2002/4/22 アボット ラボラトリーズ

アボット、北陸製薬の完全子会社化の方針を発表
 −世界第二のヘルスケア市場、日本におけるプレゼンスを強化−

 アボット ラボラトリーズ (Abbott Laboratories)[ 本社:アメリカ合衆国イリノイ州/代表者:マイルス D.ホワイト] (以下、「アボット」といいます。)は本日、北陸製薬株式会社 [ 本社:福井県勝山市/代表者:岩谷夫] (以下、「北陸製薬」といいます。)の発行済株式の33.3 %を、総額約380 億円(約2 億9,200 万米ドル)にのぼる公開買付け(以下、「本公開買付け」といいます。)により取得することを発表いたしました。尚、アボットは、昨年3 月、ビーエーエスエフ株式会社(BASF AG)の医薬品事業部門であったクノール株式会社(Knoll AG )を買収したことに伴い、その傘下にあった北陸製薬の発行済株式の66.7 %を既に取得しております。
 本公開買付けは、アボットが間接的にその100%の株式を所有する子会社を通じて、アボット グループが現在所有していない北陸製薬の全株式を対象に、現金を対価として1 株当たり2,600 円の買付け価格で実施され、公開買付け期間は、本年4 月23 日から同5 月30日までとなっております。北陸製薬は、同社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨決議しております。本公開買付けの終了後、北陸製薬が株式移転を行うことにより同社の親会社を設立し、親会社の株式は北陸製薬の株式と1 対1 の割合で交換される予定になっています。その結果、親会社は北陸製薬の株式の100 %を取得しますが、その後
ダイナボット株式会社 [ 本店:東京都港区/代表者:ホルガーA.リープマン] (以下、「ダイナボット」といいます。)に対し、その全株式を売却する予定になっています。アボットは、本年末までに、ダイナボットを通じて北陸製薬の株式を100%所有する予定です。これら一連の取引が滞りなく完了した後に、ダイナボットと北陸製薬が合併する予定です。
 アボットの日本における事業は、現在、北陸製薬とダイナボットの2つの子会社を通じて展開されています。アボットは、北陸製薬の完全子会社化により、日本の製薬市場におけるプレゼンスを飛躍的に強化していきたいと考えております。また、両社の事業運営を一体化することで、営業体制が強化されると共に、両社が持つ既存品および開発中の有望新薬から成る強力な製品ポートフォリオが生まれることが期待されます。
 アボットの副社長(日本事業担当)であり、また、ダイナボットの代表取締役副社長でもあるホルガー A..リ ープマンは、「北陸製薬を完全子会社化することは、世界第二のヘルスケア市場である日本において、更に事業活動を拡大したいというアボットの強い意思の表れである。」と述べています。同氏は、「日本国内の事業運営を一体化することにより、アボットは、免疫学や腫瘍学、代謝異常など幅広い分野にわたる新製品の開発と発売に必要な、強固な事業基盤を構築することが可能になる。」と付言しています。
 北陸製薬の代表取締役社長である岩谷夫氏は、「ここ数年、北陸製薬は、数々の新製品を上市して、国内製薬業界でもトップクラスの成長率を記録してきた。北陸製薬の強力な営業部隊に、ダイナボットのヘルスケア市場における専門的な知見が加わり、さらに両社の製品ポートフォリオが融合することで、我々の成長は更に加速されるであろう。」と述べています。
 尚 、今回公開買付代理人は野村證券株式会社が務めております。

《参考資料》

アボット ラボラトリーズについて
  1888 年設立。米国イリノイ州アボットパークに本社を置き、医薬品、栄養剤、診断薬、各種医療用器具などの開発・製造・販売を中心に、グローバルに事業展開を行う総合ヘルスケア企業。現在、従業員数は約7 万人にのぼり、同社の製品は、全世界130 以上の国々で販売されている。2001 年度業績は、売上高163 億ドル、純利益29 億ドル、特別費用を除く希薄化後1 株当たり利益1.88 ドル。
   
北陸製薬について
  1920 年創立。福井県勝山市に本社を置く医療用医薬品メーカー。とりわけ喘息治療薬、消化器官用薬などの分野で独創性の高い新薬を開発・販売してきた実績を持つ。主力製品のひとつである「ホクナリンテープ」は、1 日1 回の貼付で効能を発揮する世界初の経皮吸収型閉塞性気道疾患用剤として、1998 年末の販売開始以来、市場で高い評価を受けている。
同社が現在販売している製品には、この他に、過敏性腸症候群治療剤「ポリフル錠・ポリフル細粒」などがある。現在、従業員数は約840 人。2001 年度売上高約250 億円。
   
ダイナボットについて
  1962 年にアボット ラボラトリーズと大日本製薬株式会社の合弁会社として創立。現在、従業員数は約1200 人。診断薬、医療用医薬品、医療用器具など、広範な製品を製造、輸入及び販売しており、特に、免疫診断薬、抗感染症薬、経腸成分栄養剤、麻酔剤などの分野で高いシェアを獲得している。

 


化学工業日報 2000/12/18

アボット、BASFの医薬品事業を買収

 米アボット・ラボラトリーズは独BASFの医薬品事業を買収することで合意した。買収額は69ドル億で、2001年第1・四半期に買収を完了する予定。アボットはこの買収によって、医薬品をグローバルに展開する基盤を確保するが、とくに欧州と日本における事業を一気に強固にする。またBASFの医薬品子会社のクノールの研究開発のパイプラインを追加し、抗体医薬品などの有力な製品も得ることになる。アボットはクノールを含めたBASFの医薬品事業を買収する。アボットではこの買収によって、医薬品事業を世界規模で展開する基盤を作り上げるとともに、クノールの持つ製品や研究開発のパイプラインを確保する。また医薬品の研究開発投資を増大することも可能になる。BASFの医薬品事業の売上高は、2000年に26億ユーロ(約21億ドル)に達すると見込まれる。クノールの研究開発のパイプラインでとくに注目されているのは抗体医薬品の「D2E7」で、臨床の最終段階にある。リウマチなどを適応症としており、10億ユーロの売り上げを持つ製品への成長が見込まれている。


2000/12/18 BASF

BASF, 医薬品事業をアボット・ラボラトリーズへ69億ドルで売却

革新的な化学、高効率の統合生産・経営システム「フェアブント」、そしてグローバルなプレゼンスに、より焦点を絞り込む
財務面での柔軟性を高める
株式買戻しプログラムを促進し、財務負担を軽減
総売上の50%以上を景気循環の影響を受けない事業からとする

 世界最大の化学会社BASF(本社 ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェン)は利益ある成長の基盤をさらに拡大するため、ポートフォリオの強化に乗り出しています。この一環としてBASFは、同社の医薬品事業、BASFファーマをアメリカのアボット・ラボラトリーズ(本社・イリノイ州アボットパーク)へ総額69億ドルで売却します。この契約書は去る12月14日、両社によって調印されました。契約内容は、BASFファーマの所有するドイツおよび全世界の医薬品事業を含むもので、関係当局の承認ならびに事業売買諸手続完了の後、実施されます。実際の売却は2001年の第1四半期中と予定されています。

 BASF本社社長ユルゲン・シュトルーベは、「我々は革新的な化学、高効率のフェアブント(統合生産・経営システム)、そしてグローバルなプレゼンスによって、BASFの未来を形造っている。農業用製品分野と石油・ガス分野での拡大しつつある地位が、これをさらに支えてくれている」と述べており、医薬品事業を売却した後、BASFの総売上の50%以上は景気循環の影響を受けない部門からの売上によるものとなり、また売上の2/ 3 以上がそれぞれの市場でのトップ3社に位置する事業ということになります。BASFでは、このトップ3社に入る事業をさらに増やしていく意向です。

 医薬品事業の売却でBASFはさらに成長の可能性を拡大します。シュトルーベは、「売却による収入で、我々はコア事業での投資や選択的な買収を強化することができる。また、実施中の株式買戻しプログラムを今後さらに継続し、財務負担の軽減も図ることができる」 と説明しています。

 BASFファーマは世界中で従業員1万700名を擁し、2000年の売上高予想は約26億ユーロです。事業内容は代謝系の病気(甲状腺や肥満など)、心臓血管系疾病、免疫系や痛みなどの治療薬を主としており、代表的製品としては、甲状腺異常の治療薬「シンスロイド」、心臓の冠状動脈異常の治療薬「イソプチン」、不整脈治療用の「リトモノーム」あるいは「リトモル」、さらに肥満治療用の「リダクティル」あるいは「メリディア」などがあります。BASFファーマは有望な研究開発パイプラインをもっており、現在市場導入が図られているもの、あるいは臨床開発の最終段階にあるものなど、新製品は大きな売上が期待されています。

戦略的にも望ましい合致:
 アボット・ラボラトリーズ社のCEOであるマイルス・ホワイトは 「アボットによるBASFの医薬品事業の買収は、当社のグローバルな事業展開の戦略に合致したものであり、大きな相乗効果が生まれる」 と述べています。「
クノールとして知られているBASFの医薬品事業は、アボットにとって売上増大、医薬品の研究開発能力増大、そして特にヨーロッパと日本における販売基盤強化の助けとなり、世界の医薬品市場でのアボットの地位向上につながる。さらに、この買収によって当社にはモノクローナル抗体の先端技術と、関節リューマチ治療用の期待される新製品D2E7という免疫学での強力な研究成果が同時にもたらされる」 と続けています。

 ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンにあるクノール本社設備はアボット・ラボラトリーズが長期のグローバル事業戦略の一部として継続運営します。

将来有望な製品群と理想的なタイミング:
 BASF社取締役で、医薬品を含む健康・栄養関連部門担当のE・フォシェラウはアボット・ラボラトリーズ社との契約調印は理にかなった展開になったとしており、「BASFはここ数年来、医薬品事業の将来についてあらゆる選択肢を検討してきた。そして今、アボット社というグローバルな医薬品メーカーに託すことで、この事業はより大きなチャンスをつかむことができると確信している」 と述べています。

 またタイミングについても、まさに理想的としており、「重要な製品が市場で成功を収めつつあり、パイプラインにも有望製品が並んでいる。いずれにしてもBASFは、関節リューマチ治療薬としてブロックバスターになるであろうD2E7を成功裡に上市販売して行くためには強力なパートナーが必要となったであろう」 と説明しています。

 過去数ヶ月、BASFは
アメリカン・ホームプロダクツ社より農薬事業(アメリカン・サイアナミッド社)を買収、武田薬品工業からビタミン事業を買収、など農薬とファインケミカル事業を急速に拡大してきています。

 BASFは、化学品や健康・栄養関連、石油・天然ガス事業において長期的な成長と利益を生み出すグローバル・カンパニーです。BASFの統合生産・経営システムは「フェアブント」として知られ、同社の特異な強みのひとつであり、ユニークな競争優位性をもたらしています。BASFの1999年の売上は 295億ユーロ(約3兆4、000億円)で従業員 10万5、000名を擁しており、世界をリードする化学会社のひとつです。BASFのインターネット・ホームページアドレスは www.basf.com です。

 アボット・ラボラトリーズは、医薬品の開発・製造・販売と、診断薬、栄養製品、病院用機器などを幅広く扱うグローバルなヘルスケア会社です。従業員数は5万8、000人を擁し、130ヶ国で製品が販売されています。1999年の売上は 132億ドル、利益は 24億ドルでした。