化学工業日報 2002/10/2                               

住友化学  三井化学との統合準備は万全

  
合併比率、人事など来年初にも決定 SMPOがフォアランナー  

 住友化学の米倉弘昌社長は記者会見し、1年後となった三井化学との統合について「規模の拡大ばかりでなく、製造、販売、技術のいずれにも優れ、躍動感ある生き生きとした世界のリーダーカンパニーを目指すものだ」と改めてその意義を示し、新会社の合併比率や主要人事といった重要案件については、「2003年初めにも決定できる」と述べた。
 米倉社長は三井化学との統合に向けた準備の進捗について、「違うやり方で仕事をしてきた両社が、統合1日目から仕事ができるよう万全の準備を進めている」と述べ、両社社長をリーダーとする事業統合委員会をはじめ12の制度分科会、8つの事業分科会、さらにその下部のワーキンググループを含め、会合が1千回以上に達したことを明らかにした。そのうえで、「合併会社は往々にして、設立当初はエネルギーを内向きばかりに費やすむのだが、われわれは統合したその日から外に発散するよう準備を進めている」と述べた。
 また新会社の制度や仕事の進め方については「双方の良いところを選んで取捨するのではない。新会社にふさわしいベストなものを作っていく」と指摘。採用する情報システムについては2003年4月に住友化学が先行して導入、間もなく研修を始めることを明らかにした。

 主要部門では、
SMPO(三井住友ポリオレフィン)については「4月に設立し、8月には高付加価値化とスクラップ・アンド・ビルドでROA 3%を達成することを骨子とする事業構造改善計画をまとめた。榊社長、園田会長のリーダーシップにより、一体感をもって仕事する雰囲気が醸成されており、三井・住友統合のフォアランナーとして十二分に役割を果たしている」と述べた。

武田の事業買収で農業化学品を強化

 武田薬品からの事業買収により11月に住化武田農薬を設立する農業化学品部門については「国内の製剤シェアは十数%となり、シンジェンタ、バイエルに肩を並べる。武田薬品の強い営業を活用していく」と述べたほか、家庭園芸資材のレインボー薬品買収による川下展開や食品残さを利用した肥料事業など、トータルの農業支援事業を加速させている戦略を明らかにした。また、世界トップの殺虫剤原体を中心とした生活環境製品を含め、海外での販売網をさらに充実させており「03中計の売り上げ計画900億円は、前倒しで今年度に達成できる」との見通しを明らかにした。

情報電子化学も柱に

 情報電子化学部門については「ポリオレフィン、ライフサイエンスに次ぐ第三の柱に育成するため事業を強化中」と述べ、韓国、台湾、中国における液晶表示装置関係ガリウムなどの分野における合計350億円の設備投資を背景に「03中計の売り上げ計画900億円は十分達成し、1千億円を上回ろう」とした。

 一方、
シンガポールの石化第三期計画については「パートナーであるシェルと協議中。会計技術的な問題だけが残っている。これが解決できればFSに着手できる。今のところ2006ー07年の完成を予定している」と述べた。
 またポリスチレン事業については「内需が減少しており再編の必要が出てくる」と延べ、アライアンスに前向きた姿勢を示した。

 


日本経済新聞 2002/12/23

三井・住友化学 合併半年前倒し 来年10月、統合効果急ぐ

 経営統合の準備を進めている三井化学と住友化学工業は、完全一体化を当初計画より半年前倒しして、2003年10月に合併することで大筋合意した。いち早く統合効果を実現するのが狙い。企業規模や株式時価総額で上回る住友化学が社長ポストを占める見通しだ。