日本経済新聞 2004/10/26       富士発表   Arch発表

富士写 感光性樹脂事業を買収 半導体向け 米社から総額175億円

 富士写真フイルムは25日、米国の中堅化学メーカー、アーチケミカルズ(コネティカット州)の半導体関連の化学品部門を11月に買収すると発表した。両社は日本で半導体の製造に欠かせない樹脂の合弁会社を設立しているが、世界的な半導体需要の増加に伴い、関連する化学品市場の伸びも見込めると判断し、事業拡大を急ぐ。

合弁も完全子会社に
 富士写はアーチ社との合弁会社、富士フイルムアーチ(東京・渋谷、滝本雅章杜長)の49%の株式もアーチ社から取得し、完全子会社にする。買収額は株式取得を含めて総額約175億円の見込み。
 富士写が買収するアーチ社の化学品部門は半導体製造向けの感光性樹脂の生産・販売などを手がけている。富士写はこれまで富士フイルムアーチを通じて主にアジア地域で販売してきたが、アーチ社が持つ販路を活用し欧米市場を開拓する。
 富士写の半導体製造用の感光性樹脂の世界シェアは現在7、8%程度にとどまっているが、今回の買収により15%程度に拡大。半導体製造向けでは世界4位の感光性樹脂メーカーになる。
 2003年の半導体製造向け感光性樹脂の世界市場は約600億円だが、富士写は年率9%で成長し、08年には約1千億円になると予想。同社の04年度の化学品関連事業の売上高は約200億円の見込み。液晶表示装置向けなどの感光性樹脂も拡販することにより、08年度には約700億円に引き上げる。


平成16年10月25日 富士写真フイルム

富士フイルム 半導体関連プロセス材料事業をグローバルに展開!
アーチケミカルズ社のMicroelectronic Materials部門を買収
合わせて 富士フイルムアーチを100%子会社化して社名変更
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1281.html

 富士写真フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、このほどアーチケミカルズ社(本社 米国 コネティカット州ノーウォーク)と、同社の半導体関連化学品の研究開発・生産・販売部門であるMicroelectronic Materials部門(一部除く)を買収すること、及び同社が保有する富士フイルムアーチ株式会社(社長:滝本 雅章)の株式持分(49%)を取得すること、について契約を締結いたしました。買収額は、富士フイルムアーチの株式取得分含め、約160百万ドルです。また、富士フイルムアーチを100%子会社することを機に、社名を富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社(英文名FUJIFILM Electronics Materials Co., Ltd.)に変更いたします。

 富士フイルムは1983年にPhillip A. Hunt Chemical Corporation (現在のアーチケミカルズ社)との合弁会社として富士フイルムアーチを設立。半導体製造用のフォトレジスト、液晶ディスプレイやイメージセンサー向けのカラーフィルター製造用のカラーレジスト「COLOR MOSAIC」などの感光性材料を日本及び東アジア・オセアニアの電子産業に対して提供し、事業を拡大してまいりました。

 全世界では、半導体製造用のフォトレジスト(ポジレジスト)は、年率約9%で成長し、2008年には1000億円超、液晶ディスプレイやイメージセンサー向けのカラーフィルター製造用のカラーレジストは、年率約8%で成長し、2008年には約400億円の市場規模への拡大が見込まれるなど、半導体関連プロセス材料事業は、今後大きな成長が見込まれています。

 今回の買収により、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズは、欧米市場のマーケティング機能を統合して、半導体関連プロセス材料事業をグローバルに展開していくと共に、富士フイルムグループの高い技術力を結集させてMicroelectronic Materials部門が有している幅広い関連商品群の更なる充実を図り、半導体分野、液晶ディスプレイ分野にとどまらず、高密度実装分野も含めた電子産業全般に商品供給の領域を拡大していきます。また、研究開発・生産機能の強化、販売・サービス網の充実を進めて商品力・コスト競争力を更に向上させ、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズを全世界の顧客の高い信頼を得る企業へと発展させてまいります。

今回買収するMicroelectronic Materials部門(一部除く)の概要は下記の通りです。
 売上 : 135百万USドル  (2003/12期) 
 人員 : 417人(2003/10末) 
 拠点 : 研究・製造施設4箇所(米3、欧1) 、セールスオフィス7箇所(米1、欧4、アジア2) 


October 25, 2004   Arch Chemicals

Arch Chemicals reaches agreement to sell Microelectronic Materials business to Fuji Photo Film
http://www.archchemicals.com/Fed/Corporate/News/Articles/October25_2004.htm?site=Corporate&lang=en&cat=Home&subcat=NONE

Arch Chemicals, Inc. (NYSE: ARJ) announced today that it has signed a definitive agreement to sell the majority of the operations of its Microelectronic Materials business to Fuji Photo Film Co., Ltd. for approximately $160 million. The transaction, which is expected to close by the end of the year, is subject to regulatory approvals and other customary closing conditions.

The transaction includes the Company
s microelectronics manufacturing facilities and research and development facilities located in North America, Europe and Asia, and its 49 percent ownership of FUJIFILM Arch Co., Ltd., the Companys joint venture with Fuji Photo Film Co., Ltd. in Japan. These facilities manufacture and supply a wide range of products -- including photoresists, formulated products, polyimides and thin film systems -- to semiconductor manufacturers and to flat panel display manufacturers throughout the world.

Arch will retain its 50 percent interest in Planar Solutions LLC, the Company
s joint venture with Wacker Chemical Corporation for the production and sale of chemical mechanical planarization (CMP) slurries, the microelectronics-dedicated manufacturing facility in Brandenburg, Kentucky and the chemical management services business (CMS). The Company will pursue all strategic options for its CMS business. Sales of the CMS business in 2003 were approximately $10 million. The Company will continue to supply certain products to the Microelectronic Materials business from its Brandenburg, Kentucky facility.

Arch Chemicals
Chairman, President and CEO Michael Campbell said, This divestiture supports our strategy to focus our business portfolio and to redeploy resources to pursue growth opportunities in our key growth platform, Treatment Products. Fuji Photo Film is a premier, innovative global provider of advanced technologies. We have enjoyed our successful 21-year strategic alliance with them, and we know the business will be in very good hands. We believe this transaction serves the best interests of all of our stakeholders -- our shareholders, customers and employees.

Mr. Campbell further commented, Planar Solutions, a joint venture with Wacker Chemical Corporation, is a leading supplier of high-end technology products for the copper CMP slurry market. We remain excited about the profitable growth of Planar and committed to our joint venture partner. Earlier this year, Planar announced the opening of a second production facility in Mesa, Arizona. This new facility will enable Planar to expand its product offerings and to enhance our ability to meet customersevolving needs,he added.

The Microelectronic Materials businesses to be sold had sales of approximately $135 million in 2003, earnings before interest and taxes of $1.9 million (including allocation of corporate charges), depreciation and amortization of $11.6 million and capital spending of $2.9 million. Equity in earnings and cash dividends from the Company
s FUJIFILM Arch Co., Ltd. joint venture were $6.1 million and $2.0 million, respectively, in 2003. The transaction sales price is subject to a final post-closing working capital adjustment. The estimated proceeds from the divestiture will be principally used to pay down debt. The Boards of Directors of both companies have approved the agreement.

Headquartered in Norwalk, Connecticut, Arch Chemicals, Inc. is a global specialty chemicals company with more than $1 billion in annual sales. Arch and its subsidiaries have leadership positions in three business segments -- Treatment Products, Microelectronic Materials and Performance Products -- and they serve leading customers in these markets with forward-looking solutions to meet their chemical needs. Together with its subsidiaries, Arch has approximately 3,300 employees and manufacturing and customer-support facilities in North and South America, Europe, Asia and Africa. For more information, visit Arch
s Web site at www.archchemicals.com.

Fuji Photo Film is a leading global provider of imaging, information, and document-related products and services. In the year ending March 31, 2004, it had global revenues of more than $24 billion, and employs 73,164 people worldwide. As a global company with a reputation for the highest quality and reliability, Fuji Photo Film aims to make innovative use of the most advanced technologies to meet the increasingly sophisticated needs of its customers around the world. For further information, visit Fuji Photo Film
s web site at http://home.fujifilm.com.

 


日本経済新聞 2004/11/1

富士写 液晶部品1000億円投資 熊本に工場、2006年にも稼働

 富士写真フイルムが1千億円を投じ、熊本県菊陽町に液晶表示装置(LCD)用基幹部品の新工場を建設することが31日、明らかになった。「偏光板保護フィルム」と呼ぶ、画面に光を結像するために不可欠の樹脂部品で、来春着工、2006年末にも稼働する。富士写は同分野で世界シェアの8割を握るトップ企業。液晶テレビ向けを中心にフィルムの世界需要拡大が予想され、大型投資による一段のシェア拡大を狙う。
 富士写は新工場の建設概要を1日、発表する。約26万平方メートルの用地を菊陽町から取得。工場の延べ床面積は約7万平方メートルと同社の国内工場で最大級となる。2010年にかけ段階的に拡張する計画で、投資総額は1千億円。500人の新規採用を見込んでいる。
 生産するのは液晶テレビやノートパソコンに組み込むLCDに欠かせない偏光板用のフィルム。LCDは画面後方から照射した光を偏光板で制御し、画面に結像させる。フィルムは偏光板の表面を覆って光を正確に制御するために使われる。
 富士写は現在、神奈川県などの2工場で同フィルムを年間1億8千万平方メートル生産、来年末には合計2億8千万平方メートルに引き上げる。新工場では当初5千万平方メートル、2010年に約3億平方メートルの生産を計画、国内全体で現在の3倍強の約6億平方メートルの能力を整える。
 富士写の電子機器向け高機能フィルムヘの投資額は新工場を含め今後4年間に1500億円以上にのぼる見込み。偏光板用フィルムの今年の世界市場は前年比約4割増の1億5千万平方メートル。富士写が約8割、コニカミノルタホールディングスが約2割のシェアを占める。

投資の国内回帰加速 技術高度化 スピード・人材重視

 富士写真フイルムが総額千億円を投じ、熊本県に液晶パネル用のフィルムの新工場を建設するのは、大手製造業の間でこのところ強まりつつある設備投資の国内回帰の動きが一段と加速していることを端的に示している。
 国内製造業では日立製作所など電機3社が2006年稼働を目指し千葉県茂原市に約1100億円を投じて液晶新工場を建設。松下電器産業は900億円以上をかけ兵庫県尼崎市にプラズマパネル工場を建設する。トヨタ自動車は福岡県に200億円強を投じて乗用車用のエンジン工場を新設する。
 投資先が国内に回帰しているのは、製晶の開発・生産に活用する技術が高度化し、国内で開発した技術をスピーディーに実用化し、技術の海外流出を防ぐためにも国内立地が有利になっている点が挙げられる。品質向上やコスト削減のために部材メーカーとの連携強化が重要性を増していることもある。
 富士写が熊本県を新工場建設場所に選んだ背景には、人材確保をスムーズに進めたい理由もある。福岡県に工場を新設するトヨタの場合、本拠地の愛知県内では新規の人員確保が難しくなっている事情がある。


日本経済新聞 2004/11/21

国内新工場1000億円投資の成算は?
 富士写真フイルム社長 古森重隆氏

技術で勝負、開発と連携

 富士写真フイルムが液晶パネルの基幹部品である偏光板用フィルムの新工場を熊本県に建設する。人件費の安い中国などでなく、国内で1千億円の大型投資に踏み切る狙いは何か。古森重隆社長に成算を聞いた。

ー なぜ、この時期に大型投資を決めた。
 「液晶テレビなどの需要が予想を上回るぺ−スで伸び、偏光板用フィルムの需給がひっ迫しているためだ。当社は世界市場で約8割のシェアを握るが、今後の需要拡大に備え、安定した供給体制を整えるため1千億円規模の投資は避けられないと判断した」

ー 工場の建設候補地として、当初は海外を含め十カ所程度検討していたようだ。最終的に熊本県を選んだ理由は。
 「製品供給先の偏光板メーカーは日本、韓国、台湾にある。各地域と地理的に近く、物流コストの低減が見込める立地場所は九州とみて絞り込んでいった」
 「フィルムの生産には月に約1万トンもの水が必要。良質な水を確保できることも決め手の一つになった。当社の偏光板フィルムの生産拠点は神奈川と静岡の両県に集中しており、もし地震などで製品供給が滞ると、液晶テレビそのものが作れなくなる恐れがある。リスクを分散するためにも西日本地域がいいと思った」

ー 電機など他業界でも設備投資の国内回帰が加速している。
 「日本の製造業が生き残るには、先端技術を駆使したハイテク分野で勝負していくことが必要と考えている。今回の投資には国内の開発拠点と製造拠点を連携させる狙いもある。偏光板フィルムを低コストでつくるにはフィルム技術だけでなく、化学など様々な分野の高度技術が欠かせない。開発と生産技術の現場の意思疎通を密にしながら、顧客からの品質向上要求に応えていきたい」
 「ただ、国内だけに固執しているわけではない。モノづくりは、市場に近い場所でするのが基本。その方が、在庫圧縮に役立つサプライチェーン・マネジメント(SCM)も構築しやすい。そうした点から海外が有利と考えれば海外に生産拠点を設ける」

ー 主力事業の一つであるデジタルカメラ分野では競争が激化し、富士写も苦戦している。さらに需要頭打ちの兆しも出てきた。
 「国内市場は製品の普及が急速に進んだ結果、踊り場にさしかかっていると思うが、欧米など世界市場は拡大し続けている。当杜は電荷結合素子(CCD)などの基幹部品も自社生産しており、新製品の投入などをてこに海外市場を掘り起こしていく」
 「デジカメ事業はカメラ販売がすべてではない。撮影した映像を印画紙にプリントするまでの総合事業だ。写真文化とは人生において最も大事な瞬間を記録すること。この文化を守り育てていく方針に揺るぎはない」

63年入社。主に営業畑を歩み、2000年社長就任。03年から最高経営責任者(CEO)を兼任。65歳


聞き手から一言  独自技術を駆使首位の座盤石に

 富士写真が偏光板フィルムの大型工場建設の青写真を描き始めたのは昨年12月ころのこと。その後は各自治体による誘致合戦も激しさを増したが、慎重に調査を進めてきた。同社が工場建設に一挙に1千億円を投じるのは「過去にもあまり例がない」(古森社長)。他社には簡単にまねできない独自技術を駆使し、写真フィルムだけでなく液晶フィルムでもリーダーの座を盤石なものにする。

 


平成16年11月1日 富士写真フイルム

富士フイルム フラットパネルディスプレイ材料の生産能力拡大のため熊本県に「フジタック」新工場用地取得を決定
新工場建設及び関連設備に総額1000億円超を投資
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1288.html

 富士写真フイルム株式会社(社長:古森 重隆)は、新たなコアビジネスのひとつであるフラットパネルディスプレイ材料事業の急速な拡大に伴い、新たに熊本県に工場用地を取得することを決定いたしました。「フジタック」(※1)新工場の建設および関連の設備等に総額1000億円超の投資を行うことを計画しています。

 富士フイルムは近年のフラットパネルディスプレイ市場の拡大に伴い、研究開発及び生産能力増強のための継続的投資を神奈川県南足柄市(富士フイルム足柄工場内)や静岡県榛原郡(富士フイルムオプトマテリアルズ内)にて行ってまいりましたが、モニターやノートPCの大型化と液晶TVの急速な市場拡大に対応するため、今回さらに新工場用地取得を決定いたしました。新工場用地は、リスク対応のための生産拠点の分散と需要家の集まるアジア地域への供給利便性をも勘案し、熊本県菊池郡菊陽町(総面積:26.2ha)といたしました。当該用地では、今後も大きな成長が見込まれる「フジタック」需要に対応して新工場建設および関連設備等に総額1000億円超の投資を行ってまいります。新工場の稼働は平成18年末を予定しております。

 富士フイルムでは、LCDパネル生産の拡大に伴い、急増する「フジタック」需要に対応して、今後も確実に安定的な供給を継続するため、今秋より「フジタック」の価格改定(値上げ)を実施し、早期の積極的な投資に結び付けてまいります。

<フジタック新工場用地の概要>
 所在地 :  熊本県菊池郡菊陽町(都築紡績(株) 熊本工場跡地)
 用地取得の目的 :  フラットパネルディスプレイ材料「フジタック」の生産
 面積 :   26.2ha
 投資総額 :  1000億円超(予定)

 富士フイルムは、フラットパネルディスプレイの代表であるLCDパネル用偏光板材料として不可欠な「フジタック」
(※1)、視野角拡大効果のある「WVフィルム」(※2)、パネル表面の反射防止効果の高い「CVフィルム」(※3)、カラーフィルター作製用フィルム「トランサー」(※4)の特長ある4つの製品で、フラットパネルディスプレイ市場に貢献しております。これら4つの柱に加え、今後急成長する液晶TV向けに当社独自の技術を活かした新製品を開発・販売し、平成20年度にはフラットパネルディスプレイ材料事業として売上高2000億円超を目指します。
 今後とも、事業の更なる拡大に向け、積極的に設備投資・新製品開発のための研究開発投資などに取り組んでまいります。

  (※1) フジタック : TAC(セルロ−ストリアセテ−ト)を素材とし、LCD用偏光板の保護膜として使用。光学特性に優れる。
  (※2) WVフィルム : LCDパネルの視野角を大幅拡大するフィルム。富士フイルムの独自製品。
  (※3) CVフィルム : LCDパネル表面の反射防止フィルム。低反射率、高精細、高防塵/防汚などの特徴がある。
  (※4) トランサ− :       :     LCD向けカラ−フィルタ−作製用フィルム。当該フィルムから赤・緑・青・黒の色層をガラス基板にドライラミネ−ション方式で転写、カラ−LCDパネルを作成。大型パネル製造に最適。

日本経済新聞 2004/11/26                   発表

ダイセル 液晶素材、250億円投資 フイルム向け生産能力を増強

 ダイセル化学工業は25日、6年間で約250億円を投じ、液晶関連素材の生産能力を増強すると発表した。液晶表示装置の画面に光を結像するために不可欠な「偏光板保護フィルム」の原料で、主力取引先の
富士写真フイルムが新工場を建設し大幅な能力増強に踏み切るのに対応する。薄型テレビ向け需要が好調な液晶パネル関連で国内投資のすそ野が広がってきた。
 兵庫県姫路市にあるダイセル化学の網干工場の能力を増強する。今年12月、設備の一部に着工し来年12月稼働させる。2009年までに計250億円を投じて生産能力を拡大する。
 液晶パネルの偏光板保護フィルムの原料は
酢酸セルロースと呼ばれる化学製品。ダイセル化学は最大手で、同フィルムの世界シェア8割を占める富士写向けに大半を供給している。生産量は明らかにしていないが、同フィルム向けで今年度70億円の売り上げを計画。能力増強後の10年度に300億円を見込む。
 フィルムについては富士写真が熊本県に約1千億円を投じ新工場を建設する計画を打ち出している。ダイセル化学は原料供給体制の整備を急ぐ。
 能力増強にあたり、兵庫県が網干工場を含む姫路臨海部を産業集積条例の産業活力再生地区に近く指定し、ダイセル化学に対し設備投資額の3%を補助金として支給する方針。


2004 年11 月25 日 ダイセル化学

液晶表示向けフィルム用酢酸セルロース設備計画策定の件
http://www.daicel.co.jp/what/whatf04.html

 ダイセル化学工業株式会社(本社:大阪府堺市、社長:小川大介)は、液晶表示向けフィルム用酢酸セルロース設備計画を策定致しました。
 液晶ディスプレイ市場の拡大に伴い、その材料である液晶表示向けフィルム用酢酸セルロースの需要も急速に増大しており、将来的にも飛躍的な需要の拡大が見込まれております。
 このたび市場拡大による収益拡大機会を確実に捉え、一層の収益基盤強化を図っていくため、以下のとおり、当該製品の専用設備建設の計画を策定致しました。

*計画の概要*
 @ 建設地 当社姫路製造所網干工場(兵庫県姫路市)
 A 計画期間 2004 年〜2009 年
 B 総投資見込額 約250 億円

 当該製品の設備建設につきましてはこの計画に沿って、需要動向を勘案しながら決定し適宜適切に実行して参る所存です。
 なお、このうちの一部については、2004 年12 月に着工予定で建設準備を進めております。


2004年10月7日 日本ゼオン

日本ゼオン、大型液晶テレビ用の新ゼオノアフィルムを開発
http://www.zeon.co.jp/press/041007_2.html

 日本ゼオン(社長 古河直純)は、このたび、東北大学未来科学技術共同研究センター大見忠弘教授の御指導、ならびにNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の助成金を受け、大型液晶テレビを主たる用途の一つとする光学部材、新ゼオノアフィルム®の開発に成功した。
 これらは、すでに広く液晶テレビや携帯電話などの液晶ディスプレー(LCD)に使用されているゼオノアフィルム®原反に加え、次の4種のフィルムである。

(1) 低複屈折ゼオノアフィルム原反
(2) 縦一軸延伸ゼオノアフィルム
(3) 横一軸延伸ゼオノアフィルム
(4) 縦横二軸延伸ゼオノアフィルム

 新ゼオノアフィルム®は当社の100%子会社(株)オプテス(社長 正宏)が製造・販売し、2005年度に売上高100億円以上をめざすものである。
 新ゼオノアフィルム®の特長は、低複屈折性、高い位相差機能の実現と、広幅フィルムでの均一な位相差の発現が可能となることにある。この新ゼオノアフィルム®により、LCDにおいて従来複数枚が使用されていたフィルムの枚数削減が可能になる。さらに、位相差機能と偏光板の保護膜としての機能を共有する構造設計により部材削減、及び製造プロセス簡略化によるコスト削減が可能となり、液晶テレビの低価格化を促進し、その普及に貢献できると期待する。また、新ゼオノアフィルム®は水を吸わない特長をもち、液晶テレビに2枚必要な偏光板の耐久性向上、画面の周囲の光漏れによるコントラスト低下の問題を克服でき、耐久性と品質の向上とが期待できる。
 この新ゼオノアフィルム®製造における要素技術は、広幅で均一なフィルムの製造を可能にする押し出し技術と延伸技術にある。従来、偏光板とロールツーロールで連続的貼り合わせが可能な広幅の位相差フィルムの生産は出来なかったが、当社は独自の押し出しフィルム成形技術に加え、NEDOの助成を受けて研究投資した延伸設備とプロセスイノベーションによりこの技術を確立した。また、この新ゼオノアフィルム®を使用するロールツーロールによる貼り合わせ技術もほぼ確立されており、2004年度末から、順次液晶テレビに搭載される予定である。
 当社は、2002年10月に世界で初めて溶融押出し法による均一なプラスチック光学フィルム「ゼオノアフィルム®」の製造に成功し、位相差フィルム用の原反フィルムとして販売を開始した。ゼオノアフィルム®は高透明性、低複屈折、低波長分散、低光弾性などの優れた光学特性を有するとともに、低吸湿性、高耐熱性などの特徴を有しており、LCD液晶用光学フィルムとして優れた耐久性の提供が可能であり、急速に販売を伸ばしている。
 今回の新ゼオノアフィルム®は次世代大型液晶平板ディスプレーに要求される機能を満足させるものであり市場の要望にあわせ、その普及を一層加速させる重要な役割を担うものである。


2004 年11 月5 日 日本ゼオン          事前報道

日本ゼオン、シクロオレフィンポリマー(COP)の生産能力を15,000 トンへ増強

 日本ゼオン(社長古河直純)は、水島工場(岡山県倉敷市)で高機能熱可塑性透明樹脂
シクロオレフィンポリマー(COP;製品名ZEONEX® (ゼオネックス)、ZEONOR® (ゼオノア))プラントの能力増強を決定した。
 今回の能力増強は、2004 年に5,000 トン/年製造設備を新設したが、その設備を10,000 トン/年に増強するもので、投資額は約20 億円、完成は2005 年6 月の予定。今回の能力増強によりCOP の生産能力は15,000 トン/年となる。
 今回の能力増強はZEONEX®、ZEONOR®の販売が引き続き好調であることへ対応するものである。ZEONEX®は、携帯電話カメラレンズ、レーザービームプリンター用Fθレンズ、DVD用ピックアップレンズなどの光学用途が好調なことに加え、今後プレフィールドシリンジなどの医療用途が大きく伸びることが期待されている。
 ZEONOR®は、100%子会社である(株)オプテスで製造販売している液晶用光学フィルム(製品名ゼオノアフィルム® )の販売が相変わらず好調であることに加え、拡散板が本格的に立ち上がってきている。
 
ゼオノアフィルム®については、従来販売してきた原反に加えて、低複屈折フィルムおよび縦一軸、横一軸、縦横二軸のそれぞれ延伸フィルムも製造販売を開始した。また、ゼオノア拡散板については、近年需要が急増している大型液晶テレビに使用され、軽量で成形性が良く吸水しないため変形し難い特長を生かして大きく伸びるものと期待されている。このため原料樹脂の需要も大きく伸びると予想している。

補足説明
COP
 当社は、ナフサからエチレン、プロピレンを製造する際に副生されるC5 留分の総合利用を推進しており、COPはC5留分を抽出分離して製造するジシクロペンタジエンが原料。当社が1990 年に世界に先駆けて独自に開発、上市したCOPの高級グレードである「ZEONEXR (ゼオネックス)」は、透明性樹脂の中でも吸水性が極めて低く、加熱溶融時に流れやすいため精密成型性が良く、また比重が小さいなどの特性を持つ。さらに本樹脂は高透明性や低複屈折性などの優れた光学特性を有しており、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラ・コンパクトカメラのレンズ・プリズム、OA機器のピックアップレンズなど光学用途、CDやMD、DVDなどの光ディスク用途、その他の分野で使用されている。
 また当社は98 年に、高透明性を維持し、耐衝撃性と耐熱性を改良したCOPの汎用グレードである「ZEONOR® (ゼオノア)」を上市した。LCD用導光板・拡散板、光学フィルム、自動車ヘッドランプのエクステンション、食品用容器、医薬品分野の容器や包装材などに幅広く採用されている。


2004年11月11日 昭和電工

昭和電工HDトレース社 オープニングセレモニー開催
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news04/04-11-11.htm

 昭和電工株式会社(社長:大橋光夫)が2004年7月に資本参加し連結子会社化した、Trace Storage Technology Corp.(本社:台湾 新竹市 董事長:坂井伸次当社執行役員)は、本日、当社大橋社長、台湾側株主である台湾中国信託商業銀行のジェフリー・クー董事長をはじめ関係者約130名の出席の下、オープニングセレモニーを行いましたのでお知らせいたします。
 また、本日、Trace Storage Technology Corp.の社名を、『昭和電工HDトレース社(英文名;SHOWA DENKO HD TRACE CORP. 以下、トレース社)』に変更いたしました。

 ハードディスク(以下、HD)は、デスクトップパソコンなどの既存の用途に加え、最近ではDVDレコーダー、MP3携帯音楽プレーヤー等のコンシューマーエレクトロニクス用途向けに需要が拡大しております。また、小径HDについては、携帯電話への採用が検討される等さらに用途が広がる見通しであり、HD市場全体で今後も年率10%以上の伸びが続くと見込まれております。このため、特に高品質のHDについては、今後需給のひっ迫が予想されております。

 当社は、お客様のご要望にお応えし高品質のHDの生産・供給体制を整えるため、昨年の三菱化学のシンガポールHD事業の買収・生産能力増強、また、トレース社への技術供与・優先購入枠の設定に加え、本年に入り、トレース社への資本参加・連結子会社化を行いました。これらの施策により、本年、第2四半期におけるHDの当社シェアは世界トップの25%(当社推定)となっております。さらに現在、千葉、シンガポール、台湾の世界3拠点での既存工程の改善を中心とした能力増強を推進中であり、本年末には月産1千万枚を超える世界最大の生産能力・シェアを持つHD外販メーカーの地位を確固たるものにします。
 中でもトレース社は、連結子会社化以来フル操業フル販売の状況が継続しております。このため、現在生産体制の増強を進めており、連結子会社化時点での月産2百万枚の能力を、本年末までには3百万枚に引き上げる予定です。

 トレース社は、昨年、既に80ギガバイトHDの生産技術を当社より導入済みであり、さらに、本年7月以降、当社技術者を常駐させるなどの連携を深め、当社の最先端技術による生産の効率化を進めています。今後、当社グループのデスクトップパソコン用途のHD供給の拠点として拡充を図るとともに、将来的には小径HD技術の移転についても検討を進めてまいります。

 当社大橋社長並びに、台湾中国信託商業銀行ジェフリー・クー董事長はオープニングセレモニーにおいて以下の通り挨拶をいたしました。

【昭和電工株式会社 取締役社長 大橋 光夫】
 昨年から技術交流を続けていく中で、トレース社と当社は信頼関係を構築し、このたび、当社がトレース社の3分の2の株式を取得することになりました。当社グループのHD事業は、これで従業員数2,500名となり、OEMサプライヤーとしては世界最大の能力を有することになります。さらに、お客様のご要求に応えるべく、供給能力を1,000万枚まで増強中であります。今後とも、お客様、株主の皆様、関係諸機関の皆様に当社グループのHD事業へのご支援、ご指導をなにとぞよろしくお願い申し上げます。

【台湾中国信託商業銀行 董事長 ジェフリー・クー】
 HD事業は非常に競争が激しく、技術の進歩も早い産業です。その中で、昭和電工は常にHD産業において技術的に主導的な役割を果たしてきています。トレースとしては世界的企業になるために、昭和電工と協力することを決定いたしました。統合後、本年第2四半期の業績として、マーケットシェアは世界No1を獲得いたしました。また、これは、HD専業メーカーとしては50%を超えるものです。今回のトレースと昭和電工の協力はHD事業に留まらず、日本から台湾への投資の促進にもつながっていくものと期待しております。

昭和電工HDトレース社の概要
 会社名: SHOWA DENKO HD TRACE CORP. (昭和電工HDトレース)
 本社所在地: 台湾 新竹市科學工業園区科技五路8号
 設立: 1990年9月
 資本金: NT$4,892 Millions
 出資比率: 昭和電工(株) 66.6%
 董事長: 坂井 伸次(当社執行役員エレクトロニクス事業企画部長)
 従業員数: 約750名
 売上高 NT$4,700 Millions


日本経済新聞 2004/12/14

素材各社 デジタル家電用強化 日本勢 優位固めへ投資

ガラス2社 PDP基板参入、JSR 液晶向け台湾生産
 化学・ガラス大手がデジタル家電用素材を強化する。日本板硝子とセントラル硝子がプラズマディスプレーパネル(PDP)用ガラス基板に参入するほか、JSRは台湾に液晶材料の新工場を建設する。デジタル家電やパネルでは急速な価格下落が続くが、中核素材は日本勢を中心に有力メーカーが限られ、価格も底堅い。パネル各社の増産計画への対応もにらみ、供給体制構築を急ぐ。
 日本板硝子は2005年初めにも主力の千葉工場(千葉県市原市)でPDP用ガラス基板の量産を始める。建築用ガラス溶融窯の1基を転換。ガラスの切断や穴開けなどをする加工設備は千葉工場と四日市工場(三重県四日市市)に設ける。投資額は約30億円。国内外のパネルメーカーに供給する。
 セントラル硝子も05年3月末までに宇部工場(山口県宇部市)で量産を開始する。建築用ガラスの溶融窯を転換したほか、同工場内に加工拠点を設けた。去年から複数のパネルメーカーに試作品を供給しており、今年度内にも採用が決定する見通しだ。
 PDP用ガラス基板は高歪(ひずみ)点ガラスと呼ばれ、ガラスがゆがむ温度(歪み点)が高く高度な製造技術が求められ、1996年に商業生産を始めた旭硝子がシェアの約9割を握る。日本板硝子とセントラル硝子は数年前から参入に向け開発を進め、量産化への製造技術を確立。国内外パネルメーカーの増設に伴う需要を狙う。 
 JSRは05年初めにも台湾で現地法人を設立し、同年春にも工場の建設工事を始める。06年春をメドに世界シェアトップのカラーフィルター用着色レジストや、液晶層の間隔を確保する感光性スペーサーなど複数の材料を生産する予定。投資額は約50億円。今年7月には韓国でも生産を開始しており、台湾進出で世界の有力液晶パネルメーカーの集積する日本、台湾、韓国で液晶材料の生産・供給体制を確立する。現地のパネルメーカーへ安定的に供給でき、品質要求にも機動的に対応できる体制を整える。

液晶パネル 製品過剰でも部材は価格堅調 高い技術強み、高収益
 投資競争が加速し供給過剰懸念が強まる液晶パネルや、新規参入増で価格が下落している液晶テレビ。そんな状況下でも化学各社が増産に動くのは、争奪戦が続く中核素材分野では素材メーカーの価格交渉力が依然として強いからだ。今後、デジタル家電の市場が日本や米国以外にも広がるなか、中長期的にも堅調な需要が見込めるとの期待もある。
 化学各社にとってデジタル家電用素材の「収益性」の魅力は大きい。韓国・サムスン電子向けのカラーフィルターや偏光フィルムで急速に事業を拡大する住友化学。2004年9月中間期の電子化学分野の売上高は前年同期比1.5倍、営業利益は3.8倍。売上高営業利益率は15.6%に達し、石油化学の2.3%など従来からの事業を大きく上回る。
 「安定性」も期待できる。微妙な品質の差を要求されるデジタル家電向け素材は一度採用されると、生産ラインそのものがその素材の利用を前提に設計される。簡単には他杜製品に切り替えられない。旭硝子がプラズマ用ガラス基板で9割、クラレも偏光フィルム中核部材のポバールフィルムで9割のシェアを握るのはこうした事情からだ。
 液晶パネルは今夏から需給調整局面を迎えたが、元々需要に応じ切れていなかった素材では比較的その影響も小さく、値下がり幅も小幅。クラレは来夏にかけ、ポバールフィルムの生産能力を2段階で倍増するが、和久井康明社長は「売れ行きにかげりはなく、予定通り新設備を立ち上げる」という。
 東レはこのほど、液晶パネルの反射板に使う白色ポリエステルフィルムの特許ライセンス契約を帝人グループと結んだ。シェア95%を握る分野で敵に塩を送りかねないが、市場の供給不足懸念の払しょくを優先した。
 液晶パネルやプラズマパネルは韓台メーカーの攻勢にさらされているが、韓台勢も素材の多くは圧倒的な強さを持つ日本企業を活用している。

日本の素材メーカーが世界シェア首位を争う主な薄型パネル用素材

用途 品目 生産量上位のメーカー
液晶パネル カラーフィルター 凸版印刷、大日本印刷、住友化学
偏光フィルム 日東電工、住友化学
ポバールフィルム クラレ
着色レジスト JSR、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ
感光性スペーサー JSR
ガラス基板 旭硝子
プラズマパネル 光学フィルター 三井化学、旭硝子
ガラス基板 旭硝子

(注)青文字の会社は世界首位。※は上位2社のシェアがきっ抗


2005/1/19 三菱ガス化学/住友金属鉱山

希土類鉄ガーネット事業の統合について
http://www.mgc.co.jp/news/2005/050119.pdf

 三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小英紀)と、住友金属鉱山株式会社(本社:東京都港区、社長:福島孝一)は、このたび両社の希土類鉄ガーネット(RIG:Rare-earth Iron Garnet)事業を統合し、RIGの製造・販売を行う合弁会社を設立することで基本合意に達しました。
 RIGは、光通信機器の中で用いられる部品である光アイソレータの材料の一つで、磁性鉄ガーネット、ファラデー回転子などとも呼ばれるものです。
 RIG市場は、光・通信バブルと言われた1999年から2000年にかけて急激に拡大し数十億円の規模に達しましたが、その後のバブル崩壊により数億円規模にまで急速に縮小、以降低迷を続けております。
 三菱ガス化学と住友金属鉱山のRIG事業も、通信バブル崩壊以降、事業規模が縮小しており、単独では事業の存続が難しい状況にあるとの判断から、事業提携の可能性をそれぞれ模索しておりましたが、経営資源の効率化が実現でき、ひいては今後もお客様への供給責任を果たしていくことができる提携相手として互いを選択し、このたびの合意に至ったものであります。
 これにより、三菱ガス化学と住友金属鉱山は、RIGの製造拠点と販売体制を統合するために、折半出資の合弁会社を2005年度上期中を目処に設立してまいります。
 今後の事業統合の詳細につきましては、公正取引委員会等関係官庁にご承認いただき次第、両社で協議のうえ、決定してまいります。


2005/1/24 日立化成

中国(東莞)で感光性フィルムの生産能力を増強

 日立化成工業株式会社(本社:東京、執行役社長:長瀬寧次、資本金:153億円)は、中国におけるプリント配線板回路形成用感光性ドライフィルムのさらなる拡大を図るため、中国における同製品の製造、販売会社である日立化成工業(東莞)有限公司の生産能力を増強することを決定しました。約16億円を投じて同社内に生産能力5,000万m2(年ベース)の工場を新設します。

 プリント配線板回路形成用感光性ドライフィルムの主要顧客であるプリント配線板メーカーが中国に生産シフトを加速していることに伴い、現在、中国は感光性ドライフィルムの世界最大市場となり、需要は拡大の一途をたどっています。今後もさらなる市場拡大が見込まれることから、こうした需要増に対応し、売上を拡大するため、今般生産能力を増強することにしたものです。

 当社は本計画の実行により、中国における生産能力を1億m2(年ベース)に拡大致します。主に中国国内向けに販売を計画しており、2006年度には成長性の高い同国内におけるシェアを高めることを目標にしています。

 現在当社は、日本、中国、マレーシアに感光性フィルムの生産拠点を、台湾、オランダ、香港、マレーシア、韓国、中国(上海、東莞)に自社ならびに委託スリット拠点を有し、プリント配線板回路形成用感光性ドライフィルム事業において世界トップシェアを有しております。今後は、著しい伸びが期待できる中国華東、華北地区への進出も視野に入れ、積極的な事業の優位性の維持、強化に努めてまいります。

<計画の概要>
 設置場所:中国広東省東莞市茶山鎮茶山工業園
 稼動開始時期:2006年1月(予定)
 土地面積:約4万m2
 生産能力:5,000万m2(年ベース)
 投資額:約16億円
 生産品目:プリント配線板用感光性ドライフィルム

<日立化成工業(東莞)有限公司の概要(生産開始後)>
 社名:日立化成工業(東莞)有限公司(英文:Hitachi Chemical (Dongguan) Co., Ltd.)
 所在地:中国広東省東莞市茶山鎮茶山工業園
 資本金:1,443万US$
 株主:日立化成工業株式会社89%
     Hitachi Chemical Co. (Hong Kong) Ltd. 11%
 事業内容:電気絶縁ワニス、プリント配線板用感光性フィルムの製造及び販売


2005年2月2日 日立化成工業

中国に半導体用封止材の生産拠点を新設
http://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/cgi-bin/release_show.cgi?ID=66

 日立化成工業株式会社(本社:東京、執行役社長:長瀬寧次、資本金:153億円)は、ロジック向けを中心とした半導体用封止材の生産を中国・江蘇省蘇州市にて開始し、中国市場における半導体材料の事業基盤を強化する方針です。蘇州工業園区に「日立化成工業(蘇州)有限公司」を新たに設立、約25億円を投じて年間生産能力6,000トンの新工場を建設する予定です。

 中国では半導体産業が急速に立ち上がりつつあり、従来は日本、台湾を中心とした後工程の工場が多く進出していましたが、近年、日本、欧米、台湾、韓国などの有力半導体メーカーが前・後一貫工程の大規模工場を相次いで建設するとともに、中国国内においても各企業が半導体生産に乗りだしており、今後一段と大きな成長が見込まれます。こうした流れの中で、中国市場において積極的な売上拡大を進めていくためには、現地に生産拠点を構え、納期、技術サービス等の面で顧客のきめ細かな要求に着実に応えていくことが不可欠と判断し、現地生産拠点を確立することにしたものです。

 当社は、現在下館事業所(南結城)(茨城県結城市)およびマレーシア日立化成(ペナン州)にて半導体用封止材を生産しており、今般中国で生産拠点を新設することにより、年間約3万トンの供給体制が整います。2010年には中国における市場占有率を現在の約20%(当社推定)から40%以上にまで高め、トップシェアを獲得する計画です。今後、本拠点を足掛かりに電子材料の中国事業の拡大を加速してまいります。

<新会社及び工場の概要>
会社名 :日立化成工業(蘇州)有限公司
設立場所 :中国江蘇省蘇州市蘇州工業園区内
資本金 :1,000万US$(約10億円)
出資者 :日立化成工業株式会社(100%)
総投資額 :約2,500万US$(約25億円)
着工時期 :2005年4月(年内稼動予定)
土地面積 :約66,000u
生産能力 :約6,000トン(年ベース)  


2005/2/7 JSR

JSR、液晶ディスプレイ(LCD)用材料の生産で台湾進出へ
http://www.jsr.co.jp/wnew/wn050207.html

 JSR株式会社(社長:吉田淑則)は台湾におけるLCD用表示材料の生産拠点の設立に向け検討を行って参りましたが、台湾、中部科学工業園区(中部サイエンスパーク)雲林虎尾基地に、「JSRマイクロ台湾」(JSR 100%子会社)を設立し、6月に新工場の建設に着手することを決定しました。

 新工場では、第一期計画としてLCD画像表示に使用される着色レジストを生産する予定です。用地面積は将来の拡張部分も含めて約50,000m2。総投資額は約25億円で、2006年2月に工事を完了し、2006年夏に商業生産を開始する予定です。

 当社は、需要の拡大するLCD用材料に対して、主力の四日市工場とJSRマイクロ九州(佐賀市、100%子会社)に加え、JSRマイクロコリア(韓国忠清北道、100%子会社)を新設することで対応して参りましたが、今般LCDパネルの主要生産地として需要の急拡大が見込まれる台湾に第4番目の生産拠点を確保し、アジアを中心としたグローバルな供給能力のさらなる強化を図ることにしました。

 LCDパネルは、家庭用TV分野でブラウン管からの代替が進展する等、今後とも25%/年を超える高い成長が期待されています。 日本においても大型投資計画が発表される一方、台湾、韓国のパネルメーカーは活発な大型基板投資で世界をリードしており、台湾でのLCD用材料需要は、2006年には現在の2倍から3倍に拡大すると予測されています。

 当社はLCD分野で着色レジスト、保護膜、感光性スペーサー、配向膜等の材料供給、ソルーション提供を通じて、トータルマテリアルサプライヤーとして顧客との信頼関係を強化して参りましたが、今回の台湾生産拠点確保により、日本、韓国、台湾の顧客に対するサービス体制の一層の強化を図る方針です。


日本経済新聞 2005/2/18

住友べ一クライトなど国内12社 液晶基幹部品 樹脂製に
 ガラスから転換 薄型軽量、コスト半減


 住友べ−クライトや凸版印刷など国内12社は、液晶ディスプレーの基幹部品を樹脂で作ることに成功した。現在のガラス製に代わるもので、薄くて割れない次世代ディスプレーの実現につながる成果。ほかの部品も樹脂で作れるとみており、製造コストを半減できるという。年内にも国内液晶メーカーにサンプル出荷する。新部品を採用すれば韓国・台湾メーカー製にはない付加価値の高い製品が開発でぎそうだ。
 住友べ−クライトなどのほか、クラレ、住友化学、大日本インキ化学工業、大日本印刷、NECなどが参加する国家プロジェクト「次世代モバイル用表示材料技術研究組合」の研究成果。
 開発したのは、ディスプレーに色を表示する役目を持つカラーフィルター。厚さが0.12ミリの樹脂基板の上に赤、青、緑の色素を数十マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル間隔で規則正しく塗っている。現在のガラス基板を採用したタイプに比べて厚さが5分の1以下、重さも8分の1以下で、大幅な薄型化と軽量化を実現した。
 透明性が高くセ氏200度に耐える新樹脂を採用したため、加熱処理で膨張するようなことがない。ディスプレーの精細度は1インチ当たり200ピクセルを実現、現在の高品質液晶と同程度を達成した。樹脂を基板にしたカラーフィルターは各社が研究しているが、100ピクセル程度が限界で実用化していなかった。
 樹脂基盤なので、ロール状に巻き取るようにして加工することが可能になる。現在のカラーフィルターは、畳2枚分の大きさのガラス基板を切り分けて加工しており、運搬するにも破損しないような専用機器が必要。製造工程も複雑で製造費の高くなる一因になっていた。
 液晶メーカーは12社の成果について「薄くて軽く、割れない液晶ディスプレーの実現に有望」(国内有カメーカー)と話している。12社は研究成果を応用することによって、液晶の駆動にかかわるTFT基板もガラスから樹脂に転換できるめどをつけており、実用化を急ぐ。12社は厚さが1ミリ程度と非常に薄くて軽い液晶ディスプレーの実現を目指し、液晶メーカーに採用を働きかけていく。


2005/3/7 出光興産/住友金属鉱山

透明電極事業に関する共同出資会社の設立について
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/news_2005/050307.html

 出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:天坊昭彦、以下「出光」)と住友金属鉱山株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:福島孝一、以下「住友」)は、この度、液晶パネルや有機EL等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いる、透明電極材料*の製造・販売を行う共同出資会社の設立に合意しましたので、お知らせします。

1.新会社設立の背景とコンセプト
(1) 透明電極材料は、FPDの高性能化や大型化といった市場ニーズの高まりを背景に、市場が急速に拡大しております。中でも、出光が独自に開発し工業所有権を有するIZO*(アイゼットオー)は、既存材料のITO*(アイティーオー)と比較して大きなプロセスメリット*が得られることから、ユーザーに高く評価され、販売が急増しています。
(2) 出光は、これまでIZOを社外に委託製造してきましたが、今回の共同出資会社の設立により、今後の販売のさらなる増加に対し迅速且つ安定的なIZO供給が可能となります。
(3) 住友は、既存のITOに新会社の主力商品であるIZOを加え、透明電極事業の領域拡大が図れます。
(4) 新会社は、主力商品であるIZOに加え、ユーザーのニーズに応じて液晶パネルや有機EL用途のITOも提供いたします。さらに、これら透明電極材料をFPD生産ラインに適合させるための要素技術についてもユーザーに提供し、高性能ディスプレイの開発・普及に貢献するとともに、両親会社と一体となって透明電極事業の拡大を目指します。

2.新会社の概要
(1) 社名 : IS(アイエス)エレクトロード・マテリアルズ株式会社 (注)
       (英字表記:IS Electrode Materials Co.,Ltd.)
(2) 本社・営業 : 東京都千代田区有楽町1丁目10番1号(有楽町ビル3F)
(3) 製造拠点 : 東京都青梅市末広町1丁目6番1号(住友電子事業本部内)
(4) 社長 : 村形(むらかた)和夫
        (出光電子材料室電子材料開発センター所長)
(5) 資 本 金 : 2億5,000万円
(6) 出資比率 : 出光 51%:住友 49%
(7) 設立予定 : 2005年4月1日
(8) 開業予定 : 2005年4月1日
(9) 事業内容 : IZOターゲット及び液晶・有機EL用ITOターゲットの製造販売
(注) 社名の「IS」は出光と住友の頭文字を、「エレクトロード・マテリアルズ」は電極材料を意味します。

3.今後の予定
(1) IZOを中心とした透明電極材料で、3年後に150億円規模の売上げを目指します。
(2) 今後更に需要が増加すると予想されますので、早急に生産能力の増強を検討開始いたします。

補足資料:透明電極材料について   
1.透明電極材料の主用途
     

   IZOは電極の緻密な加工が求められるTFT側により適している。

   

<参考>

○出光興産株式会社について
(1) 本社 : 東京都千代田区丸の内3丁目1番1号
(2) 資本金 : 388億円(2004年3月31日現在)
(3) 売上高 : 2兆260億円(2003年度実績)
(4) 代表者 : 天坊昭彦(代表取締役社長)
(5) 社員数 : 4,882名(2004年8月1日現在)
(6) 事業内容 : 石油製品の精製・販売、石油化学製品の製造・販売

○住友金属鉱山株式会社について
(1) 本社 : 東京都港区新橋5丁目11番3号
(2) 資本金 : 883億円(2004年3月31日現在)
(3) 売上高 : 2,914億円(2003年度実績)
(4) 代表者 : 福島孝一(代表取締役社長)
(5) 社員数 : 2,172名(2004年3月31日現在)
(6) 事業内容 : 資源開発、非鉄金属の製錬・販売、電子材料・機能性材料の製造・販売


2005年3月24日 大日本インキ化学工業

欧州における光ディスク用コーティング材・接着剤メーカーの買収について
http://www.dic.co.jp/release/20050324_01.pdf

 大日本インキ化学工業株式会社(DIC、本社:東京都中央区、社長:小江紘司)は、さきごろ、欧州における光ディスク用コーティング材・接着剤のメーカーであるエクイス・コーティング社(Eques Coatings B.V.、本社:オランダ・オス市)を買収しました。
 エクイス社は、光ディスクの老舗であるフィリップス社のコーティング部門として創業し、1998年、ピート・ファン・ハレン(Piet van Galen)氏によるMBOにより独立した会社です。主要製品はCDやDVDなどの光ディスク用コーティング材や接着剤、テレビ・DVDプレーヤーなどのコンシューマーエレクトロニクス用の特殊塗料などです。
当社は光ディスク用コーティング材および接着剤分野で、世界市場で50%以上のシェアを持っています。しかし、最近は同業他社の追い上げが強く、価格競争も激化しています。このような状況下、当社は適地供給体制の充実により顧客満足度を向上させるとともに、価格競争力の強化を図るために、欧州地区で競合していたエクイス社の買収を行ったものです。
 このたびの買収により、当社は日本(埼玉県伊奈町)、米国(ウィスコンシン州オーククリーク市)、オランダの世界3極に生産拠点を持ち、それぞれが日本・アジア市場、米州市場、欧州市場をカバーする最適生産体制を実現することとなります。併せて接着剤に強いDICとコーティング材に実績を持つエクイス社が統合することにより製品ラインアップも強化されることになり、幅広い顧客ニーズをカバーすることが可能となります。
 当社は当面、DICブランドとEQUESブランドの製品を従来通りのルートで生産・販売していくこととしていますが、DICグループとしての一層のシナジー効果を発揮するために、生産品目の相互乗り入れや販売ルートの整理・統合、原料の一括購入などを実施することを計画しており、世界市場において60%以上のシェア獲得を目指しています。


2005/03/31 チッソ

韓国にLCD関連材料の生産拠点を建設
配向膜、オーバーコートの供給体制を拡充
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=97224&lindID=4

 チッソ株式会社(本社:東京都中央区、社長:岡田俊一)は、拡大を続ける韓国のLCD産業に対応するため、韓国内に於いて配向膜、カラーフィルター用オーバーコートの生産拠点の建設に着工しました。

 チッソはこれまで日本国内で戸畑、水俣、五井の三工場から、液晶及びLCD関連材料を生産、販売してまいりました。また、昨年11月にはチッソ100%出資にてチッソファインテクノ株式会社を設立し、液晶中間体、配向膜、透明材料の生産を拡大しております。
 今回、チッソファインテクノ株式会社の100%出資により韓国法人「チッソ韓国株式会社」を設立、京畿道平澤市に新工場を建設し、配向膜及びカラーフィルター用オーバーコートを生産する予定です。なお、工事は2005年4月1日着工、2005年9月に完成する予定です。

 LCD産業では、日本、韓国、台湾のアジア地域が今後も世界の供給基地になり、中でも韓国はその重要な位置を占めると予想されております。現在、韓国では第7世代液晶パネルの投資が本格化し、液晶及びLCD関連材料の需要はますます高まっていると同時に、強い現地生産の要請があります。この度の工場建設は、これらの顧客のニーズに応えるとともに、ユーザーとのダイレクトアクセスが加速することで、テクニカルサービスの向上と新たな材料開発のスピードアップという機能を持った生産拠点としてまいります。

 またチッソは、台湾においても、台南市に2006年秋頃完成の予定で液晶ブレンド設備(第二リクソンセンター)の建設を計画しており、能力増強と需要家へのサービスの向上及びコスト競争力強化を目指します。今回の韓国の工場建設と併せた総投資額は約50億円にのぼる予定です。液晶はもとより、その他LCD関連材料分野において、日本、韓国、台湾の生産販売拠点を整備、拡大することにより、アジアを拠点としたLCD産業の一層の発展に貢献すると共に、LCD関連材料のトータルソリューションメーカーをめざしてまいります。

【新会社の概要】

会社名:チッソリクソン株式会社(但し6月に社名変更予定)
      変更後名称  チッソ韓国株式会社(CHISSO KOREA Co., Ltd.)
所在地:本社 韓国ソウル市
      工場 京畿道平澤市玄谷産業団地
資本金:35億ウオン(約3.5億円)
株 主:チッソファインテクノ(株) 100%
設 立:2004年12月
従業員数:39名
着 工:2005年4月1日
完成予定:2005年9月
生産品目:LCD用配向膜及びオーバーコート


日本経済新聞 2005/4/9

昭和電工 HDD用基板2割増産 100億円投資、携帯音楽向け

 昭和電工は2006年3月までに、
ハードディスク駆動装置(HDD)に使うディスク基板を2割強増産する。日本国内に加え、台湾、シンガポールに合計100億円を投じてラインを増設し、月産能力を現在の1070万枚から21.5%増の1300万枚に増やす。DVDレコーダーや携帯音楽プレーヤー向けの需要拡大に対応する。
 台湾・新竹市の昭和電工HDトレースに汎用品であるアルミニウム製ディスク基板の製造ラインを設ける。同製品はデスクトップ型パソコンやDVDレコーダー向けが主用途で、価格競争が激しい。新鋭設備の導入で生産性を向上させる。
 シンガポール工場ではアルミ製ディスク基板の生産を大幅に減らす一方、ガラス製ディスク基板を増やす。両工場を合わせると、ノートパソコン向けなどで需要の伸びが大きいガラス製品を増強することになる。
 千葉事業所(千葉県市原市)では、米アップルコンピュータの携帯音楽プレーヤー「iPod」などに使われる直径2.5インチ以下の小型品の生産設備を増強する。さらに垂直磁気記録方式ディスクの今後の商品化に備え、既存の生産ラインを改良。携帯電話機向けなど小型・大容量製品の市場拡大に備える。
 一連の増産により、06年の同事業の売上高は2割以上増え1千億円となる見込み。


2005/04/19 セントラル硝子

韓国におけるPDP用ガラス基板の合弁会社設立に関するお知らせ
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=98700&lindID=4

 当社は、かねてよりプラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)向けの高歪(ヒズミ)点ガラス基板の事業化を進めてまいりましたが、今般、フランスサンゴバングループと韓国ハングラス社(ハンクック・グラス・インダストリーズ)との間で、韓国におけるPDP用ガラス基板の生産販売を目的とした合弁会社の設立に関する契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。

1.会社設立の経緯、目的
 世界的に急拡大しているPDP需要に対応すべく、当社は、表示パネルに使用される高歪点ガラス基板の量産体制を確立し、日本及び海外の市場開発を進めてまいりました。今般、PDP用ガラス基板事業の本格化を図るべく、韓国内に生産販売会社を合弁設立いたします。

 既に自動車用ガラスで提携関係にあるサンゴバン社、および同社と資本提携関係にある韓国ハングラス社との共同事業化により、韓国新会社の速やかな立ち上げ、事業の拡大を進めてまいります。

 新会社の加工工場は2006年春に稼働を予定しておりますが、それまでの間は当社がガラス基板製品を新会社に供給する予定です。将来は韓国内での素板生産も視野に入れており、素板生産から基板加工までの一貫生産・加工体制の構築により、韓国内顧客に対する安定供給を実現する計画としております。なお、日本国内についても、引き続き当社が生産販売を行ってまいります。

 当社は、これまでに液晶ディスプレー用ガラスや蛍光表示管用ガラスへの製品展開を行い、台湾に生産・販売拠点、中国に情報収集拠点を設置するなどしておりますが、PDP事業についても、既に事業確立をしているカバーフィルター用ガラスに加え、今回の表示パネル用ガラス基板事業への本格参入により、フラット・パネル・ディスプレー向けガラス事業全体の一層の拡充、収益の拡大を図ってまいります。

2.生産販売会社の概要
(1)会社名:ディスプレイ・ガラス・アライアンス(Display Glass Alliance)を予定
(2)設立年月日:2005年5月頃を予定(関連許認可取得次第)
(3)事業内容:PDP用ガラス基板等の生産・販売
(4)資本金:250億ウォン(約25億円)
(5)株主構成:セントラル硝子   40%
          サンゴバン社    30%
          ハングラス社    30%

3.共同出資会社の概要
(1)サンゴバン社の概要
 1)会社名:サンゴバン・グラス・フランス(Saint-Gobain Glass France S.A.)
 2)所在地:フランス共和国パリ市
 3)事業概要:サンゴバングループの板ガラス部門の中核的会社。
          同グループの板ガラス部門は、世界39カ国に拠点。
(注)合弁会社への出資は、サンゴバングループの持株会社の一つが担当予定。

(2)ハングラス社の概要
 1)会社名:ハンクック・グラス・インダストリーズ(Hankuk Glass Industries Inc.)
 2)所在地:大韓民国ソウル市
 3)事業概要:板ガラス、自動車用ガラス等の生産・販売


2005/4/19 昭和電工

ハードディスクの増設について
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news05/05-04-19.htm

 昭和電工株式会社(高橋恭平社長)は、携帯音楽プレーヤー(MP3プレーヤー)等向けの直径1.89インチを中心とした小径のハードディスク(以下、HD)需要が旺盛なことから、HDの生産能力を月産305万枚増強し、月産1,375万枚とすることを決定しましたので、お知らせいたします。

 HDは、デスクトップ型やノート型パソコンなどの既存の用途に加え、DVDレコーダー、携帯音楽プレーヤー等のコンシューマー・エレクトロニクス用途向けに需要が拡大しており、年率10%以上の伸びが続くと見込まれております。また、1インチ以下の超小径HDの携帯電話等への搭載が進むことなどにより、さらに需要が急拡大する見通しです。

 当社は昨秋、高品質HDの供給体制を整えるため、千葉、シンガポール、台湾の各拠点において、既存工程の改善を中心とした生産能力の増強を行い、月産830万枚から1,070万枚に拡大いたしました。
 しかしながら、お客様から引き続き強い増産要請を受けており、当社はこれにお応えすべく、生産設備の新設および工程改善により、さらに月産305万枚の増強を実施することといたしました。
 本件に関する設備投資金額は約120億円であり、2006年3月までに順次稼動の予定です。

 なお、今回新設するすべての生産ラインは、当社が既に1.89インチHDで量産技術を確立済みの垂直磁気記録方式に対応できるラインといたします。
また、現在開発中の世界最小径0.85インチHDの量産対応も視野に入れております。

 当社は、HD事業を「成長戦略」に位置付けております。現在推進中の連結中期経営計画「プロジェク・スプラウト」において、HD事業を当初「再構築事業」に指定しておりましたが、M&A施策等を通じた事業構造の変革に取り組んだ結果、HD市場における世界トップクラスのシェアを獲得するとともに、高成長を実現できる事業基盤を確立いたしました。これにより、本年から、HD事業の全社事業ポートフォリオ上の位置付けを「再構築事業」から「成長戦略事業」へ変更いたしております。


日本経済新聞 2005/4/23

液晶フィルム生産倍増 日本ゼオン シェア30%目指す


 日本ゼオンはパソコンやテレビの液晶画面の視野角を広げる「位相差フィルム」の年産能力を、2007年までに3千万平方メートルと2倍に引き上げる。位相差フィルム市場では新規参入が相次ぐなど競争が激化。同社は独自開発した樹脂を原料にした安価な高機能フィルムを武器に、07年に市場シェアを現在の2倍近くの約30%へ拡大したい考え。
 位相差フィルムは画面を斜めから見た場合に生じる映像のゆがみやにじみを補正する機能がある。液晶パネルでは視野角を拡大するために不可欠な部材。
 日本ゼオンは子会社の高岡工場(富山県高岡市)で、樹脂をフィルム状に加工する設備をほぼ10カ月に1台のぺースで増強する。現在、同工場内で数台の設備が稼働しており、年産能力は1500万平方メートル。今後3年程度で3台増強する。設備は1台当たり5億−6億円で、07年までに約15億円を投資する見込み。
 同社はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解して出る化合物からCOP(シクロオレフィンポリマー)と呼ばれる特殊樹脂を開発した。COPは従来の位相差フィルムに多用されていたポリカーボネート樹脂などに比べ吸水性が低く変形しにくい特性がある。安価な製造設備で加工できるのも特長で価格も比較的安い。
 同社は02年10月に位相差フィルム市場に参入した後発メーカーで、04年のシェアは推定約17%と3位。


2005年10月12日 日本ゼオン

日本ゼオン、大型液晶テレビ用のゼオノアフィルム生産能力増強
http://www.zeon.co.jp/press/051012.html

 日本ゼオン(株)(社長 古河直純)は、2004年10月に上市した新ゼオノアフィルム(R) (延伸フィルム)が、2005年初めから順次大型液晶テレビに搭載され、採用が急速に拡大していることを受け、その能力増強に着手した。増強設備は当社100%子会社である(株)オプテス(代表取締役 梅沢佳男)高岡工場に設置する。

 今回の増強は、大型液晶テレビへの旺盛な需要から、2007年度に保有予定の生産能力増強計画を前倒し、2006年までに実施完成させるものである。具体的には、光学フィルム原反の生産能力を4,000万平方メートル/年に、新ゼオノアフィルム (延伸フィルム)も3,000万平方メートル/年に増強する。なお、順次増強を進めており、一部はすでに稼動している。

 また、将来さらに大きな需要が見込まれることから、光学フィルム原反と新ゼオノアフィルム第二工場の建設検討を開始した。

 当社は、2002年10月に世界で初めて溶融押出し法による光学フィルムの製造に成功し、位相差フィルム用の原反フィルムであるゼオノアフィルムの販売を開始し2005年2月には 第二次増強を終了している。ゼオノアフィルムは高透明性、低複屈折、低波長分散、低光弾性などの優れた光学特性を有するとともに、低吸湿性、高耐熱性などの特徴を有しており、液晶用光学フィルムとして優れた耐久性の提供が可能である。
 新ゼオノアフィルム はゼオノアフィルム を延伸し位相差機能を付与したものであり、優れた光学特性と耐久性を有した位相差フィルムであり、加えて(1)位相差機能と偏光板保護機能を兼ねる。(2)ロールツウロールでの偏光板製造が可能。(3)画面の安定性向上に寄与するなどの特徴を持つ。
 この結果、部材点数の削減および製造プロセスの簡略化が期待できる。また、品質面では偏光板の耐久性能が向上、画面の周囲の光漏れによるコントラスト低下の問題を克服できることから大型液晶テレビへの採用が拡大しているものである。


日本経済新聞 2005/5/10

コニカミノルタ 液晶用フィルム生産倍増 300億円投資、神戸に新工場

 コニカミノルタホールディングスは2008年度までに約300億円を投じて液晶表示装置(LCD)の主要材料である偏光板用フィルムの生産を拡大する、神戸市に今年10月に新工場が完成するのに加え、来秋稼働に向けて次の工場建設に着手する。2年後をめどに生産能力を従来の2倍にあたる年間1億2千万平方メートルに引き上げる。液晶テレビ向けなどの需要が拡大しているため、投資を積極化する。
 新工場は傘下のコニカミノルタオプト(東京都八王子市)が建設する。まず今年10月、神戸市で年産能力3千万平方メートルの新工場を稼働させる。さらに今年6月にも約100億円を投じて隣接地で同規模の工場建設に着手し、06年秋ごろ完成させる予定。その後も場所は未定だが工場の新設、増設を計画している。
 生産するのは液晶テレビやノートパソコンなどのLCD偏光板づくりに欠かせない保護材のTAC(トリアセテートセルロース)フィルム。04年のTACフィルムの世界市場は1億8千万平方メートル。液晶テレビなどの需要拡大などに伴い今後年平均で3−4割伸びると判断し、本格的に生産体制の拡充に踏み出す。
 コニカミノルタは2000年3月にTACフィルム事業に本格参入。04年度のTACフィルム事業の売上高は約200億円で、08年度には460億円に引き上げる計画だ。
 同フィルムの世界市場で約7、8割のシェアを持つ富士写真フイルムを追い上げる。
 コニカミノルタは03年8月の経営統合以来、人事制度の統一など内部体制固めを進め、一連の作業はほぼ終わったと判断。05年度から事業の拡大路線を進める方針。TACフィルム事業を成長分野の一つに位置付け投資を進める。


日本経済新聞 2005/5/11

日東電工 液晶用フィルム増産 185億円投資、2工場増設

 日東電工は2006年7月までに、液晶表示装置(LCD)に使う光学フィルムの生産を拡大する。約185億円をかけて広島県尾道市と三重県亀山市の工場を増設し、生産能力を現在の約1.6倍の年8300万平方メートルまで引き上げる。投資時期を約半年前倒しして、主に液晶テレビ需要の伸びに対応する。
 今回の設備投資は、いずれも前工程と呼ばれるフィルム製造向け。主力の尾道工場では、鉄骨三階建てで延べ床面積約2
万7干平方メートルの生産拠点を増設し、生産性の高い延伸機を導入する。新たな生産能力は、年2100万平方メートル。独立した物流拠点も建設する。
 亀山工場では鉄骨三階建てで6300平方メートルの拠点を増設。新たに900万平方メートルの年産能力を確保する。同工場はシャープが06年秋に稼働予定のテレビ向け液晶パネル新工場に近い。
 日東電工は液晶テレビを中心にフィルム需要が1年以内に50%程度伸びるとみている。同社は同フィルムで現在世界シェア55%を持つが、今回の投資により60%に高まる見通し。


2005/05/16 日立化成工業

半導体用CMPスラリーの生産能力を3割増強
−2007年度、売上高100億円を目指す−

 日立化成工業株式会社(本社:東京、執行役社長:長瀬寧次、資本金:153億円)は、半導体の素子分離方法の一つであるSTI(Shallow Trench Isolation)に使用されるCMP(化学的機械研磨)スラリーの生産能力を2005年6月までに約30%増強します。

 CMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Planarization)とは、半導体の素子分離工程や回路形成工程で発生した凹凸を研磨、平坦化する技術であり、CMPスラリーはこの用途に使用される研磨液です。STIは、シリコンウェハー上の何百万個もの半導体素子をそれぞれ電気的に絶縁する素子分離方法の一つで、微細配線に適しているため、デザインルール180ナノメートル近辺から主流になってきましたが、形成工程上に段差が生じることからCMPによる平坦化を行う必要があります。この際、CMPによって発生する研磨傷は歩留りを悪化させるため、130、90ナノメートルとデザインルールの微細化が進展する上では、信頼性向上のため研磨傷のさらなる低減が必須とされています。

 当社は、1998年度に酸化セリウム粒子を採用したCMPスラリーを実用化し、研磨速度の速さと研磨傷の少なさを武器に、最も平坦化性が求められるSTI向けを中心に売上を拡大してきました。また、2004年度には研磨傷を従来の3分の1に低減でき、平坦化性も従来の2倍に高めた高性能のSTI用CMPスラリーを実用化し、売上を拡大してきました。

 今般当社は、山崎事業所(勝田)(茨城県ひたちなか市)に約5億円を投じ、2005年6月までに製造ラインを1ライン増設して、高性能STI用CMPスラリーを含むSTI用CMPスラリーの量産体制を構築し、生産能力を現在の約30%増に当たる年間約2,600トンに拡大します。

 当社では、継続的な増収増益を達成するため、経営資源を集中的に投入して拡大を図る「戦略拡大10製品」を定めており、CMPスラリーはその一つです。今回の生産能力増強により、販売強化に努め、2007年度には約100億円の売上高を目指していきます。


2005/06/07 三井化学

太陽電池封止シート製造設備の増設について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=102320&lindID=4

 当社(社長:中西宏幸)の100%子会社である三井化学ファブロ株式会社(以下MFI、社長:坂本甫)は、太陽電池封止材事業のリーダーの地位強化を図るため、MFI名古屋工場に太陽電池封止シートの製造設備を増設することを決定しました。

<増設計画の概要>
1.対象製品:太陽電池封止シート(ソーラーエバ(R))
         (太陽電池セルをバックシートと強化ガラスで挟む際の封止材に用いる、
          エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)製のシート。別紙ご参照)
2.設備設置場所:三井化学ファブロ株式会社名古屋工場内
3.所在地:愛知県名古屋市
4.生産能力:4,000トン/年(太陽電池570MW 相当)
        (5,200トン/年→9,200トン/年)
5.スケジュール:着工       2005年8月
           完工       2006年3月
           商業生産開始 2006年4月

 三井化学グループは、中期経営計画において、機能性ポリマーズ、情報・電子材料、ヘルスケア材料からなる機能性材料分野の拡大・成長を目指しております。情報・電子材料の一つである太陽電池封止材事業の戦略は、太陽電池メーカーの生産拡大に対応して、高品質の太陽電池封止材を供給できる体制を整備し、事業の更なる拡大を図ることであります。

 太陽電池市場は、今後、2010年までに世界で年率30%を超える成長が見込まれています。
 日本では、京都議定書の発効による環境や省エネに関する意識の高まりから、住宅への急速な普及が進んでおります。欧州では、日本同様環境意識の高まりと、各国政府の積極的な普及策から、太陽電池市場は近年60%程度の高成長を記録しております。また、米国、及び電化された割合が未だ低い東・東南アジアにおいても、太陽電池の普及が進むものと予想されています。

 このような状況において、MFIは、世界最大の太陽電池供給国である日本の大手メーカーの増産に対応し、中部・西日本地区においてコスト競争力ある新たな生産拠点を確立するため、現在のMFI勝田工場(生産能力5,200トン/年、茨城県ひたちなか市)に加え、今回、同社名古屋工場における増設を決定したものです。

 MFIは、今後とも日本の太陽電池メーカーの増産に対応し、高品質の製品を安定的に市場に供給する体制を整備し、更なる事業の強化・拡大を進めていく計画です。


● 関連資料



2005年6月9日 東レ

東レセハン亀尾第3工場(第4工団)の起工について
― 韓国での先端材料事業群を拡大、フィルム加工第1期設備の建設に着工 ―
http://www.toray.co.jp/news/film/nr050609.html

 東レ株式会社及び東レセハン株式会社(略称:TSI社、本社:大韓民国ソウル特別市、社長:李泳官)は、韓国南部・慶尚北道、亀尾(クミ)市にある亀尾第 4工団外国人企業専用団地内に6万坪の用地を昨年末に先行取得しておりましたが、明日6月10日、第4工団内のTSI第3工場敷地内において、日本・韓国両国の関係者を招き、フィルム新工場建設の起工式を執り行います。東レグループは韓国において、2009年までの5年間で総額4億ドルを投資し、高機能フィルムをはじめとする情報・通信機材や高機能樹脂、環境関連製品など先端材料の生産工場を新設していく計画です。

 今般、TSI社が自己資金により亀尾第3工場で着工する第1期工事は、
電子部品用の離型フィルムやPDP用反射防止フィルム等向けのフィルム加工設備2 系列と、その後の各種フィルム加工製品の生産設備新設を視野に入れた建家及び付帯設備の建設となります。今回の第1期工事の投資額は約40億円で、生産能力は月産700万平方メートルを計画しています。

 韓国はIT関連産業の世界的な生産拠点となっている一方、その主要素材・部材については大部分を輸入に依存しています。そのため、韓国政府は部材の国産化政策を推進しており、同国の電機・電子機器メーカー各社もコストダウンと素材開発の基盤強化のため、部材の国内調達を加速しており、このような動きに伴うIT関連素材の需要急成長が期待されています。

 TSI社は従来、ポリエステルフィルム事業において、製膜・加工一貫生産体制によるコスト競争力と品質競争力の優位性を活かし、磁気材料用ベースフィルムやコンデンサー用離型フィルム、並びに各種包装フィルムなどを主力製品としてきましたが、ここ数年来、国内IT関連産業の急速な発展を梃子に新たな次世代戦略事業を確立するべく、他社に先駆けて国内の電子・情報機材分野の新規素材需要をターゲットとした技術開発とマーケティングを行ってきました。東レ及び東レフィルム加工(株)による技術支援を受け、回路材料用フィルム製品や光学用フィルムなど高機能製品の生産技術確立とプレマーケティングを拡充してきたことから、今後TSI社は生販一体の事業を増強して高機能用途へのシフトを加速することにより、事業構造を一層高度化して参ります。
 また、TSI社は当地での有利な立場を活かし、電子・情報機材分野で国内トップシェアを有する総合化学企業を目指し、2009年には売上高1兆2千億WON(約1,200億円)を実現していく方針です。

 東レは中期経営課題 “NT−II”(New TORAY-II)において、攻めの経営プロジェクトとして「先端材料事業の拡大」「ナンバーOne事業の拡大」「海外事業の戦略的拡大」を推進しており、今般の韓国における投資拡大により、保有する先端技術の積極的移転を進め、韓国での新たな先端材料事業を推進していく所存です。

(ご参考)
東レセハン株式会社(TSI社)第3工場起工式 開催概要:
 日 時: 2005年6月10日(金) 11:00〜12:00<現地時間>
 場 所: 起工式典 東レセハン株式会社(TSI社) 亀尾第3工場(第4工団)敷地内 にて
       (所在地詳細)慶尚北道亀尾市亀浦洞国家第4産業団地東レセハン第3工場敷地

東レセハン株式会社(TSI社)概況:
 事業内容: ポリエステル長繊維、不織布、フィルム、フィルム加工、及びPETチップ製造販売
 設 立 : 1999年10月
 資本金 : 3,360億WON(336億円) (東レ73.2%、セハン26.8%)
 代表者 : (会長)松原伸行 (社長)李泳官 (副社長)玉造稔
 従業員 : 859人(内東レ出向者8名)(04年12月現在)
 売上高 : 6,426億WON(04年実績)

東レセハン株式会社(TSI社)沿革:
 1999年10月 セハン社と合弁で東レセハンを設立
 2002年 5月 セハン社からフィルム加工部門買収(フィルムコーティング設備2系列)
 2004年 7月 コーティング設備1系列を増設(光学用途)
 2005年 6月 コーティング設備1系列を増設(FPC用銅張りポリイミドフィルム加工)


2005年7月12日 化学工業日報

チッソ、台湾に液晶材料工場を建設

 チッソは11日、台湾での液晶材料の製販一体運営を展開するため、同材料の生産工場を台湾に建設することを決めたと発表した。これまでチッソは台湾で日本のグループ企業から製品を調達し販売してきたが、同国での液晶ディスプレーメーカーへのダイレクトアクセスに対応するため工場建設を決定したもの。総投資額は約40億円で、今年10月に着工し完成は来年9月の予定。2007年4月に本格的な製造を開始する計画。

 新工場は、チッソの孫会社である台湾智索股
イ分有限公司(連結子会社チッソ石油化学の100%子会社)において建設、保有することから、同社の資本金を250万NTドルから2億NTドルに増資する。

 台湾智索股
イ分有限公司は、チッソグループの液晶関連材料の販売会社として1999年5月に設立され、日本国内のグループから製品を調達し、販売してきたが、台湾での液晶ディスプレーメーカーへのダイレクトアクセスに対応するため、台南市に液晶材料工場を建設し、製販一体運営を展開する。なお、台湾智索股イ分有限公司の増資については、チッソ石油化学が全額引き受ける。


日本経済新聞 2005/7/20

信越化学 三益半導体をグループ化
 出資比率27%に ウエハーに効率投資

 信越化学工業は19日、シリコンウェハーの加工を手がける三益半導体工業に100億円強を追加出資して、グループ会社化すると発表した。需要が拡大している直径300ミリの大口径ウエハーの生産能力にかかる設備投資を効率化し、ウエハーメーカー世界シェア首位の座を固める。
 三益半導体が8月4日付で実施する700万株の第三者割当増資すべてを総額107億1千万円で引き受ける。信越化学の三益半導体への出資比率は現在の3.4%から増資後に27.1%に上昇。三益半導体の中沢正幸社長に代わり、筆頭株主になる。
 信越化学はシリコン結晶の塊からウエハーを切り出して、半導体を形成できるようにウエハー表面を研磨する工程の一部を三益半導体に委託している。三益半導体の2005年5月期の単独売上高(321億76百万円)のうち約3分の1が信越化学向け。
 信越化学は子会社の信越半導体を通じてウエハー事業を展開。ウエハー加工のほかシリコン結晶塊の製造などを手がけ、現在の300ミリウエハーの供給能力は月産30万枚強で世界首位。昨年末から07年以降まで日米で約2千億円を投じて月産能力を70万枚まで高める計画を進めている。


2005/7/19 信越化学

三益半導体工業鰍フ第三者割当増資の引き受けについて
http://www.shinetsu.co.jp/j/news/s20050719.shtml

 信越化学工業株式会社(以下信越化学、本社:東京、社長:金川千尋)は、本日、三益半導体工業株式会社(以下三益半導体、本社:群馬、社長:中澤正幸)が実施する第三者割当増資を全額引き受け、同社株式を取得することを決定した。これにより、三益半導体に対する信越化学の持ち株比率は現在の3.4%から 27.1%へと増加し、三益半導体は信越化学の関連会社となる。

 信越化学は、三益半導体へ半導体シリコンウエハーの加工を委託しており、両社は長年にわたる取引を通じ深い信頼関係を築いてきた。今回、三益半導体の半導体シリコンウエハー加工事業における設備資金・運転資金などの資金需要に対し、信越化学は半導体シリコン事業の発展には更なる資本提携の強化が必要と判断し、第三者割当増資を引き受けることとした。今後両社は主として技術面での交流を促進し、最先端加工技術の共同開発に取り組むなど積極的に協調関係を深めて行く。

【第三者割当増資引き受けの内容】
引き受け株数 : 7,000,000株
引き受け価額 : 1株あたり 1,530円
引き受け総額 : 10,710百万円
申込日     : 2005年8月4日(木)
払込日     : 2005年8月4日(木)

【株式数の変更】

  第三者割当増資前 第三者割当増資後

三益半導体 発行済み株式数

21,534千株

28,534千株

信越化学 所有株式数

734千株

7,734千株

発行済み株式数に対する割合

3.4%

27.1%


三益半導体工業株式会社
http://www.mimasu.co.jp/j/jmain.htm

当社は、シリコンウェハーなどの半導体材料加工を専門とする半導体事業部を中核として、 FAシステムを設計・製作するエンジニアリング事業部、それに計測・制御・分析機器・試験研究設備を扱う産商事業部の三事業部が、密接に連携して企業発展に取り組んでまいります。


2005/8/24 昭和電工

新イソシアネ−トモノマー“カレンズ(R)BEI”販売開始          Karenz
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news05/05-08-24.htm

 昭和電工株式会社(高橋恭平社長)は、液晶ディスプレーの製造やフォトレジストの微細加工に使用される高機能イソシアネ−トモノマー“カレンズ(R)BEI”[化学名;1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート]を開発し、今月より販売を開始いたしました。

 当社のイソシアネートモノマーは、各種の物質と容易に結合するイソシアネート基を利用して、主にポリマーに添加・反応させることにより、光硬化性を付与する機能を保有しています。液晶ディスプレーや半導体などの電子分野においては、製品の小型化、機能の急速な高度化を支えるため、精細・微細な表面加工が必要とされており、当社の有機合成技術を駆使したイソシアネートモノマーが発揮する光硬化機能は、これらの実現のために必要不可欠な存在となっています。


 当社はイソシアネートモノマーを“カレンズ(R)”シリーズとして展開しています。昨年、従来品“カレンズMOI(R)”の2倍の硬化速度を達成した“カレンズAOI(R)”を発売するなど、イソシアネートモノマーのトップメーカーとしてお客様のご要望にお応えする製品の開発を進めてまいりました。
  今般、1つのイソシアネート基に対して、2つのアクリル基を持つ“カレンズ(R)BEI”の開発に成功いたしました。重合性を有するアクリル基を同一分子内に2つ持つことにより高い光硬化性を付与することが可能です。その主な特長は次の3点です。

1 光硬化性が“カレンズAOI(R)”に比較し2倍
2 ガラス、金属、PET樹脂等の基板への密着強度が“カレンズAOI(R)”に比較し2倍
3 硬化時の収縮が“カレンズAOI(R)”に比較し大幅に減少(基板のそり等の発生なし)

 なお、“カレンズ(R)BEI”は当社が世界で初めて開発した製品であり、当製品に関する物質特許および関連特許については既に出願済みです。

 当社は「技術立社」と「市場からの発想」をベースに、成長戦略事業の一層の拡大による「個性派企業」の確立を進めています。イソシアネートモノマーは、当社「個性派製品」の一つとして、既存の“カレンズMOI(R)”、“カレンズAOI(R)”に今回の“カレンズ(R)BEI”を加え、一層のラインナップの充実化を進めてまいります。 

カレンズMOI 分子量:155.15   カレンズAOI 分子量:141.12
 

2005/8/25 昭和電工/産業技術総合研究所/電力中央研究所

炭化ケイ素(SiC)半導体エピタキシャルウェハ量産化のための本格的産官連携体を構築
−カーエレクトロニクス・家電などのパワーデバイス産業の競争力強化に道筋−
 
http://www.sdk.co.jp/contents/news/news05/05-08-25.htm

■ ポイント ■
1. 産総研、電中研、昭和電工の3者で、SiC高品質エピタキシャルウェハの量産化のための共同研究を開始。
2. この共同研究では、3インチ以上、大口径複数枚の高品質エピタキシャル成長技術を実用機レベルで実証する予定。
3. 本研究の成果を元に、新たに組織される事業体(LLP)から平成18年10月を目途にウェハを供給していく予定。

■ 概 要 ■
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」)、財団法人 電力中央研究所【理事長 白土良一】(以下「電中研」)、昭和電工 株式会社【代表取締役社長 高橋恭平】(以下「SDK」)は、この度、炭化ケイ素(SiC)半導体デバイス実用化の“ボトルネック”となっている高品質なエピタキシャルウェハの安定供給に関して、生産拠点の構築を目的に、その量産化のための技術開発を行う共同研究を開始いたします。

■ SiC 半導体の優位性と現在の問題点 ■

 SiCデバイスの応用が期待される分野 SiC半導体は、優れた物理的・化学的性質を有することから、シリコン(Si)半導体を凌駕する小型・低損失の半導体デバイスの実現が可能とされています、電力、自動車、鉄道、家電と様々な分野に利用されている電力変換(直流⇔交流)用のスイッチングデバイスや、通信用の高性能・大電力高周波デバイスへの応用が期待されており、今後のエネルギー電力化率の増大を受け、省エネデバイス技術への寄与がきわめて大きい材料であります。
 しかしながら、現状ではデバイス作製に用いられるエピタキシャルウェハの品質が十分ではないため、特に大面積チップの作製が困難であり、SiCの材料特性の有用性が発揮される大電流デバイスの実用化に大きな障壁となっておりました。
 このエピタキシャルウェハは、高品質なバルクウェハの上に不純物濃度と厚みを精密に制御したSiC薄膜を堆積して作製されるもので、大口径ウェハ上への高品質かつ均一な精密エピタキシャル成長技術が必要となります。
 現在、SiCのバルクウェハに関しては、米国、ドイツ、日本等の企業が製品出荷を行っておりますが、エピタキシャルウェハに関しては、日本国内で安定的にウェハを供給できる企業がないため、我が国のSiCデバイス開発、更にはSiC電力変換器開発にとって大きな足かせとなっております。このため、国内における高品質SiCエピタキシャルウェハ生産拠点の整備・構築が急務となっております。

■ 共同研究の技術的背景 ■
 我が国のSiCウェハ関連の技術開発としては、下記のような取り組みの中、研究レベルではデバイス品質のエピタキシャルウェハ作製技術が開発されております。

1. 平成10〜14年度に経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構の「超低損失電力素子」プロジェクトが産総研を中心に行われ、SiCウェハ技術及びパワーデバイス化プロセスに関する要素基盤技術開発に大きな進展がありました。
(NEDO成果報告書データベース
http://www.tech.nedo.go.jp/index.htm 参照)
2. 電中研においては、高品質高速エピタキシャル成長技術及び大面積デバイスチップの開発が行われました。
3. SDKは、上記プロジェクト及び自社研究によりバルクウェハに関する研究成果を挙げております。

 今回、これらの技術開発成果をもとに、各種化合物半導体ウェハ事業で実績を有するSDKの参加を踏まえ、高品質均一エピタキシャル成長技術を3インチ以上の大口径複数枚同時処理可能の実用機レベルで実証することを目指して、産総研、電中研、SDKの3者が共同研究(総額約6億円規模の3年計画)を行うことで合意に至りました。

■ SiCエピタキシャルウェハ供給拠点ベンチャー ■
 SiC半導体パワーデバイスやこれを使った電力変換システム実用化のために不可欠なエピタキシャルウェハの生産拠点構築に対しては半導体デバイス企業からの要請と期待も大きく、本共同研究の成果を近々関係者で設立するウェハ生産を行うための事業体に技術移転し、国内へのSiC高品質エピタキシャルウェハ供給を平成18年10月を目途に開始する計画です。これらの活動を通して、我が国が世界のSiCマーケットをリードする状況を作り出し、新しい半導体産業を創出したいと考えております。
 なお、このウェハ生産を担う事業体設立に際しては、ベンチャー起業促進を目指して今年8月1日から新たに施行された有限責任事業組合(Limited Liability Partnership:LLP)制度、および産総研の技術移転ベンチャー認定制度を活用することで、SiCウェハ供給活動を効率的に立ち上げることを予定しております。

■ 補足説明資料 ■

1. 炭化ケイ素(SiC)半導体デバイス開発のねらい
 現在、半導体デバイスの開発はシリコン(Si)半導体を中心として行われており、CPUやDRAMを代表格に様々な分野や環境で使用されてきた。一方で、これまで半導体の使用が困難と考えられていた、高電圧や大電流、高温といった過酷な環境下においても、安定で安心して使用でき、しかも効率の良い半導体デバイスを開発することが要請されるようになってきている。例えば、
  1) 発電所・変電所での電力変換から家電製品のインバータまでの幅広い範囲で使用されるようになってきた電力変換用パワーデバイスにおいては、省エネルギーの観点から、より小型化、低損失化、高効率化が求められている。
  2) 今後更なる高出力化・高信頼性化が必要となる通信用の高周波デバイス、更には、自動車や人工衛星等で使用される耐熱・耐放射線性半導体デバイスに関しても、Siデバイスの限界を越える性能を持つデバイス開発が熱望されている。
    これらの技術分野では、まさにSiを凌駕する物性を有する半導体材料を用いたデバイスの開発が必要となっている。

  炭化ケイ素(SiC)は、炭素とケイ素からなる化合物半導体の一種であり、Siに比べて、以下の特性を有する。
  1) 電子の飽和ドリフト速度、絶縁破壊電界が一桁以上高い
2) 熱伝導度が三倍高い
3) 耐熱性・耐薬品性に優れる
   これらの特性により、従来のSi半導体よりはるかに小型、低損失、高効率のパワーデバイスや高周波デバイスが作製可能となる。このことからSiCは、超低損失の電力変換デバイス、高出力・高信頼性が必要となる携帯電話用基地局等で使用される高周波デバイス、更には、宇宙や原子力施設等の過酷な環境下で高い信頼性が要求される耐熱・耐放射線性デバイス用の半導体材料としての期待が大きい。
     
2. 現状技術の問題点と開発課題
  SiCエピタキシャルウェハに関する現状技術の問題として、以下が挙げられる。
  1) 要求されるデバイス仕様に対して結晶欠陥低減がまだ不十分なこと
2) 膜厚、不純物濃度がウェハ面内で一様でなく不均一なこと
3) エピタキシャルウェハ成膜の再現性もよくないこと
   結晶欠陥については、従来大きな問題として指摘されていたマイクロパイプと呼ばれる孔状の欠陥の密度が最近では大変少なくなったのに加え、バルクウェハに存在するマイクロパイプ欠陥をエピタキシャル成長中に閉塞させる技術の開発も進んでいる。しかし、「転位」を始めるとする結晶欠陥はまだ多く、耐圧等の素子特性の阻害要因となっている。特に転位欠陥の低減と、不純物濃度のウェハ面内ばらつき低減、再現性の向上がSiCデバイス実用化にとって重要である。
 また、SiCウェハにはその結晶構造から、Si面、C面の2種類の面が存在するが、エピタキシャル成長のしやすさから今までほとんどのデバイス開発はSi面を用いて行われてきた。ところが最近、C面を用いることによりデバイス特性が飛躍的に向上することが見いだされた。このことから、実用的には大口径ウェハを用いたC面上への均一なエピタキシャル成長技術の重要性が増している。
 本共同研究においては,上記の課題について重点的に取り組む予定である。
   
3. 事業の意義
 Si半導体でもSiトランジスタの黎明期においては、各デバイスメーカーはデバイス製作の各プロセス技術だけでなく、結晶のバルク成長からエピタキシャル成長まで含めて自ら実施していたが、その後、ウェハ作製は素材業界のウェハ専業メーカーに分業するようになった。
 現在国内パワーデバイスのメーカーには、研究開発のための十分な体力がなく、自前でSiCバルク・エピタキシャルウェハの研究開発、並びに製作をする余裕がなくなっている。その結果、デバイス作製のためのSiCエピタキシャルウェハの調達のほとんどを米国企業に依存しなければならない状況に陥っており、価格、納期、及び品質の面でSiCデバイス並びに電力変換器開発の支障となっている。更に、安定供給に対する不安から製品化も進まないのが現状である。このSiC製品化のボトルネックを解消するところに、本事業の意義がある。


用語の説明

◆ エピタキシャル成長、エピタキシャルウェハ
 SiCデバイスを作製するには、作製したデバイスが設計通りの良好な動作をするように、高品質且つ制御された厚み、不純物濃度のSiC単結晶薄膜を上記バルクウェハ上に堆積する必要がある。この単結晶SiC薄膜を形成させることをエピタキシャル成長と言い、SiCでは通常CVD (Chemical Vapor Deposition・化学気相成長)法が用いられる。バルクウェハ上にエピタキシャル成長によって薄膜を堆積させたものがエピタキシャルウェハである。エピタキシャル成長では、バルクウェハを作製する昇華法に比べると、より低温でゆっくり結晶成長が進行する。

◆ バルクウェハ
 ウェハを量産する方法として、SiCでは昇華法を用いた高速結晶成長技術が使われている。成長したインゴットを所定の厚み(数百マイクロメートル)にスライスし、研磨を施したものがバルクウェハである。通常2000°Cを越す温度で高速成長させるため、不純物が入りやすく、また結晶欠陥を生じやすい

◆ 「超低損失電力素子」プロジェクト
 我が国では、SiCの優れた材料特性に着目し、Siを駿駕するパワーデバイス実現の基礎開発のため、通商産業省のプロジェクトとして新エネルギー・産業技術総合開発機構の管理の下、1998年〜2002年度の5年間に渡って、SiCの結晶成長、デバイス作製に必要な各種プロセス技術、素子設計・評価の基礎技術、要素技術に関する技術開発が行われた。
 研究開発体制としては、基盤となる要素技術開発に関しては研究員を一カ所に集める集中研方式で、また基本デバイス実証に関しては持ち帰り型の分散研方式で実施された。集中研は、当時の電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所つくばセンター)に拠点が置かれ、参画企業群からの出向研究員と電子技術総合研究所研究員が参画する共同研究の形で進められた。分散研は、三企業(後に四企業)でそれぞれ実施された。本事業において用いられる産総研のエピタキシャル成長技術は、このプロジェクトの成果が基礎となっている。

◆ 有限責任事業組合(Limited Liability Partnership:LLP)
 欧米では以前から、「出資者が出資額までしか責任を負わない有限責任」、「出資者自らが共同して経営を行い、損益配分を柔軟に決める内部自治原則」、「出資者に直接課税し、法人と出資者への配分利益に二重に課税されない」という三つの特徴を持つ事業体制度があり、ベンチャー企業の新規創業を促し、またジョイントベンチャー推進等に寄与している。
 英国ではこのLLP (Limited Liability Partnership) が既に一万社を越し、米国では、LLPに法人格を認めたLLC (Limited Liability Company)がこの10年で80万社誕生している。
 日本においては、この三つの特徴を兼ね備えた事業体形態は今まで存在しなかったが、各種研究開発成果の事業化等に基づく新規創業の促進、創造的な連携事業の促進を意図して、民法組合の特別制度としての日本版LLP法案が経済産業省から国会に提出され、本年4月に成立し、8月1日から施行された
(http://www.meti.go.jp/press/20050726001/20050726001.html 参照)。また同様に、日本版LLC法案も、会社法における会社の一類型として法務省から今国会に提案されて成立しており、来年度からの施行が見込まれる。

◆ 産総研の技術移転ベンチャー
  産総研の技術開発成果実用化促進のための支援策の一つ。産総研の研究成果を活用した事業を実施する企業について、個別申請を審査し「産総研技術移転ベンチャー」の称号を付与。当該企業に対し、以下のような幅広い支援を行うもの。
・ 知的財産権の一部譲渡、専用実施権の設定、独占的実施権の許諾、再実施権の許諾、実施権の許諾に係る契約一時金の免除
・ 施設・研究装置等の使用許可及び使用料の軽減
・ 研究員の受入及び負担経費の軽減
・ 住所の使用許可
・ 弁護士や公認会計士等専門家への相談機会の確保
・ 研修やセミナーへの参加機会の確保
・ 技術情報の提供 など

◆ 転位
 結晶がその中のある面に沿ってずれることによって生じる結晶欠陥の一種。ずれを生じる面、ずれの方向と結晶軸の関係によって、螺旋転位、刃状転位、基底面内転位等に分類される。SiCデバイスでは、PiNダイオードにおいてその特性劣化が基底面内転位に関係することがわかっている。


日本経済新聞 2005/9/1

デジタル素材 大型投資
 大日本550億円/住化300億円 薄型TV用世代交代 機能高め収益を確保

 デジタル素材の世代交代に向け大型投資が相次いでいる。大日本印刷は約550億円を投資し、最先端の液晶パネル用フィルターを量産することを決めた。住友化学は300億円強を投じ、液晶テレビ用の新型偏光板を日韓で量産する。薄型テレビを筆頭とするデジタル家電は価格下落が続いており、素材企業は収益低下の懸念を強めている。高機能の「新世代素材」を投入、テコ入れを図る。
 
大日本は黒崎工場(北九州市)に第八世代(ガラス基板2.16x2.4メートル)パネル用カラーフィルターの生産ラインを新設、2006年末までに生産を始める。同社は最新鋭の第六世代(同1.5x1.8メートル)用ラインを5月に稼働させたが、250億円かけて増強。さらに第八世代用に300億円を投資する。
 第八世代用ラインで第七世代の需要にも対応できるため、一気に最先端の生産体制を敷く。全体の生産能力は05年末と比べて約1.9倍に増やす計画。月産能力は合計1300万枚(14型換算)となる。
 
住化は愛媛工場(愛媛県新居浜市)に約100億円を投じ、年産600万平方メートルの偏光板製造ラインを増設する。韓国・東友ファインケムの平沢工場(平沢市)では200億円強かけて同1200万平方メートルの設備を増強。それぞれシャープとサムスン電子に供給する。一連の投資で年産能力は従来より75%多い4200万平方メートルまで拡大する。
 薄型テレビの需要は旺盛だが、価格は下落傾向にある。例えばカラーフィルターの価格は液晶パネルの値下がりで1年間で約2割下がった。このため各社とも単純な増産投資ではなく、生産技術の向上によるコスト競争力強化を強く意識している。
大日本はフィルターの製法として従来の露光方式ではなく、プリンターなどに使うインクジェット方式を初めて採用した。約20%のコスト削減につながるという。高機能品の量産にいち早く移行し、収益性を高めようとしているのも特徴。住化は液晶テレビ用に開発した化学素材を使うことで偏光板のそりを減らし、輝度や視野角も向上させた。三井化学もプラズマテレビ用カラーフィルターをガラス製から樹脂製に初めて切り替えた。40型級で30-40キロとされるプラズマテレビの重量を約1割軽くできるとしている。

デジタル新素材の世代交代の動き
(★は増産、☆は新しく事業化。カッコ内は世界順位)
メーカー 生産品目 投資額 時期
大日本印刷 ★「第6、第8世代」液晶パネル用フイルター
 (凸版印刷に次ぐ2位)
550億円 2006年
末まで
住友化学 ★大型液晶テレビ用偏光板
 (日東電工に次ぐ2位)
300億円強 2006年
秋まで
旭硝子 ☆世界最大の「第8世代」液晶パネル用ガラス基板  250億円 2006年
秋メド
三井化学 ☆プラズマパネル用樹脂製カラーフィルター  30億円 2006年
春メド

デジタル素材大型投資
得意分野で攻勢 住友鉱山 増産 富士写 高性能化

 デジタル素材メーカーが自社の得意分野に絞り込んで攻勢をかけようとしている。住友金属鉱山は液晶テレビ向け先端基板の生産を2006年春までに倍増する。日立金属も薄型テレビ画面の金属部材の生産を倍増する。富士写真フイルムは液晶フィルムの高性能品を発売した。いずれも市場シェアトップの製品で、価格下落圧力への抵拡力を高める狙いがある。
 
住友金属鉱山が増産するのは、液晶テレビ画面を駆動させる液晶ドライバー(駆動半導体)を搭載する「二層めっき基板」。75億円を投資し、愛媛県の2工場を増強、年産能力を450万平方メートルに増やす。
 二層めっき基板は樹脂に銅めっきした素材。折り曲げ可能で細かい配線ができる。鮮明な画質を追求するには部品の搭載密度を高める必要があり、従来の折り曲げられない三層構造に比べ二層基板は有利になる。
 
日立金属は液晶ガラス基板に描く回路材料向けの金属素材を来年をメドに月間1千枚に倍増する。10億円を投資し、島根県や台湾、韓国の工場を拡張する。顧客ごとに成分の調整が異なるため微妙な技術が必要で、自社の強みとなる。
 
富士写真フイルムは液晶テレビのパネルに組み込む視野角補正フィルムの最大手。これまで映像を楽しめる範囲を示す視野角は上下130度、左右は160度だったが、上下・左右とも160度以上に広がり、画面が見やすくなる新しいフィルムを8月に販売した。06年から静岡県の生産子会社で年間3千万平方メートルの規模で量産する。

値崩れリスク抑制
 素材各社がデジタル素材の世代交代や得意分野の強化に動くのは、価格下落リスクを抑えるのが狙い。デジタル素材の多くは日本勢の独壇場とはいえ、家電値崩れの影響はある程度避けられない。高機能化と生産効率の向上を急ぎ、価格低下を極力回避すると同時にコスト競争力も高める考えだ。
 素材各社の収益は独占分野が好調を維持する一方、競合の激しい液晶関連を中心に下振れする二極分化が進む。例えば液晶パネル用カラーフィルター最大手の凸版印刷の05年4−6月期業績は、電子材料部門の連結営業利益が前年同期比47%減った。こうした状況下、収益確保のカギを握るのが、家電の高機能化を促す代替素材。三井化学が来春から量産するプラズマテレビ用の樹脂製カラーフィルターは代表例だ。
 このフィルターは画面を衝撃から保護したり、電磁波の遮断や色の再現性を高める基幹部材。樹脂製はガラス製に比べ重さ、厚さとも10分の1の0.3キロと0.3ミリ。ガラス製はパネルとの間に空間が必要だが、樹脂製はパネルに直接張り合わせるため、テレビ全体を1割程度薄くできるという。名古屋工場(名古屋市)で月産15万枚(42型換算)を生産、パイオニアなどに供給する。
 ほぼ独占市場だった素材でも、住友金属鉱山が増産する二層めっき基板市場には日鉱マテリアルズ(東京・港)が来年1月に参入する。デジタル素材は世代交代と代替、それに新規参入が加わり、進化と陶太が同時並行で進みそうだ。


2005年09月08日 大日本印刷

大日本印刷 液晶ディスプレイ用カラーフィルターの生産体制を増強
 世界初 第6世代ラインにインクジェット方式を採用
 第8世代新設で月産1300万枚となり世界トップの供給能力に

 大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円)は、液晶テレビの急速な需要拡大に対応するため、液晶カラーフィルターの生産ラインを増設します。新ラインには、
世界で初めて、インクジェット方式を採用します。

 当社は、本年5月より、北九州市黒崎にて、第6世代液晶カラーフィルターの工場(黒崎工場第1期ライン)を稼動させています。今回、第1期ラインに隣接した場所に、新たに建屋(建築面積13,500m2、延べ床面積16,150m2)を建設し、インクジェット方式による第6世代液晶カラーフィルター第2期ラインを導入します。投資金額は約250億円です。
 第2期ラインの稼動開始は、2006年第2四半期を予定しています。第1期ラインの生産規模である月産4万シートから、第1期ライン、第2期ライン合わせて、最大月産10万シートまで生産能力を拡大します。

 液晶テレビの急速な需要拡大に対応するため、液晶パネルメーカー各社は、第6世代液晶パネルの生産設備増強を継続して行っています。これに伴い、パネルメーカー各社から液晶カラーフィルターメーカーに対して、第6世代液晶カラーフィルターの生産能力増強のニーズが高まっています。
 これに加え、今後の液晶テレビの更なる低価格化に対応するため、より一層のコストダウン要請が高まっています。
 新ラインで採用するインクジェット方式については、これまでプロセス技術開発を進めてきましたが、このたび実用化に成功し、本方式を採用することになりました。インクジェット方式により、より効率的な生産能力拡大、コストダウン対応、及び従来のフォトリソグラフィー(露光)方式では達成できなかった純度の高い色の実現を進めます。

インクジェット方式は、フォトリソグラフィー方式と比較して、
 * トータルイニシャルコストの低減
 * 着色材料の使用量低減
 * フォトマスクが不要になることでの部材コストの低減
などのメリットがあり、着色工程では約40%のコストダウンが可能となります。
 品質面においても、露光・現像工程が不要になることにより、着色材料の純度を向上させることができ、より純度の高い色再現が実現できます。
 今回、これらに加えて、高密度梱包による輸送コストの低減も実現しました。

 当社は、今後、インクジェット方式を第8世代液晶カラーフィルターにも展開し、第8世代カラーフィルターラインを2006年後半に稼動を開始する予定です。
 今回の第6世代ライン増強によりDNPグループ(DNP大利根工場、三原工場、黒崎工場、ACTI社、SinTek社、
南しん光電の6拠点)全体の生産能力は、第6世代ラインまでで980万枚(14インチ液晶パネル換算)となります。第8世代ラインの稼動により生産能力は1300万枚(14インチ液晶パネル換算)まで拡大し、世界最大の供給能力となります。

 当社は今後も、高品質、低コストを実現する技術開発を進め、顧客のニーズ及び急速に変化するマーケットの状況に柔軟に対応できる体制を整え、業界発展に貢献できる液晶カラーフィルターの供給に努めて行きます。



日本経済新聞 2005/9/25

薄型TV用フィルム 富士写、5割増産ヘ プラズマ向けにも供給

 富士写真フイルムは液晶テレビのパネルに使う光の反射防止フィルムの生産を拡大する。2006年度の生産量を05年度見込みに比べ約5割増の540万平方メートルに引き上げる。液晶だけでなく、プラズマテレビ向けにも製品供給を始め、将来は新工場の建設を検討する。反射防止フィルムの世界市場でトップとなる5割以上のシェア確保を目指す。
 反射防止フィルムはテレビ画面に太陽光などの光が反射し、画面が見えにくくなる障害を防ぐパネル部材。富士写は04年度から小田原工場(神奈川県小田原市)で生産を始め、05年度は約360万平方メートルを生産する計画。増産分は既存設備でまかなう。
 液晶テレビの反射防止フィルムはパソコンのパネル向け製品も転用されているが、薄型テレビの高機能化に伴い、画像をより鮮明に表示し、汚れも付きにくい専用フィルムの需要が増えると判断した。テレビの視野角を広げる他の高機能フィルムと組み合わせて販売を増やす。
 04年度の反射防止フィルムの世界市場は約650万平方メートルとみられるが、富士写は薄型テレビの需要拡大に伴い、3年後には2千万平方メートル程度まで増えるとみている。同社の世界シェアは現在4割ほどだが、増産をテコに世界トップ事業に育てる。
 富士写は薄型テレビ向けパネル部材などフラットパネルディスプレー材料事業を戦略事業と位置づけており、04年度の同事業の連結売上高は約1千億円。08年度には2千億円以上に引き上げる方針だ。


日本経済新聞 2005/10/1

味の素がデジタル素材 絶縁材、群馬に新工場

 味の素は半導体基板の電子材料事業に本格進出する。食品に添加するアミノ酸素材をもとに開発した絶縁材料を増産するため、子会社工場を増強するほか、2007年春にも群馬県に新工場を建設する。総投資額は80億円超とみられる。医薬や化成品事業に多角化してきたアミノ酸の応用技術を、需要が伸びているデジタル素材分野にも広げる。
 増産するのは半導体のプリント配線基板を覆うフィルム状の絶縁材料「ABF」。温度変化で変形しにくい上、表面が平らなため微細加工に適している。味の素の電子材料製造子会社、味の素ファインテクノ(川崎市)の本社工場と外部の委託先が生産しており、年産能方は半導体チップ4億個相当量にとどまっていた。
 しかし今年に入りパソコンやゲーム機などのCPU(中央演算処理装置)のほか、モニターの画像データを制御するグラフィックチップ向けなどの需要が急拡大し、既存の生産体制だけでは手狭になっていた。
 本社工場では約15億円を投じて生産設備を導入し、来年4月にも年産能力を約5億個相当分に引き上げる。
 新工場は群馬県昭和村に約5万平方メートルの敷地を近く取得し、今年度内に着工する。土地取得費を含めた投資額は60億円超とみられ、07年春にも稼働させる計画。小型軽量化が進む次世代型チップにも対応した基板に薄くはれる新型ABFも開発中。増産により2工場合わせて10年度は年産能力を現在の3倍のチップ12億個分に増やす。
 味の素は調味料「味の素」の主原料となるアミノ酸の開発技術を樹脂添加剤などに応用。1998年には世界で初めて液状絶縁樹脂材料を薄いフイルム状にすることに成功した。99年に半導体各社向けに発売、約8割の世界シェアを持つと推定される。
 ただ同社の電子材料事業の連結売上高は百億円強と全体の1%程度にすぎない。設備増強に伴い10年度には2倍以上に高める計画だ。


 建材や自動車の内装用の合成樹脂を燃えにくくする樹脂添加剤や新たに電子材料事業を加えたケミカル分野、合成皮革製造用の離型紙分野でも事業活動を行っています。特に電子材料事業では当社の独創的技術により開発された絶縁層形成用フィルム「ム(味の素ビルドアップフィルム)」が本格的に使用されはじめ、急激に需要が拡大しました。これは世ABFフィル界で初めてフィルム化された絶縁層形成材料であり、今後も成長が期待できる製品です。
http://xn--u9j479hu21a.jp/company/ajino/kanmi.html


2005年10月4日 味の素

味の素の電子材料(ABF)事業
市場拡大に対応し、生産能力を3倍に増強
http://www.ajinomoto.co.jp/press/2005_10_04.html

 味の素株式会社(社長:山口範雄 本社:東京都中央区)は、電子材料である層間絶縁用フィルム(ABF:  Ajinomoto Build-Up Film)の原料ワニスの生産能力を拡大します。現在、当社子会社の味の素ファインテクノ株式会社(AFT)は、川崎工場にて設備の増設を行っています。また、群馬県中部の昭和関屋工業団地(群馬県利根郡昭和村)に、第2工場の建設を計画しており、2006年4月より着工予定です。これにより生産能力は2010年までに現行の約3倍となります。なお、設備投資額は総額で約85億円を予定しています。

 ABFは主としてコンピュータ用半導体基板の層間絶縁材料として使われています。CPU(中央演算処理装置)向けが中心で、この分野での当社シェアは約80%と推定しています。また画像データを制御するグラフィックチップ(GPU)や、チップセットへの採用も急速に拡大しています。加えて、ゲーム機への採用も始まるなど、更なる需要拡大も見込まれます。現在の対象製品は全世界で年間約5億個と推定されていますが、2010年には3倍の年間約15億個まで伸びる可能性があるといわれています。当社の電子材料事業全体の売上げは2004年度で約100億円ですが、需要の拡大をうけ、2005年度は20%程度の伸びを見込んでおり、また、2010年度までには現在の2倍以上の売上げを目指します。

<当社の電子材料事業の成り立ち>
 当社の電子材料事業は、アミノ酸の一種のグルタミン酸ナトリウム(MSG)の利用研究から、1960年代にエポキシ樹脂の硬化剤を開発したことから始まりました。以降、エポキシ樹脂関連の技術開発を進め、アミノ酸系硬化剤やそれを配合した接着剤を事業化しました。この技術を応用できる新分野の探索を進めていましたが、1990年代初めからプリント配線基板の絶縁材料に注目し、特に成長が見込める用途としてCPUを中心としたコンピュータ用半導体基板の絶縁材料に特化して開発を進めてまいりました。長年蓄積してきた樹脂配合技術により高機能絶縁材料を開発するとともに、従来、困難といわれていた液状樹脂のフィルム化に1998年、世界で初めて成功し、以来、ABFは機能性及び生産効率の高さから、コンピュータ用半導体への採用を相次いで獲得してきました。
 事業運営は子会社の味の素ファインテクノ(株)が主体となっており、工業化検討、生産、販売を行っています。
 新製品及び新技術開発は味の素(株)アミノサイエンス研究所が担当しています。

【参考資料】ABFについて

製品 絶縁材料を2枚の保護シートではさんだフィルム。基板作成は、回路の書き込み(銅をめっき)と絶縁材料付加を繰り返します。これをビルドアップ(Build-up)工法といいます。
製造   原料樹脂や溶剤、粉体などを混合してまずワニスと呼ばれる液状混合物を製造、それを薄く延ばすとともに溶剤を除去しフィルム化します。ワニスの製造はAFT社内で行っていますが、フィルム化には特殊な技術や設備が必要なため、外部の専門メーカーに委託しています。
用途 半導体を乗せる基板には複雑な配線を組み込むために何層にもわたって回路(銅)が書き込まれています。
その層間に電流が流れないようにするための絶縁材料として使われます。
当社の技術的優位性:
      半導体の処理速度を上げるためにはできるだけ細かい回路を書き込む(集積度を上げる)必要がありますが、そのために回路の線幅をできるだけ細くすることが必要です。ABFは絶縁性が高く、幅をより狭くすることができます。
    熱による体積変化が小さいため温度変化に強い。
    従来は液状であったものをフィルム化できたため、基板の両側を一度に加工できる、溶剤を使用せずに加工ができる、など作業性を大幅に改善できます。またフィルム化することにより 平滑性が増し、より微細な配線が可能となりました。

【味の素ファインテクノ(株)の概要】
    社  名 : 味の素ファインテクノ株式会社
    本社所在地 : 神奈川県川崎市
    設  立 : 1942年9月
    社  長 : 高橋 敏男
    事業内容 :電子材料の製造・販売
           機能化学品の製造・販売
           活性炭の製造・販売
    資 本 金 : 315百万円
    従 業 員 : 約190名
    売 上 高 : 16,357百万円(2005年3月期)
    当期純利益 : 2,637百万円(2005年3月期)


2005/10/3 旭硝子 

国内CRTガラス生産からの全面撤退を決定
http://www.agc.co.jp/news/2005/1003.pdf

 旭硝子株式会社(本社:東京、社長:門松正宏)は、2006年3月末までに、高砂工場(兵庫県高砂市)のCRT(ブラウン管)ガラスのパネル製造窯(1基)を停止し、国内のCRTガラス生産から全面撤退することを決定しました。
 CRTガラス需要は、パソコン用、テレビ用ともにTFT液晶へのシフトが急速に進んでいる影響を受け、2004年度の約272百万本から2005年度の約220百万本へと減少する見込みであり、本年上期においては、販売数量減少に加え、販売価格下落、原燃材料費高騰などにより、当社のCRT事業の採算は急激に悪化しました。これを受け、当社は、国内外の各生産拠点での稼動調整を実施するとともに、本年9月をもって子会社である韓国電気硝子社においてパネル製造窯(1基)及びファンネル製造窯(1基)を停止しましたが、今後もCRTガラスの需要は徐々に減少していくことが見込まれます。
 このような状況において、既にお客様であるCRTメーカーが国内になくなり、また需要減少が特に著しい大型品を生産している高砂工場において、2006年3月末を目処にパネル製造窯を停止し、国内のCRTガラス生産から全面撤退することとしました。また、本年末を目処に停止することとしていた高砂工場のファンネル製造窯については、停止時期を本年11月中に前倒しする予定です。
 今回の高砂工場のパネル製造窯停止により、当社のCRTガラス事業は、東南アジア・中国・韓国・台湾においてパネル及びファンネルを生産する体制となりますが、今後もCRTガラスの需要とお客様の生産拠点に対応して生産体制を再編するなど、必要な対応を図っていきます。
 一方、高い成長が期待されるFPD(フラットパネルディスプレイ)事業においては、急増する需要に対応しタイムリーに設備投資を行うなど、積極的に事業を展開していく所存です。
 なお、高砂工場のパネル製造窯停止、韓国電気硝子社のパネル製造窯及びファンネル製造窯停止により、2005年12月期に特別損失が約100億円発生する見込みです。

<ご参考>
1.高砂工場の概要
(1)所在地  兵庫県高砂市梅井5−6−1
(2)代表者  工場長 寺田賢二
(3)生産品目  CRTガラス(パネル、ファンネル)、SiC 製半導体装置部材
(4)敷地面積  約38万u(内、約9万uを旭硝子セラミックス社に賃貸)
(5)従業員数  514名(2005 年6 月20 日現在)

2.CRTガラスの構成
CRTガラスは、画面が映し出される前面の「パネル」、その背後のじょうご型をした「ファンネル」及び電子銃を収納する「ネックチューブ」の3部品から構成されています。


日本経済新聞 2005/10/5

反射防止フィルム 薄型TV用生産倍増へ 大日本印刷 150億円投じ新工場

 大日本印刷は、液晶やプラズマなどの薄型ディスプレーに使う反射防止フィルムの新工場を広島県三原市に建設する。投資額は約150億円で、2006年10月から稼働する。薄型テレビの需要増加に対応し、岡山工場(岡山市)と合わせた月産能力を08年3月までに現在の約2.3倍に拡大。世界シェア首位の座を固める。
 カラーフィルターなどを生産する三原工場(広島県三原市)の隣接地に5万3千平方メートルの敷地を確保した。三階建て、延べ床面積1万7千平方メートルの工場を建設する。岡山工場の現在の生産能力は月産800万平方メートル。広島の新工場は同500万平方メートルで生産を始め、08年3月までに同千万平方メートルに増産する。
 反射防止フィルムは液晶パネルやプラズマパネルに使う部材で、太陽光や照明の映り込みを防止したり、汚れや傷の付着を防いだりする。薄型テレビの出荷数の増加に伴い需要が拡大している。大日本印刷の世界シェアは6−7割で首位。
 現在は岡山工場だけで生産しているが、災害時の操業停止などのリスクを回避する目的もあり、薄型ディスプレー用部材の生産が集中している三原工場の隣接地に新工場を建設することにした。


2005年10月05日 大日本印刷

大日本印刷 広島県三原市に新工場を建設
フラットパネルディスプレイ用反射防止フィルムに150億円を投資
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2005/051005_2.html

 大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなど、フラットパネルディスプレイの急速な需要拡大に対応するため、広島県営三原西部工業団地(小原地区)に、フラットパネルディスプレイ用反射防止フィルム(以下:反射防止フィルム)の新工場を建設します。
 DNPは、1993年より、同工業団地内に、液晶ディスプレイ用カラーフィルター、プロジェクションテレビ用スクリーン、ブラウン管用シャドウマスクなど、各種ディスプレイ用部材の工場を保有しています。今回の新工場は、その隣接地を新たに取得して建設するものです。

 新工場の概要は、敷地面積53,000m2、建築面積7,200m2、延べ床面積17,000m2、鉄骨3階建となります。免震構造の建物、製造設備、付帯設備をあわせて、投資額は3年間で約150億円です。2005年10月に着工し、2006年10月の竣工および稼動開始を予定しています。
DNPは、現在、岡山工場(岡山県岡山市御津宇垣)で、反射防止フィルムを生産しています。本年6月の4号ライン稼動により、その生産能力は月産800万m2となっています。新工場の生産能力は、当初、月産500万m2とし、その後、段階的に拡大して、2008年3月までに月産1,000万m2とする計画です。
 DNPは、1997年に反射防止フィルムの事業化を行い、この分野で必要となるコーティングに関する材料技術、プロセス技術、クリーン化技術や評価技術など多くのノウハウと特許を取得しています。新工場でもこれらの強みを生かし、市場のニーズに対応した製品を供給していきます。

 反射防止フィルムは、外光や照明光の映り込みを防止して映像を見やすくする機能や、汚れや傷付きを防止する機能を有しており、フラットパネルディスプレイの最表面に使われています。
 今後、液晶テレビやプラズマテレビの大幅な伸びが見込まれ、2008年には、それぞれ2005年の約3倍の出荷台数になると予測されています。こうした各種フラットパネルディスプレイの需要増に伴い、反射防止フィルムの供給能力拡大が求められています。
DNPは、こうした需要の伸びに対応するとともに、生産体制の分散による災害時のリスク回避を目的に、今回、新工場を建設することとしました。

 DNPは、今回の生産能力増強によって、反射防止フィルムの売上を2007年度で700億円と見込んでおり、当分野における世界No.1シェアを一層確固たるものにします。


2005年10月12日 茶谷産業/クラレ

超高輝度無機EL発光材料の発明と次世代光源の共同開発について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=112917&lindID=4

 茶谷産業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:茶谷 康弘 以下 茶谷産業)と株式会社クラレ(本社:東京都千代田区、社長:和久井 康明 以下 クラレ)は、茶谷産業が世界に先駆けて発明した超高輝度の無機EL(エレクトロルミネッセンス)青色及び白色発光材料の開発を加速するため共同開発を開始しました。
 茶谷産業が発明した無機EL発光材料は、従来のEL材料の性能を遥かに超える超高輝度・長寿命を達成しています。
 本発明の超高輝度・長寿命の青色の無機ELは、コーティング法により面光源として使用できるため、超薄型、大面積が生かせる壁掛けテレビなどのディスプレイへの利用や、現在環境的に問題となる水銀が使われている照明用途への応用などが期待できます。
 両社は、まず薄型TVに不可欠な液晶ディスプレイ用バックライトの白色光源の製品化に向けて共同開発を行ない、2006年秋のサンプル出荷を目指します。将来的には、各種照明光源・フルカラーディスプレイ用発光材料の開発も視野に入れております。
 なお、本発明の超高輝度無機EL発光光源は2005年10月19日〜21日にパシフィコ横浜で開催される「FPD International 2005」で一般公開します。
 電気を流すと光る性質のあるEL材料は、自発光型で明るく、省電力、応答速度が速い、環境に優しいなどの特性から、液晶、PDPなどに継ぐ次世代ディスプレイ材料や蛍光管に代わる照明材料として注目されており、一部携帯電話などで製品化も始まっています。EL材料を使用したディスプレイなどの本格的な立上げは2008年頃と言われており、現在、世界的規模で多数の企業が開発競争に鎬を削っています。

 ELには
無機系と有機系があり、無機EL材料は、有機ELに先立って開発されていたにも拘わらず、交流電源の高電圧(100〜200V)を要すること、高輝度・長寿命の青色材料の適当な材料がなかなか見つからなかったことなどから、近年、開発の中心は多彩な化合物設計が可能な有機ELに移っています。
 しかしながら、有機化合物からなる有機EL材料は、空気による酸化劣化や湿気による劣化を受け易いのみならず、輝度を上げようと駆動電流を上げると寿命が短くなると言う所謂、輝度と寿命のトレードオフの問題が最大の開発ネックになっています。このため、携帯電話用ディスプレイなどの小画面製品に応用され始めているものの、いまだにテレビなどの中大画面ディスプレイの製品化には至っていません。有機ELの場合も、白色化やフルカラー化に必要な高輝度で長寿命の青色発光材料の開発が特に遅れています。
 一方、ELに類似した
発光ダイオード(LED)は、青色が日亜化学工業株式会社などの技術により輝度や寿命は実用化レベルに達しており、信号や電光掲示板など応用範囲は広がっています。しかしながら、ELが面光源であるのに対して、LEDは点光源ゆえに自ずと点光源で達成できる用途に限られており、大型のフラットパネルディスプレイなどの用途には制約があります。
 こうした背景にあって、EL材料が液晶やPDPに代わってディスプレイ材料として本格的に実用化されるためには、
高輝度かつ長寿命な青色発光材料が開発できるかどうかにかかっています。茶谷産業の技術者は数年来これらの課題と取り組み、この度、技術的に最も困難視されていた超高輝度かつ長寿命の青色及び白色EL材料を世界に先駆けて発明しました。具体的には低電圧 (3-10V)・直流駆動で超高輝度(600,000cd/m2, 5.5V)、長寿命(文末表参照)を両立させております。

超高輝度無機青色EL材料と従来品の性能比較−1

  輝度(cd/m2) 寿命(時間)

超高輝度無機青色EL材料

350,000

25,000時間以上輝度変化なし

無機青色EL材料(従来品)

100

30,000時間(輝度半減時間)

有機青色EL材料(従来品)

1,000

10,000時間(輝度半減時間)

超高輝度無機EL材料と従来品の性能比較−2

  発光エリア 発光輝度 発光効率 寿命 対環境

超高輝度無機EL

白熱灯

蛍光灯

発光ダイオード

○〜◎

無機EL

有機EL

     
茶谷産業株式会社
 社 長   茶谷 康弘
 本 社   大阪市中央区安土町1-8-15 TEL 06-6271-5321(代表)
 資本金   3億1000万円(2005年3月末)
 事業内容   自動車、タイヤ、産業用設備・機器、物流・荷役機械、電気・電子機器、工具・鉄製品、木材、建設資材、生活関連用品、食品等の輸出入並びに国内取引合成繊維・合成樹脂・化学品などの製造販売
            
株式会社クラレ
 社 長   和久井 康明
 本 社   東京都千代田区大手町1-1-3 TEL 03-6701-1000(代表)
 資本金   890億円(2005年3月末)
 事業内容   合成繊維・合成樹脂・化学品などの製造販売