http://www.knak.jp/japan/idemitu.htm

 

Chemnet Tokyo 2000/5/23

出光興産、資本金10億円から300億円へ増資を決定
 第三者割当による普通株式も発行、株式上場も検討へ

 出光興産は23日、同日開催の臨時株主総会および取締役会で、資本金を現在の10億円から300億円へ増資することを決定した、と発表した。
 第三者割当により配当優先株式290万株(1株の払込金額1万円を)発行するもので、東海銀行、住友銀行、住友信託銀行、東京海上火災保険、住友生命の各社が割当先となる予定。株式の払込予定日は6月1日を予定している。
 また、優先株発行後は第三者割当による普通株式を発行、さらに外部資本導入の方針も決め、株式の上場も検討する。
 同社は、財務内容改善を目指し、一昨年に1998年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定、借入金の大幅な削減と自己資本の充実を図ることを決め、改善が進んでいる。
 しかし、金融機関の合併や会計基準の大幅な改定など、金融環境が大きく変化していることもあり、各社に新たな対応が迫られている。
 こうした中、同社では安定した経営を行うため、全面的に間接金融から脱却、市場からの直接資金の調達に対応する必要があると判断したもの。


化学工業日報 2002/7/3  

出光興産、天坊社長会見
 パブリック企業へ転換、結果重視でスピード経営 国内製油所体制見直しも
 

 出光興産の天坊昭彦社長はこのほど、6月25日の社長就任以降初めて記者会見し、「プライベートカンパニーからパブリックカンパニーヘの転換」「2006年の上場」など基本方針を明らかにした。それによると「製油所体制の見直し」「石油化学産業の地域連携による競争力強化」「選択と集中」などを骨子とする新中期経営計画完遂に向けて「結果重視、スピードの経営」を進めていくと述べた。  

ー 新社長の抱負は。
 「2006年の株式上場を目指すなかで"プライベートカンパニー"から"パブリックカンパニー"への方針転換を果たすことが自分の役割だと考えている。そのためには、2002年度以降4年間の中期経営計画を計画どおり遂行し、結果を重視したスピード感を持った経営で"中身のある会社"へと仕組みを変えていきたい。政府のエネルギー長期需要見通しでも、2020年の一次エネルギーに占める石油の割合は42%を占め、いぜん石油依存の大きさは変わらない。もっとプライドを持って石油事業に取り組み、消費者の理解を深めたい」
 
ー パブリックカンパニーは経営の大きな転換、企業文化の変革も必要だが、普通の会社になるということか。
 「今でも十分、普通の会社だと思っている。ただ従来は、出光のやり方を強調しすぎていた風があった。今後は社内の規定、規則を整備していくことが必要だ。また、これまで出光の経営は金融機関からの借り入れに依存しており、これが一種の"盾"になってくれた。しかし、金融機関の体質も徐々に変化しており、出光としても大きな変革が求められるということだ。3年以内には、上場審査で要求される就業規則や監査体制を整備して、世間に適応できる体制を構築していかなければならない」
 
ー ガスの上流部門の方針については。
 「確かに出光は天然ガスの開発には出遅れた。このため液化天然ガス(LNG)について、今から上流を追いかけるのは難しい。ただ、これからインフラの開放が進めば、内販には参加したいと考えている。天然ガスを使ったDME、GTLについてはほかと同じスタートラインにいるだけに、こちらの開発を先行させていきたい」
 
ー 国内製油所体制見直しも迫られている。
 「検討中だ。設備を物理的に停止することはすぐできる。しかし、社員の問題や下請け企業、地元に与える影響は無視できない。廃棄コストや跡地の利用を含め、どの程度のメリットがあるか、選択肢は一つではない。慎重に考えて年内をめどに結論を出したい」
 
ー 石油化学の競争力強化は新しい中期計画でも重要な課題と挙げていたが。
 「出光石油化学は規模も大きく、これまで出光興産とは"兄弟会社"として、それぞれ独自に運営してきた傾向があった。しかし、これからは連結経営強化の一環として100%こちらの歩調に合わせてもらう。大きな切り口でいえば日本の石化業界は厳しい国際競争のなかを一人で勝ち抜いていくのは難しく、コンビナート同士の戦い、競争力の問題になってくる。出光でも千葉、徳山双方で、周辺の企業と協力、連携、どのようなかたちで生き残れるのか、早急に具体策をまとめたい」
 
ー 分散型電源への取り組みについて。
 「不特定多数に売電する考えはないが、限定規模なら取り組みたいと考えている。特定の大口需要家に対し、石油そのものではなく電気を供給するかたちでの小売りだ。同時に石油を使った方が、より燃料コストに優位な分散型コージェネレーションなど装置の研究開発も積極化させたい」
 


化学工業日報 2002/11/12                         

新社長登場、厩橋・出光石化社長 精製一体の強みフルに

ー 石油(出光興産)から石油化学に転じられたわけですが、感想はいかがですか。

「最終需要が見えにくい分、石化は分かりにくいという印象だ。それに対し、石化は国際競争が激しく、技術も日進月歩。だが、その割に収益があがらない。原料が高騰しても樹脂はなかなか値上げできない」

ー 精製-石化 一体化による優位性をどう評価しますか。

「今後、中国にメジャーが進出し、中東ではエタンベースのエチレン設備が本格化するが、当社は原料では負けない。たとえば中東ではプロピレンが生産されないが、出光グループには精製のFCC(流動接触分解)プロピレンがある。一方で、石油製品も需要構造の変化が予測され、石化原料となる留分の価値が見直される可能性もある。出光グループは石油と石化の両方の変化に対応できる」

ー 徳山コンビナートの関係強化が進んでいますね。

「徳山工場のエチレン増強が完成すれば、徳山地区で原料一貫体制が確立する。塩化ビニル、合成ゴム、酢酸エチルの誘導品各社と地域共同体の方向性を強めており、情報ハイウエーの構築、品質管理や窒素センターなどの用役共有化を進めている。できるテーマからどんどん取り組む」

一 千葉工場の課題は。

「樹脂事業の高付加価値化、製造コストの削減と、ソリューションビジネスの展開が課題となる。千葉工場に設置したオープンラボはこれまで500社の訪問を受けており、ユーザーと一体となった用途開拓を進めている。私が想像していた以上に当社の技術がユーザーに高く評価されているのに驚いた。ただ、すべてを自前でやることは不可能。当社の技術により台湾FPCで生産するポリカーボネート(PC)樹脂は、一つのビジネスモデルだ」

一 千葉地区の将来をどうみますか。

「当社だけで原料一貫体制を確立しているのは、変化に対応しにくいというマイナスもある。千葉地区は日本有数の石化コンビナート集積地域だが、日本最強の製油所(出光興産・千葉製油所)があるコンビナートと見ることもできる。原料に強みがあり、用地に余裕があるというのは、アライアンスを考える上で有利な条件だ」

一 中国市場への取り組みは。

「当社の海外事業はマレーシアのスチレンチェーン、台湾のPCとポリスチレン。ユーザーである日系自動車、電機メーカーが中国へ進出しつつあるので、コンパウンド生産の対応は考えなくてはならないだろう。FPCとはPC設備を3期まで建設することを決めているが、当然中国市場は視野に入っている」

ー 出光興産は2006年の株式上場を目指していますが、石化の役割は何ですか。

「石油製品の需要は今後もう伸びず、ポテンシャリティがあるのは石化事業。長年培った技術、東南アジアにおけるプレゼンスが当社にはあり、石化に対する期待は大きい」


日刊工業新聞 2002/12/6

出光石油化学、財務基盤強化を加速−有利子負債1000億円圧縮

 出光石油化学(東京都墨田区、厩橋輝男社長)は、有利子負債残高を減らして財務基盤を強化する。不採算事業の撤退などにより収支を改善し、06年3月末までに02年3月末比で1000億円減の2800億円に圧縮。有利子負債キャッシュフロー比率で10倍以内を目指す。低迷が続く石化市場で勝ち残るには、親会社で精製大手の出光興産と一体運営で効率化を図ると同時に、財務体質の健全化が急務と判断した。

 出光石油化学は石化の需要が右肩上がりで伸びた成長期に、拡大再生産のための設備増強に資金を投じたこともあり、有利子負債残高は02年3月末時点で3800億円。

 だが大型の投資案件はすでに終えており、今後は減価償却を多く見込むことができる。さらに不採算事業については、
台湾子会社で操業していた年産能力3万3000トンの発泡ポリスチレンの設備を8月末で停止した。


日本経済新聞 2005/8/24

出光が750億円増資 来年度上場へ財務改善
 金融機関や系列店向け

 出光興産は23日、金融機関や系列販売店を引受先とする総額750億円の第三者割当増資と自己株売り出しを10月に実施すると発表した。これまで議決権のない優先株を発行してきたが、今回は普通株を割り当てる。実質的な外部資本の導入で財務体質を改善し、2006年度に計画する株式上場に備える。
 750億円のうち
522億円は新株を発行し、228億円は、自己株式を売り出す。この自己株式は子会社から取得したもので、実質的には増資と同じ意味を持つ。現在の優先株主であるUFJ銀行や三井住友銀行、住友信託銀行など12金融機関と、石油化学品メーカーなどの取引先、系列販売店などに引き受けを要請し、ほぼ内諾を得ているという。
 同社は2000年以降、12の金融機関を引受先として議決権のない優先株を発行し、計378億円の増資を実施してきた。今回、普通株の発行に伴い、優先株は有償消却する。資本金は現在の388億円から
いったん1億円に減資したうえで、新株発行分を加えた523億円となる予定。
 同社はもともと創業家の出光一族が資本を支配し、非上場路線を貫いてきた。しかし、過剰投資や競争激化でグループの有利子負債が2兆円を超えるなど収益が悪化し、2000年に外部資本受け入れと株式上場を決めた。