2003/07/18 富士キメラ総研

医療用材料・人工臓器市場調査を実施
 −人工腎臓市場は2006年1,500億円規模に拡大を予測('02年比45%増)−

 総合マーケティングビジネスの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋 表 良吉社長 03−3664−5841)は高齢化社会を迎え市場拡大が見込まれるとともに、医療廃棄物対策も迫られている医療用材料・人工臓器市場の現状を明らかにすべく、2003年4月〜6月の調査結果を報告書「2003年 メディカルマテリアル市場の現状と将来展望」(A4判 239ページ)にまとめた。

調査のまとめ

医療用材料・人工臓器市場規模推移
  2002年の市場規模 1兆678億円、'06年の市場規模予測 1兆2,000億円(伸長率12%)

 分野別医療用材料・人工臓器市場は、使い捨て医療用具(ディスポーザブル)が43.9%を占めトップに立つ。次いで、眼科用材料が21.9%、人工臓器類が16.5%と続く。
 分野別の需要規模推移を見ると、人工臓器類、整形外科用材料、歯科用材料が5〜10%の高い伸び率で推移している。一方、使い捨て医療用具(ディスポーザブル)は横這い、治療用材料、包装容器については微減傾向になっている。
 需要のほぼ半数を占める使い捨て医療用具(ディスポーザブル)分野が横這いを維持しており、人工臓器類や整形外科用材料など、拡大していることが、全体で安定した需要トレンドで推移する要因となっている。
 この市場はこれまで、基本的には拡大傾向で推移しており、今後も年率3%前後の安定した成長が予測される。高齢化社会の進展や食生活の変化による疾患数の増大、プラスチック化の進展・市場定着化、医療保険制度に基づく需要確保などが、医療用材料・人工臓器市場全体に共通するプラス要因となっている。

 
紙おむつ
   使い捨て医療用具(ディスポーザブル)市場(9品目)では、紙おむつが1,770億円で9品目中約38%の最大ウエイトを占めている。少子化や、交換頻度減少から市場は2001年以降減少しているが、中長期的に見れば、高齢化の進展でその潜在需要は拡大が見込まれる。
   
コンタクトレンズ、眼内レンズ(人工水晶体)
   眼科用材料市場(3品目)では、コンタクトレンズが1,222億円に達し、52.3%のウエイトを占めている。その大半が使い捨てタイプへ急激に移行しており、衛生面のわずらわしさが解決し、コストが適正化したことが評価されている。また、眼内レンズ(人工水晶体)は360億円規模で13%を占めており、高齢化の進展による白内障患者数の確実な増加から、その採用率は高まっていくと考えられる。眼科用材料に共通する点は、高齢化社会の進展で、視力維持要求は確実に求められることである。2006年にはコンタクトレンズは1,500億円規模(伸長率28%)を予測している。
   
人工腎臓(ダイアライザ)
   人工臓器類市場(7品目)では、認知度の高い心臓ペースメーカーをおさえ、人工腎臓(ダイアライザ)が約1,100億円弱の規模で、7品目のトータルの61.2%を占めている。日本国内の人工透析を必須とする患者数は約22万人に達し、年1万数千人のペースで増加しており、対人口割合は世界的に高水準にある。人工腎臓(ダイアライザ)は人工透析装置の重要な部品である。2006年には1,500億円規模(伸長率45%)を予測している。
   
医療用製品への採用材料
   本調査レポートは、人工臓器類、歯科材料、整形外科材料、使い捨て医療用具(ディスポーザ
ブル)など38品目の使用材料の状況を集計している。また、各品目にどのような材料(プラスチックなど)が採用されているのか、採用数もカウントしている。
 使用材料はプラスチックや金属、セラミックなどに大別され、2002年では全体で19万6,532トンが使用されている。このうちプラスチック系が18万4,857トンと大半を占めており、全体の94%となっている。また分野別の材料使用量は、プラスチック系が使い捨て医療用具(ディスポーザブル)の75%と大半をしめている。
 各製品を構成する材料は多岐に亘っており、様々な材料が多様な製品・部材に使用されている。プラスチックであってもいくつかの種類を組み合わせ、複合化することによりその製品独自の特性を持たせている場合が多い。例えば、ポリプロピレンは11の製品に使用されており、特に使い捨て医療用具や医療用包装容器製品への使用が中心となっている。以下、ポリエチレン、塩ビ、ポリウレタンなど、プラスチック系材料を使用した製品を合計すると、92種類にのぼる。
   
医療廃棄物の動向
   医療廃棄物は感染性廃棄物と非感染性廃棄物に分類される。感染性廃棄物は危険なので、特別管理廃棄物に指定されている。医療廃棄物を適正に分別、保管、収集、運搬、再生、処分などの処理をすることで、生活環境の保全や公衆衛生の向上を図ること、廃棄物排出の抑制、資源化、減量化を積極的に進めることが求められている。
   
 
1)  医療廃棄物の処理形態
   医療廃棄物には、使い捨て製品のプラスチック類が高比率で含まれており、焼却処理する際のダイオキシン類生成という視点からも配慮が求められる。中間処理としては、院内の焼却施設で焼却、溶融設備で溶融、滅菌装置で滅菌、B型肝炎ウイルス(HBV)に有効な薬剤または加熱により消毒する。焼却施設では、ダイオキシン対策として炉温が、800℃以上の状態で焼却処理を行い、二次生成を最小限にするために排ガスはただちに200℃以下に急冷した後、一部生成したダイオキシンをバグフィルターなどで除去することが必須である。
 B型肝炎ウイルス(HBV)に有効な加熱処理方法として、マイクロ波、マクロ波、電子線、ガンマ線などの新処理技術が開発されている。
   
2)  在宅医療における感染性廃棄物の処理の課題
   2000年4月に施行された公的介護保険制度により、今後在宅医療を選択する患者が増加す
ると推定される。このような動きにともない在宅医療廃棄物の適正処理が問題視されている。在宅医療の場は、病院に比べ感染源となる細菌が少ないことから、感染予防上より安全と考えられている。しかし、在宅医療をしていた患者が再入院する原因の38%が感染症である。
 現行法では感染性廃棄物は「医療関係機関等」から排出されたものと定義されており、家庭から出されている廃棄物は一般廃棄物である。しかし、その中には注射針や血液の付着したガーゼなどが含まれ、その処理のための方針は明確化されていない。