  着工 平成12年9月
  完工 平成14年初営業運転開始予定

2. 株式譲渡日 : 平成12年7月3日


(2000/10/11 住友化学発表)

住友化学、カプロラクタムの画期的な新プロセスを確立

 住友化学は、このたびカプロラクタムの新製造プロセスの技術確立に成功し、新プロセスに基づく商業プラントを日本に設置するほか、ワールドワイドでの事業展開の可能性を追求していくことといたしました。
 カプロラクタムは、ベンゼンを出発原料とし、シクロヘキサノンを経由して、シクロヘキサノンオキシムを液相でベックマン転位して製造する製法が主流となっています。現在のこの製法は、オキシム製造とベックマン転位の際、
多量の硫安が副生し、その発生量はカプロラクタム1 トンあたり1.6 〜4.0 トンにもなります。このため、触媒の硫酸を製造する設備に加え、副生する硫安を製品化するための設備が必要となるほか、低落傾向にある硫安の価格がカプロラクタムの製造コスト上昇につながっていました。
 このたび住友化学は、ベックマン転位工程での高性能新触媒の自社開発に成功し、5,000 トン/年の実証プラントの運転を経て、気相でのベックマン転位プロセスの商業化の目途を得ました。
 一方、イタリアの大手石油化学メーカーであるエニケム社は、イタリアのポート・マルゲーラ(Porto Marghera)で12,000 トン/年の実証プラントを持っていますが、独自の触媒(TS-1)を使用して、シクロヘキサノンをアンモニアと過酸化水素で直接オキシム化する新法(アンモキシメーション法)の開発に成功しています。
 当社はこれまで、エニケム社と共同で、これらの2 つの新法を組み合わせた新プロセスの有効性を検討してまいりましたが、このたび新プロセスの優れた競争力を確認し、商業化することといたしました。日本に設置する新プラントは、
硫安を一切副生しない(副生物は水のみ)世界で最初の本格的商業プラントとなります。
 カプロラクタムはナイロン6 の原料ですが、ナイロン6 は、繊維あるいは樹脂として、衣料、自動車・電気部品、食品包装用フィルムなど、その用途は多岐にわたっております。その国内需要は、今後、エンジニアリングプラスチック用を中心に樹脂分野の伸びが期待され、全体としても安定的に推移すると思われます。一方、高成長を続けているアジア地域では繊維分野で4 %、樹脂分野で7 %程度の伸びが期待されます。
 住友化学は、従来法により93,000 トン/年のカプロラクタムの製造、販売を行ってまいりましたが、今後は、コンパクトで競争力に富む新プロセスを武器に、国内外において、カプロラクタムビジネスの積極的拡大に取り組む方針です。

(注)ベックマン転位: シクロヘキサノンオキシム(炭素6 員環のオキシム)が、その内部に窒素を加えて7員環となる形に化学構造が変化して、カプロラクタムとなる化学反応。液相での転位は、発煙硫酸を触媒とする。


2003/3/20 Chemical Week Newswire

Sumitomo Readies Capro Expansion

Sumitomo Chemical says it will start production this month at its revamped and expanded plant at Ehime, Japan, which produces caprolactam without generating any ammonium sulfate. Capacity has been raised from 95,000 m.t./year, to 160,000 m.t./year. Most of the additional capacity will be sold to Chinese buyers, Sumitomo says. The company is also eyeing a worldscale plant using the new technology, either in Singapore or China.


2002/5/1 日刊工業新聞

出光石化、PPS事業化で提携へ−リスク分散で複数企業と

 出光石油化学は、高機能樹脂のポリフェニレンサルファイド(PPS)の事業化で他社と提携する意向を明らかにした。2年後をめどに千葉工場(千葉県市原市)内で年産1万トンの新設設備の稼働を目指している同社だが、リスク分散には複数企業による連携が得策と判断。9月までには詳細を決める。

 PPSはパラジクロルベンゼンと硫化ソーダを合成して得られる熱可塑性の結晶性樹脂。耐熱性や機械的強度に優れているうえリサイクル可能なのが特徴。半面、プラント建設費はPCの約4、5倍もかかるのがネックで、世界需要は年間3万トンにとどまっている。

 同社はこれまで
PPSのコンパウンドを手がけているが、樹脂としての生産は初めて。独自の生産プロセスで初期費用を抑えるものの、投資額として60億―70億円を必要とすることから、パートナーを探すことにした。


化学工業日報 2000/11/9

出光石化、PPS樹脂を事業化へ

 出光石油化学はPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を事業化する。課題であった製造プロセスの安定化、グレードの維持にめどがついたことから量産化に踏み切ることにした。来夏までに正式決定、5000−1万トン規模の量産プラント建設に着手し、2003年にも稼働させる計画。市場開拓、原料ソースの確保などの観点から、他社との提携で事業化する方法が有力で、千葉工場のほかアジア立地とすることも選択肢に含まれる。コアと位置づけるエンジニアリングプラスチック事業の3番目の柱と位置づけて育成する。
 出光石油化学はPPS事業化に向けた検討を重ねてきたが、実用レベルの量産技術確立にめどをつけ、2001年夏までに事業化することを決めた。5000−1万トン規模を想定したプロセスはすでに確立させており、計画決定後工場建設に着手、2003年にも稼働させる。他社との提携による事業化を模索しており、共同で市場開拓を目指す考えだ。塩素、カ性ソーダなどの原料ソースの確保も提携相手、立地の決定の重要な要素となる。


Chemnet Tokyo インタビュー

競争力強化への取り組みと課題
 出光石油化学 社長 山本 侑 氏

・・・ 高機能性樹脂事業は、ポリカーボネート(PC)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が核で、それぞれ事業の発展ステージが違うが、徹底して育成・深耕していく。
 PCは、約30年の歴史があり、この間蓄積してきた技術力及び販売力を生かして、台湾プラスチックと15万トンの工場を建設し、グローバルな事業展開を加速していく。
 
PPSは、コンパクトな連続重合プロセスなため国内外企業の関心が非常に高く、複数の企業から引き合いが来ており、現在事業化に向けて計画を詰めているところだ。・・・


2001/2/9 旭化成・ローディア 発表
  
旭化成とローディア間でのアジピン酸製造契約調印について

 旭化成株式会社(社長:山本一元)と
ローディア社(会長兼最高経営責任者:ジャン・ピエール・ティルフレ)は、この度、アジピン酸の製造に関する合意に達し、調印しましたのでお知らせ致します。
 ローディア社は、韓国温山(蔚山廣域市蔚州郡)にアジピン酸製造設備を所有していますが、今回の合意により、両社は2002年の第4四半期稼働を目処に、同地区に新たに
年産6万5千トンのアジピン酸製造設備の増設投資を実施し、旭化成はこのうち、年5万トンの引取権を獲得します。また、この新設する年産6万5千トンの設備に必要なシクロヘキサノールにつきましては、旭化成が水島支社(岡山県倉敷市)の製造能力増強工事を実施することで供給致します。
 このパートナーシップの目的は、経済的規模、卓越した技術、原料統合を通じ、世界的にも競争力のある、アジピン酸製造設備を建設することです。
 また、今回の合意により両社は、アジアにおいて急速に拡大しつつあるナイロン66およびポリウレタンの原料であるアジピン酸市場での、リーディングカンパニーとしての地位を確保して行きます。なお、今後とも、旭化成とローディア社は、別々の販売チャネルのもとで製品販売を続けて行きます。

(ご参考) 旭化成のアジピン酸・シクロヘキサノール事業について

 旭化成では現在、ナイロン事業、特に中間体化学品としてのナイロン原料事業を重要な競争優位事業とのひとつとして位置付けており、ナイロン66の原料から繊維・樹脂にわたる一貫メーカーとして、宮崎県延岡市に生産設備を有しています。その主原料であるアジピン酸はアジア地域ではNo1の規模である年産12万tの設備を有していますが、自消ナイロン66樹脂・繊維の需要増、ポリウレタン樹脂、塩ビ用可塑剤等のアジアを中心とした外販需要増を背景に、現在フル稼働の状況にあります。また、岡山県倉敷市に立地する当社独自で開発した世界的にも競争力のあるアジピン酸原料であるシクロヘキサノールも同様に年産10万tの設備がフル稼働の状況にあり、両製品の増設を検討して参りました。
 そこで、今般、アジピン酸についてはローディア社(仏)の温山(韓国)プラントの年産6万5千tの増産計画に5万t/年のキャパライトを取得という形で参画し、当社アジピン酸の供給量を確保し、当社供給能力を
17万t/年と致します。このアジピン酸6万5千tに必要となる原料シクロヘキサノール全量を供給するために、シクロヘキサノールについては水島で年産5万tの増強を決定し、当社生産能力を15万t/年と致します。
 また、今後については、シクロヘキサノール外販ビジネスも視野に入れた海外においてのシクロヘキサノール大規模プラントの建設を検討しております。

 今回の提携により、当社は日本・韓国でのアジピン酸供給基地を確保することとなり、アジア地域のアジピン酸市場における当社の事業ポジションはますます強固なものとなることと確信しております。


European Chemical News. 6-13 May 2002

Rhodia to build facility in Korea

Rhodia Engineering Plastics is investing in excess of E10m ($9m) to build a polyamide compounding facility in Onsan, Korea. The plant is expected to become operational in the second quarter of 2003.

The plant will replace compounding operations at Anyang, which Rhodia acquired in 1999 with the purchase of Hyosung Engineering Plastics' business. The latest development in Korea is a strategic step in Rhodia's Asian build-up of polyamide. The planned unit will serve customers largely in Korea and Japan.

Rhodia already has adipic acid production on the Onsan site, on Korea's south-east coast, where capacity is being increased from 70 000 to 135 000 tonne/ year. This is being done in collaboration with Japan's Asahi Kasei. The Japanese company will take 50 000 tonne/year of the output when the plant becomes operational next year.

Rhodia claims to hold the number two spot in global polyamide production with a capacity of 180 000 tonne/year. It operates polymerisation facilities in France, Italy, Poland and Brazil. It recently added its first North American compounding presence with a plant in Mississauga, Ontario, Canada.


2000/3/23 旭化成 発表

ナイロン66樹脂「レオナ」重合設備の能力増強について

 当社は、ナイロン66樹脂「レオナ」のレオナ工場(延岡市)における重合設備(現在42,000トン/年)につきまして30,000トン/年の能力増強を決定いたしましたので、お知らせいたします。

1 背景・経緯

 当社は、ナイロン66の事業分野において、アジアで唯一原料から製品まで一貫生産しているメーカーです。コスト競争力のある当社独自のシクロヘキセン法シクロヘキサノール、アジピン酸等の原料、タイヤコード・産業資材等の繊維、さらにエンジニアリング樹脂と幅広くナイロン66「レオナ」事業を展開しております。
 ナイロン66樹脂「レオナ」はエンジニアリング樹脂として、自動車、電気・電子部品、OA機器を主な用途として世界的に需要が拡大しており、当社はこれまで既存設備のボトルネック解消により能力増強を実施して参りました。現有設備は依然高稼働を続け、今後もさらなる需要拡大が見込まれることから、今回、重合設備の能力増強を決定いたしました。

2 能力増強の内容

1) 今回増設する設備  ナイロン66樹脂「レオナ」重合設備
2) 増設能力        30,000トン/年
3) 設備投資金額     約30億円
4) 立地           宮崎県延岡市、レオナ工場内
5) 着工及び稼働時期  2000年6月着工、2001年10月稼働予定
6) 増設後の設備能力  72,000トン/年(繊維を含めて105,000トン)

3 ナイロン66分野での今後事業展開

当社ではナイロン66事業を競争優位事業として位置付け、積極的に事業拡大を図っています。今回の重合設備増強により、外部販売も好調な原料のアジピン酸、シクロへキサノールも高稼働となるため、現在これら原料の大型新規設備の建設を検討しております。また、ナイロン66樹脂重合設備の次期能力増強は、海外での需要拡大に対応して海外立地を検討して参ります。


1996/10/3 旭化成・デュポン発表

旭化成とデュポン、ナイロン原料で提携
 - ヘキサメチレンジアミンの長期供給契約を締結 -

 旭化成工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:弓倉礼一)と、米国デュポン社(本社:デラウエア州、ウィルミントン、社長兼最高経営責任者:ジョン・A・クロール)とは本日(3日)、デュポンが製造するナイロン原料であるへキサメチレンジアミン(HMD)の長期供給契約について合意に達したと発表しました。

 同契約は、デュポンが製造するナイロン原料であるHMDを総量25万トン、16年間にわたり、旭化成に対して供給するもので、デュポンはアジア地域でBASFと合弁事業として行なう予定のHMD製造施設を含む世界各地のHMD製造拠点から供給します。
両社は、1993年以降ナイロン事業における協力について話し合いを行ってきました。 本件は、その具体的な成果であり、両社は今後もナイロン事業での協力を進めていく予定です。

 旭化成では現在、ナイロン事業を重要なコアビジネスのひとつとして位置付けており、ナイロン66の原料から繊維・樹脂にわたる一貫メーカーとして、宮崎県延岡市に
ナイロン66塩(AH塩)ベースで年間10万トンの生産設備を有していますが、アジピン酸とならぶ一方の主原料であるHMDはフル稼働の状況にあり、同契約に基づいてデュポンからHMDの供給を受けることによって、今後のナイロン66事業の拡大に必要な原料を安定的に確保したものです。

 デュポンは1990年代の前半より、アジア太平洋地域でナイロンの原料生産から製品までの一貫した事業展開を目指しており、現在同地城で展開しているナイロン事業関連生産設備としては、シンガポールのアジピン酸製造工場および「ザイテル」ポリマー製造部門、オーストラリアの紡績工場、日本、韓国、シンガポールのコンパウンディング工場があります。
またデュポンの事業計画の一環として進めている合弁事業には、中国でのAH塩およびポリマーの製造事業、日本、台湾、インド並びに中国でのナイロン糸製造事業があります。この度の提携は、デュポンのアジア太平洋地域での世界規模のナイロン原料製造施設の建設に資するものです。


2001/1/31 DIC、東燃化学発表

PPS事業の譲渡について

 大日本インキ化学工業株式会社(DIC)と東燃化学株式会社(TCC)は、このほどTCCの子会社でPPS(ポリフェニレンサルファイド)ポリマーの製造・販売を行う株式会社トープレンの譲渡について合意し、DICは本年2月1日付でTCCよりトープレンの全株式を買い取ることとなりました。
 PPSはナイロン等の5大汎用エンプラの上位にランクされ第6のエンプラと言われるスーパーエンプラの1つです。そのポリマーにガラス繊維などのフィラーを配合したPPSコンパウンドは、耐熱性や強度、寸法安定性、難燃性、耐薬品性等に特に優れた特性を持ち、IT関連を中心とした電気・電子部品、自動車部品、精密機械部品等の多岐にわたる用途に使用されています。日本市場においては近年、その成長率が20%を越えており、2000年には2万トンの需要に達したものと推定されています。
 DICはPPSをPBT(ポリブチレンテレフタレート)からLCP(液晶ポリマー)に至る結晶性エンプラ事業の中心と位置づけ、ポリマーからコンパウンドまでの一貫生産を行っており、コンパウンドの日本市場における占有率は40%以上と業界トップの座を占めています。しかし市場の急速な成長から鹿島工場(茨城県神栖町)の年産3500トンのポリマープラントはフル稼働状態にあり、生産能力の増強が近年の大きな課題となっていました。このたびのTCCからの同事業の譲り受けにより、多額の設備投資を要する新規プラント建設によらずポリマーの確保が実現することから、PPS事業のコスト競争力を維持し、事業基盤を一層強化することが可能となります。
 TCCは個々の事業について、その事業価値を高めるため、投資機会の検討や合理化、買収/譲渡などの様々な可能性を常に検討しています。PPS事業についても、この考えに基づき、TCC単独で事業を継続するより譲渡することが事業価値を高めると判断しました。
 この譲り受けによりDICのPPSポリマーの年間生産能力は既存の3500トンにトープレン(千葉県袖ヶ浦市)の3500トンを加え、7000トンと名実ともに国内第1位の能力を確保し、世界的にもシェブロン・フィリップス社(米)に次いで第2位の地位を得ることとなります。DICは、両工場が地理的にも近く、架橋型・リニア型の両タイプのPPSポリマーを生産していることから、今後新会社を設立し、両工場を一元運営する方針です。これにより生産グレードのすみ分け、品番統合等の合理化・生産性の向上を図るとともに、両社がこれまでに蓄積した固有技術を結集して新プロセスの開発・次世代新製品の上市に注力し、ユーザー各位の多彩なニーズに応えるとともに、PPS分野における競争力の一層の強化を目指します。


2001/3/29 DIC発表

ディーアイシーEPの本格スタートについて

 当社の100%子会社でPPS(ポリフェニレンサルファイド)ポリマーの製造・販売を行う株式会社
トープレンは、4月1日付で社名を『ディーアイシー・イーピー株式会社』(ディーアイシーEP)に変更することとなりました。同時に、当社は鹿島工場(茨城県神栖町)にあるPPSポリマー生産現場を同日付で分離し、ディーアイシーEPに統合します。
 これはDICグループとしての位置づけを明確化するとともに、袖ケ浦工場(旧トープレン千葉工場)および鹿島工場を一元運営・管理することにより、生産グレードのすみ分け、品番統合などの合理化、生産性の向上などを目指したものです。
 ディーアイシーEPの本格スタートにより、当社のPPS事業の基盤は大幅に強化されたこととなりますが、今後は蓄積した固有技術を結集して新プロセスの開発、次世代新製品の上市を推進します。また、架橋型・半架橋型・リニア型の各種PPSポリマーを生産できる強みを活かして、今後予想される新用途へ対応した高純度・高品質のポリマーの供給体制の整備を推進します。
 なお、ディーアイシーEPの概要は以下の通りです。

社名 :ディーアイシー・イーピー株式会社(DIC EP Inc.)
本社 :東京都千代田区外神田2-16-2第二ディックビル
社長 :水野潮路
資本金 :3億円
生産品目 :架橋型・半架橋型・リニア型各種PPSポリマー
生産工場 :袖ケ浦、鹿島

 


2002/07/18 三菱ガス化学

MXナイロン事業 ナノテクノロジー技術で提携

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小高英紀 以下MGCと記す)は米国ナノコア社(本社:米国イリノイ州 、社長:Peter Maul)との間で、MGCがグロ―バル展開を図っている高ガスバリアナイロンのナノテクノロジー技術について戦略的な提携交渉を開始しました。
 MGCは食品包装材などで、需要が世界的に伸びているMX ナイロン事業の強化を図っています。その一環として
海外立地の検討やコポリマー技術の開発などを行っていますが、画期的にガスバリア性能を向上させる方法として、ナノテクノロジー技術の採用を検討していました。
 一方、米ナノコア社は、特殊な粘土鉱物を有機剤処理し、ナノメーターサイズに分散し得るナノクレイを生産しており、独自にMXナイロンに適したナノクレイを開発しました。
 両社は、このナノクレイをMXナイロン中にコンパウンドすることで、非常に高いガスバリア性が発現することを見出し、物性評価や低コストの製造方法につき共同で検討していましたが、一定の目処を得たことから、販売のアライアンスについて基本的な合意に達した。計画では、年内にも提携し、その後、ナノコンポジットMXナイロンの出荷を始める予定です。
 MXナイロンは、高湿度下ではエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂よりも高いガスバリア性能を示すことから、各種食品包装材に使用されておりますが、市場からは広い湿度域での性能向上が求められています。
 MGCでは、中期的には海外でのモノマーからの一貫生産も視野に入れており、今回の戦略的な提携については、欧米市場もにらんだグローバル事業としての基盤構築につなげたいと考えています。


2002/08/05 三菱ガス化学

三菱ガス化学、米国でMXナイロン生産計画

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区 社長:小高英紀 以下MGC)は、MXナイロン事業で米国に進出することを決定致しました。既にヴァージニア州リッチモンド市近郊に、6万3千平方メートルの用地を取得しております。近く着工し、2004年春には完成・稼動を開始する予定です。第1期として年産1万トンのプラントを設置致しますが、需要拡大に合わせ増設可能な設計としています。

 MXナイロンは、その高いガスバリア性を生かして食品包装材に多く使われていますが、米国での消費者の嗜好の変化などで今後需要の拡大が見込まれています。

 MGCは食品包装材などで需要が世界的に伸びているMX ナイロン事業の強化を図っています。その一環として性能面からはナノテクノロジーやコポリマー技術の開発などを行っていますが、グローバル展開を目指す上で海外生産拠点を検討していました。

 MGCは既に新潟工場に年産1万4500トンのMXナイロン生産設備を有していますが、世界最大の市場である米国での販売を加速するためには、品質面やコスト面で現地生産が不可欠と判断しました。

 MXナイロンは、米国では主に車部品用途と食品包装材向けで使用されています。食品包装材料としては、汎用的に使用されているエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂に比べて、高湿度下で高いガスバリア性能を示すことから、特に需要の高い伸びが続いています。米国の食品包装材用途ではPETボトルの小型化やスタンディングパウチの普及によりハイガスバリア材料が求められており、今後も高い伸びを見込んでいます。

 MGCでは、中期的には海外でのモノマーからの一貫生産も視野に入れており、今回の米国計画で、グローバル展開・拡大に拍車をかけていきたいと考えています。


2004/02/19 三菱瓦斯化学

MXナイロン米国設備建設に着工
三菱ガス化学 食品包装材向けを軸に2005年初頭生産開始
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=65473

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区社長:小高英紀以下MGC)の米国現地法人である「MGC アドヴァンストポリマ−ズ」(ヴァ−ジニア州:以下MAP)は、約20億円を投じてMXナイロン生産設備の建設に着工致しました。既にヴァージニア州リッチモンド市近郊に、6万3千平方メートルの用地を取得しており、昨年11月に、重合設備建設を開始致しました。2005年初頭の生産を目指し、第一期として年産1万トンのプラントを設置致しますが、その後も順次、需要拡大に合わせ設備増強を図っていく計画としています。

 MGCは既に新潟工場に年産1万4千5百トンのMXナイロン生産設備を有しており、まだ全世界需要に対し数年の余力がありますが、世界最大の市場である米国での販売を加速するためには、品質面やコスト面で現地生産が不可欠と判断しました。

 MXナイロンは、米国では主に車部品用途と食品包装材向けで使用されています。食品包装材料としては、熱安定性の良好なガスバリア樹脂として市場から認知され始めており、特に需要の高い伸びが続いています。米国の食品包装材用途ではPETボトルの小型化やスタンディングパウチの普及によりハイガスバリア材料が求められており、今後も高い伸びを見込んでいます。

 MAPの資本金は600万ドルで、
MGCが80%、丸紅が20%を出資し、従業員30名でスタートします。

 プラント建設工事はプロセスの性能を損なうことなく工事額を節減、予算額を提案したアメリカのジェームスN.グレイ社(本社ケンタッキー州レキシントン市)が受注しました。

 MGCは食品包装材などで需要が世界的に伸びているMXナイロン事業の強化を図っています。
ナノテクノロジーやコポリマー技術などでは知的財産で世界戦略を進めると共に、ガスバリア性能や他樹脂との接着性を高めたグレードなどを次々に商品化していく予定です。また、今回の米国生産拠点確保により、一層のグロ−バル展開を図ります。


2002/07/22 宇部興産

UBEグループのカプロラクタム(CPL)事業及び関連事業の再構築について

 ・堺工場カプロラクタム第I期プラント来春停止、タイへ生産シフト
 ・02〜03年度の2年間で総額40億円超の収益改善効果を目指す

 宇部興産株式会社(社長:常見和正)は、現在推進中の中期経営計画「New21・UBE修正計画」における事業構造改革の一環として、グループの基盤事業であるカプロラクタム(CPL)事業及びその関連事業の再構築を次のとおり実施する。

(1) CPL事業の再構築について
  UBEグループのCPL事業は、
 当社堺工場、
 宇部ケミカル工場、
 タイ子会社・Thai Caprolactam Public Co.,Ltd.(TCL)、
 スペイン子会社・Productos Quimicos del Mediterraneo,S.A.(PQM)
の4拠点において、計36.5万t/年、世界需要の約1割に当る生産能力を保有し、グローバルな供給体制を整えているが、このうち、堺工場(2系列、生産能力11万t/年)において、旧式プロセスで硫安副生量の多い
第I期プラント(約2万t/年)を来年春に停止し、大幅なコストダウンを実施する。さらに、これに合わせて運転員や諸経費の削減に取組むことにより、02〜03年度で総額23億円のコスト削減効果を見込む。
 また、宇部ケミカル工場では、本年4月に組織改革を行い、製造間接部門のスリム化を実現させるとともに、生産技術力強化と生産効率向上を推進し、02〜03年度で総額18億円の合理化を実現させる。
 これらの施策により、02〜03年度で総額40億円超の収益改善効果を目指すが、これは「New21・UBE修正計画」においてCPL事業関連で織込んでいた合理化計画値に10億円を上乗せするものである。
 一方、国内での徹底した合理化策推進に対し、海外の生産拠点では、国内分の生産シフトやCPL関連事業の積極的展開に取組む。すなわち、TCL社では、堺工場第I期プラントの停止に対応し、約2万t/年の能力増強(04年度以降年間増分収益約8億円)を進め、コスト競争力のあるTCL品に生産シフトすることにより、グループ全体で損益の改善を実現する。
(2) 関連事業の再構築について
   宇部地区においては、CPLの川下製品であるナイロン6および12樹脂の生産や、中間原料からの各種ファインケミカル誘導品、川上原料となるアンモニア、副生硫安を利用した農材製品の生産など、グループ会社も含め、CPLを中心としたケミカル・コンプレックスが形成されており、上記のCPL事業合理化計画以外にも、グループにおける更なる収益上乗せ目標として、様々な取り組みを総合的に実施する。
 具体的には、化成肥料を中心とした農材製品を生産する宇部興産農材(株)において、化成肥料工場を3工場から1工場に集約することで合理化を図る。また、アンモニアを生産する宇部アンモニア工業(有)においても、原料価格引下げや労務費・諸経費の削減によるコスト削減を図るとともに、将来的には自主保安認定取得による補修費の削減などで競争力の強化を目指す。
   
(3) UBEグループはCPL事業および関連事業を基盤事業と位置付けており、今後も国内・海外での生産体制の再構築、関連製品との相互シナジー効果によるケミカル・コンプレックスの体質強化など、収益安定化のための具体策をさらに推進していく。

 


化学工業日報 2002/8/21
 
東レ、PPS繊維を衣料用に本格展開

 東レは20日、PPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維を衣料用に本格展開すると発表した。PPS繊維の断熱特性に着目、このほどPPS複合糸を用いた保温衣料素材を開発した。熱伝導率が低いため体温の放熱を抑え、従来素材のポリエステルに比べ保温性を30−40%高めることができる。また着用時の接触冷感を16%低減できるため、冬場のひやっとした不快感が緩和される。撥水などの後加工も可能。PPS繊維はこれまで耐熱性、断熱性、耐薬品性、難燃性などの機能を生かし集塵機用バグフィルターなど産業資材用途に主に展開してきた。PPSの高い断熱性を生かし、今回初めて本格的に衣料用に展開することでPPS繊維の拡販に弾みをつける。


ポリイミド

東レ・デュポン    東ポリイミドフィルムを大幅増産

三井化学


日本経済新聞 2003/3/25

高機能樹脂 三井化学が欧米で攻勢 デュポンの販売網活用     
発表文

 三井化学は米化学大手デュポンと高機能樹脂の販売で提携した。耐熱性や対摩耗性が高いポリイミド樹脂「オーラム」の欧米での独占販売権をデュポンに与える。日本を含むアジア地域への販売は引き続き三井が手がけ、5年後に同樹脂の販売額を現在の3倍の40億−50億円に高める。
 三井はこれまでオーラムをアジア中心に販売しており、欧米には十分な販売網がない。自社で整備するより、高機能樹脂の広範な販売網を持つデュポンに任せる方が効率的と判断した。
 ポリイミドは耐熱性が高く、電子機器や精密機械の部品に使われることが多い。だが通常は熱を加えると柔らかくなる熱可塑性を持たないため加工に手間がかかり、大量生産や複雑な形状の製品には向かなかった。
 オーラムは独自の工夫で熱可塑性を持たせ、300度超の耐熱性を保持しながら射出成型できるのが特徴。自動車の変速機や半導体製造装置部品に用いられ、今後は航空宇宙分野への用途拡大も見込まれる。
 デュポンは熱可塑性を持たないポリイミド樹脂の成型品は既に販売している。オーラムも扱うことで広範な需要を取り込む。
 ポリイミドのように耐熱性や寸法安定性などが優れ、工業製品部材に使われる「スーパーエンジニアリングプラスチック」と呼ばれる高機能樹脂の市場規模は、年間500億−600億円と見られる。三井は今後、同市場が年10%程度成長すると予想しており、デュポンと組むことで新素材採用に積極的な欧米企業への販売拡大を目指す。


2003/3/25 三井化学

熱可塑性ポリイミド「オーラム®」の欧米での販売でデュポン社と提携

 当社(社長:中西宏幸)は、スーパーエンプラの熱可塑性ポリイミド「オーラム
®」の欧米での販売を加速するため、このほど、欧米での独占販売契約を米国デュポン社(会長兼CEO :C.O.Holliday )と締結致しました。
 オーラム
®は、当社が世界で唯一企業化している熱可塑性のポリイミドで、高耐熱性を有するとともに、射出成形が可能であるため、次のような特長を有しています。

耐熱性:熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、世界最高のガラス転移温度(250℃)を有しており、高温まで高い強度・弾性率を保持可能である。また、広い温度範囲において、優れた寸法安定性、耐クリープ特性を有している。
摺動特性 :高い限界PV 値を示し、自動車などのトランスミッションに使用されるスラストワッシャー、シールリングなどへの採用が進んでいる。
クリーン度:他のスーパーエンプラに比べ、低アウトガス、低金属不純物、耐プラズマ性などの優位性を示し、IT 関連産業分野で採用されている。

 オーラム事業につきましては、当社は、これまで日本及びアジアに事業展開の軸足を置いてきましたが、今回のデュポン社との提携を機に、全世界に向けて展開していくことに戦略を転換し、欧米での販売も積極的に進めていきます。即ち、デュポン社のエンジニアリングポリマー事業部ベスペル®製品の有する幅広い販売網を通じて、オーラム®の一層の拡販をしていくことを目指し、オーラム®の樹脂及びコンパウンドをデュポン社に提供し、航空機部材などの航空宇宙分野、スラストワッシャーなどの自動車分野、産業機器分野、半導体製造装置などの半導体分野向けを中心に事業拡大を目指していきます。
 デュポン社は、これまで非熱可塑性のポリイミド樹脂成形品「ベスペル
®」で事業展開してきましたが、熱可塑性ポリイミド「オーラム®」の特性を生かし、「ベスペル®」では取り込めなかった複雑形状の成形品も射出成形により安価に提供することが可能になります。
 また、当社は、世界最高レベルの荷重たわみ温度400℃での曲げ弾性を有するスーパー オーラム
®を開発するなど、オーラム®の新規銘柄の開発も進めております。こうした更なる製品開発、欧米での事業拡大を通じて、オーラム®事業の拡大を図ることで、2007年度には売上高の3倍増を目指しています。
 ※ オーラム
®は三井化学の、ベスペル®は米国デュポン社の登録商標です 。


三井化学ホームページ

21世紀の最先端技術を支える 超高品位エンプラ  Aurum

優れた特性により、近年ますます注目を集めているポリイミド樹脂。
適応範囲はエレクトロニクス産業の枠を超え、さまざまな分野に広がっています。
「オーラム」は三井化学がその技術を結集し、独自に開発した全く新しいタイプの熱可塑性ポリイミド樹脂です。
他の追随を許さない高い耐熱・機械・電気特性はもちろん、射出・押出成形加工に適した熱可塑性を付与することで、応用範囲をさらに拡大することを可能にしました。
「オーラム」は次世代のエンジニアリング開発の可能性に新たな世界を拓くスーパーエンプラです。


[ポリイミドフィルムカプトン®] 東レ・デュポン http://www.td-net.co.jp/Kapton/index.html

 ポリイミドフィルムカプトン
®の先進性と応用範囲の広さは、その優れた諸特性に裏付けられています。
 -269℃の極低温から+400℃の高温領域まで広い温度範囲にわたって、優れた機械的・電気的・化学的特性を発揮するため、先端産業に欠かせない素材として、各方面から高い評価を得ています。
また、耐化学薬品性、耐放射線性にも大変優れた特性を有しています。

 カプトン
®は1960年代前半に米国デュポン社で開発されて以来、先端産業に不可欠の素材として、宇宙・航空・原子力はもとより、身近なエレクトロニクス機器にいたるまで、幅広い先端産業分野で貢献してきました。特に近年では、パソコンや携帯電話の小型化・高機能化に欠かせない存在となっています。
 
 高度情報化社会・マルチメディア社会を迎え、カプトンRは21世紀を担う革新的な素材として、ますます大きな期待を集めています。


2002/3/19 東レ・デュポン

ポリイミドフィルム“カプトン”生産設備の増設について

 東レ・デュポン株式会社(本社:東京都中央区日本橋本町 社長:袖山文孝)は、このたび、日本においてポリイミドフィルム“カプトン”の生産設備を増設することについて、東レ(株)および米国デュポン社の合意を得ました。

 ポリイミドフィルムは、1966年に米国デュポン社によって初めて企業化されて以来、現存する工業用フィルムでは最高の耐熱性・耐寒性(−269℃ 〜400℃)を有しています。また、物理的・電気的・化学的にも優れた特性を持っており、極限材料として最先端の分野で用いられ、日本市場においては、エレクトロニクス関連の回路材料として、FPC材料用途、ICパッケージ用途を中心に需要が拡大し、特にパソコン・携帯電話をはじめとするIT分野の発展とともに大きく成長してきました。昨年からの、いわゆるIT産業の不況によりポリイミドフィルムの需要は停滞していますが、現今のIT不況の局面を脱した後は、さらなる市場の拡大が期待されます。

 東レ・デュポン(株)では、1985年に1号機(205トン/年)、1989年に2号機(360トン/年)、1998年に3号機(540トン/年)を愛知県東海市で稼働させ、日本市場向けに“カプトン”の生産・販売を行ってきました(日本の電機部品メーカーの海外展開に伴い一部デュポン社を通して輸出も行っています)。現今のIT不況を脱し市場が回復した暁には上記の生産能力では“カプトン”供給に不足を来すことが予測され、今回の合意に至ったものです。

 生産能力は3号機を上回る規模の新系列を現存設備に隣接して建設する予定ですが、増設設備の規模の詳細および実施時期については、IT不況の回復とそれに伴うポリイミドフィルム市場の回復を見極めて最終決定する予定です。

 当社は、今後も技術開発を進め、お客様のご要望に応えて行く所存です。

*“カプトン”は、米国デュポン社の登録商標です。


化学工業日報 2003/6/19

東レ・デュポンがポリイミドフィルムを大幅増産

 東レ・デュポン(袖山文孝社長)は19日、東海事業場(愛知県)のポリイミドフィルム設備を現有の60%増の年産1,770トンにアップすると発表した。
 同社はエンジニアリングプラスチックであるポリイミドフィルム「カプトン」の既存製造設備3系列に加えて増強するもの。年産670トンの新設備を2004年10月までに完成させ、2005年はじめから操業に入る。資金は約90億円。
 
 ポリイミドフィルムの増設は携帯電話の部品などに使用されるフレキシブルプリント回路(FPC)などの需要増に対応するもの。同フィルムはマイナス269℃の低温から、プラス400℃の高温に耐えるエレクトロニクス関連の回路材料向けが主力。携帯電話やデジタルカメラの高機能化に伴い1台当たりのFPC使用量がふえている。
 
 同社は1985年からポリイミドフィルムを生産、一部、海外にも輸出している。ポリイミドフィルムは東レ・デュポンのほか宇部興産、三菱ガス化学、日本GEプラスチック、ソルベーアドバンストポリマーズなどが生産しているが、増設する東レ・デュポンが先行することになる。


2005/11/11 東レ・デュポン

ポリイミドフィルム“カプトン”生産設備の増設について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=115594&lindID=4

 このたび東レ・デュポン株式会社(本社:東京都中央区日本橋本町1−1−1、社長:袖山文孝)はポリイミドフィルム“カプトン”の生産設備の増設を決定しました。
 総投資額は約90億円、愛知県東海市にある現存設備に隣接して5号機を建屋建設と併せて設置します。2007年初夏に生産開始を予定していますが、これにより当社の生産能力は現在より4割増強されます。

 ポリイミドフィルムは、1966年に米国デュポン社によって初めて企業化されて以来、現存する工業用フィルムでは最高の耐熱性・耐寒性(−269℃〜400℃)を有しています。また、物理的・電気的・化学的にも優れた特性を持っており、極限材料として最先端の分野で用いられ、日本市場においては、エレクトロニクス関連の回路材料として、FPC材料用途、ICパッケージ用途を中心に需要が拡大し、特にパソコン・携帯電話をはじめとする情報通信産業の発展とともに大きく成長してきました。今後も、携帯電話、フラットパネルディスプレー等のデジタル機器の発展に呼応して、ポリイミドフィルムの需要は大きな成長が期待されます。東レ・デュポン(株)は2004年末に4号機を稼働させましたが、この様な市場環境の下でお客様への製品供給に万全を期すべく、今般東レ(株)および米国デュポン社の合意を得て5号機の増設を決定したものです。

 
 東レ・デュポン(株)は、1985年に愛知県東海市で生産を開始以来、日本市場向けに“カプトン”の生産・販売を行ってきました(デュポン社を通して一部輸出も行っています)。今回決定した増設による供給能力の拡大によりお客様の更なるご要望にお応えして行きます。“カプトン”は電子材料分野に要求される性能に適合するように開発を進めてお客様からも高い評価を頂いておりますが、電子機器における小型化、高機能化に必要な回路材料の高精細化、高信頼性への要求が追求される中で、ポリイミドフィルムに対する品質要求はますます高まってきており、それらに対応すべく“カプトン”の品質改善・改質を図って参ります。

*“カプトン”は、米国デュポン社の登録商標です。


日刊工業新聞 2002/12/13

大日本インキ、PPS樹脂を増産−千葉・茨城で年1万トンへ

 大日本インキ化学工業は、電子部品や自動車部品などに使うポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の増産計画を明らかにした。時期は未定だが、千葉県袖ケ浦市と茨城県鹿嶋市の2工場合わせて現在年産7000トンの樹脂能力を、約43%増の1万トンに増強する方向で調整を進めている。設備改良が中心となるため投資は5億―10億円程度に抑えられる見込み。増設時期は、需要動向をにらんで判断する。

 大日本インキ化学工業が将来的に増産するのは、パラジクロルベンゼンと硫化ソーダの合成で精製するPPS樹脂。同樹脂は粉体のため成形が難しく、全額出資子会社のディーアイシー・イーピーで生産した樹脂を同社の小牧工場(愛知県小牧市)でコンパウンド(混練)したうえで販売している。 


2003/3/31  東レ

中国華南地域におけるPPS樹脂コンパウンド設備の新設について

 東レ(株)は、このたび、
PPS樹脂事業を強化するため、中国における樹脂コンパウンド製造の子会社である麗碧複合塑料(深せん)有限公司(略称:LCS)に、PPS樹脂専用のコンパウンド設備を新設することを決定しました。生産能力は 3,000トン/年で、2003年10月の稼動開始を目指します。 

 LCS社は1996年に操業開始し、ABS樹脂の着色・難燃コンパウンド製品を中心に、現在20千トン/年の生産能力を有しています。東レは今回の決定により、世界市場において今後最も需要が拡大すると見込まれる中国華南地域に、PPSのコンパウンド拠点を確保することになります。当社は、LCS社に日本国内拠点と同スペックの生産設備を導入することにより、高品質コンパウンド材料の現地供給体制を確立し、日系電機・電子部品メーカー向けを中心とする中国国内市場での拡販に弾みをつけます。

 PPS樹脂コンパウンドは、電機・電子機器や自動車用途を中心とする部品メーカーの海外生産移管に伴い、世界的に需要が拡大しており、今後も年率10%を越える成長が見込まれます。近年では特に、電機・電子用途を中心に、華南地域を中心とした中国での需要が急速に拡大しています。

 東レのPPS樹脂“トレリナ”は、高機能エンジニアリングプラスチックとしての優れた特長を生かし、電機・電子機器や自動車用途を中心に採用領域を急速に広げています。今回の専用コンパウンド設備の新設は、このような需要増加と、現地ユーザーへのクイックレスポンスに対応すべく実施するものです。

 当社は樹脂事業において、ユーザーのグローバル化と各地域での需要増加に対応し、重合・コンパウンド拠点のグローバルな供給体制を構築してきました。エンプラ・コンパウンド事業においても、日・米・欧・アジアの4極供給体制を推進してまいりましたが、今回の中国華南地域におけるスーパーエンプラ・コンパウンドの自製化にとどまらず、今後さらに積極的に基盤事業拡大を図っていく所存です。

<ご参考>
麗碧複合塑料(深せん)有限公司(LCS)概要
     (英語名:LIBI Plastic Compounding (Shenzhen) Co., Ltd)   

事業内容 : 樹脂コンパウンド品の製造
設 立 : 1995年6月
本 社 : 中国広東省深せん市
資本金 : 9百万USドル
代表者 : 総経理 伊藤 典次(東レ出身)
売上高 : 220百万香港ドル (2002年) 

 LCSの販売会社である、麗碧複合塑料(香港)有限公司(LCH)の売上高。


2003/5/8 ジャパンエナジー

シクロヘキサン生産能力の増強について

当社(本社:東京都港区虎ノ門二丁目,社長:高萩光紀)は,このたび,石油化学製品シクロヘキサンの需要増に対応するため,当社知多製油所(愛知県知多市)において同製品の生産能力を増強することといたしました。具体的には,約10億円を投じて年間生産能力10万トンのシクロヘキサン製造装置を来年5月の完成を目途に新設いたします。

シクロヘキサンは,ベンゼンを水素添加して製造される液体製品で,主にカプロラクタムやアジピン酸の製造原料として使用され,それら中間製品を経て最終的にはナイロンとして広く利用されています。ナイロンについては,自動車・家電・コンピュータ向け樹脂の需要が旺盛であることなどから,今後数年間,年率4〜5%程度の成長が見込まれており,シクロヘキサンについても同様な需要の伸びが期待されております。

現在,当社は,知多製油所において年間約12万トンのシクロヘキサンを生産しており,グループ会社の日鉱石油化学株式会社(本社:東京都港区虎ノ門二丁目,社長:山口千尋)を通じて,同製品を国内外に販売しております。能力増強後も,同社を通じて全量を販売する予定で,2005年度で22万トンの販売を目標としております。

なお,今回の新設により,知多製油所では,2基のシクロヘキサン製造装置で合計年間22万トンの生産能力を有することになります。これは,国内最大級であり,また,1つの生産拠点の生産能力としてはアジア最大となります。


2004/7/22 ジャパンエナジー

シクロヘキサン製造装置の竣工について
http://www.j-energy.co.jp/cp/releace/20040722_1.html 

 当社(本社:東京都港区虎ノ門二丁目,社長:高萩光紀)は,石油化学製品シクロヘキサンの需要増大に対応するため,昨年11月から,知多製油所(所在地:愛知県知多市,所長:木村政信)において同製品の製造装置の建設を進めてまいりましたが,このたび装置が完成し,本7月22日,竣工いたしました。

 今回竣工した装置の概要等は次のとおりです。

生産品目 : シクロヘキサン(Cyclohexane)
生産能力 : 年間10万トン
総 工 費 : 約10億円
施工業者 : 日陽エンジニアリング株式会社

 当社は,これまで知多製油所において年間約12万トンのシクロヘキサンを生産してまいりましたが,今回の新設により,2基のシクロヘキサン製造装置で合計年間22万トンの生産能力を有することになります。これは国内最大級であるとともに,1つの生産拠点の生産能力としてはアジア最大となります。また,当社は,シクロヘキサンを国内外に全量販売しておりますが,今回の能力増強に伴い,2005年度の販売目標を22万トンとしております。

 なお,シクロヘキサンは,ベンゼンを水素添加して製造される液体製品で,主にカプロラクタムやアジピン酸の製造原料として使用され,それら中間製品を経て最終的にはナイロンとして広く利用されています。ナイロンについては,自動車・家電・コンピュータ向け樹脂の需要が旺盛であることなどから,今後数年間,年率4〜5%程度の成長が見込まれており,シクロヘキサンについても同様な需要の伸びが期待されております。


2004/3/29 新日本石油化学

子会社解散の件
http://www.npcc.co.jp/news_pdf/04032901.pdf

 新日本石油化学株式会社(社長:西部孝、本社:東京都港区)は、2004年3月31日限りで、全額出資子会社である浮島アロマ株式会社(本社:川崎市川崎区)を解散することを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

 浮島アロマ株式会社は、1983年に東レ株式会社との共同出資により設立(1987年に当社の全額出資子会社化)され、パラキシレンを始めとした芳香族製品の製造を行ってまいりました。
 このたび、新日本石油グループにおける連結経営体制の強化策の一つとして子会社・関係会社の見直しを行った結果、同社を解散して製造業務を当社に統合することにより、生産・販売の一体運営による効率化を図ることができると判断し、今般の決定に至りました。
 なお、浮島アロマ株式会社が保有する資産は、当社が全て継承することになります。

<参考:浮島アロマ株式会社の概要>
1. 商号      浮島アロマ株式会社
2. 事業内容   シクロヘキサン、パラキシレン、オルソキシレンの製造
3. 設立年月日  1983 年8 月8 日
4. 本店所在地  川崎市川崎区浮島町10 番10 号
5. 代表者     取締役社長 村@ 健一(新日本石油化学鰹務取締役)
6. 資本金     4 億円
7. 決算期     3 月31 日
8. 株主      新日本石油化学株式会社100%